特許第5821804号(P5821804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821804
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】端子台および端子台の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/22 20060101AFI20151104BHJP
【FI】
   H01R9/22
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-177955(P2012-177955)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-35973(P2014-35973A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2014年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芥 大輔
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−151038(JP,A)
【文献】 特開2012−089414(JP,A)
【文献】 特開2004−040945(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0204537(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部材が上面に載置されてボルトが締結されるナットと機器に固定されるブラケットと樹脂によって隔てられた状態で一体に固定された端子台であって、
前記ナットのボルト締結孔における開口縁には、上下方向に型開きする成形金型に設けられた支持ピンが下側から嵌合可能な嵌合凹部が形成されており
前記ブラケットにおける前記機器に固定される側の面は、前記機器との間でシール部材を挟持するシール面とされており
前記シール面は、前記嵌合凹部に嵌合された前記支持ピンと重ならない配置とされており、
記ナットと前記ブラケットとは、前記嵌合凹部と前記支持ピンとの嵌合方向から視た場合に、少なくとも一部が重なるように近接して配置されている端子台。
【請求項2】
前記ボルト締結孔は、前記ナットを上下方向に貫通して形成されており、前記嵌合凹部は、前記ナットにおける前記ボルト締結孔の上下方向両開口縁に形成されている請求項1記載の端子台。
【請求項3】
前記ナットの側面は、前記樹脂によって形成されたナット覆い部によって覆われており、前記ナット覆い部には、下側に開口する肉抜き部が形成されている請求項1または請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
導電部材が載置されてボルトが締結されるナットと、機器に固定されるブラケットとが樹脂によって一体に成形される端子台の製造方法であって、
上型と下型とが上下方向に型開きする成形金型のうち前記下型に形成された支持ピンが前記ブラケットにおける前記機器に固定される側の面に形成されたシール面を貫通しないように前記ブラケットを配置するブラケット配置工程と、
前記ブラケット配置工程の後、前記支持ピンに前記ナットのボルト締結孔を嵌合させることにより、前記ブラケットの上方に前記ナットを上下方向に対向させるように配置するナット配置工程と、
前記ナット配置工程の後に、前記上型と前記下型と型閉じする型閉じ工程と、
前記型閉じ工程の後に、前記ナットと前記ブラケットの間に前記樹脂を流し込むことにより、前記ナットと前記ブラケットを上下方向に少なくとも一部を重ねるようにして前記ナットと前記ブラケットを前記樹脂によって一体に固定する固定工程とを備える端子台の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台および端子台の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータやインバータなどの機器から延びるバスバーなどの導電部材同士を電気的に接続する端子台として特許文献1に記載のものが知られている。
この端子台は、機器から延びる導電部材が載置されるナットと、機器に固定されるブラケットとを備えており、ナットの下方に絶縁シートを介して金属製のブラケットを配し、これらを樹脂によって一体に固定することにより構成されている。そして、ブラケットに設けられたボルト挿通孔にボルトを挿通させて機器に締め付けることで、端子台が機器に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−98007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、ナットとブラケットを樹脂成形によって一体に固定する際に、ナットとブラケットの間に絶縁シートを配さず、ナットとブラケットの間に樹脂を流し込むことにより、ナットとブラケットを絶縁するといったことが検討されている。上下方向に型開きする成形金型において、ナットとブラケットの間に樹脂を流し込むには、通常、支持ピンなどによってナットを下側から支持することにより、ナットとブラケットの間に隙間を作り、この隙間に樹脂を流し込むことになる。