【実施例】
【0039】
以下に本発明の実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0040】
(ポリアミン濃度測定方法)
試料中のポリアミン含量を以下の方法で調べた。植物中のポリアミンは遊離型ポリアミン、化合型ポリアミン、結合型ポリアミンがあり、いずれも解析することができるが(非特許文献1−3)、本発明では遊離型ポリアミンを測定した。
(1)スクリューキャップ付きのマイクロチューブに、サンプル20μl、交換水360μl、内部標準液20μl(0.05nmol/μl 1,7−diaminoheptane)、200μLの飽和炭酸ナトリウム水溶液、200μLのダンシルクロライド/アセトン溶液(10mg/mL)を加えて軽く混和する。チューブの栓をしっかりと閉めたのち、60℃のウォーターバスで1時間加温してダンシル化を行う。
(2)チューブを放冷した後、プロリン水溶液(100mg/mL)を200μL加えて混和する。ウォーターバスで30分間再加温する。
(3)再放冷後、窒素ガスを吹き付けてアセトンを除いた後に、600μLのトルエンを加えて激しく混和する。チューブを遠心して2相に分かれた後に、上層のトルエン層を500μLマイクロチューブに分取する。分取したトルエンに窒素ガスを吹き付けてトルエンを完全除去する。マイクロチューブに120μLのメタノールを加えてダンシル化遊離型ポリアミンを溶解させる。
(4)プトレシン、スペルミジン、スペルミンの遊離型ポリアミン量の定量は蛍光検出器(励起波長:365nm・発光波長:510nm)を接続した高速液体クロマトグラフィーを用いて内部標準法で分析する。HPLCカラムはμBondapak C18(Waters社製:027324、3.9×300mm、粒子径10μm)を使用する。試料中のポリアミン含量は標準液と試料のHPLCチャートから、それぞれ各ポリアミンと内部標準のピーク面積を求めて算出する。
(固形分濃度測定方法)
試料中の固形分含量は以下の方法で調べた。
(1)105℃の乾燥機にアルミ缶を入れ、1時間乾燥させる。
(2)デシケーターにて30分間放冷し、アルミ缶重量(風袋重量)を測定する。
(3)アルミ缶に試料1mLを入れ、その重量(試料重量)を測定する。
(4)アルミ缶を105℃の乾燥機に戻し、2時間乾燥させる。
(5)デシケーターにて30分間放冷後に重量(乾燥後重量)を測定する。
(6)固形分濃度を下記計算式にて求める。
固形分濃度(%)=[(乾燥後重量)−(風袋重量)]/(試料重量)×100
【0041】
(比較例1)
(1)コムギ胚芽100gに水(エタノール濃度0%(v/v))400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0042】
比較例1の結果は、エタノール処理工程における粘度が63.9mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0108%、固形分濃度は8.69%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0098%、固形分濃度は2.69%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.363%であった。
比較例1、2と実施例1〜7の結果を、表1と
図1〜4に示す。
【0043】
(実施例1)
(1)コムギ胚芽100gにエタノール濃度20%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0044】
実施例1の結果は、エタノール処理工程における粘度が5.29mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0058%、固形分濃度は8.19%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0146%、固形分濃度は3.86%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.378%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、104.3となった。
【0045】
(実施例2)
(1)コムギ胚芽100gにエタノール濃度30%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0046】
実施例2の結果は、エタノール処理工程における粘度が5.24mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0045%、固形分濃度は8.34%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0147%、固形分濃度は3.08%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.476%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、131.4となった。
【0047】
(実施例3)
(1)コムギ胚芽100gにエタノール濃度40%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0048】
実施例3の結果は、エタノール処理工程における粘度が6.32mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0033%、固形分濃度は8.09%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0144%、固形分濃度は3.44%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.419%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、115.4となった。
【0049】
(実施例4)
(1)コムギ胚芽100gにエタノール濃度50%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0050】
実施例4の結果は、エタノール処理工程における粘度が4.65mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0026%、固形分濃度は8.02%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0133%、固形分濃度は3.75%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.353%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、97.5となった。
【0051】
(実施例5)
(1)コムギ胚芽100gにエタノール濃度60%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0052】
実施例5の結果は、エタノール処理工程における粘度が4.93mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0029%、固形分濃度は7.64%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0134%、固形分濃度は3.85%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.347%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、95.6となった。
【0053】
(実施例6)
(1)コムギ胚芽100gにエタノール濃度70%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0054】
実施例6の結果は、エタノール処理工程における粘度が5.03mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0026%、固形分濃度は7.30%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0150%、固形分濃度は4.21%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.356%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、98.3となった。
【0055】
(実施例7)
(1)コムギ胚芽100gにエタノール濃度90%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0056】
実施例7の結果は、エタノール処理工程における粘度が3.56mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0016%、固形分濃度は5.03%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0152%、固形分濃度は5.91%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.257%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、70.9となった。
【0057】
(比較例2)
(1)コムギ胚芽100gに水400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(2)次いで、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(3)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて粘度を測定した。
(4)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0058】
比較例2の結果は、抽出液のポリアミン濃度は0.0194%、固形分濃度は12.6%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.154%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、42.5となった。
