特許第5821363号(P5821363)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821363
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】製品欠陥要因分析装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20151104BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20151104BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20151104BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   G05B23/02 302S
   G05B23/02 301V
   G05B23/02 302Y
   G06Q50/04 100
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-164130(P2011-164130)
(22)【出願日】2011年7月27日
(65)【公開番号】特開2013-29916(P2013-29916A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】神戸 秀穂
(72)【発明者】
【氏名】氏家 智親
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−283274(JP,A)
【文献】 特開2005−197629(JP,A)
【文献】 特開2008−146621(JP,A)
【文献】 特開2007−188471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/02
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信網に接続された複数の機器を使用して所定の製品を製造する鉄鋼或いは非鉄金属の圧延ラインにおいて、利用者が製品の欠陥要因を分析するために使用する製品欠陥要因分析装置であって、
前記各機器から前記通信網を介して収集可能な全てのプラントデータを時系列に収集するデータ収集装置と、
前記データ収集装置によって収集されたプラントデータを蓄積するデータ蓄積装置と、
前記データ蓄積装置に蓄積されたプラントデータの中から、製品の欠陥に該当する欠陥データを検出する製品欠陥検出装置と、
前記製品欠陥検出装置によって欠陥データが検出された製品の操業条件を特定し、その欠陥発生製品の操業条件に類似する操業条件で製造された他の複数の製品を、類似操業製品として抽出する類似操業抽出装置と、
前記データ蓄積装置に蓄積された前記欠陥発生製品に関する全てのプラントデータを、前記類似操業製品の対応するプラントデータと比較し、前記欠陥発生製品のプラントデータの異常値を含む異常データを抽出するデータ比較装置と、
前記データ比較装置によって抽出された異常データに基づいて欠陥要因候補の表示リストを作成し、所定の表示端末に表示させる欠陥要因候補編集装置と、
を備え
前記データ比較装置は、前記欠陥発生製品及び前記類似操業製品について、先ず、所定の第1時間間隔のプラントデータを比較し、その後、全てのプラントデータについて比較が完了していなければ、比較されていないプラントデータについて、前記第1時間間隔よりも短い第2時間間隔のプラントデータを比較する製品欠陥要因分析装置。
【請求項2】
前記類似操業抽出装置は、欠陥発生製品の材料諸元、製品諸元、制御目標値、製造時の使用機器に基づいて、類似操業製品を抽出する請求項1に記載の製品欠陥要因分析装置。
【請求項3】
前記データ比較装置は、前記欠陥発生製品のプラントデータの値が、前記類似操業製品の対応するプラントデータの最大値を最大、最小値を最小とする範囲から外れた場合に、異常値として検出する請求項1又は請求項2に記載の製品欠陥要因分析装置。
【請求項4】
前記データ比較装置は、前記欠陥発生製品及び前記類似操業製品について、所定のイベント間のプラントデータを比較する場合は、イベント間隔を一致させるための時刻補正を行い、その期間に対する収集タイミングが一致するプラントデータ同士を比較する請求項1から請求項3の何れか一項に記載の製品欠陥要因分析装置。
