特許第5821313号(P5821313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5821313絶縁膜形成用印刷インキ組成物、該絶縁膜形成用印刷インキ組成物から形成された絶縁膜。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821313
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】絶縁膜形成用印刷インキ組成物、該絶縁膜形成用印刷インキ組成物から形成された絶縁膜。
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/102 20140101AFI20151104BHJP
   H01L 21/312 20060101ALI20151104BHJP
   H01L 21/283 20060101ALI20151104BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20151104BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20151104BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20151104BHJP
【FI】
   C09D11/102
   H01L21/312 C
   H01L21/283 C
   H01L21/90 Q
   H01L29/78 617T
   H01L29/78 617V
   H01L29/78 619A
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-136006(P2011-136006)
(22)【出願日】2011年6月20日
(65)【公開番号】特開2013-1859(P2013-1859A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川本 一成
(72)【発明者】
【氏名】後藤 一起
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健典
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−273712(JP,A)
【文献】 特開2010−147206(JP,A)
【文献】 特開2010−265423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/102
H01L 21/283
H01L 21/312
H01L 21/336
H01L 21/768
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも不揮発性成分と溶剤を含有する絶縁膜形成用印刷インキ組成物であって、反転オフセット印刷、剥離オフセット印刷、マイクロコンタクト印刷のいずれかに用いられ、ポリシロキサンが不揮発性成分の75重量%以上であり、さらに金属キレート化合物または金属アルコキシド化合物を含むことを特徴とする絶縁膜形成用印刷インキ組成物。
【請求項2】
前記溶剤が、遅乾性溶剤と速乾性溶剤の組み合わせである請求項1に記載の絶縁膜形成用印刷インキ組成物。
【請求項3】
さらに表面調整剤を含む請求項1または2に記載の絶縁膜形成用印刷インキ組成物。
【請求項4】
前記表面調整剤がフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、極性基変性シリコーンから選ばれる1種以上を含む請求項3に記載の印刷インキ組成物。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の絶縁膜形成用印刷インキ組成物を用いて、形成されることを特徴とする絶縁膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁膜形成用印刷インキ組成物および該絶縁膜形成用印刷インキ組成物から形成された絶縁膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器をより低コストかつ簡便に製造する技術として、パターン加工を印刷により行うプリンタブルエレクトロニクス技術が注目されている。印刷法では直接パターンを形成できるため、フォトリソ法に比べて工程が少なくできる。また、現像廃液などの問題もなくなり環境にやさしい。さらにプラスチック基板に対する印刷も容易であるため、電子機器のフレキシブル化にとって有効な方法である。
【0003】
プリンタブルエレクトロニクス用の印刷法には、従来の印刷法に比べ高精細、高精度、高い表面平滑性などの特徴が必要とされている。このような印刷法として、反転オフセット印刷法(例えば特許文献1)、剥離オフセット印刷法(例えば特許文献2)、およびマイクロコンタクトプリント法(例えば特許文献3、非特許文献1)が提案されている。
【0004】
電子機器にとって重要な部材の一つに絶縁材があり、例えば薄膜トランジスタ(TFT)のゲート絶縁膜、TFT基板用平坦化膜、または半導体素子の層間絶縁膜などが挙げられる。これらの製造法として高精細かつ表面平滑なパターンを直接形成できる高精細印刷法が望まれており、例えば凸版反転オフセット印刷法を利用した絶縁膜形成用インキ組成物が報告されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−58921号公報
【特許文献2】特開2004−249696号公報
【特許文献3】特開2010−147408号公報
【特許文献4】特開2010−265423号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ラングミュア(Langmuir)(米国)、1994年、第10巻、第5号、1498−1511頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4の絶縁膜形成用インキ組成物はポリビニルフェノール系樹脂を含有するものであり、移動度やオンオフ比等のTFT特性が不十分である。
【0008】
