(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5820877
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】自己洗浄シャント
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20151104BHJP
【FI】
A61M1/00 520
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-514840(P2013-514840)
(86)(22)【出願日】2011年6月19日
(65)【公表番号】特表2013-529480(P2013-529480A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】IL2011000486
(87)【国際公開番号】WO2011158244
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年4月7日
(31)【優先権主張番号】61/344,251
(32)【優先日】2010年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508041105
【氏名又は名称】テクニオン リサーチ アンド ディベロップメント ファンデーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】サムーチャ、 オア
(72)【発明者】
【氏名】ザールール、 メナシェ
(72)【発明者】
【氏名】ショーハム、 モシェ
【審査官】
石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0145143(US,A1)
【文献】
特開平03−029665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その壁中に配置された開口部のセットを有する第1のチューブと、
そこから突き出した多数の剛毛をもった中央シャフトを有する洗浄エレメントであって、該洗浄エレメントが前記第1のチューブ内に設置された時に、前記剛毛の少なくともいくつかが前記開口部に入ることができるようになっているものと、を含み、
振動発生システムにかけられた時に、前記剛毛が前記開口部内で動くことができるように、前記洗浄エレメントが振動するように適応されており、
前記開口部が、前記チューブ壁中の予め決められた横および放射状位置に配置されており、前記剛毛が、前記第1のチューブの壁中の前記開口部の横および放射状位置と実質的に揃えられた横および放射状位置において前記洗浄エレメントから突き出ている、
シャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項2】
前記第1のチューブが本質的に円筒形である、請求項1によるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項3】
前記剛毛が、前記洗浄エレメントの中央シャフトに取り付けられている、請求項1から2のいずれかによるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項4】
前記振動発生システムが、前記洗浄エレメント上に働く外部場からなる、請求項1から3のいずれかによるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項5】
前記外部場が交番する磁場であり、前記洗浄エレメントが、磁性材料および磁化材料の少なくとも1つからなる、請求項4によるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項6】
前記シャフトが、磁性材料および磁化材料のどちらか1つで構築されている、請求項5によるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項7】
前記剛毛の少なくともいくつかが、磁性材料および磁化材料のどちらか1つで構築されている、請求項5によるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項8】
前記振動発生システムが、前記洗浄エレメント上に配置された振動トランスデューサーである、請求項1から7のいずれかによるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項9】
前記振動トランスデューサーが、機械的、電磁気的または圧電トランスデューザーのいずれか1つである、請求項8によるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項10】
