特許第5821890号(P5821890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821890
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20151104BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-86835(P2013-86835)
(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公開番号】特開2014-212601(P2014-212601A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2014年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】渥美 貴司
(72)【発明者】
【氏名】三浦 進一
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−198750(JP,A)
【文献】 特開2012−249503(JP,A)
【文献】 特開2012−139038(JP,A)
【文献】 特開2007−053295(JP,A)
【文献】 特開2013−055840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体モジュールとコンデンサと冷却器とが同じ積層方向に積層された積層体と、
電源に接続される端子部と、
前記冷却器に対して冷媒の供給及び排出を行う冷媒給排部と、
を備え、
前記半導体モジュールには電極端子が設けられ、
前記積層体において前記積層方向に対し垂直な第1垂直方向と、前記積層方向及び前記第1垂直方向に対し垂直な第2垂直方向とを定義した場合において、
前記冷媒給排部が前記積層体における前記第1垂直方向の一端面に配置され、
前記電極端子及び前記端子部の一方が前記積層体における前記第1垂直方向の他端面に配置され、
前記電極端子及び前記端子部の他方が前記積層体における前記第2垂直方向の一端面に配置され、
前記電極端子は配線部材により前記コンデンサ及び前記端子部に接続される、電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記半導体モジュールと前記コンデンサは、前記積層方向において前記冷却器を介して隣に配置されている、電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサが第1コンデンサであり、
前記第1コンデンサと前記第2垂直方向に並んで前記冷却器の隣に配置される第2コンデンサを備え、
前記第1コンデンサの負側端子及び前記第2コンデンサの負側端子は前記配線部材に接続され、
前記端子部は、前記配線部材に接続される負側バスバーと、前記第2コンデンサにおける前記第2垂直方向の他端側端部で前記第2コンデンサの正側端子に接続される正側バスバーとを有する、電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置であって、
前記積層体においては、リアクトルが前記積層方向の一端部において、第2冷却器と隣り合うように積層されている、電力変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電力変換装置であって、
前記正側バスバーは、前記積層体における前記第1垂直方向の他端面側で前記リアクトルの一端と電気的に接続される、電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールとコンデンサと冷却器が積層された積層体を備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、半導体モジュールとコンデンサと冷媒チューブが積層された積層体を備え、冷媒チューブ内へ冷媒を供給する冷媒供給部を積層体における積層方向と垂直方向の一端面に配置するとともに、冷媒チューブ内から冷媒を排出する冷媒排出部を積層体における積層方向と垂直方向の他端面に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−320005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積層体の外面には、冷媒を供給する冷媒供給部、冷媒を排出する冷媒排出部、電源に接続される端子部、半導体モジュールの電極端子とコンデンサと端子部の接続を行うための配線部材等、様々な部品を配置する必要がある。特許文献1では、冷媒供給部及び冷媒排出部を積層体における積層方向と垂直方向の一端面及び他端面にそれぞれ配置しているため、積層体を挟んで対向する面に端子部及び半導体モジュールの電極端子をそれぞれ配置する必要があり、体格を小さくして省スペース化を図ることが困難となる。また、それぞれを接続する電気経路長が長くなるために、低インダクタンス化も困難となる。
