(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記顔料のイミドアルキル化誘導体が、前記顔料の100重量部に対して、0.5〜20重量部である、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用樹脂組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液、カラーフィルタ用樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
【0028】
I.カラーフィルタ用樹脂組成物の製造方法、カラーフィルタ用樹脂組成物
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物の製造方法は、顔料と、顔料分散剤と、顔料誘導体と、バインダー成分と、溶媒とを含有するカラーフィルタ用樹脂組成物の製造方法であって、
溶媒中、顔料分散剤の存在下で顔料を分散させる顔料分散液を調製する工程と、
前記顔料中の少なくとも1種の顔料と同じ顔料骨格を有し、且つ、下記化学式(1)で表されるイミドアルキル基を有する、顔料のイミドアルキル化誘導体を、溶媒に溶解乃至分散させた顔料誘導体溶液を調製する工程と、
前記顔料分散液と、前記顔料誘導体溶液と、バインダー成分とを混合する工程を有することを特徴とする。
【0029】
【化4】
(化学式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C
6H
4−(C=O)−により置換されていても良い。)
【0030】
また、本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物は、顔料が分散されてなる顔料分散液と、当該顔料分散液とは独立に、前記顔料中の少なくとも1種の顔料と同じ顔料骨格を有し、且つ、上記化学式(1)で表されるイミドアルキル基を有する顔料のイミドアルキル化誘導体と、バインダー成分と、溶媒とが混合されてなることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、顔料凝集体の析出を抑制可能な特定の顔料のイミドアルキル化誘導体を、顔料の処理時や顔料を分散する時には添加せず、顔料分散液とは独立にカラーフィルタ用樹脂組成物に添加することにより、カラーフィルタ工程の高温加熱工程後における顔料凝集体の析出を抑制しながら、顔料の分散性及び分散安定性を従来より向上して高コントラスト化の要求を達成する樹脂組成物が得られる。
【0032】
特定の顔料のイミドアルキル化誘導体を、顔料分散液とは独立にカラーフィルタ用樹脂組成物に添加することにより、上記のような効果を発揮する作用としては、以下のように推測される。
極性基を有する顔料分散剤や顔料誘導体を用いて顔料を分散すると、溶媒中で分散を進めることにより、顔料を微細化しつつ、微細化されて露出された顔料表面に極性基を有する顔料分散剤や顔料誘導体が適切に吸着して溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、顔料をより均一に微細化することができると推定される。しかしながら、均一に微細化されていた顔料が塗膜にされた後、カラーフィルタ工程の加熱工程で230℃もの高温が塗膜にかけられると、顔料に吸着されていた顔料分散剤の熱運動により顔料分散剤の吸着が弱まり、微細化されて露出された顔料表面同士の凝集力が強まって、顔料の凝集体が析出してしまうのではないかと推定される。例えばスルホ基のような酸性基を有する顔料誘導体は、顔料の類似骨格部分の顔料への吸着力よりも、塩基性基を有する顔料分散剤との相互作用の力が勝り、顔料分散剤が熱運動する際に顔料表面から離れてしまうのではないかと推定される。その結果、微細化されて露出された顔料表面同士の凝集力が強まって、顔料の凝集体が析出してしまうのではないかと推定される。
【0033】
それに対し、上記のような顔料のイミドアルキル化誘導体は、イミド部分の極性が弱いため、230℃もの高温が塗膜にかけられても、スルホ基のように顔料分散剤との強い相互作用を受け難く、むしろ相対的に顔料表面との吸着力の方が強く、顔料表面を安定化させるため、微細化された顔料同士が凝集することなく、安定した塗膜を形成できるのではないかと推定される。
しかしながら、顔料のイミドアルキル化誘導体は、イミド部分の極性が弱いため、イミドアルキル化誘導体で処理された顔料を使用したり、顔料を分散する時にイミドアルキル化誘導体を添加すると、特定のイミドアルキル基によって顔料表面の極性が弱まるため、むしろ顔料分散剤と吸着し難くなり、顔料の分散性や顔料分散液の安定性が低下してしまうと推定される。
【0034】
本発明においては、顔料分散液を調製するまでの工程、すなわち、顔料組成物を調製する顔料処理時や、顔料を分散する時までには、顔料のイミドアルキル化誘導体を添加しないので、顔料分散時に顔料表面の極性が弱まることなく、適宜顔料分散剤や顔料誘導体を選択することにより顔料の分散性や安定性を従来より向上することができる。
次いで、微細化した顔料分散液を調製後に、顔料のイミドアルキル化誘導体を添加することにより、高温加熱工程において熱運動により顔料分散剤の吸着が弱まった際には、相対的に顔料表面との吸着力が強い顔料のイミドアルキル化誘導体が、代わりに顔料表面を安定化させるのではないかと推定される。その結果、高温時も、顔料のイミドアルキル化誘導体が微細に分散された顔料表面を安定化させたまま維持可能であるため、従来よりも高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能であると推定される。
【0035】
1.顔料分散液調製工程
本発明における顔料分散液を調製する工程は、溶媒中、顔料分散剤の存在下で顔料を分散させる。
本発明で調製される顔料分散液は、少なくとも顔料と、顔料分散剤と溶媒とを必須成分として含有するものであり、必要に応じて他の成分を含有しても良いものである。本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物に含まれる、顔料が分散されてなる顔料分散液は、顔料が溶媒に分散されている顔料分散液であれば良いが、当該工程で調製されることが好ましい。
また、本発明における顔料分散液は、顔料凝集体の析出を抑制可能な前記特定の顔料のイミドアルキル化誘導体を、実質的に顔料分散性を低下させる程の含有量で含まないものである。
以下、このような本発明の顔料分散液の各成分について順に詳細に説明する。
【0036】
(顔料)
本発明で用いられる顔料は、カラーフィルタの着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0037】
<顔料の種類>
顔料としては、例えば、下記式(2−1)で表されるジケトピロロピロール系顔料、下記式(3−1)で表されるキノフタロン系顔料、その他に、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。
【0038】
【化5】
(化学式(2−1)中、A1、A2は水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、又はフェニル基を表す。化学式(3−1)中、B1〜B8は水素原子、塩素原子、又は臭素原子を表す。)
【0039】
有機顔料の更なる具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物を挙げることができる。
ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、キノフタロン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー138、イソインドリン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントオレンジ66、C.I.ピグメントオレンジ69、C.I.ピグメントレッド260、イソインドリノン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントオレンジ61、キナクリドン系顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントオレンジ48、
ジオキサジン系顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントブルー80、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントブルー60、ペリノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントオレンジ43、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントブラック31、C.I.ピグメントブラック32、チオインジゴ系顔料としては、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントブラウン27、フタロシアニン系顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、アゾ系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエ94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド150C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントイエロー150等のカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0040】
本発明の樹脂組成物において、顔料は1種又は2種以上組み合わせて用いられるが、前記顔料中の少なくとも1種の顔料が、後述する特定のイミドアルキル化誘導体と同じ顔料骨格を有するように組み合わせて用いられる。このようにイミドアルキル化誘導体と同じ顔料骨格を有する顔料としては、顔料凝集体が析出する可能性がある、ジケトピロロピロール系顔料、キノフタロン系顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン系顔料が好適に用いられる。
しかしながら、今後、顔料の微細化がより進行して高温加熱工程後における顔料凝集体の析出が問題になった顔料に対しては、同様に適用することができ、これらに限定されるものではない。
中でも、本発明においてイミドアルキル化誘導体と同じ骨格を有する顔料としては、高輝度を達成可能であるが、従来より高温加熱工程後に顔料凝集体の析出が問題になっているC.I.ピグメントレッド254のようなジケトピロロピロール系顔料や、高輝度を達成可能であるが、本発明者らが高温加熱工程後に顔料凝集体の析出することを見出したC.I.ピグメントイエロー138のようなキノフタロン系顔料が特に好適に用いられる。
【0041】
<顔料の粒径>
本発明に用いられる顔料の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、コントラストを向上させる点から、10〜50nmの範囲内であることが好ましく、10〜40nmの範囲内であることがより好ましい。顔料の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液、カラーフィルタ用樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とする。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0042】
顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜70nmの範囲内であることが好ましく、10〜50nmの範囲内であることがより好ましい。
顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している顔料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、顔料分散液に用いられている溶剤で、顔料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
【0043】
本発明で調製される顔料分散液において、顔料の含有量は、特に限定されない。通常、顔料の含有量は、カラーフィルタ用顔料分散液の全量に対して5〜40質量%、更に10〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
【0044】
(顔料分散剤)
本発明において、顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、コントラストを向上する点から、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
