特許第5821635号(P5821635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821635
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】発光素子材料および発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20151104BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20151104BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20151104BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20151104BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   C09K11/06 690
   H05B33/22 B
   C07D401/14
   C07D403/14
【請求項の数】14
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2011-533030(P2011-533030)
(86)(22)【出願日】2011年6月16日
(86)【国際出願番号】JP2011063820
(87)【国際公開番号】WO2011162162
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年6月11日
(31)【優先権主張番号】特願2010-143465(P2010-143465)
(32)【優先日】2010年6月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-65478(P2011-65478)
(32)【優先日】2011年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長尾 和真
(72)【発明者】
【氏名】富永 剛
(72)【発明者】
【氏名】權 ▲じん▼友
【審査官】 池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−008991(JP,A)
【文献】 特開2010−241801(JP,A)
【文献】 特開2010−270245(JP,A)
【文献】 特開2010−215759(JP,A)
【文献】 特開2011−49512(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/028262(WO,A1)
【文献】 特表2011−509247(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/086028(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
H01L 27/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極の間に少なくとも発光層を含む1つ以上の層が存在し、電気エネルギーにより発光する素子であって、発光層が三重項発光材料および下記一般式(3)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物を含有することを特徴とする発光素子。
【化1】
(R〜R14はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、シリル基および−P(=O)R1617からなる群より選ばれる。R16およびR17はアリール基またはヘテロアリール基である。R〜R14は隣接する置換基同士で環を形成してもよい。R15はアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群より選ばれる。Lは単結合、アリーレン基およびヘテロアリーレン基からなる群より選ばれる。HArは電子受容性窒素を有する芳香族複素環基であり、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フェナントロリニル基、イミダゾピリジル基、トリアジル基、アクリジル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基およびベンゾチアゾリル基からなる群より選ばれる。)
【請求項2】
L−HArとR15が異なる基であることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
【請求項3】
前記電子受容性窒素を有する芳香族複素環基が無置換であるか、アルキル基もしくはアリール基で置換されている請求項1または2記載の発光素子。
【請求項4】
陽極と陰極の間にさらに電子輸送層が存在し、該電子輸送層に、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を含む請求項1〜3のいずれか記載の発光素子。
【請求項5】
前記電子輸送層に用いられる化合物が、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造とピレン骨格を有する化合物である請求項記載の発光素子。
【請求項6】
前記電子輸送層に用いられる化合物が、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造とピレン骨格を有する化合物であって、1,3位がアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されたピレン誘導体、1,3,7位がアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されたピレン誘導体、1,6位がアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されたピレン誘導体のいずれかである請求項記載の発光素子。
【請求項7】
前記電子輸送層に用いられる化合物が、下記の化合物のいずれかである請求項または記載の発光素子。
【化2】
【請求項8】
前記電子輸送層に用いられる化合物が、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成されるフェナントロリン誘導体である請求項記載の発光素子。
【請求項9】
前記電子輸送層に用いられる化合物が、下記の化合物である請求項記載の発光素子。
【化3】
【請求項10】
前記電子輸送層に用いられる化合物が、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造とアントラセン骨格を有する化合物であって、1,10位がアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されたアントラセン誘導体である請求項記載の発光素子。
【請求項11】
前記電子輸送層に用いられる化合物が、下記の化合物のいずれかである請求項10記載の発光素子。
【化4】
【請求項12】
前記電子輸送層に用いられる化合物が、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成されるオリゴピリジン誘導体である請求項記載の発光素子。
【請求項13】
前記電子輸送層に用いられる化合物が、下記の化合物である請求項記載の発光素子。
【化5】
【請求項14】
陽極と陰極の間にさらに電子輸送層が存在し、前記一般式(3)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物さらに電子輸送層に含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを光に変換できる発光素子であって、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機および光信号発生器などの分野に利用可能な発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が両極に挟まれた有機発光体内で再結合する際に発光するという有機薄膜発光素子の研究が、近年活発に行われている。この発光素子は、薄型でかつ低駆動電圧下での高輝度発光と、発光材料を選ぶことによる多色発光が特徴であり、注目を集めている。この研究は、コダック社のC.W.Tangらが有機薄膜素子が高輝度に発光することを示して以来、多くの研究機関が検討を行っている。
【0003】
また、有機薄膜発光素子は、発光層に種々の発光材料を用いることにより、多様な発光色を得ることが可能であることから、ディスプレイなどへの実用化研究が盛んである。三原色の発光材料の中では緑色発光材料の研究が最も進んでおり、現在は赤色発光材料と青色発光材料において、特性向上を目指して鋭意研究がなされている。
【0004】
発光材料としては、従来から一般的には蛍光性(一重項発光)材料が用いられているが、電子と正孔が再結合して分子が励起する際のスピン多重度の違いにより、一重項励起子が25%、三重項励起子が75%の割合で生成することから、発光効率を向上させるために、燐光性(三重項発光)材料を用いることが以前より試みられている。
【0005】
