特許第5822948号(P5822948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5822948
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月25日
(54)【発明の名称】異主体間連携による資源融通方式
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20151105BHJP
【FI】
   G06Q50/06
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-547967(P2013-547967)
(86)(22)【出願日】2011年12月9日
(86)【国際出願番号】JP2011006877
(87)【国際公開番号】WO2013084268
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2014年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】飯島 光一朗
(72)【発明者】
【氏名】野口 孝史
(72)【発明者】
【氏名】福本 恭
(72)【発明者】
【氏名】平澤 茂樹
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/152021(WO,A1)
【文献】 特開2009−104288(JP,A)
【文献】 特開2003−032887(JP,A)
【文献】 特開2005−045887(JP,A)
【文献】 特開2009−124885(JP,A)
【文献】 特開2007−034823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の事業主体間で資源を融通する資源融通方法であって、
他の事業主体が資源を利用するタイミング及び量を予想した情報である行動モデル情報を格納したデータベースを備え、
資源が不足することを検知する検知ステップと、
前記検知した資源不足を回避するための期限を算出する期限算出ステップと、
検知の結果、資源が不足する場合に前記データベースから前記行動モデル情報を取得する取得ステップと、
前記取得した前記行動モデル情報に基いて、前記検知した資源不足を解消するための資源融通を行なう事業主体を特定する特定ステップと、
前記特定された事業主体にて資源融通を実行するステップと、
を備え
前記行動モデル情報には、依頼に対する受諾確率と、前記受諾確率の予測精度である確信度を含み、
前記特定ステップでは、前記受諾確率、前記確信度、及び前記算出された期限と現在時刻に基づいて、前記資源融通を行なう事業主体を特定する
ことを特徴とする資源融通方法。
【請求項2】
請求項に記載の資源融通方法において、
記特定ステップは、前記期限までの時間が所定の長さよりも長い場合は、前記確信度が低い事業主体を融通相手として特定する
ことを特徴とする資源融通方法。
【請求項3】
請求項またはに記載の資源融通方法において、
前記期限算出ステップは、資源不足が発生する時刻と、前記他の事業主体へ資源の融通を依頼した際の応答時間と、に基いて算出する
ことを特徴とする資源融通方法。
【請求項4】
請求項に記載の資源融通方法において、
前記資源は、電力量もしくは、交通機関における輸送量である
ことを特徴とする資源融通方法。
【請求項5】
複数の事業主体に設置され、当該事業主体間での資源融通を管理する資源融通サーバであって、
他の事業主体が資源を利用するタイミング及び量を予想した情報である行動モデル情報を格納したデータベースと、
資源が不足することを検知する検知装置と、
検知の結果、資源が不足する場合に前記データベースから前記行動モデル情報を取得し、当該取得した前記行動モデル情報に基いて、前記検知した資源不足を解消するための資源融通を行なう事業主体を特定し、当該特定された事業主体の資源融通サーバに、資源融通依頼情報を送信する連携管理装置と、
を備え
前記行動モデル情報には、依頼に対する受諾確率と、前記受諾確率の予測精度である確信度を含み、
前記連携管理装置は、検知した資源不足を回避するための期限を算出し、前記受諾確率、前記確信度、及び前記算出された期限と現在時刻に基づいて、前記資源融通を行なう事業主体を特定する
ことを特徴とする資源融通サーバ。
【請求項6】
請求項に記載の資源融通サーバにおいて、
記連携管理装置は、前記期限までの時間が所定の長さよりも長い場合は、前記確信度が低い事業主体を融通相手として特定する
ことを特徴とする資源融通サーバ。
【請求項7】
請求項またはに記載の資源融通サーバにおいて、
前記連携管理装置は、資源不足が発生する時刻と、前記他の事業主体へ資源の融通を依頼した際の応答時間と、に基いて算出する
ことを特徴とする資源融通サーバ。
【請求項8】
計算機が実行する、複数の事業主体間で資源融通方法であって、
資源の利用供給計画を前記複数事業者間で共有し、前記利用供給計画の変更の受諾確率を推定し、更に、前記受諾確率の予測精度である確信度を算出して、資源が不足した場合に、他の事業主体の資源融通への受諾可能性を予測するステップと、
前記資源の不均衡解消の成否を判断するまでの時限を取得するステップと、
前記受諾確率、前記確信度及び前記時限に基づいて資源融通の依頼先となる事業主体と融通方法を選択するステップと、
前記資源融通の依頼先である事業主体の計算機により、前記融通方法の実現可能性と、前記融通による事業への影響を評価し、前記融通依頼の実行可否を判断するステップと、
前記実行可否を依頼元へ返答するステップと、
各事業主体は前記依頼内容と前記応答に応じて自身の資源利用計画と資源供給計画のいずれか、又は両方を変更するステップと、を備える
ことを特徴とする資源融通方法。
【請求項9】
請求項に記載の資源融通方法において、
前記受諾可能性を予測するステップでは、
源需給が不均衡となった場合に前記利用供給計画から必要な資源の融通を受けることが可能な前記利用供給計画の変更方法を生成するステップと、
記利用供給計画の変更受諾確率と、前記確信度と、
前記時限の長さに応じて、前記確信度の低い融通方法の依頼を発行するステップと、
前記利用供給計画の変更受諾確率と、前記確信度と、
