特許第5821917号(P5821917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821917
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/165 20120101AFI20151104BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20151104BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20151104BHJP
   B60W 30/12 20060101ALI20151104BHJP
   B60T 7/12 20060101ALN20151104BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20151104BHJP
   B62D 103/00 20060101ALN20151104BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20151104BHJP
   B62D 137/00 20060101ALN20151104BHJP
【FI】
   B60W30/165
   B62D6/00
   B60R21/00 624B
   B60R21/00 624C
   B60R21/00 624G
   B60W30/12
   !B60T7/12 F
   B62D101:00
   B62D103:00
   B62D113:00
   B62D137:00
【請求項の数】14
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-196057(P2013-196057)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-58920(P2015-58920A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2014年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小渕 真巳
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−249761(JP,A)
【文献】 特開2007−176483(JP,A)
【文献】 特開2008−049918(JP,A)
【文献】 特開2007−030696(JP,A)
【文献】 特開2012−224316(JP,A)
【文献】 特開2006−213073(JP,A)
【文献】 特開2002−166746(JP,A)
【文献】 特開2006−290149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 − 50/16
G08G 1/00 − 1/16
B60R 21/00
B60T 7/12 − 8/1769
B60T 8/32 − 8/96
B62D 6/00
B60K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の前方にある先行車を検出する先行車検出部と、
自車と前記先行車との間の車間距離が目標車間距離となるように自車の速度調整を制御する速度制御部と、
前記先行車の走行軌跡を取得する先行車走行軌跡取得部と、
自車と前記先行車との間に進入する進入車を検知する進入車検知部と、
前記進入車検知部で検知した進入車の走行軌跡を取得する進入車走行軌跡取得部と、
前記先行車の走行軌跡及び前記進入車の走行軌跡の少なくとも一方に基づいて自車の目標走行軌跡を設定する目標軌跡設定部と、
前記目標走行軌跡に基づいて自車の操舵量の調整を制御する操舵制御部と、
前記進入車の走行軌跡と前記先行車の走行軌跡とのずれ量が所定値以下となる地点を特定する地点特定部と、を有し、
前記速度制御部は、前記進入車検知部で前記進入車を検知した場合、前記進入車を前記速度制御部の先行車に設定し、
前記目標軌跡設定部は、前記速度制御部が前記進入車を先行車に設定した後、少なくとも前記地点特定部が特定した地点までは前記進入車の進入以前の先行車の走行軌跡に基づいて自車の目標走行軌跡を設定し、前記地点特定部が特定した地点以降において前記進入車の走行軌跡に基づいて自車の目標走行軌跡を設定する
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記進入車検知部は、少なくとも自車の目標走行軌跡と前記進入車の車体との間の自車の進行方向に直交する方向における間隔が所定間隔以下になることに基づいて前記進入車を検知し、
前記所定値は、自車の進行方向に直交する方向に、前記所定間隔よりも小さい値である
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記地点特定部は、前記ずれ量を前記先行車の走行軌跡と前記進入車の走行軌跡とに交差する直線上の距離として求める
請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記地点特定部は、前記交差する直線を前記先行車の走行軌跡及び前記進入車の走行軌跡のいずれか一方に直交するものとする
請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記先行車の走行軌跡として推定される推定走行軌跡を求める走行軌跡推定部をさらに有し、
前記地点特定部は、前記先行車の走行軌跡が取得されなくなった地点から先について、前記先行車の走行軌跡として前記先行車の推定走行軌跡を用いる
請求項1〜4のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記走行軌跡推定部は、前記先行車の走行軌跡として取得できた走行軌跡に対して前記進入車の走行軌跡が接近する割合を求め、その求めた接近する割合と前記進入車の走行軌跡とに基づいて前記推定走行軌跡を求める
請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記走行軌跡推定部は、前記先行車の走行軌跡が得られた地点において前記進入車の走行軌跡との間の距離を軌跡間距離として求め、この求めた軌跡間距離を前記進入車の走行軌跡の接近する割合に基づき減少させることによって前記推定走行軌跡を算出する
請求項6に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記走行軌跡推定部は、自車の走行する車線に隣接する車線を走行する隣接車の走行軌跡、及び自車の走行する走行路の形状の少なくとも一方に基づいて前記推定走行軌跡を求める
請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記操舵制御部は、前記進入車の影響により前記先行車の走行軌跡の取得が困難になると判断するとき、前記進入車が進入してくる方向とは反対方向の車線幅方向へ自車の移動を支援する
請求項1〜8のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記操舵制御部は、自車の進行方向に直交する方向において自車が走行時に占有する幅に前記進入車が進入するとき、前記進入車の影響により前記先行車の走行軌跡の取得が困難になると判断する
請求項9に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記操舵制御部は、前記地点特定部が前記ずれ量が所定値以下となる地点を特定したとき、前記進入車が進入してくる方向とは反対方向の車線幅方向へ自車の移動を支援することを終了する
請求項9又は10に記載の運転支援装置。
【請求項12】
自車の前方にある先行車を検出する先行車検出部と、
自車と前記先行車との車間距離が目標車間距離となるように自車の速度調整を制御する速度制御部と、
前記先行車の走行軌跡を取得する先行車走行軌跡取得部と、
自車と前記先行車との間に進入する進入車を検知する進入車検知部と、
前記進入車検知部で検知した進入車の走行軌跡を取得する進入車走行軌跡取得部と、
前記先行車の走行軌跡及び前記進入車の走行軌跡の少なくとも一方に基づいて自車の目標走行軌跡を設定する目標軌跡設定部と、
前記目標走行軌跡に基づいて自車の操舵量の調整を制御する操舵制御部と、
前記進入車の走行軌跡と前記先行車の走行軌跡とのずれ量が所定値以下となる地点を特定する地点特定部と、を有し、
前記速度制御部は、前記進入車検知部で前記進入車を検知した場合、前記進入車を前記速度制御部の先行車に設定し、
前記地点特定部は、前記速度制御部が前記進入車を先行車に設定する地点における前記進入車の走行軌跡と前記先行車の走行軌跡との前記ずれ量に比べて小さい値を前記所定値として設定し、
前記目標軌跡設定部は、前記地点特定部が特定した地点までは前記進入車の進入以前の先行車の走行軌跡に基づいて自車の目標走行軌跡を設定し、前記地点特定部が特定した地点以降において前記進入車の走行軌跡に基づいて自車の目標走行軌跡を設定する
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項13】
自車の周囲に検出される他車の走行状態に基づいて自車への運転支援を行う運転支援装置であって、
自車の前方を走行する先行車、及び自車と前記先行車との間に進入してくる進入車のいずれか一方の車を調整対象車に設定し、その設定した調整対象車と自車との間の車間距離が所定の距離となるように自車の速度調整を制御する速度制御部と、
前記先行車の走行軌跡、及び前記進入車の走行軌跡をそれぞれ取得するとともに、それら取得した走行軌跡のいずれか一方の走行軌跡を対象軌跡に設定し、その設定した対象軌跡に基づいて自車の走行目標とする目標走行軌跡を設定する目標軌跡設定部と、
前記目標軌跡設定部により設定された目標走行軌跡に基づいて自車の操舵量の調整を制御する操舵制御部と、
前記先行車の走行軌跡と前記進入車の走行軌跡とのずれ量が所定値以下となる地点を特定する地点特定部とを備え、
前記目標軌跡設定部は、前記調整対象車が前記進入車に設定されていること、及び、前記対象軌跡が前記先行車の走行軌跡に設定されていることを条件に、前記地点特定部により特定された地点において前記対象軌跡の設定を前記先行車の走行軌跡から前記進入車の走行軌跡に切り換える
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項14】
前記速度制御部は、少なくとも自車の目標走行軌跡と前記進入車の車体との間の自車の進行方向に直交する方向における間隔が所定間隔以下になることに基づいて前記調整対象車を前記先行車から前記進入車に切り換え、
前記所定値は、自車の進行方向に直交する方向に、前記所定間隔よりも小さい値である
請求項13に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の運転を支援する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転支援装置として、支援対象とする自車とその進行方向前方を走行する先行車との間の車間距離の確保等を支援する装置が知られている。このような装置は、運転支援に際し、自車の進行方向前方に存在する物体との相対位置及び相対速度を検出することによって先行車の存在を認識する。そして、認識した先行車に自車を追従させる車間制御(速度制御)が実行される。例えば、こうした運転支援装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の運転支援装置は、自車の走行情報を検出する自車走行情報検出手段と、自車に対する先行車の走行情報として先行車情報を検出する先行車情報検出手段とを備える。また、この装置は、先行車の位置と自車の位置とに応じて制御目標値を演算し、当該制御目標値に基づくフィードバック制御によって先行車追従のための操舵制御量を演算する操舵制御量演算手段を備える。さらに、この運転支援装置は、先行車検出手段で先行車の切替えを検出したとき、フィードバック制御の制御ゲインを一時的に低減させる制御ゲイン設定手段を備える。こうした構成により、自車と先行車との間の車間距離を制御する支援が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−176290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の運転支援装置などによれば、自車と先行車との間に進入車が割り込む(進入する)とき、フィードバック制御の制御ゲインを低下させることで、自車に近い位置に検出されることの多い進入車に起因する強い運転支援が急に行われるようなことが抑制されるようになる。そして、運転支援に急激な変化が生じることが抑えられることにより、運転支援がユーザに与える違和感も抑制される。
【0006】