そこで、三重項発光材料をドーパント材料として用いる際に優れた性能を有するホスト材料として、カルバゾール骨格を含む化合物が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。また、電荷の注入・輸送を補助する置換基としてトリアジン骨格を有する化合物がホスト材料として用いられている。(例えば、特許文献3〜4参照)。また、発光材料以外の材料についても検討されており、例えば、正孔輸送能力が高く、電子阻止能力に優れたカルバゾール骨格を有する化合物が正孔輸送材料として用いられている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−133075号公報
【特許文献2】特開2008−135498号公報
【特許文献3】国際公開WO2008/56746号パンフレット
【特許文献4】国際公開WO2010/15306号パンフレット
【特許文献5】国際公開WO2011/24451号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、有機薄膜発光素子は、発光効率の向上、駆動電圧の低下、耐久性の向上を満たす必要があり、特に燐光性材料に関しては、これらの性能を全て十分に満たすことは困難であった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、高発光効率と耐久性とを両立した有機薄膜発光素子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、陽極と陰極の間に少なくとも発光層を含む1つ以上の層が存在し、電気エネルギーにより発光する素子であって、発光層が三重項発光材料および下記一般式(3)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物を含有することを特徴とする発光素子である。
【0010】
【化1】
【0011】
〜R14はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、シリル基および−P(=O)R1617らなる群より選ばれる。16および17はアリール基またはヘテロアリール基である。〜R14は隣接する置換基同士で環を形成してもよい。15はアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群より選ばれる。Lは単結合、アリーレン基およびヘテロアリーレン基からなる群より選ばれる。HArは電子受容性窒素を有する芳香族複素環基であり、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フェナントロリニル基、イミダゾピリジル基、トリアジル基、アクリジル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基およびベンゾチアゾリル基からなる群より選ばれ。)
【発明の効果】
【0014】
本発明により、高発光効率と耐久性とを両立した有機薄膜発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物について詳細に説明する。
【0016】
【化3】
【0017】
31〜R38はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、シリル基、−P(=O)R3940および下記一般式(2)で表される基からなる群より選ばれる。R39およびR40はアリール基またはヘテロアリール基である。R31〜R38は隣接する置換基同士で環を形成してもよい。ただし、R31〜R38のうちいずれか1つは下記一般式(2)で表される基であり、一般式(2)におけるR41〜R49のうちいずれかの位置と連結する。Lは単結合、アリーレン基およびヘテロアリーレン基からなる群より選ばれる。HArは電子受容性窒素を有する芳香族複素環基である。
【0018】
【化4】
【0019】
41〜R48はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、シリル基および−P(=O)R5051からなる群より選ばれる。R50およびR51はアリール基またはヘテロアリール基である。R41〜R48は隣接する置換基同士で環を形成してもよい。R49はアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群より選ばれる。ただし、R41〜R49のうちいずれか1つは一般式(1)におけるR31〜R38のうちいずれかの位置と連結する。
【0020】
これらの置換基のうち、水素は重水素であってもよい。また、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
【0021】
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3以上20以下の範囲である。
【0022】
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミドなどの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
【0023】
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
【0024】
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。
【0025】
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
【0026】
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1以上20以下の範囲である。
【0027】
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1以上20以下の範囲である。
【0028】
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基など、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
【0029】
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールエーテル基における芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
【0030】
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
【0031】
ヘテロアリール基とは、フラニル基、チオフェニル基、ピリジル基、キノリニル基、ピラジニル基、ナフチリジル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上30以下の範囲である。
【0032】
ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ホスフィンオキサイド基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換基としては例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されてもよい。
【0033】
カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換基としては例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されてもよい。
【0034】
アミノ基とは、無置換でも置換されていてもよく、置換基としては例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されていてもかまわない。
【0035】
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素原子への結合を有する官能基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3以上20以下の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1以上6以下の範囲である。
【0036】
アリーレン基とは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基から導かれる2価の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アリーレン基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。一般式(1)のLがアリーレン基の場合、該アリーレン基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基も含めて炭素数は6以上60以下の範囲である。
【0037】
ヘテロアリーレン基とは、フラニル基、チオフェニル基、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ナフチリジル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基から 導かれる2価の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリーレン基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上30以下の範囲である。一般式(1)のLがヘテロアリーレン基の場合、該へテロアリーレン基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基も含めて炭素数は2以上50以下の範囲である。
