特許第5820797号(P5820797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5820797
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】屋外用毒餌剤収納容器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20151104BHJP
【FI】
   A01M1/20 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-271725(P2012-271725)
(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公開番号】特開2014-113134(P2014-113134A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2014年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 耕作
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 優八
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−098945(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/047978(WO,A1)
【文献】 特開2009−148177(JP,A)
【文献】 特開平11−253086(JP,A)
【文献】 特開平04−179425(JP,A)
【文献】 実開平06−024479(JP,U)
【文献】 特開2009−159842(JP,A)
【文献】 特開2006−094745(JP,A)
【文献】 特開2001−025349(JP,A)
【文献】 特開2003−274834(JP,A)
【文献】 特開平03−091431(JP,A)
【文献】 米国特許第4823506(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と、前記底板部と結合可能な蓋部とを有して固形状又は半固形状の毒餌剤が収容される屋外用毒餌剤収納容器であって、
前記蓋部は天井部と側壁部とを有し、
前記天井部の裏側には前記天井部から下方に垂設されて成る複数本の毒餌剤収納支柱により前記毒餌剤が挟持される毒餌剤収納部が形成され、
前記側壁部に出入り口用の開口が形成され、
前記底板部上で前記毒餌剤収納部の下方に、前記毒餌剤収納部の前記毒餌剤を収納する範囲より大きい範囲を囲う土手状物が全周に亘って形成され、
かつ、前記土手状物の外側の前記底板部に水抜き孔が貫通形成されたことを特徴とする屋外用毒餌剤収納容器。
【請求項2】
底板部と、前記底板部と結合可能な蓋部とを有して固形状又は半固形状の毒餌剤が収容される屋外用毒餌剤収納容器であって、
前記蓋部は天井部と側壁部とを有し、
前記天井部の裏側に毒餌剤収納部が形成され、
前記側壁部に出入り口用の開口が形成され、
前記底板部上で前記毒餌剤収納部の下方に、前記毒餌剤収納部の毒餌剤を収納する範囲より大きい範囲を囲う土手状物が全周に亘って形成され、
前記底板部に毒餌剤支持支柱が立設され、前記毒餌剤収納部に収容された固形状又は半固形状の前記毒餌剤の中央下部を前記毒餌剤支持支柱の先端が下方から支持して前記毒餌剤が前記底板部に落下し難くされ、
かつ、前記土手状物の外側の前記底板部に水抜き孔が貫通形成されたことを特徴とする屋外用毒餌剤収納容器。
【請求項3】
前記側壁部が、前記蓋部に代えて、前記底板部に設けられたことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項記載の屋外用毒餌剤収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に生息するゴキブリなどの匍匐害虫に毒餌を食べさせるために害虫を誘い込む毒餌剤収納容器に関し、特に、屋外で長期使用可能な屋外用毒餌剤収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴキブリの一般的な駆除方法として、誘引物質を含む捕獲器を使用する方法が従来より知られている。
