特許第5822145号(P5822145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5822145
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】端子金具の接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/04 20060101AFI20151104BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20151104BHJP
【FI】
   H01R13/04 E
   H01R13/11 A
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-224487(P2012-224487)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-78355(P2014-78355A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2014年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西出 悟
(72)【発明者】
【氏名】菊池 孝洋
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−031774(JP,U)
【文献】 特開平08−287984(JP,A)
【文献】 西独国特許第1131768(DE,B)
【文献】 特開2009−277436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/02〜13/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に細長いタブが形成された雄端子金具と、
先端に角筒部が形成された雌端子金具と、
前記角筒部を構成する基板部と、
前記基板部の左右両側縁から略直角に立ち上がることで前記角筒部を構成する一対の側板部と、
前記側板部の立ち上がり端縁から前記基板部と略平行に幅方向へ片持ち状に延出することで前記角筒部を構成する天板部と、
前記角筒部の内部に配されて、前記タブを前記天板部との間で弾性的に挟み付ける弾性接触片と、
前記タブに前記天板部と当接し得るように形成され、前記天板部に対する当接位置が、前記角筒部の幅方向中央位置よりも前記側板部に近い位置となるように配された一対の接点部とを備え
前記タブと前記弾性接触片が、幅方向に関して概ね対称な形態であり、
前記タブにおける前記弾性接触片との接触部が、幅方向中央部のみに配されており、
前記タブの上面は、幅方向中央部と幅方向両側縁部が上方へ突出し、幅方向中央部と幅方向両側縁部の間がそれぞれ凹み、幅方向中央部の高さが幅方向両側縁部よりも低い形態であり、幅方向両側縁部が前記一対の接点部となっており、
前記タブの下面は、幅方向中央部と幅方向両側縁部が下方へ突出し、幅方向中央部と幅方向両側縁部の間がそれぞれ凹み、幅方向両側縁部の高さが幅方向中央部よりも高い形態であり、幅方向中央部が前記接触部となっていることを特徴とする端子金具の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、先端に細長いタブが形成された雄端子金具と、先端に角筒部が形成された雌端子金具とを接続する構造が開示されている。角筒部は、基板部と、基板部の左右両側縁から直角に立ち上がる一対の側板部と、側板部の立ち上がり端縁から基板部と平行に片持ち状に延出する天板部とを備えて構成されている。角筒部の内部には、天板部と対向する弾性接触片が設けられ、天板部には、弾性接触片側へ突出する叩き出し部が形成されている。角筒部内に挿入されたタブは、叩き出し部と弾性接触片との間で弾性的に挟み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−039559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたものでは、弾性接触片の弾力に起因してタブ側から天板部側に押圧力が作用する。