【0038】
隣接する置換基同士で環を形成する場合、任意の隣接2置換基(例えば一般式(3)のRとR)が互いに結合して共役または非共役の縮合環を形成できる。縮合環の構成元素として、炭素以外にも窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
【0039】
電子受容性窒素を含む芳香族複素環基とは、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フェナントロリニル基、イミダゾピリジル基、トリアジル基、アクリジル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基など、上記ヘテロアリール基のうち、炭素以外の原子として、少なくとも電子受容性の窒素原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。
【0040】
電子受容性窒素を含む芳香族複素環基は無置換でも置換されていてもかまわない。電子受容性窒素を含む芳香族複素環基に含まれる電子受容性窒素の数は特に限定されないが、通常、1以上3以下の範囲である。また、電子受容性窒素を含む芳香族複素環基が置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができる。中でも、電子受容性窒素を含む芳香族複素環基の電子特性を大きく損なわない置換基が好ましく、例えば、炭素数6〜30の芳香族炭化水素、炭素数5〜20の電子受容窒素を含む芳香族複素環基が好ましい置換基として挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フェナントロリニル基、イミダゾピリジル基、トリアジル基、アクリジル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基などが挙げられるが、これらに限られない。
【0041】
ここで言う電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。窒素原子が高い電気陰性度を有することから、該多重結合は電子受容的な性質を有する。それゆえ、電子受容性窒素を含む芳香族複素環は、高い電子親和性を有する。
【0042】
電子受容性窒素を含む芳香族複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上30以下の範囲である。電子受容性窒素を含む芳香族複素環基の連結位置はどの部分でもよく、例えばピリジル基の場合、2−ピリジル基、3−ピリジル基または4−ピリジル基のいずれでもよい。
【0043】
従来のカルバゾール骨格を有する化合物は、発光素子材料として必ずしも十分な性能を有するものではなかった。本発明者らは、その改良の検討において、カルバゾール骨格を有する化合物の正孔輸送能と電子輸送能の強さに着目した。一般に、カルバゾール骨格を有する化合物は、正孔と電子の両電荷を輸送する特性を有するが、本発明者らは、正孔輸送能に対して電子輸送能が劣るために、発光層中の電荷のバランスが崩れることが発光性能の低下につながるのではないかと考え、かかる仮説を元に一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物を発明するに至った。
【0044】
一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物は、分子中にカルバゾール骨格と電子受容性窒素を含む芳香族複素環を有している。これにより、電子受容性窒素を含む芳香族複素環が電子の注入・輸送に関与するため、電子輸送能が大きくなり、発光層内の電荷のバランスがとれ、高効率発光と優れた耐久性を発現すると考えられる。また、カルバゾール骨格が連結されることで、カルバゾール骨格自体が有する高い三重項準位を維持することが可能であり、容易な失活を抑制できるため、高い発光効率が達成される。
【0045】
本発明の一般式(1)で表される化合物の中でも、一般式(3)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物が好ましい。
【0046】
【化5】
【0047】
〜R14はそれぞれ、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、シリル基および−P(=O)R1617からなる群より選ばれる。R16およびR17はアリール基またはヘテロアリール基である。R〜R14は隣接する置換基同士で環を形成してもよい。R15はアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群より選ばれる。Lは単結合、アリーレン基およびヘテロアリーレン基からなる群より選ばれる。HArは電子受容性窒素を有する芳香族複素環基である。
【0048】
これら置換基の説明は、上記一般式(1)の説明と同様である。
【0049】
さらに、一般式(1)で表される化合物におけるR49とL−HAr、および一般式(3)で表される化合物におけるR15とL−HArが異なる基であると、分子が非対称構造となり、カルバゾール骨格同士の相互作用抑制効果が高くなり、安定な薄膜が形成でき、耐久性の向上につながるため好ましい。
【0050】
15およびR49はカルバゾール骨格を有する化合物の三重項準位を下げない置換基が好ましく、中でも大きく共役を伸ばさない置換基が好ましい。特にメチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基が好ましい。
【0051】
HArは一般式(1)または一般式(3)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物の三重項準位を下げない置換基が好ましく、中でも大きく共役を伸ばさない置換基が好ましい。特にピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基が好ましい。
【0052】
一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物の合成には、公知の方法を使用することができる。カルバゾール二量体を合成する方法としては、例えば、塩化鉄(III)下でのカルバゾールの酸化カップリング反応を用いる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、カルバゾールのN上に置換基を導入する方法としては、例えば、パラジウムや銅触媒を用いたカルバゾール誘導体とハロゲン化物とのカップリング反応を用いる方法が挙げられるが、これ限定されるものではない。
【0053】
上記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0054】
【化6】
【0055】
【化7】
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
【化12】
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】
【化17】
【0066】
【化18】
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
【化21】
【0070】
【化22】
【0071】
【化23】
【0072】
【化24】
【0073】
【化25】
【0074】
本発明における一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物は発光素子材料として用いられる。ここで本発明における発光素子材料とは、発光素子のいずれかの層に使用される材料を表し、後述するように、正孔輸送層、発光層および/または電子輸送層に使用される材料であるほか、陰極の保護膜に使用される材料も含む。本発明における一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物を発光素子のいずれかの層に使用することにより、高い発光効率が得られ、かつ耐久性に優れた発光素子が得られる。
【0075】
一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物は、高い発光効率、高い三重項準位、バイポーラー性(両電荷輸送性)および薄膜安定性を有しているため、発光素子の発光層に用いることが好ましい。特に、高い三重項準位を有していることから、燐光性ドーパントに対するホスト材料として発光層に用いることが好ましい。
【0076】
次に、本発明の発光素子の実施の形態について詳細に説明する。本発明の発光素子は、陽極と陰極、およびそれら陽極と陰極との間に介在する有機層を有し、該有機層は少なくとも発光層を含み、該発光層が電気エネルギーにより発光する。
【0077】
有機層は、発光層のみからなる構成の他に、1)正孔輸送層/発光層/電子輸送層および、2)発光層/電子輸送層、3)正孔輸送層/発光層などの積層構成が挙げられる。また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよい。正孔輸送層および電子輸送層が複数層を有する場合、電極に接する側の層をそれぞれ正孔注入層および電子注入層と呼ぶことがあるが、以下の説明では特に言及しない限りでは正孔注入材料は正孔輸送材料に、電子注入材料は電子輸送材料にそれぞれ含まれる。
【0078】