【請求項5】
前記欠陥要因候補編集装置は、欠陥要因候補の表示リストを作成した後に前記データ比較装置によって新たな異常データが抽出されると、表示リストの更新を行い、更新後の内容を前記表示端末に表示させる請求項に記載の製品欠陥要因分析装置。
【請求項6】
前記データ蓄積装置に蓄積されるプラントデータのうち、製品毎に値が異なることを前提とする項目の定義が記憶された記憶装置と、
を更に備え、
前記欠陥要因候補編集装置は、前記記憶装置に記憶された項目定義に基づいて、プラントデータの所定の項目を除外して表示リストを作成する請求項1から請求項の何れか一項に記載の製品欠陥要因分析装置。
【請求項7】
前記欠陥要因候補編集装置は、異常値の発生位置と、その異常値が発生した時の先行材の位置或いは後行材の位置とに基づいて、前記表示端末に表示させるプラントデータの項目順を決定し、欠陥要因候補の表示リストを作成する請求項1から請求項の何れか一項に記載の製品欠陥要因分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄鋼・非鉄金属等の産業プラントにおいて用いられる製品欠陥要因分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼・非鉄金属等の産業プラントでは、種々のプラントデータを収集・蓄積しており、製品に欠陥が発生すると、蓄積されているプラントデータを、その欠陥の要因を分析するために活用している。
【0003】
プラントデータには、収集可能な極めて多くの項目が存在する。従来は、プラントデータの中から、欠陥要因を分析するために必要な項目を予め選別しておき、その選別した項目のプラントデータのみを収集・蓄積していた。また、製品に欠陥が発生した場合は、蓄積されているプラントデータの中から、調査対象となる特定の項目を更に選定し、その選定した項目のプラントデータを用いて欠陥要因の分析を行っていた。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、予め収集・蓄積しておいたプラントデータの中から、製品品質への影響度が高い組み合わせを自動的に算出するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−146621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のものを含め、従来の装置では、プラントデータの中から、製品欠陥の要因となり得る項目を予め選別し、その選別した項目のプラントデータのみを収集・蓄積していた。また、製品に欠陥が発生した場合は、蓄積されているプラントデータの中から、その欠陥の要因として見込まれるもののみを調査対象として選定していた。このため、蓄積するデータ項目の選別や調査対象とするデータ項目の選定に、プラント操業やプロセス制御、設備保全に関するノウハウが必要となり、利用者の技量によっては、欠陥要因の分析を正しく行うことができない場合があった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、プラント操業やプロセス制御、設備保全に関するノウハウを必要とすることなく、製品欠陥の要因となり得る有用な情報を容易に把握することができる製品欠陥要因分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る製品欠陥要因分析装置は、所定の通信網に接続された複数の機器を使用して所定の製品を製造する鉄鋼或いは非鉄金属の圧延ラインにおいて、利用者が製品の欠陥要因を分析するために使用する製品欠陥要因分析装置であって、各機器から通信網を介して収集可能な全てのプラントデータを時系列に収集するデータ収集装置と、データ収集装置によって収集されたプラントデータを蓄積するデータ蓄積装置と、データ蓄積装置に蓄積されたプラントデータの中から、製品の欠陥に該当する欠陥データを検出する製品欠陥検出装置と、製品欠陥検出装置によって欠陥データが検出された製品の操業条件を特定し、その欠陥発生製品の操業条件に類似する操業条件で製造された他の複数の製品を、類似操業製品として抽出する類似操業抽出装置と、データ蓄積装置に蓄積