【0045】
顔料分散剤は、使用される顔料を良好に分散させるために適宜選択して用いられる。具体例には、ノナンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサデカンアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド及びN,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物、ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等のアミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N',N'−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N'−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N',N'−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1、2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のヒドロキシ基を有するアミン等を例示することができ、その他にニペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物を挙げることができる。
【0046】
さらに、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等を挙げることができる。
【0047】
本発明において用いられる顔料分散剤としては、分子内に顔料吸着部位と溶媒親和部位が機能分離されたブロック共重合体タイプもしくはグラフト共重合体(櫛型)タイプの高分子顔料分散剤が、顔料分散性及び分散安定性の点から好ましい。
【0048】
本発明において用いられる顔料分散剤としては、中でも、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体であることが好ましい。
【0049】
【化6】
[式(I)及び式(II)中、R
1は、水素原子又はメチル基、R
2及びR
3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R
6)−CH(R
7)−O]
x−CH(R
6)−CH(R
7)−又は−[(CH
2)
y−O]
z−(CH
2)
y−で示される2価の基、R
4は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
6)−CH(R
7)−O]
x−R
8又は−[(CH
2)
y−O]
z−R
8で示される1価の基である。R
6及びR
7は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R
8は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH
2CHO、又は−CH
2COOR
9で示される1価の基であり、R
9は水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【0050】
本発明において、顔料分散剤として上記特定の塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤とを組み合わせることにより、特にコントラストが向上しながら、カラーフィルタ工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能になる。
【0051】
このような特定の塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤は、上記一般式(I)で表される構成単位(1)と、上記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、かつ上記構成単位(1)が有するアミノ基と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成した塩型ブロック共重合体であることにより、塩形成部位を形成する上記構成単位(1)は顔料に対する吸着性が特に強く、一方で構成単位(2)は溶媒に対して溶解性を有する。このような顔料分散剤を用いると、溶媒中で分散時間を長くすることにより、顔料を微細化しつつ、微細化されて露出された顔料表面に顔料分散剤が適切に吸着して溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、顔料をより均一に微細化することができると推定される。その結果、特にコントラストが向上した塗膜を得ることができる。
【0052】
<ブロック共重合体>
上記ブロック共重合体は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するものである。
上記一般式(I)において、R
1は、水素原子又はメチル基を示し、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
本発明においては、上記R
2及びR
3は、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0053】
Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、*−[CH(R
6)−CH(R
7)−O]
x−CH(R
6)−CH(R
7)−**、又は、*−[(CH
2)
y−O]
z−(CH
2)
y−**で示される2価の基である。ここで、*は、エステル結合側の連結部位を表し、**は、アミノ基側の連結部位を表す。また、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種へキシレン基、各種オクチレン基などである。
R
6及びR
7は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y、及びzが、上記の範囲内にあれば、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液は、顔料の分散性に優れたものになる。
上記Aとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
【0054】
上記一般式(II)において、R
4は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
6)−CH(R
7)−O]
x−R
8又は−[(CH
2)
y−O]
z−R
8を示す。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
【0055】
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
置換基を有していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0056】
上記R
6及びR
7は、前記と同じであり、R
8は水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH
2CHO、又は−CH
2COOR
9で示される1価の基であり、R
9は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。
上記R
8で示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R
8のうちの炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記R
4で示したとおりである。
上記R
4において、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
また、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)中のR
4は、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0057】
本発明において、上記R
4としては、なかでも、後述する溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記ブロック共重合体を構成する繰り返し単位等によっても異なるが、上記溶媒が、カラーフィルタ用の溶媒として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
ここで、上記R
4をこのように設定する理由は、上記R
4を含む繰り返し単位(2)が、上記溶媒に対する良好な溶解性を有し、上記繰り返し単位(1)のアミノ基と、後述する有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが形成する塩形成部位が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
【0058】
さらに、上記R
4は、上記ブロック共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよく、また、上記ブロック共重合体の合成後に、上記置換基を有する化合物と反応させて、上記置換基を付加させてもよい。また、これらの置換基を有するブロック共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するブロック共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するブロック共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
【0059】
本発明に用いられる構成単位(1)のユニット数m及び構成単位(2)のユニット数nの比率m/nとしては、0.01〜1の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.5の範囲内であることがより好ましい。比率m/nが上記範囲内にあれば、顔料に対する吸着性が良好となり、上記構成単位(2)による上記溶媒との溶解性が低くなることがなく、顔料の分散性、及び安定性が低下することがない。
【0060】
本発明に用いられるブロック共重合体の分子サイズに関しては、上記繰り返し単位(1)の数mは、3〜200の整数、好ましくは3〜50の整数である。上記繰り返し単位(2)の数nは、10〜200の整数、好ましくは20〜100の整数、より好ましくは20〜70の整数である。本発明においては、m及びnが、それぞれ上記の範囲内にあることにより、溶媒可溶性部位と溶媒不溶性部位が効果的に作用し、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液を顔料の分散性に優れたものとすることができる。
さらに、上記ブロック共重合体の重量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜15000の範囲内であることがより好ましく、3000〜12000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲内であることにより、顔料を均一に分散させる分散初期の顔料に対する濡れ性と分散安定性を両立することが可能となる。
【0061】
なお、上記重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
【0062】
本発明に用いられるブロック共重合体の結合順としては、上記繰り返し単位(1)及び上記繰り返し単位(2)を有し、顔料を安定に分散することができるものであればよく、特に限定されないが、上記繰り返し単位(1)が上記ブロック共重合体の一端のみに結合したものであることが好ましい。すなわち、上記繰り返し単位(1)と、上記繰り返し単位(2)とが、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)−繰り返し単位(1)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)が繰り返し結合したものであってもよいが、本発明においては、なかでも繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものが好ましい。その理由は、顔料に対する吸着性に優れ、さらにこのようなブロック共重合体を用いた顔料分散剤同士の凝集を効果的に抑えることができるからである。
【0063】
構成単位(1)や構成単位(2)が2種以上含まれる場合において、構成単位(1)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体などであっても良い。
【0064】
<有機酸化合物>