またホウ酸やヒドラメチルノンなどの毒餌剤をゴキブリが好む餌に混ぜたものを容器に入れて駆除する毒餌剤容器も知られている(特許文献1、2参照)。
しかし、これらの捕獲器や毒餌剤容器は室内に配置するものであり、室内に生息するゴキブリしか退治することができず、また屋外での使用には適さないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−313760号公報
【特許文献2】特開平9−191807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記欠点を解決するためになされたもので、屋外に生息するゴキブリなどの匍匐害虫を駆除することのできる長期間屋外で使用可能な毒餌剤収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、屋外用毒餌剤収納容器の発明(1)〜()は次のことを特徴としている。
(1) 底板部と、前記底板部と結合可能な蓋部とを有して固形状又は半固形状の毒餌剤が収容される屋外用毒餌剤収納容器であって、前記蓋部は天井部と側壁部とを有し、前記天井部の裏側には前記天井部から下方に垂設されて成る複数本の毒餌剤収納支柱により前記毒餌剤が挟持される毒餌剤収納部が形成され、前記側壁部に出入り口用の開口が形成され、前記底板部上で前記毒餌剤収納部の下方に、前記毒餌剤収納部の前記毒餌剤を収納する範囲より大きい範囲を囲う土手状物が全周に亘って形成され、かつ、前記土手状物の外側の前記底板部に水抜き孔が貫通形成されたこと。
(2) 底板部と、前記底板部と結合可能な蓋部とを有して固形状又は半固形状の毒餌剤が収容される屋外用毒餌剤収納容器であって、前記蓋部は天井部と側壁部とを有し、
前記天井部の裏側に毒餌剤収納部が形成され、前記側壁部に出入り口用の開口が形成され、前記底板部上で前記毒餌剤収納部の下方に、前記毒餌剤収納部の毒餌剤を収納する範囲より大きい範囲を囲う土手状物が全周に亘って形成され、前記底板部に毒餌剤支持支柱が立設され、前記毒餌剤収納部に収容された固形状又は半固形状の前記毒餌剤の中央下部を前記毒餌剤支持支柱の先端が下方から支持して前記毒餌剤が前記底板部に落下し難くされ、かつ、前記土手状物の外側の前記底板部に水抜き孔が貫通形成されたこと。
(3) 前記屋外用毒餌剤収納容器の発明(1)〜()のいずれかにおいて、前記側壁部が、前記蓋部に代えて、前記底板部に設けられたこと。
【発明の効果】
【0006】
上記発明(1)によれば、天井部に毒餌剤が収納されるので、容器内に雨水が入っても毒餌剤が雨水に水没することがなく、長期間屋外で使用可能となる。
また、底板部に土手状物が全周に形成されているので、ゴキブリなどが食べ損なった毒餌剤のくずは土手状物の内側に落下し、毒餌剤が容器外に拡散することがない。
また、雨水が容器内に入っても土手状物で雨水の浸入が阻止され、ゴキブリなどが食べ損なった毒餌剤のくずが水に濡れることがなく、黴の発生を抑え、衛生的である。
また、複数本の毒餌剤収納支柱が前記天井部から下方に垂設された構造の毒餌剤収納部であるので、固形状又は半固状の毒餌剤を複数本の毒餌剤収納支柱の間に挟持させるだけで良いので収納し易すく、生産性が向上する。
上記発明()によれば、底板部に毒餌剤支持支柱が立設されているので、天井部の毒餌剤収納部に収容された固形状又は半固形状の毒餌剤を毒餌剤支持支柱が下方から支持することとなり、毒餌剤が自然落下し難くくなる。
上記発明()によれば、側壁部が底板部に設けられて蓋部にはないのでので、天井部に毒餌剤を収納する作業性が良くなり、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1(A)は本発明の実施形態1に係る毒餌剤収納容器を構成する蓋部の外側の斜視図であり、図1(B)は図1(A)の蓋部をひっくり返したときの蓋部の内側の斜視図である。
図2図2(A)は本発明の実施形態1に係る毒餌剤収納容器を構成する底板部の外側の斜視図であり、図2(B)は図2(A)の底板部をひっくり返したときの底板部の内側の斜視図である。