【0059】
以上の結果から分かるとおり、水及び弱酸性条件下での抽出工程の前にエタノールでの処理工程を設けることにより、粘度を有意に低下させることができ、作業性の向上に大いに寄与するものとなった。また、エタノールの処理工程を設けない場合と比べると、ポリアミン収量の大幅な増加は見られなかったものの、抽出液中の固形分濃度に大きな差があり、エタノールでの処理工程、水及び弱酸性条件下での抽出工程が固形分当たりのポリアミン含量を増加させる点で顕著な効果があることが明らかとなった。
【0060】
【表1】
【0061】
(比較例3)
(1)ダイズ胚芽100gに水(エタノール濃度0%(v/v))400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0062】
比較例3の結果は、エタノール処理工程における粘度が1.84mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0056%、固形分濃度は7.62%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0039%、固形分濃度は2.65%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.0369%であった。
比較例3、4と実施例8〜14の結果を、表2に示す。
【0063】
(実施例8)
(1)ダイズ胚芽100gにエタノール濃度20%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0064】
実施例8の結果は、エタノール処理工程における粘度が2.86mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.005%、固形分濃度は9.67%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0051%、固形分濃度は2.86%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.0483%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、131.0となった。
【0065】
(実施例9)
(1)ダイズ胚芽100gにエタノール濃度30%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0066】
実施例9の結果は、エタノール処理工程における粘度が3.28mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.022%、固形分濃度は8.19%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0047%、固形分濃度は2.81%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.0439%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、118.9となった。
【0067】
(実施例10)
(1)ダイズ胚芽100gにエタノール濃度40%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0068】
実施例10の結果は、エタノール処理工程における粘度が3.53mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0020%、固形分濃度は8.50%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0047%、固形分濃度は2.82%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.0446%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、121.0となった。
【0069】
(実施例11)
(1)ダイズ胚芽100gにエタノール濃度50%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0070】
実施例11の結果は、エタノール処理工程における粘度が3.61mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0017%、固形分濃度は7.86%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0052%、固形分濃度は3.08%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.0467%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、126.6となった。
【0071】
(実施例12)
(1)ダイズ胚芽100gにエタノール濃度60%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0072】
実施例12の結果は、エタノール処理工程における粘度が3.14mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0015%、固形分濃度は5.09%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0064%、固形分濃度は3.92%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.0494%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、134.1となった。
【0073】
(実施例13)
(1)ダイズ胚芽100gにエタノール濃度70%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0074】
実施例13の結果は、エタノール処理工程における粘度が2.86mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0008%、固形分濃度は3.59%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0078%、固形分濃度は5.04%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.0504%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、136.6となった。
【0075】
(実施例14)
(1)ダイズ胚芽100gにエタノール濃度90%(v/v)のエタノール溶液400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。攪拌終了後、粘度を測定した。粘度測定は振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて行った。
(2)次いで12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、植物体残渣と上清とに分離し、上清を回収した。得られた上清を前処理液とし、ポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
(3)上清を回収した後の植物体残渣に水400mlを加え、水温25℃の条件下で、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)(3)の工程後、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(5)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、(1)と同様に粘度を測定した。
(6)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0076】
実施例14の結果は、エタノール処理工程における粘度が1.96mPa・sであり、前処理液のポリアミン濃度は0.0000%、固形分濃度は0.34%であった。また、抽出液のポリアミン濃度は0.0094%、固形分濃度は7.09%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.257%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、128.6となった。
【0077】
(比較例4)
(1)ダイズ胚芽100gに水400mlを加え、水温25℃の条件下で、撹拌機(スリーワンモーター、HEIDON製)を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(2)次いで、クエン酸(無水)を加え、pHを4.0に調整し、攪拌機を用いて100rpmで1時間攪拌した。
(4)再びpH4.0となるようクエン酸(無水)を加えて調整し、攪拌機を用いて100rpmでさらに1時間攪拌した。攪拌終了後、振動式粘度計VISCOMATE VM−10A(CBC社製)を用いて粘度を測定した。
(5)12000rpm、10分間の条件で遠心分離を行い、上清を回収して抽出液とした。抽出液のポリアミン濃度及び固形分濃度をそれぞれ測定した。
【0078】
比較例4の結果は、抽出液のポリアミン濃度は0.0051%、固形分濃度は9.32%、固形分あたりのポリアミン濃度は0.0203%であった。比較例3の固形分当たりのポリアミン濃度(PA/固形分)(%)を100とした時の本実施例の固形分当たりのポリアミン濃度の増減割合は、55.0となった。
【0079】
ダイズ胚芽では、水及び弱酸性条件下での抽出工程の前にエタノールでの処理工程を設けることによる、有意な粘度低下は見られなかった。これはコムギ等に多く含まれるグルテンがダイズにはほとんど含まれないためと考えられる。しかしながら、最終的なポリアミン組成物において、水及び弱酸条件のみで処理した場合、並びに弱酸のみで抽出した場合と比べると、エタノールでの処理工程、水及び弱酸性条件下での抽出工程が固形分当たりのポリアミン含量を増加させる点で顕著な効果があった。
【0080】
【表2】