ところで、特許文献1に記載の運転支援装置などにおける先行車の切換え検出は安全な車間距離が維持されることを優先に行われていることが多く、先行車が切換えられるときにはまだ、切換前の先行車の走行軌跡と切換後の先行車の走行軌跡との間に自車両の幅方向への大きなずれが残っていることも少なくない。このため先行車が切換えられることによって、たとえ制御ゲインが低下されていたとしても、自車の走行位置が検出切換前の先行車の走行軌跡から切換後の先行車の走行軌跡の位置まで自車の車幅方向に大きく移動する(ふらつく)おそれがあった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであって、その目的は、自車と先行車との間に進入車が割り込むようなときであれ、自車が車幅方向に移動する(ふらつく)ことを抑制させることのできる運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果を記載する。
上記課題を解決する運転支援装置は、自車の前方にある先行車を検出する先行車検出部と、自車と前記先行車との間の車間距離が目標車間距離となるように自車の速度調整を制御する速度制御部と、前記先行車の走行軌跡を取得する先行車走行軌跡取得部と、自車と前記先行車との間に進入する進入車を検知する進入車検知部と、前記進入車検知部で検知した進入車の走行軌跡を取得する進入車走行軌跡取得部と、前記先行車の走行軌跡及び前記進入車の走行軌跡の少なくとも一方に基づいて自車の目標走行軌跡を設定する目標軌跡設定部と、前記目標走行軌跡に基づいて自車の操舵量の調整を制御する操舵制御部と、前記進入車の走行軌跡と前記先行車の走行軌跡とのずれ量が所定値以下となる地点を特定する地点特定部と、を有し、前記速度制御部は、前記進入車検知部で前記進入車を検知した場合、前記進入車を前記速度制御部の先行車に設定し、前記目標軌跡設定部は、前記速度制御部が前記進入車を先行車に設定した後、少なくとも前記地点特定部が特定した地点までは前記進入車の進入以前の先行車の走行軌跡に基づいて自車の目標走行軌跡を設定し、前記地点特定部が特定した地点以降において前記進入車の走行軌跡に基づいて自車の目標走行軌跡を設定することを要旨とする。
【0009】
上記課題を解決する運転支援装置は、自車の前方にある先行車を検出する先行車検出部と、自車と前記先行車との車間距離が目標車間距離となるように自車の速度調整を制御する速度制御部と、前記先行車の走行軌跡を取得する先行車走行軌跡取得部と、自車と前記先行車との間に進入する進入車を検知する進入車検知部と、前記進入車検知部で検知した進入車の走行軌跡を取得する進入車走行軌跡取得部と、前記先行車の走行軌跡及び前記進入車の走行軌跡の少なくとも一方に基づいて自車の目標走行軌跡を設定する目標軌跡設定部と、前記目標走行軌跡に基づいて自車の操舵量の調整を制御する操舵制御部と、前記進入車の走行軌跡と前記先行車の走行軌跡とのずれ量が所定値以下となる地点を特定する地点特定部と、を有し、前記速度制御部は、前記進入車検知部で前記進入車を検知した場合、前記進入車を前記速度制御部の先行車に設定し、前記地点特定部は、前記速度制御部が前記進入車を先行車に設定する地点における前記進入車の走行軌跡と前記先行車の走行軌跡との前記ずれ量に比べて小さい値を前記所定値として設定し、前記目標軌跡設定部は、前記地点特定部が特定した地点までは前記進入車の進入以前の先行車の走行軌跡に基づいて自車の目標走行軌跡を設定し、前記地点特定部が特定した地点以降において前記進入車の走行軌跡に基づいて自車の目標走行軌跡を設定することを要旨とする。
【0010】
上記課題を解決する運転支援装置は、自車の周囲に検出される他車の走行状態に基づいて自車への運転支援を行う運転支援装置であって、自車の前方を走行する先行車、及び自車と前記先行車との間に進入してくる進入車のいずれか一方の車を調整対象車に設定し、その設定した調整対象車と自車との間の車間距離が所定の距離となるように自車の速度調整を制御する速度制御部と、前記先行車の走行軌跡、及び前記進入車の走行軌跡をそれぞれ取得するとともに、それら取得した走行軌跡のいずれか一方の走行軌跡を対象軌跡に設定し、その設定した対象軌跡に基づいて自車の走行目標とする目標走行軌跡を設定する目標軌跡設定部と、前記目標軌跡設定部により設定された目標走行軌跡に基づいて自車の操舵量の調整を制御する操舵制御部と、前記先行車の走行軌跡と前記進入車の走行軌跡とのずれ量が所定値以下となる地点を特定する地点特定部とを備え、前記目標軌跡設定部は、前記調整対象車が前記進入車に設定されていること、及び、前記対象軌跡が前記先行車の走行軌跡に設定されていることを条件に、前記地点特定部により特定された地点において前記対象軌跡の設定を前記先行車の走行軌跡から前記進入車の走行軌跡に切り換えることを要旨とする。
【0011】
このような構成によれば、先行車の走行軌跡と進入車の走行軌跡とのずれ量が所定値以下となる地点において、目標走行軌跡の設定が先行車の走行軌跡から進入車の走行軌跡に変更されるため、その変更される地点において目標走行軌跡に生じるずれ量も所定値以下になる。これにより、目標走行軌跡に生じるずれ量が抑えられるため、操舵制御により自車を車幅方向に移動させようとする制御、いわゆるふらつきが抑制される。つまり、速度制御において進入車が先行車に設定されたとしても、操舵制御においては先行車の走行軌跡と進入車の走行軌跡とのずれ量が所定値以下となる地点までは先行車の走行軌跡を目標走行軌跡とし、同ずれ量が所定値以下となる地点以降に進入車の走行軌跡が目標走行軌跡とされる。これにより、速度制御(車間距離制御)に必要とされる切り換えタイミングと、操舵制御(走行軌跡制御)に必要とされる切換タイミングとが適切に設定されるようになる。つまり操舵支援の切換タイミングは、自車の走行位置がずれ量が所定値以下となる地点に到達したときに設定されるようになる。また、先行車の走行軌跡と進入車の走行軌跡とが切り換えられるとき、操舵制御にかかる制御ゲインを低減させなくてもよいため、操舵制御の応答性が一時的に低下するおそれもない。
【0012】
好ましい構成として、前記進入車検知部は、少なくとも自車の目標走行軌跡と前記進入車の車体との間の自車の進行方向に直交する方向における間隔が所定間隔以下になることに基づいて前記進入車を検知し、前記所定値は、自車の進行方向に直交する方向に、前記所定間隔よりも小さい値である。
【0013】
好ましい構成として、前記速度制御部は、少なくとも自車の目標走行軌跡と前記進入車の車体との間の自車の進行方向に直交する方向における間隔が所定間隔以下になることに基づいて前記調整対象車を前記先行車から前記進入車に切り換え、前記所定値は、自車の進行方向に直交する方向に、前記所定間隔よりも小さい値である。
【0014】
このような構成によれば、車幅や車線幅を基準に調節が行われる速度調節と、車幅方向の1点を基準として設定される目標走行軌跡を基準に調節が行われる操舵量の調整とが、それぞれそれら基準に適切な状況において切り換えられるようになる。なお、所定間隔は、自車両の車体の幅や、自車両が走行中の車線の車線幅などに基づいて定めてもよい。
【0015】
好ましい構成として、前記地点特定部は、前記ずれ量を前記先行車の走行軌跡と前記進入車の走行軌跡とに交差する直線上の距離として求める。
このような構成によれば、先行車の走行軌跡と進入車の走行軌跡とに交差する直線によれば、ずれ量の算出が容易である。
【0016】
好ましい構成として、前記地点特定部は、前記交差する直線を前記先行車の走行軌跡及び前記進入車の走行軌跡のいずれか一方に直交するものとする。
このような構成によれば、先行車の走行軌跡と進入車の走行軌跡とのいずれかに直交する直線によれば、ずれ量の算出がより容易である。
【0017】
好ましい構成として、前記先行車の走行軌跡として推定される推定走行軌跡を求める走行軌跡推定部をさらに有し、前記地点特定部は、前記先行車の走行軌跡が取得されなくなった地点から先について、前記先行車の走行軌跡として前記先行車の推定走行軌跡を用いる。
【0018】
このような構成によれば、先行車の走行軌跡が取得できない場合でも、先行車の推定走行軌跡と進入車の走行軌跡とのずれ量が所定値以下となる地点までは先行車の推定走行軌跡に追従するように操舵制御することにより、先行車の推定走行軌跡と進入車の走行軌跡とのずれに対して自車が移動することを抑制(ふらつき低減)できる。
【0019】
好ましい構成として、前記走行軌跡推定部は、前記先行車の走行軌跡として取得できた走行軌跡に対して前記進入車の走行軌跡が接近する割合を求め、その求めた接近する割合と前記進入車の走行軌跡とに基づいて前記推定走行軌跡を求める。
【0020】
このような構成によれば、先行車の走行軌跡が得られない場合であれ、進入車の走行軌跡から先行車の走行軌跡として推定される推定走行軌跡を用いることによって、進入車の走行軌跡とのずれ量を算出し、そのずれ量が所定値以下となる地点を特定することができるようになる。
【0021】
好ましい構成として、前記走行軌跡推定部は、前記先行車の走行軌跡が得られた地点において前記進入車の走行軌跡との間の距離を軌跡間距離として求め、この求めた軌跡間距離を前記進入車の走行軌跡の接近する割合に基づき減少させることによって前記推定走行軌跡を算出する。
【0022】
このような構成によれば、進入車の接近する割合に基づいて、先行車の走行軌跡を推定するため、推定された推定走行軌跡を、進入車の走行軌跡に対する連続性の高いものとすることができる。
【0023】
好ましい構成として、前記走行軌跡推定部は、自車の走行する車線に隣接する車線を走行する隣接車の走行軌跡、及び自車の走行する走行路の形状の少なくとも一方に基づいて前記推定走行軌跡を求める。
【0024】
このような構成によれば、先行する隣接車の走行軌跡を用いることで推定走行軌跡を推定することができる。また、道路の車線によって規定される車両が走行可能な領域である走行路に基づいて推定走行軌跡を推定することができる。また、複数の情報を用いて推定走行軌跡を推定することで推定精度を向上させることもできる。
【0025】
好ましい構成として、前記操舵制御部は、前記進入車の影響により前記先行車の走行軌跡の取得が困難になると判断するとき、前記進入車が進入してくる方向とは反対方向の車線幅方向へ自車の移動を支援する。
【0026】
このような構成によれば、自車が先行車を検出するために必要な範囲に進入車が重なってくるタイミングを遅らせる、又は重なりを減らすことができるため、進入車が割り込んできたとしても、できるだけ長期間、先行車の走行軌跡を取得することができるようになる。特に、進入車が大型車であるようなとき、自車が先行車の走行軌跡を取得できなくなる可能性が高いが、これにより、通常よりも長く自車が先行車の走行軌跡を取得することができる。
【0027】
好ましい構成として、前記操舵制御部は、自車の進行方向に直交する方向において自車が走行時に占有する幅に前記進入車が進入するとき、前記進入車の影響により前記先行車の走行軌跡の取得が困難になると判断する。
【0028】
このような構成によれば、進入車が進入するとき、余裕を持って自車を移動させることにより、こうして先行車の軌跡を取得させる支援をユーザに違和感の少ないものとすることができる。
【0029】
好ましい構成として、前記操舵制御部は、前記地点特定部が前記ずれ量が所定値以下となる地点を特定したとき、前記進入車が進入してくる方向とは反対方向の車線幅方向へ自車の移動を支援することを終了する。
【0030】
このような構成によれば、自車の目標走行軌跡に先行車の走行軌跡を利用する必要がなくなるとき、自車の走行経路が目標走行軌跡に戻されるようになり、ユーザに違和感の少ない運転支援を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】運転支援装置を具体化した第1の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。
図2】同運転支援装置における運転支援装置についてその構成を模式的に示す模式図。
図3】同運転支援装置における目標走行軌跡生成処理の実行/終了手順を示すフローチャート。
図4】同運転支援装置における目標走行軌跡生成の処理手順を示すフローチャート。
図5】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図6】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図7】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図8】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図9】運転支援装置を具体化した第2の実施形態について、その目標走行軌跡が生成されるときの状況を説明するため模式図。
図10】同運転支援装置における目標走行軌跡生成処理の実行/終了手順を示すフローチャート。
図11】同運転支援装置における目標走行軌跡生成処理の実行/終了手順を示すフローチャート。
図12】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図13】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図14】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図15】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図16】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図17】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図18】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
