特許第5821966号(P5821966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5821966-蓄電装置の搭載構造 図000002
  • 特許5821966-蓄電装置の搭載構造 図000003
  • 特許5821966-蓄電装置の搭載構造 図000004
  • 特許5821966-蓄電装置の搭載構造 図000005
  • 特許5821966-蓄電装置の搭載構造 図000006
  • 特許5821966-蓄電装置の搭載構造 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821966
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】蓄電装置の搭載構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20060101AFI20151104BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20151104BHJP
【FI】
   B60K1/04 Z
   B62D25/20 J
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-538343(P2013-538343)
(86)(22)【出願日】2011年10月13日
(86)【国際出願番号】JP2011005736
(87)【国際公開番号】WO2013054380
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(72)【発明者】
【氏名】配島 広成
(72)【発明者】
【氏名】大學 孝一
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−345454(JP,A)
【文献】 特開2008−062780(JP,A)
【文献】 特開2007−076477(JP,A)
【文献】 特開2011−126451(JP,A)
【文献】 特開2007−161075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行に用いられるエネルギを出力する蓄電装置と、
前記蓄電装置を収容する凹部を備えた車両ボディと、
前記蓄電装置の底面を前記凹部の底面に固定する第1締結部材と、
前記凹部に固定された前記蓄電装置の上面側に配置され、前記凹部の開口をまたぐように延びるリインフォースと、
前記リインフォースの一端及び他端それぞれを前記車両ボディに固定する第2締結部材と、
前記凹部に固定された前記蓄電装置の上面と前記リインフォースとの間に形成される隙間に配置される弾性部材と、を有し、
前記リインフォースは、前記凹部の底面に固定された前記蓄電装置の上面前記弾性部材を介して押圧するように前記車両ボディに固定され、前記蓄電装置が前記凹部の底面向かって押し付けられていることを特徴とする蓄電装置の搭載構造。
【請求項2】
前記凹部に底面に対して前記蓄電装置を位置決めする位置決め機構を有しており、
前記位置決め機構は、
前記蓄電装置および前記凹部の一方に設けられたピンと、
前記蓄電装置および前記凹部の他方に設けられ、前記ピンが挿入される開口部に前記ピンをガイドするガイド部材と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項3】
前記位置決め機構は、前記第1締結部材と隣り合う位置に配置されていることを特徴とする請求項に記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項4】
前記凹部は、前記車両のラゲッジスペースの下方に位置しており、
前記リインフォースは、前記車両の前後方向に延びていることを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項5】
前記第2締結部材は、
前記車両の前後方向に沿って配置されており、前記車両の後方側に位置する前記リインフォースの端部を前記車両ボディに締結する第締結部材と、
前記車両の上下方向に沿って配置されており、前記車両の前方側に位置する前記リインフォースの端部を前記車両ボディに締結する第締結部材と、を有し、
前記第3締結部材及び前記第4締結部材の各締結方向が互いに直交していることを特徴とする請求項に記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項6】
前記第2締結部材は、前記リインフォースの一端を前記車両ボディに締結する第3締結部材と、前記リインフォースの他端を前記車両ボディに締結する第4締結部材と、を有しており、
前記第3締結部材及び前記第4締結部材は、締結方向が互いに直交する方向、前記リインフォースおよび前記車両ボディを締結することを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の蓄電装置の搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に対して蓄電装置を搭載する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3に記載の車両では、車両ボディに対して、電気二重層キャパシタ又は電池パックを固定している。車両ボディおよび電池パックの固定方法としては、特許文献1に記載されているように、ボルトを用いた締結方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−345454号公報
