特許第5821818号(P5821818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821818
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】基板を備える電気機器および端子付電線
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/00 20060101AFI20151104BHJP
   H01R 4/48 20060101ALI20151104BHJP
   H01R 13/15 20060101ALI20151104BHJP
   H01R 11/12 20060101ALI20151104BHJP
【FI】
   H05K7/00 G
   H01R4/48 C
   H01R13/15 Z
   H01R11/12 A
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-210625(P2012-210625)
(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2014-67786(P2014-67786A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】望月 泰志
(72)【発明者】
【氏名】角田 達哉
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−307997(JP,A)
【文献】 実開昭64−36977(JP,U)
【文献】 特開平8−163813(JP,A)
【文献】 特開2012−135092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/00
H01R 4/48
H01R 11/12
H01R 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電パターンが形成された基板と、
この基板の導電パターンが形成された表面側に位置する第一ケース体、および基板の裏面側に位置し前記第一ケース体に係合する第二ケース体を有するケースと、
一部が開口した断面略環状に形成された環状部を有し、この環状部の外壁面が前記導電パターンに接触する導電性材料で形成された端子と、
前記環状部の内側に挿入され、この環状部の内壁面に接触する芯線を有する電線と、
幅方向の大きさが前記環状部の開口の幅より大きく形成された部材であって、前記環状部の内側に挿入されることにより前記端子が弾性変形し、その弾性力を受けて前記芯線を前記環状部の内壁面に押しつける挿入部材と、
を備え、
前記端子は、前記第二ケース体に係合する前記第一ケース体によって、前記環状部の外壁面が前記導電パターンに接触する方向に押しつけられていることを特徴とする基板を備える電気機器。
【請求項2】
前記端子は、前記環状部の開口の縁部から当該開口を広げる方向に延びる延長部を有し、この延長部が前記第一ケース体に接触し前記環状部の外壁面が前記導電パターンに接触する方向に押しつけられていることを特徴とする請求項1に記載の基板を備える電気機器。
【請求項3】
前記第二ケース体または前記基板に対して位置決めされ、前記基板の表面側に位置するガイド部材をさらに備え、
前記端子は、前記ガイド部材に形成された貫通部の内側に挿入されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板を備える電気機器。
【請求項4】
前記ガイド部材には、前記電線が通される案内溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の基板を備える電気機器。
【請求項5】
前記第二ケース体には、ケースの内側に電線を挿入するための挿入部が形成されており、
この挿入部が前記案内溝とは異なる高さ位置に形成されることにより、両部位を通る前記電線が屈曲していることを特徴とする請求項4に記載の基板を備える電気機器。
【請求項6】
前記挿入部材が、導電性材料によって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の基板を備える電気機器。
【請求項7】
他の電気的部材に接続される接続部、および一部が開口した断面略環状に形成された環状部を有する導電性材料で形成された端子と、
前記環状部の内側に挿入され、この環状部の内壁面に接触する芯線を有する電線と、
幅方向の大きさが前記環状部の開口の幅より大きく形成された部材であって、前記環状部の内側に挿入されることにより前記端子が弾性変形し、その弾性力を受けて前記芯線を前記環状部の内壁面に押しつける挿入部材と、
を備えることを特徴とする端子付電線。
【請求項8】
前記端子は、前記環状部の開口の縁部から当該開口を広げる方向に延びる延長部を有することを特徴とする請求項7に記載の端子付電線。
【請求項9】