図19】運転支援装置を具体化した第3の実施形態について、その目標走行軌跡を生成するための態様を示す模式図。
図20】運転支援装置を具体化した第4の実施形態について、その目標走行軌跡の生成を説明するため模式図。
図21】同運転支援装置における目標走行軌跡の生成について説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施形態)
以下、運転支援装置を具体化した第1の実施形態について図1図8を参照して説明する。
【0033】
まず、運転支援装置300の概要について説明する。
図1に示すように運転支援装置300は、自動車などの車両10に適用される。運転支援装置300は、先行車20に追従走行させる先行車追従制御を含む先行車追従支援を運転支援として車両10に提供している。先行車追従支援に基づいて先行車20に追従走行している車両10では、車両10と先行車20との間に進入車30が進入するとき、その先行車追従支援において支援対象となる先行車20と進入車30とが適切なタイミングで切り換えられる。
【0034】
この先行車追従支援の概要について、図5〜8を参照して簡単に説明する。
図5に示すように、車両10は、所定の車間距離を確保する車間距離制御を含む車間距離支援、及び、目標走行軌跡に沿うように走行する走行軌跡制御を含む走行軌跡支援を行うことによって先行車20に追従走行させられる。このとき、図6に示すように、車両10の進行方向右前方から車両10と先行車20との間に進入車30が進入してくることに応じて、車両10の運転支援装置は、車間距離を調整する対象車を先行車20から進入車30へ切り換える。一方、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との距離である「ずれ量H1」は大きい。このため、この位置で、走行軌跡支援の目標走行軌跡を先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31へ切り換えてしまうと、車両10はその走行軌跡が進入車30の方向へ大きくぶれる、いわゆる進入車30の方向に引き込まれるようになってしまう。そこで、図6図8に示すように、運転支援装置300は、進入車30が進入するにつれて変化する「ずれ量H1」を随時算出しつつ、この「ずれ量H1」が「判定値Δh」以内になる地点を検出する。そして、運転支援装置300は、「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下になる地点までは先行車20の走行軌跡21に沿うように走行軌跡支援を行い、「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下になる地点以降は進入車30の走行軌跡31に沿うように走行軌跡支援を行う。このように、運転支援装置300は、車間距離を調整する対象車を切り換えるタイミングと、走行軌跡支援の対象となる走行軌跡を切り換えるタイミングとを、それぞれの支援に適したタイミングに調整されることによって、自車が車幅方向に移動する(ふらつく)ことを抑制させる先行車追従支援を提供することができるようになっている。
【0035】
続いて、本実施形態の運転支援装置の構成について図1図5を参照して説明する。
図1に示すように、車両10は、該車両10の走行状態を検出する装置として、GPS装置101、車載カメラ102、ミリ波レーダ103、加速度センサ104、車速センサ105を備えている。また、車両10には、アクセルペダルセンサ106、ブレーキペダルセンサ107、及び操舵角センサ108などが搭載されている。これらGPS装置101、車載カメラ102、ミリ波レーダ103、加速度センサ104、車速センサ105、アクセルペダルセンサ106、ブレーキペダルセンサ107、及び操舵角センサ108は、車載ネットワークを介して、各種の車両制御等を実行する車載制御装置200に接続されている。なお、車載ネットワークとしては、CAN(コントローラエリアネットワーク)などが挙げられる。
【0036】
GPS装置101は、GPS衛星からの信号を受信し、この受信したGPS衛星からの信号に基づき車両10の位置を、例えば緯度経度として検出する。またGPS装置101は、この検出した車両10の位置(緯度経度)を示す情報である位置情報を、車載制御装置200に出力する。車載制御装置200では、位置情報に基づいて、必要とする道路や地域の情報が地図情報データベース111から取得されたり、ナビゲーションシステム112から経路案内が受けられるようになる。
【0037】
車載カメラ102は、車両10の周辺環境を撮像し、この撮像した画像データを車載制御装置200に出力する。車載カメラ102により撮像される画像には、車両10が走行している道路の車線や道路形状、ガードレールや側壁などの道路施設、車両10の周辺を走行する他車などの画像が含まれる。こうした他車の中には、進行方向前方を走行する先行車20の画像が含まれる。また、他車の中には、車線を走行中の車両10の前方にその車線に車線変更してくる車、車両10と先行車20との間に進入して(割り込んで)くる車など、いわゆる進入車30の画像なども含まれる。車載制御装置200では、撮像された画像の画像認識処理などから、車両10周辺の他車や、それら他車の車両10に対する相対位置や相対速度や、車両10の走行車線や、その走行車線に隣接する隣接車線などの車外環境を検出する。
【0038】
ミリ波レーダ103は、ミリ波帯の電波を用いて車両10周辺に存在する物体を検知し、この検知結果に応じた信号を車載制御装置200に出力する。ミリ波レーダ103は、車両10に接近してくる車両なども検出することができる。例えば、ミリ波レーダ103は、先行車20や、車両10の前方に進入してくる進入車30などを検出することができる。なお、こうした先行車20や進入車30は、車両10との相対速度の差が小さいことなどから、車両であることが判別される。車載制御装置200では、ミリ波レーダ103の検出結果から、車外環境を検出する。例えば、車載制御装置200では、車両10と先行車20との間の車間距離や相対速度が算出されたり、先行車20とは別に接近してくる進入車30を検知し、当該進入車30までの車間距離や相対速度が算出されたりする。
【0039】
加速度センサ104は、車両10の加速度を検出し、この検出した加速度に応じた信号を、車載制御装置200に出力する。車載制御装置200では、加速度に応じた信号に基づいて車両10の加速度が算出される。
【0040】
車速センサ105は、車両10の車輪の回転速度を検出し、この検出した回転速度に応じた信号を、車載制御装置200に出力する。車載制御装置200では、回転速度に基づいて車両10の車速が算出される。
【0041】
アクセルペダルセンサ106は、ドライバによるアクセルペダルの操作量を検出し、この検出したアクセルペダルの操作量に応じた信号を、車載制御装置200に出力する。車載制御装置200では、アクセルペダルの操作量に基づいて車両10の加速度が算出される。
【0042】
ブレーキペダルセンサ107は、ドライバによるブレーキペダルの操作量を検出し、この検出したブレーキペダルの操作量に応じた信号を、車載制御装置200に出力する。車載制御装置200では、ブレーキペダルの操作量に基づいて車両10の減速度が算出される。
【0043】
操舵角センサ108は、ステアリングの操舵角を検出し、この検出した操舵角に応じた信号を、車載制御装置200に出力する。車載制御装置200では、操舵角に基づいて車両10の進行する方向が算出される。
【0044】
車両10は、地図データが登録された地図情報データベース111を備えている。地図情報データベース111は、データの読み書きが可能なように車載制御装置200に接続されている。地図データは、道路などの地理に関するデータを含んでいる。地図データには、地理を表示可能なデータなどとともに、緯度経度などの位置に関する情報が登録されている。地図情報データベース111には、交差点、信号機、及びカーブなどの特定の交通要素の位置や、車線数、車線幅、カーブの曲率、勾配などの道路情報などが含まれる。また、地図情報データベース111には、道路種類を含む道路データ、交差点の情報を示す交差点データ等の各種データが含まれていてもよい。
【0045】
車両10は、ナビゲーションシステム112と表示装置113とを備えている。ナビゲーションシステム112や表示装置113は、車載制御装置200に電気的に接続されている。
【0046】
ナビゲーションシステム112は、車載制御装置200に電気的に接続されている。ナビゲーションシステム112は、車両10の現在地点(緯度経度)を、GPS装置101の検出結果が入力される車載制御装置200から取得する。またナビゲーションシステム112は、車両10の現在地から目的地までの走行経路を、地図情報データベース111の参照を通じて探索する。そしてナビゲーションシステム112は、探索した走行経路や移動時間などを示す情報を車載制御装置200に出力するとともに、車載制御装置200を介して車室内に設けられた液晶ディスプレイ等からなる表示装置113に出力させる。
【0047】
車両10は、ダッシュボードに設けられたインストルメントパネルに表示されるメータの表示状況を制御するメータ制御装置114を備えている。メータ制御装置114は、車載制御装置200に電気的に接続されている。メータ制御装置114は、車速等を示すデータを車載制御装置200から取得し、この取得したデータに基づいて車速等を可視表示する。
【0048】
車両10は、エンジンの駆動状態を制御するアクセル制御装置115、及びブレーキの作動状態を制御するブレーキ制御装置116、及びステアリングの操舵状態を制御するステアリング制御装置117を備えている。アクセル制御装置115、ブレーキ制御装置116、及びステアリング制御装置117は、車載制御装置200に電気的に接続されている。
【0049】
アクセル制御装置115は、アクセルペダルセンサ106の検出値に応じて車載制御装置200が算出するエンジンの制御量に基づきエンジンの駆動状態を制御する。また、アクセル制御装置115は、車載制御装置200が運転支援に基づいて算出したエンジンの制御量によってもエンジンの駆動状態を制御することができる。
【0050】
ブレーキ制御装置116は、ブレーキペダルセンサ107の検出値に応じて車載制御装置200が算出するブレーキの制御量に基づきブレーキの作動状態を制御する。また、ブレーキ制御装置116は、車載制御装置200が運転支援に基づいて算出するブレーキの制御量によってもブレーキの作動状態を制御することができる。
【0051】
ステアリング制御装置117は、操舵角センサ108の検出値に応じて車載制御装置200が算出する操舵角の制御量に基づきステアリングの操舵状態を制御する。また、ステアリング制御装置117は、車載制御装置200が運転支援に基づいて算出する操舵角の制御量によってもステアリングの操舵状態を制御することができる。
【0052】
このような構成により、例えば、車載制御装置200から速度調整用の信号が表示装置113に入力されることで、車両10の速度の加減速に関する指示が表示装置113に表示されたり、この信号がアクセル制御装置115に入力されることで、アクセル制御装置115が車両10の速度を微調整させたりすることもできる。また、例えば、車載制御装置200からブレーキ調整用の信号が表示装置113に入力されることで、車両10のブレーキ操作に関する指示が表示装置113に表示されたり、この信号がブレーキ制御装置116に入力されることで、ブレーキ制御装置116が車両10の速度を低下させたりすることもできる。また、例えば、車載制御装置200から操舵量を調整する信号が表示装置113に入力されることで、車両10の操舵量に関する指示を表示装置113に表示させたり、この信号がステアリング制御装置117に入力されることで、ステアリング制御装置117が車両10の操舵角を微調整させたりすることもできる。
【0053】
車載制御装置200は、車両10の各種制御に用いられる制御装置であって、例えば、駆動系、走行系、車体系、又は情報機器系等を制御対象に含んでいる制御装置である。
車載制御装置200は、いわゆるECU(電子制御装置)であって、演算部や記憶部を有するマイクロコンピュータを含み構成されている。演算部は、いわゆるCPUなど制御用プログラムの演算処理を実行するものである。記憶部は、制御用プログラムやデータなどが記憶された読み出し専用メモリ(ROM)や、演算部の演算結果が一時的に記憶される揮発性メモリ(RAM)より構成されているとともに、大量のデータを保持することができるハードディスクやフラッシュメモリ(EEPROM)などの不揮発性の記憶媒体を含んで構成されている。よって、車載制御装置200は、記憶部に保持されている制御用プログラムや各種のパラメータを演算部に読み込み、実行処理することで、制御対象に対して所定の機能を提供して当該制御対象の制御を行なう。