振動発生システムが、剛毛の少なくともいくつかの機械的自己共鳴周波数の範囲内の周波数を有する外部から印加された超音波場からなる、請求項1から4のいずれかによるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項11】
前記剛毛の長さは、剛毛が前記第1のチューブの外側壁を越えて前記開口部を実質的に通して突き出ないようになっている、請求項1から10のいずれかによるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項12】
開口部のセットを有する第2のチューブであって、開口部の少なくともいくつかは、前記第1のチューブのものと同じ予め決められた横および放射状位置においてその壁中に配置されており、前記第2のチューブが前記第1のチューブの内側に設置されており、相互に揃っている前記開口部のセットと前記第1と第2のチューブが揃っていない時に、前記洗浄エレメント上の剛毛が前記第1のチューブの前記開口部中に突き出ることができないようになっているものを更に含む、請求項1から11のいずれかによるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【請求項13】
前記第1と第2のチューブの揃えを変更するためのメカニズムであって、前記流体入口ヘッドの設置後のみに、前記開口部のセットが相互に揃えられることができるようになっているものを更に含む、請求項12によるシャント上での使用のための流体入口ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に水頭症の治療において使われるような脳脊髄液(CSF)の排出のための、流体シャントのための自己洗浄入口に関する。
【背景技術】
【0002】
シャントは、異なる臓器から異常な流体を排出するための内科医療装置としてしばしば使用される。まず
図1を参照すると、それは子供の頭蓋内腔中に移植されたCSFシャントを描く。
図2により大きなスケールで示されたシャントヘッド10は、通常シリコーンで作られ、その長さに沿って一連の穿孔21、22をもった中空のカテーテル20からなり、シャントの周りに蓄積された流体が、そこから流体が排出されなければならない領域から離れて孔を通してチューブ中に排出できるように、孔はしばしば異なるサイズと異なる間隔を有する。余分な流体は、一般的に腹部のような体腔中に排出される。シャントヘッドは、どれ程までそれが頭蓋内腔中に挿入されているかを医師が推定できるように、長さ目盛りがその上に印刷されていても良い。シャントヘッドは、余分な脳脊髄液を典型的には患者の腹部に搬送する排出チューブ12に、管状コネクター18によって取り付けられる。排出チューブは、それぞれ髄膜と腹膜中の小さな切開16によって達成されている排出されるべき頭蓋領域へと腹腔中へのアクセスをもって、一般的に皮膚の直下に移植される。シャントを変更する必要無しに患者が幼児期から成長することを許容するために、排出チューブ14の端部セクションは腹腔中で束ねられて、子供が成長するにつれてそれが解かれることができるようになっていても良い。CSFシャントは、恐らく最も一般に使われるシャントであるが、そのようなシャントは、尿道カテーテル、膀胱造瘻術、腹膜透析およびその他のような、余分な流体の排出が要求される身体のあらゆるその他の部分に適用されることができることが理解されるべきである。更には、そのようなシャントはまた、遠隔のアクセス不能な場所から流体を排出することが必要であり得る産業的応用において使われることもできる。
【0003】
そのような従来技術の単純なシャントは、一般的に2つの主要な問題:
(i)入口開口が詰まらされ得ること、および
(ii)それが感染されたものになり得ること、
を有する。
【0004】
シャントが詰まらされた時には、外科手術によってそれを身体から取り除く試みがなされるべきである。取り除くことが不可能な場合には、別のシャントが機能不全のものと平行して置かれても良い。シャントが感染された時には、それは外科手術によって身体から取り除かれなければならない。この種の外科手術はしばしばハイリスクな手順である。
【0005】
図1と2に示された単純な従来技術のシャントは、人体の内側でのいくらかの期間の後に、生体組織成長が、組織による孔の遮蔽に結果としてなり得るという深刻な欠点を有する。この組織が、一般的にシャント遮蔽の主要原因である。シャントを外科手術によって引き出そうとする時に、内殖した組織が引き裂かれて心室内出血を引き起こし得て、それは致命的であり得る。
【0006】
そのような出血のリスクを避けるために、医者は時々、シャントを取り除かずに元の損傷したかまたは詰まらされたものに追加して別のものを移植することを好む。この手順は外科手術を含み、新しいシャントもまた感染を引き起こし得る。シャントが感染された時には、それはあらゆる新しい装置が挿入される前に取り除かれなければならない。そのような場合には、もしシリコーンチューブが取り除かれる必要があれば、かつもしそれが脈絡叢に引っかかっていれば、心室内出血を防止するために開頭および心室内手術が行われる必要がある。
