(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
<各台計数システム>
図1は、遊技施設内に設けられた各台計数システム1の全体構成を示すブロック図である。
図1を参照して、この発明に係る各台計数システム1は、遊技台(ここでは、パチンコ台とする。)2と、各台計数装置3と、島コントローラ4と、第1の上位装置としての管理装置(ターミナルコンピュータ、略してT/C)7と、第2の上位装置としてのホールコンピュータ(略してH/C)8とで構成されている。各台計数システム1には、精算機5と、景品管理機12と、景品払出機6とが含まれても構わない。
【0015】
遊技施設において、遊技台2は、所定の台数毎にまとめて配置されており、まとめて配置された遊技台2は、1つの島を構成している。ここでは、説明の便宜上、1001番台〜1003番台という3台(実際には、もっと多くの台数)の遊技台2が1つの島を構成していて、同様の島が、遊技施設内に幾つもあるものとする。
各台計数装置3は、ドットで塗り潰して示すように、各遊技台2に1対1で対応して設けられている。各台計数装置3は、遊技台2で遊技するための遊技媒体(ここでは、パチンコ玉とする。)を貸し出す機能や、遊技によって遊技台2から獲得された遊技媒体を計数する機能を有している。各台計数装置3は、対応する遊技台2とともに、前述した島を構成している。各台計数装置3は、対応する遊技台2と同じ台番号で区別される。
【0016】
各島の遊技台2および各台計数装置3は、各島に1台ずつ設けられた島コントローラ4に対して、バス9を介して接続されている。
各島コントローラ4、精算機5および景品管理機12は、バス10を介して管理装置7およびホールコンピュータ8のそれぞれに対して接続されている。景品払出機6は、景品管理機12に接続されている。ここで、ホールコンピュータ8は、遊技施設において最上位に位置する装置であって、各遊技台2における遊技媒体の出入りを主に管理するものである。一方で、管理装置7は、遊技施設全体における金銭についてのデータを主に管理するものであるが、各遊技台2で獲得された遊技媒体(後述する持玉)の管理も行う。管理装置7およびホールコンピュータ8は、遊技施設において、従業員用の事務所等に配置されている。
【0017】
ここで、各台計数装置3のそれぞれは、ケーブル11を介して、ホールコンピュータ8に対して直接接続されている。詳しくは、ホールコンピュータ8には、各台計数装置3のそれぞれについての専用の接続ポートが設けられていて、各ケーブル11が、対応する各台計数装置3と、この各台計数装置3についての専用の接続ポートとの間をつないでいる。なお、各台計数装置(「台間計数装置」ともいうことがある)3とホールコンピュータ8とを接続する方法として、複数台の各台計数装置3に対して1台の中継器を配置して、複数台の各台計数装置3からの配線を中継器で集約してからホールコンピュータ8に接続するようにしてもよい。
【0018】
遊技施設における遊技客の遊技に関する一連の流れをおおまかに説明すると、まず、遊技客は、遊技施設に入ってから、好みの遊技台2(ここでは、1001番の遊技台2とする。)の前に着く。そして、遊技客が対応する(ここでは、1001番の)各台計数装置3に現金や所定のプリペイドカード(以下、「カード」という。)を投入すると、この各台計数装置3に対応する1001番の遊技台2において、遊技客に対して所定数の遊技媒体が貸し出される。遊技客は、貸し出された遊技媒体(遊技媒体がパチンコ玉の場合には、「貸玉」といわれる。)を用いて、1001番の遊技台2で遊技をする。
【0019】
そして、遊技客が1001番の遊技台2での遊技によって遊技媒体を獲得すると、獲得された遊技媒体(遊技媒体がパチンコ玉の場合には、「出玉」といわれる。)は、所定のタイミングで、この遊技台2に対応する1001番の各台計数装置3に送られ、1001番の各台計数装置3によって出玉の計数が実施される。
各台計数装置3は、出玉を所定数(ここでは、1つ)計数する度に、ケーブル11を介して、ホールコンピュータ8へパルスを1つ出力する。なお、各台計数装置3は、設定に応じて、出玉を任意の所定数(10個や100個)計数する度に、ホールコンピュータ8へパルスを1つ出力してもよい。ホールコンピュータ8は、最終的に出力された全てのパルスのカウント結果から、各台計数装置3に対応する(1001番台の)遊技台2で獲得された遊技媒体(出玉)の計数データを生成し、管理する。