【0054】
本実施形態では、車載制御装置200は、運転支援を行うための運転支援装置300を備えている。図2に示すように、運転支援装置300は、車載制御装置200から運転支援に関する信号が入力されるとともに、入力された運転支援に関する信号に基づき、減速、加速、及び操舵などに関する運転支援を行なう。例えば、運転支援装置300には、車載制御装置200から車速、車間距離、追従支援設定情報、アクセル操作情報、ブレーキ操作情報、ステアリング操作情報、他車情報、道路情報、及び構造物検知情報などが入力される。そして、運転支援装置300は、HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)情報、アクセル制御情報、ブレーキ制御情報、及びステアリング制御情報などが出力される。
【0055】
車載制御装置200は、運転支援装置300の機能を実現する制御プログラムを記憶させており、それら制御プログラムの実行によって、運転支援装置300が設けられるようになっている。また、パラメータとして、「判定値Δh」などの各種値が必要に応じて設定されている。
【0056】
本実施形態では、運転支援装置300は、先行車20に追従するように車両10を走行させる先行車追従支援を行う。この先行車追従支援は、少なくとも、車両10と先行車20との間の車間距離を維持させるようにする車間距離支援と、車両10を目標走行軌跡(目標走路)に沿って走行させる走行軌跡支援との組み合わせにより行われる支援である。なお、車間距離支援は、目標間隔に対する誤差を速度調整により調節させる速度調整支援を含んでいる。
【0057】
運転支援装置300は、先行車検出部310、進入車検知部320、速度制御部としての速度支援部330、先行車走行軌跡取得部340、進入車走行軌跡取得部350、目標軌跡設定部370、操舵制御部としての操舵支援部380、及び地点特定部360を備える。これら先行車検出部310、進入車検知部320、速度支援部330、先行車走行軌跡取得部340、進入車走行軌跡取得部350、目標軌跡設定部370、操舵支援部380、及び地点特定部360は、車載制御装置200における制御プログラムの実行によってその機能が発揮されるものである。
【0058】
先行車検出部310は、先行車20を検出するものであって、車載制御装置200が画像認識処理により検出した他車との間の相対位置や相対速度などの情報を入力し、それら情報に基づいて先行車20を特定し、当該先行車20までの間の車間距離や相対速度を算出する。
【0059】
進入車検知部320は、進入車30を検知するものであって、車載制御装置200が画像認識処理により検出した他車との間の相対位置や相対速度などの情報を入力し、それら情報に基づいて進入車30を検知し、当該進入車30までの間の車間距離や相対速度を算出する。具体的には、進入車検知部320は、車両10の目標走行軌跡と他車の車体との間の間隔が所定間隔以下になることに基づいて、その他車を進入車30として検知する。例えば、目標走行軌跡と進入車30との間の間隔が車両10の走行している車線幅の半分相当よりも大きい位置から同車線幅の半分相当以下の位置に変化してきたか否かで検知することができる。
【0060】
本実施形態では、車両10は、その車幅方向中央を目標走行軌跡上に沿わせるように走行することとしている。そこで、上述の所定間隔は、車両10の車体幅など車両10に基づいて規定される幅や、車両10の走行中の車線幅など道路によって規定される幅などに基づいて進入を車検知することができるように定められる。例えば、所定間隔は、少なくとも車両10の車体幅以上を確保できる間隔、つまり車体幅の半分以上の大きさに定めることができる。なお、車両10の目標走行軌跡と進入車30の車体との間の間隔については、車両10の進行方向に直交する方向における間隔であることが好ましい。なお、進入車検知部320は、検知した進入車30が先行車追従支援の先行車として設定されることなどにより、検知した進入車30に対する検知を終了する。
【0061】
速度支援部330は、先行車20又は進入車30のいずれか一方から選択された調整対象車に対し、調整対象車と車両10との間の車間距離が適切な車間距離、もしくは適切な車間距離以上に保たれる速度となるように車両10の速度調整を支援する。例えば、速度支援部330は、調整された速度をアクセル制御装置115やブレーキ制御装置116に伝達させることで、車両10における速度調整を制御することができる。速度支援部330は、通常、先行車20を調整対象車に選択する一方、進入車30が検知されることに応じて当該進入車30を調整対象車に選択する。つまり、速度支援部330は、進入車30が検知されることに応じて調整対象車を先行車20から進入車30に変更し、この時点で、速度支援部330では、調整対象車の変更以前の進入車30が「新たな先行車」として選択されることとなる。
【0062】
先行車走行軌跡取得部340は、先行車20の走行軌跡21を取得するものであって、車載制御装置200が画像認識処理により検出した他車とのその相対位置や相対速度などの情報を入力し、それら情報に基づいて特定された先行車20について、当該先行車20の走行軌跡21を取得する。先行車20の検出は、例えば、先行車検出部310と同様の処理により行うことができる。
【0063】
進入車走行軌跡取得部350は、進入車30の走行軌跡31を取得するものであって、車載制御装置200が画像認識処理により検出した他車とのその相対位置や相対速度などの情報を入力し、それら情報に基づいて進入車30を検知し、当該進入車30の走行軌跡31を取得する。進入車30の検知は、例えば、進入車検知部320と同様の処理により行うことができる。
【0064】
なお、進入車走行軌跡取得部350は、進入車30が検知されるよりも以前から、他車の走行軌跡を取得するようにしていてもよい。進入車走行軌跡取得部350は、他車のうち、車両10の隣接車線において、車両10の側方から先行車20までの間を走行している1又は複数の車両を進入車30となる可能性のある進入候補車として検知し、それら進入候補車について、それぞれ走行軌跡を取得するようにしてもよい。なお、進入車走行軌跡取得部350は、取得した進入車30の走行軌跡31が先行車追従支援の目標走行軌跡に設定されることなどにより、進入車30の走行軌跡31の取得を、先行車走行軌跡取得部340に引き継がせて終了する。
【0065】
地点特定部360は、先行車走行軌跡取得部340により取得された先行車20の走行軌跡21が入力されるとともに、進入車走行軌跡取得部350により取得された進入車30の走行軌跡31が入力される。地点特定部360は、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31とを比較し、先行車20の走行軌跡21に進入車30の走行軌跡31が所定の「判定値Δh」以内に接近した地点を特定する。つまり、地点特定部360は、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との「ずれ量H1」が所定の「判定値Δh」以下となる地点を特定する。この所定の「判定値Δh」は、例えば、目標走行軌跡が先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31に切り替えられたとしても、車両10の操舵量がユーザの違和感を抑制させることのできる程度の量である。
【0066】
つまり、「判定値Δh」は車両10の進行方向に例えば直交する方向に、進入車検知部320が進入車30を検知するために用いる所定間隔よりも小さい値となる。
目標軌跡設定部370は、先行車走行軌跡取得部340により取得された先行車20の走行軌跡21と、進入車走行軌跡取得部350により取得された進入車30の走行軌跡31と、地点特定部360により特定された地点とが入力される。目標軌跡設定部370は、通常、先行車走行軌跡取得部340により取得された先行車20の走行軌跡21を目標走行軌跡として設定する。一方、目標軌跡設定部370は、地点特定部360から特定された地点が入力されると、その入力された特定された地点までは進入車30の進入以前の先行車20の走行軌跡21に基づいて目標走行軌跡を設定し、その入力された特定された地点以降については進入車30の走行軌跡31に基づいて目標走行軌跡を設定する。つまり、目標軌跡設定部370は、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との間の距離である「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下になると特定された地点において、目標走行軌跡として設定する走行軌跡を先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31に変更する。これにより設定される目標走行軌跡は、先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31とのつなぎ目になる、特定された地点に生じる軌跡の「ずれ量H1」を、例えば、「判定値Δh」以下にすることができるようになる。すなわち、目標軌跡設定部370は、目標走行軌跡に設定される走行軌跡を、特定された地点において先行車20の走行軌跡31から進入車30の走行軌跡31に変更し、この位置で、目標軌跡設定部370では、目標走行軌跡に設定される走行軌跡の対象が進入車30の進入以前の先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31に変更される。
【0067】
操舵支援部380は、車両10の走行軌跡が目標走行軌跡に沿うように、換言すると車両10が目標走行軌跡を辿るようになるように車両10の操舵量を調整することを支援する。より具体的には、操舵支援部380は、操舵量を、車両10の車幅方向中央が目標走行軌跡上を沿うように車両10が走行するように調整する。操舵支援部380は、車両10の走行位置と、目標軌跡設定部370により生成された目標走行軌跡との間の誤差に基づいて、車両10の走行軌跡支援に必要とされる操舵量に関する情報をユーザに伝達させたり、ステアリング制御装置117に伝達させたりする。例えば、操舵支援部380は、調整した操舵量に関する情報をステアリング制御装置117に伝達させることで、操舵量の調整を制御することができる。
【0068】
このように、本実施形態では、先行車検出部310、進入車検知部320、及び速度支援部330により構成される車間距離支援部301により速度調整支援が実施されるようになっている。また、先行車走行軌跡取得部340、進入車走行軌跡取得部350、地点特定部360、目標軌跡設定部370及び操舵支援部380により構成される目標軌跡支援部302により走行軌跡支援が実施されるようになっている。
【0069】
次に、先行車追従支援の手順について図3及び図4を参照して説明する。まず、先行車追従支援は、車両10が走行していることなどを条件にその実行の可否が判断される。
図3に示すように、車両10の走行が開始されると、運転支援装置300は、先行車追従支援の実行を指示するスイッチ(図示略)がONであるか否かを判断する(ステップS1)。先行車追従支援の実行を指示するスイッチの状態は、追従支援設定情報として車載制御装置200から入力される。先行車追従支援の実行を指示するスイッチがONではないと判断された場合(ステップS1でNO)、運転支援装置300は、所定の時間間隔を開けて、処理をステップS1に戻す。つまり、再度、先行車追従支援の実行を指示するスイッチがONであるか否かを判断する(ステップS1)。
【0070】
一方、先行車追従支援の実行を指示するスイッチがONであると判断された場合(ステップS1でYES)、運転支援装置300は、目標走行軌跡を生成する処理を行う(ステップS2)。そして、目標走行軌跡を生成する処理が終了すると、運転支援装置300は、先行車追従支援の実行を指示するスイッチがOFFであるか否かを判断する(ステップS3)。
【0071】
そして、先行車追従支援の実行を指示するスイッチがOFFではないと判断された場合(ステップS3でNO)、運転支援装置300は、所定の間隔を開けて、処理をステップS2に戻す。つまり、目標走行軌跡を生成する処理を繰り返す(ステップS2)。また、先行車追従支援の実行を指示するスイッチがOFFであると判断された場合(ステップS3でYES)、運転支援装置300は、目標走行軌跡をクリアして(ステップS4)、先行車追従支援を終了させる。よって、目標走行軌跡をクリアされると、先行車追従支援が終了された旨が表示装置113の表示を通じてユーザに通知され、ユーザが運転支援の実行中でないことを認知することができるようにしている。なお、先行車追従支援の実行を指示するスイッチのON/OFFにかかわらず、車両10が走行しない状況となることで、先行車追従支援は終了される。
【0072】
続いて、上述した目標走行軌跡を生成する処理(ステップS2)について詳述する。