前述した一般式(I)で表される構成単位(1)と、一般式(II)で表される構成単位(2)とを有するブロック共重合体の構成単位(1)が有するアミノ基と、塩を形成する有機酸化合物としては、下記一般式(III)で表される構造を有する有機リン酸化合物及び/又は上記一般式(IV)で表される構造を有する有機スルホン酸化合物が挙げられる。
【0065】
【化7】
[式(III)及び式(IV)中、R
a及びR
a’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
e、又は−O−R
a’’で示される1価の基であり、R
a及びR
a’のいずれかは炭素原子を含む。R
a’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
eで示される1価の基である。
R
bは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
e、又は−O−R
b’で示される1価の基である。R
b’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、又は−[(CH
2)
t−O]
u−R
eで示される1価の基である。
R
c及びR
dは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R
eは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH
2CHO、−CO−CH=CH
2、−CO−C(CH
3)=CH
2又は−CH
2COOR
fで示される1価の基であり、R
fは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
R
a、R
a’、及びR
bにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【0066】
本発明においては、上記有機酸化合物及び/又は後述するハロゲン化炭化水素を用いることにより、当該顔料分散剤を、顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができる。さらに、有機酸化合物が用いられる場合には、塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。顔料の粒径の微小化に伴い、顔料分散剤が多量に必要になり、アルカリ現像性の低下や残渣の増加といった問題が生じるおそれがあるが、上記塩型顔料分散剤において有機酸化合物が用いられる場合には、このような問題が生じる恐れを低減できる。
【0067】
上記一般式(III)において、R
a及びR
a’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
e、又は−O−R
a’’を示し、R
a及びR
a’のうちいずれかは炭素原子を含む。
【0068】
上記炭素数1〜18のアルキル基、上記炭素数2〜18のアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基は、前記R
4で示したとおりである。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
上記アルキル基やアルケニル基は置換基を有していても良く、当該置換基としては、F、Cl、Brなどのハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
また、上記アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
【0069】
上記R
c及びR
dは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R
eは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH
2CHO、−CO−CH=CH
2、−CO−C(CH
3)=CH
2又は−CH
2COOR
fで示される1価の基であり、R
fは水素原子又は炭素数が1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
【0070】
上記R
eで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R
eのうちの炭素数1〜18のアルキル基は前記のR
4で示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR
a及びR
a’で示したとおりである。
【0071】
R
a及び/又はR
a’が、−O−R
a’’の場合、酸性リン酸エステルとなる。上記R
a’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
eで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR
a及びR
a’で示したとおりである。尚、R
a’’が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
【0072】
R
a、R
a’及びR
a’’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
【0073】
上記一般式(IV)において、R
bは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
e、又は−O−R
b’を示す。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR
a及びR
a’で示したとおりである。
【0074】
R
bが、−O−R
b’の場合、酸性硫酸エステルとなる。上記R
b’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
eで示される1価の基である。
R
b、R
b’において、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していても良い。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
eは、前記R
a、R
a及びR
a’’で示したとおりである。
また上記R
c、R
d及びR
eは、前記R
a、R
a及びR
a’’で示したとおりである。
上記R
b及びR
b’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。好ましいs、t、uは、上記R
a、R
a’及びR
a’’と同様である。
【0075】
上記一般式(III)で表される有機酸化合物としては、前記一般式(III)におけるR
a及びR
a’が、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、又は−[(CH
2)
t−O]
u−R
e、あるいは、−O−R
a’’で示される1価の基であり、R
a及びR
a’のいずれかは炭素原子を含み、且つ、R
a’’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、又は−[(CH
2)
t−O]
u−R
eであり、R
c及びR
dが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R
eが−CO−CH=CH
2又は−CO−C(CH
3)=CH
2であるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0076】
また、一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、一般式(IV)におけるR
bが、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、又は−[(CH
2)
t−O]
u−R
e、あるいは、−O−R
b’で示される1価の基であり、R
b’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、又は−[(CH
2)
t−O]
u−R
eであり、R
c及びR
dが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R
eが−CO−CH=CH
2又は−CO−C(CH
3)=CH
2であるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0077】
中でも、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R
a、R
a’及び/又はR
a’’、並びに/或いは、R
b及び/又はR
b’として、芳香環を有することが顔料分散性の点から好ましい。R
a、R
a’及びR
a’’の少なくとも1つ、或いは、R
b又はR
b’が、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、より具体的には、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基であることが、顔料分散性の点から好ましい。前記一般式(III)においては、R
a及びR
a’の一方が芳香環を有する場合には、R
a及びR
a’の他方は、水素原子や水酸基であるものも好適に用いられる。
【0078】
また、耐熱性や耐薬品性、特に耐アルカリ性の点からは、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、リン(P)や硫黄(S)に炭素原子が直接結合した化合物であることが好ましく、R
a及びR
a’が、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
eで示される1価の基であり、R
a及びR
a’のいずれかは炭素原子を含むことが好ましい。また、R
bが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、−[(CH
2)
t−O]
u−R
eで示される1価の基であることが好ましい。
【0079】
また、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R
a、R
a’及び/又はR
a’’、並びに/或いは、R
b及び/又はR
b’としては、重合性基を有するもの、すなわち、ビニル基、アリル基あるいは−[CH(R
c)−CH(R
d)−O]
s−R
e、又は−[(CH
2)
t−O]
u−R
eであり、且つ、R
eが−CO−CH=CH
2又は−CO−C(CH
3)=CH
2であるものが好ましく、特に、R
a、R
a’及び/又はR
a’’、並びに/或いは、R
b及び/又はR
b’が、ビニル基、アリル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基であるものが好ましい。
このような場合には、本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を用いて着色層を形成する際の露光時に、上記重合性基同士及び/又は上記重合性基と、本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等とを容易に重合することができ、カラーフィルタの着色層中において、上記顔料分散剤が、安定に存在することを可能とする。このようなカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造した際には、液晶層等へ上記顔料分散剤がブリードアウトすることを防止することができる。
【0080】
また、当該有機酸化合物が、重合性基を含むことにより、着色層形成に用いる前に、当該有機酸化合物が有する重合性基同士を重合させることができ、その結果顔料分散剤が高分子量化されるため、着色層形成の現像時において、未露光箇所のカラーフィルタ用樹脂組成物を、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる。
【0081】
尚、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0082】
<ハロゲン化炭化水素>
本発明で用いられるハロゲン化炭化水素は、前述した一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するブロック共重合体の繰り返し単位(1)が有するアミノ基と塩を形成する。
本発明においては、上記ハロゲン化炭化水素を用いることにより、顔料分散剤の生成した塩形成部位が顔料への吸着性に優れているために高い分散性を発現することができると同時に、分散剤の耐熱性や耐アルカリ性を高くすることができる。
【0083】