前記時限の長さに応じて、変更受諾確率と前記確信度の高い融通方法の依頼を発行するステップと、
を備える
ことを特徴とする資源融通方法。
【請求項10】
請求項に記載の資源融通方法において、
記確信度を算出する手段は、
少なくとも資源の時間帯別の利用量を含む資源利用計画と、少なくとも資源の時間帯別の供給量を含む資源供給計画を事業者間で共有し、
前記資源利用計画と前記資源供給計画の資源利用量又は供給量の変更依頼に対する受諾確率を集計し、
前記変更依頼の発行頻度、最近の発行時までの期間の長さの少なくとも1つを使って前記受諾確率の確信度を算出すること、
を特徴とする資源融通方法。
【請求項11】
請求項10に記載の資源融通方法において、
時限を取得するステップは、
前記資源の不均衡解消が必要となる時刻を取得し、
資源融通の依頼に対する応答時間を予測し、
前記資源融通が失敗にした際のまた別の資源の不均衡の回避方法の処理時間を取得し、
前記回避が必要となる時刻と、前記応答時間と、前記また別の回避方法の処理時間から、資源融通によって資源の不均衡を回避するための依頼を発行する最終期限を算出すること、
を特徴とする資源融通方法。
【請求項12】
請求項11に記載の資源融通方法において、
依頼を発行するステップは、
前記資源の不均衡を解消が必要となる時刻を取得し、
資源融通の依頼に対する応答時間を予測し、
前記資源融通が失敗にした際のまた別の資源の不均衡の回避方法の処理時間を取得し、
前記回避が必要となる時刻と、前記応答時間と、前記また別の回避方法の処理時間から、資源融通によって資源の不均衡を回避するための依頼を発行する最終期限を算出すること、
を特徴とする資源融通方法。
【請求項13】
計算機が実行する、交通事業者間での輸送量融通方法であって、
輸送量の需給がひっ迫した場合に、他の輸送事業者に対する輸送量増加依頼への受諾可能性である受諾確率と、前記受諾確率の予測精度である確信度を算出し、
前記輸送量の需給の不均衡解消の成否を判断するまでの時限を取得し、
前記受諾確率、前記確信度及び前記時限に基づいて、前記輸送量増加依頼の依頼先となる輸送事業者と依頼方法を選択し、
前記輸送量増加依頼の依頼先である輸送事業者は前記輸送量増加の実現可能性と、前記輸送量増加による前記輸送事業者の他の輸送事業への影響を評価し、前記輸送量増加の可否を判断し、
前記可否を依頼元へ返答し、
各輸送事業者は前記依頼内容と前記応答に応じて自身の輸送設備の利用計画を変更する、
ことを特徴とする輸送量融通方法。
【請求項14】
計算機が実行する、電力事業者間、または、電力事業者と電力需要家間、または、電力需要家間での電力融通方法であって、
電力利用量と電力供給量、または、電力契約量の差が一定値以下になった場合に、他の電力事業者に対する電力供給量の増強、または、需要家への電力利用量削減依頼への受諾可能性である受諾確率と、前記受諾確率の予測精度である確信度を算出し、
電力量の需給の不均衡解消の成否を判断するまでの時限を取得し、前記受諾確率、前記確信度及び前記時限に基づいて、前記電力供給増強、または、利用削減依頼の依頼先となる電力事業者、または、需要家と依頼方法を選択し、
前記依頼先である電力事業者は前記供給量増加の実現可能性と、前記供給量増加による前記電力事業への影響を評価し、前記電力供給増強の可否を判断し、
前記依頼先である需要家は前記消費量減少の実現可能性と、前記消費量減少による影響を評価し、前記電力消費削減の可否を判断し、
前記可否を依頼元へ返答し、
各電力事業者と需要家は前記依頼内容と前記応答に応じて自身の電力共有設備、電力利用設備の利用計画を変更する、
ことを特徴とする電力融通方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数事業主体間のシステム連携方法に関するものである。特に、電力、水道、鉄道などのインフラサービスの提供に関して事業者間の連携による資源融通でサービスを継続的に提供する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力、水、鉄道等のインフラサービスにおいては、その需要を予測し、需要に対応する供給を事前に用意することで、安定したインフラサービスの提供を可能とする。例えば、電力供給においては、電力事業者は管轄内の需要家における需要量を予測し、その需要に応えることが可能な量の発電を行うことで安定した電力供給サービスを提供する。これを実現するためのシステムとしては、サービス需要者や他のサービス供給者の属性や過去行動を蓄積し、これらの情報から将来の需要量を予測し、この需要量に見合う供給量を決定する。例えば、電力供給サービスにおいては、電力事業者は電力消費量の履歴や需要家の属性などの需要家情報を収集してデータベースに蓄積し、これらの情報を利用して需要家の利用行動を予測する。利用行動を予測する際には、過去の需要家の電力利用履歴から曜日や気候などの現在の状況に近い状況での利用履歴を抽出し、また、過去の電力利用履歴の無い需要家については類似する特性を持つ需要家の履歴を利用して利用行動を予測する。
【0003】
さらに、昨今の環境意識の高まりに伴って、予測した需要量に見合った供給量を用意するだけではなく、需要家や他のサービス提供者との協調により各者が持つ設備を有効利用することで需給のバランスを保ちながら環境負荷を低減することが求められている。特に、電力供給サービスにおいては、スマートグリッドや分散電源の普及に伴って、需要家が保持する太陽光発電器や蓄電池、さらには需要家による電力利用の抑制(節電)により、発電量を増やさずに電力需給を守ることが求められる。このため、利用行動を予測するだけではなく、節電や分散電源の利用といった供給行動も含めて予測することが必要となる。 こうした、需要家や他のサービス提供者と協調してインフラサービスを提供する際には、需要家やサービス提供者に対してインフラ利用抑制や供給増量を依頼し、依頼を受けた需要家やサービス提供者は各々の目的に応じて依頼に対する受諾/拒否を判断する。高精度な需給調整を実現する際には、前記のような協調における受諾/拒否の可能性を評価しながら需要家や他サービス提供者との協調方法を決定することが必要となる。
【0004】