図4に示すように、目標走行軌跡を生成する処理が開始されると、運転支援装置300は、先行車20があるか否かを判断する(ステップS10)。先行車20がないと判断された場合(ステップS10でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡をクリアする(ステップS11)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。
【0073】
一方、先行車20があると判断された場合(ステップS10でYES)、運転支援装置300は、目標走行軌跡を設定中であるか否かを判断する(ステップS12)。目標走行軌跡を設定中であることは、目標走行軌跡が設定されている(クリアされていない)ことにより判断される。目標走行軌跡を設定中ではないと判断された場合(ステップS12でNO)、運転支援装置300は、車両10の走行位置から先行車20の走行軌跡21があるか否かを判断する(ステップS13)。車両10の走行位置から先行車20の走行軌跡21がないと判断された場合(ステップS13でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡をクリアする(ステップS11)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。一方、車両10の走行位置から先行車20の走行軌跡21があると判断された場合(ステップS13でYES)、運転支援装置300は、先行車20の走行軌跡21を目標走行軌跡に設定する(ステップS14)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。
【0074】
また、目標走行軌跡を設定中であると判断された場合(ステップS12でYES)、運転支援装置300は、速度支援部330の調整対象車が別の車両に変わったか否かを判断する(ステップS15)。
【0075】
そして、速度支援部330の調整対象車が別の車両に変わらなかったと判断された場合(ステップS15でNO)、運転支援装置300は、「ずれ量」判定中であるか否かを判断する(ステップS26)。「ずれ量」判定中であることは、「ずれ量」判定中のフラグが設定されていること、例えば、フラグに「1」が設定されていることにより判断される。「ずれ量」判定中ではないと判断された場合(ステップS26でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡を先行車20の走行軌跡21に基づいて設定する(ステップS27)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。一方、「ずれ量」判定中であると判断された場合(ステップS26でYES)、運転支援装置300は、処理を下に説明するステップS18に進める。
【0076】
また、速度支援部330の調整対象車が別の車両に変わったと判断された場合(ステップS15でYES)、運転支援装置300は、速度支援部330の調整対象車が先行車20から進入車30に入れ替わったか否かを判断する(ステップS16)。
【0077】
速度支援部330の調整対象車が先行車20から進入車30に変わったと判断されなかった場合(ステップS16でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡をクリアする(ステップS25)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。これは、車両10がレーンチェンジをすることなどによって、それまでの進入車30以外の他車が先行車20になったような場合である。
【0078】
一方、速度支援部330の調整対象車が先行車20から進入車30に変わったと判断された場合(ステップS16でYES)、運転支援装置300は、「ずれ量」判定中のフラグを設定する(ステップS17)。
【0079】
運転支援装置300は、進入車30の進入以前の先行車20の走行軌跡21を取得しているか否かを判断する(ステップS18)。進入車30の進入以前の先行車20の走行軌跡21を取得していると判断された場合(ステップS18でYES)、運転支援装置300は、目標走行軌跡を先行車20の走行軌跡21に基づいて設定する(ステップS19)とともに、下に説明するステップS20へ進む。一方、進入車30の進入以前の先行車20の走行軌跡21を取得していないと判断された場合(ステップS18でNO)、運転支援装置300は、下に説明するステップS20へ進む。
【0080】
運転支援装置300は、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との「ずれ量H1」を算出できるか否かを判断する(ステップS20)。先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との「ずれ量H1」を算出できないと判断された場合(ステップS20でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡に進入車30の走行軌跡31を設定する(ステップS21)。そして、「ずれ量」判定中のフラグの設定を解除する(ステップS24)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。
【0081】
一方、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との「ずれ量H1」を算出できると判断された場合(ステップS20でYES)、運転支援装置300は、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との「ずれ量H1」を算出する(ステップS22)。それから運転支援装置300は、「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下か否かを判断する(ステップS23)。「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下と判断されない場合(ステップS23でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。
【0082】
また、「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下と判断された場合(ステップS23でYES)、運転支援装置300は、「ずれ量」判定中のフラグの設定を解除する(ステップS24)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。
【0083】
そして、上述した目標走行軌跡を生成する処理が繰り返し実行されることで、先行車20の走行軌跡21を目標走行軌跡に設定することや、「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下になることに基づいて進入車30の走行軌跡31が目標走行軌跡に設定されるようになっている。
【0084】
本実施形態の作用について、図5〜8を参照して説明する。
図5に示すように、車線R1を走行中の車両10は、車両10の進行方向の前方にあって該車両10に一番近い車両を先行車20として設定している。そして、車両10では、先行車20に対して先行車追従支援が行われている。つまり、車両10では、先行車20に対して車間距離支援が実行されているとともに、先行車20の走行軌跡21に対して走行軌跡支援が実行されている。なお、隣接する車線には、車両10と同じ進行方向に向かって進入車30が走行している。車両10は、進入車30についても、進入候補車として、その走行軌跡31を取得する。
【0085】
図6に示すように、他車(進入車30)が走行中の車線R1に進入してきたことに基づいて、車両10は、当該他車を、車両10と先行車20との間に進入してくる(割り込んでくる)進入車30として検知する。このように進入車30が検知されたとき、車間距離支援では、追突防止などの観点から支援の対象となる調整対象車が先行車20から進入車30に変更される。
【0086】
一方、このように進入車30が検知されたとき、走行軌跡支援では、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との「ずれ量H1」が算出される。「ずれ量H1」は、進入車30の走行軌跡31の所定位置から先行車20の走行軌跡21までの距離である。例えば、「ずれ量H1」は、進入車30の走行軌跡31の所定位置から先行車20の走行軌跡21への最短距離であり、進入車30の走行軌跡31の所定位置から先行車20の走行軌跡21への垂線、つまり直交する線の長さとして求められる。なお、規定されている線であれば、垂線に代えて、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31の所定位置とに交差する線を用いることもできる。そして、車両10は、求められた「ずれ量H1」を設定されている「判定値Δh」と比較し、「ずれ量H1」が「判定値Δh」以内であるか否かを判断する。なお、図6では、「ずれ量H1」は「判定値Δh」以内ではないと判断され、目標走行軌跡は、引き続き、先行車20の走行軌跡21に基づいて設定される。
【0087】
図7に示すように、車両10と先行車20との間への進入車30の進入が進んだとき、走行軌跡支援では、「ずれ量H1」を再算出(更新)し、この再算出した「ずれ量H1」が「判定値Δh」以内であるか否かを判断することを随時行う。なお、図7に示す態様でもまだ、「ずれ量H1」は「判定値Δh」以内ではないと判断され、目標走行軌跡は、引き続き、先行車20の走行軌跡21に基づいて設定される。
【0088】
図8に示すように、車両10と先行車20との間への進入車30の進入がさらに進んだとき、走行軌跡支援では、再算出した「ずれ量H1」が「判定値Δh」以内であるか否かを判断する。そして図8に示す態様では、「ずれ量H1」は「判定値Δh」以内であると判断され、目標走行軌跡の設定は、先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31に変更され、進入車30の走行軌跡31に基づいて設定されるようになる。これにより、「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下となる地点よりも車両10の進行方向手前では、目標走行軌跡は先行車20の走行軌跡21に設定され、「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下となる地点から車両10の進行方向先では、目標走行軌跡は進入車30の走行軌跡31に設定される。よって、車両10は、その走行位置が「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下となる地点に到達することで、目標走行軌跡の設定が先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31に切り換えられる。なお、車両10と先行車20との間に進入車30が進入し、車両10から先行車20が見通せなくなることにより、先行車20の走行軌跡21は、地点22より先については取得されなくなる。
【0089】
このように本実施形態では、目標走行軌跡に設定される走行軌跡が先行車20のものから進入車30のものへ小さいずれ量で変更されるため、設定される走行軌跡が変更される場合であれ、目標走行軌跡への追従に関しての制御ゲインを変更するようなことを行わなくてもよい。
【0090】
本実施形態によれば、車両10と先行車20との間に進入車30が割り込むようなときであれ、自車が車幅方向に移動する(ふらつく)ことを抑制させることのできる運転支援装置を提供することができるようになる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態の運転支援装置によれば、以下に列記する効果が得られるようになる。
(1)先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31とのずれ量H1が所定の判定値Δh以下となる地点において、目標走行軌跡11の設定が先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31に変更されるため、その変更される地点において目標走行軌跡11に生じるずれ量H1も所定の判定値Δh以下になる。これにより、目標走行軌跡11に生じるずれ量H1が抑えられるため、操舵支援により車両10を車幅方向に移動させようとする支援、いわゆるふらつきが抑制される。つまり、速度支援において進入車30が先行車20に設定されたとしても、操舵支援においては先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31とのずれ量H1が所定の判定値Δh以下となる地点までは先行車20の走行軌跡21を目標走行軌跡11とし、同ずれ量H1が所定の判定値Δh以下となる地点以降に進入車30の走行軌跡31が目標走行軌跡11とされる。これにより、速度支援(車間距離支援)に必要とされる切り換えタイミングと、操舵支援(走行軌跡支援)に必要とされる切換タイミングとが適切に設定されるようになる。つまり操舵支援の切換タイミングは、車両10の走行位置が「ずれ量H1」が「判定値Δh」以下となる地点に到達したときに設定されるようになる。また、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31とが切り換えられるとき、操舵支援にかかる制御ゲインを低減させなくてもよいため、操舵支援の応答性が一時的に低下するおそれもない。