本発明の目的は良好な絶縁特性を有する絶縁膜の形成に使用される高精細印刷インキ組成物および該インキ組成物から形成された絶縁膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも不揮発性成分と溶剤を含有する絶縁膜形成用印刷インキ組成物であって、反転オフセット印刷、剥離オフセット印刷、マイクロコンタクト印刷のいずれかに用いられ、ポリシロキサンが不揮発性成分の75重量%以上であり、さらに金属キレート化合物または金属アルコキシド化合物を含むことを特徴とする絶縁膜形成用印刷インキ組成物である。また本発明は該絶縁膜形成用印刷インキ組成物を用いて、印刷法により形成される絶縁膜である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の絶縁膜形成用印刷インキ組成物を使用することで、耐薬品性にすぐれ、低ヒステリシスなどの優れた絶縁特性を有する絶縁膜を簡便かつ低コストで製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の印刷方法の一例である反転オフセット印刷法を示す概略図である。
図2】本発明の印刷方法の別の一例である剥離オフセット印刷法を示す概略図である。
図3】本発明の印刷方法のさらに別の一例であるマイクロコンタクト印刷法を示す概略図である。
図4】本発明の絶縁膜をゲート絶縁膜に備えたTFTを示した模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず本発明の印刷方法について説明する。図1は本発明の印刷方法の一例である反転オフセット印刷法の概略図である。(a)ブランケット胴1に巻き付けたシリコーンブランケット2上にインキコーター3を用いてインキ4を塗布する。(b)シリコーンブランケット2に除去凸版5を押し当てて、非画線部インキ4”を除去する。(c)シリコーンブランケット2上に残った画線部インキ4’を被印刷物6に転写し、印刷パターン7を形成する。
【0013】
図2は本発明の別の一例である剥離オフセット印刷の概略図である。(a)支持体8上に少なくとも親インキ層9とインキ剥離層10をこの順に有する印刷版原版をパターン加工することにより、インキ剥離性部位と親インキ性部位を形成した印刷版を得る。(b)印刷版の全面にブレードコーター11を用いてインキ4を塗布する。(c)転写胴1に巻き付けたシリコーンブランケット2を印刷版に押し当ててインキ剥離性部位上のインキ(画線部インキ4’)を選択的に転写する。ここで、インキ剥離性部位上のインキ(画線部インキ4’)を選択的に転写するとは、非画線部インキ4”を実質的に転写せず、実質的にインキ剥離性部位上のインキ(画線部インキ4’)のみを転写することを意味する。(d)シリコーンブランケット2上に転写されたインキ(画線部インキ4’)を被印刷物6に再転写し、印刷パターン7を形成する。
【0014】
図3は本発明のさらに別の一例であるマイクロコンタクト印刷法の概略図である。(a)ポリジメチルシロキサン(PDMS)凸版12をインキスタンプ台13に押し当てる。(b)〜(c)凸部に画線部インキ4’をのせたPDMS凸版12を被印刷物6に押し当てる。(d)PDMS凸版12を取り外して印刷パターン7を形成する。
【0015】
次に本発明の絶縁膜形成用印刷インキ組成物について説明する。本発明の印刷インキ組成物は、絶縁膜形成用であり、反転オフセット印刷、剥離オフセット印刷、マイクロコンタクト印刷のいずれかに用いられる。
【0016】
本発明の印刷インキ組成物は、少なくとも不揮発性成分と溶剤を含有する。
【0017】
不揮発性成分とは、印刷物を200℃以上の温度で1時間加熱処理した後に、蒸発、分解することなく残存する成分であり、インキ中の成分がそのまま残存していてもよく、加熱処理時に反応したものが残存してもよい。本発明の印刷インキ組成物はポリシロキサンが不揮発性成分の75重量%以上であることを特徴とする。
【0018】
ここでポリシロキサンとは主骨格がシロキサン結合により形成され、かつ加熱処理後の残存物が絶縁体として機能する絶縁性ポリマーのことを指す。硬化剤や架橋剤と反応させて架橋硬化物の形態で使用してもよい。
【0019】
本発明のポリシロキサンの一例として、一般式(1)で表されるシラン化合物を重縮合して得られる化合物が挙げられる。
Si(OR4−m (1)
ここで、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。Rはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。mは1〜3の整数を示す。
【0020】
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有している場合の追加の置換基には特に制限はなく、例えば、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基等を挙げることができ、これらはさらに置換基を有していてもよい。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、1以上20以下が好ましい。
【0021】
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有する場合、置換基には特に制限はなく、例えば、アルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基等を挙げることができ、これら置換基はさらに置換基を有していてもよい。これら置換基に関する説明は、以下の記載にも共通する。シクロアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、3以上20以下の範囲が好ましい。
【0022】
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0023】
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、6〜40の範囲が好ましい。
【0024】
ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、キノリニル基など、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、2〜30の範囲が好ましい。
【0025】
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0026】