この押圧力を受けた天板部には、側板部に繋がる基端縁部を支点として弾性接触片から遠ざかる方向、つまり角筒部を開き変形させる方向のモーメント力が生じる。タブ側からの押圧力は、タブとの接触部である叩き出し部に作用するのであるが、叩き出し部は、天板部の幅方向における中央位置、つまり、開き変形の支点となる位置から比較的離れた位置に配置されている。そのため、押圧力によって天板部に生じる開き方向のモーメント力が、比較的大きい。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、タブ側からの弾性押圧力によって天板部に生じる開き方向のモーメント力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、本発明は、
先端に細長いタブが形成された雄端子金具と、
先端に角筒部が形成された雌端子金具と、
前記角筒部を構成する基板部と、
前記基板部の左右両側縁から略直角に立ち上がることで前記角筒部を構成する一対の側板部と、
前記側板部の立ち上がり端縁から前記基板部と略平行に幅方向へ片持ち状に延出することで前記角筒部を構成する天板部と、
前記角筒部の内部に配されて、前記タブを前記天板部との間で弾性的に挟み付ける弾性接触片と、
前記タブに前記天板部と当接し得るように形成され、前記天板部に対する当接位置が、前記角筒部の幅方向中央位置よりも前記側板部に近い位置となるように配された一対の接点部とを備え
前記タブと前記弾性接触片が、幅方向に関して概ね対称な形態であり、
前記タブにおける前記弾性接触片との接触部が、幅方向中央部のみに配されており、
前記タブの上面は、幅方向中央部と幅方向両側縁部が上方へ突出し、幅方向中央部と幅方向両側縁部の間がそれぞれ凹み、幅方向中央部の高さが幅方向両側縁部よりも低い形態であり、幅方向両側縁部が前記一対の接点部となっており、
前記タブの下面は、幅方向中央部と幅方向両側縁部が下方へ突出し、幅方向中央部と幅方向両側縁部の間がそれぞれ凹み、幅方向両側縁部の高さが幅方向中央部よりも高い形態であり、幅方向中央部が前記接触部となっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0006】
この構成によれば、弾性接触片の弾力に起因してタブ側から天板部側に作用する押圧力の押圧位置は、押圧力を受けた天板部が開き変形しようとするときの支点となる側板部に近い位置である。したがって、タブ側からの弾性押圧力によって天板部に生じる開き方向のモーメント力は、小さく抑えられる。
更に、前記タブと前記弾性接触片が、幅方向に関して概ね対称な形態であり、前記タブにおける前記弾性接触片との接触部が、幅方向中央部のみに配されている。
この構成によれば、幅方向におけるタブと弾性接触片との接触領域が比較的狭いので、タブが幅方向に傾いても、タブと弾性接触片との接触形態が安定した状態に保れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1参考例1において角筒部にタブを挿入した状態をあらわす雌端子金具の正面図
図2】実施例において角筒部にタブを挿入した状態をあらわす雌端子金具の正面図
図3】参考例において角筒部にタブを挿入した状態をあらわす雌端子金具の正面図
図4】参考例において角筒部にタブを挿入した状態をあらわす雌端子金具の正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
参考例1>
以下、本発明を具体化した参考例1を図1を参照して説明する。本参考例1の雄端子金具10の接続構造は、先端に細長いタブ11が形成された雄端子金具10と、先端に角筒部21が形成された雌端子金具20とを接続するためのものである。
【0011】
雄端子金具10は、所定形状に打ち抜いた一定厚さの金属板材(図示省略)に曲げ加工等を施すことにより、全体として前後方向に細長い周知の形状に成形されている。雄端子金具10の前端部には、前方へ片持ち状に細長く突出した形態のタブ11が形成されている。タブ11は、上下方向(タブ11の厚さ方向)の寸法に比べて、幅方向(左右方向)の寸法が大きい扁平な形態である。また、タブ11の長さ方向と直交する断面形状は、幅方向に関して対称である。また、この断面形状は、タブ11の前端部と後端部を除いた大部分の領域(即ち、天板部24及び弾性接触片25と接触可能な領域)において、一定である。