【0092】
(2)車幅や車線幅を基準に調節が行われる速度調節と、車幅方向の1点を基準として設定される目標走行軌跡11を基準に調節が行われる操舵量の調整とが、それぞれそれら基準に適切な状況において切り換えられるようになる。なお、「判定値Δh」は、自車両の車体の幅や、自車両が走行中の車線の車線幅などに基づいて定めることができる。
【0093】
(3)先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31とに交差する直線によって、ずれ量H1が容易に算出される。
(4)先行車20の走行軌跡21に直交する直線によれば、ずれ量の算出がより容易である。
【0094】
(第2の実施形態)
運転支援装置を具体化した第2の実施形態について、図9図18を参照して説明する。
【0095】
本実施形態は、「ずれ量H1」が「判定値Δh」以内になるよりも先に先行車20の走行軌跡21が取得できなくなる場合に推定走行軌跡35を用いる構成が、第1の実施形態における「ずれ量H1」を判定する構成と相違するものの、それ以外の構成については同様である。よって以下では、主に、第1の実施形態に対して相違する構成について説明することとし、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を用い、説明の便宜上、その詳細な説明を割愛する。また、図10及び図11に示すフローチャートは、第1の実施形態の図4に示すフローチャートと同一の処理には同一の符号を付した。
【0096】
図9に示すように、車両10と先行車20との間への進入車30の進入が進むと、走行軌跡支援では、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31とに基づいて算出した「ずれ量H1」が「判定値Δh」以内であるか否かが随時判断される。ところが、「ずれ量H1」は「判定値Δh」以内ではないと判断されているにもかかわらず、車両10から先行車20が見通せなくなり、地点22より先について先行車20の走行軌跡21を取得できなくなることもある。そうすると、「ずれ量H1」が算出できなくなり、走行軌跡支援において、先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31への切換が適切にされなくなるおそれがある。
【0097】
そこで、本実施形態では、走行軌跡支援において、先行車20の走行軌跡21が取得できなくなったとき、その先行車20の走行軌跡21の先に続く軌跡として推定走行軌跡35を推定する。つまり、先行車20の走行軌跡21として推定される推定走行軌跡35を求める走行軌跡推定部390(図12参照)をさらに有し、地点特定部360は、先行車20の走行軌跡21が取得されなくなった地点22から先について、先行車20の走行軌跡21として先行車20の推定走行軌跡35を用いる。そして、走行軌跡支援においては、この推定した推定走行軌跡35と進入車30の走行軌跡31とから「判定値Δh」と比較するための「推定ずれ量H2」を算出するようにする。
【0098】
まず、本実施形態の概要を、図12〜15を参照して説明する。
図12に示すように、車両10は、運転支援装置300に走行軌跡推定部390を備える。車両10は、車間距離支援、及び、走行軌跡支援を行うことによって先行車20に追従走行させられている。このとき、図13に示すように、車両10の進行方向右前方から車両10と先行車20との間に進入車30が車線R2へ進入してくることに応じて、車両10の運転支援装置は、車間距離支援の対象車を先行車20から進入車30へ切り換える。一方、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との距離であるずれ量は大きいため、この位置では、走行軌跡支援の目標走行軌跡を先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31へは切り換えない。
【0099】
続いて、図14に示すように、車両10は、進入車30が車線R2に進入した地点T0を特定する。また、図15に示すように、車両10は、先行車20の走行軌跡21が取得できなくなった地点22に対応する位置である地点T1を特定する。そして、車両10は、地点T0から地点T1までの進入車30の走行軌跡31、及び先行車20の走行軌跡21の関係に基づいて、地点22より先について、推定走行軌跡35を推定する。そして、車両10は、この推定走行軌跡35と進入車30の走行軌跡31との間の最短距離であるずれ量を「推定ずれ量H2」として随時算出しつつ、この「推定ずれ量H2」が「判定値Δh」以内になる位置を検出する。そして、車両10は、検出された位置にて走行軌跡支援の目標走行軌跡を先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31へ切り換える。
【0100】
続いて、本実施形態の構成について説明する。第1の実施形態と同様に、先行車追従支援は、車両10が走行していることなどを条件にその実行の可否が判断される。よって以下では、第1の実施形態の目標走行軌跡を生成する処理(ステップS2)に対応する処理についてその詳細を説明する。
【0101】
図10及び図11に示すように、目標走行軌跡を生成する処理が開始されると、運転支援装置300は、先行車20があるか否かを判断する(ステップS10)。先行車20がないと判断された場合(ステップS10でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡をクリアする(ステップS11)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。
【0102】
一方、先行車20があると判断された場合(ステップS10でYES)、運転支援装置300は、目標走行軌跡を設定中であるか否かを判断する(ステップS12)。目標走行軌跡を設定中であることは、目標走行軌跡が設定されている(クリアされていない)ことにより判断される。目標走行軌跡を設定中ではないと判断された場合(ステップS12でNO)、運転支援装置300は、車両10の走行位置から先行車20の走行軌跡21があるか否かを判断する(ステップS13)。車両10の走行位置から先行車20の走行軌跡21がないと判断された場合(ステップS13でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡をクリアする(ステップS11)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。一方、車両10の走行位置から先行車20の走行軌跡21があると判断された場合(ステップS13でYES)、運転支援装置300は、先行車20の走行軌跡21を目標走行軌跡に設定する(ステップS14)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。
【0103】
また、目標走行軌跡を設定中であると判断された場合(ステップS12でYES)、運転支援装置300は、速度支援部330の調整対象車が別の車両に変わったか否かを判断する(ステップS15)。
【0104】
そして、速度支援部330の調整対象車が別の車両に変わらなかったと判断された場合(ステップS15でNO)、運転支援装置300は、「ずれ量」判定中であるか否かを判断する(ステップS26)。「ずれ量」判定中であることは、「ずれ量」判定中のフラグが設定されていること、例えば、フラグに「1」が設定されていることにより判断される。「ずれ量」判定中ではないと判断された場合(ステップS26でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡を先行車20の走行軌跡21に基づいて設定する(ステップS27)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。一方、「ずれ量」判定中であると判断された場合(ステップS26でYES)、運転支援装置300は、処理を下に説明するステップS18に進める。
【0105】
また、速度支援部330の調整対象車が別の車両に変わったと判断された場合(ステップS15でYES)、運転支援装置300は、速度支援部330の調整対象車が先行車20から進入車30に入れ替わったか否かを判断する(ステップS16)。
【0106】
速度支援部330の調整対象車が先行車20から進入車30に変わったと判断されなかった場合(ステップS16でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡をクリアする(ステップS25)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。これは、車両10がレーンチェンジをすることなどによって、それまでの進入車30以外の他車が先行車20になったような場合である。
【0107】
一方、速度支援部330の調整対象車が先行車20から進入車30に変わったと判断された場合(ステップS16でYES)、運転支援装置300は、「ずれ量」判定中のフラグを設定する(ステップS17)。そして、運転支援装置300は、目標走行軌跡11と進入車30の走行軌跡31との「初期ずれ量H0」を算出し(ステップS30)、保持されている2つの走行距離の値をそれぞれリセットする(ステップS31)。例えば、推定走行軌跡35の算出に用いられる進入車30に関する2つの走行距離D1d、D2d(図16,17参照)の値が「0」に設定される。
【0108】
続いて、先行車20の走行軌跡21を取得していると判断された場合(ステップS18でYES)、運転支援装置300は、目標走行軌跡を先行車20の走行軌跡21に基づいて設定して(ステップS19)、下に説明するステップS20へ進む。一方、進入車30の進入以前の先行車20の走行軌跡21を取得していないと判断された場合(ステップS18でNO)、運転支援装置300は、下に説明するステップS20へ進む。
【0109】
そして、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との「ずれ量」を算出できると判断された場合(ステップS20でYES)、運転支援装置300は、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との「ずれ量」を算出する(ステップS22)。また、運転支援装置300は、進入車30の走行距離D1dの値を更新する(ステップS32)とともに、推定される「推定ずれ量H2」に算出された「ずれ量」を代入する(ステップS34)。そして、処理が下に説明するステップS38に進む。
【0110】
また、図17も参照して説明すると、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31との「ずれ量」を算出できないと判断された場合(ステップS20でNO)、運転支援装置300は、進入車30の走行距離D2dの値を更新する(ステップS35)。この更新によって、後で説明するように、進入車30の走行距離D2dの位置に対応する推定走行軌跡35の位置34が特定される。
【0111】
また、運転支援装置300は、進入車30の走行距離D2dに対応する進入車30の走行軌跡31上の位置34とその位置に対応する推定走行軌跡35上の位置24との間の「推定ずれ量H2」を算出する(ステップS36)。さらに、運転支援装置300は、先行車20の走行軌跡21の地点22から推定走行軌跡35の位置24までを、目標走行軌跡11として設定する(ステップS37)。そして、処理を下に説明するステップS38に進む。
【0112】
運転支援装置300は、「推定ずれ量H2」が「判定値Δh」以下か否かを判断する(ステップS38)。「推定ずれ量H2」が「判定値Δh」以下と判断された場合(ステップS38でNO)、運転支援装置300は、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。他方、「推定ずれ量H2」が「判定値Δh」以下と判断されない場合(ステップS38でYES)、「ずれ量」判定中のフラグの設定を解除する(ステップS24)とともに、目標走行軌跡を生成する処理を終了する。
【0113】
そして、上述した目標走行軌跡を生成する処理が繰り返し実行されることで、先行車20の走行軌跡21が目標走行軌跡に設定されたり、推定走行軌跡35が設定されたり、「推定ずれ量H2」が「判定値Δh」以下になることに基づいて進入車30の走行軌跡31が目標走行軌跡に設定されたりするようになっている。
【0114】
次に、推定走行軌跡の算出について、図12〜18を参照して説明する。
まず、図12〜15を参照して、車両10における走行軌跡支援の状態変化について説明する。
【0115】
図12に示すように、車線R2を走行中の車両10は、車両10の進行方向の前方を走行している先行車20に対して先行車追従支援が行われている。なお、隣接する車線には、車両10と同じ進行方向に向かって進入車30が走行している。車両10は、進入車30についても、進入候補車として、その走行軌跡31を取得する。
