(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
調理物を収容する加熱室に、発熱室内の発熱部によって発生した熱気を循環ファンの駆動により供給すると共に加熱室内の空気を循環させてオーブン調理を可能とした加熱調理器であって、
コンロ本体内に、加熱室を有する加熱室ユニットと、加熱室ユニットの下方に設けられ、発熱室を有する発熱室ユニットと、加熱室ユニットの後方に設けられ、循環ファンを有する循環ファンユニットとが設けられ、
加熱室ユニットが前後方向に、発熱室ユニット及び循環ファンユニットが上下方向にコンロ本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする加熱調理器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、組み込み型で加熱室内の上下に加熱部を配置した加熱調理器を備えるガスコンロでは、カウンタートップの下方でのスペース的な制約が厳しい。そして、このような既存の加熱調理器が配置される部分に、既存の製品とほぼ同じ製品寸法の熱風循環式の加熱調理器を組み込んだ場合、部品点数が多くなり、そのため組み付け上、多くの時間を必要とする。
【0006】
また、通常、メンテナンス作業は、キッチンのカウンタートップから製品を取り外さずに行なうことが一般的であり、設置後は、カウンタートップの上方開口部又は前方の開口部からの作業に限定される。
しかしながら、熱風循環式の加熱調理器をキッチンに組み込まれた後にメンテナンス作業をする場合、加熱室の後部に循環ファン、冷却ファン及びモータが設けられ、加熱室の下方にガスバーナが設けられるため、カウンタートップの上方開口部又は前方の開口部からのファン、モータ、ガスバーナなどのメンテナンス作業は容易にできない問題があった。
【0007】
ところで、従来、天板と発熱体とを組み付けた上ケース組立体と、この上ケース組立体の下方に配置されてグリル用の加熱室が組み込まれた下ケース組立体とから構成される加熱調理器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この加熱調理器は、上ケース組立体と下ケース組立体とを分離可能にして、上ケース組立体と下ケース組立体とを重ねた状態でカウンタートップの上部開口から組み付け及び取り外しを行なうようになっている。
【0008】
そして、上ケース組立体と下ケース組立体とをカウンタートップの上部開口から挿入した後、上ケース組立体に対して下ケース組立体を前方に摺動させることにより、下ケース組立体を定位置に配置するようになっている。
【0009】
しかしながら、上ケース組立体と下ケース組立体とを重ねた状態で取り出してメンテナンスの作業を行なうのは容易ではない。しかも、カウンタートップから上ケース組立体と下ケース組立体とを取り出した後に、上ケース組立体と下ケース組立体とを分離し、外部で下ケース組立体を分解して部品を取り外すので、メンテナンス作業時の組み付けミスも多くなり、性能の維持ができない虞がある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、メンテナンスがし易く、メンテナンス後も確実に性能維持できる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明は、調理物を収容する加熱室に、発熱室内の発熱部によって発生した熱気を循環ファンの駆動により供給すると共に加熱室内の空気を循環させてオーブン調理を可能とした加熱調理器であって、
コンロ本体内に、加熱室を有する加熱室ユニットと、加熱室ユニットの下方に設けられ、発熱室を有する発熱室ユニットと、加熱室ユニットの後方に設けられ、循環ファンを有する循環ファンユニットとが設けられ、
加熱室ユニットが前後方向に、発熱室ユニット及び循環ファンユニットが上下方向にコンロ本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の加熱調理器によれば、加熱室、発熱室及び循環ファンを要素毎にユニット化することにより、組み付け性が向上するばかりでなく、メンテナンス作業時の組み付け間違いなどの不具合も防止できる。特に、加熱室の下方に配置される発熱室のメンテナンス作業を行なう場合には、加熱室ユニット及び循環ファンユニットを取り除くだけで、発熱室のメンテナンス作業を行なうことができる。発熱室のメンテナンス作業が終了した場合には、加熱室ユニット及び循環ファンユニットをそのままコンロ本体内に取り付けるだけの簡単な作業で終了できるので、組み付け間違いも起こらない。