図3図3は本発明の実施形態1に係る毒餌剤収納容器を分解して上側から見た斜視図で、図3(A)は蓋部、図3(B)は底板部、図3(C)は図3(A)の蓋部と図3(B)の底板部を結合させて成る毒餌剤収納容器である。
図4図4図3(C)の毒餌剤収納容器を裏返しにした状態で分解して上側から見た斜視図で、図4(A)は底板部、図4(B)は蓋部、図4(C)は図4(A)の底板部と図4(B)の蓋部を結合させて成る毒餌剤収納容器である。
図5図5は毒餌剤を収納した状態の蓋部の裏側の斜視図である。
図6図6は本発明の実施形態2に係る毒餌剤収納容器で、図6(A)は底板部の斜視図、図6(B)は毒餌剤支持支柱を通る縦断面図である。
図7図7(A)は本発明の実施形態2に係る毒餌剤収納容器の平面図、図7(B)は図7(A)のA−A矢視断面図、図7(C)は図7(A)のD−D矢視断面図である。
図8図8(A)は図7(A)のB−B矢視断面図、図8(B)は図7(A)のC−C矢視断面図、図8(C)は図8(B)の楕円部Cの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
長期間屋外で使用して、屋外に生息するゴキブリなどの匍匐害虫を駆除することのできる本発明に係る屋外用毒餌剤収納容器について、その実施形態1および実施形態2を説明する。
【0009】
〈本発明の実施形態1に係る屋外用毒餌剤収納容器〉
図1図5は本発明の実施形態1に係る屋外用毒餌剤収納容器(以下、単に「容器」という。)の図面である。
実施形態1に係る屋外用毒餌剤容器30(図3(C))はプラスチック成型されて成るもので、大きく、蓋部10(図3(A))と底板部20(図3(B))とから構成される。以下に、これらの蓋部10と底板部20について説明する。
【0010】
〈蓋部10〉
蓋部10を図1に基づいて説明する。
図1(A)は本発明の実施形態1に係る毒餌剤収納容器を構成する蓋部の外側の斜視図であり、図1(B)は図1(A)の蓋部をひっくり返したときの蓋部の内側の斜視図である。
蓋部10は底板部20(図2)の上に被せられるプラスチック成型部材で、矩形状をした天井部10Tと、天井部10Tの端部から下方に延設する側壁部10Sとから構成される。
【0011】
〈天井部10T〉
天井部10Tの表側には、(1)矢先マーク10Mが形成されている。
また、天井部10Tの裏側には、(1)毒餌剤収納部10Hと(2)係合ピン10Pが立設されている。
【0012】
《天井部10Tの表側(図1(A))》
天井部10Tは上に滴下した雨水が流れ落ちるように中央部がやや凸となる緩やかな湾曲面の平面視で矩形状をしている。
そして、天井部10Tの表側には、ゴキブリなどの出入り口方向を凸部(又は凹部)で示した矢先マーク10Mが形成されている。したがって、使用者は矢先マーク10Mを見て、ゴキブリなどの通る方向に両矢先マーク10Mの矢先を向けて容器を配置するだけでよい(容器を持ち上げて出入り口がどの面にあるのかをいちいち確認する必要がない。)。
【0013】
《天井部10Tの裏側(図1(B))》
天井部10Tの裏側(内側)の中央近傍には、毒餌剤を収納部するための毒餌剤収納部10Hが設けられている。毒餌剤収納部10Hは、天井部10Tの裏側に、円周上に所定間隔をあけた位置から下方に垂下した複数本(図では4本)の毒餌剤収納支柱10Fによって実現される。
さらに、天井部10Tの裏側の矩形状の四隅には、それぞれ係合ピン10P(図1では1本しか見えないが、図5では4本見られる。)が立設されている。
以下、毒餌剤収納支柱10Fと係合ピン10Pについて説明する。
【0014】
《毒餌剤収納部10H》
図5は天井部10Tの裏側に形成された毒餌剤収納部10Hを説明する斜視図である。
蓋部10の天井部10Tの裏側の中央近傍に中央部を空けて円周上の4箇所に短尺薄板状をした毒餌剤収納支柱10Fが立設されている。これら4本の毒餌剤収納支柱10Fで囲われる中央空間に、固形状(打錠状、圧縮状など)や半固形状(練り物状、ペースト状、ジェル状、おだんご状など)の毒餌剤Fを押し込めることで、固形状や半固形状の毒餌剤Fが4本の毒餌剤収納支柱10Fに絡みついて毒餌剤収納支柱10Fで確実に挟持される。
【0015】
《係合ピン10P》