【0020】
ここで、各台計数装置3とホールコンピュータ8とで製造メーカーが異なる場合が多いので、各台計数装置3での計数に係るデータのホールコンピュータ8への送信に関し、各台計数装置3からホールコンピュータ8へパルスを出力するといった単純な構成を用いている。
一方、各台計数装置3は、出玉の計数を完了して遊技の終了が指示されると、出玉の計数データを、対応する遊技台2の識別情報(ここでは、台番号であり、1001番)に関連付けて、バス9、対応する島コントローラ4およびバス10を介して、管理装置7へ送信する。管理装置7は、送信された計数データを管理する。
【0021】
このように各台計数装置3による出玉の計数が完了し、遊技の終了が指示されると(その場合には、後述するカード返却ボタン80(
図2参照)が押される。)、プリペイド価値と獲得玉数とを特定可能な情報が記録されたカードが、各台計数装置3から排出される。プリペイド価値は、精算機5にて精算でき、獲得玉数は、遊技施設の景品カウンター(景品管理機12)において景品(通常景品や所定の金銭価値を有する特殊景品)に交換される。特殊景品は、景品払出機6から払い出される。
【0022】
以上が、遊技施設における遊技客の遊技に関する一連の流れである。
なお、ホールコンピュータ8は、前述したように各遊技台2における遊技媒体の出入りを管理する。その管理に関連して、遊技台2において遊技客に貸し出された遊技媒体(貸玉)についてのデータ、貸し出された遊技媒体のうち遊技台2に回収された遊技媒体についてデータ、遊技台2で発生した、いわゆる大当たりや確率変動についてのデータ等が、各遊技台2からホールコンピュータ8に送信される。
<各台計数装置>
各台計数装置3について説明する。
図2は、各台計数装置3と対応する遊技台2とのセットを正面から見た図である。
【0023】
図2を参照して、対応する遊技台2の左隣または右隣(ここでは、左隣)に、各台計数装置3が配置されている。各台計数装置3は、前述した島において左右に隣り合う遊技台2に挟まれた状態で配置されている。つまり、左右に隣り合う遊技台2の狭い隙間に各台計数装置3が配置されることから、各台計数装置3の本体20は、正面から見て縦に細長い板状である。
【0024】
本体20には、状態表示部21、紙幣挿入部22、リモコン受光部23、表示部24、操作部25、払出部26、カード出入部27および計数部28(計数手段)が、正面から見て、上からこの順番で設けられている。
状態表示部21は、たとえば、所定の色やパターンで発光することによって、各台計数装置3の運転状態を表示する。
【0025】
紙幣挿入部22は、遊技客の紙幣を受け付ける縦長のスリット状であり、本体20内につながっている。
リモコン受光部23は、従業員が携帯しているリモコン(図示せず)からの信号光を受光する。
表示部24は、たとえば小型画面であり、必要な情報を表示する。
【0026】
操作部25は、テンキーやボタンを含んでおり、操作部25を操作することで、各台計数装置3の運転を制御することができる。
払出部26は、遊技台2の上皿29の真上位置まで右側へ延びるノズル30を含んでおり、遊技媒体をノズル30の先端から上皿29に払い出すものである。
カード出入部27は、所定の情報が記録されたカードを受け入れたり、返却したりする縦長のスリット状であり、本体20内につながっている。
【0027】
計数部28は、前述した出玉を計数するためのものである。計数部28には、計数部28から遊技台2の下皿31の真下位置まで右側へ延びる管状の通路32と、通路32の右端部に接続されて下皿31に対して真下から臨むトレイ状の受入部33とが一体的に設けられている。受入部33には、受入部33内に遊技媒体があるか否かを検出するセンサ34が設けられている。
【0028】
前述したように出玉の計数機能を有する計数部28は、各台計数装置3の本体20の下端部に位置している。そして、本体20において払出部26および計数部28を除く部分は、前述した遊技媒体を貸し出す機能を有する部分であり、遊技媒体貸出部35という。
図3は、各台計数装置3の電気的構成を示すブロック図である。
図3を参照して、各台計数装置3には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部40(受付手段、移行手段およびデータ送信手段)が備えられている。