【0013】
また、本発明の加熱調理器は、
循環ファンユニットは、さらに、加熱室及び発熱室に連通する熱風循環通路と循環ファンを駆動するモータとを備え、
加熱室ユニットの加熱室は、前後奥側となる後壁の左右に熱風を吹出すための吹出孔を有し、
循環ファンユニットの熱風循環通路は、加熱室の吹出孔に対向し、吹出孔を覆う開口部を有し、
熱風循環通路の開口部と加熱室の後壁とを、熱風循環通路の開口部に沿うシールパッキンを介して接続固定するクランプ機構を設けることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、加熱室ユニットと循環ファンユニットとを接続する際、加熱室の吹出口と熱風循環通路の開口部との接続部における熱気シールを確実に行なうことができる。
しかも、クランプ機構を用いて接続するので、加熱室の吹出口と熱風循環通路の開口部とを簡単に密着させて、熱気の漏れを確実に防止できる。
【0015】
また、本発明の加熱調理器は、
循環ファンユニットは、さらに、加熱室及び発熱室に連通する熱風循環通路と循環ファンを駆動するモータとを備え、
加熱室ユニットの加熱室は、前後奥側となる後壁の左右に熱風を吹出すための吹出孔を有し、
循環ファンユニットの熱風循環通路は、加熱室の吹出孔に対向し、吹出孔を覆う開口部を有し、
熱風循環通路の開口部と加熱室の後壁とを、熱風循環通路の開口部に沿うシールパッキンを介して圧接状態で接続するパッキン押さえ部材を熱風循環通路の開口部に取り付けるようにすることもできる。
【0016】
このような構成によれば、加熱室ユニットと循環ファンユニットとを接続する際、加熱室の吹出口と熱風循環通路の開口部との接続部における熱気シールを確実に行なうことができる。
しかも、パッキン押さえ部材を用いて接続するので、加熱室の吹出口と熱風循環通路の開口部とを簡単に密着させて、熱気の漏れを確実に防止できる。
【0017】
また、本発明の加熱調理器は、循環ファンユニットは、さらに、加熱室及び発熱室に連通する熱風循環通路と循環ファンを駆動するモータとを備え、循環ファンユニットは、熱風循環通路の開口部と加熱室の吹出口との接続部、循環通路及び循環ファンを覆うシールカバーを備えることが好ましい。
このように構成することで、シールパッキンの経年劣化などによって加熱室と熱風循環通路の接続部から万一熱気漏れが発生したとしても、シールカバーによって接続部周辺が覆われるので、熱気がコンロ本体の内部全体に広がることを防止できる。
【0018】
さらに、本発明の加熱調理器における加熱室ユニットは、加熱室の前方開口部を開閉する扉が着脱可能に取り付けられる開閉機構を備え、開閉機構は、加熱室の前方開口部の下部を支点として扉の上部を前後に揺動させて開閉するヒンジ部材を備える構成とすることが好ましい。
【0019】
このように加熱室ユニットが開閉機構も備える構成とすることで、加熱室ユニットをコンロ本体から引き出したとき、開閉機構も一緒に引き出されるので、開閉機構により加熱室と扉との相関が保たれることになり、加熱室ユニットを再度コンロ本体の内部に収納して、扉を開閉機構を介して加熱室に取り付ける際、加熱室と扉とのシール性を維持できる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の加熱調理器によれば、加熱室、発熱室及び循環ファンを要素毎にユニット化するので、組み付け性が向上するばかりでなく、メンテナンス作業時の組み付け間違いなどの不具合も防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る加熱調理器の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の加熱調理器の実施形態として、熱風循環式の加熱調理器であるグリル・オーブン装置2を備えたガスコンロ1の概略断面斜視図を示し、
図2は、ガスコンロ1の全体斜視図を示す。
【0023】
ガスコンロ1は、システムキッチンのカウンタートップ10の開口に、コンロ本体11が落とし込み状態で組み込まれるビルトイン式のものである。
ガスコンロ1は、
図2に示すように、3つのコンロバーナ12とグリル・オーブン装置2を備え、グリル・オーブン装置2がコンロ本体11に組み込まれている。
【0024】
ガスコンロ1は、コンロ本体11の上方開放部を覆うように矩形状の天板13が配設され、天板13の上面に、コンロバーナ12が露出されると共に、鍋やフライパン等の調理器具を支持する五徳14が各コンロバーナ12の周囲に載置されている。