例えば、特許文献1では、複数の発電事業者間で電力の融通をし合うことで電力不足を解消する方法であり、複数の事業者がそれぞれ別個に作成した需給計画情報から電力不足を起こしている事業者に対して、電力に余剰があり融通可能な事業者を選定し、その電力融通可能量を決定する。
【0005】
特許文献1に記載の記述により、融通を受ける必要がある事業者と、融通が可能な事業者がそれぞれ複数ある状況で、融通計画を作成することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-45887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、事前に設定された定常的な需給計画を基に融通計画を立案することとしている。また、前記設定された需給計画は大きく変動することは無く、余剰があると計画された事業者からは融通が可能であり、余剰がないと計画された事業者からは融通が不可能であることが前提となっている。
【0008】
このため、需給状況が時期や環境に応じて大きく変化する場合や、供給不足の事業者からの依頼に応じて計画そのものを変化させることで融通を実現する場合には適用することが困難である。例えば、地域電力管理(CEMS : Community Energy Management System)において、地域内の複数の工場が保有する自家発電器、太陽光発電器、蓄電池を利用しながら各工場が協調して地域内での電力の需給バランスを保つことを目指す場合、需給計画や融通の可否は各工場のその時々の生産状況や天候と言った環境状況によって左右され需給計画が必ずしも固定的とは限らない。そのため、事故などの突発的な事態で需給バランスが崩れた場合に対応することが困難である。また、融通の依頼に対して、被依頼者がその時々の状況に応じて需給計画を変更することで需給調整を達成することは困難である。
【0009】
前記のように、特許文献1に記載の技術では、状況に応じて需給計画が変化する場合、さらに、依頼-判断のネゴシエーションを通して需給計画を変化させることで融通を実現する場合に対応することが困難である。
【0010】
本発明の目的は、資源融通依頼に対して依頼を受けた事業者が各々受諾/拒否を判断し、ネゴシエーションを通して抑制量、可否を決定する資源融通プロセスにおいて、高精度に制御目標を達成する依頼先と融通方法を決定することである。特に、異なる事業者の融通への判断基準や可能な融通方法を推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明では、自己のシステム内で資源不足を検知すると、他の事業主体のシステムへの資源融通を行なってくれる事業主体を検索する。ここでは、他の事業主体の行動を予測する情報である行動モデル情報を予め用意しておくことで、その情報を検索することで、どの事業主体に資源融通の依頼を出せば良いかを決定する。このようにして決定した事業主体先に対して資源融通を依頼することで、資源融通を実現する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の事業者間での資源融通によりインフラサービスの提供を維持する場合に、各事業者の融通への受諾/拒否の態度を予測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明における代表的なハードウェア構成図である。
図2】本発明における代表的なソフトウェア構成図である。
図3】本発明に係る資源融通方法の処理フロー(依頼元側処理)の例である。
図4】本発明に係る資源融通方法の処理フロー(依頼先側処理)の例である。
図5】本発明に係る融通依頼方法の詳細処理フローの例である。
図6】本発明に係る融通行動モデルの推定方法の詳細処理フローの例である。
図7】本発明に係る融通期限算出方法の詳細処理フローの例である。
図8】本発明に係る資源利用計画を示すテーブルの例である。
図9】本発明に係る融通行動モデルを示すテーブルの例である。
図10】本発明の資源融通方法による電力融通を示す概念図である。
図11】本発明の資源融通方法による電力融通を示す概念図である。
図12】本発明の資源融通方法による輸送量融通を示す概念図である
図13】融通方法リストテーブルの例である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
まず、実施形態の概要について説明する。
【0015】
<概要説明>
本実施形態においては、自家発電器、太陽光発電器、蓄電池などの電力供給設備と、生産設備、オフィス機器などの電力消費機器と、を持つ複数の工場において、電力利用量がある基準値、例えば、事前に電力事業者と契約された最大電力利用量、に近づいた場合、電力の融通可能な他事業者に対して電力供給の増加や電力利用量の減少により電力を融通することで複数事業者のグループの中で電力需給を調整する。
【0016】
図10は、本発明における実施形態の一例である電力需給調整を示す概念図である。低圧の配電線や自営網などの電力供給インフラ1010を共有する複数の事業者間1002、1003、1004において、ある事業者(1002)で電力不足を検知した際に、他の事業者1003に対して電力利用量の削減や、分散電源などの電力機器からの電力供給による電力融通を通信路1005を介して依頼し、電力不足を解消しようと試みる。その際に、依頼者である前記事業者1002は他事業者1003、1004の電力融通依頼に対する行動を予測し、依頼に応じる可能性の高い事業者に対して優先的に依頼を発行することで確実に電力融通を受ける。しかし、電力融通の依頼に対して、依頼を受けた事業者1003が通常の業務計画や設備の利用計画を変更して電力融通を実行することが可能かは事前に判断することは困難であり、過去の履歴や依頼の交渉過程で前記計画の変更可能性を予測することが必要となる。
【0017】
より具体的には、次のようにして資源融通を実現する。
【0018】
本実施例では、インフラサービス提供者と需要家、又は、需要家間、又は、インフラサービス提供者間といった複数事業主体者間において、インフラサービスの提供対象となる資源、例えば、電力や輸送能力の定常時の供給計画と利用計画を共有し、前記資源の不足が生じる場合には、前記供給計画と利用計画から供給の増強、又は、利用の抑制により融通に応じることが可能な事業主体を抽出し、前記事業主体に対して融通依頼を送信し、前記融通依頼を受けた事業主体は現在の業務の状況に基づいて利用計画、または、供給計画を変更し融通に応じるかを決定し、依頼者であるサービス提供者へ応答する。