本発明の発光素子において、陽極と陰極は素子の発光のために十分な電流を供給するための役割を有するものであり、光を取り出すために少なくとも一方は透明または半透明であることが望ましい。通常、基板上に形成される陽極を透明電極とする。
【0079】
陽極に用いる材料は、正孔を有機層に効率よく注入できる材料、かつ光を取り出すために透明または半透明であれば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物、あるいは、金、銀、クロムなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなど特に限定されるものでないが、ITOガラスやネサガラスを用いることが特に望ましい。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。透明電極の抵抗は素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、20Ω/□以下の低抵抗の基板を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。
【0080】
また、発光素子の機械的強度を保つために、発光素子を基板上に形成することが好ましい。基板は、ソーダガラスや無アルカリガラスなどのガラス基板が好適に用いられる。ガラス基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましい。または、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することもできる。さらに、第一電極が安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えば、プラスチック基板上に陽極を形成しても良い。ITO膜形成方法は、電子線ビーム法、スパッタリング法および化学反応法など特に制限を受けるものではない。
【0081】
陰極に用いる材料は、電子を効率よく発光層に注入できる物質であれば特に限定されない。一般的には白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、またはこれらの金属とリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの低仕事関数金属との合金や多層積層などが好ましい。中でも、主成分としてはアルミニウム、銀、マグネシウムが電気抵抗値や製膜しやすさ、膜の安定性、発光効率などの面から好ましい。特にマグネシウムと銀で構成されると、本発明における電子輸送層および電子注入層への電子注入が容易になり、低電圧駆動が可能になるため好ましい。
【0082】
さらに、陰極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、シリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などの有機高分子化合物を、保護膜層として陰極上に積層することが好ましい例として挙げられる。ただし、陰極側から光を取り出す素子構造(トップエミッション構造)の場合は、保護膜層は可視光領域で光透過性のある材料から選択される。これらの電極の作製法は、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど特に制限されない。
【0083】
正孔輸送層は、正孔輸送材料の一種または二種以上を積層または混合する方法、もしくは、正孔輸送材料と高分子結着剤の混合物を用いる方法により形成される。また、正孔輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して正孔輸送層を形成してもよい。正孔輸送材料は、電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率良く輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率良く輸送することが望ましい。そのためには適切なイオン化ポテンシャルを持ち、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが要求される。このような条件を満たす物質として、特に限定されるものではないが、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、フラーレン誘導体、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましい。
【0084】
さらにp型Si、p型SiC等の無機化合物も使用できる。また、下記一般式(4)で表される化合物、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(4F−TCNQ)または酸化モリブデンも用いることができる。
【0085】
【化26】
【0086】
18〜R23はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、ハロゲン、スルホニル基、カルボニル基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基からなる群より選ばれる。
【0087】
中でも、化合物(5)(1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル)が正孔輸送層または正孔注入層に含まれると、より低電圧駆動となるため好ましい。
【0088】
【化27】
【0089】
本発明において、発光層は単一層、複数層のどちらでもよく、それぞれ発光材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成され、これはホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、いずれでもよい。すなわち、本発明の発光素子では、各発光層において、ホスト材料もしくはドーパント材料のみが発光してもよいし、ホスト材料とドーパント材料がともに発光してもよい。電気エネルギーを効率よく利用し、高色純度の発光を得るという観点からは、発光層はホスト材料とドーパント材料の混合からなることが好ましい。また、ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれでもよい。ドーパント材料は積層されていても、分散されていても、いずれでもよい。ドーパント材料は発光色の制御ができる。ドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料に対して20重量%以下で用いることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。ドーピング方法は、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
【0090】
一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物は電子受容性窒素を有する芳香族複素環基を有することから電子輸送材料として用いてもよいが、高い発光性能を有することから発光材料として好適に用いられる。また、本発明の発光素子材料は、青緑〜赤色領域(500〜680nm領域)に強い発光を示すことから、青緑〜赤色発光材料として好適に用いることができる。また、ホスト−ドーパント系の発光材料として用いる場合は、一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物はドーパント材料として用いてもよいが、薄膜安定性に優れることから、ホスト材料として好適に用いられる。一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物をホスト材料として用いると、組み合わせて用いられるドーパントの種類に応じ、高発光効率で高色純度な緑色発光や赤色発光を得ることができる。
【0091】
発光材料は、一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物の他に、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムを始めとする金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そして、ポリチオフェン誘導体などが使用できるが特に限定されるものではない。
【0092】
発光材料に含有されるホスト材料は、一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物一種のみに限る必要はなく、本発明の複数のカルバゾール骨格を有する化合物を混合して用いたり、その他のホスト材料の一種類以上を本発明のカルバゾール骨格を有する化合物と混合して用いてもよい。混合しうるホスト材料としては、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8−キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体などが使用できるが特に限定されるものではない。中でも、発光層がりん光発光を行う際に用いられるホストとしては、金属キレート化オキシノイド化合物、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体などが好適に用いられる。
【0093】