【0025】
コンロ本体11は、上方が開放した矩形箱状に形成されており、コンロ本体11の正面には、グリル・オーブン装置2の扉31が設けられると共に、各コンロバーナ12及びグリル・オーブン装置2内のガスバーナ56の点消火及び火力調節、各モード設定などを行なうための操作パネル15が設けられている。
【0026】
このガスコンロ1に組み込まれるグリル・オーブン装置2は、
図1及び
図3に示すように、カウンタートップ10の下方に位置し、調理物を収容させる加熱室3を有する加熱室ユニット30と、加熱室ユニット30の下方に設けられ、発熱室5を有する発熱室ユニット50と、加熱室ユニット30の後方に設けられ、循環ファン72を有する循環ファンユニット70とを備えている。
加熱室ユニット30、発熱室ユニット50、そして、循環ファンユニット70は、後述するように、それぞれユニット単位でコンロ本体11から着脱できるようになっている。
【0027】
なお、本明細書では、加熱室3に取り付ける扉31側と奥側とが対向する方向を前後方向、加熱室3の幅方向を左右方向、加熱室3の高さ方向を上下方向とする。
【0028】
加熱室3は、
図2に示すように、コンロ本体11の左寄りで横長に設けられており、前面の扉31を開閉することにより、加熱室3内に調理物を出し入れできるようになっている。加熱室3には、
図1に示すようにオーブン調理用のオーブン皿32や図示していないがグリル調理用のグリル皿が配置できるようになっている。
【0029】
加熱室3は、
図1及び
図3に示すように、天井部を構成する上壁33と、下方の発熱室5とは個別に形成される加熱室3の底面となる下壁34と、左右の側壁35と、後方(奥側)の後壁36とを有する。
【0030】
なお、本実施形態では、加熱室3は、上壁33及び左右の側壁35の上部を構成する上部カバーと、下壁34及び左右の側壁35の下部を構成する下部カバーとを組み合わせて上壁33、下壁34及び側壁35を構成している。
【0031】
上部カバーと下部カバーとを組み合わせて筒状にした後、前方の開口部に、隙間が形成されないように矩形状の枠体37を溶接により固定し、後部に皿状の後壁36を溶接により固定する。後壁36は、後方に向かって断面積が小さくなる枠部を備え、この枠部を筒状に形成された上壁33、下壁34及び側壁35に嵌め合わせて溶接する。
【0032】
加熱室3には、
図3に示すように、扉31を開閉する開閉機構4が取り付けられている。この開閉機構4は、枠体37の下部に対向して配置されるヒンジ部材41と、ヒンジ部材41を後方に向けて付勢する付勢手段42とを備える。付勢手段42は、加熱室3の両側の側壁35の前方下部に設けられており、アーム42aと、アーム42aを前後に摺動可能に支持するローラ部材42bと、アーム42aの後方端部に取り付けられるコイルスプリング42cとを備えている。アーム42aの前方端部がヒンジ部材41の上部に揺動可能に接続されている。ヒンジ部材41の下端部は、側壁35に固定される支持部材43に揺動可能に支持されている。アーム42aの後方端部は、ダンパ44により衝撃を吸収するようになっている。
【0033】
そして、ヒンジ部材41に扉31を取り付けることにより、加熱室3の前方開口部が枠体37を介して扉31によって開放可能に閉塞される。扉31は、ヒンジ部材41を介して下部を支点として、上部を前後に揺動させることにより開閉される。即ち、扉31を前方(手前)に回動して開けると、加熱室3内にオーブン皿32またはグリル皿を出し入れでき、調理物が載置されたオーブン皿32またはグリル皿を加熱室3内に配置した後、扉31を締めることによって調理物が加熱室3内に収容された状態となる。
【0034】
また、
図1及び
図3に示すように、加熱室3の上壁33の後方には、上壁33の上方に形成される排気通路61を介して排気口62に連通する多数の排気孔33aが形成されている。排気通路61及び加熱室の上壁33を覆うように上部遮熱板63が設けられている。
【0035】
さらに、
図1及び
図4に示すように、加熱室3の後壁36の左右両側には、熱風を加熱室3内に送り込むための多数の吹出孔36aが形成されている。後壁36の中央には、加熱室3内の熱風を取り込むための多数の吸込孔36bが形成されている。
【0036】
本実施形態では、
図3に示すように、加熱室3を構成する上壁33、下壁34、左右の側壁35及び後壁36と、枠体37と、開閉機構4と、その他、側壁35に取り付けられる電子部品や支持部材により加熱室ユニット30を構成している。加熱室ユニット30は、コンロ本体11に対して、前後方向に取り付け及び取り外しができるようになっている。