【特許文献2】特開2004−243885号公報
【特許文献3】特開2000−351329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の走行などに応じて、車両ボディに振動が発生したときには、電池パックにも振動が伝達される。電池パックが振動すると、ノイズが発生することがある。特に、車室内に電池パックが配置されているときには、乗員にノイズが到達してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明である蓄電装置の搭載構造は、車両の走行に用いられるエネルギを出力する蓄電装置と、蓄電装置を収容する凹部を備えた車両ボディと、蓄電装置の底面を凹部の底面に固定する第1締結部材と、凹部に固定された蓄電装置の上面側に配置され、凹部の開口をまたぐように延びるリインフォースと、リインフォースの一端及び他端それぞれを車両ボディに固定する第2締結部材と、凹部に固定された蓄電装置の上面とリインフォースとの間に形成される隙間に配置される弾性部材と、を有する。リインフォースは、凹部の底面に固定された蓄電装置の上面弾性部材を介して押圧するように車両ボディに固定され、蓄電装置凹部の底面向かって押し付けられている。
【0006】
本発明によれば、リインフォースを用いて、蓄電装置を凹部の底面向かって押し付けることにより、蓄電装置の振動を抑制することができる。締結部材を用いて、蓄電装置の底面を凹部の底面に固定する構造では、車両の走行などによって、蓄電装置に振動が加わることがある。蓄電装置を凹部の底面に押し付けておけば、蓄電装置の振動を抑制することができ、蓄電装置の振動に伴ってノイズが発生するのを抑制することができる。
【0007】
また、凹部とともに蓄電装置を囲む位置にリインフォースを配置して、リインフォースを車両ボディに固定することにより、凹部の強度を向上させることができる。凹部の強度を向上させることにより、凹部に収容される蓄電装置を保護することができる。
【0008】
このとき、リインフォースおよび蓄電装置の間には、弾性変形する弾性部材を配置することができる。弾性部材を用いることにより、蓄電装置を凹部の底面に押し付けることができる。弾性部材を用いれば、リインフォースおよび蓄電装置の間に隙間を発生させることができ、リインフォースおよび蓄電装置の組み付け誤差を許容することができる
【0009】
位置決め機構を用いることにより、蓄電装置を凹部の底面に対して位置決めすることができる。位置決め機構は、ピンおよびガイド部材で構成することができる。ピンは、蓄電装置および凹部の一方に設け、ガイド部材は、蓄電装置および凹部の他方に設けることができる。ガイド部材は、ピンが挿入される開口部にピンをガイドするために用いられる。ピンが挿入される開口部は、ガイド部材とは異なる位置に設けることもできるし、ガイド部材に設けることもできる。
【0010】
位置決め機構は、蓄電装置および凹部の締結に用いられる第1締結部材と隣り合う位置に配置することができる。これにより、位置決め機構を用いて蓄電装置を凹部に位置決めしたときに、締結部材を取り付けやすくなる。
【0011】
凹部は、車両のラゲッジスペースの下方に設けることができる。ここで、車両の前後方向に延びるように、リインフォースを配置することができる。ラゲッジスペースの下方に凹部が位置しているとき、凹部は、車両の後方から衝撃を受けるおそれがある。リインフォースは、車両の前後方向に延びているため、車両の後方から受ける衝撃に対して、凹部の強度を向上させることができる。
【0012】
リインフォースが車両の前後方向に延びているとき、第2締結部材は、第3締結部材及び第4締結部材で構成することができる。締結部材を用いて、車両の後方側に位置するリインフォースの端部を車両ボディに締結することができる。また、第締結部材を用いて、車両の前方側に位置するリインフォースの端部を車両ボディに締結することができる。第締結部材は、車両の前後方向に沿って配置することができる。第締結部材は、車両の上下方向に沿って配置することができる。第締結部材および第締結部材の各締結方向が互いに直交するように構成することで、車両ボディおよびリインフォースの締結が弛んでしまうのを抑制することができる。
【0013】
第2締結部材は、リインフォースの一端を車両ボディに締結する第3締結部材と、リインフォースの他端を車両ボディに締結する第4締結部材と、を有し、第3締結部材及び第4締結部材は、締結方向が互いに直交する方向で、リインフォースおよび車両ボディを締結するように構成することができる。これにより、車両ボディおよびリインフォースの締結が弛んでしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両の一部の構造を示す概略図である。