【0019】
前記融通依頼を作成するため、前記共有した各事業主体者の供給計画と前記利用計画を基準とした資源利用・供給量の増減、又は、資源利用・供給の開始、終了時間の変更、又は、資源利用・供給の最大時刻の変更、の依頼への受諾確率と、前記受諾確率の確からしさを示す確信度を記録する。供給不足時には供給不足を解消する融通方法の中で、前記受諾確率と前記確信度が高い融通方法を依頼することで供給不足を解消する。
【0020】
一方で、前記依頼に対する受諾確率は、依頼を受けた事業主体者の業務の状況や環境によって異なり事前に共有することが出来ないため、依頼するサービス提供者は前記受諾確率を予測し、その予測の確からしさを前記確信度として算出、保持する。前記受諾確率と確信度を算出するため、前記サービス提供者は複数事業主体者間の融通では需給調整が不可能となる期限を算出し、前記期限までの時間が一定以上である場合には需給調整が可能な融通方法の中で確信度の低い融通方法を選択して依頼を発行し、被依頼者である事業主体からの応答に応じて前記受諾率を更新すると伴に前記確信度を増加し、前記期限までの期間が一定以下である場合には需給調整が可能な融通方法の中で受諾確率と確信度の高い融通方法を選択して依頼を発行する。また、一定期間依頼されていない事業者の融通方法については前記確信度を減算する。これにより、前記融通によって需給調整が可能な期限が長い場合に、被依頼者である各事業主体における計画変更による融通のへの受諾のされやすさを探索し、前記融通によって需給調整が可能な期限が短い場合には、確実に受諾され需給調整が成功しやすい融通を依頼する。
【0021】
例えば、CEMSにおいて工場などの事業者へ節電を依頼することによって、地域内の電力需給を調整する場合、各工場は生産などの業務毎の電力利用計画をCEMSへ開示し、CEMSは対象地域の特定時刻における電力不足に対して、業務毎の最大電力利用量の減少、又は、業務の開始終了時刻の変更、又は、電力利用ピーク時間帯の変更、を依頼することで電力不足解消を目指す。依頼を受けた事業者は前記依頼内容が実行可能であるか、と業務全体への影響可能性を考慮して依頼への受諾/拒否を判断し、前記CEMSに対して応答する。CEMSは前記事業者からの応答から、前記融通方法である最大電力利用量の減少、又は、業務の開始終了時刻の変更、又は、電力利用ピーク時間帯の変更、の中で依頼した融通方法の受諾確率を更新し、対応する確信度を増加する。地域内の事業主体間の協調による電力需給調整から、他地域への融通依頼、上位電力系統への供給依頼、又は、計画停電などの緊急措置などの別の需給調整方法へ移るまでの期限に応じて、前記期限が長い場合には、前記確信度が低い融通方法に依頼し、前記期限が短い場合には前記受諾確率と前記確信度が高い融通方法へ依頼する。
【0022】
上記の事項を達成するため、本実施例では、以下の構成を備える。計算機を用いた、複数の事業主体間で資源融通方法であって、資源が不足した場合に、他の事業主体の資源融通への受諾可能性を予測し、前記受諾可能性の高さと予測精度の高さから資源融通の依頼先となる事業主体と融通方法を選択し、前記資源融通の依頼先である事業主体は前記融通方法の実現可能性と、前記融通による事業への影響を評価し、前記融通依頼の実行可否を判断し、前記実行可否を依頼元へ返答し、各事業主体は前記依頼内容と前記応答に応じて自身の資源利用計画と資源供給計画のいずれか、又は両方を変更する。
【0023】
また、前記受諾可能性を予測する方法において、資源の利用、供給計画を前記複数事業者間で共有する手段と、前記利用、供給計画の変更の受諾確率を推定する手段と、前記確率の推定の確信度を算出する手段と、資源需給が不均衡となった場合に前記利用、供給計画から必要な資源の融通を受けることが可能な前記利用、供給計画の変更方法を生成する手段と、前記資源の不均衡解消の成否を判断するまでの時限を取得する手段と、前記利用供給計画の変更受諾確率と、前記可能性推定の確信度と、前記時限の長さに応じて、前記確信度の低い融通方法の依頼を発行する手段と、前記利用供給計画の変更受諾確率と、前記可能性推定の確信度と、前記時限の長さに応じて、変更受諾確率と前記確信度の高い融通方法の依頼を発行する手段と、を具備する。
【0024】
<詳細説明>
次に、本実施例の詳細を説明する。
図1は、本発明におけるハードウェア構成図である。
事業者Aが所有するシステム群である事業者Aシステム137と事業者Bが所有するシステム群の事業者Bシステム101から構成され、広域通信網156で接続される。ここで、図1では事業者Aシステム137と事業者Bシステム101の2つの事業者のシステムで構成することとしたが、さらに多数の事業者システムを含んでも良い。
【0025】
事業者Aシステム137は、事業者Aが所有し、電力供給、利用などのインフラサービスの利用と供給を行うシステム群の集合であり、サービス管理サーバ142と連携管理サーバ168と監視制御サーバ群140、141とコントローラ群138、139と電力機器群157、158、159とを備える。
【0026】
サービス管理サーバ142は、インフラサービスにおける資源の過不足を監視し、下位の監視制御サーバ群140、141の制御計画を立案、送信するための計算機であり、CPU145、2次記憶147、主記憶146、入出力装置144、通信装置143から構成される。主記憶146、及び、2次記憶147に資源融通方法のためのプログラムを記憶し、CPU147にて実行する。
【0027】
また、通信装置143により連携管理サーバ168、及び、監視制御サーバ群140、141と連携する。また、入出力装置170はオペレータがサービス管理サーバ142の操作、実行結果の確認、プログラムの更新を実施するための装置であり、キーボード、マウス、タッチパネルなどのユーザインターフェース装置でも良いし、CDドライブなどのデータ入出力装置でも良い。
【0028】
連携管理サーバ168は、事業者Bシステム101とのインフラサービスの資源融通に関する依頼の生成と事業者Bなどの他事業者の行動を予測する計算機である。また、このサーバは依頼を受ける側でも利用される。この場合は、図4に示す動作を実行する。
