【実施例】
【0009】
(実施例1)
図1は本発明に係る車両用灯具の実施例1の要部構成を示す断面図であり、この
図1において、1は車室内天井の化粧用内装材、2は車両用灯具である。
【0010】
車両用灯具2は、
図2に示すように、ハウジング部材3と化粧用カバー部材4とを有する。ハウジング部材3は奥壁3aと起立壁3b、3c、3c、3dと傾斜壁3e、3e’とを有する。
【0011】
ハウジング部材3には、
図1、
図2に示すように、その奥壁3aと起立壁3b、3dと一対の起立壁3c、3cとによって、点灯用スイッチ回路基板配設室3fが形成されている。その奥壁3aには、ハーネス挿通穴3a’が設けられている。傾斜壁3eには円形開口部3gが形成されている。
その点灯用スイッチ回路基板配設室3fには図示を略すスイッチ回路基板が配設されている。
【0012】
一対の起立壁3c、3cには係合爪3c’、3c’が形成されている。傾斜壁3e’の裏側には、ボス部3hが
図1に示すように形成されている。そのボス部3hにはネジ穴3h’が設けられている。そのボス部3hは後述するベース部材の取り付け板部の個数に対応する個数分設けられている。
【0013】
化粧用カバー部材4は化粧板部4aと、脚板部4bとを有する。その脚板部4bには係合爪3c’、3c’が嵌合される係合穴4b’、4b’が形成されている。化粧用カバー部材4は、その係合爪3c’、3c’に係合穴4b’、4b’を嵌合させることによりハウジング部材3に固定される。
【0014】
化粧板部4aには、スイッチ回路基板に設けられたスライドスイッチ部材(図示を略す)を突出させる突出穴4b”が点灯用スイッチ回路基板配設室3fに対応する箇所に設けられていると共に、傾斜壁4cが設けられている。その傾斜壁4cには円形開口部3gに対応する箇所に円形開口4c’が形成されている。
【0015】
その化粧用カバー部材4の裏側には、可撓性係合爪部4d、4dが形成されている。車両用灯具2はその可撓性系合爪部4d、4dを撓ませて、その係合爪4d’、4d’を化粧用内装材1に係合させることにより車室内天井に固定される。
【0016】
そのハウジング部材3の円形開口部3gには照射部材5が設けられている。ハウジング部材3は、照射部材5を傾動可能に支承するベース部材6を有する。
照射部材5は、
図2に示すように、止めネジ7、発光回路基板8、インナーレンズ9、カバー部材10、レンズ部材11、一対のフェルト部材12から大略構成されている。
【0017】
ベース部材6は、凹状湾曲部6aと、取り付け板部6bとから構成されている。取り付け板部6bにはネジ穴6cが形成されている。ネジ穴6cには、図示を略す止めネジが挿通され、ベース部材6はこの図示を略す止めネジによってハウジング部材3のボス部3hに固定される。その凹状湾曲部6aは、照射部材5を傾き可能に支承する役割を果たす。
【0018】
インナーレンズ9は、
図3に拡大して示す平坦レンズ部9aと
図2に示す一対の取付け部9bとを有する。一対の取付部9bにはネジ穴9cが形成されている。発光回路基板8には
図3に拡大して示すチップ型発光ダイオード8aが設けられている。
【0019】
この発光回路基板8には、
図2に示すように、ネジ穴9cに対応するネジ穴8bが形成されている。インナーレンズ9は止めネジ7によって発光回路基板8に固定されている。この発光回路基板8とインナーレンズ9と止めネジ7とによって、
図3に示す光源部13が構成される。
【0020】
カバー部材10は、
図4に示すように、レンズ部材11が外側から嵌合される嵌合湾曲面10bと、嵌合湾曲面10bから隆起されてかつ周回り方向に延びてレンズ部材11の姿勢を規制する姿勢規制部10cとが形成されている。その姿勢規制部10cはその周回り方向両端部が階段形状とされている。
【0021】
カバー部材10には、光源部13からの照明光Pの照射範囲W(
図3参照)を規制するテーパ状の照射範囲規制壁10dが形成されている。光源部13は、例えば、その照射範囲規制壁10dに接着剤等の固着手段によって、内側からカバー部材10に固定されている。なお、