【0005】
本発明は、半導体モジュールとコンデンサと冷却器が積層された電力変換装置において、冷媒供給部、冷媒排出部、端子部、及び半導体モジュールの電極端子の配置を工夫することで、省スペース化を実現するとともに、電気経路長を短縮して低インダクタンス化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電力変換装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明に係る電力変換装置は、半導体モジュールとコンデンサと冷却器とが同じ積層方向に積層された積層体と、電源に接続される端子部と、前記冷却器に対して冷媒の供給及び排出を行う冷媒給排部と、を備え、前記半導体モジュールには電極端子が設けられ、前記積層体において前記積層方向に対し垂直な第1垂直方向と、前記積層方向及び前記第1垂直方向に対し垂直な第2垂直方向とを定義した場合において、前記冷媒給排部が前記積層体における前記第1垂直方向の一端面に配置され、前記電極端子及び前記端子部の一方が前記積層体における前記第1垂直方向の他端面に配置され、前記電極端子及び前記端子部の他方が前記積層体における前記第2垂直方向の一端面に配置され、前記電極端子は配線部材により前記コンデンサ及び前記端子部に接続される。
【0008】
本発明の一態様では、前記半導体モジュールと前記コンデンサは、前記積層方向において前記冷却器を介して隣に配置されていることが好適である。
【0009】
本発明の一態様では、前記積層体においては、リアクトルが前記積層方向の一端部において、第2冷却器と隣り合うように積層されていることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冷却器に対して冷媒の供給及び排出を行う冷媒給排部を積層体における第1垂直方向の一端面に配置し、これにより空いた第1垂直方向の他端面に、電源に接続される端子部及び半導体モジュールの電極端子の一方を配置し、且つ第1垂直方向の他端面と隣り合う第2垂直方向の一端面に他方を配置する。これによって、省スペース化を実現することができるとともに、端子部及びコンデンサを半導体モジュールの電極端子に接続するための配線部材の電気経路長を短縮して低インダクタンス化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る電力変換装置を備える電動機駆動システムの構成の一例を示す回路図である。
図2】本実施形態に係る電力変換装置の構造を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る電力変換装置の構造を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る電力変換装置の構造を示す斜視図である。
図5】積層体12に規定する3次元座標系を説明する斜視図である。
図6】昇圧パワーカード16の電極端子41−1とリアクトル14をバスバー61により接続する構造の一例を示す斜視図である。
図7】昇圧パワーカード16の電極端子41−2と平滑コンデンサ24をバスバー62により接続する構造の一例を示す斜視図である。
図8】インバータパワーカード20の電極端子43−1と平滑コンデンサ24をバスバー63により接続する構造の一例を示す斜視図である。
図9】昇圧パワーカード16の電極端子41−3と平滑コンデンサ24をバスバー64により接続する構造の一例を示す斜視図である。
図10】インバータパワーカード20の電極端子43−2と平滑コンデンサ24をバスバー65により接続する構造の一例を示す斜視図である。
図11】フィルタコンデンサ22と平滑コンデンサ24を接続する構造の一例を示す斜視図である。