図2】実施例1において、電池パックの搭載構造の側面図である。
図3】実施例1において、電池パックの搭載構造の上面図である。
図4】実施例2において、電池パックの搭載構造の側面図である。
図5】実施例2において、位置決め機構の拡大図である。
図6】実施例2において、位置決め機構の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1である電池パック(蓄電装置)の搭載構造について説明する。本実施例の電池パックは、車両に搭載される。車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両を走行させる動力源として、電池パックに加えて、燃料電池又はエンジンを備えている。電気自動車は、車両を走行させる動力源として、電池パックだけを備えている。
【0017】
図1は、車両の一部の構造を示す概略図である。図1において、矢印FRは、車両が前進する方向を示し、矢印UPは、車両の上方向を示す。矢印FRおよび矢印UPは、他の図面においても同様である。
【0018】
シート110は、車室内に配置されている。車室とは、乗員の乗車するスペースである。シート110は、車両100のフロアパネル120に固定されている。フロアパネル120は、車両ボディの一部である。シート110に対して車両100の後方には、ラゲッジスペースLSが設けられている。ラゲッジスペースLSは、主に荷物を配置するためのスペースである。本実施例の車両100では、ラゲッジスペースLSが、車室とつながっているが、これに限るものではない。具体的には、車両100に搭載される部材によって、ラゲッジスペースLSおよび車室が仕切られていてもよい。
【0019】
フロアパネル120は、ラゲッジスペースLSに対応した位置に、凹部121を有する。凹部121は、ラゲッジスペースLSの下方に位置している。従来の車両では、凹部121は、スペアタイヤを収容するために用いられていることがある。本実施例の車両100において、凹部121には、電池パック10が収容されている。電池パック10は、凹部121からラゲッジスペースLSの側に突出していない。
【0020】
電池パック10の上面は、デッキボード20によって覆われている。デッキボード20は、平板状に形成されており、ラゲッジスペースLSを区画するために用いられる。デッキボード20よりも上方に位置するスペースが、ラゲッジスペースLSとなる。
【0021】
電池パック10は、組電池11と、組電池11を収容するケース12とを有する。組電池11は、電気的に直列に接続された複数の単電池を有する。単電池としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。
【0022】
単電池の形状は、いかなる形状であってもよい。例えば、単電池として、いわゆる円筒型電池や角型電池を用いることができる。円筒型電池では、電池の外形が円柱に沿った形状に形成されている。角型電池では、電池の外形が直方体に沿った形状に形成されている。
【0023】
組電池11から出力された電気エネルギは、車両100を走行させるために用いられる。具体的には、組電池11の出力電力は、モータ・ジェネレータに供給される。モータ・ジェネレータは、組電池11の出力電力を受けて、車両の走行に用いられる運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータは、車輪と連結されており、モータ・ジェネレータが生成した運動エネルギは、車輪に伝達される。
【0024】
車両100を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータは、車両100の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギに変換する。モータ・ジェネレータが生成した電力は、組電池11に供給され、組電池11を充電することができる。組電池11およびモータ・ジェネレータを接続する電流経路には、DC/DCコンバータやインバータを配置することができる。DC/DCコンバータを用いれば、組電池11の出力電圧を昇圧して、モータ・ジェネレータに供給することができる。インバータを用いれば、モータ・ジェネレータとして、交流モータを用いることができる。
【0025】
組電池11には、電気的に並列に接続された複数の単電池が含まれていてもよい。組電池11を構成する単電池の数は、組電池11の要求出力などを考慮して、適宜設定することができる。ケース12は、例えば、金属で形成することができる。組電池11は、ケース12の内壁面に対して固定されている。例えば、ボルトを用いた締結によって、組電池11をケース12に固定することができる。ケース12は、凹部121の底面に固定されている。
【0026】
ケース12には、組電池11に加えて、他の機器を収容することができる。他の機器としては、例えば、システムメインリレー、電池監視ユニット、電流センサ、電流遮断器がある。システムメインリレーは、オンおよびオフの間で切り替わることにより、組電池11およびモータ・ジェネレータを接続したり、組電池11およびモータ・ジェネレータの接続を遮断したりする。電池監視ユニットは、組電池11の電圧や温度を監視することができる。電流センサは、組電池11を充放電するときの電流値を検出する。電流遮断器は、プラグを備えており、プラグを引き抜くことにより、組電池11に流れる電流を遮断することができる。