ところが、ナットの下端部全体を覆うようにナットを下側から支持すると、ナットとブラケットを上下方向に重ならないようにずらした構成にしなければならず、端子台がナットとブラケットをずらした方向に大型化してしまう。端子台を大型化させない方法の一例として、ブラケットに上下方向に貫通する貫通孔を設けて、この貫通孔に支持ピンを挿通させ、ナットを下側から支持ピンによって支持することにより、ナットとブラケットを上下方向に重ねる方法も考えられるが、ブラケットの裏面にシール面などが存在し、ブラケットに貫通孔などを設けることができない場合があり、その対策が切望されていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、絶縁シートを用いることなく、ナットとブラケットの間に樹脂を流し込んで一体に成形する端子台を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、導電部材が上面に載置されてボルトが締結されるナットと機器に固定されるブラケットと樹脂によって隔てられた状態で一体に固定された端子台であって、前記ナットのボルト締結孔における開口縁には、上下方向に型開きする成形金型の支持ピンが下側から嵌合可能な嵌合凹部が形成されており、前記ブラケットにおける前記機器に固定される側の面は、前記機器との間でシール部材を挟持するシール面とされており前記シール面は、前記嵌合凹部に嵌合された前記支持ピンと重ならない配置とされており、前記ナットと前記ブラケットとは、前記嵌合凹部と前記支持ピンとの嵌合方向から視た場合に、少なくとも一部が重なるように近接して配置されているところに特徴を有する。
【0007】
また、本発明は、導電部材が載置されてボルトが締結されるナットと、機器に固定されるブラケットとが樹脂によって一体に成形される端子台の製造方法であって、上型と下型とが上下方向に型開きする成形金型のうち前記下型に形成された支持ピンが前記ブラケットにおける前記機器に固定される側の面に形成されたシール面を貫通しないように前記ブラケットを配置するブラケット配置工程と、前記ブラケット配置工程の後に、前記支持ピンに前記ナットのボルト締結孔を嵌合させることにより、前記ブラケットの上方に前記ナットを上下方向に対向させるように配置するナット配置工程と、前記ナット配置工程の後に、前記上型と前記下型と型閉じする型閉じ工程と、前記型閉じ工程の後に、前記ナットと前記ブラケットの間に前記樹脂を流し込むことにより、前記ナットと前記ブラケットを上下方向に少なくとも一部を重ねるようにして前記ナットと前記ブラケットを前記樹脂によって一体に固定する固定工程とを備えるところに特徴を有する。
【0008】
このような構成の端子台によると、上下方向に型開きする成形金型内において、ブラケットのシール面に孔を設けることなく、嵌合凹部が形成された位置でナットを下側から支持することができる。すなわち、ナットとブラケットの間に絶縁シートを配さずに、ナットとブラケットの間を絶縁しつつ、ナットとブラケットを上下方向に一部重なるようにして一体に成形することができる。これにより、ナットとブラケットが重なっていない場合に比べて、ナットとブラケットが上下方向に重なった分だけ、ナットとブラケットを近接して配置することができ、ひいては端子台を小型化することができる。また、嵌合凹部を位置決めする位置決め凹部として兼用することができることから、ナットを支持する支持ピンとナットを位置決めする位置決めピンとの双方を成形金型内に設ける場合に比べて、成形金型を簡素化することができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記ボルト締結孔は、前記ナットを上下方向に貫通して形成されており、前記嵌合凹部は、前記ナットにおける前記ボルト締結孔の上下方向両開口縁に形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、成形金型の支持ピンにナットを配置する時、嵌合凹部が形成された側を確認してからナットを配置する必要が無い。これにより、成形金型内にナットをセットする作業性を向上させることができる。
【0010】
前記ナットの側面は、前記樹脂によって形成されたナット覆い部によって覆われており、前記ナット覆い部には、下側に開口する肉抜き部が形成されている構成としてもよい。
一般に、上下に型開きする成形金型によって成形される成形品に対して上側に開口する肉抜き部が複数形成されることなどにより、下型に比べて上型の構造が複雑である場合には、成形金型の離型の際に、下型よりも上型の離型抵抗が高くなることにより、成形品が上型に取り残されてしまう現象、いわゆる「キャビ取られ現象」が発生する虞がある。ところが、上記の構成によると、嵌合凹部に支持ピンを嵌合させてナットを支持することで、ナットの下側外周縁部に樹脂を十分に流し込ませることができていることから、ナットの側面を覆うナット覆い部に対して下側に開口する肉抜き部を形成することができる。すなわち、下型の構造を複雑にしたことにより、成形金型の離型の際に、下型に樹脂をより密着させることができる。これにより、端子台が上型に取り残されてしまうキャビ取られ現象を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、絶縁シートを用いることなく、ナットとブラケットの間に樹脂を流し込んで一体に成形する端子台を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る端子台の斜視図