ドーパント材料として用いられる三重項発光材料としては、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)からなる群から選択される少なくとも一つの金属を含む金属錯体化合物であることが好ましい。配位子は、フェニルピリジン骨格またはフェニルキノリン骨格などの含窒素芳香族複素環を有することが好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではなく、要求される発光色、素子性能、ホスト化合物との関係から適切な錯体が選ばれる。具体的には、トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム錯体、トリス{2−(2−チオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、トリス{2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、トリス(2−フェニルベンゾチアゾール)イリジウム錯体、トリス(2−フェニルベンゾオキサゾール)イリジウム錯体、トリスベンゾキノリンイリジウム錯体、ビス(2−フェニルピリジル)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス{2−(2−チオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、ビス{2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジル}(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス(2−フェニルベンゾチアゾール)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス(2−フェニルベンゾオキサゾール)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビスベンゾキノリン(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス{2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジル}(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、テトラエチルポルフィリン白金錯体、{トリス(セノイルトリフルオロアセトン)モノ(1,10−フェナントロリン)}ユーロピウム錯体、{トリス(セノイルトリフルオロアセトン)モノ(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)}ユーロピウム錯体、{トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン)モノ(1,10−フェナントロリン)}ユーロピウム錯体、トリスアセチルアセトンテルビウム錯体などが挙げられる。また、特開2009−130141号に記載されているリン光ドーパントも好適に用いられる。これらに限定されるものではないが、高効率発光が得られやすいことから、イリジウム錯体または白金錯体が好ましく用いられる。
【0094】
ホスト材料として用いられる一般式(1)で示されるカルバゾール骨格を有する化合物およびドーパント材料として用いられる上記三重項発光材料は、発光層中に各々一種類のみが含まれていてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。三重項発光材料を二種以上用いる際には、ドーパント材料の総重量がホスト材料に対して20重量%以下であることが好ましい。
【0095】
また、発光層には上記ホスト材料および三重項発光材料の他に、発光層内のキャリヤバランスを調整するためや発光層の層構造を安定化させるための第3成分を更に含んでいてもよい。但し、第3成分としては、上記カルバゾール骨格を有する化合物からなるホスト材料および三重項発光材料からなるドーパント材料との間で相互作用を起こさないような材料を選択する。
【0096】
三重項発光系における好ましいホストおよびドーパントとしては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0097】
【化28】
【0098】
【化29】
【0099】
本発明において、電子輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送する層である。電子輸送層には、電子注入効率が高く、注入された電子を効率良く輸送することが望まれる。そのため電子輸送層は、電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが要求される。特に膜厚を厚く積層する場合には、低分子量の化合物は結晶化するなどして膜質が劣化しやすいため、安定な膜質を保つ分子量400以上の化合物が好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、電子輸送層が陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たすならば、電子輸送能力がそれ程高くない材料で構成されていても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料で構成されている場合と同等となる。したがって、本発明における電子輸送層には、正孔の移動を効率よく阻止できる正孔阻止層も同義のものとして含まれる。
【0100】
電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、一般式(1)で表されるカルバゾール骨格を有する化合物の他に、ナフタレン、アントラセンなどの縮合多環芳香族誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体が挙げられるが、駆動電圧を低減し、高効率発光が得られることから、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物(以下、「特定ヘテロアリール化合物」という)を用いることが好ましい。
【0101】
電子受容性窒素を含むヘテロアリール環は、高い電子親和性を有し、電子輸送能に優れ、電子輸送層に用いることで発光素子の駆動電圧を低減できる。これらのヘテロアリール環構造を有する化合物としては、例えば、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、キノキサリン誘導体およびナフチリジン誘導体などが好ましい化合物として挙げられる。中でも、トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼンなどのイミダゾール誘導体、1,3−ビス[(4−tert−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなどのオキサジアゾール誘導体、N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、バソクプロインや1,3−ビス(1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどのフェナントロリン誘導体、2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなどのベンゾキノリン誘導体、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロールなどのビピリジン誘導体、1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−ターピリジニル))ベンゼンなどのターピリジン誘導体、ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなどのナフチリジン誘導体が、電子輸送能の観点から好ましく用いられる。
【0102】
中でも、ピレン骨格を有する特定ヘテロアリール化合物、アントラセン骨格を有する特定ヘテロアリール化合物およびフェナントロリン骨格を有する特定ヘテロアリール化合物が好ましい。
【0103】
好ましい電子輸送材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。なお、下記の構造は一例であり、これらの類似化合物、例えば、1,3位がアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されたピレン誘導体、1,3,7位がアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されたピレン誘導体、1,6位がアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されたピレン誘導体、1,10位がアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されたアントラセン誘導体なども同様に好ましい例として挙げられる。
【0104】
【化30】
【0105】
上記電子輸送材料は単独でも用いられるが、上記電子輸送材料の2種以上を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いても構わない。また、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの金属と混合して用いることも可能である。電子輸送層のイオン化ポテンシャルは、特に限定されないが、好ましくは5.8eV以上8.0eV以下であり、より好ましくは6.0eV以上7.5eV以下である。