【0007】
そのような複雑化を避けるために、多数の自己洗浄シャントヘッドが従来技術で提案されている。多くはチューブ内の流体を使ったシャントヘッドの逆流置換に依存する。1つのそのような従来技術のシャントは、D. Bronへの“Self cleaning inlet head for a fluid”についての米国特許番号5,584,314に示されている。ヘッドは、皮下に移植された貯水槽上を手で押し、よってシャント流体による洗浄運動を引き起こすことによって洗浄される。しかしながら、このシャントのヘッドは、機械的に複雑であるように見え、それは長期的には低減された信頼性に結果としてなり得る。
【0008】
本出願と1人の共通の発明者を有する、“Vibrating Robotic Crawler”についての同時係属中の国際特許出願番号WO2008/126087では、装置の本体に取り付けられた柔軟なファイバーのアレイを利用したルーメンを通した運動のための、自律的な振動駆動された装置が記載されている。その出版物では、シャントの穴を障害物からきれいに保つためのそのような装置の1つの応用が記載されている。振動するロボティッククロウラーは、チューブ中を這い回ることが可能であり、そのようなシャント中の閉塞を開くために理想的であり、しばしばシャント修正手順の必要を防止する。
【0009】
しかしながら、それは、脈絡叢のような生体組織の内殖によってかまたは血栓によって、遮蔽されたものになり得るところの、シャント流体入口孔自体の遮蔽の問題には関係していない。
【0010】
明細書のこのセクションおよびその他のセクションで言及された出版物の各々の開示は、各々その全体が、ここで引用により組み込まれる。
【発明の概要】
【0011】
自己洗浄シャントヘッドは、協調的に動作する2つのコンポーネンツからなる。シャントヘッドの遠位端は、余分な流体を排出するための開口部を有するチューブの形であり、このチューブが元のシャントヘッドの穿孔された端部を置き換える。このチューブの内側には、チューブ排出開口部を貫通することができる、そこから突き出している剛毛をもった、中央シャフトで好都合に構築され得る、内部の細長い洗浄エレメントが配置されている。洗浄エレメントは、長いブラシに類似している。エレメントまたはその剛毛は振動させられることができ、剛毛が開口部の内側で洗浄行為を発生させ、それら中に見つけられたあらゆる屑または血栓を清掃し、それらの中に生体組織が成長することを防止するようになっている。開口部は、孔またはスロットの形であることができ、最も有利には予め決められたアレイに配列される。洗浄エレメント上の剛毛の位置は、
洗浄エレメントとチュ−ブが正しく揃えられた時に剛毛が開口部に入るように正しく位置するように、同様のアレイピッチと角度的配置で配列されるべきである。正しい放射状の揃えは、キー溝のようなあらゆる単純な機械的方法によって達成されても良い。振動は、成し遂げられるべき遠隔の振動を可能とするあらゆる方法によって成し遂げられることができる。特に単純な方法は、洗浄エレメント内に強磁性または磁性エレメントを組み込み、外部から印加された磁場によってそれらが振動することを引き起こすことである。洗浄ブラシ全体を振動させることの代替策として、剛毛が強磁性または磁性材料で製造されて、それらだけが振動するようになっていることができる。別の代替策は、剛毛が振動することを引き起こす、外部から印加された適切な超音波場の使用である。
【0012】
感染の場合でさえ、このシャントヘッドの使用は、シャント孔の内側の生体組織の不在がシャントの引き出しをより危険ではないものにするので、致命的な内部出血のリスク無しでシャントを身体から取り除くことをより簡単にする。感染が起こらない場合には、自己洗浄シャントは、生涯使用のために好適であるべきである。
【0013】
よって、この開示に記載された装置の例示的実装にしたって提供されるのは、
(i)その壁中に配置された開口部のセットを有する第1のチューブと、
(ii)そこから突き出した多数の剛毛をもった中央シャフトを有する洗浄エレメントであって、洗浄エレメントが第1のチューブ内に設置された時に、剛毛の少なくともいくつかが開口部に入ることができるようになっているものと、からなり、
振動発生システムにかけられた時に、剛毛が開口部内で動くことができるように、洗浄エレメントが振動するように適応されている、
シャント上での使用のための流体入口ヘッド、である。
【0014】