【0029】
CPU171、2次記憶173、主記憶172、入出力装置170、通信装置169から構成される。主記憶172、及び、2次記憶173に資源融通方法のためのプログラムを記憶し、CPU171にて実行する。また、通信装置169によりサービス管理サーバ142、及び、広域通信網156を介して事業者Bシステム101と連携する。また、入出力装置170はオペレータが連携管理サーバ168の操作、実行結果の確認、プログラムの更新を実施するための装置であり、キーボード、マウス、タッチパネルなどのユーザインターフェース装置でも良いし、CDドライブなどのデータ入出力装置でも良い。
【0030】
監視制御サーバ群140、141は、コントローラ群138、139と連携し、インフラサービスに関わる監視制御を行う計算機群であり、監視制御の対象範囲に対応する複数の監視制御サーバで構成される。ここで、複数の監視制御サーバによる構成としたが、単一の監視制御サーバ141のみで構成されることとしても良い。監視制御サーバ141は、CPU150、2次記憶152、主記憶151、入出力装置149、通信装置148から構成される。サービス管理サーバ142からの計画に基づいてコントローラ群138、139に対する監視制御を実行する。2次記憶152、及び、主記憶151に監視制御のプログラムを記憶し、CPU150にて実行する。また、通信装置148はLANを介してサービス管理サーバ142と連携し、コントローラ群138、139を監視結果を受信し、制御指示を送信する。また、入出力装置149はオペレータが監視制御サーバの操作、実行結果の確認、プログラムの更新を実施するための装置であり、キーボード、マウス、タッチパネルなどのユーザインターフェース装置でも良いし、CDドライブなどのデータ入出力装置でも良い。
【0031】
コントローラ群138、139は電力機器群157、158、159を制御、計測する制御装置であり、制御対象の電力機器に対応して複数のコントローラから構成される。ここで、複数のコントローラによる構成としたが、単一のコントローラ139のみの構成でも良いし、コントローラは置かず、監視制御サーバ141が電力機器群157、158、159を直接制御する構成としても良い。コントローラ139は、CPU154、主記憶153、通信装置155から構成され、主記憶153に記憶された制御プログラムをCPU154にて実行する。また、通信装置155はLANを介して監視制御サーバ141と連携し、また、電力機器群を制御する。
【0032】
電力機器群157、158、159は、電力などのインフラサービスを供給、または、利用するための機器であり、火力発電器、太陽光発電器、蓄電池などの電力供給設備でも良いし、変電装置、変圧器、開閉器などの送配電設備でも良いし、生産設備、空調機器、家電などの電力利用機器でも良い。
【0033】
事業者Bシステム101、及び、その他の事業者のシステムも事業者Aシステム137と同様のハードウェア構成を持つ。
【0034】
図2は、図1のハードウェア構成において実行されるソフトウェアの構成である。
事業者Aシステム137において、サービス管理サーバ142上ではソフトウェアとして計画期限管理201、サービスレベル管理202、計画運用DB203が実行される。サービスレベル管理202は、事業者Aシステム137にて実行される業務の計画立案とインフラの供給、利用状況を管理する。例えば、事業者が工場の場合は生産業務とそこでのインフラサービスの利用計画を管理する。計画期限管理201は、前記業務の計画に対して実行するための時間制約として、計画の開始を判断するための期限を算出する。運用管理DB203は、サービスレベル管理202で立案された前記業務の計画と、監視制御サーバ141との連携により収集したコントローラ群138、139、及び、電力機器群157、158、159と、電力などのインフラサービスの計測結果を蓄積する。
連携管理サーバ168上ではソフトウェアとして融通依頼管理204、モデル推定205、他事業者モデルDB206が実行される。融通依頼管理204は、事業者Bを始めとする他事業者に対する資源融通の依頼先選定と、依頼内容生成と、依頼の送信、応答受信を行う。モデル推定205は、通依頼管理204において前記依頼先選定と前記依頼内容生成で利用するため、他事業者モデルDB206に蓄積された情報から他事業者の融通依頼に対する行動を推定する。他事業者モデルDB206は、過去の他事業者との融通依頼の結果を蓄積し、モデル推定205によって推定された内容を他事業者モデルとして蓄積する。
監視制御サーバ141上では、コントローラ群138、139の監視制御とサービス管理サーバ142への報告と、サービス管理サーバ142からの計画を受信、実行する監視制御207と、前記監視制御207によるコントローラ群138、139の監視制御結果を蓄積する監視制御DB208から構成される。監視制御サーバ140など他の監視制御サーバも同様の構成とする。
コントローラ138上では、電気機器群のセンサ値の計測とアクチュエータの制御を行う計測・制御209が実行される。
次ぎに、図3から図7により、主に計画期限管理201、サービスレベル管理202、融通依頼管理204、モデル推定205の処理内容を説明する。
【0035】
図3は、資源融通方法の概要であり、他事業者から資源融通を受ける依頼元の処理フローである。
【0036】
まず、ステップ301は資源不足を検知する処理であり、サービスレベル管理202にて資源の利用量と利用可能量を比較し、その差が一定値以下であればステップ302以下の処理を実行する。ここで、資源の利用量とは、各事業者の業務計画に基づく電力利用量の計画である。例えば、自身の時間別の電力利用量、でも良いし、他事業者から事前に開示された他事業者の電力利用の計画を集計したものでも良い。また、前記利用可能量とは、自身が電力サービス受容者であれば電力事業者と事前に契約した最大電力利用量でも良いし、自身が立案した電力利用量や節電量の目標値でも良い。また、自身が電力事業者などの電力供給者であれば発電器の能力を集計した最大電力供給量でも良い。
【0037】
次ぎに、ステップ302は資源不足解消計画を立案する処理であり、サービスレベル管理202にて前記資源不足を解消するための業務計画を立案し、監視制御サーバ141へ送信する制御計画を立案する。ここで、前記業務計画とは、発電器などの電力供給機器の稼働や、生産設備などの電力消費機器の稼働方法の時間毎の計画である。