【0029】
制御部40は、前述した状態表示部21、リモコン受光部23、表示部24、操作部25、払出部26、計数部28およびセンサ34のそれぞれに対して電気的に接続されているとともに、紙幣識別部41、カードR/W(Read/Write)部42、インターフェース(以下では、「I/F」と省略する。)部43、パルス出力部44(パルス出力手段)、計時部45、メモリ部46およびI/F部47のそれぞれに対して電気的に接続されている。ここで、計時部45は、経過時間等を計測する。また、メモリ部46には、各台計数装置3の運転条件等の必要な情報が記憶される。
【0030】
I/F部43と島コントローラ4(管理装置7)とは、前述したバス9(10)によって接続されており、パルス出力部44とホールコンピュータ8とは、前述したケーブル11によって接続されている。I/F部47と遊技台2(各台計数装置3に対応する遊技台2)とは、バス48によって接続されている。
ここで、遊技客の遊技に関する前述した一連の流れにおいて遊技客が紙幣で遊技媒体を借りる場合、紙幣は、紙幣挿入部22(
図2参照)に挿入された後、紙幣識別部41において、この紙幣についての真偽や金種が識別される。そして、識別された紙幣が偽紙幣でなく、所定の金種の紙幣であれば、所定金額のプリペイド価値が記憶される。さらに、遊技台2の上皿29に設けられた投出ボタン81(
図2参照)が押されることによって、制御部40より、遊技媒体の貸出指示が、バス48を介して遊技台2に送信され、遊技台2に設けられた投出部49(
図2参照)から遊技媒体が上皿29(
図2参照)に投出される。このとき、前述したプリペイド価値は、所定量ずつ減算される。
【0031】
一方、遊技客が前述したカードで遊技媒体を借りる場合、カードは、カード出入部27(
図2参照)に挿入された後、カードに記録された情報が、カードR/W部42によって読み取られ、読み取られた情報によって特定されるプリペイド価値が記憶される。さらに、投出ボタン81(
図2参照)が押されることによって、投出部49(
図2参照)や払出部26のノズル30(
図2参照)から遊技媒体が上皿29に投出される。
【0032】
各台計数装置3における遊技媒体の計数処理については、以降で詳説する。
<管理装置>
管理装置7について説明する。
図4は、管理装置7の電気的構成を示すブロック図である。
図4を参照して、管理装置7には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部60(送信手段)が備えられている。
【0033】
制御部60は、I/F部61、メモリ部62およびI/F部63のそれぞれに対して電気的に接続されている。
I/F部61と島コントローラ4(各台計数装置3)とは、前述したバス10(9)によって接続されており、I/F部63とホールコンピュータ8とは、バス10によって接続されている。
<ホールコンピュータ>
ホールコンピュータ8について説明する。
図5は、ホールコンピュータ8の電気的構成を示すブロック図である。
【0034】
図5を参照して、ホールコンピュータ8には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部70(生成手段および修正手段)が備えられている。
制御部70は、パルスカウント部71(カウント手段)を備え、I/F部72、パルス入力部73およびメモリ部74のそれぞれに対して電気的に接続されている。ここで、パルス入力部73は、前述した接続ポートをなしており、所定の台番号の各台計数装置3に個別に対応するために、各台計数装置3の数に応じて複数設けられている。
【0035】
I/F部72と管理装置7(詳しくは、管理装置7のI/F部63であり、
図4参照)とは、前述したバス10によって接続されており、パルス入力部73と各台計数装置3(詳しくは、対応する各台計数装置3のパルス出力部44であり、
図3参照)とは、前述したケーブル11によって接続されている。
<遊技媒体の計数処理>
次に、遊技台2で獲得された遊技媒体の計数処理について説明する。
【0036】
ここで、
図1を参照して、前述した1002番の遊技台2に対応する1002番の各台計数装置3に着目して説明する。