そのような流体入口ヘッドでは、第1のチューブが本質的に円筒形であっても良い。更には、開口部が、チューブ壁中の予め決められた横および放射状位置に配置されていても良く、剛毛が、第1のチューブの壁中の開口部の横および放射状位置と実質的に揃えられた横および放射状位置において洗浄エレメントから突き出ていても良い。上記ヘッドのいずれかにおいて、剛毛が、洗浄エレメントの中央シャフトに取り付けられていても良い。
【0015】
追加の実装は、上記の通りの流体入口ヘッドであって、振動発生システムが、洗浄エレメント上に働く外部場からなるものを含むことができる。そのような場合には、外部場は交番する磁場であっても良く、洗浄エレメントはすると磁性材料および磁化材料の少なくとも1つからなるべきである。その状況では、シャフトが、磁性材料および磁化材料のどちらか1つで構築されていても良い、および/または剛毛の少なくともいくつかが、磁性材料および磁化材料のどちらか1つで構築されていても良い。
【0016】
そのような場の代替として、振動発生システムは、剛毛の少なくともいくつかの機械的自己共鳴周波数の範囲内の周波数を有する外部から印加された超音波場からなっていても良い。
【0017】
外部印加された場の使用の代替として、その他の例示的実装における振動発生システムは、洗浄エレメント上に配置された振動トランスデューサーであっても良く、機械的、電磁気的または圧電トランスデューザー、または別の好適なタイプ、のいずれか1つであることができる。
【0018】
加えて、上記のヘッドのいずれかの代替的実装は、それらが第1のチューブの外側壁を越えて開口部を実質的に通して突き出ないような長さの剛毛を、更に有していても良い。
【0019】
更には、シャント上での使用のための流体入口ヘッドのその他の例示的実装は、開口部のセットを有する第2のチューブであって、開口部の少なくともいくつかは、第1のチューブのものと同じ予め決められた横および放射状位置において第2のチューブの壁中に配置されており、第2のチューブが第1のチューブの内側に設置されており、相互に揃っているそれらの開口部のセットとチューブが揃っていない時に、洗浄エレメント上の剛毛が第1の円筒状のチューブの開口部中に突き出ることができないようになっているものから更になっていても良い。そのような実装は、第1と第2のチューブの揃えを変更するためのメカニズムであって、流体入口ヘッドの設置後のみに、開口部のセットが相互に揃えられることができるようになっているものから更になるべきである。
【0020】
もっとその他の実装は、シャント上での使用のための流体入口ヘッドの開口部をきれいに維持する方法であって、
(i)シャント上での使用のための流体入口ヘッドを提供することであって、ヘッドは、その壁中に配置された開口部のセットを有する第1のチューブと、そこから突き出した多数の剛毛をもった中央シャフトを有する洗浄エレメントであって、洗浄エレメントが第1のチューブ内に設置された時に、剛毛の少なくともいくつかが開口部に入ることができるようになっているものと、からなることと、
(ii)剛毛が開口部内で動くことができ、それによりそれらをきれいに維持するように、洗浄エレメントを振動させることと、
を含む方法を行う。
【0021】
そのような方法では、振動させることが、洗浄エレメント上に働く外部場を使って行われても良い。外部場は交番する磁場であっても良く、洗浄エレメントはすると磁性材料および磁化材料の少なくとも1つからなるべきである。代替的に、シャフトが、磁性材料および磁化材料のどちらか1つで構築されていても良く、または剛毛の少なくともいくつかが、磁性材料および磁化材料のどちらか1つで構築されていても良い。
【0022】
代替として、外部から印加された場が、剛毛の少なくともいくつかの機械的自己共鳴周波数の範囲内の周波数を有する超音波場であっても良い。
【0023】
それらの方法のいくつかのその他の例示的実装では、洗浄エレメントが振動トランスデューサーから更になっていても良く、振動は、振動トランスデューサーを作動することによって行われる。そのような振動トランスデューサーは、機械的、電磁気的または圧電トランスデューザーのいずれか1つであっても良い。
【0024】
現在請求されている発明は、図面との関係で取られたときに、以下の詳細な記載からより完全に理解され認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、子供の頭蓋内腔中に移植された従来技術のCSFシャントシステムを描く。
【
図2】
図2は、従来技術のシャントヘッドを概略的に示す。
【
図3】
図3は、シャントの遠位端での使用に好適な例示的チューブエレメントを概略的に描く。
【
図4A】
図4Aは、
図3の排出チューブエレメントとの使用に適応された洗浄エレメントの概略的な図である。
【
図4B】
図4Bは、
図3の排出チューブエレメントとの使用に適応された洗浄エレメントの概略的な図である。
【
図5】
図5は、本出願の完全に組み立てられた自己洗浄シャントヘッドの切取内部図である。
【
図6】