【0012】
タブ11の上面(後述する天板部24との対向面)は、平坦面ではなく、湾曲(屈曲)した形状であり、幅方向において高低差がある。即ち、タブ11の上面は、幅方向中央部が凹んでおり、幅方向における両端部が高くなっている。タブ11の上面のうち幅方向両端部の高い部分は、左右対称な一対の接点部12となっている。タブ11の下面(後述する弾性接触片25との対向面)も、上面と同様、平坦面ではなく、湾曲(屈曲)した形状であり、幅方向において高低差がある。即ち、タブ11の下面は、上面とは逆に、幅方向中央部が下方へ突出しており、幅方向における両端部が幅方向中央部に対して相対的に上方へオフセットしている。つまり、タブ11の厚さは、その左端から右端に至るまで全幅領域に亘って一定の寸法である。タブ11の下面のうち幅方向中央部の突出した部分は、接触部13となっている。
【0013】
雌端子金具20は、所定形状に打ち抜いた一定厚さの金属板材(図示省略)に曲げ加工等を施すことにより、全体として前後方向に細長い周知の形状に成形されている。雌端子金具20の前端部には、前端面の全領域が開放された形態の角筒部21が形成されている。
【0014】
角筒部21は、前後方向に細長い平板状の基板部22と、基板部22の左右両側縁から略直角に立ち上がる左右対称な一対の平板状をなす側板部23と、左右両側板部23の立ち上がり端縁から基板部22と平行をなすように幅方向へ片持ち状に延出した形態の左右対称な一対の天板部24とを備えて構成されている。一方の天板部24と他方の天板部24の延出方向は、互いに逆向きである。各天板部24の幅方向における延出寸法は、角筒部21の幅寸法の約1/2である。そして、両天板部24は、その延出端縁24A同士を互いに突き当てるように配されている。
【0015】
角筒部21の内部には、基板部22の前端縁から折り返し状に延出した形態の弾性接触片25が収容されている。弾性接触片25は、前後方向に細長く延びており、その長さ方向における略中央部分が、タブ11との接触領域26となっている。接触領域26は天板部24の下面(内面)と対向するように位置している。また、左右両側板部23の内面同士の幅方向の間隔は、タブ11の幅寸法よりも少し大きい寸法とされている。
【0016】
角筒部21内に挿入されたタブ11は、挿入の過程で、弾性接触片25を下方へ弾性撓みさせながら、弾性接触片25と天板部24との間に割り込むように進入する。タブ11の挿入が完了した状態では、弾性接触片25の弾性復元力によりタブ11の左右対称な一対の接点部12が、一対の天板部24の下面に対し弾性的に当接する。つまり、一対の天板部24には、夫々、弾性接触片25の弾力に起因するタブ11側からの押圧力が個別に作用する。そして、この押圧力を受けた天板部24には、その側板部23に繋がる基端縁部24Bを支点として弾性接触片25から遠ざかる上方向、つまり角筒部21を開き変形させる方向のモーメント力が生じる。
【0017】
角筒部21の開き変形を防止するため、本参考例1では、天板部24における接点部12の当接位置を、側板部23に近い位置に設定している。つまり、右側の接点部12における天板部24との当接位置は、右側の天板部24の基端縁部24B(右側の側板部23に繋がる縁部)に設定されてする。左側の接点部12における天板部24との当接位置は、左側の天板部24の基端縁部24B(左側の側板部23に繋がる縁部)に設定されている。
【0018】
この設定された当接位置は、角筒部21の幅方向中央位置から遠い位置である。このように、本参考例1では、天板部24に対する接点部12の当接位置(タブ11側から天板部24に作用する弾性押圧位置)を、角筒部21の幅方向中央位置よりも側板部23に近い位置となるように配している。この当接位置(押圧位置)は、押圧力を受けた天板部24が開き変形しようとするときの支点となる側板部23に近い位置(基端縁部24B)である。したがって、タブ11側からの弾性押圧力によって天板部24に生じる開き方向のモーメント力は、小さく抑えられる。
【0019】
