(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821798
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6566 20140101AFI20151104BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20151104BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20151104BHJP
H01M 10/6557 20140101ALI20151104BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20151104BHJP
H01M 2/30 20060101ALI20151104BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20151104BHJP
【FI】
H01M10/6566
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6557
H01M2/10 E
H01M2/30 C
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-167403(P2012-167403)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-26870(P2014-26870A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勝義
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
【審査官】
小宮 慎司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−227030(JP,A)
【文献】
特開2006−185815(JP,A)
【文献】
特開平11−329518(JP,A)
【文献】
特開2010−118239(JP,A)
【文献】
特開平10−003895(JP,A)
【文献】
特開2006−079751(JP,A)
【文献】
特開2012−009311(JP,A)
【文献】
特開2012−146403(JP,A)
【文献】
特開2012−144360(JP,A)
【文献】
特開2013−131341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60−10/667
H01M 10/52−10/54
H01M 10/42−10/48
H01M 2/10
H01M 2/20− 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに収容され、互いに所定の間隙をもって近接配置又は積層配置される複数の二次電池と、
前記ケース内部において、前記ケースの内面及び前記複数の二次電池の前記内面と対向する一面との間に形成される冷却媒体が流入する流入路と、
前記複数の二次電池を挟んで前記流入路と反対側に設けられる排出路と、を備え、前記流入路に供給された冷却媒体が前記間隙を介して前記排出路へ流通することで前記複数の二次電池の温度調節が行われる電池パックであって、
前記ケース内部の前記流入路と前記排出路との間における前記二次電池が配置されない収容部には、前記複数の二次電池と並んで電池制御機器が設けられ、
前記収容部に配置される電池制御機器は、前記二次電池の前記一面とともに前記流入路に面する連通防止部を備えることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記電池制御機器は、前記二次電池の監視を行う電池監視基板を備え、
前記電池監視基板が前記二次電池の前記一面とともに前記流入路に面する前記連通防止部を構成することを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記電池制御機器は、前記電池制御機器が収容される収容ケースを備え、
前記収容ケースの一側面が前記二次電池の前記一面とともに前記流入路に面する前記連通防止部を構成することを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記収容部に配置される前記電池制御機器は、前記連通防止部が前記二次電池の前記一面と略面一となるように配置されることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記複数の二次電池はそれぞれ前記一面に端子を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか1項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入路に供給された冷却媒体が間隙を介して排出路へ流通することで複数の二次電池の温度調節が行われる電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される二次電池は、使用時に規定温度に保たれることにより寿命低下を抑えることができる。例えば、特許文献1では、二次電池(バッテリパック)の温度調節が行われている。
【0003】