上記ハロゲン化炭化水素としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれかのハロゲン原子が、飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は環状の炭化水素の水素原子と置換されているものが挙げられる。中でも、炭化水素の水素原子の1つがハロゲン原子に置換されたハロゲン化炭化水素であることが、顔料分散剤と塩を形成して、顔料分散性を高める点から好ましい。
また、上記ハロゲン化炭化水素としては、直鎖、分岐鎖又は環状であっても良い。また、炭素数は、1〜18であることが好ましく、更に1〜7であることが好ましい。
【0084】
上記ハロゲン化炭化水素のうち、ハロゲン化アルキルとしては、炭素数1〜18のものが挙げられるが特に限定されない。具体的には、例えば、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、塩化n−ブチル、塩化ヘキシル、塩化オクチル、塩化ドデシル、塩化テトラデシル、塩化ヘキサデシル等が挙げられる。また、ハロゲン化アリルとしては、例えば、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルが挙げられる。また、上記ハロゲン化アラルキルのアラルキル基としては、炭素数7〜18のものが挙げられるが特に限定されない。具体的には、例えば、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ナフチルメチル、塩化ピリジルメチル、臭化ナフチルメチル、臭化ピリジルメチル等が挙げられる。
【0085】
中でも、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される少なくとも1種であることが、塩形成反応のしやすさと、生成した塩形成部位が顔料への吸着性に優れている点から好ましい。
【0086】
本発明で用いられるブロック共重合体における該有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素の含有量は、良好な分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、一般に前記一般式(I)で表される3級アミノ基に対して、0.01〜2.0モル当量程度であり、より好ましくは0.1〜1.0モル当量である。このような場合、顔料分散性及び顔料分散安定性が優れたものになる。尚、上記該有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
【0087】
<塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤の製造>
上記顔料分散剤のブロック共重合体の製造方法としては、上記の繰り返し単位(1)と、繰り返し単位(2)とを有し、かつ上記繰り返し単位(1)が有するアミノ基と、上記の有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、上記の繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を公知の重合手段を用いて重合した後、後述する溶媒中に溶解又は分散し、次いで該溶媒中に上記有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素を添加し、室温もしくは加熱条件下で攪拌することにより顔料分散剤を製造することができる。
【0088】
上記重合手段としては、上記の繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を所望の数で重合し、所望の分子量とすることができる手段であればよく、特に限定されず、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えばアニオン重合やリビングラジカル重合等を用いることができる。本発明においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布等を所望の範囲とすることが容易であるので、該顔料分散剤の分散性を均一にすることができる。
【0089】
本発明のカラーフィルタ用顔料分散液において、顔料分散剤としては、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量としては、顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、顔料100重量部に対して10〜150重量部用いることができる。更に、顔料100重量部に対して15〜80重量部の割合で配合するのが好ましく、特に15〜60重量部の割合で配合するのが好ましい。顔料分散剤の含有量が上記範囲内にあれば、顔料を均一に分散させることができる。なお本発明において、顔料誘導体以外の含有量を規定する際の、顔料には、顔料の他、顔料分散時に用いられる顔料誘導体が含まれる。但し、含有量を規定する際の顔料誘導体において、後述する顔料のイミドアルキル化誘導体は除かれる。
【0090】
(溶媒)
本発明で調製される顔料分散液に用いる溶媒としては、該顔料分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶媒であればよく、特に限定されない。
本発明の顔料分散液に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶媒;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、シクロヘキサノールアセテートなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶媒;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶媒;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶媒;クレゾール類等のフェノール系溶剤などの有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、シクロヘキサノールアセテートなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒が好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CH
3OCH
2CH(CH
3)OCOCH
3)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0091】
これらの溶媒は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の顔料分散液は、以上のような溶媒を、当該溶媒を含む顔料分散液の全量に対して、通常は60〜85重量%の割合で用いて調製する。溶媒が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性が低下しやすい。また、溶媒が多すぎると、顔料濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
【0092】
(他の顔料誘導体)
本発明の効果が損なわれない限り、本発明の顔料分散液は、後述する顔料のイミドアルキル化誘導体とは異なる、他の顔料誘導体を含んでいても良い。顔料誘導体は、顔料骨格に官能基を付与し、様々な機能を顔料に付加する役割を持つ化合物である。顔料分散時に極性基を有する顔料誘導体を顔料に添加すると、顔料誘導体の顔料類似骨格が顔料表面に吸着もしくは結合し、それにより顔料の表面が極性を有するようになることによって、分散剤と顔料間の親和性が向上し、分散性、分散安定性を確保できると考えられる。
【0093】
本発明の顔料分散液においては、顔料のスルホン酸誘導体を、更に併用することが好ましい。この場合には、顔料をより微細化して分散することが可能になり、高コントラスト化の要求を達成しやすくなる。顔料のスルホン酸誘導体は、用いられる顔料と同じ顔料骨格を有することが特に高コントラスト化の要求を達成しやすくなる点から好ましい。顔料分散剤として、上記塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤と、顔料のスルホン酸誘導体と組み合わせると、特に分散剤と顔料間の親和性が向上し、高コントラスト化の要求を達成しやすくなる。
【0094】
顔料のスルホン酸誘導体は、少なくとも1つのスルホ基が、顔料に結合した構造を有する。
スルホ基の置換数は、1〜2であることが好ましく、中でも1であることが、効率的に顔料分散性を向上できる点から好ましい。
【0095】
顔料のスルホン酸誘導体は、例えば、顔料を、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸又はこれらの混合液などに投入してスルホン化反応を行うことにより製造することができる。顔料のスルホン酸誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、顔料骨格が異なるもののほか、スルホ基の置換位置又は置換数が異なるスルホン酸誘導体を2種以上混合して用いても良い。
【0096】
本発明において、顔料のスルホン酸誘導体は、前記顔料100重量部に対して、0.1〜20重量部含有されることが好ましい。中でも、顔料のスルホン酸誘導体は、前記顔料100重量部に対して、0.5〜15重量部、更に1〜10重量部含有されることが好ましい。このような含有量で用いられることにより、高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体の析出が抑制された塗膜を作製可能になる。
【0097】
他の顔料誘導体としては、スルホン酸の金属塩やアミン塩、スルホンアミド基を有する、顔料のスルホン化誘導体が、更に含まれていても良い。スルホン酸のアミン塩であるスルホンアミド基としては、−SO
2NHR(ここで、Rは1価の有機基)で表されるものが好ましく、上記Rとしては、例えば、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノプロピル基、ジブチルアミノプロピル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。
【0098】
(その他の成分)
本発明の顔料分散液には、さらに必要に応じて、顔料分散補助樹脂やその他の成分を配合しても良い。
顔料分散補助樹脂としては、例えば後述するネガ型感光性バインダー成分で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって顔料粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0099】
<顔料分散方法>
本発明においては、上記の顔料と、顔料分散剤と、必要に応じて他の成分とを溶媒に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって顔料分散液を調製する。分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.10〜1.0mmである。
【0100】
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.5〜5.0μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
【0101】
本発明においては、公知の分散機を用いて分散させる分散時間は、適宜調整され特に限定されない。
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた顔料分散液が得られる。該顔料分散液は、顔料分散性に優れたカラーフィルタ用樹脂組成物を調製するための予備調製物として用いられる。
【0102】
2.顔料誘導体溶液調製工程
本発明における顔料誘導体溶液調製工程は、前記顔料中の少なくとも1種の顔料と同じ顔料骨格を有し、且つ、下記化学式(1)で表されるイミドアルキル基を有する、顔料のイミドアルキル化誘導体を、溶媒に溶解乃至分散させた顔料誘導体溶液を調製する工程である。
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物に含まれる、顔料分散液とは独立に添加される下記化学式(1)で表されるイミドアルキル基を有する顔料のイミドアルキル化誘導体は、添加方法としては特に限定されず、例えばバインダー成分と予め混合して配合されても良いが、当該工程で顔料誘導体溶液が調製されることが好ましい。
【0103】
(顔料のイミドアルキル化誘導体)
本発明において用いられる顔料のイミドアルキル化誘導体は、前記顔料中の少なくとも1種の顔料と同じ顔料骨格を有し、且つ、下記化学式(1)で表されるイミドアルキル基が少なくとも1つ結合した構造を有するものである。当該イミドアルキル基は、顔料を構成する顔料骨格に、下記化学式(1)で表されるアルキレン基Rで結合する。
【0104】
【化8】