係合ピン10P(図1(B)、図5)は天井部10Tの裏側四隅に形成されており、それ自体細長い円柱状部材をしており、挿入し易くするために先端に向けて若干径が細くなるテーパが形成されている。係合ピン10Pは底板部20(図2)の四隅に立設された脚柱20Wの中に設けられた係止孔20P(図2(B))にそれぞれ挿入されることで、蓋部10と底板部20とが係合し、一体化して、毒餌剤容器30が完成する。
【0016】
〈側壁部10S〉
側壁部10Sは矩形状の天井部10T(図1(A))の各辺からそれぞれ下方に延びており、蓋部10が底板部20と結合したとき、側壁部10Sは底板部20と接触して、天井部10Tと底板部20とが一体化状態となる。
対向する1対の側壁にはそれぞれ大きな開口10Dがあけられている。
【0017】
《開口10D》
開口10Dは側壁部10Sの上方を一部残して、側壁部10Sのその他は下まですべて除去された開口となっている。蓋部10が底板部20と結合したとき、側壁部10Sの開口10Dと底板部20とでゴキブリなどの出入り口30Dが形成される。開口10Dの大きさは大型のゴキブリなどが十分進入できる大きさとしている。
【0018】
〈底板部20〉
次に、底板部20を図2に基づいて説明する。
図2(A)は本発明の実施形態1に係る毒餌剤収納容器を構成する底板部の外側の斜視図であり、図2(B)は図2(A)の底板部をひっくり返したときの底板部の内側の斜視図である。
底板部20(図2)は蓋部10(図1)で被われるプラスチック成型部材であり、平面視で矩形状をした平坦な基板20Bである。
基板20Bには、(1)基板20Bの四隅に立設された脚柱20Wと、(2)基板20Bの脚柱20Wの内側に360度に亘って連続して形成された土手状物20Dと、(3)土手状物20Dの外側の脚柱20Wとのスペースに水抜き孔20Hがそれぞれ形成されているのが特徴である。以下に、これらの脚柱20Wと土手状物20Dと水抜き孔20Hについて説明する。
【0019】
《脚柱20W》
脚柱20Wは、底板部20の四隅にそれぞれ立設されているやや先細りをした円柱状物である。脚柱20Wの中には、上方から蓋部10(図1)の係合ピン10Pが挿入されることができるように、上方から下方の内部に向けて軸方向中心に係止孔20P(図8(C))が形成されている。この係止孔20Pに蓋部10(図1)の係合ピン10Pが挿入されることで、蓋部10と底板部20とが係合し、一体化して、毒餌剤容器30が完成する。
【0020】
《土手状物20D》
土手状物20Dは雨水が底板部20の中央の毒餌剤収納部10Hの下方に浸入するのを阻止するため、基板20Bの脚柱20Wの内側に全周(360度)に亘って囲われた堤防である。土手状物20Dは矩形状をした基板20Bの各辺にそれぞれ平行に形成されて全体で矩形状に連なった堤防となっている。
土手状物20Dは、ゴキブリなどが乗り越え易いように奥に進むにつれて登り坂となるテーパが形成されている。
土手状物20Dは、外部からの雨水浸入防止の他に、毒餌剤収納部10Hに収容された毒餌剤F(図5)をゴキブリなどが食べ落とした毒餌剤を受ける受け皿となり、脱落した毒餌剤が容器の外へ拡散して、乳幼児が手にするのを防止する役目も兼ね備えている。
また雨水の浸入を防止するので黴の発生を抑えることができる。
【0021】
《水抜き孔20H》
水抜き孔20Hは、脚柱20Wの近傍の土手状物20Dの外側を一部欠砕して底板部20の上から下方に貫通するように形成された孔である。これにより、外部から浸入してきた多量の雨水は多くが水抜き孔20Hから容器の下方に流れてしまい、土手状物20Dを乗り越えるには至らなくなる。
水抜き孔20Hは、ここでは土手状物20Dの外側を一部欠砕して形成しているが、これに限定されるものではなく、土手状物20Dの外側の底板部20であれば、どこに孔が形成されてもよい。
【0022】
〈屋外用毒餌剤収納容器の組立と使用法〉
以上説明した蓋部10と底板部20とを結合させると本発明に係る屋外用毒餌剤容器30が完成する。以下に、蓋部10と底板部20の結合について図3および図4を用いて説明する。
図3は本発明に係る毒餌剤収納容器を分解して上側から見た斜視図で、図3(A)は蓋部、図3(B)は底板部、図3(C)は毒餌剤収納容器であり、図4図3(C)の毒餌剤収納容器を裏返しにして分解して上側から見た斜視図で、図4(A)は底板部、図4(B)は蓋部、図4(C)は底板部側から見た毒餌剤収納容器である。