また、各台計数装置3は、通常計数モードと、代替計数モードという2つの計数モードにおいて遊技媒体の計数を実施できる。通常計数モードとは、対応する遊技台2(1002番の各台計数装置3の場合には、1002番の遊技台2)で獲得された遊技媒体を計数するモードである。代替計数モードとは、対応する遊技台2とは別の遊技台2(1002番の各台計数装置3の場合には、1002番以外の遊技台2)で獲得された遊技媒体を計数するモードである。
【0037】
各台計数装置3では、普段は、通常計数モードで計数が実施されるが、別の遊技台2に対応する他の各台計数装置3が故障等で計数不能となった場合に、計数モードが代替計数モードに移行され、当該他の各台計数装置3に代わって、別の遊技台2で獲得された遊技媒体を代替計数モードで計数する。
ここで、各台計数装置3に設けられた操作部25(
図2参照)が操作されることによって、制御部40が、通常計数モードから代替計数モードへの移行命令を受け付けてもよい。この場合、操作部25には、代替計数を行う場合に操作される専用のボタン(代替計数ボタンという。)が設けられていて、代替計数ボタンが押されることによって、制御部40が移行命令を受け付ける。
【0038】
または、前述したリモコン(図示せず)を従業員が操作することで、移行命令がリモコン(図示せず)から各台計数装置3に送信され、各台計数装置3において、制御部40が、リモコン受光部23(
図3参照)にて、この移行命令を受け付けてもよい。
または、この移行命令は、管理装置7からバス10および9を介して各台計数装置3に送信され、各台計数装置3では、制御部40(
図3参照)が、I/F部43(
図3参照)にて、この移行命令を受け付けてもよい。
【0039】
以下では、遊技台2で獲得された遊技媒体の計数処理を、各台計数装置3において実施される処理(第1処理)と、管理装置7において実施される処理(第2処理)と、ホールコンピュータ8において実施される処理(第3処理)とに分け、これらの第1〜第3処理について、この順番で個別に説明する。また、説明に際し、後述する
図6〜
図8のフローチャートだけでなく、
図9および
図10の説明図も併せて参照する。
(1)各台計数装置において実施される処理(第1処理)
図6は、各台計数装置3において実施される処理の手順を示すフローチャートである。
【0040】
図6を参照して、前述した代替計数モードへの移行命令がなければ(ステップS1でNO)、1002番の各台計数装置3の制御部40(
図3参照)は、受入部33(
図2参照)内に遊技媒体があるか否かをセンサ34(
図3参照)が検出したか否か(遊技台2で獲得された遊技媒体が受入部33に受け入れられたか否か)を確認する(ステップS2)。
ここで、遊技台2で獲得された遊技媒体は、遊技台2の下皿31(
図2参照)に溜まっており、遊技台2に設けられたレバー等(図示せず)を操作すると、下皿31の底が開放されて、下皿31の(獲得)遊技媒体が、落下して、受入部33に受け入れられる。
【0041】
受入部33に遊技媒体が受け入れられている場合には(ステップS2でYES)、制御部40(1002番の各台計数装置3の制御部40であり、以下同じ。)は、通常計数モードによる計数(通常計数)を実施する(ステップS3)。つまり、受入部33に受け入れられた遊技媒体は、1002番の各台計数装置3に対応する1002番の遊技台2で獲得された遊技媒体であり、1002番の各台計数装置3の計数部28(
図3参照)が、1002番の遊技台2で獲得されて受入部33に受け入れられた遊技媒体を計数する。ここでは、全部で3000個の遊技媒体を計数するものとする(
図9の(1)も参照)。
【0042】
また、ステップS3において、制御部40は、計数部28によって遊技媒体が所定数(ここでは、1つ)計数される度に、パルス出力部44(
図3参照)に対して、リアルタイムで、ホールコンピュータ8へパルスを1つ出力させる(
図9の(2)も参照)。
ここで、制御部40は、受入部33(
図2参照)に受け入れられて未だ計数されていない遊技媒体があるか否かを監視している(ステップS4)。具体的には、制御部40は、受入部33に遊技媒体が受け入れられていないことをセンサ34(
図3参照)が検出してから所定時間が経過したか否かを監視している。受入部33に遊技媒体がないものの、前述した通路32(