前記挿入部材が、導電性材料によって形成されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の端子付電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板およびその基板に形成された導電パターンに電気的に接続される電線を備えた電気機器、および電線に端子が電気的に接続された端子付電線に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と電線の接続構造として下記特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1には、電線の芯線等を上下のケースで挟み込むことにより、芯線を基板に形成された導電パターンに接触させる構成が開示されている。さらには、その変形例として上ケースまたは下ケースに芯線を導電パターンに押しつけるリブが形成された構成も開示されている。また、芯線と導電パターンをハンダで接続する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−135092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、硬質の上ケースおよび下ケースで電線の芯線等を挟み込む構成とすると、芯線がばらけてしまうおそれがある。このような芯線のばらけが生ずると、芯線の一部が他の回路と接触しショートしたり、芯線を導電パターンに押しつける圧力が不十分となり接触抵抗が大きくなってしまうといった問題が生ずる。また、芯線と導電パターンをハンダで接続する場合には、ハンダ接続工程が必要になるし、当該接続部分の試験や品質管理の手間やコストがかかってしまうといった問題が生ずる。
【0005】
本発明は、基板およびその基板に形成された導電パターンに電気的に接続される電線を備えた電気機器であって、電線の芯線と基板の導電パターンの接続部分の電気的接続の信頼性が高く、かつ当該接続を容易に行うことができる機器を提供することにある。また、当該機器と同じ接続構造を適用した電線(芯線)と端子を容易に接続することができる端子付電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる基板を備える電気機器は、導電パターンが形成された基板と、この基板の導電パターンが形成された表面側に位置する第一ケース体、および基板の裏面側に位置し前記第一ケース体に係合する第二ケース体を有するケースと、一部が開口した断面略環状に形成された環状部を有し、この環状部の外壁面が前記導電パターンに接触する導電性材料で形成された端子と、前記環状部の内側に挿入され、この環状部の内壁面に接触する芯線を有する電線と、幅方向の大きさが前記環状部の開口の幅より大きく形成された部材であって、前記環状部の内側に挿入されることにより前記端子が弾性変形し、その弾性力を受けて前記芯線を前記環状部の内壁面に押しつける挿入部材と、を備え、前記端子は、前記第二ケース体に係合する前記第一ケース体によって、前記環状部の外壁面が前記導電パターンに接触する方向に押しつけられていることを備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記端子は、前記環状部の開口の縁部から当該開口を広げる方向に延びる延長部を有し、この延長部が前記第一ケース体に接触し前記環状部の外壁面が前記導電パターンに接触する方向に押しつけられているとよい。
【0008】
また、前記第二ケース体または前記基板に対して位置決めされ、前記基板の表面側に位置するガイド部材をさらに備え、前記端子は、前記ガイド部材に形成された貫通部の内側に挿入されていればよい。
【0009】
また、前記ガイド部材には、前記電線が通される案内溝が形成されていればよい。
【0010】
また、前記第二ケース体には、ケースの内側に電線を挿入するための挿入部が形成されており、この挿入部が前記案内溝とは異なる高さ位置に形成されることにより、両部位を通る前記電線が屈曲していればよい。
【0011】
また、前記挿入部材が、導電性材料によって形成されていればよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明にかかる基板を備える電気機器は、他の電気的部材に接続される接続部、および一部が開口した断面略環状に形成された環状部を有する導電性材料で形成された端子と、前記環状部の内側に挿入され、この環状部の内壁面に接触する芯線を有する電線と、幅方向の大きさが前記環状部の開口の幅より大きく形成された部材であって、前記環状部の内側に挿入されることにより前記端子が弾性変形し、その弾性力を受けて前記芯線を前記環状部の内壁面に押しつける挿入部材と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記端子は、前記環状部の開口の縁部から当該開口を広げる方向に延びる延長部を有していればよい。