【0037】
発熱室ユニット50の発熱室5は、
図1及び
図3に示すように、加熱室3の下壁34の真下に形成される天井壁51、天井壁51の下方に対向配置される底面52、左右の側面53、後面54、そして、後面54の手前に設けられて加熱室3の後壁36の後方に形成する循環ファンユニット70の熱風通路71に連続する後方傾斜面55を備える。発熱室5内の後方には、ガス供給管(図示せず)を介してガスが供給されるガスバーナ56、点火電極57、そして、熱電対59が配設されている。発熱室5は、天井壁51、底面52、側面53及び後面54により、前方が開放される扁平な箱状に形成されている。
【0038】
発熱室5の前方開放部は、加熱室ユニット30の枠体37で覆われるようになっている。枠体37の下端部には、多数の長孔が形成されて、この長孔を介して発熱室5が外部と連通し、燃焼用空気(二次空気)が発熱室5内に取り込まれるように構成されている。発熱室5の天井壁51の後部には、
図3に示すように、熱風通路71に連通する連通穴58が形成されている。
【0039】
発熱室ユニット50は、
図3に示すように、発熱室5を構成する天井壁51、底面52、側面53、後面54及び後方傾斜面55と、ガスバーナ56と、点火電極57と、熱電対59とにより構成される。発熱室ユニット50は、コンロ本体11に対して上下方向に出し入れ可能になっている。天井壁51と側面53は連続して形成されており、底面52から取り外し可能となっている。
【0040】
図1及び
図3に示すように、加熱室ユニット30の後方には、循環ファンユニット70が配置される。この循環ファンユニット70は、熱風通路71と、循環ファン72と、循環ファン72が配置される熱風循環通路73と、循環ファン72を駆動するモータ74と、モータ74を冷却する冷却ファン75と、冷却ファン75を収納するファンケース76と、モータ74を収納するモータケース77と、冷却通路78と、熱風通路71及び熱風循環通路73を覆う底ケース79a及び後ケース79bとにより構成される。循環ファンユニット70も、コンロ本体11に対して上下方向に出し入れ可能になっている。
【0041】
熱風通路71は、発熱室5の連通穴58を介して発熱室5と連通するのであって、発熱室5で発生させた燃焼排ガスの熱気を熱風として熱風循環通路73を介して加熱室3に送るための通路である。熱風通路71は、前方側に加熱室3の後壁36に形成する吸込孔36bに連通する前部開口部71aを有し、後方に循環ファン72と対向し、熱風循環通路73に連通する後部開口部71bを有し、下方が発熱室5の連通穴58に連通する長孔からなる下部開口部71cを有する正面視台形状のケースにより構成されている。
【0042】
底ケース79aと後ケース79bは、熱風通路71及び熱風循環通路73を覆うシールカバー9の構成部材である。底ケース79aは、熱風通路71及び熱風循環通路73の下方を覆い、後ケース79bは、循環ファン72と冷却ファン75との間に配置される。底ケース79aと後ケース79bには、
図11に示すように、上ケース79cが接続され、底ケース79a、後ケース79b及び上ケース79cによりシールカバー79を構成する。
【0043】
なお、加熱室3の後壁36の中央部には、
図4のユニット分解図に示すように、吸込孔36bを囲むリング状口部38aを有する板状の吸込用接続口38が固定されている。この吸込用接続口38は、リング状口部38aが熱風通路71の前部開口部71aに嵌り込むように後壁36に溶接により固定されている。リング状口部38aは、熱風通路71の前部開口部71aに嵌め易くするために、循環ファン72に向けて小径になる傾斜面に形成されている。
【0044】
さらに、加熱室3の後壁36には、
図4に示すように、加熱室3の吹出孔36aを囲むように左右2つの固定枠91が溶接により固定されている。これら固定枠91は、後記するクランプ部材92と共に、クランプ機構9を構成する。
【0045】
熱風通路71の後方に形成される熱風循環通路73は、
図3に示すように、熱風通路71を水平方向に囲むようにU字状に形成されている。熱風循環通路73は、熱風通路71と連通する中央部に循環ファン72が配置される共に、熱風通路71の後部開口部71bと対向して吸込側開口部73aが形成されている。そして、熱風循環通路73のU字両端の矩形開口部73bを加熱室3の吹出孔36aに対向させて加熱室3に連通させている。
【0046】
矩形開口部73bには、