特許文献1に記載のバッテリパックは、複数のバッテリセルを直列接続してなるバッテリモジュールを複数並設した第1のバッテリユニット及び第2のバッテリユニットを備える。隣り合うバッテリセル同士の間には、間隙が形成されており、バッテリセル同士の間を冷却空気が流通するようになっている。また、第1のバッテリユニットと第2のバッテリユニットとが、所定の間隔を空けて配設されることで、第1のバッテリユニットと第2のバッテリユニットとの間に、各間隙と連通するチャンバ部が形成されている。また、バッテリパックには、チャンバ部に冷却空気を送風する冷却ファンが設けられている。チャンバ部において、冷却空気の流通方向における最下流部には、サービスプラグが設けられている。
【0004】
そして、冷却ファンが駆動することで、チャンバ部に冷却空気が流通し、チャンバ部を流通する冷却空気が、間隙に流入することで、各バッテリセルの冷却が行われる。チャンバ部において、圧力が最も高くなる冷却空気の流通方向における最下流部にサービスプラグを設けることで、この部分の圧力が高くなることを抑制している。この結果、チャンバ部における圧力の不均一さが抑制されることにより、間隙に流入する冷却空気の不均一さも解消され、バッテリセル間の温度差が小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−311157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数の二次電池により構成される電池パックは、その搭載性(二次電池の搭載密度)を高めることが望まれているとともに、電池パックに収容される複数の二次電池間での寿命の偏りを防ぐために使用時における複数の二次電池間の温度調節の偏りを抑えることが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、搭載性を高めることができるとともに、電池パックに収容される複数の二次電池間での温度調節の偏りを抑えることができる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ケースと、前記ケースに収容され、互いに所定の間隙をもって近接配置又は積層配置される複数の二次電池と、前記ケース内部において、前記ケースの内面及び前記複数の二次電池の前記内面と対向する一面との間に形成される冷却媒体が流入する流入路と、前記複数の二次電池を挟んで前記流入路と反対側に設けられる排出路と、を備え、前記流入路に供給された冷却媒体が前記間隙を介して前記排出路へ流通することで前記複数の二次電池の温度調節が行われる電池パックであって、前記ケース内部の前記流入路と前記排出路との間における前記二次電池が配置されない収容部には、前記複数の二次電池と並んで電池制御機器が設けられ、前記収容部に配置される電池制御機器は、前記二次電池の前記一面とともに前記流入路に面する連通防止部を備えることを要旨とする。
【0009】
これによれば、流入路に供給される冷却媒体が、各二次電池の間隙を流れるよりも優先的に電池制御機器が収容される収容部を介して排出路へ流れることが連通防止部により防止される。このため、ケースの内面と二次電池の一面と電池制御機器とで構成される流入路において、冷却媒体の圧力を流入路全体で均一に上昇させることができるとともに、排出路に向けて各間隙に均一に冷却媒体を流通させることができる。したがって、複数の二次電池の間隙間で、流入路から各間隙へ流れる冷却媒体の流量に偏りが生じにくく、電池パックに収容される複数の二次電池間での温度調節の偏りを抑えることができる。また、電池制御機器をケース内部の収容部にモジュール電池と並べて設けることで、電池制御機器をケース外に設ける場合と比べると、電池パックが小型化され、搭載性を向上させることができる。
【0010】
また、前記電池制御機器は、前記二次電池の監視を行う電池監視基板を備え、前記電池監視基板が前記二次電池の前記一面とともに前記流入路に面する前記連通防止部を構成してもよい。
【0011】
これによれば、電池制御機器が備える電池監視基板を、連通防止部として兼用することができ、部品点数を増加させることなく流入路を形成することができる。
また、前記電池制御機器は、前記電池制御機器が収容される収容ケースを備え、前記収容ケースの一側面が前記二次電池の前記一面とともに前記流入路に面する前記連通防止部を構成してもよい。
【0012】
これによれば、電池制御機器が収容される収容ケースを、連通防止部として兼用することができ、部品点数を増加させることなく流入路を形成することができる。
また、前記収容部に配置される前記電池制御機器は、前記連通防止部が前記二次電池の前記一面と略面一となるように配置されていてもよい。
【0013】
これによれば、流入路に供給される冷却媒体の圧力を、流入口に近い側と遠い側とで均一にすることができる。
また、前記複数の二次電池はそれぞれ前記一面に端子を有していてもよい。
【0014】
これによれば、全ての二次電池において端子を均一に温度調節することができる。例えば、二次電池の放電時には、端子が最も温度が上昇する部分となる。そして、最も温度が上昇する部分である端子を均等に冷却することで、複数の二次電池間での温度調節の偏りを更に抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、搭載性を高めることができるとともに、電池パックに収容される複数の二次電池間での温度調節の偏りを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】(a)は
図1に示す電池パックの1−1線断面図、(b)は
図1に示す電池パックの2−2線断面図。
【
図3】実施形態における収容ケースの内部を模式的に示す平面図。
【