図6は、
図5に示された完全なヘッドの「X線」斜視図である。
【
図7】
図7は、それを設置する時に剛毛がヘッドから突き出すことを防止するための、第2の円筒状のチューブを利用した、
図5と6の装置の更なる実装を概略的に描く。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで
図3を参照すると、それはシャントの遠位端での使用に好適なチューブエレメント50の例を概略的に描く。
図3に示された例では、流体排出開口部が、チューブの長さを下るスロットのアレイに配列され、各アレイはチューブの円周の周りの異なる角度位置に配置されている。
【0027】
図3に示された例では、2つの視認可能なスロットの列52、54が、お互いに対して角度的に直交する位置に配列されるように示されているが、そのようなチューブは典型的には、お互いと90°で配列された4つのそのような列、あるいはあらゆるその他の数の開口部の列を有していても良い。更には、チューブは本質的に円筒状のプロファイルを有しているように示されているが、これは製造者によって最も好都合な形状であって、その他の断面プロファイル形状をもったチューブもこの出願で使われることができる。
【0028】
ここで
図4Aと4Bを参照すると、それらは
図3の排出チューブとの使用に適応された洗浄エレメントを概略的に描く。
図4Aは、洗浄エレメントの側面図である一方、
図4Bはその端面図である。洗浄エレメントは、そこに取り付けられた多数の剛毛42、44をもった中央シャフト41を有する。剛毛は好ましくは、シャフトに沿って縦方向に位置しており、連続する剛毛の間の距離がチューブ中の連続する開口部の間の距離と同じであるようになっている。同様に、それらは好ましくは、チューブ中の開口部と同じ角度的間隔でシャフトの周りに放射状に位置している。
図4Aと4Bに示された例では、剛毛の4つの放射状のセットが、お互いと直角に位置しているように示されている。剛毛の配列は、洗浄器が正しく配置された時に、剛毛がチューブ中の開口部の反対に位置するようになっているべきである。
【0029】
ここで
図5と6を参照すると、各々は完全に組み立てられた自己洗浄シャントヘッドを描いている。
図5はヘッドの切取内部図である一方、
図6はヘッドの「X線」斜視図である。
図5では、剛毛44がスロット54中に突き出しているように示されている。
図6の斜視図では、剛毛の直交するセットの両方がそれらそれぞれのスロット中に突き出しているように示されている。剛毛44は、図面の垂直方向で上向きおよび下向きにスロット54中に伸びる一方で、剛毛42は図面の水平方向で横向きにスロット52中に伸びている。
【0030】
剛毛がそれらの洗浄行為を行うためには、洗浄エレメントが振動させられなければならない。そのような振動を達成する1つの特に単純なやり方は、洗浄器シャフトに取り付けられた1つ以上の搭載磁石または強磁性体塊を有することか、または洗浄器シャフト自体を磁性または磁化材料で作ることと、洗浄器エレメント上の小さな磁石または強磁性体エレメントに影響を与えてそれらの振動を引き起こす外部の交番する磁場をコイルまたは振動する永久磁石によって印加することによる。この実装は、振動を発生するための活性化エネルギーが外部的に提供され、搭載バッテリーの使用に依存しないので、無制限の動作時間を可能とする一方、動作の単純さも維持する。印加された場の方向は、洗浄エレメントが、その長さに沿ってかまたは、剛毛がスロット開口部を貫通することを引き起こす軸方向以外のあらゆるその他の方向で振動するか、あるいはそのような運動のあらゆる組み合わせとなるようになっていても良い。よって、例えば、シャフトの直径はチューブの内径と比較して小さくても良いので、洗浄器エレメントがチューブの軸と垂直な軸の周りの回転運動で振動するのに十分な間隙が提供されることができ、反対端における剛毛がチューブの反対側におけるスロットを貫通して、洗浄器がシーソー型の運動を行うようになっている。一般に、振動運動発生システムは、洗浄手順が起動された時に患者の位置決めを制限しないように、外部から印加された場の方向への感度を可能な限り低減するようになっているべきである。成功したスロットの洗浄に結果としてなるあらゆるやり方での剛毛のスロット中への侵入が有利であり得る。
【0031】
シャフトが振動することを引き起こすことの代替策として、ファイバーを磁化または磁性材料で作り、外部の交番する磁場を印加することによってか、またはあらゆるその他の好適な方法によってのように、ファイバー中に直接振動を発生させることが可能である。外部場は、その中にシャントが設置されている被験者の身体の外側から印加されることができる。
【0032】
振動を発生する代替的方法は、場が印加された時に剛毛が振動するように、剛毛の機械的自己共鳴周波数と関連する周波数において外部から印加された超音波信号の使用によることができる。