(化学式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C
6H
4−(C=O)−により置換されていても良い。)
【0105】
このような顔料のイミドアルキル化誘導体は、顔料分散時に添加しなくても、樹脂組成物中に添加すると、添加時あるいはカラーフィルタ工程の高温加熱時に顔料を構成する顔料骨格が顔料表面に吸着もしくは結合し、それにより顔料の表面が極性の弱いイミドアルキル基を有するようになることによって、カラーフィルタ工程の高温加熱工程後における顔料同士の再結晶化を抑制することができると推定される。
なお、顔料骨格とは、有機顔料としての性質を有する最小限の構造をいう。例えば、ジケトピロロピロール系顔料であれば、顔料骨格とは下記式(2−0)で表される構造、キノフタロン系顔料であれば、顔料骨格とは下記式(3−0)で表される構造を示す。
【0107】
顔料のイミドアルキル化誘導体は、顔料分散液において分散した顔料中の少なくとも1種の顔料と同じ顔料骨格を有するので、高温加熱工程後における顔料凝集体の析出を抑制しやすい。例えば、前記顔料の少なくとも1種が下記式(2−1)で表されるジケトピロロピロール系顔料であって、前記顔料のイミドアルキル化誘導体が下記式(2−2)で表されるジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体であるか、或いは、前記顔料の少なくとも1種が下記式(3−1)で表されるキノフタロン系顔料であって、前記顔料のイミドアルキル化誘導体が下記式(3−2)で表されるキノフタロン系顔料のイミドアルキル化誘導体である等が挙げられる。
顔料分散液において分散した顔料が2種以上の場合には、顔料のイミドアルキル化誘導体は、顔料凝集体が析出しやすい少なくとも1つの顔料と同じ顔料骨格を有すれば良い。
【0109】
【化11】
(化学式(2−1)及び(2−2)中、A1、A2は水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、又はフェニル基を表し、R及びXは、化学式(1)と同じである。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。化学式(3−1)及び(3−2)中、B1〜B8は水素原子、塩素原子、又は臭素原子を表し、R及びXは、化学式(1)と同じである。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【0110】
化学式(1)中、Rの炭素数1〜6のアルキレン基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基等が挙げられる。中でも、製造が容易な点から、アルキレン基としては、メチレン基であることが好ましい。
【0111】
化学式(1)中、Xは、アリーレンを表し、1,2−フェニレン、1,2−ナフチレン、2,3−ナフチレン、1,8−ナフチレン、及び2,2’−ビフェニレン等が挙げられる。化学式(1)中のXとしては、フタルイミドとなる1,2−フェニレン、及び、ナフタルイミドとなる1,8−ナフチレンが好ましい。
【0112】
化学式(1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
化学式(1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、及び、置換されたフェニルスルホニル基、例えば、p−トリルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、p−ブロモフェニルスルホニル基等を挙げることができる。
化学式(1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンジル基等を挙げることができる。
【0113】
本発明において用いられる顔料のイミドアルキル化誘導体は、中でも、下記化学式(1’)で表されるフタルイミドアルキル基を有するフタルイミドアルキル化誘導体であることが、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
【0114】
【化12】
(式(1’)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
【0115】
化学式(1’)で表されるフタルイミドアルキル基において、アルキレン基Rは、上記化学式(1)と同様であってよく、中でも、メチレン基が、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
【0116】
また、上記特定のイミドアルキル基の置換数nは、1〜2であることが好ましく、中でも1であることが、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
顔料のイミドアルキル化誘導体の分子量が小さい方が、重量あたりの有効成分の割合が増えるため、効率的に顔料凝集体を抑制できる。
【0117】
顔料のイミドアルキル化誘導体は、例えば、顔料を、パラホルムアルデヒドとフタルイミド等の特定のイミドとを、三酸化硫黄や硫酸中で、反応させることにより製造することができる。なお、合成方法については、特表2004−501911号公報に詳細に記載され、これを参照することができる。顔料のイミドアルキル化誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、アルキレン基の種類、イミドアルキル基の種類、各種イミドアルキル基の置換位置又は置換数が異なるイミドアルキル化誘導体を2種以上混合して用いても良い。
【0118】
本発明において、顔料のイミドアルキル化誘導体は、前記顔料100重量部に対して、0.5〜20重量部であることが好ましい。中でも、顔料のイミドアルキル化誘導体は、前記顔料100重量部に対して、1〜15重量部、更に3〜10重量部で用いられることが好ましい。このような含有量で用いられることにより、高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能になる。
【0119】
(溶媒)
顔料のイミドアルキル化誘導体を、溶解乃至分散させて顔料誘導体溶液を調製するための溶媒としては、上記顔料分散液で挙げたような溶媒を適宜用いることができる。
顔料誘導体溶液を調製するための溶媒としては、顔料分散液を調製するために用いられる溶媒と同じであっても良いし異なっていても良い。
【0120】
顔料誘導体溶液を調製するための溶媒としては、顔料のイミドアルキル化誘導体の溶解度(25℃)が 1g/L以上であることが好ましく、更に3g/L以上であることが好ましい。
一方、顔料誘導体溶液を調製するための溶媒は、顔料分散液を調製するために用いられる溶媒と相溶性があることが好ましく、顔料誘導体溶液を調製するための溶媒は、顔料分散液を調製するために用いられる溶媒の溶解度(25℃)が100g/L以上であることが好ましく、更に500g/L以上であることが好ましい。
【0121】
(溶解乃至分散方法)
顔料のイミドアルキル化誘導体を、溶媒中に溶解乃至分散させる方法としては、特に限定されない。溶媒に対して溶解度が高い場合には、混合や加熱処理により溶解する場合もある。一方、溶媒に対して溶解度が低めの場合には、上記顔料分散液を調製する工程で述べたような顔料分散剤、その他の顔料誘導体、顔料分散補助樹脂などを用いた
顔料分散方法によって、顔料のイミドアルキル化誘導体を、溶媒中に溶解乃至分散させることが好ましい。
【0122】
3.カラーフィルタ用樹脂組成物調製工程
本発明においては、前記顔料分散液と、前記顔料誘導体溶液と、バインダー成分とを混合する工程を有する。
当該工程においては、少なくとも前記調製された顔料分散液と、前記調製された顔料誘導体溶液と、バインダー成分とを混合するが、更に溶媒、必要に応じてその他の成分を更に添加して、混合しても良い。
前記調製された顔料分散液と、前記調製された顔料誘導体溶液については上述したのでここでの説明は省略する。
【0123】
(バインダー成分)
本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられるバインダー成分を適宜用いることができる。硬化性の樹脂を含むバインダー成分を用いることが硬化させることにより塗膜に充分な硬度を付与するため好ましい。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
【0124】
本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物を、例えばインクジェット方式で用いる場合など、基板上にパターン状に選択的に付着させて着色層を形成可能な場合には、バインダー成分に現像性は必要がなく、特に限定されることなく用いられる。例えば、特開2007−003945号公報等に記載されている、1分子中にエポキシ基2個以上を有する比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物、繰り返し単位にエポキシ基を含む重合体からなるバインダー性エポキシ化合物、及び多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸等の硬化剤からなる熱硬化性バインダー成分や、光硬化性バインダー成分等が挙げられる。
【0125】
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー工程を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂及び感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物を含んだ系が挙げられ、アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリイミド前駆体等が挙げられる。
【0126】
ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。以後、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
【0127】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するものであればよい。アルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
【0128】
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、カラーフィルタ用樹脂組成物に含まれる顔料100重量部に対して、通常、10〜1000重量部の範囲内、好ましくは20〜500重量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると顔料の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
【0129】
<多官能性モノマー>
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物において用いられる多官能性モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0130】
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0131】
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0132】
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能性モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、例えばジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物において用いられる上記多官能性モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通常5〜500重量部程度、好ましくは20〜300重量部の範囲である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
【0133】
<光開始剤>
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0134】
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能性モノマー100重量部に対して、通常0.01〜100重量部程度、好ましくは5〜60重量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、カラーフィルタ用樹脂組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
【0135】
(任意添加成分)