された欠陥発生製品に関する全てのプラントデータを、類似操業製品の対応するプラントデータと比較し、欠陥発生製品のプラントデータの異常値を含む異常データを抽出するデータ比較装置と、データ比較装置によって抽出された異常データに基づいて欠陥要因候補の表示リストを作成し、所定の表示端末に表示させる欠陥要因候補編集装置と、を備え、データ比較装置は、欠陥発生製品及び類似操業製品について、先ず、所定の第1時間間隔のプラントデータを比較し、その後、全てのプラントデータについて比較が完了していなければ、比較されていないプラントデータについて、第1時間間隔よりも短い第2時間間隔のプラントデータを比較するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る製品欠陥要因分析装置であれば、プラント操業やプロセス制御、設備保全に関するノウハウを必要とすることなく、製品欠陥の要因となり得る有用な情報を容易に把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1における製品欠陥要因分析装置の構成を示す図である。
図2図1に示す製品欠陥要因分析装置が適用される産業プラントの設備概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における製品欠陥要因分析装置の構成を示す図である。本製品欠陥要因分析装置は、所定の通信網に接続された複数の機器を使用して所定の製品を製造する産業プラント、例えば、鉄鋼・非鉄金属等の産業プラントにおいて、製品の欠陥要因を分析するために使用される。
【0013】
産業プラントには、プロセス計算機1、プロセスコントローラ2、駆動手段(電動機・駆動装置等)3、プロセスセンサ4、オペレータ操作端末5が備えられている。
本願発明の要部を構成する分析装置6は、所定の情報LAN7を介して、プロセス計算機1及びオペレータ操作端末5に接続されている。また、分析装置6は、所定の制御LAN8を介して、プロセス計算機1、プロセスコントローラ2、駆動手段3、プロセスセンサ4に接続されている。
【0014】
図2図1に示す製品欠陥要因分析装置が適用される産業プラントの設備概略図である。具体的に、図2は鉄鋼の熱間圧延ラインを示している。鉄鋼の熱間圧延ラインでは、一つ或いは複数の加熱炉9から抽出されたスラブが、粗圧延機10による粗圧延、仕上圧延機11による仕上圧延、ランアウトテーブル(ROT)12による冷却を経て、巻取機13においてコイルとして巻き取られる。巻き取られたコイルは、結束や秤量等が行われた後、コイルコンベア14によって下流工程へと搬送される。

【0015】
分析装置6は、産業プラント(例えば、図2に示す熱間圧延ライン)を構成する各機器から、多数の項目に及ぶプラントデータを収集し、蓄積・処理するためのものである。分析装置6には、データ収集装置15、データ蓄積装置16、製品欠陥検出装置17、類似操業抽出装置18、データ比較装置19、欠陥要因候補編集装置20、記憶装置21、表示端末22が備えられている。
【0016】
データ収集装置15は、産業プラントで使用される各機器から、プラントデータを収集する機能を有している。上述したように、産業プラントの各機器は、所定の通信網(本実施の形態では、情報LAN7・制御LAN8)に接続されている。データ収集装置15は、上記通信網を介して収集可能な全てのプラントデータを、時系列に収集する。
【0017】
情報LAN7は、操業及び製品製造に関する情報ネットワークである。データ収集装置15は、情報LAN7を経由して、プロセス計算機1から、製品製造指示や各機器の制御量設定、製品品質実績等を、プラントデータとしてイベント(操業イベント)毎に収集する。また、データ収集装置15は、情報LAN7を経由して、オペレータ操作端末5から操作履歴をプラントデータとして収集する。
【0018】
データ収集装置15は、制御LAN8を経由して、プロセスコントローラ2、駆動手段3、プロセスセンサ4から、プラントデータとしてリアルタイムのデータを収集する。
制御LAN8は、ノード間で共有されるデータエリアを提供するプロセス制御用ネットワークである。制御LAN8の高速データ領域は、例えば、2[ms]周期でのデータ伝送を可能とする。プロセスコントローラ2の制御出力や駆動手段3の制御データ、プロセスセンサ4の測定出力値は、制御LAN8の共有データエリアに出力されている。データ収集装置15は、制御LAN8の共有データエリアのデータを、その伝送周期に合わせて全て収集する。