(1)まず、蓋部10(図3(A)および図4(B))の毒餌剤収納部10Hを構成する4箇所の毒餌剤収納支柱10F(図4(B))の間に固形状又は半固形状の毒餌剤を収納する(図5参照)。
(2)次いで、蓋部10の係合ピン10P(図4(B))を、底板部20の脚柱20W(図3(B))の係止孔20Pに挿入する。
(3)これにより、蓋部10と底板部20が結合し、毒餌剤収納容器30(図3(C)および図4(C))が完成する。完成した毒餌剤収納容器30には、蓋部10にある開口10Dの下部が底板部20で塞がれて、ゴキブリなどの出入り口30Dがそれぞれ対向面に形成される。
(4)この毒餌剤収納容器30をゴキブリなどの通過する壁面(ゴキブリは壁面に沿って進む癖がある。)に、両矢先マーク10Mの指す方向が壁面に平行になるように置けばよい。
【0023】
〈容器の各構成部材の寸法〉
ゴキブリなどの出入り口30Dの大きさは、例えば、チャバネゴキブリような小型のゴキブリからワモンゴキブリやクロゴキブリの大型のゴキブリまで進入できる大きさとしている。
土手状物20Dの高さは小型のゴキブリが乗り越えて中央で毒餌剤Fを食し、大型のゴキブリは土手状物20Dに前足を掛けたまま毒餌剤Fを食することができる高さが望ましい。
容器の大きさは特に限定されないが、高さが5〜30mm、幅が5〜50mm、長さが10〜100mmのものが推奨される。
また、容器の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネートなどのプラスチック樹脂が射出成形やプレス成形により成形される。
なお、側壁部は蓋部に繋げて設けているが、蓋部側にある必要はなく、底板部に繋げて設けるようにしてもよい。そうすると、蓋部は天井部だけになり、天井部に毒餌剤を収容する作業の作業性が向上する。
【0024】
〈毒餌剤Fの形状〉
本発明で用いられる毒餌剤Fは、固形状(打錠状、圧縮状など)や半固形状(練り物状、ペースト状、ジェル状、おだんご状など)をしているのが特徴である。本発明に係る容器は外で用いられるため天井の裏側に設ける必要があるが、粉末や液体を天井に収容するためには専用の容器を必要とし、コストを伴うばかりか、その容器に収容された状態の粉末や液体をゴキブリなどが下方から食することは困難なことである。
そこで考えたのが、固形状又は半固形状とすることにより天井裏側にくっつけることができるので、専用の容器を必要としなく、しかも、ゴキブリなどが下方から食べ易くなる。
【0025】
〈毒餌剤Fの成分〉
本発明で用いられる毒餌剤は、殺虫成分と誘引剤などを配合している。
《殺虫成分》
殺虫成分としては、例えば、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、トランスフルトリン、エトフェンプロックスなどのピレスロイド系殺虫剤、フェニトロチオン、マラチオンなどの有機リン系殺虫剤、プロポクスル、カルバリルなどのカーバメイト系殺虫剤、ホウ酸、ヒドラメチルノン、フィプロニル、シラフルオフェン、ピリプロキシフェンなどが挙げられる。
《誘引剤》
誘引剤としては、例えば、さつまいも、コーンスターチなどの澱粉類、チーズ、ハチミツなどの公知の食餌物質や、炭素数4ないし10のアルデヒド、ケトン、エステル類や食品フレーバーなどが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0026】
〈まとめ〉
このようにして得られた本発明の実施形態1に係る屋外用毒餌剤収納容器は、屋外に設置して使用するものであり、それがために雨水や散水にさらされることが想定される。
したがって、これらを次の(1)〜(5)の対応で解決している。
(1)雨水が容器内部に浸入しても、毒餌剤を容器内部の天井に配置することで、毒餌剤を浸水から守るようにした。
(2)毒餌剤を容器内部の天井に配置し易くするため、毒餌剤収納部はリブ状の複数の毒餌剤収納支柱としてその間に挟み込むようにし、したがって毒餌剤も挟みやすいように固形状又は半固形状にした。
(3)ゴキブリなどが食べこぼした毒餌剤の受け皿となるように容器内部の底板部に全周(360度)に亘って延びる土手状物を設けて皿状にした。したがって、また、雨水が容器内部に浸入しても土手状物によって雨水の浸入が防止されるので、食べこぼした毒餌剤が雨水に浸かってカビが発生することを防止する。