図2参照)に遊技媒体があっても、この所定時間が経過すると、通路32にある遊技媒体も全て計数部28によって計数され、通路32および受入部33のいずれにおいて、未計数の遊技媒体はなくなる。
【0043】
そして、未計数の遊技媒体がない場合であって(ステップS4でNO)、前述した遊技の終了指示があった場合(前述したカード返却ボタン80(
図2参照)が押された場合)には(ステップS5でYES)、制御部40は、通常計数を終了する(ステップS6)。このとき、計数部28(
図3参照)による計数データは、3000個となる。
また、通常計数の終了時には、制御部40は、得られた計数データを、通常計数モードでの計数データとして、対応する遊技台2の識別情報(ここでは、1002番という遊技台2の台番号)に関連付けて、I/F部43(
図3参照)から管理装置7へ送信する(
図9の(3)も参照)。
【0044】
また、遊技客が前述したカードで遊技媒体を借りている場合には、カードR/W部42(
図3参照)によって、計数データそのもの、または計数データに関連する情報がカードに記録された後に、このカードが、カード出入部27(
図2参照)から遊技客に返却されてもよい。ここで、遊技台2において、たとえば上皿29には、カード返却ボタン80が設けられており(
図2参照)、カード返却ボタン80を押すことで、カードが、カード出入部27から遊技客に返却される。このカードを、別の遊技台2に対応する各台計数装置3のカード出入部27に挿入すれば、先程計数を終えた獲得遊技媒体(パチンコ玉の場合には、「持玉」と呼ばれる。)を用いて別の遊技台2で遊技をすることができる。紙幣で遊技を開始した遊技客の場合には、各台計数装置3内に予めストックされたカードが排出される。
【0045】
一方、たとえば、1001番の各台計数装置3が故障して(
図10の(1)を参照)、1001番の遊技台2で獲得された遊技媒体を1002番の各台計数装置3で計数する場合には(
図10の(2)を参照)、1002番の各台計数装置3に対して、前述したように代替計数モードへの移行命令が下る。なお、1001番の遊技台2で獲得された遊技媒体を1002番の各台計数装置3で計数するためには、当然の前提として、1002番の各台計数装置3および1002番の遊技台2が空いていることが必要である。
【0046】
そして、代替計数モードへの移行命令が下った場合には(ステップS1でYES)、制御部40は、別の遊技台2の識別情報の入力があるか否かを確認する(ステップS7)。ここでは、別の遊技台2の識別情報を、1001番という別の遊技台2の台番号とする。
別の遊技台2の識別情報に関し、代替計数モードへの移行命令の場合と同様に、各台計数装置3の操作部25(詳しくは、前述したテンキーであり、
図2参照)が操作されることによって、制御部40が識別情報を受け付けてもよく、または、前述したリモコン(図示せず)から送信されて制御部40がリモコン受光部23(
図3参照)にて識別情報を受け付けてもよい。さらには、管理装置7から送信されて各台計数装置3の制御部40がI/F部43(
図3参照)にて識別情報を受け付けてもよい。
【0047】
そして、通常計数モードから代替計数モードへの移行命令と、別の遊技台2の識別情報(1001番)というこれらの所定の指示を制御部40が受け付けると(ステップS7でYES)、1002番の各台計数装置3では、制御部40が、計数モードを、通常計数モードから、1001番の遊技台2で獲得された遊技媒体を1001番の各台計数装置3の代わりに計数するという代替計数モードに移行させる(
図10の(3)も参照)。
【0048】
代替計数モードに移行されてから、受入部33(
図2参照)に遊技媒体が受け入れられた場合には(ステップS8でYES)、制御部40は、代替計数モードによる計数(代替計数)を実施する(ステップS9)。つまり、受入部33に受け入れられた遊技媒体は、1001番の遊技台2で獲得された遊技媒体であり、1002番の各台計数装置3の計数部28(
図3参照)が、1001番の遊技台2で獲得された遊技媒体を、1001番の各台計数装置3の代わりに計数する(
図10の(4)も参照)。ここでは、3000個の遊技媒体を計数するものとする。また、1001番の遊技台2で獲得された遊技媒体は、従業員によって人力で搬送され、1002番の各台計数装置3の受入部33に流し込まれる。
【0049】
また、ステップS9において、制御部40は、計数部28(