図12】インバータパワーカード20の電極端子43−3の構造の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る電力変換装置を備える電動機駆動システムの構成の一例を示す回路図である。本実施形態に係る電動機駆動システムは、例えば車両の駆動システムに用いることができ、図示するように、充放電可能な直流電源としての二次電池27と、二次電池27からの直流電力を異なる電圧値の直流電力に変換して出力するDC−DCコンバータ(昇圧コンバータ)15と、DC−DCコンバータ15の入力側に設けられたフィルタコンデンサ22と、DC−DCコンバータ15からの直流電力を交流に変換して出力するインバータ17,19と、インバータ17,19の入力側(DC−DCコンバータ15の出力側)に設けられた平滑コンデンサ24と、インバータ17,19からの交流電力を受けて回転駆動可能なモータジェネレータ28,29と、を備える。
【0014】
DC−DCコンバータ15は、インバータ17,19の正側ラインPLと負側ラインSLに対してソース側とシンク側となるように直列接続された2個のスイッチング素子Q1,Q2と、このスイッチング素子Q1,Q2に各々逆並列接続された2個のダイオードD1,D2と、一端が二次電池27の一端(正側端子)に接続されるとともに他端がスイッチング素子Q1,Q2同士の接続点に接続されたリアクトル14とを備える。各スイッチング素子Q1,Q2は、例えばIGBT等の半導体素子により構成される。スイッチング素子Q1はリアクトル14の他端とDC−DCコンバータ15の出力端(インバータ17,19の正側ラインPL)との間に配置されており、スイッチング素子Q2はリアクトル14の他端と二次電池27の他端(負側端子)との間に配置されている。このDC−DCコンバータ15では、スイッチング素子Q2をオンすると、二次電池27とリアクトル14とスイッチング素子Q2とを結ぶ短絡回路が形成され、二次電池27から流れる直流電流に応じてリアクトル14にエネルギが一時的に蓄積される。この状態でスイッチング素子Q2をオンからオフすると、リアクトル14に蓄積されたエネルギは、ダイオードD1を介して平滑コンデンサ24に蓄えられる。その際に、平滑コンデンサ24の直流電圧(DC−DCコンバータ15の出力電圧)については、二次電池27の直流電圧(DC−DCコンバータ15の入力電圧)よりも高くすることができる。したがって、DC−DCコンバータ15は、入力された二次電池27からの直流電力を昇圧してインバータ17,19へ出力する昇圧コンバータとして機能する。一方、このDC−DCコンバータ15で平滑コンデンサ24の電荷を用いて二次電池27を充電することも可能である。
【0015】
DC−DCコンバータ15の入力側には、フィルタコンデンサ22が二次電池27と並列に設けられている。フィルタコンデンサ22の容量は、平滑コンデンサ24の容量に比べて小さい。スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作時には、リアクトル14を流れる電流にリプル成分が生じる。フィルタコンデンサ22を二次電池27と並列に設けることで、リアクトル14を流れる電流は、二次電池27の電流(直流成分)にフィルタコンデンサ22の電流(リプル成分)が重畳されたものとなるため、二次電池27の電流変動が抑制される。
【0016】
インバータ17は、正側ラインPLと負側ラインSLとの間で互いに並列接続された複数(図1では3本)のアーム71を備える。各アーム71は、正側ラインPLと負側ラインSLとの間で互いに直列接続された1対のスイッチング素子Q11,Q12と、スイッチング素子Q11,Q12のそれぞれと逆並列接続された1対のダイオードD11,D12とを含む。モータジェネレータ28のコイル(3相コイル)は、各アーム71の中点とそれぞれ接続されている。インバータ17は、スイッチング素子Q11,Q12のスイッチング動作により、入力されたDC−DCコンバータ15からの直流電力を120°ずつ位相が異なる3相交流に変換してモータジェネレータ28の3相コイルへ供給する。これによって、モータジェネレータ28を回転駆動することができる。一方、このインバータ17でモータジェネレータ28の3相コイルの交流電力を直流に変換してDC−DCコンバータ15へ供給することも可能である。
【0017】