(4)その土手状物にテーパ(スロープ)を設けてゴキブリなどの足場とし、容器の天井に配置した毒餌剤をゴキブリなどが食べ易くした。
(5)容器内への浸水を水抜き孔から排水することで、受け皿内への浸水を防いでいる。
【0027】
〈本発明の実施形態2に係る屋外用毒餌剤収納容器〉
図6図8は本発明の実施形態2に係る屋外用毒餌剤収納容器の図面である。
図6(A)は底板部の斜視図、図6(B)は毒餌剤支持支柱を通る縦断面図である。
本発明の実施形態2に係る屋外用毒餌剤収納容器は、底板部20に毒餌剤支持支柱20Fを立設したのが特徴である。
【0028】
〈毒餌剤支持支柱20F〉
毒餌剤支持支柱20Fは柱状部材であり、その高さは、複数本の毒餌剤収納支柱10F(図6(B))の間に挟み込まれた固形状又は半固形状の毒餌剤Fの中央下部を、柱状部材の先端で支えることができる高さとしている。
図7(B)および図7(C)において、毒餌剤支持支柱20Fが底板部20と同じ材料で底板部20から立設されているのが分かる。また、毒餌剤支持支柱20Fは2本の毒餌剤収納支柱10Fの間の中央下部に位置しているのが分かる。
したがって、蓋部10と底板部20が結合したとき複数本の毒餌剤収納支柱10F(図6(B))の間に挟み込まれた半固形状の毒餌剤Fは、その中央下部を毒餌剤支持支柱20Fの先端で支えられるので、毒餌剤Fが落下し難くなる。
【0029】
図7の説明〉
実施形態1と実施形態2の相違点は、毒餌剤支持支柱20Fの有無であり、その他の点では共通している。そこで、屋外用毒餌剤収納容器の内部について毒餌剤支持支柱20F以外は同じであるので、実施形態2の図面である図7および図8を用いて、屋外用毒餌剤収納容器の内部構造について説明する。
図7(A)は毒餌剤収納容器の平面図、図7(B)は図7(A)のA−A矢視断面図、図7(C)は図7(A)のD−D矢視断面図である。
図7において、天井部10Tは中央部がやや凸となる緩やかな湾曲面の平面視で矩形状をしている(なお、天井部の中央の窪みは射出成形時のゲート跡である。)。天井部10Tの表側にゴキブリなどの出入り口方向を示す矢先マーク10Mが凸成形されている。
天井部10Tの裏側中央には、毒餌剤収納支柱10Fが複数本垂下されている。
底板部20には、ゴキブリなどが乗り越え易いように奥に進みにつれて登り坂となるテーパが形成された土手状物20Dが形成されている。
そして、側壁部10Sの開口10Dと底板部20とでゴキブリなどの出入り口30Dが形成されている。
【0030】
図8の説明〉
図8(A)は図7(A)のB−B矢視断面図、図8(B)は図7(A)のC−C矢視断面図、図8(C)は図8(B)の楕円部Cの拡大図である。
係合ピン10Pが天井部10Tの裏側の隅に立設されている。係合ピン10Pは、細長い円柱状部材で、挿入し易くするために先端に向けて若干径が細くなるテーパが形成されている。
脚柱20Wは、底板部20の隅に立設されているやや先細りをした円柱状物で、中に上方から下方の内部に向けて軸方向中心に係止孔20Pが形成されている。
天井部10Tの係合ピン10Pが、底板部20隅に立設された脚柱20Wの係止孔20P(図8(C))に挿入されることで、蓋部10と底板部20とが係合し、一体化して、毒餌剤容器30が完成する。
また、水抜き孔20H(図8(B))が土手状物20Dの外側の脚柱20Wとのスペースに形成されている。
以上、本発明の態様について主にゴキブリを対象として詳述したが、本発明の屋外用毒餌剤容器は、ゴキブリ以外の屋外に生息する匍匐害虫を駆除するためにも用いることができる。例えば、ムカデ、ダンゴムシ、ワラジムシ、アリなどを対象としうるものであり、容器の各構成部材の寸法や毒餌剤の成分は、適宜、選択して用いることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
10:蓋部
10D:開口
10F:毒餌剤収納支柱
10H:毒餌剤収納部
10M:矢先マーク
10P:係合ピン
10S:側壁部
10T:天井部
20:底板部
20B:基板
20D:土手状物
20F:毒餌剤支持支柱
20H:水抜き孔
20P:係止孔
20W:脚柱
30:屋外用毒餌剤容器
30D:出入り口
F:ゴキブリ用毒餌剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8