上記で置換基として挙げたアルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など、エーテル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、1以上20以下の範囲が好ましい。
【0027】
上記で置換基として挙げたアミノ基とは、窒素原子がπ結合に関与せず、かつ窒素原子がアルキル基、シクロルキル基、アリール基から選ばれる官能基が0〜2個結合している官能基を示し、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ピペリジル基などが挙げられる。ここで窒素原子に結合しているアルキル基、シクロルキル基、アリール基から選ばれる官能基は置換基を有していても有していなくてもよい。窒素原子に結合しているアルキル基、シクロルキル基、アリール基から選ばれる官能基の炭素数は、特に限定されないが、1以上20以下の範囲が好ましい。
【0028】
本発明のポリシロキサンに一般式(1)で表されるシラン化合物を導入することにより、可視光領域において高い透明性を保ちつつ、絶縁性、耐薬品性を高めることができる。またゲート絶縁膜形成用として利用する場合、ヒステリシスの原因となる絶縁膜内のトラップが少ないゲート絶縁膜を形成できる。
【0029】
さらに、一般式(1)におけるm個のRの少なくとも1つがアリール基またはヘテロアリール基であると、絶縁膜の柔軟性が向上し、クラック発生が防止できるため好ましい。
【0030】
本発明に用いられる一般式(1)で表されるシラン化合物としては、具体的に、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α−ナフチルトリメトキシシラン、β−ナフチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリエトキシシラン、トリフルオロエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリイソプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロエチルメチルジメトキシシラン、トリフルオロエチルメチルジエトキシシラン、トリフルオロエチルメチルジイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジイソプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジイソプロポキシシラン、トリフルオロエチルエチルジメトキシシラン、トリフルオロエチルエチルジエトキシシラン、トリフルオロエチルエチルジイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジメトキシシラン、トリルオロプロピルエチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルエチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルエチルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルエチルジイソプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルエチルジエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルエチルジメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルエチルジイソプロポキシシラン、p−トリフルオロフェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0031】
上記シラン化合物のうち、架橋密度を上げ、耐薬品性と絶縁特性を向上させるために、m=1であるビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α−ナフチルトリメトキシシラン、β−ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、p−トリフルオロフェニルトリエトキシシランを用いることが好ましい。また、量産性の観点から、Rがメチル基であるビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α−ナフチルトリメトキシシラン、β−ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシランを用いることが特に好ましい。
【0032】
本発明のポリシロキサンは、一般式(1)で表されるシラン化合物を2種以上組み合わせることが好ましい例として挙げられる。中でも、アルキル基を有するシラン化合物とアリール基またはヘテロアリール基を有するシラン化合物を組み合わせることにより、高い絶縁性とクラック防止のための柔軟性を両立できるため、特に好ましい。
【0033】
また本発明のポリシロキサンのより好ましい一例として、一般式(1)で表されるシラン化合物と一般式(2)で表されるエポキシ含有シラン化合物を共重合成分とするポリシロキサンが挙げられる。
Si(OR4−n−l(2)
ここで、Rは1つ以上のエポキシ基を鎖の一部に有するアルキル基またはシクロアルキル基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。Rはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。lは0〜2の整数、nは1または2を示す。ただし、l+n≦3である。
【0034】
のエポキシ基を鎖の一部に有するアルキル基またはシクロアルキル基とは、隣り合う2つの炭素原子が1つの酸素原子と結合して形成される3員環エーテル構造を鎖の一部に有するアルキル基またはシクロアルキル基を示す。
【0035】
その他のR〜Rの説明は、上記RおよびRの説明と同様である。
【0036】
本発明に用いられるポリシロキサンが一般式(2)で表されるエポキシ基含有シラン化合物を有することにより、絶縁膜上へのレジストや半導体塗液の塗布性を良好にすることができ、またゲート絶縁膜形成用として利用する場合、ヒステリシスが小さい優れたTFTが得られる。
【0037】