図2】同平面図
図3】同底面図
図4図2のA−A線断面図
図5】ナットの平面図
図6】ナットの側面図
図7】ブラケットの斜視図
図8】端子台を成形金型によって成形した状態を示す断面図
図9】端子台を上型および下型から離型した状態を示す断面図
図10】実施形態2に係る端子台の斜視図
図11】同平面図
図12】同底面図
図13図3のB−B線断面図
図14】端子台を成形金型で成形した状態を示す断面図
図15】端子台を上型および下型から離型した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1乃至図9を参照して説明する。
本実施形態は、電気自動車やハイブリッド車などの車両に搭載される図示しないモータケースに固定され、三相交流型モータに設けられた三極の図示しないバスバー(「導電部材」の一例)と、インバータに設けられた三極の図示しないバスバー(「導電部材」の一例)とを電気的に接続する端子台10を例示したものである。
【0014】
端子台10は、図1に示すように、バスバーもしくは端子が載置される複数(本実施形態では、5つ)の金属製のナット20と、モータケース(「機器」の一例)に固定される金属製のブラケット30と、複数のナット20とブラケット30とを一体に固定する合成樹脂製の樹脂部50とを備えて構成されている。なお、以下の説明において、上下方向とは図4における上下方向を基準とし、左右方向とは図2における左右方向を基準とする。
【0015】
ナット20は、図5及び図6に示すように、略円筒状をなしている。ナット20の外周面には、ローレット加工が施されており、ナット20が樹脂部50と一体に成形された際に、樹脂部50にナット20の外周面が食い込んだ状態となって、樹脂部50からナット20が外れてしまうことを防いでいる。
【0016】
ナット20の略中央部には、図示しないボルトが締結されるボルト締結孔21がナット20を上下方向に貫通して形成されており、ボルト締結孔21の上下方向両開口縁には、ボルト締結孔21よりもやや大径の嵌合凹部22が形成されている。嵌合凹部22は、平面視円形状をなしており、嵌合凹部22の奥面は、ナット20の上下面と平行に形成されている。すなわち、ナット20は、上下対称形状に形成されており、ナット20とブラケット30を樹脂部50によって一体に形成する場合に、ナット20の上下を確認すること無く、ナット20を配置することができるようになっている。
【0017】
ナット20の上面は、締結面20Aとされており、この締結面20Aに複数のバスバーを重ねて載置した後、バスバーを共締めするようにしてボルトをボルト締結孔21に締め付けることで、バスバー同士が電気的に接続されるようになっている。また、ナット20の上側外周縁部には、ナット20の上面よりも一段下がった形態の段付部23が全周に亘って形成され、ナット20の下側外周縁部には、ナット20の下面よりも一段上がった形態の段付部23が全周に亘って形成されている。
【0018】
ブラケット30は、アルミダイキャスト製であって、図7に示すように、左右方向に横長な平板状をなしている。ブラケット30の左右方向両端部には、ブラケット30を板厚方向に貫通するボルト挿通孔31が形成されている。このボルト挿通孔31には、図示しないボルトを挿通させてモータケースに締め付けることにより、ブラケット30がモータケースに固定されるようになっている。
【0019】
また、ブラケット30の下面における両ボルト挿通孔31の間は、図3および図4に示すように、モータケースに設けられた図示しない開口を塞ぐ凹凸のない滑らかなシール面30Aとされており、ブラケット30がモータケースに固定される際に、シール面30Aとモータケースの外面との間で図示しないシール部材を挟持することで、モータケースの開口が密閉されるようになっている。
【0020】
樹脂部50は、図4に示すように、複数のナット20を左右方向に横並びに固定するナット覆い部51と、ブラケット30を覆うブラケット覆い部52と、ナット20とブラケット30の間を絶縁する絶縁部54とを備えて構成されている。
ナット覆い部51は、各ナット20の側面を全周に亘って覆うと共に、各ナット20の下側部分を覆うことにより各ナットに密着して形成されており、ナット覆い部51の上面から各ナットの締結面20Aが露出された状態となっている。また、ナット覆い部51は、各ナット20の上側の段付部23を全周に亘って上側から覆っており、ナット20にボルトが締結される際に、ナット20がナット覆い部51から上方に引き抜かれないように抜け止めしている。
【0021】
ナット覆い部51の上面には、隣り合うナット20間を仕切る隔壁53が形成されている。この隔壁53は、ナット覆い部51の上面から上方に立ち上がった形態をなしており、各ナット20の締結面20Aに載置されるバスバー間の電気的絶縁性を確保している。
【0022】
ブラケット覆い部52は、ブラケット30を上下から挟み込むようにしてブラケット30を覆った形態をなしており、ブラケット30に密着した状態となっている。
【0023】