また、タブ11と弾性接触片25が、幅方向に関して概ね対称な形態であり、タブ11における弾性接触片25との接触部13が、幅方向中央部のみに配されている。この構成によれば、幅方向におけるタブ11と弾性接触片25との接触領域26が比較的狭いので、タブ11が幅方向に傾いても、タブ11と弾性接触片25との接触形態が安定した状態に保たれる。また、タブ11は、略一定厚さの板材を曲げ加工した形態であるから、タブ11の材料となる板材を薄くすることができる。したがって、本参考例1では、雄端子金具10の材料コストを低減することができる。
【0020】
<実施例
次に、本発明を具体化した実施例図2を参照して説明する。本実施例の端子金具の接続構造は、雄端子金具30のタブ31の断面形状を上記参考例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記参考例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0021】
タブ31は、上下方向(タブ31の厚さ方向)の寸法に比べて、幅方向(左右方向)の寸法が大きい扁平な形態である。また、タブ31の長さ方向と直交する断面形状は、幅方向に関して対称である。また、この断面形状は、タブ31の前端部と後端部を除いた大部分の領域(即ち、天板部24及び弾性接触片25と接触可能な領域)において、一定である。
【0022】
タブ31の上面(天板部24との対向面)は、平坦面ではなく、湾曲(屈曲)した形状であり、幅方向において高低差がある。即ち、タブ31の上面は、幅方向中央部と両側縁部の3箇所が突出した形態であり、これらの間の2箇所が凹んだ形体である。幅方向中央部の高さは、幅方向両側縁部よりも少し低い。タブ31の上面における幅方向両側縁部は、左右対称な一対の接点部32となっている。
【0023】
タブ31の下面(弾性接触片25との対向面)も、上面と同様、平坦面ではなく、湾曲(屈曲)した形状であり、幅方向において高低差がある。即ち、タブ31の下面は、上面とは逆に、幅方向中央部と幅方向両側縁部の3箇所が下方へ突出した形態であり、これらの間の2箇所が凹んだ形態である。幅方向両側縁部の高さは、幅方向中央部よりも高い。タブ31の下面における幅方向中央部は、接触部33となっている。タブ31の厚さは、その左端から右端に至るまで全幅領域に亘って一定ではない。
【0024】
角筒部21内に挿入されたタブ31は、挿入の過程で、弾性接触片25を下方へ弾性撓みさせながら、弾性接触片25と天板部24との間に割り込むように進入する。タブ31の挿入が完了した状態では、弾性接触片25の弾性復元力によりタブ31の左右対称な一対の接点部32が、一対の天板部24の下面に対し弾性的に当接する。つまり、一対の天板部24には、夫々、弾性接触片25の弾力に起因するタブ31側からの押圧力が個別に作用する。そして、この押圧力を受けた天板部24には、その側板部23に繋がる基端縁部24Bを支点として弾性接触片25から遠ざかる上方向、つまり角筒部21を開き変形させる方向のモーメント力が生じる。
【0025】
角筒部21の開き変形を防止するため、本実施例では、天板部24における接点部32の当接位置を、側板部23に近い位置に設定している。つまり、右側の接点部32における天板部24との当接位置は、右側の天板部24の基端縁部24B(右側の側板部23に繋がる縁部)に設定されている。左側の接点部32における天板部24との当接位置は、左側の天板部24の基端縁部24B(左側の側板部23に繋がる縁部)に設定されている。この設定された当接位置は、角筒部21の幅方向中央位置から遠い位置である。
【0026】
このように、本実施例では、天板部24に対する接点部32の当接位置(タブ31側から天板部24に作用する弾性押圧位置)を、角筒部21の幅方向中央位置よりも側板部23に近い位置となるように配している。この当接位置(押圧位置)は、押圧力を受けた天板部24が開き変形しようとするときの支点となる側板部23に近い位置(基端縁部24B)である。したがって、タブ31側からの弾性押圧力によって天板部24に生じる開き方向のモーメント力は、小さく抑えられる。
【0027】