【0014】
また、前記挿入部材が、導電性材料によって形成されていればよい。
【発明の効果】
【0015】
上記本発明にかかる基板を備える電気機器では、挿入部材が環状部の内側に挿入されることにより環状部が弾性変形し、同じく環状部の内側に挿入された電線の芯線が環状部の内壁面に押しつけられ、電線の芯線と端子が電気的に接続される。この端子は、第二ケース体に係合される第一ケース体によって導電パターン(基板)側に押された状態で導電パターンに接触する。このように、環状部の内側に挿入部材を挿入するだけで端子と電線の芯線を電気的に接続することができるし、第一ケース体と第二ケース体を組み立てるだけで端子と導電パターンの接圧(十分に信頼性のある電気的接続を得るために必要とする端子が導電パターンに押しつけられる圧力のことをいう。以下同じ)を確保することができる。つまり、電線の芯線と基板の導電パターンの接続部分の電気的接続の信頼性が高く、かつ当該接続を容易に行うことができる電気機器となる。
【0016】
また、上記端子に、環状部の開口の縁部から当該開口を広げる方向に延びる延長部を設ければ、当該広がる方向に延びる延長部に挿入部材を押しつけるだけで環状部の開口が広がり挿入部材を環状部の内側に挿入することができる。つまり、挿入部材を挿入する作業が容易になる。また、当該延長部は、端子を導電パターン側に押しつけた状態とするために第一ケース体に接触する部位にもなる。延長部が第一ケース体に押されると、延長部の先端側は広がる一方、環状部の開口は狭くなるように端子が変形することになるため、挿入部材が環状部の内側から外れてしまうことを防止することができるし、挿入部材が押されて電線の芯線をさらに強く環状部の内壁面に押しつけた状態とする(電線の芯線と端子の接圧をさらに良好なものとする)ことができる。このように、延長部は複数の機能を発揮するものである。
【0017】
また、第二ケース体または基板に対して位置決めされるガイド部材を設け、このガイド部材に端子が挿入される貫通部が形成された構成とすれば、導電パターンの所定部位(端子を接触させるべき部位)に接触する位置に端子を位置決めすることが容易になる。
【0018】
また、上記ガイド部材には、電線が通される案内溝が形成されていれば、電線の位置決めが容易になる。つまり、ガイド部材により、端子および電線の両方の位置決めが容易になる。
【0019】
また、第二ケース体に形成される上記挿入部と、ガイド部材に形成される案内溝とを異なる高さに設定し、両部位を通る電線が屈曲するように構成とすれば、電線の長さ方向への位置ずれが防止でき、振動環境下への設置等に適した機器となる。つまり、ガイド部材は、上記端子および電線の位置決め機能に加え、電線の長さ方向への位置ずれを防止する機能を発揮する部材となる。
【0020】
また、挿入部材が導電性材料で形成されていれば、電線と端子の接続部分における抵抗を小さくすることができる。
【0021】
上記本発明にかかる端子付電線では、挿入部材が環状部の内側に挿入されることにより環状部が弾性変形し、同じく環状部の内側に挿入された電線の芯線が環状部の内壁面に押しつけられ、電線の芯線と端子が電気的に接続される。つまり、環状部の内側に挿入部材を挿入するだけで端子と電線の芯線を電気的に接続することができ、組立が容易である。
【0022】
また、上記端子に、環状部の開口の縁部から当該開口を広げる方向に延びる延長部を設ければ、当該広がる方向に延びる延長部に挿入部材を押しつけるだけで環状部の開口が広がり挿入部材を環状部の内側に挿入することができる。つまり、挿入部材を挿入する作業が容易になる。
【0023】
また、挿入部材が導電性材料で形成されていれば、電線と端子の接続部分における抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態にかかる基板を備える電気機器の外観図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる基板を備える電気機器の分解図である。
図3】端子の環状部に挿入部材が挿入される様子を順に示した図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる基板を備える電気機器を組み立てる手順を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる基板を備える電気機器における、電線の芯線と導電パターンが接触する部分を模式的に示した断面図(XY平面に沿って切断した断面図)であり、(a)は第二ケース体に第一ケース体が固定される前の状態、(b)は第二ケース体に第一ケース体が固定された後の状態を示している。
図6】本発明の一実施形態にかかる基板を備える電気機器における、電線の芯線と導電パターンが接触する部分を模式的に示した断面図(YZ平面に沿って切断した断面図)であり、(a)は第二ケース体に第一ケース体が固定される前の状態、(b)は第二ケース体に第一ケース体が固定された後の状態を示している。
