(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5823118
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月25日
(54)【発明の名称】付けまつ毛及び付けまつ毛用貼着シート
(51)【国際特許分類】
A41G 5/02 20060101AFI20151105BHJP
【FI】
A41G5/02
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-277716(P2010-277716)
(22)【出願日】2010年12月14日
(65)【公開番号】特開2012-127014(P2012-127014A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】500333198
【氏名又は名称】ナチュラン・インターナショナル有限会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594050821
【氏名又は名称】日生化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105821
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 淳
(72)【発明者】
【氏名】松本重樹
(72)【発明者】
【氏名】荒井克浩
(72)【発明者】
【氏名】藤田実穂
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭50−071182(JP,U)
【文献】
特開昭53−083862(JP,A)
【文献】
実開昭56−057228(JP,U)
【文献】
実開昭53−020684(JP,U)
【文献】
米国特許第03266500(US,A)
【文献】
特開2011−208341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼着部及び当該貼着部上に設けられたまつ毛部を含む付けまつ毛であって、
(1)貼着部が、粘着剤層、透湿性樹脂層及び熱硬化性樹脂層を有し、かつ、前記熱硬化性樹脂層が前記透湿性樹脂層表面上の一部に形成されており、
(2)まつ毛部が、線状の支持部に複数のまつ毛が一体的に固定されたものであって、かつ、前記支持部が前記熱硬化性樹脂層を介して前記貼着部に接合されている、
ことを特徴とする付けまつ毛。
【請求項2】
熱硬化性樹脂層が透湿性樹脂層上に線状に形成されている、請求項1に記載の付けまつ毛。
【請求項3】
瞼に追従するように支持部及び貼着部が湾曲している、請求項1に記載の付けまつ毛。
【請求項4】
粘着剤層、透湿性樹脂層及び前記透湿性樹脂層表面上の一部に形成されている熱硬化性樹脂層を有する貼着部に対し、線状の支持部に複数のまつ毛が一体的に固定されたまつ毛部を接合するに際し、熱圧着によって前記支持部と前記熱硬化性樹脂層とを接合する工程を含むことを特徴とする付けまつ毛の製造方法。
【請求項5】
上記接合を湾曲状に成形しながら行う、請求項4に記載の付けまつ毛の製造方法。
【請求項6】
1)粘着剤層、2)透湿性樹脂層及び3)熱硬化性樹脂層を含み、かつ、前記熱硬化性樹脂層が前記透湿性樹脂層表面上の一部に形成されており、線状の支持部に複数のまつ毛が一体的に固定されたまつ毛部の当該支持部と前記熱硬化性樹脂層とが接合される、ことを特徴とする付けまつ毛用貼着シート。
【請求項7】
熱硬化性樹脂層が透湿性樹脂層上に線状に形成されている、請求項6に記載の付けまつ毛用貼着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な付けまつ毛及び付けまつ毛用貼着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
付けまつ毛は、美容等の分野において欠かせないアイテムとなっているが、ユーザーの嗜好の多様化に伴って様々なタイプの付けまつ毛が開発されている。ところが、従前の付けまつ毛は、糸状ベースにまつ毛が接着された構成であるため、その装着に熟練を要するものであったり、あるいは装着した後に発汗等によって位置ずれ、傾き等が生じたりという問題がある。
【0003】
これらの問題を改善するために、例えばまぶたに貼り付けることのできるフィルムにまつ毛がフィルム表面に突出して植毛され、フィルムのまつ毛植毛部の上方に二重まぶた成形部があり、二重まぶた成形部はまぶたに貼り付けるとまぶたが二重まぶたになる縦幅と横幅であり、フィルム裏面にフィルムをまぶたに付着できる粘着剤が付着されたことを特徴とする付けまつ毛が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、極薄シートからなるベースと該ベースに植え付けられた植毛材と上記ベースの裏面に設けられる粘着層とからなる付けまつ毛であって、上記ベースの厚さはミクロン(μm)単位であり、上記粘着層は上記ベースの裏面に突出した植毛材の根部を冠着する凸部と他の部分との間に凹凸が現出される程度の薄さとして上記ベースの裏面全面に均等な厚さで形成され、さらに上瞼に付着したとき上記凸部が上記ベースの表面側に盛り上がり、上記植毛材は上瞼の下縁にそって単数又は複数の列で植え付けられ、該植毛材が植え付けられる基端部を実質上直線状に切り離し可能にするとともに、上記植毛材が植え付けられない先端部が突弧状に切り離し可能にすることを特徴とするつけまつ毛も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−308806