【0116】
図13に示すように、他車(進入車30)が走行中の車線R2に進入してきたことに基づいて、車両10は、当該他車を、車両10と先行車20との間に進入してくる進入車30として検知し、車間距離支援では、調整対象車が先行車20から進入車30に変更される。
【0117】
一方、図14に示すように、進入車30が検知されたとき、車両10は、進入車30が車線R2に進入した地点T0を特定するとともに、目標走行軌跡11において、地点T0に対応する位置も特定する。なお、地点T0に対応する位置とは、目標走行軌跡11までの最短距離であり、地点T0から目標走行軌跡までの垂線、つまり目標走行軌跡11に直交する線の長さで設定できる。また、先行車20の位置が、先行車20の走行軌跡21が取得されなくなる地点22であり、目標走行軌跡11において、地点T0に対応する位置から地点22までの距離D1も算出する。
【0118】
つまり、図15に示すように、車両10では、走行軌跡支援が、目標走行軌跡11に先行車20の走行軌跡21が設定される第1の区間Z1と、目標走行軌跡11に進入車30の走行軌跡31が設定される第3の区間Z3と、目標走行軌跡に推定走行軌跡35が設定される第2の区間Z2との各区間に対してそれぞれ行われる。
【0119】
まず、第1の区間Z1にあっては、地点T0における「初期ずれ量H0」、地点T1における「ずれ量H1」、地点T0から地点T1までの目標走行軌跡11の長さ「D1」及び進入車30の走行軌跡31の長さ「D1d」(図16参照)が求められる。地点T0における「初期ずれ量H0」、及び、地点T1における「ずれ量H1」は、それぞれの地点T0,T1において目標走行軌跡11に直交する直交線上の目標走行軌跡11から進入車30の走行軌跡31までの長さである。
【0120】
次に、第2の区間Z2にあっては、推定走行軌跡35と進入車30の走行軌跡31とが交差する地点T3(位置23,33)と、地点T0から地点T3までの推定走行軌跡35の長さ「D3」及び進入車30の走行軌跡31の長さ「D3d」(図16参照)が求められる。また、地点T1と地点T3との間の各点における推定走行軌跡35に直交する直交線上の推定走行軌跡35から進入車30の走行軌跡31までの長さである「推定ずれ量H2」と、そのときの地点T0からの推定走行軌跡35の長さ「D2」とが求められる。
【0121】
そして、第3の区間Z3にあっては、目標走行軌跡として進入車30の走行軌跡31が設定されるようになる。
続いて、推定走行軌跡の算出について、図16図18を参照して詳細に説明する。
【0122】
まず、図16に示すように、図16の車両10及び進入車30の状態からは、地点T0の「初期ずれ量H0」、地点T1における「ずれ量H1」、車両10は、地点T0から地点T1までの走行軌跡31の長さ「D1d」、地点T0から地点T3までの進入車30の走行軌跡31の長さ「D3d」が得られる。このとき、先行車20の走行軌跡21に対して進入車30の走行軌跡31が接近する割合としての除辺割合を含む第1の関係式として以下に示す式(1)を利用することができる。
【0123】
「D3d」:「D3d−D1d」=「H0」:「H1」・・・(1)
また、図17に示すように、図17の車両10及び進入車30の状態からは、地点T0の「初期ずれ量H0」、地点T2における「推定ずれ量H2」、地点T0から地点T2までの走行軌跡31の長さ「D2d」、地点T0から地点T3までの進入車30の走行軌跡31の長さ「D3d」が得られる。このとき、同除辺割合を含む第2の関係式として以下に示す式(2)を利用することができる。
【0124】
「D3d」:「D3d−D2d」=「H0」:「H2」・・・(2)
ところで、推定走行軌跡35が地点T3まで算出されていないと「D3d」は利用できないため、これら式(1)と式(2)とから、地点T2では算出できない「D3d」を除いた式として、以下に示す式(3)が得られる。
【0125】
「H2」=「H0」−「D2d」・(「H0」−「H1」)/「D1d」・・・(3)
つまり、この式(3)に基づいて、車両10は、進入車30の走行中の位置から「推定ずれ量H2」離れた位置を推定走行軌跡35上の位置として推定することができるようになる。
【0126】
「推定ずれ量H2」は、先行車20の走行軌跡21として取得できた走行軌跡に対して進入車30の走行軌跡31が接近する割合を含んでいることから、その求めた接近する割合と進入車30の走行軌跡31とに基づいて推定走行軌跡を求めることができるようになる。
【0127】
また、「推定ずれ量H2」によれば、先行車20の走行軌跡21が得られた地点T0において進入車30の走行軌跡31との間の距離を軌跡間距離(初期ずれ量H0)として求め、この求めた軌跡間距離(初期ずれ量H0)を進入車30の走行軌跡31の接近する割合に基づき減少させる(H2を計算する)ことによって推定走行軌跡が算出される。
【0128】
図18に示すように、目標走行軌跡の作成処理では、第2の区間Z2においては、推定走行軌跡35を作成する処理が行われる。推定走行軌跡35を作成する処理では、まず、目標走行軌跡11が地点22まで設定された後、その地点22(地点T1)に対応する進入車30の走行軌跡31の位置32において、式(3)に基づき「推定ずれ量H2」が算出される。そして、位置32を中心として半径「推定ずれ量H2」の円32Rを推定し、その円32Rの外周に接線となるように目標走行軌跡11の地点22からできるだけ直線に近いかたちで延ばした軌跡を推定する。なお、地点T1においては「推定ずれ量H2」は「ずれ量H1」と同じ値である。
【0129】
そして、このような目標走行軌跡の作成処理が、進入車30の走行軌跡31が先に進むことに応じて周期的に繰り返される。
つまり、推定走行軌跡の作成処理では、進入車30の走行軌跡31の位置34を地点T2とし、式(3)に基づき「推定ずれ量H2」を算出する。そして、位置34を中心とした半径「推定ずれ量H2」の円34Rを推定し、その円34Rの外周に接線となるように目標走行軌跡11の地点22からできるだけ直線に近いかたちで延ばした軌跡が推定される。これにより推定走行軌跡35が、地点T2に対応する位置24まで設定されるようになる。
【0130】
このように、推定走行軌跡35は、目標走行軌跡11の終位置(地点22)を通り、進入車30の走行軌跡31上の点から「推定ずれ量H2」の半径を有す円に接するように設定される。
【0131】
また、目標走行軌跡の作成処理では、算出された「推定ずれ量H2」が「判定値Δh」以内か否かについても判断される。そして、「推定ずれ量H2」が「判定値Δh」以内であると判断された場合、目標走行軌跡に進入車30の走行軌跡31を設定するため、推定走行軌跡35の作成処理は終了される。
【0132】
これにより、車両10と先行車20との間に進入車30が割り込むようなときであれ、ユーザの違和感の抑制とを好適に両立させることのできる運転支援装置を提供することができるようになる。
【0133】
以上説明したように、本実施形態の運転支援装置によれば、上記第1の実施形態にて記載した(1)〜(4)の効果に加えて、以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0134】
(5)先行車20の走行軌跡21が取得できない場合でも、先行車20の推定走行軌跡35と進入車30の走行軌跡31とのずれ量(推定ずれ量H2)が所定の判定値Δh以下となる地点までは先行車20の推定走行軌跡35に追従するように操舵制御することにより、先行車20の推定走行軌跡35と進入車30の走行軌跡31とのずれ量に対して自車が移動することを抑制(ふらつき低減)できる。
【0135】
(6)先行車20の走行軌跡21が得られない場合であれ、進入車30の走行軌跡31から先行車20の走行軌跡21として推定される推定走行軌跡35を用いることによって、進入車30の走行軌跡31との推定ずれ量H2を算出し、そのずれ量が所定の判定値Δh以下となる地点を特定することができるようになる。
【0136】
(7)進入車30の接近する割合に基づいて、先行車20の走行軌跡を推定するため、推定された推定走行軌跡35を、進入車30の走行軌跡31に対する連続性の高いものとすることができる。
【0137】
(第3の実施形態)
運転支援装置を具体化した第3の実施形態について、図19を参照して説明する。
本実施形態は、車両10の走行位置を変更させて先行車20の走行軌跡21を長期間取得させるようにする構成が、第1の実施形態における先行車20の走行軌跡21を取得する構成と相違するものの、それ以外の構成については同様である。よって以下では、主に、第1の実施形態に対して相違する構成について説明することとし、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を用い、説明の便宜上、その詳細な説明を割愛する。
【0138】
ところで、「ずれ量H1」を算出するためには、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31とが必要になる。しかし、車両10と先行車20との間に進入車30が進入することで、車両10から先行車20が撮像できなくなったり、レーダで測定できなくなったりすると、先行車20の走行軌跡21を取得できなくなる。
【0139】
そこで本実施形態では、車両10と先行車20との間に進入車30が進入してきたとしても、先行車20の走行軌跡21を取得することができる期間をできるだけ長い間確保することができるようにしている。つまり、車両10の操舵支援部380は、進入車30の影響により先行車20の走行軌跡の取得が困難になると判断するとき、進入車30が進入してくる方向とは反対方向の車線R3幅方向へ車両10の移動を支援する支援を行う。操舵支援部380は、進入車30の影響により先行車20の走行軌跡21の取得が困難になるとの判断を、車両10の進行方向に直交する方向において車両10が走行時に占有する幅に進入車30が進入することに基づいて行う。例えば、車両10が走行時に占有する幅に進入車30が進入することとしては、進入車検知部320が進入車30を検知したことや、車両10の車体幅が走行時に占有する幅と進入車30との間の間隔や、画像データにおいて先行車20の車体の一部に進入車30の車体が重なったことなどを挙げることができる。
【0140】
図19に示すように、車両10は、車線R3において、先行車20の走行軌跡21に基づいて設定された目標走行軌跡11に対する走行軌跡支援が行われている。車両10は、進入車30を検知すると、目標走行軌跡11を進入車30が進入してくる方向とは反対方向にオフセット値Hfだけ移動させた位置を推定走行軌跡11aとして目標走行軌跡に設定する。これにより、車両10は、推定走行軌跡11aに対する走行軌跡支援が行われる。なお、目標走行軌跡11は先行車20の走行軌跡21から推定走行軌跡11aへ徐々に移動するように設定される。また、オフセット値Hfは、予め設定されている値であって、車両10を走行中の車線R3内に維持させる値である。また、オフセット値Hfは、目標走行軌跡11の直交方向への距離として設定される。
【0141】
そして、車両10は、先行車20の走行軌跡21が取得できなくなったことに基づいて、目標走行軌跡11の設定を推定走行軌跡11aから取得済の先行車20の走行軌跡21に変更する。目標走行軌跡11は推定走行軌跡11aから先行車20の走行軌跡21から徐々に移動するように設定される。つまり、目標走行軌跡11が推定走行軌跡11aに変更される以前の目標走行軌跡11に戻される。これにより、進入車30が進入してくる方向とは反対方向の車線幅方向へ車両10の移動を支援する支援を終了する。
【0142】
これにより、先行車20の走行軌跡21が取得できなくなる位置以降について、推定走行軌跡に基づいて走行しなければならない区間を無くしたり、短くしたりすることができるようになる。また、車両10が進入車30を避けるように走行するため、ユーザの感覚にあった走行となり、ユーザに安心感を与えることができるようにもなる。また、ユーザに追従走行支援が作動していることを認識させることができるようにもなる。
【0143】
以上説明したように、本実施形態の運転支援装置によれば、上記第1の実施形態にて記載した(1)〜(4)の効果に加えて、以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0144】
(8)車両10が先行車20を検出するために必要な範囲に進入車30が重なってくるタイミングを遅らせる、又は重なりを減らすことができるため、進入車30が割り込んできたとしても、できるだけ長期間、先行車20の走行軌跡21を取得することができるようになる。特に、進入車30が大型車であるようなとき、車両10が先行車20の走行軌跡を取得できなくなる可能性が高いが、これにより、通常よりも長く車両10が先行車20の走行軌跡21を取得することができる。
【0145】
(9)車両10が占有する幅に進入車30が進入するとき、推定走行軌跡11aを推定することで、余裕を持って車両10を移動させることができるため、こうして先行車20の軌跡を取得させる支援をユーザに違和感の少ないものとすることができる。
【0146】