図7】本発明の一実施形態にかかる端子付電線の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において単に上下方向とは図示するY軸方向(第一ケース体21側を上、第二ケース体22側を下とする)をいい、幅方向とは図示するX軸方向をいい、前後方向とは図示するZ軸方向をいうものとする。
【0026】
図1および図2に全体の構成を示す本実施形態にかかる基板を備える電気機器1は、基板10、ケース20、電線30、端子40、および挿入部材50を備える。基板10の表面(上側の面)には、導電パターン11が形成されている。この導電パターン11の所定位置に電線30(芯線31)が電気的に接続される(以下、導電パターン11における電線30(芯線31)を接続すべき部位を接続部位と称する。図面では基板10上に導電パターン11における接続部位のみを表示し、その他の部分は省略してある)。導電パターン11の構成(導電パターン11によって構成される回路の目的、機能)等は特定のものに限定されない。本実施形態では、導電パターン11と電気的に接続されたコネクタ12が基板10に実装されている。
【0027】
ケース20は、第一ケース体21および第二ケース体22を有する。第一ケース体21は基板10の表面側(上側)に位置し、第二ケース体22は基板10の裏面側(下側)に位置する。第二ケース体22は、内側に収容空間Sが形成され、上側が開口した箱状の部材である。第一ケース体21は、この第二ケース体22の開口を覆う蓋である。第二ケース体22の内側に形成された収容空間S内に基板10が収容される(第二ケース体22の底に基板10が載置される)。基板10は第二ケース体22に対して位置決めされる。その位置決め方法は特定の方法に限定されるものではない。例えば、第二ケース体22の底に位置決め突起を、基板10にこの位置決め突起が通される位置決め孔を形成することにより、第二ケース体22に対して基板10を位置決めすればよい。第一ケース体21の外縁には、下方に延びる係合爪211が設けられており、この係合爪211が第二ケース体22の外側に設けられた係合孔221に通され、先端の爪が引っ掛けられた状態となることにより、両ケース体は係合(第二ケース体22に第一ケース体21が固定)される。
【0028】
第二ケース体22の側壁(底に略直交する部分)の一つには、上縁から下方に向かって窪んだ挿入部222が形成されている。後述するように、この挿入部222に電線30が挿入されることにより、電線30の芯線31は収容空間S内に位置する。また、本実施形態では、挿入部222が形成された側壁以外の一の側壁に、基板10に実装されたコネクタ12が嵌り込むコネクタ係合部223が形成されている。このコネクタ係合部223を通じてコネクタ12はケース20の外側に露出し、図示されない相手方コネクタが嵌合可能な状態となる。
【0029】
電線30は、芯線31がシース32(被覆部材)によって覆われたものであって、その端部では芯線31が露出している。この露出した芯線31が導電パターン11に接触することにより電線30(芯線31)と導電パターン11(回路)が電気的に接続される。電線30は、第二ケース体22に形成された上記挿入部222に通され、露出した芯線31が収容空間S内に入り込む。
【0030】
端子40は、弾性(ばね性)のある導電性材料で形成された部材であり、一部が開口した所定の大きさの空間が内側に形成される環状部41を有する(図3参照)。なお、環状部41は、断面円形としなければならないわけではない。つまり、ここでいう「環状」とは、内側に一部が開口した空間が形成されるように屈曲させられた形状の全てを含む意である。本実施形態の環状部41は、下および幅方向に向かってやや尖り(先細であり)、上方に開口411が形成された断面略円形状である。
【0031】
また、本実施形態では、端子40は上記環状部41と一体的に形成された延長部42を有する。延長部42は、上記環状部41の開口411の縁部(本実施形態は上端縁)から当該開口411を広げる方向に延びる部分である。延長部42の内側の空間は断面が略逆三角形となる。端子40全体で見ると、環状部41の上側の部分と延長部42により、断面が略「く」の字(略「V」字)状に屈曲した部分が構築されることとなる(当該部分の一方と他方はYZ平面を対称面として面対称である)。
【0032】
挿入部材50は、電線30の芯線31とともに、上記端子40の環状部41の内側に挿入される部材である。挿入部材50の前後方向における長さは、端子40の前後方向における長さと略同じに設定される。本実施形態では、挿入部材50は断面円形に形成されるが、これに限られるものではない。少なくとも幅方向における最も大きい部分の大きさが、端子40の環状部41の開口411よりも大きければよい。このような寸法とすることにより、挿入部材50が環状部41の開口411から環状部41の内側に挿入される(図3(a)→図3(b))と、環状部41の開口411が押し広げられた状態となり、元の形状に戻ろうとする。環状部41が元の形状に戻ろうとすると環状部41の開口411側端部が挿入部材50を下方に押しつける。環状部41の内側には電線30の芯線31が挿入されているから、当該挿入部材50はその周囲にある芯線31を環状部41の内壁面に押しつける。つまり、元の形状に戻ろうとする環状部41の弾性力が挿入部材50を介して芯線31まで伝わり、芯線31は環状部41の内壁面に接触した状態となる(図3(c)参照)。