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤を含むものであってもよい。該添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
また、感光性バインダー成分の場合には、1分子内にチオール基を2個以上有する多官能チオール化合物を用いることが、光硬化後に硬化したパターン部表面の架橋密度が高くなる点から好ましい。
【0136】
(カラーフィルタ用樹脂組成物における各成分の配合割合)
顔料誘導体を含む顔料の合計の含有量は、カラーフィルタ用樹脂組成物の固形分全量に対して、10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%の割合で配合することが好ましい。顔料が少なすぎると、カラーフィルタ用樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜4.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、カラーフィルタ用樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またそのカラーフィルタ用樹脂組成物中の顔料分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために現像性、耐熱性等の特性も不十分になるおそれがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、顔料分散剤の合計の含有量は、カラーフィルタ用樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜40重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜30重量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、カラーフィルタ用樹脂組成物の固形分全量に対して、1重量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、40重量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
アルカリ可溶性樹脂、多官能モノマー、及び光開始剤は、これらの合計量が、カラーフィルタ用樹脂組成物の固形分全量に対して15〜89重量%、好ましくは25〜80重量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶媒の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶媒を含む上記カラーフィルタ用樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88重量%の範囲内であることが好ましい。上記溶媒の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0137】
(混合方法)
前記顔料分散液と、前記顔料誘導体溶液と、バインダー成分とを混合する工程において、混合する方法としては、特に限定されない。
カラーフィルタ用樹脂組成物においては、色調整のために顔料を2種以上用いることが多い。その場合、前記顔料分散液としては、共分散した1つの顔料分散液であっても良いし、各顔料ごとに調製した顔料分散液を2種以上用いても良い。そして、前記顔料誘導体溶液は、2種以上の顔料のうち、顔料凝集体を析出し易い顔料に対して少なくとも調製すればよい。用いられる2種以上の顔料が、顔料凝集体を析出し易い顔料の場合、前記顔料誘導体溶液は、2種以上の顔料誘導体を混合して1つの溶液を調製しても良いし、各顔料誘導体ごとに調製した顔料誘導体溶液を2種以上用いても良い。
【0138】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、前述した本発明の製造方法で製造されたカラーフィルタ用樹脂組成物、又は本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
【0139】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を硬化させて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、該カラーフィルタ用樹脂組成物に含まれる顔料の種類によって、3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0140】
当該着色層は、例えば下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルタ用樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0141】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルタ用樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0142】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO
x膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO
x膜(xは任意の数)、CrN
y膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用カラーフィルタ用樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0143】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0144】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤及び感光性樹脂を含有する遮光部用カラーフィルタ用樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。本発明においては、上記遮光部用カラーフィルタ用樹脂組成物として、顔料としてカーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料を有した上記カラーフィルタ用樹脂組成物を用いてもよい。
【0145】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0146】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
【0147】
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0148】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。
図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この
図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0149】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0150】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【実施例】
【0151】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(製造例1 バインダー樹脂Aの合成)
重合槽に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)130重量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル(MMA)32重量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)22重量部、メタクリル酸(MAA)24重量部、開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)2重量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5重量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05重量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル(GMA)22重量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2重量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44重量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aの重量平均分子量は8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
【0152】
(製造例2 黄色顔料イミドアルキル化誘導体A(PY138フタルイミドメチル誘導体)の合成)
パラホルムアルデヒド5.14重量部とフタルイミド17.71重量部を3.6重量%の発煙硫酸338.67重量部に25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでC.I.ピグメントイエロー138 69.40重量部を加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400重量部に加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを温水で3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表される黄色顔料イミドアルキル化誘導体Aを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0153】
【化13】
【0154】
(製造例3 黄色顔料イミドアルキル化誘導体B(PY138ナフタルイミドメチル誘導体)の合成)
パラホルムアルデヒド5.14gとナフタルイミド23.72gを3.6重量%の発煙硫酸338.67gに25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでピグメントイエロー138 69.40gを加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400gに加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを60℃の温水1Lで3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にナフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表される黄色顔料イミドアルキル化誘導体Bを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0155】
【化14】
【0156】
(製造例4 黄色顔料イミドアルキル化誘導体C(PY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体)の合成)
パラホルムアルデヒド5.14gと3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド34.27gを3.6重量%の発煙硫酸338.67gに25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでピグメントイエロー138 69.40gを加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400gに加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを60℃の温水1Lで3回洗浄し真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にテトラクロロナフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表される黄色顔料イミドアルキル化誘導体Cを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0157】
【化15】
【0158】
(製造例5 黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)の合成)
11重量%発煙硫酸374.76gを10℃に冷却しながら攪拌し、ピグメントイエロー138 74.96gを加えた。次いで、90℃で6時間攪拌した。
