特許第5820717号(P5820717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5820717
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】小束紙幣検出センサ
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20151104BHJP
   B65B 27/08 20060101ALI20151104BHJP
【FI】
   G07D9/00 401E
   B65B27/08 A
   G07D9/00 456A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-278306(P2011-278306)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-130922(P2013-130922A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】安倍 雅和
(72)【発明者】
【氏名】迫 謙次
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−257558(JP,A)
【文献】 特開平02−168372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
B65B 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を束帯で結束してなる小束紙幣の相対移動する前記束帯に対向可能に配置され前記相対移動の方向に対する直交方向に並べられた発光素子および受光素子と、
前記発光素子の前記小束紙幣への発光光および該発光光の前記小束紙幣からの反射光のうちの少なくともいずれか一方を前記相対移動の方向に集光する集光レンズとを有し、
前記受光素子は受光部が前記直交方向に長く形成されていることを特徴とする小束紙幣検出センサ。
【請求項2】
紙幣を束帯で結束してなる小束紙幣の相対移動する前記束帯に対向可能に配置され前記相対移動の方向に対する直交方向に並べられた発光素子および受光素子と、
前記発光素子の前記小束紙幣への発光光および該発光光の前記小束紙幣からの反射光のうちの少なくともいずれか一方を前記相対移動の方向に集光する集光レンズとを有し、
前記集光レンズは、断面が一定形状をなして前記直交方向に延在することを特徴とする小束紙幣検出センサ。
【請求項3】
前記集光レンズは、断面が一定形状をなして前記直交方向に延在することを特徴とする請求項1に記載の小束紙幣検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小束紙幣検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
出納機への現金の補充や出納機からの現金の回収を行う際に用いられる現金管理装置がある(例えば特許文献1参照)。このような現金管理装置には、装置内の在高管理等のために小束紙幣の検出を行う小束紙幣検出センサが設けられる場合がある。
【0003】
小束紙幣検出センサには、発光素子からの発光光の小束紙幣からの反射光を受光素子によって受光しそのレベルの変化から束帯間の境界位置、あるいは束帯と紙幣部分と境界位置を検出して小束紙幣の数量を割り出すものがある。つまり、束帯からの反射光の受光レベルは高く、束帯間の境界位置や紙幣部分は反射光の受光レベルが低いため、これらから束帯間の境界位置および束帯と紙幣部分との境界位置を検出する。このような小束紙幣検出センサの従来のものは、対をなす発光素子と受光素子とが束帯の相対移動の方向に並べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−310519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、発光素子および受光素子の対が束帯の相対移動の方向に並べられた小束紙幣検出センサにおいては、検出精度を確保するために、発光素子および受光素子の対を束帯の相対移動方向に対し直交する方向に多く並べて検出を行う必要があり、コストが増大してしまうという課題があった。発光素子の発光光は正面が最も強く正面から角度がある位置では徐々に弱くなる分布を示すものの照射範囲が比較的広く、よって、小束紙幣からの反射光の受光素子の出力に影響を与える範囲も広くなって受光レベルが低くなり、一つの受光素子の上記境界位置での受光レベルの変化が小さくなってしまうことから、これを補うように対を増やして精度を確保している。