【0033】
この挿入部材50が挿入された端子40は、以下のようにガイド部材60に位置決めされた状態で収容空間S内に設置される。ガイド部材60は、第二ケース体22または基板10に対して位置決めされる硬質の絶縁材料で形成された部材である。本実施形態では、ガイド部材60の幅方向両側に位置決め凹部61が、第二ケース体22の幅方向に沿う側壁の内側に位置決め突起224が形成されており、位置決め凹部61のそれぞれに位置決め突起224が係合されることにより、ガイド部材60は第二ケース体22に位置決めされた状態で収容空間S内に位置する。図示しないが、基板10に位置決め凸部や位置決め孔を形成し、ガイド部材60にそれに係合する要素を形成しておくことにより、基板10に対してガイド部材60を位置決めしてもよい。収容空間S内に基板10が収容された後、ガイド部材60が収容されるため、ガイド部材60は基板10の表面側(導電パターン11が形成された側)に位置する。
【0034】
このガイド部材60には、上下方向に貫通する窪みである端子ガイド部62(本発明における貫通部に相当する)が形成されている。端子ガイド部62は、ガイド部材60の前側から後側に向かって窪んだ窪みであり、前側から端子40が挿入可能な大きさに形成されている。具体的には次のような形状である。図5等に示すように、ガイド部材60は、その上側の中央部分が幅方向両側よりも低く形成されている。端子ガイド部62は、この低く形成された部分の幅方向における中央(ガイド部材60全体の中央でもある)に形成されている。幅方向における端子ガイド部62の上端の大きさは、電線30の芯線31および挿入部材50が挿入された状態にある端子40の環状部41の最大幅よりも小さくなるように設定されている。また、端子ガイド部62は上端から下方にかけて徐々に幅が大きくなるように形成されており、内側には電線30の芯線31および挿入部材50が挿入された状態にある環状部41が挿入可能である。端子40はガイド部材60の前側から端子ガイド部62に挿入される。端子ガイド部62の上端の大きさは、電線30の芯線31および挿入部材50が挿入された状態にある端子40の環状部41の最大幅よりも小さくなるように設定されているから、一旦端子ガイド部62に挿入された端子40は端子ガイド部62の上から抜けることはない。なお、端子ガイド部62が上端から下方にかけて徐々に幅が大きくなるように形成されているのは一例であり、端子ガイド部62の内側に環状部41が挿入可能であり、かつ一旦挿入された環状部41が端子ガイド部62の上から抜けることがないような形状であれば、端子ガイド部62の形状は適宜変更可能である。
【0035】
ガイド部材60が第二ケース体22または基板10に対して位置決めされたとき、端子ガイド部62は導電パターン11の接続部位と上下方向に重なる(端子ガイド部62は挿入孔の上から導電パターン11の接続部位の少なくとも一部が見える)。したがって、端子ガイド部62に挿入された端子40の下端は、導電パターン11の接続部位に接触する。電線30の芯線31および挿入部材50が挿入された状態にある端子40の上下方向長さは、第一ケース体21と第二ケース体22が一体化された状態(係合孔221に係合爪211が引っ掛けられた状態)における第二ケース体22に収容されている基板10の表面から第一ケース体21の下面までの距離よりも小さくなるように設定されている。
【0036】
また、ガイド部材60の下側には、前後方向に延びる案内溝63が形成されている。この案内溝63の内側に電線30が通される。したがって、この案内溝63を通る部分は、ガイド部材60と基板10に挟まれた状態にある。ガイド部材60が第二ケース体22の収容空間S内における所定位置に収容された状態(下面が基板10表面に接触した状態)においては、案内溝63は第二ケース体22の挿入部222よりも下方に位置する。電線30は、第二ケース体22に形成された挿入部222を通じて収容空間S内(ケース20内)に入り込み、案内溝63を通って芯線31が導電パターン11の接続部位に重なる位置まで案内される。そのため、電線30におけるケース20の外側に位置する部分から芯線31までの部位は、挿入部222と案内溝63の高さの差によって屈曲する(図6参照)。具体的には、前後方向に沿う挿入部222を通る部分と案内溝63を通る部分との間に、ガイド部材60と第二ケース体22の側壁に挟まれた上下方向に沿う部分が存在するように屈曲する。
【0037】