図4において、10d’は光源部13が臨む円形開口を示す。
【0022】
ここでは、姿勢規制部10cは、一対とされて光軸Oを挟んで対称位置に形成されている。レンズ部材11には、
図5に拡大して示すように、嵌合湾曲面10bに対応する形状の嵌合湾曲面11aと、姿勢規制部10cの形状に対応する形状の一対の係合凹処11b、11bとが形成されている。このレンズ部材11には係合凹処11bの端縁に沿って周回り方向にパーティングラインPL’が形成されている。
【0023】
カバー部材10には、
図4に示すように、一対の姿勢規制部10c、10cとの間の嵌合湾曲面10bに周回り方向と直交する方向に延びるパーティングラインPLが形成されている。
【0024】
そのカバー部材10には、係合凹処11b、11bが一対の姿勢規制部10cに係合するようにしてかつ嵌合湾曲面が11aが嵌合湾曲面10bに嵌合するようにして
図5に示すレンズ部材11が外側からかぶせられる。
その際、一対の姿勢規制部10cの外周面とレンズ部材11の嵌合湾曲面11aの外周面とは面一とされる。
【0025】
これによって、
図7に示すように、パーティングラインPLがレンズ部材11によって隠蔽される。その際、レンズ部材11は接着等の手段によってカバー部材10に固定される。
【0026】
一対のフェルト部材12は、
図6に示す領域α部分の一対の姿勢規制部10c、10cに接着等の手段によって貼り付けられる。このフェルト部材12は、凹状湾曲部6aと姿勢規制部10cとの間に介在して、照射部材5の姿勢を維持する役割を果たす。
【0027】
図7は、カバー部材10と一体化されたレンズ部材11を示し、レンズ部材11はカバー部材10と一体化されてベース部材6に摺接しつつベース部材6に対して傾動される。
なお、
図6において、符合POはベース部材6の凹状湾曲部6aの曲率中心であり、照射部材5はこの曲率中心を中心に傾動される。
【0028】
この実施例1の車両用灯具2によれば、車室内に固定されるハウジング部材3と、ハウジング部材3に収納されてハウジング部材3に対する傾きを変更することにより照射方向を変更可能な照射部材5とを備え、ハウジング部材3は照射部材5を傾き可能に支承するベース部材6を有し、照射部材5は、カバー部材10と、カバー部材10に内側から固定される光源部13と、カバー部材10に外側から固定されてカバー部材10と一体化されてベース部材6に摺接しつつ傾動可能に支承されるレンズ部材11とを備えているので、
図8に示すように、レンズ部材11をカバー部材10に内側から固定する従来の構成の車両用灯具2に較べて、照射範囲Wを極力広く確保できるという効果を奏する。
【0029】
また、ベース部材6は、カバー部材10を支承する凹状湾曲部6aを有し、カバー部材10には、レンズ部材11が外側から嵌合される嵌合湾曲面10bと、嵌合湾曲面10bから隆起されかつ周回り方向に延びてレンズ部材11の姿勢を規制する姿勢規制部10cとが形成され、レンズ部材11には嵌合湾曲面10bに対応する形状の嵌合湾曲面11aと、姿勢規制部10cの形状に対応する形状の係合凹処11b、11bとが形成されているので、カバー部材10へのレンズ部材11の組み付けが容易である。
【0030】
カバー部材10には、一対の姿勢規制部10cの間の嵌合湾曲面10bに、
図4に示すように周回り方向と直交する方向に延びるパーティングラインPLが形成され、パーティングラインPLがレンズ部材11の嵌合湾曲面11aによって被覆されているので、照射部材5を傾ける際にパーティングラインPLがフェルト部材12に引っかかるのを防止できるという効果を奏する。
【0031】
すなわち、従来構造の車両用灯具2では、フェルト部材12が環状に形成され、カバー部材10のパーティングラインPLが
図9に示すように周回り方向に延びる構造となっていて、カバー部材10の嵌合湾曲面10eと凹状湾曲部6aとの間に環状のフェルト部材12が介在し、このフェルト部材12がパーティングラインPLに接触する構造であった。