【0019】
データ収集装置15は、1台若しくは複数台で構成される。産業プラントの規模により、収集するプラントデータの項目数や速度は異なるため、データ収集装置15は、設置環境に合わせた構成となる。
【0020】
データ蓄積装置16は、データ収集装置15によって収集されたプラントデータを蓄積する大容量データベースから構成される。データ蓄積装置16には、データ収集装置15によって収集された各種プラントデータ、例えば、各設備の制御情報、イベント情報、操作履歴情報、アラーム情報、製品の製造指示や製品実績等の操業情報が、時系列で所定の一定期間蓄積される。データ蓄積装置16に必要な容量は、例えば、蓄積するプラントデータの項目数や収集周期、蓄積期間によって決まる。データ蓄積装置16がプラントデータを蓄積する期間は、後述の類似操業抽出装置18による抽出精度を考慮すると、例えば、図2に示す鉄鋼の熱間圧延ラインでは、3ヶ月から半年程度は必要になる。
その他、データ蓄積装置16には、他の装置からの要求に応じて、蓄積データを検索・提供する機能も備えられている。
【0021】
製品欠陥検出装置17は、製品に特定の欠陥が発生したことを検出する機能を有している。製品欠陥検出装置17は、データ蓄積装置16に蓄積されたプラントデータの中から、製品の欠陥に該当する欠陥データを検出する。製品の欠陥とは、例えば、図2に示す鉄鋼の熱間圧延ラインでは、製品の品質項目(板厚・板幅・温度・形状等)が目標値や公称値から逸脱したり、製品に瑕や変形が発生したりすることである。製品欠陥検出装置17は、特定のイベント(例えば、コイル巻取完了や、オペレータ操作端末5からの瑕や変形等を示す所定の情報入力)が発生すると、製造された製品の実績データを抽出し、製品欠陥(欠陥データ)の有無を調査する。製品欠陥検出装置17は、欠陥データを検出すると、欠陥が発生した製品の情報とその欠陥の情報とを、製品欠陥情報として類似操業抽出装置18に出力する。
【0022】
類似操業抽出装置18は、製品に欠陥が発生した時と同様の操業によって製造された製品を抽出する機能を有している。類似操業抽出装置18は、製品欠陥検出装置17から製品欠陥情報を受信すると、製品欠陥検出装置17によって欠陥データが検出された製品(以下、「欠陥発生製品」ともいう)の操業条件を特定する。次に、類似操業抽出装置18は、データ蓄積装置16に蓄積されたプラントデータに基づいて、上記特定した欠陥発生製品の操業条件に類似する操業条件で製造された他の製品(以下、「類似操業製品」ともいう)を抽出する。類似操業製品として抽出する製品の件数は、予め所定の数(例えば、5件)に設定されている。
【0023】
具体的に、類似操業抽出装置18は、材料諸元、製品諸元、制御目標値、製造時の使用機器が、欠陥発生製品と全て一致する製品を類似操業製品として抽出する。図2に示す鉄鋼の熱間圧延ラインでは、類似操業抽出装置18は、スラブ(材料)及びコイル(製品)の各諸元(鋼種、板厚、板幅、重量等)、制御目標値(抽出温度、巻取温度、粗圧延完了時の板厚及び板幅等の各目標値)が欠陥発生製品のものと同じであり、且つ、使用された加熱炉9及び巻取機13が欠陥発生製品のものと同じ製品を抽出する。
【0024】
上記類似条件(操業条件を類似と見なすための条件)によって抽出された類似操業製品の数が上記設定件数に達しなかった場合、類似操業抽出装置18は、類似条件を緩和して、類似操業製品の抽出を再度実施する。例えば、類似操業抽出装置18は、材料及び製品の各諸元が欠陥発生製品のものと一致し、使用機器が欠陥発生製品のものと異なる製品を類似操業製品として抽出する。また、緩和後の類似条件によっても類似操業製品の数が設定件数に達しなかった場合、類似操業抽出装置18は、更に、製品諸元や制御目標値に関する抽出条件を緩和し、製品諸元や制御目標値が所定の範囲に含まれる製品を類似操業製品として抽出する。
類似操業抽出装置18は、上記設定件数(或いは、それ以下の件数)の製品を類似操業製品として抽出すると、欠陥発生製品と類似操業製品との各情報をデータ比較装置19に出力する。
【0025】