本発明に用いられる一般式(2)で表されるエポキシ基含有シラン化合物としては、具体的に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0038】
これらのうち、架橋密度を上げ、耐薬品性と絶縁特性を向上させるために、n=1、l=0であるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシランを用いることが好ましい。また、量産性の観点から、Rがメチル基であるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシランを用いることが特に好ましい。
【0039】
ここで一般式(2)で表されるエポキシ基含有シラン化合物に由来する構成単位の含有量は、ポリシロキサンの共重合成分であるシラン化合物の全構成単位に対して0.1モル%〜40モル%であることが好ましい。0.1モル%以上であれば、絶縁膜上の塗液のはじきを抑制した良好な塗布性を得ることができ、1モル%以上がより好ましい。一方、40モル%以下であれば、ヒステリシスの小さい優れたTFT特性を得ることができ、35モル%以下がより好ましい。
【0040】
本発明に用いられるポリシロキサンは、一般式(1)または(2)で表されるシラン化合物以外に、その他のシラン化合物を共重合成分として含むことができる。その他のシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
【0041】
本発明に用いられるポリシロキサンは、例えば次の方法で得ることができる。溶剤中に全シラン化合物を溶解し、ここに酸触媒および水を1〜180分かけて添加した後、室温〜80℃で1〜180分加水分解反応させる。加水分解反応時の温度は、室温〜55℃がより好ましい。この反応液を、50℃以上、溶剤の沸点以下で1〜100時間加熱し、縮合反応を行うことにより、ポリシロキサンを得ることができる。ここで、一般式(2)で表されるエポキシ基含有シラン化合物を共重合成分として含む場合、エポキシ基に水を付加させてジオールを形成させるため、全シラン化合物中のアルコキシル基と当量の水に加えて、エポキシ基と当量以上の水を添加する必要がある。
【0042】
また、加水分解における各種条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して、例えば、酸濃度、反応温度、反応時間などを設定することによって、目的とする用途に適した物性を得ることができる。
【0043】
シラン化合物の加水分解反応に利用される酸触媒としては、蟻酸、蓚酸、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂などの酸触媒が挙げられる。酸触媒の含有量は、ポリシロキサンの共重合成分である全シラン化合物100重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。また、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。酸触媒の含有量が、0.05重量部以上であれば加水分解反応が十分進行し、また、10重量部以下であれば、急激な反応を抑制することができる。
【0044】
加水分解反応に用いられる溶剤としては、有機溶剤が好ましく、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、エチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのアセテート類、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。溶剤の量は、ポリシロキサンの共重合成分である全シラン化合物100重量部に対して、50重量部〜500重量部の範囲が好ましい。50重量部以上であれば、急激な反応を抑制でき、500重量部以下であれば、加水分解を十分進行させることができる。
【0045】
また、加水分解に用いられる水としては、イオン交換水が好ましい。水の量は、任意に選択可能であるが、シラン化合物中のアルコキシル基と当量モルの水に加えて、エポキシ基と当量モル以上の水を添加するのがよい。ポリシロキサンの重合度を上げるために、再加熱もしくは塩基触媒の添加を行うことも可能である。
【0046】
本発明に用いられるポリシロキサンは、元素分析、核磁気共鳴分析、赤外分光分析等の各種有機分析手法を単独または複数組み合わせることにより同定することができる。
【0047】
本発明の印刷インキ組成物は、ポリシロキサンを1種または2種以上含んでもよい。また、1種以上のポリシロキサンと1種以上のポリシロキサン以外の絶縁性ポリマーを混合して用いてもよい。ここでポリシロキサン以外の絶縁性ポリマーとしてはポリビニルフェノール(PVP)等が挙げられる。
【0048】
本発明の印刷インキ組成物はポリシロキサンを不揮発性成分の75重量%以上含有することを特徴とする。ポリシロキサンが75重量%以下の場合、印刷性が悪くなり精密なパターンが再現されなくなる場合がある。また絶縁性が悪くなりTFT特性等が悪化する場合がある。
【0049】
本発明の印刷インキ組成物における溶剤とは、前記不揮発性成分を溶解または良分散させることが可能であり、かつ加熱処理によって揮発するものであれば特に限定されず、単独で用いても複数を混合して用いてもよいが、印刷版への塗布性と、対象基材への転写性の観点から、遅乾性溶剤と速乾性溶剤の組み合わせ溶剤であることが好ましい。
【0050】
ここで遅乾性溶剤とはASTM D3539による蒸発速度(例えば、”塗料の流動と塗膜形成”、中道敏彦著、技報堂出版社、1995年発行、107〜109頁参照)が0.8以下の溶剤であり、好ましくは0.5以下の溶剤である。具体的には、(i)ドデカン、ウンデカンなどの炭化水素類、(ii)キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、(iii)ヘキサノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、(iv)ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル/エステル類、(v)ジイソブチルケトンなどのケトン類、(vi)N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトムアミドなどのアミド類、(vii)γ−ブチロラクトンなどのラクトン類が例示される。