【0027】
図2は、電池パック10の搭載構造の側面図である。図3は、電池パック10の搭載構造の上面図である。図3において、矢印RHは、車両の前進方向を向いたときの右側の方向を示し、矢印LHは、車両の前進方向を向いたときの左側の方向を示す。
【0028】
電池パック10(ケース12)の底面は、締結位置P1,P2において、凹部121の底面121aに固定されている。電池パック10および凹部121(底面121a)の締結には、例えば、締結部材としてのボルト31が用いられる。ボルト31を用いた締結構造は、図2に示す構造とは異なる構造にすることができる。例えば、本実施例では、凹部121にボルト31が設けられているが、電池パック10にボルト31を設けることもできる。
【0029】
電池パック10の上面には、リインフォース41が配置されている。図3に示すように、電池パック10の上面には、2つのリインフォース41が配置されている。また、リインフォース41は、車両100の前後方向(矢印FRの方向)に延びている。図2に示すように、リインフォース41は、凹部121とともに、電池パック10を囲んでいる。
【0030】
本実施例では、リインフォース41が車両100の前後方向に延びているが、これに限るものではない。すなわち、リインフォース41は、電池パック10の上面に配置されていればよい。例えば、リインフォース41が車両100の左右方向(矢印RHおよび矢印LHの方向)に延びるように、リインフォース41を配置することができる。また、車両100の前後方向および左右方向に対して傾斜する方向にリインフォース41が延びるように、リインフォース41を配置することができる。ここで、リインフォース41は、後述するように、フロアパネル120に固定されていればよい。
【0031】
本実施例では、2つのリインフォース41を用いているが、リインフォース41の数は、適宜設定することができる。また、リインフォース41は、長尺状に形成されているが、これに限るものではなく、電池パック10の上面に配置されるものであればよい。例えば、本実施例のリインフォース41の代わりに、平板状の部材をリインフォースとして用いることができる。平板形状のリインフォースは、電池パック10の上面全体を覆っていてもよいし、電池パック10の上面の一部を覆うだけでもよい。
【0032】
リインフォース41の一端41aは、凹部121の側面121bに固定されている。締結位置P3において、リインフォース41および凹部121(側面121b)は、締結部材としてのボルト32によって締結されている。側面121bは、底面121aに対して車両100の上方に延びている。ボルト32を用いた締結構造は、図2に示す構造とは異なる構造にすることもできる。
【0033】
リインフォース41の他端41bは、フロアパネル120のうち、凹部121とは異なる領域に固定されている。締結位置P4において、リインフォース41およびフロアパネル120は、締結部材としてのボルト33によって締結されている。ボルト33を用いた締結構造は、図2に示す構造とは異なる構造にすることもできる。
【0034】
図3に示す2つのリインフォース41は、図2に示すように、フロアパネル120に固定される。2つのリインフォース41の上方には、デッキボード20が配置される。図3では、デッキボード20を省略している。
【0035】
リインフォース41および電池パック10の間には、弾性部材42が配置されている。本実施例において、1つのリインフォース41には、3つの弾性部材42が配置されており、3つの弾性部材42は、リインフォース41の長手方向に沿って配置されている。弾性部材42は、弾性変形することができる材料で形成されていればよい。弾性部材42としては、例えば、ゴムやフェルトを用いることができる。ゴムとしては、例えば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)を用いることができる。
【0036】
弾性部材42は、リインフォース41の下面と、電池パック10の上面とに接触している。電池パック10を車両に搭載する前に、弾性部材42は、リインフォース41および電池パック10の一方に予め固定しておくことができる。弾性部材42の固定は、例えば、接着剤を用いることができる。
【0037】
一方、弾性部材42は、リインフォース41および電池パック10に固定しておかなくてもよい。すなわち、リインフォース41および電池パック10をフロアパネル120に固定するときに、リインフォース41および電池パック10の間に、弾性部材42を配置することができる。
【0038】
弾性部材42を配置する位置や、弾性部材42の大きさは、適宜設定することができる。例えば、リインフォース41および電池パック10の間に形成されたスペースの全体に、弾性部材42を配置することができる。電池パック10の外面に凹凸面が形成されているときには、凹凸面に対して、弾性部材42を配置することができる。
【0039】