図5に示すように、加熱室3の吹出孔36aへ接続する際のシール性を確保するために、加熱室3の後壁36に固定した固定枠91に接触させる矩形のシールパッキン81が取り付けられる。シールパッキン81は、セラミックペーパー製で、パッキン取り付け部材82を介して矩形開口部73bに取り付けられる。パッキン取り付け部材82は、シールパッキン81が嵌め込まれるパッキン嵌合部82aと、矩形開口部73bに挿入される挿入部82bとを有する。パッキン取り付け部材82は、矩形開口部73bに挿入された挿入部82bと熱風循環通路73とをスポット溶接することにより熱風循環通路73に固定される。
【0047】
そして、
図6及び
図7に示すように、シールパッキン81が取り付けられた熱風循環通路73の矩形開口部73bに、加熱室3の後壁36に固定した固定枠91を接触させて、加熱室ユニット30と循環ファンユニット70とを接続する際に、固定枠91にクランプ部材92を取り付けるようになっている。
【0048】
固定枠91は、
図8に詳記するように、加熱室3の後壁36に当接する矩形の枠部91aと、枠部91aの上辺に延設される上部係合部91bと、枠部91aの両側の側辺に形成されるパッキン規制部91cと、枠部91aの下辺に形成される下部係合片91dとを有する。
【0049】
上部係合部91bは、枠部91aの上辺に熱風循環通路73側に向かって延設されている。パッキン規制部91cは、枠部91aの両側の側辺に熱風循環通路73側に向かって突設され、シールパッキン81及びパッキン取り付け部材82に対する幅方向の移動が規制される。下部係合片91dは、枠部91aの下辺の両端部に熱風循環通路73側に向かって鉤状に突設されている。
【0050】
クランプ部材92は、
図9に詳記するように、上辺部92aと側辺部92bを有する正面視逆U字状に形成されている。上辺部92aに固定枠91の上部係合部91bに嵌め合わされる鉤状の取り付け部92cが延設されている。側辺部92bの下端に固定枠91の下端部に形成した下部係合片91dに係止させる屈曲部92dが形成されている。屈曲部92dは、固定枠91に向けて下端が傾斜するように形成されている。
【0051】
そして、加熱室ユニット30を循環ファンユニット70に接続する際には、まず、加熱室3の後壁36に固定した吸込用接続口38のリング状口部38aを熱風通路71の前部開口部71aに嵌め合わせながら、加熱室3の後壁36に固定した固定枠91をシールパッキン81に接触させる。
【0052】
そして、固定枠91をシールパッキン81に接触させた状態で、クランプ部材92を上方から熱風循環通路73へ差し込み、クランプ部材92の2本の側辺部92bで熱風循環通路73を挟みながら、固定枠91の下端に形成した下部係合片91dにクランプ部材92の屈曲部92dを係止させ、上部の取り付け部92cを固定枠91の上部係合部91bに嵌め合わす。
【0053】
固定枠91の下部係合片91dへの屈曲部92dの係止と、固定枠91の上部係合部91bへの取り付け部92cの嵌め合わせとにより、クランプ部材92の側辺部92bがパッキン取り付け部材82に接触し、シールパッキン81がパッキン取り付け部材82と共にクランプ部材92と固定枠91とによって押圧状態で挟まれて、シールパッキン81が圧縮して固定枠に圧接した状態になる。その結果、シールパッキン81により加熱室3の後壁36と熱風循環通路73の矩形開口部73bとの間が確実にシールされる。
【0054】
循環ファン72は、後方に位置するモータ74の回転軸の先端に固定されており、循環ファン72を回転駆動させると、加熱室3の後壁36に形成された吸込孔36bを介して吸い込まれる加熱室3内の熱風及び下方の発熱室5で発生させた熱気による熱風が、熱風通路71を通って熱風循環通路73内に吸い込まれ、後壁36の左右両側に形成された吹出孔36aから加熱室3内に送り出される。
【0055】
また、循環ファン72とモータ74との間には、モータ74の回転軸の軸方向中間部に固定された冷却ファン75が配設されている。冷却ファン75は、熱風循環通路73及び排気通路61と区画したファンケース76内に収納されている。ファンケース76は、モータケース77の上方に形成した冷却通路78に連通させている。冷却通路78の下流端部は、排気口62に対向させている。
【0056】
モータ74が収納されるモータケース77は、
図1及び
図4に示すように、後部に外部空気をモータケース77内に取り込むための空気取込口77aが形成されている。冷却ファン75の回転駆動により、外部空気が空気取込口77aからモータケース77内に取り込まれてモータ74が冷却された後、ファンケース76内に吸引されて冷却通路78から強制的に外部に排出されるようになっている。