インバータ19も、インバータ17と同様の構成であり、スイッチング素子Q21,Q22及びダイオードD21,D22を含むアーム72を複数(図1では3本)備え、モータジェネレータ29の3相コイルが各アーム72の中点とそれぞれ接続されている。インバータ19も、スイッチング素子Q21,Q22のスイッチング動作により、入力されたDC−DCコンバータ15からの直流電力を3相交流に変換してモータジェネレータ29の3相コイルへ供給することで、モータジェネレータ29を回転駆動することができる。一方、このインバータ19でモータジェネレータ29の3相コイルの交流電力を直流に変換してDC−DCコンバータ15へ供給することも可能である。
【0018】
次に、本実施形態に係る電力変換装置の構造について説明する。図2〜4は、本実施形態に係る電力変換装置の構造を示す斜視図である。本実施形態に係る電力変換装置は、インバータパワーカード18,20と昇圧パワーカード16とフィルタコンデンサ22と平滑コンデンサ24とリアクトル14と複数の冷却プレート13−1〜13−5が積層された積層体12を備える。積層体12における各部材を積み重ねる方向を積層方向とし、図2〜4に示すように、積層体12の積層方向をx軸とするxyz3次元座標系を規定すると、図2〜4に示す積層体12の例では、x軸の負側から正側へ向かうにつれて、冷却プレート13−1、リアクトル14、冷却プレート13−2、昇圧パワーカード16及びインバータパワーカード18、冷却プレート13−3、フィルタコンデンサ22及び平滑コンデンサ24、冷却プレート13−4、インバータパワーカード20、冷却プレート13−5の順に積層されている。積層体12を形成する際には、x軸負側からx軸正方向の圧縮荷重を積層体12に作用させて押圧する。
【0019】
昇圧パワーカード16は、スイッチング素子Q1,Q2及びダイオードD1,D2が実装された半導体モジュールであり、リアクトル14とともに図1に示すDC−DCコンバータ(昇圧コンバータ)15の回路を形成する。昇圧パワーカード16には、スイッチング素子Q1,Q2及びダイオードD1,D2に対し電力を入出力するための複数の電極端子41と、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング制御を行うための複数の制御端子44が設けられている。インバータパワーカード18は、スイッチング素子Q11,Q12及びダイオードD11,D12が実装された半導体モジュールであり、図1に示すインバータ17の回路を形成する。インバータパワーカード18には、スイッチング素子Q11,Q12及びダイオードD11,D12に対し電力を入出力するための複数の電極端子と、スイッチング素子Q11,Q12のスイッチング制御を行うための複数の制御端子45が設けられている。インバータパワーカード20は、スイッチング素子Q21,Q22及びダイオードD21,D22が実装された半導体モジュールであり、図1に示すインバータ19の回路を形成する。インバータパワーカード20には、スイッチング素子Q21,Q22及びダイオードD21,D22に対し電力を入出力するための複数の電極端子43と、スイッチング素子Q21,Q22のスイッチング制御を行うための複数の制御端子46が設けられている。各制御端子44,45,46には、図示しない制御回路からの制御電圧が入力される。
【0020】
冷却器として設けられた各冷却プレート13−1〜13−5の内部には、冷却液等の冷媒が流れる冷媒流路が形成されている。リアクトル14は積層方向(x軸方向)において冷却プレート13−1,13−2間に挟まれ、冷却プレート13−1,13−2内の冷媒流路を流れる冷却液によってリアクトル14の冷却が両面から行われる。昇圧パワーカード16及びインバータパワーカード18は積層方向において冷却プレート13−2,13−3間に挟まれ、冷却プレート13−2,13−3内の冷媒流路を流れる冷却液によって昇圧パワーカード16(スイッチング素子Q1,Q2)及びインバータパワーカード18(スイッチング素子Q11,Q12)の冷却が両面から行われる。フィルタコンデンサ22及び平滑コンデンサ24は積層方向において冷却プレート13−3,13−4間に挟まれ、冷却プレート13−3,13−4内の冷媒流路を流れる冷却液によってフィルタコンデンサ22及び平滑コンデンサ24の冷却が両面から行われる。インバータパワーカード20は積層方向において冷却プレート13−4,13−5間に挟まれ、冷却プレート13−4,13−5内の冷媒流路を流れる冷却液によってインバータパワーカード20(スイッチング素子Q21,Q22)の冷却が両面から行われる。
【0021】