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、コストを低減可能な小束紙幣検出センサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、紙幣を束帯で結束してなる小束紙幣の相対移動する前記束帯に対向可能に配置され前記相対移動の方向に対する直交方向に並べられた発光素子および受光素子と、前記発光素子の前記小束紙幣への発光光および該発光光の前記小束紙幣からの反射光のうちの少なくともいずれか一方を前記相対移動の方向に集光する集光レンズとを有し、前記受光素子は受光部が前記直交方向に長く形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、紙幣を束帯で結束してなる小束紙幣の相対移動する前記束帯に対向可能に配置され前記相対移動の方向に対する直交方向に並べられた発光素子および受光素子と、前記発光素子の前記小束紙幣への発光光および該発光光の前記小束紙幣からの反射光のうちの少なくともいずれか一方を前記相対移動の方向に集光する集光レンズとを有し、前記集光レンズは、断面が一定形状をなして前記直交方向に延在することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記集光レンズは、断面が一定形状をなして前記直交方向に延在することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、発光素子の発光光が、集光レンズによって束帯の相対移動の方向に集光され、発光素子に対し束帯の相対移動の方向に直交する方向に並べられた受光素子に到達するため、受光素子の受光レベルの変化を大きくできる。したがって、発光素子および受光素子の数を減らすことが可能となり、コストを低減可能となる。
また、受光素子の受光部が束帯の相対移動の方向に対する直交方向つまり束帯の縁部の延在方向に長く形成されているため、束帯の縁部による受光レベルの変化をさらに大きくすることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、発光素子の発光光が、集光レンズによって束帯の相対移動の方向に集光され、発光素子に対し束帯の相対移動の方向に直交する方向に並べられた受光素子に到達するため、受光素子の受光レベルの変化を大きくできる。したがって、発光素子および受光素子の数を減らすことが可能となり、コストを低減可能となる。
また、集光レンズは、断面が一定形状をなして前記直交方向に延在するため、簡素な構造で、束帯の相対移動の方向に光を集光して、発光素子に対し束帯の相対移動に対する直交方向に並ぶ受光素子に照射することができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、集光レンズは、断面が一定形状をなして前記直交方向に延在するため、簡素な構造で、束帯の相対移動の方向に光を集光して、発光素子に対し束帯の相対移動に対する直交方向に並ぶ受光素子に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る小束紙幣検出センサが設けられる現金管理装置を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る小束紙幣検出センサが設けられる現金管理装置の小束収納庫を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る小束紙幣検出センサが設けられる現金管理装置の小束収納庫を示す平面図であって、(A)は現金管理装置本体に配置される小束セット検出センサとの対応関係を示すもの、(B)は現金管理装置本体に配置される小束紙幣検出センサとの対応関係を示すものである。
図4】本発明の一実施形態に係る小束紙幣検出センサを示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る小束紙幣検出センサのセンサ基板を示す正面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る小束紙幣検出センサを示す図4(a)のX−X断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る小束紙幣検出センサを示す図4(a)のY−Y断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る小束紙幣検出センサを図面を参照して以下に説明する。
【0015】