図3参照)によって遊技媒体が所定数(ここでは、1つ)計数される度に、パルス出力部44(
図3参照)に対して、リアルタイムで、ホールコンピュータ8へパルスを1つ出力させる(
図10の(5)も参照)。
そして、未計数の遊技媒体がない場合であって(ステップS10でNO)、前述した遊技の終了指示があった場合には(ステップ11でYES)、制御部40は、代替計数を終了する(ステップS12)。このとき、計数部28(
図3参照)による計数データは、3000個となる。
【0050】
また、代替計数の終了時には、制御部40は、得られた計数データを、代替計数モードでの計数データとして、1002番の各台計数装置3が元々対応していなかった別の遊技台2の識別情報(ここでは、1001番という別の遊技台2の台番号)に関連付けて、I/F部43(
図3参照)から管理装置7へ送信する(
図10の(6)も参照)。
また、代替計数の場合は、その遊技台2(ここでは、1002番の遊技台2)では遊技していない遊技客の獲得遊技媒体を計数することになるので、代替計数を行う(ここでは、1002番の)各台計数装置3は、装置内に予めストックされたカードに、代替計数での計数データを特定可能な情報を記録して、このカードを排出する。ここで、故障した(ここでは、1001番の)各台計数装置3で使用していたカードがあれば、そのカードを故障した各台計数装置3から返却してもらい、代替計数を行う各台計数装置3で使用してもよい。この場合、(故障した各台計数装置3で使用していた)このカードに、前述した情報が記録された後に、代替計数を行った各台計数装置3からこのカードが返却される。
【0051】
なお、ステップS7において所定時間経過しても別の遊技台2の識別情報の入力がない場合や、ステップS8において所定時間経過しても受入部33(
図2参照)に遊技媒体が受け入れられない場合には、代替計数モードへの移行はキャンセルされ、計数モードは、通常計数モードに戻る。
以上のように、各台計数装置3では、制御部40が、前述した所定の指示を受け付けたのに応じて、計数モードを、通常計数モードから、対応する遊技台2とは別の遊技台2で獲得された遊技媒体を計数する代替計数モードに移行させ、代替計数モードでの計数(代替計数)が行われる。
【0052】
つまり、この各台計数装置3は、代替計数を行う場合には、代替計数を行うことを認識して、専用の代替計数モードで遊技媒体の計数を行う。そのため、この計数によって得られた計数データは、代替計数モードによるものとして区別されるので、計数データの管理に不整合が生じることを防止できる。
ここで、制御部40が受け付ける所定の指示には、通常計数モードから代替計数モードへの移行命令と、別の遊技台2の識別情報(台番号)とが含まれる。
【0053】
そのため、所定の指示を受け付けた各台計数装置3では、代替計数によって得られた計数データが、代替計数モードによるものとして区別されるうえに、別の遊技台2の識別情報に関連付けて区別されるので、計数データの管理に不整合が生じることを確実に防止できる。
なお、この実施形態では、代替計数モードへの移行命令と別の遊技台2の識別情報との両方を制御部40が受け付けた場合に(ステップS7でYES)、計数モードを代替計数モードに移行させているが、代替計数モードへの移行命令を制御部40が受け付けた場合に(ステップS1でYES)、直ちに、計数モードを代替計数モードに移行させてもよい。この場合、代替計数を終了して計数データを管理装置7へ送信するまでに(ステップS12)、制御部40が別の遊技台2の識別情報を受け付ければよい。
(2)管理装置において実施される処理(第2処理)
図7は、管理装置7において実施される処理の手順を示すフローチャートである。
【0054】
図7を参照して、管理装置7の制御部60(
図4参照)は、各台計数装置3(ここでは、1002番の各台計数装置3)からの前述した計数データをI/F部61(
図4参照)で受信したか否かを監視している(ステップS21)。
計数データを受信すると(ステップS21でYES)、制御部60は、この計数データが通常計数モードによるものか、または、代替計数モードによるものかを確認する(ステップS22)。詳しくは、制御部60は、受信した計数データに関連付けられた遊技台2の識別情報(台番号)が、1002番の各台計数装置3に元々対応する1002番であるか否かを確認する。