【0106】
発光素子を構成する上記各層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法など特に限定されないが、通常は、素子特性の点から抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好ましい。
【0107】
有機層の厚みは、発光物質の抵抗値にもよるので限定することはできないが、1〜1000nmであることが好ましい。発光層、電子輸送層、正孔輸送層の膜厚はそれぞれ、好ましくは1nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上100nm以下である。
【0108】
本発明の発光素子は、電気エネルギーを光に変換できる機能を有する。ここで電気エネルギーとしては主に直流電流が使用されるが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、できるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるよう選ばれるべきである。
【0109】
本発明の発光素子は、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示するディスプレイとして好適に用いられる。
【0110】
マトリクス方式とは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置され、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法は、線順次駆動方法やアクティブマトリクスのどちらでもよい。線順次駆動はその構造が簡単であるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリクスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
【0111】
本発明におけるセグメント方式とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、このパターンの配置によって決められた領域を発光させる方式である。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。そして、前記マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
【0112】
本発明の発光素子は、各種機器等のバックライトとしても好ましく用いられる。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が検討されているパソコン用途のバックライトに本発明の発光素子は好ましく用いられ、従来のものより薄型で軽量なバックライトを提供できる。
【実施例】
【0113】
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、下記の各実施例にある化合物の番号は上記に記載した化合物の番号を指すものである。
【0114】
合成例1
化合物[59]の合成
カルバゾール32.0g、無水塩化鉄[III]93.13gとクロロホルム400mlの混合溶液を窒素気流下、室温で22時間攪拌した。この混合溶液をメタノール1000mlに入れて1時間攪拌したのち、ろ過した。得られた粉末にテトラヒドロフラン600mlを加え、30分間還流したのち、ろ過して、不溶性物質を除去した。エバポレートした後、DMI100mlに加熱溶解させた後、5℃で再結晶させて9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール14.0gを得た。
【0115】
次に、9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール14.0g、ヨードベンゼン8.59g、ニトロベンゼン400ml、銅粉5.72gと炭酸カリウム12.44gの混合溶液を窒素気流下、180℃で4時間加熱攪拌した。室温に冷却した後、減圧蒸留でニトロベンゼンを除去した後、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、9−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール5.59gを得た。
【0116】
次に、シアヌル酸クロリド12.5gとテトラヒドロフラン12.5gの混合溶液を窒素気流下、0℃に冷やし、攪拌した。この混合溶液にフェニルマグネシウムブロミド(32% in THF)105.6gを1時間半かけてゆっくり滴下した。その際、系内温度は15℃以下を維持した。滴下後、室温で1時間半攪拌して、トルエン80mlを添加して、0℃に冷やした。この混合溶液に12%HClを15分間かけてゆっくり滴下した。その際、系内温度は30℃以下を維持した。その後、水を注入し、トルエンで抽出した。有機層を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン8.15gを得た。
【0117】
次に、55%水素化ナトリウム0.40gと脱水DMF30mlの混合溶液を窒素気流下、室温で攪拌した。この混合溶液に9−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール5.59gを脱水DMF100mlに溶解させた溶液をゆっくり滴下し、1時間攪拌した。その後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン3.52gを脱水DMF130mlに溶解させて、ゆっくり滴下し、さらに3時間半攪拌した後、水300mlを注入し、1時間攪拌した後、ろ過した。得られた固体をメタノール150mlで加熱洗浄した後、ろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、テトラヒドラフランとメタノールの混合溶媒で2回再結晶を行い、真空乾燥した後、白色粉末4.28gを得た。
【0118】
得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた白色結晶が化合物[59]であることが確認された。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):7.32−7.36(m、1H),7.45−7.55(m,5H),7.63−7.69(m,11H),7.83−7.85(m,1H),7.99−8.01(m,1H),8.20−8.21(t,1H),8.25−8.53(m,1H),8.40−8.41(d、1H),8.53−8.54(d,1H),8.79−8.81(m、4H),9.21−9.23(d,1H),9.26−9.27(d,1H)。
【0119】
なお、この化合物[59]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約320℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。HPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は昇華精製前が99.8%、昇華精製後が99.9%であった。
【0120】
合成例2
化合物[44]の合成
2,4,6−トリクロロピリミジン10g、フェニルボロン酸13.3g、2M炭酸ナトリウム水溶液163.5ml、1,2−ジメトキシエタン545mlとビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドの混合溶液を窒素気流下、2時間還流した。室温に冷却した後、トルエンで抽出した。 有機層を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、2−クロロ−4,6−ジフェニルピリミジン6.46gを得た。
【0121】
次に、9−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール4.08g、2−クロロ−4,6−ジフェニルピリミジン2.93g、ナトリウム-t-ブトキシド1.35g、脱水o−キシレン100mlの混合溶液を窒素気流下、室温で攪拌した。この混合溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.27g、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート0.16gを添加した後、140℃で1時間加熱攪拌した。この混合溶液をそのまま濾過した後、エバポレートした。メタノール200mlを添加し、2時間還流した後、濾過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、淡黄色粉末5.7gを得た。
【0122】
得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた淡黄色結晶が化合物[44]であることが確認された。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):7.32−7.35(m、1H),7.42−7.67(m,16H),7.83−7.85(m,1H),7.93−7.95(m,1H),8.00(s,1H),8.22−8.23(d,1H),8.25−8.27(m,1H),8.34−8.35(m、4H),8.42−8.43(d,1H),8.52−8.53(d、1H),9.05−9.07(d,1H),9.10−9.11(d,1H)。