また、タブ31と弾性接触片25が、幅方向に関して概ね対称な形態であり、タブ31における弾性接触片25との接触部33が、幅方向中央部のみに配されている。この構成によれば、幅方向におけるタブ31と弾性接触片25との接触領域が比較的狭いので、タブ31が幅方向に傾いても、タブ31と弾性接触片25との接触形態が安定した状態に保たれる。
【0028】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
)上記実施例において、弾性接触片におけるタブとの接触領域にエンボス状の突部を形成してもよい。
)上記実施例において、一対の天板部を重ね合わせた形態としてもよい。
【0029】
<参考例
次に、本願の参考例の端子金具の接続構造を、図3を参照して具体的に説明する。本参考例の端子金具の接続構造は、先端に細長いタブ41が形成された雄端子金具40と、先端に角筒部51が形成された雌端子金具50とを接続するためのものである。
【0030】
雄端子金具40は、所定形状に打ち抜いた一定厚さの金属板材(図示省略)に曲げ加工等を施すことにより、全体として前後方向に細長い周知の形状に成形されている。雄端子金具40の前端部には、前方へ片持ち状に細長く突出した形態のタブ41が形成されている。タブ41は、上下方向(タブ41の厚さ方向)の寸法に比べて、幅方向(左右方向)の寸法が大きい扁平な形態である。タブ41の長さ方向と直交する断面形状は、幅方向に関して概ね対称であるが、厳密には、幅方向の両端縁部において若干相違している。また、この断面形状は、タブ41の前端部と後端部を除いた大部分の領域(即ち、天板部54及び弾性接触片56と接触可能な領域)において、一定である。
【0031】
タブ41は、一定厚さの板材を長さ方向(前後方向)の折り目42に沿って折り返し状に曲げ加工して成形されている。折り目42は、タブ41の左右両側縁のうち一方の側縁に位置している。タブ41を構成する上板部43と下板部44は、互いに上下に間隔を空けた状態で、折り目42から他方の側縁に向かって片持ち状に延出した形態となっている。したがって、タブ41の内部は、中空となっている。タブ41の見かけ上の厚さ寸法は、その左右両側縁において最小であり、左右方向中央部(後述する上側接触部45及び下側接触部46)において最大である。また、タブ41は前後方向の折り目42に沿って曲げ加工されているので、折り目42と交差する方向における曲げ剛性が高い。
【0032】
上板部43(タブ41)の上面(後述する天板部54との対向面)は、平坦面ではなく、湾曲(屈曲)した形状であり、幅方向において高低差がある。即ち、タブ41の上面は、幅方向中央部で最も高く、幅方向における両端部で最も低くなっている。タブ41の上面のうち幅方向中央部は、前後方向(タブ41の長さ方向と平行な方向)の稜線状に突出した形態の上側接触部45(本発明の構成要件である接触部)となっている。
【0033】
下板部44(タブ41)の下面(後述する弾性接触片56との対向面)も、上板部43と同様、平坦面ではなく、湾曲(屈曲)した形状であり、幅方向において高低差がある。即ち、タブ41の下面は、上面とは逆に、幅方向中央部が下方へ突出しており、幅方向における両端部が幅方向中央部に対して相対的に上方へオフセットしている。タブ41の下面のうち幅方向中央部は、前後方向の稜線状に突出した形態の下側接触部46(本発明の構成要件である接触部)となっている。
【0034】
雌端子金具50は、所定形状に打ち抜いた一定厚さの金属板材(図示省略)に曲げ加工等を施すことにより、全体として前後方向に細長い周知の形状に成形されている。雌端子金具50の前端部には、前端面の全領域が開放された形態の角筒部51が形成されている。
【0035】
角筒部51は、前後方向に細長い平板状の基板部52と、基板部52の左右両側縁から略直角に立ち上がる左右一対の平板状をなす側板部53と、左右両側板部53の立ち上がり端縁から基板部52と平行をなすように幅方向へ片持ち状に延出した形態の左右対称な一対の天板部54とを備えて構成されている。一対の天板部54は上下に重なるように配置されている。下側(角筒部51の内側)に位置する天板部54の下面(内面)は、高さが全幅に亘って一定の受圧面55となっている。
【0036】