【0055】
計数データが通常計数モードによるものである場合には、制御部60は、受信した計数データ(1002番の遊技台2で獲得された遊技媒体の獲得数が3000個であるという内容のデータ)を、メモリ部62(
図4参照)で記憶する(ステップS23、
図9の(4)も参照)。
一方、計数データが代替計数モードによるものである場合には、制御部60は、受信した計数データ(1001番の遊技台2で獲得された遊技媒体の獲得数が3000個であるという内容のデータ)と、修正指示とを、I/F部63(
図4参照)から、バス10(
図4参照)を介してホールコンピュータ8に送信する(ステップS24)。修正指示については、以降で詳説する。
【0056】
その後、制御部60は、受信した計数データを、メモリ部62で記憶する(ステップS25)。
ここで、前述したように、各台計数装置3では、制御部40(
図3参照)が、代替計数モードにおける計数部28(
図3参照)による遊技媒体の計数データを、別の(各台計数装置3が元々対応していない)遊技台2の識別情報に関連付けて、管理装置7へ送信する。
【0057】
そのため、管理装置7では、代替計数モードでの計数データを、別の遊技台2で獲得された遊技媒体の計数データとして、別の遊技台2の識別情報に関連付けて正しく管理できるので、計数データの管理に不整合が生じることを防止できる。
(3)ホールコンピュータにおいて実施される処理(第3処理)
図8は、ホールコンピュータ8において実施される処理の手順を示すフローチャートである。
【0058】
図8を参照して、ホールコンピュータ8の制御部70(
図5参照)は、各台計数装置3(ここでは、1002番の各台計数装置3)のパルス出力部44(
図3参照)から出力されたパルスがパルス入力部73(
図5参照)から入力されたか否かを監視している(ステップS31)。
パルスが入力されると(ステップS31でYES)、パルスカウント部71(
図5参照)が、パルスが入力される度に、パルスをカウントして、そのカウント値をインクリメント(+1)する(ステップS32)。
【0059】
そして、たとえば最後にパルスが入力された時から所定時間経過しても新しいパルスが入力されない場合、換言すれば、パルス入力が終了した場合には(ステップS33でYES)、制御部70は、ステップS34の処理を行う。
ステップS34では、制御部70は、パルスカウント部71によるカウント結果(ここでは、3000個の遊技媒体に応じた3000カウント)に、パルスを出力した各台計数装置3(ここでは、1002番の各台計数装置3)に対応する遊技台2の識別情報(ここでは、1002番の台番号)を関連付けて計数データを生成するとともに、この計数データをメモリ部74(
図5参照)で記憶する(ステップS34)。なお、ここでは、各台計数装置3が遊技媒体を1つ計数する度にパルスを1つ出力する構成としているので、パルスのカウント結果に、パルスを出力した各台計数装置3に対応する遊技台2の識別情報を関連付けたものが、そのまま計数データとなる。これに対し、たとえば、遊技媒体を10個(1以上の所定数)計数する度にパルスを1つ出力する構成であれば、カウント結果に前記所定数を乗じた値に、パルスを出力した各台計数装置3に対応する遊技台2の識別情報を関連付けたものが、ホールコンピュータ8で生成される計数データとなる。
【0060】
このように、ホールコンピュータ8は、各台計数装置3の計数モードが通常計数モードであろうと代替計数モードであろうと、入力されたパルスに基づいて生成した計数データを、パルスを出力した各台計数装置3に対応する遊技台2で獲得された遊技媒体の計数データであるとして、管理する。
そのため、通常計数モードの場合には、ホールコンピュータ8で生成された計数データは、整合性の取れたデータである。たとえば、ホールコンピュータ8は、1002番の遊技台2で獲得された遊技媒体を計数する1002番の各台計数装置3から出力されたパルスに基づいて生成された計数データを、1002番の遊技台2で獲得された遊技媒体の計数データであるとして、正しく認識する(
図9の(5)参照)。
【0061】
しかし、代替計数モードの場合には、ホールコンピュータ8で生成された計数データは、整合性の取れないデータとなる。たとえば、ホールコンピュータ8は、1001番の遊技台2で獲得された遊技媒体を代替計数する1002番の各台計数装置3から出力されたパルスに基づいて生成された計数データを、1002番の各台計数装置3が元々対応する1002番の遊技台2で獲得された遊技媒体の計数データであるとして、間違って認識してしまう。