冷媒給排パイプ26は、各冷却プレート13−1〜13−5に対して冷却液の供給及び排出を行う。冷媒給排パイプ26には、各冷却プレート13−1〜13−5内の冷媒流路と連通し、冷媒流路に冷却液を供給する冷媒供給ポート26aと、各冷却プレート13−1〜13−5内の冷媒流路と連通し、冷媒流路から冷却液を排出する冷媒排出ポート26bが形成されている。
【0022】
端子台30は、樹脂ハウジング35と、樹脂ハウジング35に固定された正側バスバー32と、正側バスバー32と電気的に絶縁される状態で樹脂ハウジング35に固定された負側バスバー34とを有する。正側バスバー32には、電源としての二次電池27の正側端子と電気的に接続される正側端子36が設けられ、負側バスバー34には、二次電池27の負側端子と電気的に接続される負側端子38が設けられ、正側バスバー32の正側端子36及び負側バスバー34の負側端子38に二次電池27からの直流電力が供給される。図3,4では、樹脂ハウジング35の図示を省略している。
【0023】
主配線モジュール40は、昇圧パワーカード16の電極端子41、インバータパワーカード18の電極端子、及びインバータパワーカード20の電極端子43を、平滑コンデンサ24、フィルタコンデンサ22、及び端子台30の負側バスバー34に電気的に接続するための複数のバスバーを配線部材として有する。主配線モジュール40のバスバーの詳細な説明については後述する。図2では、主配線モジュール40の図示を省略している。
【0024】
積層体12において、図5に示すように、x軸(積層方向)と垂直なy軸方向(第1垂直方向)の一端面を+y面12a、y軸方向の他端面を−y面12b、x軸及びy軸と垂直なz軸方向(第2垂直方向)の一端面を−z面12c、z軸方向の他端面を+z面12dとすると、本実施形態では、冷媒給排パイプ26は、積層体12における+y面12a(第1垂直方向の一端面)に配置されている。そして、端子台30は、積層体12における−y面12b(第1垂直方向の他端面)に配置され、冷媒給排パイプ26が配置された+y面12aの裏面に配置されている。そして、昇圧パワーカード16の電極端子41、インバータパワーカード18の電極端子、インバータパワーカード20の電極端子43、及び主配線モジュール40は、積層体12における−z面12c(第2垂直方向の一端面)に配置され、端子台30が配置された−y面12bと隣り合う面に配置されている。さらに、昇圧パワーカード16の制御端子44、インバータパワーカード18の制御端子45、インバータパワーカード20の制御端子46、及び制御回路(図示せず)は、積層体12における+z面12dに配置され、電極端子41,43及び主配線モジュール40が配置された−z面12cの裏面に配置されている。
【0025】
昇圧パワーカード16は、y軸方向においてインバータパワーカード18よりも−y面12b側(端子台30側)に配置されている。フィルタコンデンサ22は、y軸方向において平滑コンデンサ24よりも−y面12b側(端子台30側)に配置されている。図1,3に示すように、端子台30の正側バスバー32は、フィルタコンデンサ22の正側端子、及びリアクトル14の一端と電気的に接続される。フィルタコンデンサ22を端子台30側に配置して正側バスバー32と電気的に接続し、正側バスバー32をリアクトル14と−y面12b側(端子台30側)で電気的に接続することで、正側バスバー32の電気経路長を短縮することが可能となる。
【0026】
次に主配線モジュール40のバスバーの構成について説明する。以下の説明において、昇圧パワーカード16の複数の電極端子41を区別する必要がある場合は以降41−1,41−2,41−3の符号を用いて説明し、インバータパワーカード20の複数の電極端子43を区別する必要がある場合は以降43−1,43−2,43−3の符号を用いて説明する。
【0027】
図1,6に示すように、主配線モジュール40の正側バスバー61により昇圧パワーカード16の電極端子41−1とリアクトル14の他端が電気的に接続される。電極端子41−1は、図1に示すように、スイッチング素子Q1,Q2同士の接続点(例えばIGBTのエミッタ端子とIGBTのコレクタ端子との接続点)に相当する。
【0028】