反応液を氷水1600gに加え、15分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを800mlの水で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、粉砕することでピグメントイエロー138にスルホン酸基が1個置換した、下記式(n=1)で表される黄色顔料スルホン酸誘導体Aを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0159】
【化16】
【0160】
(製造例6 赤色顔料イミドアルキル化誘導体A(PR255フタルイミドメチル誘導体)の合成)
96%硫酸461.2gを撹拌しながらピグメントレッド255 23.08gを冷却しながら加える。ついで、冷却しながら1時間撹拌後、100%硫酸461.2gと、N−ヒドロキシメチルフタルイミド28.37gを加えた。室温で一晩攪拌した後、反応液を氷水3800gにあけ、沈殿をろ過して取り出した。
得られたウェットケーキを温水で3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントレッド255にフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表される赤色顔料イミドアルキル化誘導体Aを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0161】
【化17】
【0162】
(製造例7 分散剤溶液Aの調製)
100mL丸底フラスコ中で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)22.38重量部に、上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(重量平均分子量7800、アミン価130、固形分60重量%)10.00重量部、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)0.59重量部(アミノ基に対して0.3モル当量)を加え、超音波で15分処理することで固形分重量20%の部分塩形成されたブロック共重合体型分散剤である分散剤溶液Aとした。
このとき、ブロック共重合体(BYK−LPN6919)のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により部分塩形成されている。得られた分散剤溶液Aの酸価は71mgKOH/gであった。
【0163】
(製造例8 PY138顔料分散液Aの調製)
色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138の微細化顔料(PY138:平均一次粒径10〜50nm)3.00重量部、顔料分散剤として製造例7で調製した分散剤溶液A7.50重量部、製造例1で調製したバインダー樹脂A2.05重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.45重量部を混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで12時間分散し、顔料濃度10%のPY138顔料分散液Aを得た。なお、分散時のベッセル内のビーズ充填率は50%とした。
【0164】
(製造例9 PY138顔料分散液Bの調製)
製造例8において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138の微細化顔料(PY138:平均一次粒径10〜50nm)2.85重量部及び製造例2で調製した黄色顔料イミドアルキル誘導体A0.15重量部を用いた以外は製造例8と同様に、顔料濃度10%のPY138顔料分散液Bを得た。
【0165】
(製造例10 PY138顔料分散液Cの調製)
製造例8において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138の微細化顔料(PY138:平均一次粒径10〜50nm)2.85重量部及び製造例5で調製した黄色顔料スルホン酸誘導体0.15重量部を用いた以外は製造例8と同様に、顔料濃度10%のPY138顔料分散液Cを得た。
【0166】
(製造例11 PR254顔料分散液Aの調製)
製造例8において、色材成分としてC.I.ピグメントレッド254の微細化顔料(PR254:平均一次粒径10〜50nm)3.00重量部とした以外は製造例8と同様に、顔料濃度10%のPR254顔料分散液Aを得た。
【0167】
(製造例12 PR254顔料分散液Bの調製)
製造例8において、色材成分としてC.I.ピグメントレッド254の微細化顔料(PR254:平均一次粒径10〜50nm)2.85重量部及び製造例4で調製した赤色顔料フタルイミドメチル誘導体0.15重量部を用いた以外は製造例8と同様に、顔料濃度10%のPR254顔料分散液Bを得た。
【0168】
(製造例13 PR254顔料分散液Cの調製)
製造例8において、色材成分としてC.I.ピグメントレッド254の微細化顔料(PR254:平均一次粒径10〜50nm)2.85重量部及び製造例5で調製した黄色顔料スルホン酸誘導体0.15重量部を用いた以外は製造例8と同様に、顔料濃度10%のPR254顔料分散液Cを得た。
【0169】
(製造例14 PY150顔料分散液Aの調製)
色材成分としてC.I.ピグメントイエロー150(PY150:平均一次粒径10〜50nm)3.00重量部、顔料分散剤として製造例7で調製した分散剤溶液A7.50重量部、製造例1で調製したバインダー樹脂A2.05重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.45重量部を混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで4時間分散し、顔料濃度10%のPY150顔料分散液Aを得た。なお、分散時のベッセル内のビーズ充填率は50%とした。
【0170】
(製造例15 PG58顔料分散液Aの調製)
色材成分としてC.I.ピグメントグリーン58顔料(PG58:平均一次粒径10〜50nm)3.9重量部、顔料分散剤として製造例7で調製した分散剤溶液A4.88重量部、製造例1で調製したバインダー樹脂A3.99重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.23重量部を混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで4時間分散し、顔料濃度13%のPG58顔料分散液Aを得た。なお、分散時のベッセル内のビーズ充填率は50%とした。
【0171】
(製造例16 PY138フタルイミドメチル誘導体溶液の調製)
製造例2で調製した黄色顔料アルキルイミド誘導体A0.15重量部とシクロヘキサノン29.85重量部を混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで4時間分散し、2μmのフィルターでろ過することで、顔料誘導体濃度0.5%のPY138フタルイミドメチル誘導体溶液を得た。なお、分散時のベッセル内のビーズ充填率は50%とした。
【0172】
(製造例17 PY138ナフタルイミドメチル誘導体溶液の調製)
製造例16において、黄色顔料アルキルイミド誘導体Aの代わりに製造例3で調製した黄色顔料アルキルイミド誘導体B0.15重量部とした以外は製造例16と同様に、顔料誘導体濃度0.5%のPY138ナフタルイミドメチル誘導体溶液を得た。
【0173】
(製造例18 PY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体溶液の調製)
製造例16において、黄色顔料アルキルイミド誘導体Aの代わりに製造例4で調製した黄色顔料アルキルイミド誘導体C0.15重量部とした以外は製造例16と同様に、顔料誘導体濃度0.5%のPY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体溶液を得た。
【0174】
(製造例19 PR255フタルイミドメチル誘導体溶液の調製)
製造例16において、黄色顔料アルキルイミド誘導体Aの代わりに製造例5で調製した赤色顔料アルキルイミド誘導体A0.15重量部とした以外は製造例16と同様に、顔料誘導体濃度0.5%のPR255フタルイミドメチル誘導体溶液を得た。
【0175】
(製造例20 透明感光性樹脂組成物の調製)
アルカリ可溶性樹脂として製造例1のバインダー樹脂A(固形分44重量%)90.9重量部、モノマー成分として3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成社製):45.0重量部、光重合開始剤として(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)10.0重量部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート99.1重量部を混合し、固形分40重量%の透明感光性樹脂組成物を得た。
【0176】
(
参考例1 カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Aの調製)
製造例8で調製したPY138顔料分散液A5.54重量部、製造例16で調製したPY138フタルイミドメチル誘導体溶液5.83重量部、製造例20で調製した透明感光性樹脂組成物3.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.51重量部、添加剤としてシランカップリング剤(商品名:KBM−503、信越化学工業社製)0.05重量部、フッ素系レベリング剤(商品名:R08MH、DIC社製)0.05重量部、多官能チオール(商品名:カレンズMTPE1、昭和電工社製)0.02重量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Aを得た(顔料組成:PY138/PY138フタルイミドメチル誘導体=95/5)。
【0177】
(
参考例2 カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Bの調製)
参考例1において、PY138フタルイミドメチル誘導体溶液の代わりに製造例17で調製したPY138ナフタルイミドメチル誘導体溶液5.83重量部とした以外は
参考例1と同様にして、カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Bを得た(顔料組成:PY138/PY138ナフタルイミドメチル誘導体=95/5)。
【0178】
(
参考例3 カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Cの調製)
参考例1において、PY138フタルイミドメチル誘導体溶液の代わりに製造例18で調製したPY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体溶液5.83重量部とした以外は
参考例1と同様にして、カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Cを得た(顔料組成:PY138/PY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体=95/5)。
【0179】
(実施例4 カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Dの調製)
参考例1において、PY138顔料分散液Aの代わりに製造例10で調製したPY138顔料分散液C5.54重量部とした以外は
参考例1と同様にして、カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Dを得た(顔料組成:PY138/PY138スルホン酸誘導体/PY138フタルイミドメチル誘導体=90.25/4.75/5)。
【0180】
(比較例1 カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Eの調製)
参考例1において、製造例16で調製したPY138フタルイミドメチル誘導体溶液を用いずに、PY138顔料分散液A5.83重量部、透明感光性樹脂組成物2.94重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.11重量部とした以外は
参考例1と同様にして、カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Eを得た(顔料組成:PY138のみ)。
【0181】
(比較例2 カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Fの調製)