【0062】
そこで、前述したように生成された計数データが記憶された後、制御部70は、管理装置7が各台計数装置3から受信した計数データと前述した修正指示とを管理装置7からI/F部72(
図5参照)にて受信したか否かを確認する(ステップS35)。なお、ステップS31でパルスが入力されない場合でも(ステップS31でNO)、該当する計数データが以前に生成されて記憶されていることがあり、この場合、制御部70は、ステップS35の処理を行う。
【0063】
ここで、管理装置7が受信した計数データ(厳密には、管理装置7の受信後に管理装置7によってホールコンピュータ8へ送信された計数データ)と修正指示とを管理装置7から受信するということは、代替計数モードでの計数が行われた場合である。そして、この修正指示とは、代替計数モードでの計数に基づいてホールコンピュータ8で生成された整合性の取れない計数データを、管理装置7が受信した(整合性の取れた)計数データに合うように修正せよ、との内容の指示である。
【0064】
そのため、制御部70は、管理装置7が受信した計数データと修正指示とを管理装置7から受信した場合には(ステップS35でYES、
図10の(7)も参照)、対応する生成済みの計数データを、検索し、管理装置7が受信した計数データおよび修正指示に応じて修正する(ステップS36)。具体的には、制御部70は、生成した計数データにおいて関連付けられた遊技台2の識別情報(ここでは、1002番という台番号)を、管理装置7が受信した計数データにおいて関連付けられた遊技台2の識別情報(ここでは、1001番という台番号)に変更する(
図10の(8)も参照)。
【0065】
これにより、制御部70が生成した計数データは、1001番の遊技台2で獲得された遊技媒体の代替計数データとして修正される。
なお、前述した対応する生成済みの計数データの検索に際し、管理装置7から受信した修正指示には、代替計数を行った各台計数装置3(ここでは、1002番の各台計数装置3)が元々対応している遊技台2の識別情報(台番号であり、この場合には、1002番)が含まれているとよい。この識別情報(1002番)と、管理装置7から受信した計数データ(前述した3000個)とに基づいて、制御部70は、対応する生成済みの計数データを円滑に検索できる。
【0066】
以上のように、ホールコンピュータ8において生成されるとともに間違って認識されていた計数データが、管理装置7が各台計数装置3から受信した正しい計数データに修正される。そのため、各台計数システム1(
図1参照)では、管理装置7およびホールコンピュータ8のいずれにおいても、計数データの管理に不整合が生じることを防止できる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0067】
たとえば、前述した実施形態では、
図2を参照して、各台計数装置3が、遊技媒体を貸し出す機能と、遊技によって遊技台2から獲得された遊技媒体を計数する機能との両方を有している。ここで、遊技媒体を貸し出す構成(前述した遊技媒体貸出部35)を有する装置(遊技媒体貸出装置という。)が、各遊技台2の隣に既に設けられていて、この遊技媒体貸出装置の隣に、遊技媒体を計数する構成(前述した計数部28)を有する各台計数装置を配置することがある。この場合には、隣り合う遊技台2の間に、遊技媒体貸出装置と各台計数装置とが1台ずつ配置されている。このような構成(ダブルサンドタイプと呼ばれる。)の各台計数システム1においても、本発明は適用可能である。
【0068】
また、前述した実施形態(各台計数装置3の本体20の下部の計数部28で遊技媒体を計数する構成)や、前述したダブルサンドタイプ以外に、遊技施設において遊技台2が上から据え付けられるテーブル(「膳板」と呼ばれる。)を貫通するように(つまり、遊技台2の下方に)計数部28を設けて遊技台2の下皿31から計数部28に遊技媒体を送り込んで計数する構成の各台計数システム1においても、本発明は適用可能である。この場合、計数部28は、各台計数装置3(厳密には、各台計数装置3において計数部28以外の部分であり、上述した遊技媒体貸出部35)に接続される。