(10)車両10の目標走行軌跡11に先行車20の走行軌跡21を利用する必要がなくなるとき、車両10の走行経路が目標走行軌跡11に戻されるようになり、ユーザに違和感の少ない運転支援を提供することができる。
【0147】
(第4の実施形態)
運転支援装置を具体化した第4の実施形態について、図20及び図21を参照して説明する。
【0148】
本実施形態は、隣接車40の情報などに基づいて推定走行軌跡を算出する構成であるところが、第2の実施形態に記載の構成と相違するものの、それ以外の構成については同様である。よって以下では、主に、第2の実施形態に対して相違する構成について説明することとし、第2の実施形態と同様の構成については同一の符号を用い、説明の便宜上、その詳細な説明を割愛する。
【0149】
本実施形態では、進入車30の進入により先行車20の走行軌跡21が取得できなくなったとき、隣接車40の走行軌跡41に基づいて推定走行軌跡を作成するようにしている。そこで、車両10の走行する車線R40に隣接する車線R41を走行する隣接車40の走行軌跡41に基づいて推定走行軌跡を求めるようにしている。
【0150】
図20に示すように、車両10は、車線R4において、先行車20の走行軌跡21に基づいて設定された目標走行軌跡11に対する走行軌跡支援が行われている。しかし、図21に示すように、車両10と先行車20との間に進入車30が進入することで、車両10から先行車20が撮像できなくなったり、レーダで測定できなくなると、先行車20の走行軌跡21を地点22より先では取得できなくなる。
【0151】
そこで、隣接車40の走行軌跡41に基づいて推定走行軌跡が算出され、この算出された推定走行軌跡が目標走行軌跡に設定される。まず、取得済の隣接車40の走行軌跡41のうち、先行車20の走行軌跡21の地点22より先に対応する区間K1が特定される。
【0152】
そして、区間K1が直線区間である場合、そのまま、平行移動されることで、推定走行軌跡として設定される。これにより、先行車20の走行軌跡21の地点22より先にも推定走行軌跡に基づいて目標走行軌跡が設定される。
【0153】
また、区間K1が曲線区間である場合、区間K1に対応する隣接車40の走行軌跡41の半径と、車両10が走行する車線R40の半径と相違に基づいて、車線R41を走行した隣接車40の走行軌跡41が、車線R40の走行軌跡となるように補正される。例えば、区間K1に対応する車線R41の半径がRaと測定され、車線R41と車線R40との車線間隔がB0であるとき、車両10が走行している車線R40の半径Rbは「Ra+B0」から求められる。そして、車線R41の半径Raと、車線R40の半径Rbとに基づいて、区間K1に対応する隣接車40の走行軌跡41(軌跡41a)が補正されることにより、補正された走行軌跡が推定走行軌跡(推定軌跡41b)とされ、先行車20の走行軌跡21の地点22より先の目標走行軌跡に設定されるようになる。
【0154】
以上説明したように、本実施形態の運転支援装置によれば、上記第1の実施形態にて記載した(1)〜(4)の効果に加えて、以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0155】
(11)先行する隣接車40の走行軌跡41を用いることで推定走行軌跡を推定することができる。なお、道路の車線、ガードレール、側壁などを含む道路の状態を用いることでも推定走行軌跡を推定することもできる。このときは、複数の情報を用いて推定走行軌跡を推定することで推定精度を向上させることもできる。
【0156】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記各実施形態では、目標走行軌跡に基づいて走行軌跡支援が行われた場合に付いて例示した。このとき、操舵支援部からの目標走行軌跡に追従させるための操舵量の信号が表示装置に表示されれば、ユーザの操作により車両が目標走行軌跡に追従するように走行するようになる。また、操舵支援部からの目標走行軌跡に追従させるための操舵量の信号がアクセル制御装置に入力されれば、許可された範囲で自動的に操舵され、目標走行軌跡に追従するように車両が走行するようになる。
【0157】
・上記第1〜4の実施形態は、それら実施形態のうち任意の2つ以上を組み合わせて利用することができる。
・上記各実施形態では、車載ネットワークはCANである場合について例示した。しかしこれに限らず、車載ネットワークは、接続されているECU等を通信可能に接続させるものであれば、イーサーネット(登録商標)や、フレックスレイ(登録商標)や、IEEE1394(FireWire(登録商標))などその他のネットワークから構成されていてもよい。また、CANを含み、これらのネットワークが組み合わされて構成されていてもよい。これにより、運転支援装置が用いられる車両について構成の自由度の向上が図られるようになる。
【0158】
・上記各実施形態では、車載制御装置200は、ひとつのECUから構成されている場合について例示した。しかしこれに限らず、車載制御装置は、複数のECUの協働によりその機能が発揮されるようになっていてもよい。例えば、駆動系、走行系、車体系、又は情報機器系等を制御対象にしている複数のECUなどによって構成されているものであってもよい。これにより、運転支援装置の設計自由度の拡大が図られるようになる。
【0159】
・上記各実施形態では、ナビゲーションシステム112、表示装置113、車載制御装置200などの各装置が車両10に一体として設けられている場合について例示した。しかしこれに限らず、ナビゲーションシステム、表示装置、車載制御装置などの各装置は、相互に通信可能に接続されるのであれば、携帯電話やスマートフォンなどの携帯可能な情報処理装置等をそれらの機能の全部又は一部に用いているものでもよい。これにより、運転支援装置の設計自由度の拡大が図られるようになる。
【0160】
・上記第3の実施形態では、先行車20の走行軌跡21が取得できなくなったとき進入車が進入してくる方向とは反対方向の車線幅方向へ自車の移動を支援する支援を終了して目標走行軌跡11に戻す場合について例示した。しかしこれに限らず、先行車の走行軌跡と進入車の走行軌跡とが交差することが想定される位置まで、先行車の走行軌跡が取得されたことに基づいて、走行軌跡支援の対象を目標走行軌跡に戻すようにしてもよい。また、地点特定部がずれ量が所定値以下となる地点を特定したとき、進入車が進入してくる方向とは反対方向の車線幅方向へ自車の移動を支援することを終了してもよい。
【0161】
これにより、オフセット値に基づく目標走行軌跡による走行距離を短くすることができるようになる。
・上記第3の実施形態では、進入車30が車線R3に進入することをもって、車両10が占有する幅に進入車30が進入すると判断した場合について例示した。しかしこれに限らず、進入車の車幅や高さなどに基づいて判断される自車による先行車の走行軌跡の取得が困難になると位置に基づいて車両が占有する幅に進入車が進入すると判断してもよい。これにより、運転支援装置の利便性の向上が図られるようになる。
【0162】
・上記第3の実施形態では、オフセット値Hfは、予め定められている場合について例示した。しかしこれに限らず、オフセット値Hfは、進入車までの距離や車両の車速などに応じて変化させてもよい。例えば、車両から進入車までの距離が短い場合や、車速が高い場合にはオフセット値を大きくしたりしてもよい。これにより、ユーザの違和感の少ない支援が可能になるため、運転支援装置の適用可能性などの拡大も図られる。
【0163】
・上記第4の実施形態では、隣接車40の走行軌跡41から目標走行軌跡を設定する場合について例示した。しかしこれに限らず、道路の車線によって規定される車両が走行可能な領域である走行路に基づいて目標走行軌跡を設定してもよい。つまり、車両の走行する車線に隣接する車線を走行する隣接車の走行軌跡、及び車両の走行する走行路の形状(直線度又は曲率)の少なくとも一方に基づいて推定走行軌跡を求めるようにしてもよい。なお、上記記載では、走行路が道路の車線であることを例示したがこれに代えて、例えば、走行路を道路の車線、ガードレール及び側壁など道路施設などに基づいて規定される車両が走行可能な領域としてもよい。これにより、運転支援装置を使用できる環境の拡大が図られるようになる。
【0164】
また、隣接車、道路の車線、ガードレール及び側壁よりそれぞれ推定走行軌跡を求め、それらのずれを信頼性評価に用い、ずれが大きいときには求められた推定走行軌跡を運転支援装置には用いないようにしてもよい。これにより、運転支援の制度の維持が図られるようになる。
【0165】
・上記各実施形態では、先行車20の走行軌跡21と進入車30の走行軌跡31とのずれや、なす角度にかかわらず、推定走行軌跡の設定が先行車20の走行軌跡21から進入車30の走行軌跡31に変更される場合について例示した。しかしこれに限らず、先行車の走行軌跡と進入車の走行軌跡とは2つの軌跡が接するように(進行方位角が連続的に繋がるように)重ねるようにしてもよい。また、先行車の走行軌跡と進入車の走行軌跡とのなす角度がある場合、2つの走行軌跡の交差部分が曲線状に接続されるようにしてもよい。これにより、運転支援装置におけるユーザの違和感がより抑制されるようになる。
【0166】
・上記第2の実施形態では、先行車20の走行軌跡21に進入車30の走行軌跡31が直線的に近づく場合について例示した。しかしこれに限らず、先行車の走行軌跡に進入車の走行軌跡がサインカーブを描くように接近してくるとき、その接近する割合に基づいて推定走行軌跡を作成するようにしてもよい。これにより、目標走行軌跡をより高い精度で作成することができるようになる。
【0167】
・上記第2の実施形態では、除辺割合が一定である場合について例示した。しかしこれに限らず、先行車の走行軌跡と進入車の走行軌跡とが重なるまでの軌跡や、先行車と進入車との間の車間距離や、先行車と進入車との車速などに基づいて、除辺割合を変更するようにしてもよい。例えば、先行車との間の車間距離が大きく、又は、車速が高いときには、除辺割合を小さくして2つの走行軌跡の重なりが滑らかになるようにしてもよい。これによるユーザの違和感をより抑制することができるようになる。
【0168】
・上記各実施形態では、目標軌跡設定部370は、先行車20の走行軌跡21や進入車30の走行軌跡31、もしくは推定走行軌跡に基づいて目標走行軌跡を設定する場合について例示した。しかしこれに限らず、先行車や周辺車両の走行軌跡や道路形状などから自車両が走行すべき目標走行軌跡を設定してもよい。これにより、運転支援装置の支援精度を高めることができるようにもなる。
【0169】
・上記各実施形態では、「判定値Δh」がパラメータとして設定されている場合につて例示した。しかしこれに限らず、判定値は車速などによって、算出したり、テーブルを参照したりすることで変化させてもよい。これにより、よりユーザの違和感を抑制させることができるようになる。
【0170】
・上記各実施形態では、先行車検出部310、進入車検知部320、速度支援部330、先行車走行軌跡取得部340、進入車走行軌跡取得部350、地点特定部360、目標軌跡設定部370及び操舵支援部380が個別に設けられている場合について例示した。しかしこれに限らず、先行車検出部、進入車検知部、速度支援部、先行車走行軌跡取得部、進入車走行軌跡取得部、地点特定部、目標軌跡設定部及び操舵支援部は、その機能のすべてや一部がまとめられた構成をしていてもよいし、その機能の一部が共用されるような構成をしていてもよい。例えば、先行車検出部、進入車検知部、及び速度支援部の全部もしくは一部をまとめて、速度支援部(速度制御部)や車間距離支援部(車間距離制御部)としてもよい。また例えば、先行車走行軌跡取得部、進入車走行軌跡取得部、地点特定部、目標軌跡設定部及び操舵支援部の全部もしくは一部をまとめて、目標軌跡設定部や走行軌跡支援部(走行軌跡制御部)としてもよい。これにより、運転支援装置の構成の自由度の向上が図られるようになる。
【符号の説明】
【0171】
10…車両、11…目標走行軌跡、11a…推定走行軌跡、20…先行車、21…走行軌跡、22…地点、24…位置、30…進入車、31…走行軌跡、32…位置、32R…円、34…位置、34R…円、35…推定走行軌跡、40…隣接車、41…走行軌跡、101…GPS装置、102…車載カメラ、103…ミリ波レーダ、104…加速度センサ、105…車速センサ、106…アクセルペダルセンサ、107…ブレーキペダルセンサ、108…操舵角センサ、111…地図情報データベース、112…ナビゲーションシステム、113…表示装置、114…メータ制御装置、115…アクセル制御装置、116…ブレーキ制御装置、117…ステアリング制御装置、200…車載制御装置、300…運転支援装置、310…先行車検出部、320…進入車検知部、330…速度支援部、340…先行車走行軌跡取得部、350…進入車走行軌跡取得部、360…地点特定部、370…目標軌跡設定部、380…操舵支援部、390…走行軌跡推定部。
図1
図2
図3
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図6
図7
図8
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