絶縁部54は、ナット覆い部51とブラケット覆い部52とを上下方向に連結して、かつ、ナット20とブラケット30の間を上下方向に隔てるように形成されている。すなわち、ナット20に密着したナット覆い部51とブラケット30に密着したブラケット覆い部52とが絶縁部54によって上下方向に連結されることにより、ナット20とブラケット30が互いに絶縁された状態で樹脂部50によって一体に固定されている。
【0024】
さて、本実施形態によると、ナット20とブラケット30は、図4に示すように、絶縁部54を介して上下方向に一部が重なるように近接して配されている。詳しくは、ナット20の一側方(図4の図示左側)における嵌合凹部22よりもやや外側の位置からナット20の側面までの部分がブラケット30の端部(図4の図示右側)と絶縁部54を介して上下方向に一部重なる配置とされている。すなわち、ナット20とブラケット30は、絶縁部54によって絶縁された状態で、かつ、上下方向に一部が重なった状態となっている。
【0025】
本実施形態の端子台10は上記のような構造であって、続いて端子台10の製造方法について説明する。なお、以下の説明において、前後方向とは図4における左右方向を基準とし、図4の図示左側を前側とする。
端子台10は、ナット20とブラケット30を上下方向に型開きする成形金型70内にセットして、樹脂部50を成形することにより製造される。
【0026】
成形金型70は、図8および図9に示すように、上下方向に型開きする上型71と下型72とを備えており、上型71によってナット覆い部51が成形され、下型72によってブラケット覆い部52が成形されるようになっている。
【0027】
下型72の底部における前側には、ブラケット30がセットされるようになっており、下型72におけるブラケット30が配置されたやや後方には、上方に向かって突出する円柱状の位置決めピン73が設けられている。この位置決めピン73の上端部には、ナット20の嵌合凹部22が嵌合可能とされている。そして、位置決めピン73の上端面がナット20の嵌合凹部22の奥面に当接するようにして、ナット20の嵌合凹部22を位置決めピン73に嵌合させることにより、ナット20が前後左右だけでなく、上下にも位置決めされた状態で下型72に配されるようになっている。
【0028】
樹脂部50を成形するには、まず、下型72の底部にブラケット30をセットするブラケット配置工程を行う。このとき、下型72の位置決めピン73はブラケット30が配置される位置のやや後方に配置されていることから、ブラケット30のシール面30Aに位置決めピン73が貫通されることなく、ブラケット30をセットすることができる。
【0029】
次に、ブラケット30が配置されたところで、ナット配置工程において、位置決めピン73に嵌合凹部22を嵌合させてナット20を位置決めピン73にセットする。これにより、ブラケット30の上方にナット20を上下方向に対向させるように配置することができる。
そして、ブラケット30とナット20がセットされたところで、下型72に上型71を被せる型閉じ工程を行う。すると、成形金型70内において、ナット20が位置決めピン73と上型71との間で上下方向に挟持され、ナット20とブラケット30がそれぞれ正規の位置に位置決めされた状態となる。つまり、嵌合凹部22を位置決めピン73に嵌合させることで、嵌合凹部22を位置決め凹部として兼用することができる。
【0030】
次に、成形金型70内に樹脂を流し込むことで、図8に示すように、ナット20とブラケット30の間に樹脂が流れ込んで、ナット20とブラケット30が一体に固定される固定工程が行われる。これにより、樹脂部50が成形され、ナット20とブラケット30がそれぞれ正規の位置に位置決めされた状態で、かつ、ナット20とブラケット30が絶縁部54を介して上下方向に一部が重なった状態となる。
最後に、樹脂部50が硬化したところで、成形金型70を上下方向に型開きすることによって本実施形態の端子台10が完成する。
【0031】
ところで、上下方向に型開きする成形金型において、ナットとブラケットの間に樹脂を流し込んでナットとブラケットの間に絶縁部を形成するには、支持ピンなどによってナットを下側から支持することにより、ナットとブラケットの間に隙間を作り、この隙間に樹脂を流し込むことになる。しかしながら、ナットの下端部全体を下側から覆うようにしてナットを下側から支持しようとすると、ナットとブラケットを上下方向に重ならないようにずらした構成にしなければならない。このため、ナットとブラケットを前後方向にずらした構成にすると、前後方向に端子台が大型化してしまう。端子台を大型化させない方法の一例として、ブラケットに上下方向に貫通する貫通孔を設けて、この貫通孔に支持ピンを挿通させ、ナットを下側から支持ピンによって支持することにより、ナットとブラケットを上下方向に重ねる方法も考えられるが、ブラケットの下面(裏面)にシール面が設けられているなど、ブラケットに貫通孔などを設けることができない場合がある。
【0032】