角筒部51の内部には、基板部52の前端縁から折り返し状に延出した形態の弾性接触片56が収容されている。弾性接触片56は、前後方向に細長く延びており、その長さ方向(前後方向)における略中央部分が、タブ41に接触するための接触領域57となっている。この接触領域57は、高さが全幅に亘って一定であり、天板部54の受圧面55に対し全幅に亘って一定の間隔を空けて対向している。
【0037】
角筒部51内に挿入されたタブ41は、挿入の過程で、弾性接触片56を下方へ弾性撓みさせながら、弾性接触片56と天板部54との間に割り込むように進入する。タブ41の挿入が完了した状態では、弾性接触片56の弾性復元力によりタブ41の上側接触部45が、天板部54の受圧面55に対して前後方向の略線接触状に当接するとともに、タブ41の下側接触部46が、弾性接触片56の接触領域57に対して前後方向の略線接触状に当接する。タブ41と天板部54との接触形態は略線接触状で狭小であるから、高い接触圧が確保される。タブ41と弾性接触片56との接触形態も略線接触状で狭小であるから、高い接触圧が確保される。また、タブ41が角筒部51に挿入された状態で、タブ41が左右に傾いても、その傾き角度が所定の範囲内であれば、タブ41と天板部54との接触形態が略線接触状に維持されるとともに、タブ41と弾性接触片56との接触形態も略線接触状に維持される。
【0038】
本参考例の端子金具の接続構造は、先端に前後方向に細長く延びるタブ41が形成された雄端子金具40と、先端に角筒部51が形成された雌端子金具50と、角筒部51を構成する平板状の受け板部と、角筒部51の内部に配されて、タブ41を天板部54との間で弾性的に挟み付ける弾性接触片56と、タブ41における天板部54との対向面に形成され、天板部54側に向かって前後方向の稜線状に突出することで、天板部54に対して略線接触状に当接する上側接触部45とを備えている。この構成によれば、タブ41と天板部54との接触部分は、幅方向において狭小であるから、タブ41が傾いても、上側接触部45と天板部54との接触形態は略線接触状を維持するので、接触形態が安定する。
【0039】
同じく本参考例の端子金具の接続構造は、先端に前後方向に細長く延びるタブ41が形成された雄端子金具40と、先端に角筒部51が形成された雌端子金具50と、角筒部51の内部に配されて、タブ41を天板部54との間で弾性的に挟み付ける弾性接触片56と、タブ41における弾性接触片56との対向面に形成され、弾性接触片56側に向かって前後方向の稜線状に突出することで、弾性接触片56に対して略線接触状に当接する下側接触部46を備えていることを特徴とする。この構成によれば、弾性接触片56にエンボス部を形成しなくても、タブ41の稜線状の下側接触部46が、弾性接触片56に対して略先接触状に当接するから、タブ41と弾性接触片56との接触範囲が狭小となり、高い接触圧が確保される。
【0040】
<参考例
次に、本願の参考例図4を参照して説明する。上記参考例のタブ41が、板材を前後方向の折り目42に沿って折り返し、上板部43と下板部44との間(つま、タブ41の内部)を中空としたのに対し、本参考例の雄端子金具60のタブ61は、曲げ加工をせずに成形されている。つまり、タブ61はプレス加工によって成形されており、タブ61の内部は中実である。
【0041】
タブ61は、上下方向(タブ61の厚さ方向)の寸法に比べて、幅方向(左右方向)の寸法が大きい扁平な形態である。タブ61の長さ方向と直交する断面形状は、幅方向に関して対称である。タブ61の厚さ寸法は、その左右両側縁において最小であり、左右方向中央部(後述する上側接触部62及び下側接触部63)において最大である。
【0042】
タブ61の上面(天板部54との対向面)は、平坦面ではなく、湾曲(屈曲)した形状であり、幅方向において高低差がある。即ち、タブ61の上面は、幅方向中央部で最も高く、幅方向における両端部で最も低くなっている。タブ61の上面のうち幅方向中央部は、前後方向(タブ61の長さ方向と平行な方向)の稜線状に突出した形態の上側接触部62(本発明の構成要件である接触部)となっている。
【0043】