【0057】
本実施形態に係るグリル・オーブン装置2は、発熱室5で発生させた燃焼排ガスの熱気を、循環ファン72の駆動により熱風として熱風通路71に送り込み、循環ファン72が配設される熱風循環通路73を通過して、後壁36の左右両側に形成された吹出孔36aから加熱室3内に熱風が吹き出されるようになっている。
【0058】
また、循環ファン72の駆動により、加熱室3の後壁36に設けられた吸込孔36bから加熱室3内の熱気が熱風通路71を介して熱風循環通路73内に吸引される。このとき、発熱室5から熱風通路71を介して熱気が熱風循環通路73内に吸引されるので、加熱室3内から吸引された熱気は発熱室5からの熱気で再加熱されて、循環ファン72の左右に設けられた後壁36の吹出孔36aから加熱室3内に噴出されて、熱気が循環される。
【0059】
このように、グリル・オーブン装置2は、加熱調理時には、循環ファン72によって発熱室5から熱風循環通路73内に吸込まれる熱気と、加熱室3内の熱気とが混合されて、再度加熱室3内に排出される熱気の循環が行なわれる。熱気の循環を行なうことにより、加熱室3内の温度を急速に上昇させると共に、加熱室3内の温度を効率よく均一化することができ、加熱室3内に収容させた魚や肉等の調理物をグリル調理又はオーブン調理することができる。
【0060】
また、発熱室5で発生した熱気が加熱室3内に供給され続けると、熱気によって加熱室3内の圧力が上昇し、加熱室3内を循環する熱気の一部が、上壁33の排気孔33aを介して排気通路61から外部に排出される。
【0061】
さらに、循環ファンユニット70は、極まれに、シールパッキン81をパッキン取り付け部材82へ取り付ける際に位置ズレが生じたり、パッキン取り付け部材82を熱風循環通路73の矩形開口部73bへの取り付ける際に位置ズレが生じたり、または、シールパッキン81の経年劣化が生じたりすると、熱風循環通路73の矩形開口部73bと加熱室3の吹出孔36aを囲む固定枠91との接続部から熱気漏れが生じる可能性がある。
【0062】
そこで、万一熱気漏れが生じても、コンロ本体11内に熱気が拡散しないようにするため、
図3、
図4及び
図11に示すように、底ケース79a、後ケース79b及び上ケース79cから構成されるシールカバー79で熱風通路71及び熱風循環通路73を覆っている。
【0063】
シールカバー79は、底ケース79a、後ケース79b及び上ケース79cによって、後方が閉じられ、前方が開放された箱状に形成され、前方の開放部を加熱室3の外面に嵌め合わすように構成されている。
【0064】
底ケース79aは、
図3及び
図4に示すように、熱風通路71及び熱風循環通路73の下方を覆う正面視U字状をしている。上端部には、外方に向けて延び、上ケース79cと接続するための取り付け用フランジが形成されている。U字の後縁部には、内方に向けて延び、後ケース79bと接続するための取り付け用フランジが形成されている。
【0065】
上ケース79cは正面視逆U字状をしている。底ケース79aと上ケース79cとの端部を突き合せることにより筒状に形成される。
図11に示すように、上ケース79cの底ケース79aと付き合わされる端部には、底ケース79aに形成した取り付け用フランジと重ね合わされる取り付け用フランジが形成されている。上下の取り付け用フランジを重ね合わせてネジ締めすることにより、上ケース79cが底ケース79aに接続される。
【0066】
また、後ケース79bは、循環ファン72と冷却ファン75との間に配置され、底ケース79aと上ケース79cとにより形成される後部開口に沿う形状に形成されている。後ケース79bは、左右縁部における上半分と上縁部とに後方に突出する取り付け用フランジが連続して形成されている。この取り付け用フランジと上ケース79cの後端部を重ね合わせてネジ締めすることにより、上ケース79cと後ケース79bとが接続される。
【0067】
本実施形態では、底ケース79aの後端部に形成した取り付け用フランジと後ケース79bとを溶接により固定しておいて、
図11に示すように、循環ファンユニット70がコンロ本体11内に取り付けられた状態で、上ケース79cを底ケース79aと後ケース79bとに接続してシールカバー79が構成されるようになっている。
【0068】
なお、