【0038】
ステップ303は資源不足が解消可能かどうか調べる処理であり、サービスレベル管理202にて前記ステップ302にて立案した前記資源不足解消計画により、前記資源不足が解消可能か検査する。計画運用DB203に蓄積された過去の履歴や監視制御履歴から前記資源不足計画による資源利用量と資源供給量を算出し、資源不足が解消するかを分析する。もし、資源不足解消が不可能な場合、ステップ304以下の処理を行う。
【0039】
ステップ304は回避の期限を算出する処理であり、資源不足が発生する時間と、資源不足が発生した際に電力機器群157、158、159の故障を防止や他事業者への影響を最小限に抑えるための回避処理を立案し、前記回避処理を開始する時限を算出する。
現在時点から前記回避処理の期限までの時間で融通依頼管理204、モデル推定205、他事業者モデルDB206において、他事業者に資源融通の依頼を発行し、前記資源不足を解消することを試みる。
【0040】
次ぎに、ステップ305では、他事業者に資源融通依頼を発行するため、他事業者モデルDB206から他事業者の融通行動モデルを取得する処理である。前記融通行動モデルとは、電力利用量の削減や電力供給量の増強などの資源融通を依頼した場合に、依頼に応じるかを予測するための情報であり、少なくとも一つ以上の電力融通方法に対して得られる資源融通量と、依頼への受諾確率と、前記受諾確率の予測精度を示す確信度を含む。なお、資源融通行動モデルは、融通方法毎に設定されるため、まず、図13に示す融通方法リストを用いて、融通方法を特定し、その特定された融通方法に基き資源融通行動モデルを抽出する。
【0041】
ステップ306はモデル推定205にて資源不足を解消可能な融通計画を立案する処理であり、ステップ305にて取得した前記融通行動モデルに基づいて、前記資源不足を解消する他事業者への資源融通計画を立案する。前記資源融通行動モデルに含まれる資源融通量から、全ての依頼に他事業者が応じるという前提で資源不足を解消可能な依頼の発行先と、依頼する資源融通方法を抽出する。
【0042】
ステップ309はモデル推定205と融通依頼管理204にて受諾確率と予測精度から依頼先と融通方法を選択する処理であり、前記融通行動モデルに含まれる前記受諾確率と前記確信度に応じて1つ以上の依頼先の事業者と資源融通方法を選択する。
ステップ310、及び、ステップ311は、融通依頼管理204にて前記依頼先の事業者へ依頼を発行し、前記依頼先の事業者より依頼の応答として融通の実行可否を受信する処理である。
【0043】
前記ステップ309、ステップ310、及び、ステップ311の処理を、ステップ304にて算出した期限に到達するまで(ステップ307)、資源不足が可能となるまで(ステップ308)繰り返す。
【0044】
ステップ312では、モデル推定205にてステップ309、ステップ310での融通の依頼内容と、ステップ311での応答内容から融通行動モデルを更新し、他事業者モデルDB206へ格納する。
【0045】
図4は、資源融通方法の概要であり、他事業者から資源融通依頼を受けた依頼先の処理フローである。
【0046】
まず、ステップ401は資源(電力)融通依頼を受信する処理であり、ステップ310で発行された資源融通依頼を受け取る処理である。
ステップ402は融通計画を立案する処理であり、依頼された電力などの資源融通を実現する、業務計画の変更と、前記業務計画変更を実現するため監視制御サーバ140に送信する制御計画の変更を立案する。
【0047】
ステップ403は自業務への影響を分析する処理であり、サービスレベル管理202にて前記資源融通によって生じる業務への影響を分析する処理である。例えば、前記資源融通を自家発電器の稼働で実現する場合、燃料費などによるコストの上昇や、また、前記資源融通を生産設備などの電力利用設備の停止による節電で実現する場合、生産量などの業務目標の未達がどの程度発生するかを分析する。
【0048】
ステップ404は融通計画の開始期限を算出する処理であり、計画期限管理201にて前記資源融通を実現するための業務計画変更、制御計画変更を開始する期限を算出する。
【0049】
ステップ405は融通可否を決定する処理であり、融通依頼管理201にてステップ403で分析した業務への影響と、ステップ404で算出した開始期限から、融通の実行可否を決定する。例えば、前記開始期限が過ぎている、又は、一定値よりも前記開始期限までの期間が少ない場合には前記融通は実行出来ないし、また、前記業務への影響が大きい場合には融通を実行しないとう判断が下される。
【0050】
ステップ406は応答を送信する処理であり、融通依頼管理201にてステップ405で決定した融通可否を依頼元の事業者へ送信する。前記応答はステップ311にて受信される。
ステップ405で決定した融通可否が受諾であれば、ステップ402で立案した融通計画を実行するため、監視制御サーバ140に前記制御計画の変更を送信し、依頼に対する資源融通を実現する。
【0051】
図5は資源融通の依頼先と融通方法の選択方法を示す処理フローであり、ステップ309の詳細処理フローである。
まず、ステップ501は資源融通行動モデルより受諾確率と確信度を取得する処理であり、ステップ306で立案した資源融通計画で依頼先として抽出された事業者の前記資源融通計画で融通方法として抽出された融通方法に関する資源融通行動モデルを抽出し、その受諾確率と確信度を取得する。
【0052】
ステップ502は期限までの時間が一定値よりも長いかどうか調べる処理であり、ステップ304で取得した回避処理までの期限までの時間が事前に設定された閾値と比較しその差を算出する。
【0053】
ステップ503は、ステップ502で算出した期限迄の時間が閾値よりも長い場合の処理であり、前記融通行動モデルから確信度が低い融通方法を選択する処理である。前記期限までの時間が長い場合には、ステップ501で取得した融通行動モデルの中で、確信度の低い融通方法を選択する。ここで、確信度の低い融通方法の選択方法としては、前記取得した融通行動モデルの中で最も確信度の低い融通方法を一つだけ選択しても良いし、前記取得した融通方法を確信度の低さでランキング付けし前記ランキングの高い順に必要となる資源融通量に到達するまで複数の融通方法を選択しても良いし、確信度の低い融通方法が優先的に選択される方法であれば何れの方法でも良い。