ところが、本実施形態によると、下型72の位置決めピン73にナット20の嵌合凹部22を嵌合させることで、ブラケット30の下面に形成されたシール面30Aに孔を設けることなく、ナット20とブラケット30が上下方向に一部が重なるように一体に成形されている。つまり、ナットとブラケットが上下方向に重なっていない場合に比べて、ナット20とブラケット30が上下方向に重なった分だけ、端子台10の前後方向の大きさを小型化することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態における端子台10は、上下方向に型開きする成形金型70において、下型72の位置決めピン73にナット20の嵌合凹部22を嵌合させることで、ナット20とブラケット30の間に樹脂を流し込み、樹脂によって形成された絶縁部54によってナット20とブラケット30の間を絶縁しつつ、ナット20とブラケット30を上下方向に一部が重なるように固定している。これにより、ナットとブラケットが上下方向に重なっていない場合に比べて、ナット20とブラケット30が上下方向に重なった分だけ、端子台10を小型化することができる。すなわち、絶縁シートを用いることなく、ナット20とブラケット30の間に樹脂を流し込んで一体に成形する端子台10を小型化することができる。
【0034】
また、ナット20を下型72の位置決めピン73に嵌合させたことにより、ナット20が位置決めされた状態で樹脂部50が形成されるので、ナットに位置決め部を別途形成する場合に比べて、ナット20を小型化することができる。また、成形金型にナット20を位置決めする位置決め部を別途形成する場合に比べて、成形金型70の構造を簡素化することができる。
【0035】
さらに、本実施形態によると、ナット20が上下対称形状に形成されていることから、ナット20を位置決めピン73にセットするナット配置工程において、ナット20の上下を確認することなく、位置決めピン73にナット20をセットすることができる。これにより、ナット配置工程における作業性を向上させることができる。
【0036】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について図10乃至図15を参照して説明する。
実施形態2は、実施形態1における樹脂部50の形状を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0037】
実施形態2の端子台110における樹脂部150には、図10乃至図13に示すように、ナット覆い部151の前側部分に上側に開口する上側肉抜き部154が複数形成されており、ナット覆い部151の後側部分に上側肉抜き部154とほぼ同じ大きさで下側に開口する下側肉抜き部(「肉抜き部」に相当する)155が上側肉抜き部154とほぼ同じ数だけ形成されている。つまり、実施形態2によると、成形金型170内において、ナット20とブラケット30を上下方向に一部重なるように前後方向にずらして配置して、かつ、ナット20の下側外周縁部に樹脂を十分に流し込んでナット覆い部151を形成したことにより、ナット覆い部151の周辺部に上側肉抜き部154および下側肉抜き部155をほぼ均等に形成している。
【0038】
ところで、上下に型開きする成形金型によって成形される成形品に対して上側に開口する肉抜き部が複数形成されることなどにより、下型に比べて上型の構造が複雑である場合には、成形金型の離型の際に、下型よりも上型の離型抵抗が高くなることにより、成形品が上型に取り残されてしまう現象、いわゆる「キャビ取られ現象」が発生する虞がある。
【0039】
ところが、本実施形態によると、ナット覆い部151の後側に上側肉抜き部154とほぼ同じ数の下側肉抜き部155が配置されている。つまり、図14および図15に示すように、成形金型170の離型の際に、ナット20の前後両側において上側肉抜き部154を形成する上側肉抜きピン174と下側肉抜き部155を形成する下側肉抜きピン175とをほぼ同じ数だけ引き抜く構成にすることができる。すなわち、下側肉抜きピン175を形成して下型172を複雑な構造に構成したことにより、成形金型170の離型の際に、下型172の離型抵抗を上型171の離型抵抗よりも高くすることができるようになっている。これにより、端子台110が上型171に取り残されてしまうキャビ取られ現象を防ぐことができる。
【0040】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ブラケット30をアルミダイキャスト製としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ブラケットを鉄などの金属によって形成してもよい。
(2)上記実施形態では、ナット20を上下対称形状に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、嵌合凹部がボルト締結孔における一方の開口縁にのみ構成されることで、ナットが上下対称形状に形成されていない構成にしてもよい。
(3)上記実施形態では、嵌合凹部22を円形状に形成し、位置決めピン73を円柱状に形成した構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、嵌合凹部を方形状に形成し、位置決めピンを角柱状に形成した構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10,110:端子台
20:ナット
21:ボルト締結孔
22:嵌合凹部
30:ブラケット
30A:シール面
70,170:成形金型
73:位置決めピン(支持ピン)
155:下側肉抜き部(肉抜き部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15