図4に示すように、加熱室3の側壁35の後部外面に、底ケース79aの前端部が嵌め合わされる嵌め込み部39が形成されている。嵌め込み部39に底ケース79aの前端部が嵌め合わされることによって、加熱室ユニット30を循環ファンユニット70に確実に連結できるようになっている。
【0069】
本実施形態に係るグリル・オーブン装置2は、メンテナンス作業時における作業性を向上するため、コンロ本体11内に収納される加熱室3、発熱室5そして循環ファン72を、それぞれ加熱室ユニット30と、発熱室ユニット50と、循環ファンユニット70とに個別にユニット化し、ユニット毎にコンロ本体11に対して取り付け及び取外しができるようになっている。
【0070】
次に、グリル・オーブン装置2の各ユニットの取外し作業手順について
図10〜
図15に基づいて説明する。
まず、
図1及び
図2に示す五徳14を取外し、天板13を取り外した後、コンロバーナ12及びコンロバーナ12の支持部材(図示せず)を取り外す。この状態では、
図10に示すように、コンロ本体11内は、グリル・オーブン装置2の上部を覆う上部遮熱板63が露出された状態となる。
【0071】
そして、
図11に示すように、コンロ本体11の上方からグリル・オーブン装置2の上部遮熱板63を取り外すと、排気通路61、循環ファンユニット70そして加熱室ユニット30が現れる。循環ファンユニット70は、シールカバー79で覆われ、シールカバー79の上ケース79cが露出した状態となっている。
【0072】
次に、コンロ本体11の上方から排気通路61を取外し、さらにシールカバー79の上ケース79cを底ケース79a及び後ケース79bから取り外すと、
図12に示すように、循環ファンユニット70は、熱風通路71と熱風循環通路73が露出した状態となる。このように、排気通路61と上ケース79cをコンロ本体11の上方から取り外すことで、加熱室ユニット30を手前に引き出してコンロ本体11から取り外す作業を行い易くしている。
【0073】
次に、扉31を加熱室3から取り外すと共に、コンロ本体11から操作パネル15を取り外し、加熱室3の後壁36と熱風循環通路73の矩形開口部73bとを接続したクランプ部材92をコンロ本体11の上方から取り外す。
【0074】
そして、
図13に示すように、加熱室ユニット30における枠体37の上部二箇所においてコンロ本体11に固定された2本のネジと、枠体37の下部二箇所において発熱室5の側面53に形成したフランジ(
図3に示す)に固定された2本のネジとを取り外した後、加熱室ユニット30を手前に引き出してコンロ本体11から取り外す。
【0075】
加熱室ユニット30は、扉31を加熱室3に開閉可能に接続するための開閉機構4が固定されたままコンロ本体11から前方に取り出される。その結果、加熱室ユニット30を引き出したとき、開閉機構4も一緒に引き出されるので、枠体37と扉31との相関が保たれ、加熱室ユニット30を再度コンロ本体11の内部に収納して、扉31を加熱室3に取り付ける際、加熱室3と扉31とのシール性が維持できる。
【0076】
加熱室ユニット30をコンロ本体11から前方に引き出すと、
図14に示すように、コンロ本体11の内部には、発熱室ユニット50と循環ファンユニット70とが残る。発熱室ユニット50の上部後方に循環ファンユニット70が固定された状態になっている。
【0077】
次に、発熱室ユニット50に固定されている循環ファンユニット70をコンロ本体11の上方から取り外すと、
図15に示すように、コンロ本体11の内部には、発熱室ユニット50だけが残る。循環ファンユニット70を取り出した後に、循環ファンユニット70からモータ74、循環ファン72及び冷却ファン75を取り外して、各部品のメンテナンス作業を行なう。
【0078】
循環ファンユニット70を取り出すことにより、モータ74、循環ファン72及び冷却ファン75を一度に取り出せるので、循環ファンユニット70の後方から、固定ネジを取り外すことができ、メンテナンス作業が行い易くなる。
【0079】
循環ファンユニット70の各部品のメンテナンス作業が終わると、循環ファンユニット70にモータ74、循環ファン72及び冷却ファン75を組み付けて循環ファンユニット70を完全に組み立てる。
【0080】
次に、図示していないが、発熱室ユニット50の天井壁51及び側面53をコンロ本体11の上方から取り外し、ガスバーナ56・点火電極57・熱電対59などの部品を取り外して、発熱室ユニット50に組み込まれている部品のメンテナンス作業を行なう。
発熱室ユニット50は、連続して形成される天井壁51及び側面53を取り外す構成にしているので、各部品が上方からの作業でメンテナンスができる。
【0081】