ステップ504は期限までの時間が一定値よりも短いかどうか調べる処理であり、ステップ304で取得した回避処理までの期限までの時間が事前に設定された閾値と比較しその差を算出する。
【0054】
ステップ505は、ステップ504で算出した期限までの時間が閾値よりも短い場合の処理であり、確信度と受諾確率が高い融通方法を選択する処理である。前記期限までの時間が長い場合には、ステップ501で取得した融通行動モデルの中で、確信度と受諾確率が高い方法を選択する。ここで、融通方法の選択方法としては、前記取得した融通行動モデルの中で確信度が一定値一上である融通方法を抽出し、その中から前記受諾確率と前記資源融通方法による融通量から期待融通量を算出し、必要となる資源融通量に一致する、または、資源融通量以上との融通が期待される融通方法を選択しても良いし、前記確信度を前記受諾確率の予測が正しい確率を示していると見なして、前記確信度と前記受諾確率を掛け合わせた量を資源融通の実行確率と見なして前記期待融通量を算出しても良いし、確信度と受諾確率の高い融通方法が優先的に選択される方法であれば何れの方法でも良い。
【0055】
図6は、資源融通行動モデルの推定方法を示す処理フロー図であり、ステップ312での融通行動モデル更新の詳細処理フローである。
【0056】
まず、ステップ601は、依頼内容と応答内容を取得する処理であり、ステップ309、ステップ310での依頼先となった事業者と依頼した融通方法と、ステップ311で受信した前記依頼内容に対して前記依頼された事業者が受諾、拒否の何れの行動を取ったのかを取得する。
【0057】
前記依頼された事業者の応答が受諾であった場合(ステップ602)、ステップ603は受諾確率を増加する処理であり、前記依頼先となった事業者に関する前記依頼した融通方法に対応する受諾確率を算出する処理である。前記受諾確率の算出方法としては、事前に設定された値だけ前記受諾確率を増加させ前記受諾確率が1.0を越えた場合には前記受諾確率を1.0としても良いし、他事業者モデルDB206に過去の依頼履歴を保持し前記依頼履歴から受諾回数を前依頼回数で除することで確率を算出しても良いし、受諾の応答の多さにより受諾確率が増加する算出する方法であれば何れの方法でも良い。
【0058】
前記依頼された事業者の応答が受諾であった場合(ステップ604)、ステップ604は依頼先の融通内容に対応する受諾確率を減少する処理であり、前記依頼先となった事業者に関する前記依頼した融通方法に対応する受諾確率を算出する処理である。前記受諾確率の算出方法としては、事前に設定された値だけ前記受諾確率を減少させ前記受諾確率が0.0を下回った場合には前記受諾確率を0.0としても良いし、他事業者モデルDB206に過去の依頼履歴を保持し前記依頼履歴から受諾回数を前依頼回数で除することで確率を算出しても良いし、受諾の応答の少なさにより受諾確率が減少する算出する方法であれば何れの方法でも良い。
【0059】
次ぎに、ステップ605は依頼先の融通内容に対応する確信度を増加する処理であり、前記応答の内容に関わらず対応する確信度を増加する。また、ステップ606は依頼先の融通方法以外の確信度を減少する処理であり、依頼を発行していない依頼先の融通方法の確信度を減少する。前記確信度の増加方法、減少方法は、例えば、事前に設定された一定の小さな値で確信度を増加、減少させても良い。頻繁に依頼を発行している融通方法、または、最近の依頼発行日時が現時点よりも短い融通方法の確信度が高くなり、依頼を発行頻度が低い融通方法、または、最近の依頼発行日時が現時点よりも遠い融通方法の確信度を低く算出できる方法であれば何れの方法でも良い。
【0060】
図8は、資源融通方法に係る電力利用計画を示すテーブルの例である。各事業者は図8に示す電力利用計画を複数事業者間で共有し他事業者モデルDB206に蓄積することで資源融通方法を実現する。
【0061】
列801「契約者名」は事業者の名称であり、当該の計画を立案、実行する事業者を示す。列802「業務種別」は、当該の電力利用計画の属性であり、生産業務、オフィス業務などの電力利用する業務の種別を示す。列803「時刻」は、電力利用を行う時刻を示し、列804「電力利用量」は、前記電力利用時刻で利用する電力量を示す。図8は、1時間毎の電力利用量を各事業者間で開示・共有する。
【0062】
行806は事業者「日立営業所」が「通常オフィス業務」として「2011/11/11 0:00-1:00」に実施する電力利用計画が「10」であることを示す。
【0063】
図9は、資源融通方法に係る融通行動モデルを示すテーブルの例である。各事業者が図8にて共有した電力利用計画を基に、前記電力利用計画の変更確率を予測することで融通行動モデルとする。
【0064】
列901「契約者名」は、列801と同様の事業者の名称であり、列902「業務種別」は、列802と同様の電力利用する業務の種別である。
【0065】
列903「開始時刻」は前記電力利用計画において同一契約者の同一業務種別において、電力利用を開始する時刻である。列904「変更確率」は、前記開始時刻を前倒し、後ろ倒しなどの変更依頼を行った際に受諾される確率の予測値であり、列905「確信度」は前記開始時刻の前記変更確率における予測値の確からしさを示す値である。
【0066】
列906「終了時刻」は前記電力利用計画において同一契約者の同一業務種別において、電力利用を終了する時刻である。列907「変更確率」は、前記終了時刻を前倒し、後ろ倒しなどの変更以来を行った際に受諾される確率の予測値であり、列908「確信度」は前記終了時刻の前記変更確率における予測値の確からしさを示す値である。
【0067】
列909「ピーク時刻」は前記電力利用計画において電力利用量が最大となると計画されている時刻であり、列910「変更確率」、及び、列911「確信度」は前記ピーク時刻の変更依頼に対する受諾確率の予測値とその確からしさを示す値である。
【0068】
列912「ピーク利用量」は前記電力利用計画における最大電力利用量であり、列913「変更確率」、及び、列914「確信度」は前記ピーク利用量の減少、又は、増加を依頼した場合の受諾確率の予測値とその確からしさを示す値である。