データ比較装置19は、欠陥発生製品のプラントデータと類似操業製品のプラントデータとを比較する機能を有している。データ比較装置19は、類似操業抽出装置18から上記情報を受信すると、データ蓄積装置16に蓄積されている欠陥発生製品に関する全てのプラントデータを、類似操業製品の対応するプラントデータと比較する。
【0026】
具体的に、データ比較装置19は、先ず、予め規定されたイベントの発生時刻を抽出する。図2に示す鉄鋼の熱間圧延ラインでは、加熱炉9からスラブの抽出が開始された時(抽出開始)が起点となるイベントである。また、粗圧延機10による粗圧延の開始及び完了、仕上圧延機11による仕上圧延の開始及び完了、巻取機13によるコイル巻取の開始及び完了もそれぞれイベントである。各イベントの情報は、データ蓄積装置16に蓄積されている。
【0027】
データ比較装置19は、イベントの発生時刻を抽出すると、欠陥発生製品と類似操業製品との各イベント間隔を一致させるための時刻補正を行う。この時刻補正により、データ比較装置19は、欠陥発生製品及び類似操業製品について、イベント期間に対する収集タイミングが一致するプラントデータ同士を比較することができる。例えば、加熱炉9によるスラブの抽出開始から粗圧延機10による粗圧延の開始までに、欠陥発生製品で30秒、類似操業製品の一つで35秒掛かった場合、スラブの抽出開始から10秒後の欠陥発生製品のプラントデータは、10×35/30秒後の類似操業製品のプラントデータと比較される。
【0028】
データ比較装置19は、上記時刻補正を行うと、所定の一定時間間隔(例えば、5秒毎)で得られたプラントデータについての比較を行う。例えば、加熱炉9によるスラブの抽出開始から巻取機13による巻取の完了までに300秒(時刻補正後の時間:欠陥発生製品と各類似操業製品とにおいて一致)掛かった場合、最初の時間間隔が5秒に設定されていれば、データ比較装置19は、先ず、300/5=60セット分のプラントデータの比較を行う。
【0029】
上記60セット分のプラントデータの比較が全て終了すると、データ比較装置19は、上記時間間隔を5秒よりも短い時間間隔(例えば、1秒)に設定して、プラントデータの比較を行う。この時、5秒間隔のプラントデータについては既に比較が完了しているため、プラントデータの比較は、未だ完了していないものについてのみ実施する。即ち、データ比較装置19は、上記60セット分の比較が終了すると、次に、300/1−60=240セット分のプラントデータの比較を行う。
【0030】
その後、データ比較装置19は、比較のための時間間隔を200、50、10、2[ms]と徐々に短くしていき、全てのプラントデータの比較が完了するまで、上記と同様の処理を繰り返す。
【0031】
プラントデータの比較を行う場合、データ比較装置19は、例えば、欠陥発生製品のプラントデータの値が、類似操業製品の対応するプラントデータの値から外れているか否かを判定する。即ち、データ比較装置19は、欠陥発生製品のプラントデータの値が、類似操業製品の対応するプラントデータの最大値を最大、最小値を最小とする範囲から外れた場合に、その外れたプラントデータを、製品欠陥要因の候補となる異常値として検出する。
【0032】
なお、上述したように、比較のための時間間隔を徐々に狭めながら異常値の検出を行えば、粗い時間間隔の比較でも検出可能な異常値は、早期に検出することができる。また、最終的には、制御LAN8の伝送周期まで上記時間間隔を短くすることにより、全てのプラントデータの比較を行うことができる。
【0033】
データ比較装置19は、欠陥発生製品のプラントデータから異常値を検出すると、データ蓄積装置16に蓄積されたプラントデータに基づいて、異常データを抽出する。異常データには、異常値として検出されたもののデータ項目、値、時刻の他、対象材の位置、先行材及び後行材の位置、類似操業製品の上記異常値に対応するプラントデータの平均値・最大値・最小値が含まれる。データ比較装置19は、異常データを抽出すると、その情報を欠陥要因候補編集装置20に出力する。
【0034】
なお、図2に示す熱間圧延ラインの加熱炉9や巻取機13のように、同種の複数の機器が存在し、製品によって使用される機器が異なる場合、データ比較装置19は、比較する類似操業製品のプラントデータを、欠陥発生製品の製造時に使用された機器のものに置き換えても良い。
【0035】