【0033】
振動は、剛毛がチューブ中の開口部内で振動するような大きさと方向のものでなければならない。最適には、スロット中のあらゆる深さにおいて組織の成長または遮蔽が起こり得ないように、剛毛はスロットをそれらのいっぱいの深さまで貫通すべきである。チューブの周りの組織への損傷を避けるためにチューブの外側での伸長を制限することが得策であり得るが、チューブの外側でのいくらかの貫通が許容可能であっても良い。異なる方向にいくつかのスロットがあり得るので、洗浄プロセスは、印加された外部場の方向により少なく敏感とされることができる。
【0034】
図5に概略的に示されているような、洗浄エレメント上に載置された搭載振動発生器56を有することも可能である。洗浄プロセスの動作はすると、いかなる外部的影響も活性化する必要がなく寧ろ洗浄は自律的になされるので、より単純になることができる。搭載パワーサプライは、長寿命であっても良く、または外部パワーサプライによって充電されることが可能であっても良い。搭載振動発生器は、偏心またはステップ状回転エレメントによるような機械的トランスデューサー、磁気トランスデューザーまたは圧電トランスデューサー、またはあらゆるその他の形の振動発生器であることができる。内部バッテリーは、当該技術で既知の通り、外部から印加された誘導場によって必要な時に再充電されることができる。搭載バッテリーの使用の代替策として、振動トランスデューサーは、外部パワーコネクターへの導線が設けられることができ、振動トランスデューサーは、洗浄手順が起動されるべき時にコネクターへの外部パワーソースの接続により直接パワーが与えられても良い。
【0035】
使用では、開口部をもったチューブが、内側に洗浄器をもって、設置の前にシャントカテーテルの端部上に設置される。洗浄器エレメントとチューブの組み合わせが、その孔の開けられたセグメントの代りに標準のシャントチューブに取り付けられる。最終結果は、孔の開けられたセグメントがチューブと剛毛付き洗浄器によって置き換えられている以外は、形状とサイズにおいて元のシャントと同様に見える。代替策として、洗浄器は、元のシャントヘッドチューブ内に埋め込まれても良い。代替策として、洗浄器エレメントは、一旦シャントがあるべき場所にあると設置されることができる。開口部が内殖する組織からきれいであり続けることを確かなものとするために、予め決められた間隔で洗浄器は振動させられる。
【0036】
チューブの内側の洗浄エレメントの動きは、磁石の揃えと、(磁場駆動された応用の例を使って)外部ソースによって発生された磁場の振幅と周波数に依存する。発生された運動は、剛毛が全体的に2つのやり方:
(i)軸方向運動により、チューブスロットの内側を前向きおよび後向きに、
(ii)放射状または回転運動によりチューブスロットの内側および外側に、
または両方の組み合わせ、で動くことができるようになっていても良い。その動きによって、洗浄器は、スロットの内側の流体力学的フローパターンを変え、組織が開口部の近くおよび内側で成長することを不可能とし、生体組織がスロットの内側で成長することを防止する。加えて、剛毛自体が、洗浄セッションの間に開口部中に形成し始めるあらゆる組織を機械的に清掃することができる。
【0037】
ここで
図7を参照すると、それは装置が設置された時にその動作が安全性要因を追加するところの第2の円筒状のチューブ70を利用した、本装置の更なる実装を描く。第2のチューブ70は、第1のチューブ50の内側に同心円状にフィットし、外側チューブ中の開口部と本質的に同じ位置に一連の開口部74を有する。シャントの設置中に剛毛が周辺の組織中に突き刺さることを防止するために、2つの同心円状チューブが揃えられるように配置され、挿入中に開口部がお互いと反対ではないようにし、剛毛が外側チューブから突き出して周辺の組織に可能な損傷を引き起こすことが防がれるようになっている。一旦シャントのヘッドがその望ましい位置に設置されれば、内側および外側チューブの開口部が今度は揃えられ、剛毛がそれらの洗浄行為を行うように開口部中に通過することができるように、内側チューブが動かされることができる。この動きは、一旦最終位置が確定されれば、設置装置によって授けられた単純な機械的運動によって発生させられることができる。内側および外側チューブの相互運動は、最も都合良くは横方向で行われるが、回転運動も使われても良い。
図7の図面では、開口部は、設置後の正常な使用中の、それらの開いた揃えられた位置に示されているので、開口部をきれいに保つ際に剛毛が正しく動作することができる。
【0038】
本発明は、ここまでに特に示されて記載されたものによって限定はされないことが当業者によって認識される。寧ろ、本発明の範囲は、ここまでに記載された様々な特徴の組み合わせおよびサブ組み合わせの両方と、従来技術にはなく、上の記載を読んだ際に当業者に起こるであろうそれらへの変更及び変形を含む。