そして、ユニットごとのメンテナンス作業が終わると、まず、発熱室ユニット50は、各部品を組み付けた後に天井壁51及び側面53が取り付けられて、コンロ本体11内への取り付けが終了する。
【0082】
次に、メンテナンスが終了し各部品が組み付けられた循環ファンユニット70をコンロ本体11内に収納した後、加熱室ユニット30をコンロ本体11内に組み付ける。そして、加熱室3に扉31を取り付け、コンロ本体11に操作パネル15を組み付けた後、循環ファンユニット70に上ケース79cを取り付け、排気通路61を取り付け、上部遮熱板63を取ける。
コンロバーナ12及びコンロバーナ12の支持部材を取りつけた後、天板13を取り付け、五徳14を天板13上に配置してメンテナンス作業が完全に完了する。
【0083】
以上のように、本実施形態に係るグリル・オーブン装置2によれば、加熱室3、発熱室5、循環ファン72などの各要素をユニット化しているので、コンロ本体11内への組み付け性が向上するばかりでなく、メンテナンス作業時の組み付け間違いなどの不具合も防止できる。
【0084】
また、ガスコンロの生産段階において、ユニットごとにサブラインでの組立や要求性能の確認ができるので、メインラインでの組立工数を削減でき、生産性を向上できる。
【0085】
また、本実施形態に係るグリル・オーブン装置2は、加熱室3の後壁36と熱風循環通路73の矩形開口部73bとをシールパッキン81を介して接続するので、熱気の漏れを確実に防止できる。特に、加熱室3と矩形開口部73bとの接続部の固定にクランプ機構9を用いているので、簡単、かつ、確実にシールパッキン81を加熱室3に固定枠91を介して密着させることができるので、熱気の漏れを確実に防止できる。
【0086】
さらに、本実施形態に係るグリル・オーブン装置2は、循環ファンユニット70に、熱風循環通路73と熱風通路71とを覆うシールカバー79を取り付けているので、前述したように、シールパッキン81の経年劣化などにより、加熱室3と熱風循環通路73の接続部から万一熱気漏れが発生しても、シールカバー79により熱気がコンロ本体11の内部全体に広がることを防止できる。
【0087】
なお、上記実施形態では、加熱室3と熱風循環通路73との接続部にクランプ機構9を用いたが、矩形開口部73bに、
図16に示すパッキン押さえ部材93を取り付けるようにすることもできる。
パッキン押さえ部材93には、矩形のシールパッキン81が取り付けられ、上記実施形態のように固定枠を設けず、加熱室3の後壁36に直接シールパッキン81を接触させる。シールパッキン81は、パッキン押さえ部材93を介して矩形開口部73bに取り付けられた状態になる。
【0088】
パッキン押さえ部材93は、シールパッキン81が嵌め込まれる矩形枠状のパッキン嵌合部93aと、パッキン嵌合部93aの裏面側における長辺部と短辺部とに形成され、矩形開口部73bの外側に嵌め合わされる嵌合部93bと、線状部材を曲げ加工して嵌合部93bにおける長辺部に形成した部分の長手方向中間部に端部を固定し、後方に向けて湾曲部が突出するように形成されるジョイントバネ93cとを有する。
【0089】
ジョイントバネ93cは、線状部材の中央部を湾曲させて後方先端部に円形部を形成し、前方に向けて徐々に広がるように形成して、幅広先端部を嵌合部93bの外面に固定している。
なお、図示していないが、熱風循環通路73の矩形開口部73b近くの側壁外周面には、パッキン押さえ部材93のジョイントバネ93cが差し込まれるバネ差し込み穴が形成されている。
【0090】
パッキン押さえ部材93のジョイントバネ93cを、矩形開口部73b近くに設けたバネ差し込み穴に弾性変形させて差し込むことにより、ジョイントバネ93cによってパッキン押さえ部材93は、加熱室3側に付勢されるようになっている。
【0091】
加熱室ユニット30を循環ファンユニット70に接続すると、パッキン押さえ部材93に取り付けられたシールパッキン81が加熱室3の後壁36に圧接して密着し、加熱室3の後壁36と矩形開口部73bとの間のシールを確実に行なって熱気の漏れを確実に防止できる。
【0092】
なお、上記実施形態では加熱室として、ガスバーナを燃焼させて発生させた熱気を循環させるコンベクションタイプの加熱調理器について説明したが、熱気を循環させる機能と共に、加熱室の上壁に別途電気ヒータ又はガスバーナを配置して、調理物を直接加熱するグリル部を備えるコンベクションタイプの加熱調理器にも本発明を適用できる。
また、上記実施形態では、発熱部としてガスバーナを用いたが電気ヒータを用いることもできる。