欠陥要因候補編集装置20は、欠陥要因候補の表示リストを作成し、表示端末22に表示させる機能を有している。欠陥要因候補編集装置20は、データ比較装置19から異常データを受信すると、その受信した異常データに基づいて表示リストを作成する。
【0036】
記憶装置21には、データ蓄積装置16に蓄積されるプラントデータのうち、製品毎に値が異なることを前提とする項目が、除外データ項目定義として予め記憶されている。除外データ項目には、例えば、材料や製品の識別番号、スラブ抽出完了時刻等の時刻情報、電気・水・ガスの消費量積算値等がある。欠陥要因候補編集装置20は、欠陥要因候補の表示リストを作成する際に、記憶装置21に記憶された除外データ項目定義に基づいて、表示端末22に表示させる必要がない所定の項目については表示リストから除外する。
【0037】
また、欠陥要因候補編集装置20は、データ比較装置19から受信した異常データに基づいて、表示端末22に表示させるプラントデータの項目順を決定する。例えば、欠陥要因候補編集装置20は、異常値の発生位置(対象材の位置)や、その異常値が発生した時の先行材及び(又は)後行材の位置に基づいて、各異常データに対して重み付けを行う。この重み付けは、表示リストにおける位置のことである。即ち、重みが大きい場合、その異常値に関連する情報は表示リストの上位に配置され、表示端末22における表示優先度が高くなる。逆に、重みが小さい場合、その異常値に関連する情報は表示リストの下位に配置され、表示端末22における表示優先度が低くなる。欠陥要因候補編集装置20は、例えば、異常値の発生位置と対象材の位置とが離れている程、重みを小さく設定する。また、欠陥要因候補編集装置20は、異常値の発生位置と先行材或いは後行材の位置とが接近している程、重みを小さく設定する。
【0038】
欠陥要因候補編集装置20がデータ比較装置19から受信する異常データは、特定時刻のデータであり、時刻が前後するため時系列のデータにはならない。欠陥要因候補編集装置20は、各異常データを項目と時刻とに基づいて一連のデータに編集し、更に、上記重み付けに基づく順番に並べ直して表示リストを作成する。表示リストには、例えば、データ項目、異常値の平均値・最大値・最小値、異常開始時刻、異常終了時刻、類似操業製品の上記異常値に対応するプラントデータの平均値・最大値・最小値が含まれる。
欠陥要因候補編集装置20は、表示リストを作成すると、そのデータ(表示データ)を表示端末22に送信する。
【0039】
なお、データ比較装置19が比較のための時間間隔を徐々に狭めながら異常値の検出を行う場合、欠陥要因候補編集装置20は、データ比較装置19が異常値を検出する(異常データを抽出する)度にデータ比較装置19から新たな異常データを受信する。かかる場合、欠陥要因候補編集装置20は、データ比較装置19から新たな異常データを受信すると、一旦作成した表示リストを受信情報に基づいて更新し、更新後の表示データを表示端末22に送信する。
【0040】
表示端末22は、欠陥要因候補編集装置20から受信した表示データに基づいて、欠陥要因候補編集装置20が作成した表示リストを画面に表示する。
なお、表示端末22は、製品欠陥発生履歴の表示及び分析する製品欠陥の指定と、指定された製品欠陥に関する一連の分析処理の開始及び中断の入力とを行う機能を備えていても良い。
【0041】
上記構成を有する製品欠陥要因分析装置であれば、プラント操業やプロセス制御、設備保全に関するノウハウを十分に有していない利用者であっても、表示端末22の表示内容から、製品欠陥の要因となり得る有用な情報を容易に把握することができる。また、本製品欠陥要因分析装置を利用することにより、従来では製品欠陥の要因とは考えられていなかったプラントデータについても、欠陥要因の分析に活用することができるようになる。
【符号の説明】
【0042】
1 プロセス計算機
2 プロセスコントローラ
3 駆動手段
4 プロセスセンサ
5 オペレータ操作端末
6 分析装置
7 情報LAN
8 制御LAN
9 加熱炉
10 粗圧延機
11 仕上圧延機
12 ランアウトテーブル
13 巻取機
14 コイルコンベア
15 データ収集装置
16 データ蓄積装置
17 製品欠陥検出装置
18 類似操業抽出装置
19 データ比較装置
20 欠陥要因候補編集装置
21 記憶装置
22 表示端末
図1
図2