図1は、出納機への現金の補充や出納機からの現金の回収を行う際に用いられる現金管理装置10を示している。現金管理装置10は、店舗の係員側スペースに設置されて係員により取り扱われるものであり、より窓口カウンタに近い位置で主に小束紙幣および棒金を入出庫可能に収納するものである。
【0016】
現金管理装置10は、箱型の現金管理装置本体11と、この現金管理装置本体11に上下方向に複数段具体的には8段設けられた収納庫12とを有している。これら収納庫12は、その左右側壁に設けられたスライドレール13を介して現金管理装置本体11に対して水平方向に沿ってスライド開閉可能となっている。これら収納庫12は、前方に引き出され、後方に押し込まれることになり、このように前後方向にのみ所定範囲で移動可能となるように現金管理装置本体11に連結されている。
【0017】
複数段の収納庫12のうち、最も上側のものは、予備収納庫12(a)となっており、結束されていないバラの紙幣、包装されていないバラの硬貨、汚損紙幣や汚損硬貨、金券等を収納する。また、残りの収納庫12は、上側4段が小束紙幣を収納する小束収納庫12(b)となっており、下側3段が棒金を収納する棒金収納庫12(c)となっている。勿論、収納庫12の全体の数や、そのうちの小束収納庫12(b)および棒金収納庫12(c)の個々の数等は任意に設定可能である。
【0018】
現金管理装置本体11の上部には、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行う操作表示部15と、データを印字により出力するプリンタ16とが設けられている。操作表示部15は、操作者に対して操作ガイダンス等の情報を表示する表示部17と、操作者のIDカードを走査するカードリーダ18と、操作者により操作される操作キーボード19と、操作者に対して音声を出力する音声発生部20とを有している。
【0019】
現金管理装置本体11には、複数の収納庫12のそれぞれに対して、収納庫12を閉状態で個別にロックする図示略のロック機構が設けられており、複数の収納庫12のそれぞれの側方に、ロック機構のロック解除時のみ点灯する表示灯23が設けられている。
【0020】
収納庫12は、図2に示すように、取っ手30が中央に設けられた前板部31と、前板部31の左右両側から後方に延出する一対の側板部32と、一対の側板部32の後端部同士を連結する後板部33とを有する枠体34を有している。この枠体34は、図2に示す小束収納庫12(b)と、図1に示す棒金収納庫12(c)とで共通となっている。
【0021】
図2に示すように、小束収納庫12(b)は、結束された小束紙幣Tを入出庫可能に収納するもので、上記した枠体34内に固定される複数、具体的には前後に5つ左右に2列の合成樹脂製の小束トレイ40を有している。
【0022】
小束紙幣Tは、単一金種のバラの紙幣sを所定枚数(具体的には100枚)集積してなる集積紙幣Sを、結束テープからなる束帯tで結束してなるものである。束帯tは、集積紙幣Sの規定位置に巻回されており、紙幣sの短辺方向に沿い集積紙幣Sの集積方向の両端面に対向する一対の長部t1と、これら長部t1同士を結ぶように集積紙幣Sの集積方向に沿う一対の短部t2とを有している。短部t2は集積紙幣Sを構成するすべての紙幣sの長辺に対向する。
【0023】
各小束トレイ40は、機体前後方向に対し直交して立設された前壁部41と、機体前後方向に対し直交して立設された後壁部42と、機体左右方向に対し直交して立設された左右一対の側壁部43と、これらで囲まれた部分の下部を閉塞する水平に沿う底部44とを有し、上方に開口し下方に凹む形状をなすトレイ本体45と、トレイ本体45の底部44に、前壁部41および後壁部42と平行を維持しつつ前後移動可能に設けられた札押さえ板46と、札押さえ板46を後壁部42に向けて付勢する図示略の付勢部材とを有している。トレイ本体45の底部44には、札押さえ板46のスライドを案内するスライド溝47と、小束紙幣Tのセット検出用のセンサ溝48とが、前後方向に延在し上下方向に貫通するように形成されている。
【0024】
各小束トレイ40には、小束紙幣Tが、各紙幣sの長辺方向を左右にし短辺方向を上下にし厚さ方向(集積方向)を前後にした立位状態で、上方から挿入されることになり、小束紙幣Tは、この立位状態のまま、底部44に載置され、後壁部42と札押さえ板46とに挟持されて収納されることになる。小束トレイ40には、小束紙幣Tが1束から10束まで収納可能であり、複数の小束紙幣Tは、上記立位状態のまま前後方向に重ねられて後壁部42と札押さえ板46とに挟持されることになる。つまり、小束トレイ40には、後壁部42と、札押さえ板46と、一対の側壁部43と、底部44とで、下方に凹む上方開口形状の束収納凹部49が形成されることになり、小束紙幣Tは、この束収納凹部49にその上部開口を介して上方から挿入されて収納される。