図1,7に示すように、主配線モジュール40の正側バスバー62により昇圧パワーカード16の電極端子41−2と平滑コンデンサ24の正側端子が電気的に接続される。そして、図1,8に示すように、主配線モジュール40の正側バスバー63によりインバータパワーカード20の電極端子43−1と平滑コンデンサ24の正側端子が電気的に接続される。これによって、昇圧パワーカード16の電極端子41−2と平滑コンデンサ24の正側端子とインバータパワーカード20の電極端子43−1が電気的に接続される。その際には、正側バスバー62,63の両方を平滑コンデンサ24の正側端子に電気的に接続して正側バスバー62,63同士を電気的に接続することも可能であるし、正側バスバー62,63同士を電気的に接続して正側バスバー62,63の一方を平滑コンデンサ24の正側端子に電気的に接続することも可能である。図1に示すように、昇圧パワーカード16の電極端子41−2はスイッチング素子(IGBT)Q1のコレクタ端子に相当し、インバータパワーカード20の電極端子43−1はスイッチング素子(IGBT)Q21のコレクタ端子に相当する。
【0029】
図1,9に示すように、主配線モジュール40の負側バスバー64により昇圧パワーカード16の電極端子41−3と平滑コンデンサ24の負側端子が電気的に接続される。そして、図1,10に示すように、主配線モジュール40の負側バスバー65によりインバータパワーカード20の電極端子43−2と平滑コンデンサ24の負側端子が電気的に接続される。さらに、図4の太線Aに示すように、端子台30の負側バスバー34が主配線モジュール40の負側バスバー64に電気的に接続され、フィルタコンデンサ22の負側端子が主配線モジュール40の負側バスバー64に電気的に接続される。これによって、端子台30の負側バスバー34とフィルタコンデンサ22の負側端子と昇圧パワーカード16の電極端子41−3と平滑コンデンサ24の負側端子とインバータパワーカード20の電極端子43−2が電気的に接続される。その際には、例えば図11に示すように、負側バスバー64,65の両方をフィルタコンデンサ22の負側端子に電気的に接続して負側バスバー64,65同士を電気的に接続し、負側バスバー64,65の一方を平滑コンデンサ24の負側端子に電気的に接続することも可能であり、これによって、負側バスバー64,65の簡素化、銅使用量削減、バスバー歩留まり向上を図ることができる。あるいは、負側バスバー64,65の両方を平滑コンデンサ24の負側端子に電気的に接続して負側バスバー64,65同士を電気的に接続し、負側バスバー64,65の一方をフィルタコンデンサ22の負側端子に電気的に接続することも可能である。図1に示すように、昇圧パワーカード16の電極端子41−3はスイッチング素子(IGBT)Q2のエミッタ端子に相当し、インバータパワーカード20の電極端子43−2はスイッチング素子(IGBT)Q22のエミッタ端子に相当する。また、負側バスバー64は正側バスバー62よりもz軸方向正側の位置に配置され、図9に示すように、負側バスバー64には、正側バスバー62と電気的に接続される電極端子41−2を通すための穴64aが形成されている。そして、負側バスバー65は正側バスバー63よりもz軸方向正側の位置に配置され、図10に示すように、負側バスバー65には、正側バスバー63と電気的に接続される電極端子43−1を通すための切り欠き65aが形成されている。
【0030】
また、図1,12に示すように、インバータパワーカード20の電極端子43−3は、モータジェネレータ29のコイルに電気的に接続される。電極端子43−3は、図1に示すように、スイッチング素子Q21,Q22同士の接続点(例えばIGBTのエミッタ端子とIGBTのコレクタ端子との接続点)であるアーム72の中点に相当する。
【0031】
なお、スイッチング素子(IGBT)Q11のコレクタ端子に相当するインバータパワーカード18の電極端子を、昇圧パワーカード16の電極端子41−2と平滑コンデンサ24の正側端子に電気的に接続するための主配線モジュール40の正側バスバーの構成については、正側バスバー62,63と同様の構成で実現可能であるため説明を省略する。そして、スイッチング素子(IGBT)Q12のエミッタ端子に相当するインバータパワーカード18の電極端子を、端子台30の負側バスバー34とフィルタコンデンサ22の負側端子と昇圧パワーカード16の電極端子41−3と平滑コンデンサ24の負側端子に電気的に接続するための主配線モジュール40の負側バスバーの構成についても、負側バスバー64,65と同様の構成で実現可能であるため説明を省略する。
【0032】