図4】実施形態における電池パックの電気的構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態について
図1〜
図4にしたがって説明する。
図1及び
図2(a),(b)に示すように、電池パック10のケース11には、複数の二次電池としてのモジュール電池21,26が収容されている。ケース11は、矩形板状をなす底板12と、この底板12の対向する一対の辺から立設された第1側壁13,14と、底板12において第1側壁13,14が立設された辺と交わる一対の辺から立設された第2側壁15,16と、底板12と対向する天板17と、から四角箱状に形成されている。
【0018】
図2(b)に示すように、ケース11の内部であって底板12上には、複数の載置部材18が固定されている。そして、載置部材18上にモジュール電池21が載置されるとともに、モジュール電池21と底板12との間には、冷却媒体(本実施形態では冷却風)が流通する第1間隙31が区画されている。第1間隙31は、対向する第1側壁13,14のうち、一方の第1側壁13から他方の第1側壁14に至るまで延びている。複数の載置部材18は、対向する一対の第1側壁13,14の間に架設されている。本実施形態では、載置部材18は、一対の第2側壁15,16の対向方向に一定間隔毎に4本固定されている。なお、載置部材18上に載置されたモジュール電池21を第1モジュール電池21とする。
【0019】
第1モジュール電池21は、一対の第2側壁15,16の対向方向に3個近接配置されるとともに、それら3個のモジュール電池21のうち、第2側壁15,16に隣り合う各モジュール電池21には、一対のスペーサ22が間隔をあけて載置されている。スペーサ22上には、モジュール電池26が支持され、底板12と天板17の対向方向にモジュール電池26が積層配置されている。モジュール電池26は、スペーサ22によって所定の間隙をもってモジュール電池21に積層配置されている。なお、スペーサ22上に載置されたモジュール電池26は、第1モジュール電池21と同一のモジュール電池であるが、説明の便宜上、第2モジュール電池26として説明を行う。そして、底板12と天板17の対向方向に並設されたモジュール電池21,26の間には、スペーサ22によって冷却媒体が流通する間隙としての第2間隙32が形成されている。各第2間隙32は、対向する第1側壁13,14のうち、一方の第1側壁13から他方の第1側壁14に至るまで延びている。
【0020】
図2(a)に示すように、一方の第1側壁13の内面と、この内面に対向するモジュール電池21,26の第1面21a,26a(一面)との間には、モジュール電池21,26の温度調節を行う冷却媒体が供給される流入路41が形成されている。流入路41は、対向する一対の第2側壁15,16のうち、一方の第2側壁16から他方の第2側壁15に至るまで延びている。また、第1面21a,26aには、モジュール電池21,26の端子としての正極端子23及び負極端子24が突設され、第1面21a,26aが流入路41に面することで、正極端子23及び負極端子24は流入路41に露出している。
【0021】
図2(b)に示すように、ケース11の外部であり、一方の第2側壁16の外面には、流入路41に冷却媒体(冷却風)を供給する送風機42が固定されている。
三つの第1モジュール電池21のうち、中央の第1モジュール電池21と、二つの第2モジュール電池26に囲まれる領域には、収容部Sが形成されており、この収容部Sには、モジュール電池21,26を制御する電池制御機器を収容する収容ケース51が配設されている。具体的には、上記中央の第1モジュール電池21上には、一対のスペーサ22が間隔を空けて載置されるとともに、それらスペーサ22上には、収容ケース51が支持されている。
【0022】
図2(a)に示すように、他方の第1側壁14の内面と、この内面に対向するモジュール電池21,26の第2面21b,26b及び第1側壁14の内面に対向する収容ケース51の第2面51bとの間には、モジュール電池21,26の温度調節をした後の冷却媒体が排出される排出路43が区画されている。したがって、排出路43は、モジュール電池21,26を挟んで流入路41と反対側に区画されている。この排出路43は、対向する一対の第2側壁15,16のうち、一方の第2側壁16から他方の第2側壁15まで延びている。よって、収容部Sは、ケース11内部の流入路41と排出路43との間におけるモジュール電池21,26が配置されない領域となっている。
【0023】
図3に示すように、収容ケース51には、電池監視基板52、電池ECU53、サービスプラグ54及びシステムメインリレー55が収容されている。収容ケース51は、モジュール電池21,26と同じ大きさに形成されている。そして、収容ケース51によって収容部Sを介した流入路41と排出路43の連通が防止されている。
【0024】
図2(b)に示すように、中央の第1モジュール電池21と、スペーサ22を介して支持された収容ケース51の間には、冷却媒体が流通する第3間隙33が区画されている。第3間隙33は、対向する第1側壁13,14のうち、一方の第1側壁13から他方の第1側壁14に至るまで延びている。更に、収容ケース51において第1側壁13と対向する第1面51aは、モジュール電池21,26の第1面21a,26aと略面一となっている。したがって、第1モジュール電池21の第1面21a、第2モジュール電池26の第1面26a及び収容ケース51の一側面である第1面51aは、全て流入路41に面している。すなわち、流入路41は、第1側壁13の内面(ケース11の内面)と、モジュール電池21,26の第1面21a,26aと、収容ケース51の一側面である第1面51a(連通防止部)と底板12の内面(ケース11の内面)とによって区画されている。収容ケース51の第1面51aは、モジュール電池21,26の第1面21a,26aとともに流入路41を区画している。そして、収容ケース51の第1面51aは、モジュール電池21,26の第1面21a,26aとともに流入路41に面することで、収容部Sを介した流入路41と排出路43との連通を防止する連通防止部として機能している。