【0051】
速乾性溶剤とは前述のASTM D3539による蒸発速度が0.8より大きい溶剤であり、好ましくは1.0以上の溶剤である。具体的には(i)n−ヘキサン、n−オクタン、イソオクタンなどの炭化水素、(ii)トルエンなどの芳香族炭化水素、(iii)メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、(iv)ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル、(v)酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチルなどのエステル、(vi)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトンが例示される。
【0052】
これらの溶剤はポリシロキサンの重縮合反応に使用した溶剤を用いても、後から添加してもよい。また遅乾性溶剤と速乾性溶剤の比率は遅乾性溶剤/速乾性溶剤=100/0〜0/100から選ばれる任意の比率でよいが、塗布性と転写性のバランスから遅乾性溶剤/速乾性溶剤=70/30〜10/90であることが好ましい。遅乾性溶剤の比率が少ないと塗布したインキが版上で乾燥しすぎてタック性がなくなってしまい、対象基材へ転写されにくい。一方、速乾性溶剤の比率が少ないと版に塗布したインキの流動性が大きすぎ、パターン形状が潰れて不良となりやすい。
【0053】
本発明の印刷インキ組成物は、不揮発性成分として表面調整剤を含有することが好ましい。ここで表面調整剤とは溶液に添加する事により該溶液の表面張力を低下させることができる界面活性剤のことを指し、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アルキル系界面活性剤および極性基変性シリコーンなどが挙げられるが、表面張力を大きく低下させる観点からフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、極性基変性シリコーンが好ましい。
【0054】
フッ素系界面活性剤としては例えばメガファックF−444、同F−472、同F−477、同F−552、同F−553、同F−554、同F−443、同F−470、同F−470、同F−475、同F−482、同F−483、同F−489、同R−30(以上 DIC(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(以上 新秋田化成(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(以上 住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上 旭硝子(株)製)、BM−1000、BM−1100(以上 裕商(株)製)、NBX−15、FTX−218(以上 (株)ネオス製)を挙げることができる。
【0055】
シリコーン系界面活性剤としては例えばBYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−344、BYK−370、BYK375(以上 ビックケミー・ジャパン(株))、FZ−2110、FZ−2166、FZ−2154、FZ−2120、L−720、L−7002、SH8700、L−7001、FZ−2123、SH8400、FZ−77、FZ−2164、FZ−2203、FZ−2208(以上 東レ・ダウコーニング(株))、KF−353、KF−615A、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、KF−6011、KF−6015、X−22−2516、KF−410、X−22−821、KF−412、KF−413、KF−4701(以上 信越化学(株))を挙げることができる。
【0056】
極性基変性シリコーンとしては、下記一般式(3)を繰り返し単位に持つポリアルキルシロキサンの一部を、極性基を含有する官能基に変換したものである。極性基変性されていないシリコーンは不揮発性成分または溶剤との相互作用が小さいため、相分離が起きやすいなどの問題がある。極性基を含有する官能基に変換する部位は、主鎖末端、主鎖中、側鎖のいずれでもよい。また、変性基当量は通常500〜10000g/molであるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
【化1】
【0058】
(nは2以上の整数である。RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。表面張力低下性の観点から、RおよびRの全体の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。)
ここで、極性基とは、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基などが例示される。これらの極性基はシロキサン主鎖に直接結合していてもよいし、アルキレン基、アリーレン基などの炭素鎖を介して結合していてもよい。また、一分子に二種以上の極性基を有していてもよい。これらの中で比較的少量で塗布性の向上に効果があることから、アミノ基変性シリコーン、メルカプト基変性シリコーンが好ましく用いられる。具体的にはFZ−3760、BY16−849、BY16−892、FZ−3785、BY16−891、FZ−3789(以上 東レ・ダウコーニング(株))、KF−868、KF−860、X−22−3939A、KF−2001、KF−8010、X−22−161B、KF−8012、X−22−167B(以上 信越化学(株))が例示される。
【0059】
これらの表面調整剤は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、表面調整剤の印刷インキ組成物に対する含有量はハジキのない均質な塗布面を形成する観点から、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、良好な転写性を保ちかつ形成した塗膜の機能に悪影響を及ぼさないという観点から10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
【0060】