参考例1において、PY138顔料分散液Aの代わりに、製造例9で調製したPY138顔料分散液B5.83重量部を用い、透明感光性樹脂組成物2.94重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.11重量部とした以外は
参考例1と同様にして、カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Fを得た(顔料組成:PY138/PY138フタルイミドメチル誘導体=95/5)。
【0182】
(比較例3 カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Gの調製)
参考例1において、製造例16で調製したPY138フタルイミドメチル誘導体溶液を用いずに、PY138顔料分散液Aの代わりに、製造例10で調製したPY138顔料分散液C5.83重量部を用い、透明感光性樹脂組成物2.94重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.11重量部とした以外は
参考例1と同様にして、カラーフィルタ用黄色感光性樹脂組成物Gを得た(顔料組成:PY138/PY138スルホン酸誘導体=95/5)。
【0183】
(
参考例5 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Aの調製)
製造例11で調製したPR254顔料分散液A5.54重量部、製造例19で調製したPR255フタルイミドメチル誘導体溶液A5.83重量部、製造例20で調製した透明感光性樹脂組成物3.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.51重量部、添加剤としてシランカップリング剤(商品名:KBM−503、信越化学工業社製)0.05重量部、フッ素系レベリング剤(商品名:R08MH、DIC社製)0.05重量部、多官能チオール(商品名:カレンズMTPE1、昭和電工社製)0.02重量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Aを得た(顔料組成:PR254/PR255フタルイミドメチル誘導体=95/5)。
【0184】
(実施例6 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Bの調製)
参考例5において、PR254顔料分散液Aの代わりに、製造例12で調製したPR254顔料分散液B5.83重量部とした以外は
参考例5と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Bを得た(顔料組成:PR254/PY138スルホン酸誘導体/PR255フタルイミドメチル誘導体=90.25/4.75/5)。
【0185】
(比較例4 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Cの調製)
参考例5において、製造例19で調製したPR255フタルイミドメチル誘導体溶液を用いずに、PR254顔料分散液A5.83重量部、透明感光性樹脂組成物2.94重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.11重量部とした以外は
参考例5と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Cを得た(顔料組成:PR254のみ)。
【0186】
(比較例5 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Dの調製)
参考例5において、PR254顔料分散液Aの代わりに、製造例12で調製したPR254顔料分散液B5.83重量部を用い、透明感光性樹脂組成物2.94重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.11重量部とした以外は
参考例5と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Dを得た(顔料組成:PR254/PR255フタルイミドメチル誘導体=95/5)。
【0187】
(比較例6 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Eの調製)
参考例5において、製造例19で調製したPR255フタルイミドメチル誘導体溶液を用いずに、PR254顔料分散液Aの代わりに、製造例13で調製したPR254顔料分散液C5.83重量部を用い、、透明感光性樹脂組成物2.94重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.11重量部とした以外は
参考例5と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Eを得た(顔料組成:PR254/PY138スルホン酸誘導体=95/5)。
【0188】
(
参考例7 カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Aの調製)
製造例15で調製したPG58顔料分散液A3.08重量部、製造例8で調製したPY138顔料分散液A3.11重量部、製造例16で調製したPY138フタルイミドメチル誘導体溶液3.28重量部、製造例20で調製した透明感光性樹脂組成物3.21重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.20重量部、添加剤としてシランカップリング剤(商品名:KBM−503、信越化学工業社製)0.05重量部、フッ素系レベリング剤(商品名:R08MH、DIC社製)0.05重量部、多官能チオール(商品名:カレンズMTPE1、昭和電工社製)0.02重量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Aを得た(顔料組成:PG58/PY138/PY138フタルイミドメチル誘導体=55/42.75/2.25)。
【0189】
(実施例8 カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Bの調製)
参考例7において、PY138顔料分散液Aの代わりに製造例10で調製したPY138顔料分散液C3.11重量部とした以外は
参考例7と同様にして、カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Bを得た(顔料組成:PG58/PY138/PY138スルホン酸誘導体/PY138フタルイミドメチル誘導体=55/40.61/2.14/2.25)。
【0190】
(比較例7 カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Cの調製)
参考例7において、製造例16で調製したPY138フタルイミドメチル誘導体溶液を用いずに、PG58顔料分散液A3.08重量部、PY138顔料分散液A3.28重量部、透明感光性樹脂組成物3.13重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.39重量部とした以外は
参考例7と同様にして、カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Cを得た(顔料組成:PG58/PY138=55/45)。
【0191】
(比較例8 カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Dの調製)
参考例7において、PG58顔料分散液A3.08重量部、PY138顔料分散液Aの代わりに製造例9で調製したPY138顔料分散液B3.28重量部、透明感光性樹脂組成物3.13重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.39重量部とした以外は
参考例7と同様にして、カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Dを得た(顔料組成:PG58/PY138/PY138フタルイミドメチル誘導体=55/42.75/2.25)。
【0192】
(比較例9 カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Eの調製)
参考例7において、PG58顔料分散液A3.81重量部、PY138顔料分散液Aの代わりに製造例14で調製したPY150顔料分散液A2.33重量部、透明感光性樹脂組成物3.16重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.58重量部とした以外は
参考例7と同様にして、カラーフィルタ用緑色感光性樹脂組成物Eを得た(顔料組成:PG58/PY150=68/32)。
【0193】
(評価)
<分散性評価>
各実施例及び比較例で用いた顔料分散液の分散後および安定性試験後(40℃、1週間後)の平均粒径及び粘度の測定を行った。平均粒径の測定には、日機装(株)製「ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150」を用い、粘度測定には、日本シイベルヘグナー(株)社製「MCR301」を用いて、せん断速度が60rpmのときのせん断粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0194】
【表1】
【0195】
<光学性能評価>
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm
2の紫外線を照射し、230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークすることによって硬化膜を得た。硬化後の着色層の膜厚は黄色着色層で色度x=0.418、赤色着色層でx=0.650、緑色着色層でy=0.595になるように調整した。
得られた着色基板のコントラスト、色度(x、y)、輝度(Y)を測定した。コントラストは壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。結果を表2〜表3に示す。
【0196】
<耐熱性>
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にフォトマスクを介し、超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm
2の紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05重量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、パターンの形成された着色基板を得た。
パターンの形成された着色基板を240℃及び260℃のクリーンオーブンでポストベークし、パターン塗膜上に顔料凝集体の析出の有無がないか確認した。
結果を表2〜表3に示す。また、
参考例1及び比較例1、2、並びに、
参考例5及び比較例4、5のパターン塗膜の260℃での耐熱性評価結果の写真を、
図3〜8にそれぞれ示す。
(評価基準)
○:析出無し
×:析出有り
【0197】
【表2】
【0198】
【表3】
【0199】
参考例1〜
3、実施例4及び比較例1〜3の黄色感光性樹脂組成物を比較すると、
参考例1〜
3、実施例4はいずれも高温加熱工程における顔料凝集体の析出を抑制しながら、分散性及び分散安定性を従来より向上して高コントラスト化の要求を達成することができた。それに対し、PY138と組み合わせて、PY138イミドアルキル化誘導体を用いなかった比較例1及び3では、耐熱性が非常に劣る結果となった。また、顔料分散時にPY138イミドアルキル化誘導体を用いた比較例2は、耐熱性は良好であったもののコントラストが劣る結果となった。
【0200】
参考例5
、実施例6及び比較例4〜6の赤色感光性樹脂組成物を比較すると、
参考例5
、実施例6はいずれも高温加熱工程における顔料凝集体の析出を抑制しながら、分散性及び分散安定性を従来より向上して高コントラスト化の要求を達成することができた。それに対し、PR254と組み合わせて、PR255のイミドアルキル化誘導体を用いなかった比較例4及び6では、耐熱性が非常に劣る結果となった。また、顔料分散時にPR255のイミドアルキル化誘導体を用いた比較例5は、耐熱性は良好であったもののコントラストが劣る結果となった。
【0201】
参考例7
、実施例8及び比較例7〜9の緑色感光性樹脂組成物を比較すると、
参考例7
、実施例8はいずれも高温加熱工程における顔料凝集体の析出を抑制しながら、分散性及び分散安定性を従来より向上して高コントラスト化の要求を達成することができた。それに対し、PY138と組み合わせて、PY138のイミドアルキル化誘導体を用いなかった比較例7では、耐熱性が非常に劣る結果となった。また、顔料分散時にPY138のイミドアルキル化誘導体を用いた比較例8は、耐熱性は良好であったもののコントラストが劣る結果となった。更に、PG58と組み合わせる黄色として、PY150を用いた比較例9は、輝度が劣ることが明らかにされた。