【0025】
なお、各小束トレイ40は、それぞれ予め設定された単一金種の小束紙幣Tのみが束収納凹部49に収納されるように決められており、よって、小束収納庫12(b)には、小束紙幣Tの収納位置である束収納凹部49が金種毎に規定されて設けられている。
【0026】
各小束トレイ40の束収納凹部49を構成する一対の側壁部43間の幅は、収納対象金種の小束紙幣Tの長さよりも若干広い幅となっている。また、各小束トレイ40の束収納凹部49を構成する底部44の高さは、いずれの小束トレイ40においても収納対象金種の小束紙幣Tを載置した場合にその上端部の小束収納庫12(b)での上端部の高さ位置が一定するように設定されている。つまり、高さ(紙幣sの短辺方向長さ)が低い小束紙幣Tを収納する小束トレイ40は、これが配置された小束収納庫12(b)での底部44の高さ位置が高くなっており、高さが高い小束紙幣Tを収納する小束トレイ40は、これが配置された小束収納庫12(b)での底部44の高さ位置が低くなっている。ただし、各束収納凹部49の底部44までの深さは、収納した小束紙幣Tを取り出し容易とすべく上方に突出させるように設定されている。
【0027】
小束トレイ40の束収納凹部49には、設定金種以外の長さの長い金種の小束紙幣Tと、設定金種以外の高さの高い金種の小束紙幣Tとは、適正な収納が困難となり、これにより、一部の誤収納を簡易的に規制するようになっている。つまり、設定金種の小束紙幣Tよりも長さの長い小束紙幣Tは、一対の側壁部43間で折れ曲がって収納が困難となり、設定金種の小束紙幣Tよりも高さの高い小束紙幣Tは、直ぐ上にある収納庫12の前板部31に干渉して、この小束紙幣Tが収納された小束収納庫12(b)の現金管理装置本体11への押し込みを阻害する。各束収納凹部49には、それぞれの側壁部43の上面に、収納対象の金種を目視可能に明示する金種明示部50が設けられている。なお、日本国内で流通する紙幣の場合は、全種類、高さが一定であることから、すべての小束トレイ40の小束収納庫12(b)における底部44の高さ位置も一定となる。各小束トレイ40に収納すべき設定金種を示す収納金種データは、予め設定されて記憶部に記憶されることになる。
【0028】
図1に示す現金管理装置本体11の各小束収納庫12(b)が挿入される小束収納庫挿入空間を形成する部分の下部の前端部には、図2に示す小束収納庫12(b)の左右2列の小束トレイ40のそれぞれのセンサ溝48の直ぐ下側となる位置に、センサ溝48を介して小束紙幣Tのセット検知を行う光学反射型の図3(A)に示す小束セット検知センサ53が位置固定で設けられている。なお、図2に示す各センサ溝48は、束収納凹部49における小束紙幣Tの束帯tが所定の一側(正面から見て左側)にあるときの、束帯tの位置に合わせて形成されており、よって、各小束セット検知センサ53も、図3(A)に示すように、束収納凹部49における小束紙幣Tの束帯tが所定の一側(正面から見て左側)にあるときの、束帯tの位置に合わせて配置されている。なお、センサ溝48は他側である右側にあっても、左右両側にあっても良く、いずれの場合であっても、小束セット検知センサ53はセット検知だけではなく、束帯tの検出センサの補助としても機能する。例えば、左側に小束セット検知センサ53があったときに、束帯tも左側にあれば、小束セット検知センサ53がその束帯tも検出でき、逆に束帯tが右側であれば、小束セット検知センサ53が左側に束帯tがないことを検出できる。
【0029】
図1に示す現金管理装置本体11の各小束収納庫12(b)が挿入される小束収納庫挿入空間を形成する部分の上部の前端部には、図3(B)に示す小束収納庫12(b)の左右2列の小束トレイ40のそれぞれの上方近接位置であって、各列の小束トレイ40の小束紙幣Tの左側に束帯tがある場合にこれを検出する位置と、各列の小束トレイ40の小束紙幣Tの右側に束帯tがある場合にこれを検出する位置とに、本実施形態の小束紙幣検出センサ55が位置固定で設けられている。小束紙幣検出センサ55は、検出方向を下方に向けて現金管理装置本体11に取り付けられている。
【0030】
小束紙幣検出センサ55は、図4に示すように、センサ基板60と、透明カバー61とを有している。センサ基板60は、図5に示すように、板状の基板本体62の表面63に、球面状の発光部64aを有する発光素子64と、この発光素子64が発光した光の反射光を受光する長方形状の受光部65aを有する一対の受光素子65とからなるセンサ部66を二組有している。受光部65aは、例えば長辺長さが短辺長さの3倍以上に形成されている。