このような構成を備える基板を備える電気機器1は、例えば次のように組み立てられる。電線30の芯線31を端子40の環状部41の内側に挿入した状態で、挿入部材50を環状部41の内側に挿入することにより端子40と電線30の組体を得る(図3図4(a)参照)。具体的には、挿入部材50を端子40の延長部42に押しつけることにより開口411を広げて、挿入部材50を環状部41の内側に挿入する(図3(a)→図3(b))。挿入部材50を挿入すると、元の形状に戻ろうとする環状部41によって挿入部材50が押され、この押された挿入部材50によって芯線31が環状部41の内側に押しつけられる(図3(c)参照)。得られた端子40と電線30の組体を、ガイド部材60に形成された端子ガイド部62に挿入する。具体的には、端子ガイド部62の前側から端子40を挿入する(図4(b)参照)。端子40の延長部42は、端子ガイド部62の上方に突出した状態となる。
【0038】
第二ケース体22の内側の収容空間S内の所定位置に基板10を収容する(図4(c)参照)。端子ガイド部62に端子40が挿入された状態にあるガイド部材60(端子40、電線30、およびガイド部材60から構成される組)を第二ケース体22または基板10に対して位置決めする。ガイド部材60を基板10に向けて移動させる際、案内溝63の内側に電線30を位置させ、電線30を屈曲させる。ガイド部材60を所定位置に位置決めすると、端子40の下端は導電パターン11の接続部位に接触する(図4(d)参照)。
【0039】
上述したように、電線30の芯線31および挿入部材50が挿入された状態にある端子40の上下方向長さは、第一ケース体21と第二ケース体22が一体化された状態(係合孔221に係合爪211が引っ掛けられた状態)における第二ケース体22に収容されている基板10の表面から第一ケース体21の下面までの距離よりも小さくなるように設定されている。したがって、第二ケース体22に対し第一ケース体21が固定されていない状態においては、下端が導電パターン11の接続部位に接触した端子40は、その延長部42(上端)が第二ケース体22の上端(側壁の上端)よりも上に突出している(図4(d)、図5(a)、図6(a)参照)。そのため、第二ケース体22に対し第一ケース体21が固定される(係合孔221に係合爪211が引っ掛けられる)と、端子40の上端が第一ケース体21の下面に接触し、端子40は第一ケース体21と基板10によって上下方向に潰される。このように第二ケース体22に固定される第一ケース体21によって端子40が潰された状態となると、その端子40の元の形状に戻ろうとする弾性力によって、端子40の下端が導電パターン11の接続部位に押しつけられる(図5(b)および図6(b)参照)。つまり、電線30の芯線31と導電パターン11の接続部位が端子40を介して電気的に接続される。両者の接続信頼性を左右する端子40の弾性力は、端子40の材質や、端子40が潰される量(すなわち上下方向における端子40の長さ)を適宜変更することにより変更することができる。つまり、端子40の弾性力を調整することにより、接触する端子40と接続部位の十分な接圧を確保することができる。
【0040】
また、図5(a)と図5(b)を比較すればわかるように、延長部42の断面は略「く」の字(略「V」字)であるため、第二ケース体22に固定される第一ケース体21によって延長部42が第一ケース体21に押されると、延長部42の先端側は広がる一方、環状部41の開口411は狭くなるように変形する。
【0041】
以上説明した本実施形態にかかる基板を備える電気機器1によれば、次のような作用効果が奏される。
【0042】
本実施形態にかかる電気機器では、挿入部材50が環状部41の内側に挿入されることにより環状部41が弾性変形し、同じく環状部41の内側に挿入された電線30の芯線31が環状部41の内壁面に押しつけられ、電線30の芯線31と端子40が電気的に接続される。この端子40は、第二ケース体22に係合される第一ケース体21によって導電パターン11(基板10)側に押された状態で導電パターン11に接触する。このように、環状部41の内側に挿入部材50を挿入するだけで端子40と電線30の芯線31を電気的に接続することができるし、第一ケース体21と第二ケース体22を組み立てるだけで端子40と導電パターン11の接圧を確保することができる。
【0043】
また、端子40には、環状部41の開口411の縁部から当該開口411を広げる方向に延びる延長部42が設けられているため、当該広がる方向に延びる延長部42に挿入部材50を押しつけるだけで環状部41の開口411が広がり挿入部材50を環状部41の内側に挿入することができる。つまり、挿入部材50を挿入する作業が容易になる。また、当該延長部42は、端子40を導電パターン11側に押しつけた状態とするために第一ケース体21に接触する部位にもなる。延長部42が第一ケース体21に押されると、延長部42の先端側は広がる一方、環状部41の開口411は狭くなるように端子40が変形することになるため、挿入部材50が環状部41の内側から外れてしまうことを防止することができるし、挿入部材50が押されて電線30の芯線31をさらに強く環状部41の内壁面に押しつけた状態とすることができる。このように、端子40の延長部42は複数の機能を発揮するものである。