【0032】
従って、照射部材5をベース部材6に対して傾動させる際に、フェルト部材12がパーティングラインPLの段差部(バリ等)に引っかかるのを防止するため、カバー部材10の嵌合湾曲面10eをバフ仕上げ研磨することにより、パーティングラインPLの段差部を除去する作業を行っていた。
【0033】
しかし、この実施例1によれば、カバー部材10のパーティングラインPLがレンズ部材11により被覆される構造であるので、照射部材5を傾ける際にパーティングラインPLがフェルト部材12に引っかかるのを防止できる。
【0034】
(実施例2)
図10〜
図15は本発明に係る車両用灯具の実施例2の説明図であって、この実施例2に係る車両用灯具2は、ベース部材6の構成と、カバー部材10の構成と、レンズ部材11の構成とフェルト部材12の構成とが主として実施例1と異なり、その他の構成は実施例1と大略同一であるので、実施例1と異なる部分についてのみ重点的に説明することとする。
【0035】
この実施例2では、ベース部材6の凹状湾曲部6aは、
図11に拡大して示すように、曲率半径が小さな(曲率が大きい)凹状小径湾曲部6a’と、曲率半径が凹状小径湾曲部6a’の曲率半径よりも大きな(曲率が小さい)凹状大径湾曲部6a”とから構成されている。
【0036】
カバー部材10には、
図12に示すように、凹状小径湾曲部6a’に対応する曲率半径を有する小径湾曲部10a’が形成されている。
【0037】
実施例1では、カバー部材10の姿勢規制部10cは光軸Oを境に一対形成されていたが、この実施例2では、姿勢規制部10cは1個のみであり、小径湾曲部10a’は、光軸Oを境に姿勢規制部10cが形成されている箇所と対称位置に形成されている。
【0038】
小径湾曲部10a’は、その姿勢規制部10cの延びる方向両側の嵌合湾曲面10bの間に位置している。
レンズ部材11は、外側からその姿勢規制部10cに係合凹処11bが係合するようにしてかつ嵌合湾曲面10bに嵌合湾曲面が11aが嵌合するようにしてかぶせられる。その際、レンズ部材11は接着等の手段によってカバー部材10に固定される。
図13はそのカバー部材10にレンズ部材11がかぶせられた状態が示されている。
【0039】
なお、この実施例2では、カバー部材10のパーティングラインPLは、
図12においては、周回り方向に形成されているものとして示されているが、このパーティングラインPLは、周回り方向でも周回り方向と直交する方向のいずれでも良い。
【0040】
また、レンズ部材11にもパーティングラインPL’が形成されているが、このパーティングラインPL’はレンズ部材11の切り欠き部11bを形成するために、周回り方向とするのが望ましい。
【0041】
フェルト部材12は、この実施例2では、
図10に示すように、環状とされて、切り込み12aが形成されている。このフェルト部材12は、カバー部材10にレンズ部材11を外側から装着した後、拡径されてレンズ部材11に装着される。その後、フェルト部材12は、ベース部材6とレンズ部材11との間に介装される。
【0042】
この実施例2によれば、ベース部材6の凹状湾曲部6aは、曲率半径が小さな凹状小径湾曲部6a’と、曲率半径が凹状小径湾曲部6a’の曲率半径よりも大きな凹状大径湾曲部6a”とから構成され、カバー部材10には、凹状小径湾曲部6a’に対応する曲率半径を有する小径湾曲部10a’を形成したので、従来よりも、光源部13の光軸を傾ける際に光源部13の奥行き寸法を小さくでき、車両用灯具2の取付けスペースを確保することができる。
【0043】
すなわち、
図14に示す従来の車両用灯具2の化粧用カバー部材4からの奥行き寸法Lに対して、この実施例2によれば、傾きによるハウジング部材3の奥側となるベース部材6の曲率半径を小さくしたので、
図15に示すように、照射部材5を小さな半径で回動させて、照射部材5を傾けることができることになり、従来に較べて、車両用灯具2の奥行き寸法L’を小さくできる。