タブ61の下面(弾性接触片56との対向面)も、上面と同様、平坦面ではなく、湾曲(屈曲)した形状であり、幅方向において高低差がある。即ち、タブ61の下面は、上面とは逆に、幅方向中央部が下方へ突出しており、幅方向における両端部が幅方向中央部に対して相対的に上方へオフセットしている。タブ61の下面のうち幅方向中央部は、前後方向の稜線状に突出した形態の下側接触部63(本発明の構成要件である接触部)となっている。
その他の構成については上記参考例と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0044】
<参考例2,3に記載された発明の背景技術>
参考例2,3に記載された発明の背景技術を説明する。特開2004−039559号公報には、先端に細長いタブが形成された雄端子金具と、先端に角筒部が形成された雌端子金具とを接続する構造が開示されている。角筒部は、基板部と、基板部の左右両側縁から直角に立ち上がる左右一対の側板部と、側板部の立ち上がり端縁から基板部と平行に片持ち状に延出する天板部とを備えて構成されている。角筒部内に挿入されたタブは、天板部と弾性接触片との間で弾性的に挟み付けられる。
【0045】
参考例2,3に記載された発明の概要を説明する。発明が解決しようとする課題は、次の通りである。タブは、天板部に対し面当たりしている。したがって、タブが、幅方向に沿って勾配を生じるように傾くと、タブの左右両側縁のうち一方の側縁が天板部に対して線接触することになり、タブと天板部との接触形態が不安定となる。そのため、タブが傾いても接触形態の安定状態を維持するための手段が要望される。
【0046】
また、弾性接触片とタブとの接触に関しては、タブにおける弾性接触片との接触面が平面状であるため、接触圧を確保するために、弾性接触片にエンボス部を形成して、弾性接触片とタブを点接触させている。しかし、エンボス部を形成したことによって、角筒部の高さ寸法が大きくなるという問題がある。そのため、弾性接触片にエンボス部を形成せずに、タブと弾性接触片との接触圧を確保するための手段が要望される。
【0047】
上記2つの課題のうち「タブが傾いても接触形態の安定状態を維持する」という課題を解決するため、本参考例2,3に記載した発明は、
先端に前後方向に細長く延びるタブが形成された雄端子金具と、
先端に角筒部が形成された雌端子金具と、
前記角筒部を構成する平板状の受け板部と、
前記角筒部の内部に配されて、前記タブを前記天板部との間で弾性的に挟み付ける弾性接触片と、
前記タブにおける前記天板部との対向面に形成され、前記天板部側に向かって前後方向の稜線状に突出することで、前記天板部に対して略線接触状に当接する接触部とを備えていることを特徴とする。
【0048】
この構成によれば、タブと天板部との接触範囲は、幅方向において狭小であるから、タブが傾いても、接触部と天板部との接触形態は略線接触状を維持するので、接触形態が安定する。
【0049】
また、「弾性接触片にエンボス部を形成せずに、タブと弾性接触片との接触圧を確保する」という課題を解決するため、本参考例2,3に記載した発明は、
先端に前後方向に細長く延びるタブが形成された雄端子金具と、
先端に角筒部が形成された雌端子金具と、
前記角筒部の内部に配されて、前記タブを前記天板部との間で弾性的に挟み付ける弾性接触片と、
前記タブにおける前記弾性接触片との対向面に形成され、前記弾性接触片側に向かって前後方向の稜線状に突出することで、前記弾性接触片に対して略線接触状に当接する接触部とを備えていることを特徴とする。
【0050】
この構成によれば、弾性接触片にエンボス部を形成しなくても、タブの稜線状の接触部が、弾性接触片に対して略線接触状に当接するから、タブと弾性接触片との接触範囲が狭小となり、高い接触圧が確保される。
【0051】
<他の参考例>
(1)上記参考例2,3では、タブを幅方向に関して概ね対称な形態としたが、タブは、幅方向に関して非対称な形態であってもよい。
(2)上記参考例2,3では、弾性接触片を幅方向に関して概ね対称な形態としたが、弾性接触片は、幅方向に関して非対称な形態であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
30…雄端子金具
31…タブ
32…接点部
33…接触部
20…雌端子金具
21…角筒部
22…基板部
23…側板部
24…天板部
25…弾性接触片
図1
図2
図3
図4