【0044】
また、第二ケース体22または基板10に対して位置決めされるガイド部材60を設け、このガイド部材60に端子40が挿入される端子ガイド部62が形成された構成であるため、導電パターン11の接続部位に接触する位置に端子40を位置決めすることが容易になる。
【0045】
また、上記ガイド部材60には、電線30が通される案内溝63が形成されているため、電線30の位置決めが容易になる。つまり、ガイド部材60により、端子40および電線30の両方の位置決めが容易になる。
【0046】
また、第二ケース体22に形成される上記挿入部222と、ガイド部材60に形成される案内溝63とが異なる高さに設定されているため、両部位を通る電線30は屈曲した状態となり、電線30の長さ方向への位置ずれが防止できる。つまり、ガイド部材60は、上記端子40および電線30の位置決め機能に加え、電線30の長さ方向への位置ずれを防止する機能を発揮する部材となる。
【0047】
また、挿入部材50が導電性材料で形成されているため、電線30と端子40の接続部分における抵抗を小さくすることができる。
【0048】
以下、本発明の実施形態にかかる端子付電線1aについて説明する。図7に示す端子付電線1aは、端子40aと電線30aの接続に、上記実施形態にかかる基板を備える電気機器1における端子40aと電線30aの接続構造と同様の構造を適用したものである。端子40aは、相手方部材に接続される接続部分411aと、環状部41aおよび延長部42aを含む芯線バレル412aを有する。芯線バレル412aの構造は、上記基板を備える電気機器1が備える端子40と同じである。接続部分411aは、図示される円形状のもの等、相手方部材に対応する形状とすればよく、特定のものに限定されない。
【0049】
端子40aと電線30aを接続する際には、電線30aの芯線31aを芯線バレル412aの環状部41aの内側に挿入した状態で、延長部42aに挿入部材50aを押しつけるようにして開口を広げ、環状部41aの内側に挿入部材50aに突部を挿入する。挿入部材50aは、上記基板を備える電気機器1におけるものと同じである。環状部41aの内側に挿入された挿入部材50aにより、電線30aの芯線31aは環状部41aの内壁面に押しつけられた状態となる。つまり、電線30aの芯線31aと環状部41aの内壁面が接触し、電線30a(芯線31a)と端子40aが電気的かつ物理的に接続された端子付電線1aが得られる。
【0050】
上記端子40aは、図示されるようなシースバレル413aを備えたものであればさらによい。シースバレル413aは、電線30aにおける芯線31aが露出した部分よりも基端側のシース32a(被覆部材)の外側にかしめられるものである。このようなシースバレル413aを設けることにより、電線30aと端子40aの物理的な接続強度が向上する。つまり、シースバレル413aとシース32aの接続により、上記環状部41aと電線30aの芯線31aの接続部における物理的な接続が補強される。
【0051】
このように、本実施形態にかかる端子付電線1aによれば、挿入部材50aが環状部41aの内側に挿入されることにより環状部41aが弾性変形し、同じく環状部41aの内側に挿入された電線30aの芯線31aが環状部41aの内壁面に押しつけられ、電線30aの芯線31aと端子40aが電気的に接続される。つまり、環状部41aの内側に挿入部材50aを挿入するだけで端子40aと電線30aの芯線31aを電気的に接続することができ、組立が容易である。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0053】
上記基板を備える電気機器1が備えるケース20の構成(第一ケース体21および第二ケース体22の構成)は適宜変更可能である。第二ケース体22に対し第一ケース体21を固定することにより、第一ケース体21に端子40が押される構成であればよい。例えば、第一ケース体21の下面に端子40を押す突起を形成してもよい。
【0054】
また、導電パターン11の接続部位に接続される電線30の芯線31は端部で露出していることを説明したが、中間部で露出した芯線31を導電パターン11に接続する構成にも適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 基板を備える電気機器
10 基板
11 導電パターン(接続部位)
20 ケース
21 第一ケース体
22 第二ケース体
222 挿入部
30 電線
31 芯線
40 端子
41 環状部
411 開口
42 延長部
50 挿入部材
60 ガイド部材
62 端子ガイド部
63 案内溝
1a 端子付電線
30a 電線
31a 芯線
40a 端子
41a 環状部
42a 延長部
50a 挿入部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7