本実施例では、電池パック10が凹部121の底面121aに締結されており、凹部121に対して電池パック10が位置決めされている。車両100の走行状況などによっては、フロアパネル120を介して電池パック10に振動が加わる。リインフォース41および弾性部材42を省略した構成では、電池パック10が振動しやすくなり、電池パック10の振動によって、ノイズが発生してしまうおそれがある。電池パック10で発生したノイズは、ラゲッジスペースLSを介して、車室に伝わることがあり、車室内に存在する乗員にノイズが到達するおそれがある。
【0040】
本実施例では、リインフォース41および弾性部材42を用いることにより、電池パック10の振動を抑制している。リインフォース41をフロアパネル120に固定しておき、リインフォース41および電池パック10の間に、弾性部材42を配置することにより、電池パック10を凹部121の底面121aに対して押し付けている。電池パック10を凹部121に押し付けることにより、電池パック10の振動を抑制することができる。
【0041】
リインフォース41は、凹部121の上部に配置され、フロアパネル120に固定されている。凹部121の上部は、開口しているため、強度が低下しやすい。本実施例では、凹部121の上部にリインフォース41が配置されており、リインフォース41の両端41a,41bが、フロアパネル120に締結されている。
【0042】
リインフォース41を用いることにより、凹部121の上部における強度を向上させることができる。言い換えれば、電池パック10が配置されるフロアパネル120の強度を向上させることができる。また、車両100が後方から衝撃を受けたときでも、凹部121の変形を抑制して、凹部121に収容される電池パック10を保護することができる。
【0043】
締結位置P3での締結構造と、締結位置P4での締結構造とは、互いに異なっている。具体的には、ボルト32,33によって締結される方向が互いに異なっている。締結位置P3の締結方向は、矢印FRの方向であるのに対して、締結位置P4の締結方向は、矢印UPの方向である。締結位置P3,P4において、締結方向を異ならせることにより、締結位置P3,P4での締結が弛んでしまうのを抑制することができる。
【0044】
締結位置P3,P4の締結方向が同一方向である場合、締結位置P3,P4の締結部分に振動が加わったときに、締結部分が弛みやすくなってしまう。一方、本実施例のように、締結位置P3,P4の締結方向を互いに異ならせることにより、締結位置P3,P4の締結部分に振動が加わったときでも、締結部分が弛みにくくなる。これにより、リインフォース41をフロアパネル120に固定したままの状態を保つことができ、リインフォース41を用いて、電池パック10を凹部121に押さえ続けることができる。
【0045】
本実施例では、リインフォース41および電池パック10の間に、弾性部材42を配置しているが、これに限るものではない。例えば、弾性部材42を省略し、電池パック10の上面にリインフォース41を固定することができる。リインフォース41は、電池パック10の上面と接触する。電池パック10およびリインフォース41の固定方法としては、例えば、ボルトを用いた締結や、溶接がある。
【0046】
電池パック10にリインフォース41を固定することにより、電池パック10(ケース12)の剛性を向上させることができる。ケース12の剛性を向上させることにより、ケース12に収容される組電池11を保護することができる。
【0047】
電池パック10にリインフォース41を固定する構造では、リインフォース41をフロアパネル120に締結したときに、リインフォース41は、凹部121に対して電池パック10を押し付ける。締結位置P3,P4を適宜設定することにより、リインフォース41によって、電池パック10を凹部121に押し付けることができる。電池パック10を凹部121に押し付けることにより、電池パック10の振動を抑制することができる。
【0048】
本実施例では、電池パック10およびリインフォース41の間に、弾性部材42が配置される隙間が形成されるため、電池パック10およびリインフォース41をフロアパネル120に固定しやすくなる。
【0049】
リインフォース41を電池パック10に固定した構造では、リインフォース41の締結位置P3,P4の精度を確保しながら、電池パック10の締結位置P1,P2の精度を確保する必要がある。すなわち、電池パック10を凹部121に押し付けるためには、締結位置P1〜P4において、リインフォース41や電池パック10を精度良く締結する必要がある。例えば、リインフォース41の実際の締結位置が、基準となる締結位置P3,P4からずれてしまうと、リインフォース41を用いて、電池パック10を凹部121に押し付け難くなってしまう。
【0050】
弾性部材42を用いた構造では、電池パック10およびリインフォース41の間に隙間を発生させるため、締結位置P1〜P4の精度を確保しなくてもよい。すなわち、電池パック10は、締結位置P1,P2において、凹部121に締結するだけでよい。また、リインフォース41は、締結位置P3,P4において、フロアパネル120に締結するだけでよい。この場合には、電池パック10およびリインフォース41の間に隙間が形成されるが、電池パック10およびリインフォース41の位置に応じて、隙間にバラツキが発生する。