【0025】
天板17と、天板17と対向する第2モジュール電池26の上面及び収容ケース51の上面との間には、冷却媒体が流通する第4間隙34が区画されている。第4間隙34は、対向する第1側壁13,14のうち、一方の第1側壁13から他方の第1側壁14に至るまで延びている。
【0026】
各間隙31〜34は、流入路41及び排出路43と連通している。また、第1モジュール電池21は、第1間隙31,第2間隙32及び第3間隙33に側面が面するとともに、第2モジュール電池26は、第2間隙32及び第4間隙34に側面が面している。各間隙31〜34での冷却媒体の流通方向に直交する方向の断面積は、同一となっている。また、流入路41において、流入路41への冷却媒体の供給方向に直交する方向の断面積は、各間隙31〜34への冷却媒体の供給方向の断面積の総和に比べて大きくなっている。
【0027】
次に、電池パック10の電気的構成について説明する。
図4に示すように、各モジュール電池21,26(図では1個のみ図示)は、複数の電池セル25を直列接続又は並列接続することで構成されている。そして、電池セル25には、電圧計56が設けられている。電圧計56は、電圧が変動する箇所毎に設けられる。例えば、電池セル25が直列接続されている場合には、各電池セル25に電圧計56が設けられている。電圧計56は、電池監視基板52に接続されており、電池セル25の電圧を電池監視基板52に出力する。
【0028】
各モジュール電池21,26において一つの電池セル25には、電池セル25の温度を計測する温度センサ57が設けられている。温度センサ57は、電池セル25の温度を計測して電池監視基板52に出力する。
【0029】
図1に示すように、収容ケース51の第1面51aには、電圧計56及び温度センサ57が接続されるコネクタ59,60が設けられており、電圧計56及び温度センサ57は、コネクタ59,60を介して電池監視基板52に接続されている。
【0030】
図4に示すように、電池パック10には、電流計58が設けられており、直列接続されたモジュール電池21,26の電流を計測する。電流計58は、電池ECU53に接続されており、モジュール電池21,26の電流を電池ECU53に出力する。
【0031】
電池監視基板52は、温度センサ57から出力された電池セル25の温度と、電圧計56から出力された電圧を電池ECU53に出力する。そして、電池ECU53は、入力された電池セル25の温度及び電圧に加え、モジュール電池21,26の電流に基づいてモジュール電池21,26の制御を行う。
【0032】
各モジュール電池21,26は、サービスプラグ54、システムメインリレー55を介して図示しない負荷(例えば、モータなど)に直列接続されている。サービスプラグ54は、直列接続された各モジュール電池21,26の接続を、分断するように設けられ、作業時などに引き抜かれることで、作業の安全性を確保する。
【0033】
システムメインリレー55は、モジュール電池21,26と負荷との接続を切り替えることで、負荷への通電を制御している。
そして、モジュール電池21,26は、電池ECU53、サービスプラグ54、システムメインリレー55によって制御され、これらがモジュール電池21,26の制御を行う電池制御機器として機能している。そして、これらの電池制御機器は、電池監視基板52に接続されている。したがって、電池監視基板52も電池制御機器として機能している。また、これらの電池制御機器が収容される収容ケース51も電池制御機器の一部を構成しているといえる。
【0034】
次に、本実施形態の電池パック10の作用について説明する。
電池パック10において、モジュール電池21,26の温度調節を行うときには、送風機42から流入路41に冷却媒体(冷却風)が供給される。送風機42から冷却媒体が供給されると、流入路41全体の圧力が均一に上昇し、各間隙31〜34に冷却媒体が流入する。このとき、電池制御機器の設置スペースである収容部Sには、収容ケース51が配設され、収容ケース51の第1面51aがモジュール電池21,26の第1面21a,26aとともに流入路41に面することで、収容ケース51の第1面51aが連通防止部として機能し、収容部Sへの冷却媒体の流入は防止されている。このため、冷却媒体が間隙31〜34を流れるよりも優先的に収容部Sに流れることが防止される。そして、各間隙31〜34を流通する冷却媒体は、モジュール電池21,26の冷却を行い、排出路43に排出される。
【0035】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電池制御機器の設置スペースである収容部Sに配置された収容ケース51の第1面51aは、モジュール電池21,26の第1面21a,26aとともに流入路41に面する連通防止部として機能している。よって、流入路41に供給される冷却媒体が、各モジュール電池21,26の間隙31〜34を流れるよりも優先的に収容部Sを介して排出路43へ流れることが収容ケース51の第1面51aによって防止される。このため、流入路41全体で、冷却媒体の圧力を均一に上昇させることができるとともに、排出路43に向けて各間隙31〜34に均一に冷却媒体を流通させることができる。したがって、複数のモジュール電池21,26間で、流入路41から各間隙31〜34へ流れる冷却媒体の流量に偏りが生じにくく、電池パック10に収容される複数のモジュール電池21,26間での温度調節の偏りを抑えることができる。また、電池制御機器をケース11内部の収容部Sにモジュール電池21,26と並べて設けることで、電池制御機器をケース11外に設ける場合と比べると、電池パック10が小型化され、搭載性を向上させることができる。