また本発明の印刷インキ組成物は、不揮発性成分として金属キレート化合物または金属アルコキシド化合物を含有することが好ましい。これらの金属化合物はポリシロキサンの硬化剤として働き、絶縁膜の架橋による耐久性の向上、および移動度やオンオフ比などのTFT特性の向上の効果を得ることができる。
【0061】
金属アルコキシド化合物の好ましい具体的な例としては、マグネシウムジエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、ジルコニアテトラ(n−ブトキシド)、ジルコニアテトラ(t−ブトキシド)、ハフニウムテトライソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシドなどが挙げられる。
【0062】
金属キレート化合物は、金属アルコキシド化合物にキレート化剤を反応させることにより容易に得ることができる。キレート化剤の例としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン、アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチルなどのβ−ケト酸エステルなどを用いることができる。具体的には、例えばエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化合物、エチルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)等のマグネシウムキレート化合物、ジルコニアテトラキス(エチルアセトアセテート)、ジルコニアテトラキス(アセチルアセトネート)等ジルコニアキレート化合物、チタンテトラキス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)等のチタンキレート化合物が挙げられる。
【0063】
これらの金属化合物は単独で用いてもよく、また2種以上の金属化合物を混合して用いてもよい。金属化合物の含有量は、不揮発性成分の0.1重量%〜10重量%であることが好ましい。含有量が0.1重量%以下であれば、硬化が十分進行し、良好な耐薬品性や絶縁性を有する絶縁膜が得られる。一方、10重量%以下であれば、印刷インキ組成物として保存安定性が良好となる。
【0064】
本発明の印刷インキ組成物に対する不揮発性成分の含有量は、塗布性と膜形成性の観点から1〜50重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることがより好ましい。含有量が低すぎると塗膜が薄くなりすぎて膜厚ムラが大きくなる。また含有量が多すぎると流動性の低下により塗膜のレベリングが起こりにくく塗布ムラのある膜になる、塗布膜厚が厚くなり精密パターンを再現できない、などの不具合が生じる。
【0065】
次に、本発明の絶縁膜について説明する。本発明の絶縁膜は、本発明の印刷インキ組成物を用いて、反転オフセット印刷法、剥離オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法のいずれかを用いて被印刷物にパターンを印刷し、これを100〜300℃の範囲で熱処理することにより得ることができる。印刷は特許文献1〜3または非特許文献1に記載の方法に従って行う事ができる。
【0066】
本発明に用いられる被印刷物は特に限定されるものではないが、電子機器用途において印刷物の熱処理が必要になる場合には、耐熱性のある材料が好ましい。このような材料として、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリアラミド、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマーなどの耐熱プラスチックのフィルムまたはシート、ソーダライムや石英などのガラス板、シリコンウェハーなどが挙げられる。
【0067】
また、基板上に他の方法により何らかのパターンを形成したのち、その上に本発明の印刷インキ組成物を用いて印刷してもよい。例えば薄膜トランジスタの製造においてゲート電極の上にゲート絶縁膜を形成する場合、液晶ディスプレイの製造において画素TFT上に層間絶縁膜や平坦化膜を形成する場合等が挙げられる。
【0068】
本発明の絶縁膜はTFTのゲート絶縁膜として好適に用いることができる。本発明のTFTの半導体は多結晶シリコン、非晶質シリコン、有機半導体、酸化物半導体のいずれでもよい。またトップゲート型やボトムゲート型等のいずれの構成でもよい。
【0069】
また本発明の絶縁膜は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示素子におけるTFT用平坦化膜や半導体素子における層間絶縁膜等にも好適に用いることができる。
【実施例】
【0070】
以下に実施例を用いて本発明を説明する。
【0071】
<ポリシロキサン溶液(a)の調製>
メチルトリメトキシシラン204.3g、フェニルトリメトキシシラン495.8g、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン61.6g、シリケート51 88.1g(多摩化学(株)製)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEA)750gを三つ口フラスコに入れ、水268gにリン酸2.6gを溶かしたリン酸溶液をバス温度40℃にて30分間かけて添加した。得られた溶液をバス温度70℃にて1.5時間加熱撹拌し、さらにバス温度115℃にて1.5時間加熱撹拌し、加水分解による副生成物であるメタノール、水を留去しつつ反応させた。反応終了後、氷冷し、全固形分濃度 50%のポリシロキサン溶液(a)を得た。
【0072】
<ポリシロキサン溶液(b)の調製>
メチルトリメトキシシラン204.3g、フェニルトリメトキシシラン495.8g、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン61.6g、シリケート51 88.1g(多摩化学(株)製)およびジアセチルアセトン(以下DAA)750gを三つ口フラスコに入れ、水268gにリン酸2.6gを溶かしたリン酸溶液をバス温度40℃にて30分間かけて添加した。得られた溶液をバス温度70℃にて1.5時間加熱撹拌し、さらにバス温度115℃にて1.5時間加熱撹拌し、加水分解による副生成物であるメタノール、水を留去しつつ反応させた。反応終了後、氷冷し、全固形分濃度 50%のポリシロキサン溶液(b)を得た。