【0123】
なお、この化合物[44]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約330℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。HPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は昇華精製前が99.8%、昇華精製後が99.9%であった。
【0124】
合成例3
化合物[18]の合成
2,4,6−トリクロロピリジン4.0g、フェニルボロン酸5.3g、1M炭酸ナトリウム水溶液87ml、1,2−ジメトキシエタン108mlとビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド290mgの混合溶液を窒素気流下、3時間還流した。室温に冷却した後、トルエンで抽出した。 有機層を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、4−クロロ−2,6−ジフェニルピリジン2.7gを得た。
【0125】
次に、9−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール3.0g、4−クロロ−2,6−ジフェニルピリジン2.15g、ナトリウム-t-ブトキシド0.99g、脱水o−キシレン73mlの混合溶液を窒素気流下、室温で攪拌した。この混合溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.13g、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート58mgを添加した後、140℃で6時間加熱攪拌した。この混合溶液をそのまま濾過した後、エバポレートした。メタノール100mlを添加し、2時間還流した後、室温に冷却し、濾過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、淡黄色粉末2.9gを得た。
【0126】
得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた淡黄色粉末が化合物[18]であることが確認された。
H−NMR(DMSO−d6(d=ppm)):7.32−7.36(m、1H),7.40−7.60(m,12H),7.68−7.77(m,5H),7.83−7.84(d,1H),7.91−7.93(m,1H),7.95−7.97(m,1H),8.29(s,2H),8.34−8.37(m,4H),8.40−8.41(d,1H),8.44−8.46(d、1H),8.73−8.75(m,2H)。
【0127】
なお、この化合物[18]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約320℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。HPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は昇華精製前が99.8%、昇華精製後が99.9%であった。
【0128】
合成例4
化合物[38]の合成
9−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール3.03g、1−ブロモ−3,5−ジクロロベンゼン1.84g、ナトリウム-t-ブトキシド1.0g、脱水o−キシレン70mlの混合溶液を窒素気流下、室温で攪拌した。この混合溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)85mg、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート86mgを添加した後、140℃で4時間加熱攪拌した。この混合溶液をそのまま濾過した後、エバポレートした。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、9−(3,5−ジクロロフェニル)−9’−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール3.29gを得た。
【0129】
次に、9−(3,5−ジクロロフェニル)−9’−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール3.29g、3−ピリジンボロン酸1.5g、1.27Mリン酸三カリウム水溶液21ml、1,4−ジオキサン30ml、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)136mgとトリシクロヘキシルホスフィン79mgの混合溶液を窒素気流下、12時間還流した。室温に冷却した後、トルエンで抽出した。 有機層を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、淡黄色粉末2.4gを得た。
【0130】
得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた淡黄色粉末が化合物[38]であることが確認された。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):7.31−7.38(m、2H),7.43−7.57(m,8H),7.61−7.66(m,5H),7.77−7.83(m,2H),7.88−7.91(m,3H),8.01−8.04(m,2H),8.23−8.28(m、2H),8.47−8.49(m,2H),8.69−8.70(m、2H),9.01−9.02(d,2H)。
【0131】
なお、この化合物[38]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約320℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。HPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は昇華精製前が99.8%、昇華精製後が99.9%であった。
【0132】
合成例5
化合物[224]の合成
3,6−ジブロモカルバゾール5.0g、フェニルカルバゾール−3−ボロン酸2.96g、酢酸パラジウム267mg、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン234mg、1M炭酸カリウム水溶液30ml、ジメトキシエタン80mlの混合溶液を窒素気流下、2時間還流した。室温に冷却した後、トルエン100mlで抽出した。有機層を水50mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、6−ブロモ−9’−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール3.48gを得た。
【0133】
次に、6−ブロモ−9’−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール3.48g、3−ピリジンボロン酸1.32g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド100mg、1M炭酸ナトリウム水溶液14ml、1,4−ジオキサン35mlの混合溶液を窒素気流下、2時間還流した。室温に冷却した後、トルエン50mlで抽出した。有機層を水20mlで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、9’−フェニル−6−(ピリジン−3−イル)−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール2.1gを得た。
【0134】
次に、55%水素化ナトリウム231mgと脱水DMF10mlの混合溶液を窒素気流下、室温で攪拌した。この混合溶液に9’−フェニル−6−(ピリジン−3−イル)−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール2.1gを脱水DMF15mlに溶解させた溶液をゆっくり滴下し、3時間攪拌した。その後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン1.20gを脱水DMF25mlに溶解させて、ゆっくり滴下し、さらに2時間半攪拌した後、水50mlを注入し、1時間攪拌した後、ろ過した。得られた固体をメタノール50mlで1時間還流した後、室温に冷却した後、ろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、DMFで再結晶を行い、真空乾燥した後、白色粉末2.11gを得た。
【0135】
得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた白色結晶が化合物[224]であることが確認された。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):7.31−7.34(m、1H),7.39−7.41(m,1H),7.44−7.45(m,2H),7.49−7.52(m,2H),7.60−7.67(m,10H),7.79−7.81(m,2H),7.94−7.96(m,1H),8.02−8.04(m,1H),8.23−8.25(d、1H),8.300−8.303(d,1H),8.370−8.373(d、1H),8.495−8.498(d,1H),8.62−8.63(t,1H),8.72−8.75(m,4H),9.040−9.043(d,1H),9.18−9.23(m,2H)。