【0051】
電池パック10およびリインフォース41の間に形成された隙間には、弾性部材42を弾性変形させることにより、弾性部材42を配置することができる。電池パック10およびリインフォース41の間に形成される隙間のバラツキを考慮して、弾性部材42の厚さを予め決定しておけば、弾性部材42を弾性変形させた状態において、電池パック10を凹部121に押し付けることができる。
【実施例2】
【0052】
本発明の実施例2である電池パックの搭載構造について説明する。本実施例では、実施例1で説明した搭載構造に加えて、凹部121に対する電池パック10の位置決め機構を設けている。実施例1で説明した部材と同一の部材については、同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1と異なる点について、主に説明する。
【0053】
図4は、本実施例における電池パックの搭載構造の側面図であり、図2に対応する図である。図5は、図4に示す領域Rの拡大図である。
【0054】
凹部121の底面121aには、凹部121の内側に向かって突出するピン50が設けられている。ピン50は、車両100の上方に延びている。電池パック10には、ガイド部材60が設けられている。ガイド部材60は、ガイド面61および開口部62を有する。開口部62は、ガイド面61の上端に設けられており、ガイド面61は、開口部62から下方に向かって広がっている。
【0055】
電池パック10を凹部121に収容するとき、ピン50は、ガイド部材60の開口部62に挿入される。ピン50を開口部62に挿入することにより、凹部121に対して電池パック10を位置決めすることができる。実施例1で説明したように、電池パック10は、図2に示す締結位置P1,P2において、凹部121に締結される。
【0056】
電池パック10および凹部121の締結には、ボルト31が用いられ、電池パック10(ケース12)および凹部121(底面121a)には、図6に示すように、ボルト31を通過させるための開口部13,121bがそれぞれ形成されている。図6は、電池パック10を凹部121に位置決めする前の状態を示す。
【0057】
ボルト31を用いて、電池パック10および凹部121を締結するときには、電池パック10の開口部13と、凹部121の開口部121bとが一致している必要がある。電池パック10を凹部121に収容するときには、凹部121に対して電池パック10を降ろす必要がある。このとき、電池パック10が作業者の視界を遮ることにより、電池パック10の開口部13と、凹部121の開口部121bとが一致しているか否かを、作業者は確認し難くなる。
【0058】
本実施例では、ピン50およびガイド部材60を用いることにより、電池パック10を所定の搭載位置に配置しやすくなる。所定の搭載位置とは、電池パック10の開口部13と、凹部121の開口部121bとが互いに重なる位置である。電池パック10を所定の搭載位置に位置決めしておくことにより、電池パック10および凹部121の締結を容易に行うことができる。
【0059】
電池パック10を凹部121に搭載するとき、ピン50の先端が、ガイド部材60のガイド面61に接触すれば、ピン50は、ガイド面61に沿って移動して開口部62に導かれる。そして、ピン50を、開口部62に挿入することができる。
【0060】
ピン50およびガイド部材60を設ける位置は、適宜設定することができる。本実施例のように、締結位置P1と隣り合う位置に、ピン50およびガイド部材60を配置すれば、ガイド部材60の開口部62にピン50を挿入したときに、2つの開口部13,121bを合わせやすくなる。なお、締結位置P2と隣り合う位置に、ピン50およびガイド部材60を配置することもできる。
【0061】
ピン50およびガイド部材60は、一箇所に設けることもできるし、複数の箇所に設けることもできる。ピン50およびガイド部材60を、複数の箇所に設ければ、凹部121に対する電池パック10のずれを抑制しやすくなる。
【0062】
フロアパネル120のうち、凹部121とは異なる領域に、電池パック10の位置決め機構を設けることも考えられる。この場合には、位置決め機構が、デッキボード20と干渉したり、位置決め機構が、ラゲッジスペースLSに突出したりしてしまう。本実施例では、凹部121の底面121aにピン50を設けているため、デッキボード20と干渉することはなく、ラゲッジスペースLSを有効利用することができる。
【0063】
本実施例では、ピン50が挿入される開口部62を、ガイド部材60に設けているが、これに限るものではない。具体的には、ガイド部材60とは異なる部材に、ピン50が挿入される開口部を設けることができる。この場合には、ガイド部材は、ピン50を開口部に導くことができればよい。
【0064】
本実施例では、凹部121にピン50を設け、電池パック10にガイド部材60を設けているが、これに限るものではない。具体的には、電池パック10にピン(ピン50に相当する)を設け、凹部121にガイド部材(ガイド部材60に相当する)を設けることができる。この構造であっても、本実施例と同様の効果を得ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6