【0073】
実施例1
<印刷インキ組成物の調製>
ポリシロキサン溶液(a) 18.0gとアルミニウムトリスアセチルアセトネート(以下 Al(acac))0.5gをPGMEA 36.0gと酢酸イソプロピル 45.0gの混合溶剤に加え撹拌した。これにFZ−77(東レ・ダウコーニング(株)製)0.5gを加えてさらに撹拌し、印刷インキ組成物を得た。
【0074】
<印刷特性の評価>
特許文献1の方法に従って、反転オフセット印刷法によりガラス基板上にライン/スペース=25μm/25μmのパターンを印刷した。印刷物を250℃で1時間加熱硬化させて絶縁膜を作製した後、光学顕微鏡で絶縁膜のパターンを観察し、下記の基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
【0075】
フォトマスクのパターンが良好に再現されている A
パターンにゆがみやギザツキがある、数個のピンホール状のハジキが見られる B
転写不良やハジキにより、一部パターンが潰れている C
パターンができていない。 D
実施例2
特許文献2の方法に従って、剥離オフセット印刷法によりガラス基板上にライン/スペース=25μm/25μmのパターンを印刷した以外は実施例1の方法と同様にして絶縁膜の作製、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0076】
実施例3
特許文献3および非特許文献1の方法に従って、マイクロコンタクト印刷法によりガラス基板上にライン/スペース=25μm/25μmのパターンを印刷した以外は実施例1の方法と同様にして絶縁膜の作製、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0077】
実施例4〜8
溶剤比を表1に示した組成に変更した以外は実施例1と同様にして絶縁膜の作製、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0078】
実施例9
ポリシロキサン溶液(a) 18.0gとAl(acac)0.5gをPGMEA 21.0gと酢酸n−ブチル 60.0gの混合溶剤に加え撹拌した。これにFZ−77 0.5gを加えてさらに撹拌し、印刷インキ組成物を得た。この印刷インキ組成物を用いて実施例1と同様に絶縁膜を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0079】
実施例10
ポリシロキサン溶液(b) 18.0gとAl(acac)0.5gをDAA 21.0gと酢酸n−ブチル 60.0gの混合溶剤に加え撹拌した。これにFZ−77 0.5gを加えてさらに撹拌し、印刷インキ組成物を得た。この印刷インキ組成物を用いて実施例1と同様に絶縁膜を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0080】
実施例11
ポリシロキサン溶液(b) 18.0gとAl(acac)0.5gをジプロピレングリコールジメチルエーテル(以下DMM) 21.0gと酢酸n−ブチル 60.0gの混合溶剤に加え撹拌した。これにFZ−77 0.5gを加えてさらに撹拌し、印刷インキ組成物を得た。この印刷インキ組成物を用いて実施例1と同様に絶縁膜を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0081】
実施例12
表面調整剤をBYK−307(ビックケミー・ジャパン(株)製)に変更した以外は実施例1と同様にして絶縁膜の作製、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0082】
実施例13
表面調整剤をメガファックF470(DIC(株)製)に変更した以外は実施例1と同様にして絶縁膜の作製、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0083】
実施例14
ポリシロキサン溶液 19.0gとAl(acac)0.5gをPGMEA 35.5gと酢酸イソプロピル 45.0gの混合溶剤に加え撹拌し、表面調整剤を含まない印刷インキ組成物を得た。この印刷インキ組成物を用いて実施例1と同様に絶縁膜を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0084】
実施例15
金属化合物をプレンアクトAL−M(味の素ファインテクノ(株)製)に変更した以外は実施例1と同様にして絶縁膜の作製、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0085】
実施例16
金属化合物をチタンテトライソプロポキシドに変更した以外は実施例1と同様にして絶縁膜の作製、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0086】
参考例17
ポリシロキサン溶液 19.0gをPGMEA 35.5gと酢酸イソプロピル 45.0gの混合溶剤に加え撹拌した。これにFZ−77 0.5gを加えてさらに撹拌し、金属化合物を含まない印刷インキ組成物を得た。この印刷インキ組成物を用いて実施例1と同様に絶縁膜を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0087】
比較例1
ポリシロキサン溶液(a) 14.0g、ポリビニルフェノール 2.0gおよびAl(acac) 0.5gをPGMEA 38.0gと酢酸イソプロピル 45.0gの混合溶剤に加え撹拌した。これにFZ−77(東レ・ダウコーニング(株)製)0.5gを加えてさらに撹拌し、印刷インキ組成物を得た。この印刷インキ組成物を用いて実施例1と同様に絶縁膜を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0088】
比較例2
ポリビニルフェノール 9.0gとAl(acac) 0.5gをPGMEA 45.0gと酢酸イソプロピル 45.0gの混合溶剤に加え撹拌した。これにFZ−77(東レ・ダウコーニング(株)製)0.5gを加えてさらに撹拌し、印刷インキ組成物を得た。この印刷インキ組成物を用いて実施例1と同様に絶縁膜を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
実施例18