【0136】
なお、この化合物[224]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約360℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。HPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は昇華精製前が99.7%、昇華精製後が99.8%であった。
【0137】
実施例1
ITO透明導電膜を125nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入材料として、銅フタロシアニンを10nm、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルを50nm蒸着した。
【0138】
次に、発光材料として、ホスト材料として化合物[59]を、またドーパント材料としてD−1をドープ濃度が10重量%になるように40nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送材料として、下記に示すE−1を20nmの厚さに積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを70nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率20.0lm/Wの高効率緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、2000時間で輝度半減した。
【0139】
【化31】
【0140】
比較例1
ホスト材料として下記式に示すH−1を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率10.4lm/Wの緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、400時間で輝度半減した。
【0141】
【化32】
【0142】
比較例2
ホスト材料として下記式に示すH−2を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率19.1lm/Wの緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、300時間で輝度半減した。
【0143】
【化33】
【0144】
比較例3
ホスト材料として下記式に示すH−3を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率12.3lm/Wの緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、700時間で輝度半減した。
【0145】
【化34】
【0146】
比較例4
ホスト材料として下記式に示すH−4を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率11.0lm/Wの緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、700時間で輝度半減した。
【0147】
【化35】
【0148】
比較例5
ホスト材料として下記式に示すH−5を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率9.0lm/Wの緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、700時間で輝度半減した。
【0149】
【化36】
【0150】
実施例2
ホスト材料として化合物[44]を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率21.0lm/Wの高効率緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、2200時間で輝度半減した。
【0151】
実施例3
ホスト材料として化合物[62]を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率19.2lm/Wの高効率緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、1500時間で輝度半減した。
【0152】
実施例4
ホスト材料として化合物[18]を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率19.0lm/Wの高効率緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、1300時間で輝度半減した。
【0153】
実施例5
ホスト材料として化合物[38]を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率19.0lm/Wの高効率緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、1300時間で輝度半減した。
【0154】
実施例6
ホスト材料として化合物[224]を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率23.0lm/Wの高効率緑色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、1800時間で輝度半減した。
【0155】
実施例1〜6および比較例1〜5の結果を表1に示した。
【0156】
【表1】
【0157】
実施例7〜8、参考例9〜10、実施例11〜13
ホスト材料、ドーパント材料、電子輸送材料として表2に記載した材料を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。結果は表2に示した。なお、表2中、E−2は下記に示す化合物である。
【0158】
【化37】
【0159】
【表2】
【0160】
比較例6
ホスト材料、ドーパント材料、電子輸送材料として表2に記載した材料を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。結果は表2に示した。
【0161】
実施例14〜18
ホスト材料、ドーパント材料、電子輸送材料として表3に記載した材料を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。結果は表3に示した。なお、表3中、E−3、E−4、E−5、E−6、E−7は下記に示す化合物である。
【0162】
【化38】
【0163】
【表3】
【0164】
実施例19
ITO透明導電膜を125nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断し、フォトリソグラフィー法によって300μmピッチ(残り幅270μm)×32本のストライプ状にパターン加工した。ITOストライプの長辺方向片側は外部との電気的接続を容易にするために1.27mmピッチ(開口部幅800μm)まで広げてある。得られた基板をアセトン、“セミコクリン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で各々15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いて、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔輸送材料として4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルを150nm蒸着した。次に、ホスト材料として化合物〔59〕を、またドーパント材料として(D−1)をドープ濃度が10%になるように40nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送材料としてE−1を20nmの厚さに積層した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。次に、厚さ50μmのコバール板にウエットエッチングによって16本の250μmの開口部(残り幅50μm、300μmピッチに相当)を設けたマスクを、真空中でITOストライプに直交するようにマスク交換し、マスクとITO基板が密着するように裏面から磁石で固定した。そしてフッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを200nm蒸着して32×16ドットマトリクス素子を作製した。本素子をマトリクス駆動させたところ、クロストークなく文字表示できた。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の発光素子材料は、発光素子等に利用可能で、発光性色素として有用な発光素子材料を提供できる。本発明によれば、高い発光効率と優れた耐久性とを両立した発光素子が得られる。本発明の発光素子は、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機および光信号発生器などの分野に利用可能である。