【0031】
これらセンサ部66は、各受光素子65の長方形状の受光部65aが、互いの長さ方向の向きを揃えて、図6に示すように、基板本体62の表面63と平行な同一平面において図5に示すように同一直線(以下、受光部配置直線という)上に並ぶように配置されている。各センサ部66の発光素子64は、同じセンサ部66を構成する二つの受光素子65の間に、正面視で受光部配置直線上に配置されるように設けられており、同じセンサ部66を構成する二つの受光素子65のそれぞれと正面視で等距離の位置に設けられている。よって、複数のセンサ部66のすべての発光素子64の発光部64aとすべての受光素子65の受光部65aとが正面視で同一の受光部配置直線上に並んでいる。
【0032】
図5および図6に示すように、基板本体62の表面63には、各センサ部66の発光素子64と両側の受光素子65それぞれとの間に、受光部配置直線に直交して黒色の樹脂からなる中間遮光壁70が立設されている。また、基板本体62の表面63には、各センサ部66の他のセンサ部66とは反対側の受光素子65の外側にも、受光部配置直線に直交して黒色の樹脂からなる端部遮光壁71が立設されている。さらに、基板本体62の表面63には、図5に示すように複数の中間遮光壁70および複数の端部遮光壁71の延在方向の両側に、受光部配置直線に沿う黒色の樹脂からなる長尺遮光壁72がそれぞれ立設されている。すべての中間遮光壁70の一端およびすべての端部遮光壁71の一端は、一方の長尺遮光壁72に繋がっており、すべての中間遮光壁70の他端およびすべての端部遮光壁71の他端は、他方の長尺遮光壁72に繋がっている。
【0033】
基板本体62の表面63には、上記したすべてのセンサ部66とすべての中間遮光壁70とすべての端部遮光壁71とすべての長尺遮光壁72とを覆うように、図6および図7に示す透明カバー61が配置されている。この透明カバー61は、基板本体62に接着される台板部75と、両側の端部遮光壁71および両側の長尺遮光壁72を覆うように台板部75に立設された長方形枠状の囲壁部76と、囲壁部76の台板部75とは反対側を閉塞する一定厚さの板部77と、板部77内に設けられた板部77よりも厚さが厚い集光レンズ部(集光レンズ)78とを有している。板部77は基板本体62の表面63と平行をなしている。
【0034】
集光レンズ部78は、図6に示すように、受光部配置直線と平行に延びて板部77の厚さ方向のセンサ部66とは反対側に突出する外側凸レンズ部80と、受光部配置直線と平行に延びて板部77の厚さ方向のセンサ部66側に突出する内側凸レンズ部81とを有している。外側凸レンズ部80は内側凸レンズ部81とは反対側となる表面80aが円筒面状をなしており、内側凸レンズ部81も外側凸レンズ部80とは反対側となる表面81aが円筒面状をなしている。外側凸レンズ部80の表面80aおよび内側凸レンズ部81の表面81aは、いずれも受光部配置直線に沿う軸を中心とする円筒面状をなしており、よって、集光レンズ部78は、断面が一定形状をなして受光部配置直線に沿って延在している。
【0035】
上記の小束紙幣検出センサ55がセンサ基板60を上側に、透明カバー61(つまり正面)を下側にして図1に示す現金管理装置本体11に取り付けられる。そして、小束収納庫12(b)が現金管理装置本体11から引き出されたり、現金管理装置本体11に押し込まれたりすると、この小束紙幣検出センサ55の鉛直下方で小束収納庫12(b)が水平前後方向に往復移動することになり、図3に示す小束収納庫12(b)に収納された小束紙幣Tがこの小束紙幣検出センサ55の鉛直下方で水平前後方向に往復移動することになる。そして、小束紙幣Tの束帯tの短部t2がこの小束紙幣検出センサ55の鉛直下方で水平前後方向に往復移動することになり、その途中で小束紙幣検出センサ55に対向する。
【0036】
ここで、小束紙幣検出センサ55は、上記した受光部配置直線が、小束収納庫12(b)およびこれに収納された小束紙幣Tの上記往復移動の方向に対し直交する水平方向に沿うように取り付けられる。よって、図5に示す小束紙幣検出センサ55の発光素子64および受光素子65は、図2に示す紙幣sを束帯tで結束してなる小束紙幣Tの相対移動する束帯tの短部t2に対向可能に配置され、この相対移動の方向に対する直交方向に並べられている。言い換えれば、小束紙幣検出センサ55の発光素子64および受光素子65は、小束収納庫12(b)に収納された、相対移動方向に隣り合う小束紙幣T同士の境界線に沿って並べられており、相対移動方向に隣り合う小束紙幣Tの束帯t同士の境界線、あるいは隣り合う小束紙幣Tの束帯tと束帯tのない集積紙幣Sの部分との境界線に沿って並べられている。