<CNT複合体分散液の作製>
共役系重合体であるポリ−3−ヘキシルチオフェン(数平均分子量(Mn):13000、以下P3HT)0.10gをクロロホルム5mlの入ったフラスコの中に加え、超音波洗浄機中で超音波撹拌することによりP3HTのクロロホルム溶液を得た。次いでこの溶液をスポイトにとり、メタノール20mlと0.1規定塩酸10mlの混合溶液の中に0.5mlずつ滴下して、再沈殿を行った。固体になったP3HTを0.1μm孔径のメンブレンフィルター(PTFE社製:4フッ化エチレン)によって濾別捕集し、メタノールでよくすすいだ後、真空乾燥により溶媒を除去した。さらにもう一度溶解と再沈殿を行い、90mgの再沈殿P3HTを得た。
【0092】
単層CNT(CNI社製の単層カーボンナノチューブ、純度95%)1.0mgと、上記P3HT1.0mgを10mlのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波撹拌した。超音波照射を30分間行った時点で一度照射を停止し、上記P3HTを1.0mg追加し、さらに1分間超音波照射することによって、CNT複合体分散液A(溶媒に対するCNT濃度0.1g/l)を得た。
【0093】
CNT複合体分散液A中で、P3HTがCNTに付着しているかどうかを調べるため、分散液A5mlをメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、フィルター上にCNTを捕集した。捕集したCNTを、溶媒が乾かないうちに素早くシリコンウエハー上に転写し、乾燥したCNTを得た。このCNTを、X線光電子分光法(XPS)を用いて元素分析したところP3HTに含まれる硫黄元素が検出された。従って、CNT複合体分散液A中のCNTにはP3HTが付着していることが確認できた。
【0094】
上記CNT複合体分散液Aにo−ジクロロベンゼン(沸点180℃、以下o−DCB)5mlを加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて、低沸点溶媒であるクロロホルムを留去し、溶媒をo−DCBで置換し、CNT複合体分散液Bを得た。次に分散液Bをメンブレンフィルター(孔径3μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いてろ過を行い、長さ10μm以上のCNTを除去した。得られたろ液にo−DCBを加えて希釈し、CNT複合体分散液C(溶媒に対するCNT濃度0.06g/l)とした。
【0095】
<TFTの作製と評価>
図4のTFTを作製した。ガラス製の基板14(厚み0.7mm)上に、抵抗加熱法により、メタルマスクを介して、クロムを厚み5nm、続いて金を厚み50nmで真空蒸着し、ゲート電極15を形成した。次に実施例1で調製した印刷インキ組成物を用いて反転オフセット印刷法により印刷物を形成し、これを窒素気流下200℃、1時間加熱処理することによって、膜厚が500nmのゲート絶縁膜を得て、ゲート絶縁層16を形成した。このゲート絶縁層が形成された基板上に、金を厚み50nmになるように真空蒸着した。次に、ポジ型レジスト溶液を滴下し、スピナーを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで乾燥し、レジスト膜を形成した。得られたレジスト膜に対して、露光機を用いて、フォトマスクを通して紫外線照射を行った。続いて、基板をアルカリ水溶液に浸漬し、紫外線照射部を除去し、電極形状にパターン加工されたレジスト膜を得た。得られた基板を金エッチング液(アルドリッチ社製、Gold etchant,standard)中に浸漬し、レジスト膜が除去された部分の金を溶解・除去した。得られた基板をアセトン中に浸漬し、レジストを除去した後、純水で洗浄し、100℃のホットプレートで30分間乾燥した。このようにして、電極の幅(チャネル幅)0.2mm、電極の間隔(チャネル長)20μm、厚み50nmの金ソース電極18およびドレイン電極19を得た。
【0096】
次に、電極が形成された基板上に、調製したCNT複合体分散液Cをインクジェット法により塗布し、ホットプレート上で窒素気流下、150℃、30分間の熱処理を行い、CNT複合体分散膜を活性層17とするTFTを作製した。この際、インクジェット装置に、簡易吐出実験セットPIJL−1(クラスターテクノロジー株式会社製)を用いた。
【0097】
このようにして作製したTFTについて、ゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定には半導体特性評価システム4200−SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、大気中で測定した。Vg=+30〜−30Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、0.5cm/V・secであった。また、このときのIdの最大値と最小値の比からオンオフ比を求めたところ1×10であった。
【0098】
実施例19〜21、参考例22
印刷インキ組成物を表3に示すものに変更した以外は実施例18と同様にしてTFTの作製、評価を行った。結果を表3に示す。
【0099】
比較例3〜4
印刷インキ組成物を表3に示すものに変更した以外は実施例18と同様にしてTFTの作製、評価を行った。結果を表3に示す。
【0100】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の絶縁膜形成用印刷インキ組成物および絶縁膜は、スマートカード、セキュリティータグ、フラットパネルディスプレイ用のトランジスタアレイなどへ利用可能な薄膜トランジスタ、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示素子におけるTFT用平坦化膜、層間絶縁膜、および半導体素子における層間絶縁膜に用いられる。
【符号の説明】
【0102】
1 ブランケット胴
2 シリコーンブランケット
3 インキコーター
4 インキ
4’ 画線部インキ
4” 非画線部インキ
5 除去凸版
6 被印刷物
7 印刷パターン
8 支持体
9 親インキ層
10 インキ剥離層
11 ブレードコーター
12 PDMS凸版
13 インキスタンプ台
14 基板
15 ゲート電極
16 ゲート絶縁層
17 活性層
18 ソース電極
19 ドレイン電極
図1
図2
図3
図4