【0069】
図9においては、各計画値の増加、減少の区別、及び、変化量を区別せず受諾確率と確信度を同一のものとして扱ったが、増加、減少などの変化の方向に応じて受諾確率と確信度を別の値として扱っても良いし、受諾確率を依頼した変化量に応じた値を持つ確率分布関数として扱っても良い。
【0070】
また、図8、及び、図9においては、電力の利用量を計画、融通行動モデルとしたが、発電器、蓄電池などの電力供給設備を持つ事業者を含む場合は、電力の供給量を計画、融通行動モデルとして保持しても良い。
【0071】
図7は資源融通の期限を取得する処理フローであり、ステップ304の詳細処理フローである。
【0072】
まず、ステップ701は資源不足による障害発生時刻を予測する処理であり、電力供給、利用などのインフラサービスにおける資源利用計画と資源供給計画を比較し、利用量が供給量を上回る、又は、事前に設定された利用量と供給量の差である余裕量が下回り、障害が発生する時刻を予測する。電力供給、利用であれば、事前に事業者間で共有されている業務計画と電力利用計画と、電力事業者、及び、発電設備を持つ事業者から共有される電力供給計画を比較し、供給余力が一定値を下回り供給電圧や周波数を維持出来ず停電が発生すると予想される時刻を算出する。
【0073】
次ぎに、ステップ702は資源融通依頼による応答時間を予測する処理であり、他の事業者に対して依頼を発行した際に応答を受信するまでに要する時間を、過去の依頼履歴から予測する。予測方法としては、他事業者モデルDB206に過去の依頼履歴を保持し各事業者毎の依頼時刻と応答時刻の差の平均値を予測値としても良いし、全ての事業者の前記依頼時刻と応答時刻の差の平均値を予測値とても良いし、依頼に対する応答を受信する時間を予測する方法であれば何れの方法でも良い。
【0074】
ステップ703は障害回避処理と処理時間を取得する処理であり、ステップ304で立案した回避処理の処理時間を取得する。過去の履歴や設計時点の設定値から回避処理の実行に要する時間を算出する。前記回避処理として停電に備えて電力機器を停止する場合には、各電力機器を故障させずに停止するのに要する時間の中で最大のものを前記処理時間としても良いし、前記回避処理として周辺の事業者へ停電の発生を通知する場合には、各事業者が通知を認知し停電に備えるのに要すると予想される時間を処理時間とする。
【0075】
最後に、ステップ704は依頼発行の最終時刻を算出する処理であり、前記資源融通依頼に対する応答時間と、前記回避処理の処理時間と、前記障害発生予測時刻から、他事業者への資源融通依頼を発行する最終時刻を算出する。算出方法としては、前記障害発生予想時刻から前記回避処理の処理時間だけ事前の時刻を回避処理開始時限として算出し、前記回避処理開始時限から前記資源融通依頼に対する応答時間だけ事前の時刻を資源融通依頼発行最終時刻として算出する。ここで、算出方法は前記障害発生予測時刻からの逆算で算出することとしたが、他事業者モデルDB206に過去の依頼履歴を保持し最初の依頼を発行してから融通方法が確定するまでの平均収束時間から前記資源融通依頼発行最終時刻を算出しても良いし、それ以降の他事業者への依頼が有効な資源融通を導かない時刻を算出する方法であれば何れの方法でも良い。
【0076】
本実施例、及び、図10においては、複数の事業者が自律分散的に行動し相互に電力融通を実施することを前提とした。しかし、図11に示すとおり電力事業者1102が集中的に電力融通方法を実施し、地域1101内に存在し配電線などの電力インフラ1110を共有する事業者1103、1104、1105へ電力融通依頼を発行することで地域内での電力不足を解消する構成としても良い。
【0077】
本実施例の資源融通方法により、通常の業務計画や設備の利用計画が変化する場合や依頼によって前記計画を変更して電力融通を実行する場合に、過去の履歴や依頼の交渉過程で得られる他事業者の応答から前記計画の変更可能性を予測し、高度に他事業者の融通行動を予測することが可能となる。これにより、高精度な電力融通が実現可能となる。
【実施例2】
【0078】
次ぎに、別の実施形態の概要について説明する。
【0079】
本実施形態においては、鉄道、バスなどの輸送サービスを供給する複数の運輸事業者の間で、旅客や貨物などの輸送対象物が計画よりも増加し輸送力が不足した場合や、輸送設備の故障など突発事象により輸送力が減少した場合に、前記複数の輸送事業者間で輸送力を融通しあうことで輸送力不足を解消する。
【0080】
図12は、別の実施形態の一例である輸送力融通を示す概念図である。同一地域、同一地点間で旅客サービスを提供する複数の鉄道事業者1202、1203、バス事業者1204において、ある事業者(1202)が管轄し旅客サービスを提供するA駅1205とB駅1206区間において不具合は生じ旅客サービスが提供出来なくなった場合、同一区間内において旅客サービスを提要可能な鉄道事業者1203、又は、バス事業者1204に対して迂回路による旅客輸送やバスの増便による輸送力融通を通信路1211を介して依頼し、輸送力の不足解消、旅客サービスレベルの維持を試みる。その際に、依頼者である前記鉄道事業者1202は他事業者1203、1204の輸送力と依頼に対する行動を予測し、依頼に応じる可能性の高い事業者に対して優先的に依頼を発行することで迅速に輸送力融通を受ける。
【0081】
この融通依頼の方法は、図3から図7で示した資源融通方法と同様の方法によって実現可能である。例えば、イベントの開催など事前に予想されている旅客の増加においては、十分に長い交渉期間を取ることが可能であるため、確信度の低い輸送力融通方法を依頼して他事業者の受諾確率を算出し、事故などの突発的で十分な交渉期間を取ることが出来ない場合には確信度と受諾確率の高い輸送事業者へ依頼することで確実に輸送力融通を受ける。
【符号の説明】
【0082】
137:事業者Aシステム、101:事業者Bシステム、142:サービス管理サーバ、168:連携管理サーバ、140:監視制御サーバ、141:監視制御サーバ、139:コントローラ、156:広域通信路、157:電力機器、203:運用管理DB、206:他事業者モデルDB、208:監視制御DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13