【0037】
また、受光素子65は受光部65aは、小束収納庫12(b)に収納された束帯tの相対移動の方向に対する直交方向に長く形成されている。加えて、集光レンズ部78は、発光素子64の小束紙幣Tへの発光光と発光光の小束紙幣Tからの反射光とを、小束収納庫12(b)に収納された束帯tの相対移動の方向に集光する。
【0038】
小束紙幣検出センサ55は、各センサ部66の発光素子64の束帯tの相対移動の方向に広がる発光光を集光レンズ部78で束帯tの相対移動の方向に集光して小束紙幣Tに照射し、その小束紙幣Tからの反射光を、集光レンズ部78で束帯tの相対移動の方向にさらに集光して、この発光素子64の両隣りの受光素子65で受光する。
【0039】
ここで、素子の組み合わせとして、一方のセンサ部66において、発光素子64と一方の受光素子65との組み合わせと、発光素子64と他方の受光素子65との組み合わせとがあり、他方のセンサ部66において、発光素子64と一方の受光素子65との組み合わせと、発光素子64と他方の受光素子65との組み合わせとがあり、合計4組の組み合わせがある。そして、各々の組み合わせ毎に、基準となる調整反射板に対する出力電圧が一定するように調整デフォルト値が設定されており、各組み合わせ毎にエンコーダ割り込みで受光素子65の入力電圧を記憶する。
【0040】
以上のように、小束紙幣検出センサ55は、各センサ部66が、発光素子64の発光方向を下方に向けており、下方に発光した光の下方からの反射光を発光素子64に隣り合う二つの受光素子65で受光するようになっている。その結果、各小束収納庫12(b)のそれぞれの直ぐ上に設けられた小束紙幣検出センサ55が、これらの直ぐ下で前後にスライドする小束収納庫12(b)の各束収納凹部49に収納された小束紙幣Tの上端部の反射光データである貨幣検出反射データを取得することになる。
【0041】
そして、図示略の制御部が、各小束収納庫12(b)に対して、各小束紙幣検出センサ55の貨幣検出反射データから、小束紙幣Tの束帯tの短部t2の反射光量が多くなる部分と、隣り合う小束紙幣Tの束帯tと束帯tとの間の反射光量が少なくなる部分と、集積紙幣Sの反射光量が少なくなる部分とを検出することで、小束紙幣Tを検出する。これに基づいて、小束紙幣Tの数を検出する。
【0042】
以上の構成の小束紙幣検出センサ55によれば、発光素子64の発光光が、集光レンズ部78によって束帯tの相対移動の方向に集光され、発光素子64に対し束帯tの相対移動の方向に対する直交方向に並べられた受光素子65に到達するため、受光素子65の出力に影響する範囲が狭くなり、受光素子65の受光レベルの変化を大きくできる。したがって、発光素子64および受光素子65の数を減らすことが可能となり、コストを低減可能となる。具体的には、従来、一つの小束紙幣検出センサに発光素子および受光素子が16対必要であったのに対し、上記のように二つの発光素子64と四つの受光素子65とで同等の検出を行うことができる。
【0043】
また、受光素子65の受光部65aが束帯tの相対移動の方向に対する直交方向、つまり束帯tの隣り合う束帯tあるいは集積紙幣Sとの境界縁部の延在方向に長く形成されているため、境界縁部による受光レベルの変化をさらに大きくすることができる。したがって、束帯tと束帯tとの境界の変化および束帯tと集積紙幣Sとの境界の変化をより精度良く検出することができる。
【0044】
また、集光レンズ部78は、断面が一定形状をなして、束帯tの相対移動の方向に対する直交方向に延在するため、簡素な構造で、束帯tの相対移動の方向に光を集光して、発光素子64に対し、束帯tの相対移動の方向に対する直交方向に並ぶ受光素子65に照射することができる。
【0045】
なお、集光レンズ部78を透明カバー61に設ける以外にも、発光素子64に直接設けても良い。
【0046】
また、集光レンズ部78は、発光素子64の小束紙幣Tへの発光光およびこの発光光の小束紙幣Tからの反射光のうちの少なくともいずれか一方を、束帯tの相対移動の方向に集光すれば良い。
【0047】
また、発光素子64および受光素子65と、小束紙幣Tとの距離の関係から、焦点深度の範囲を広く選択する場合もあるため、集光レンズ部78の外側凸レンズ部80および内側凸レンズ部81のいずれか一方をなくし、この一方側を、平面としたり、凹レンズ部としたりすることもできる。
【符号の説明】
【0048】
55 小束紙幣検出センサ
64 発光素子
65 受光素子
65a 受光部
78 集光レンズ部(集光レンズ)
s 紙幣
t 束帯
T 小束紙幣
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7