【0036】
(2)収容ケース51の第1面51aを連通防止部として機能させている。したがって、電池制御機器が収容される収容ケース51を、連通防止部として兼用することができ、部品点数を増加させることなく流入路41を形成することができる。
【0037】
(3)収容ケース51において、第1側壁13と対向する第1面51aは第1モジュール電池21及び第2モジュール電池26の第1面21a,26aと略面一となっている。したがって、流入路41に供給される冷却媒体の圧力を、流入口(送風機42)に近い側と遠い側とで均一にすることができる。
【0038】
(4)正極端子23及び負極端子24が設けられる第1面21a,26aは、流入路41に面している。したがって全てのモジュール電池21,26において正極端子23及び負極端子24を均一に温度調節することができる。例えば、モジュール電池21,26の放電時には、正極端子23及び負極端子24が最も温度が上昇する部分となる。そして、最も温度が上昇する部分である正極端子23及び負極端子24を均等に冷却することで、複数のモジュール電池21,26間での温度調節の偏りを更に抑えることができる。
【0039】
なお、実施形態は以下のように変更してもよい。
○
図5に示すように、ケース11内で収容ケース51を配設する場所は、収容ケース51の第1面51aによって流入路41を区画できればどこであってもよい。
【0040】
○ 実施形態において、二次電池として複数の電池セル25を接続してなるモジュール電池21,26を採用したが、二次電池としてセル電池(単一の電池セル25)を採用してもよい。
【0041】
○ 収容ケース51及びモジュール電池21,26によって流入路41を区画したが、収容ケース51を設けずに、電池監視基板52をモジュール電池21,26と並べて配置して、電池監視基板52とモジュール電池21,26によって流入路41を区画してもよい。この場合、電池監視基板52が連通防止部として機能する。この場合、電池監視基板52を、流入路41を形成するための部材として兼用することができ、部品点数を増加させることなく流入路41を形成することができる。
【0042】
○ 電池ECU53や、サービスプラグ54などの電池制御機器を連通防止部としてもよい。
○ 収容ケース51の寸法をモジュール電池21,26と同一の寸法としたが、これに限られない。例えば、収容ケース51を収容部Sの寸法よりも若干小さくしてもよい。
【0043】
○ 収容ケース51の内部に電池監視基板52、サービスプラグ54、システムメインリレー55及び電池ECU53の全てを収容したが、これに限られない。例えば、電池監視基板52のみを収容ケース51に収容し、他の電池制御機器を収容ケース51外に配設してもよい。すなわち、収容ケース51には、少なくとも一つの電池制御機器が収容されていればよい。
【0044】
○ 冷却媒体として、液状の冷却媒体を用いてもよい。
○ モジュール電池21,26の数は、増やしてもよいし、減らしてもよい。モジュール電池21,26の数を変更する場合、第1モジュール電池21の数に合わせて載置部材18の数も変更することが好ましい。
【0045】
○ 電池制御機器として、他の機器を用いてもよい。
○ 第1モジュール電池21と底板12との間に、載置部材18に代えてダクトを設けることで第1間隙31を形成してもよい。同様に、第1モジュール電池21と第2モジュール電池26との間に、スペーサ22に代えてダクトを設けることによって第2間隙32を形成してもよい。同様に、第1モジュール電池21と収容ケース51の間に、スペーサ22に代えてダクトを設けることで第3間隙33を形成してもよい。また、流入路41及び排出路43をダクトで形成してもよい。
【0046】
○ モジュール電池21,26において、底板12と天板17の対向方向に間隙31〜34を並設したが、第2側壁15,16の対向方向に間隙が形成されるようにモジュール電池21,26を設けてもよい。また、モジュール電池21において、底板12と天板17の対向方向及び第2側壁15,16の対向方向の両方向に間隙を並設してもよい。
【0047】
○ 収容ケース51の第1面51aは、モジュール電池21,26の第1面21a,26aと略面一となっていなくてもよい。
○ 電池パック10に冷却媒体の温度調節(加熱又は冷却)を行う温度調節装置(例えば、熱電変換モジュール、冷却装置及びヒータ)などを設けてもよい。この場合、冷却媒体を加熱又は冷却することで、モジュール電池21,26に対する温度調節効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
10…電池パック、11…ケース、21,26…モジュール電池、23…端子としての正極端子、24…端子としての負極端子、31…第1間隙、32…間隙としての第2間隙、33…第3間隙、34…第4間隙、41…流入路、43…排出路、51…収容ケース、51a…連通防止部としての第1面、52…電池制御機器としての電池監視基板、53…電池制御機器としての電池ECU、54…電池制御機器としてのサービスプラグ、55…電池制御機器としてのシステムメインリレー。