以上説明した本実施形態によれば、冷却液の供給を行う冷媒供給パイプ及び冷却液の排出を行う冷媒排出パイプを冷媒給排パイプ26に統合化して積層体12の+y面12a(同じ面)に配置することで、積層体12の−y面12b(+y面12aと裏側の面)に端子台30を配置するスペースを確保することができる。そして、端子台30が配置された−y面12bと隣り合う−z面12cに昇圧パワーカード16の電極端子41とインバータパワーカード18の電極端子とインバータパワーカード20の電極端子43と主配線モジュール40を配置する。これによって、省スペース化を実現することができるとともに、昇圧パワーカード16の電極端子41、インバータパワーカード18の電極端子、及びインバータパワーカード20の電極端子43を、平滑コンデンサ24、フィルタコンデンサ22、及び端子台30(負側バスバー34)に電気的に接続するための主配線モジュール40(負側バスバー64,65)については、制御回路(+z面12d)を迂回せずに電気経路長を短縮することができる。したがって、主配線モジュール40のバスバー使用量を削減して省スペース化・低インダクタンス化を実現することができる。
【0033】
さらに、本実施形態では、平滑コンデンサ24とインバータパワーカード20を、x軸方向(積層方向)において冷却プレート13−4を介して隣に配置している。これによって、冷却プレート13−4内の冷媒流路を流れる冷却液によって平滑コンデンサ24及びインバータパワーカード20の冷却を行いつつ、平滑コンデンサ24とインバータパワーカード20の電極端子43を電気的に接続するための主配線モジュール40(正側バスバー63及び負側バスバー65)の電気経路長をさらに短縮することができる。同様に、平滑コンデンサ24と昇圧パワーカード16をx軸方向において冷却プレート13−3を介して隣に配置することで、冷却プレート13−3内の冷媒流路を流れる冷却液によって平滑コンデンサ24及び昇圧パワーカード16の冷却を行いつつ、平滑コンデンサ24と昇圧パワーカード16の電極端子41を電気的に接続するための主配線モジュール40(正側バスバー62及び負側バスバー64)の電気経路長をさらに短縮することができる。したがって、主配線モジュール40のバスバー使用量をさらに削減して、さらなる省スペース化・低インダクタンス化を実現することができる。
【0034】
また、本実施形態では、リアクトル14、昇圧パワーカード16、インバータパワーカード18、インバータパワーカード20、フィルタコンデンサ22及び平滑コンデンサ24のうち、剛性が高く幅広なリアクトル14を積層方向の一端部(x軸負側端部)に配置することで、x軸負側からx軸正方向の圧縮荷重を積層体12に作用させて押圧する際に、積層体12にかかる圧縮荷重を均一化することができる。さらに、リアクトル14と昇圧パワーカード16をx軸方向において冷却プレート13−2を介して隣に配置することで、冷却プレート13−2内の冷媒流路を流れる冷却液によってリアクトル14及び昇圧パワーカード16の冷却を行いつつ、リアクトル14と昇圧パワーカード16の電極端子41−1を電気的に接続するための主配線モジュール40(正側バスバー61)の電気経路長をさらに短縮することができる。
【0035】
以上の実施形態では、端子台30を積層体12の−y面12bに配置するとともに、昇圧パワーカード16の電極端子41とインバータパワーカード18の電極端子とインバータパワーカード20の電極端子43と主配線モジュール40を積層体12の−z面12cに配置する場合について説明した。ただし、端子台30と主配線モジュール40の配置を入れ替えて、昇圧パワーカード16の電極端子41とインバータパワーカード18の電極端子とインバータパワーカード20の電極端子43と主配線モジュール40を積層体12の−y面12bに配置するとともに、端子台30を積層体12の−z面12cに配置することも可能である。
【0036】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
12 積層体、13−1〜13−5 冷却プレート、14 リアクトル、15 DC−DCコンバータ(昇圧コンバータ)、16 昇圧パワーカード、17,19 インバータ、18,20 インバータパワーカード、22 フィルタコンデンサ、24 平滑コンデンサ、26 冷媒給排パイプ、26a 冷媒供給ポート、26b 冷媒排出ポート、27 二次電池、28,29 モータジェネレータ、30 端子台、32,61,62,63 正側バスバー、34,64,65 負側バスバー、35 樹脂ハウジング、36 正側端子、38 負側端子、40 主配線モジュール、41,43 電極端子、44,45,46 制御端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12