【特許文献2】特開2008−231632
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の付けまつ毛では、まつ毛が1本ごとに粘着剤に植毛された構成であるため、例えば付けまつ毛にカールをあてるような場合にはまつ毛が個別に離脱しやすくなる。また、上記の付けまつ毛では、汗等の水分を浸透する工夫が十分になされていないため、なお離脱の問題が残っている。
【0007】
従って、本発明の主な目的は、まつ毛が離脱しにくく、なおかつ、貼着性に優れた付けまつ毛を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の構成を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の付けまつ毛及び付けまつ毛用貼着シートに係る。
1. 貼着部及び当該貼着部上に設けられたまつ毛部を含む付けまつ毛であって、
(1)貼着部が、粘着剤層、透湿性樹脂層及び熱硬化性樹脂層を有し、かつ、前記熱硬化性樹脂層が前記透湿性樹脂層表面上の一部に形成されており、
(2)まつ毛部が、線状の支持部に複数のまつ毛が一体的に固定されたものであって、かつ、前記支持部が前記熱硬化性樹脂層を介して前記貼着部に接合されている、
ことを特徴とする付けまつ毛。
2. 熱硬化性樹脂層が透湿性樹脂層上に線状に形成されている、前記項1に記載の付けまつ毛。
3. 瞼に追従するように支持部及び貼着部が湾曲している、前記項1に記載の付けまつ毛。
4. 粘着剤層、透湿性樹脂層及び
前記透湿性樹脂層表面上の一部に形成されている熱硬化性樹脂層を有する貼着部に対し、線状の支持部に複数のまつ毛が一体的に固定されたまつ毛部を接合するに際し、熱圧着によって前記支持部と前記熱硬化性樹脂層とを接合する工程を含むことを特徴とする付けまつ毛の製造方法。
5. 上記接合を湾曲状に成形しながら行う、前記項4に記載の付けまつ毛の製造方法。
6. 1)粘着剤層、2)透湿性樹脂層及び3)熱硬化性樹脂層を含み、かつ、前記熱硬化性樹脂層が前記透湿性樹脂層表面上の一部に形成されて
おり、線状の支持部に複数のまつ毛が一体的に固定されたまつ毛部の当該支持部と前記熱硬化性樹脂層とが接合される、ことを特徴とする付けまつ毛用貼着シート。
7. 熱硬化性樹脂層が透湿性樹脂層上に線状に形成されている、前記項6に記載の付けまつ毛用貼着シート。
【発明の効果】
【0010】
本発明の付けまつ毛によれば、支持部にまつ毛が一体的に固定されたまつ毛部が熱硬化性樹脂層を介して固定されているので、まつ毛が容易に離脱するようなことはなく、カール等の加工も行うことができる。
【0011】
また、熱硬化性樹脂層が透湿性樹脂層の一部に形成されていることから、透湿性樹脂層が外気に露出できる結果、皮膚から分泌される汗を外気に効率良く放出することができる。これらによって、付けまつ毛を長時間にわたり装着することが可能となる。
【0012】
本発明の製造方法によれば、ヒートシールによってまつ毛部を支持部に固定することによって製造できるので、1本ずつ植毛する従来法よりも簡便かつ低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図3(a)は、湾曲状の熱版を用いてヒートシールする状態を示す図である。
図3(b)は、
図3(a)の装置によって得られた製品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.付けまつ毛
本発明の付けまつ毛は、貼着部及び当該貼着部上に設けられたまつ毛部を含む付けまつ毛であって、
(1)貼着部が、粘着剤層、透湿性樹脂層及び熱硬化性樹脂層を有し、かつ、前記熱硬化性樹脂層が前記透湿性樹脂層表面上の一部に形成されており、
(2)まつ毛部が、線状の支持部に複数のまつ毛が一体的に固定されたものであって、かつ、前記支持部が前記熱硬化性樹脂層を介して前記貼着部に接合されている、
ことを特徴とする。以下、本発明の付けまつ毛について
図1を参照しつつ説明する。
【0015】
図1には、本発明の付けまつ毛の実施の形態(側面図)を示す。
図1の付けまつ毛において、A方向から見た正面図を
図2に示す。
図1の付けまつ毛は、粘着剤層1、透湿性樹脂層2及び熱硬化性樹脂層3の順で積層されてなる貼着部4の熱硬化性樹脂層3上に、支持部5に複数本のまつ毛6が一体的に固定されてなるまつ毛部7が接合されている。支持部5は、
図2にも示すように、線状に形成されている。まつ毛部7に固定されているまつ毛6は、
図1では湾曲状に成形(カール)されている。また、熱硬化性樹脂層3は、透湿性樹脂層表面上の一部に形成されており、
図1及び
図2に示すように支持部5と同様にして線状に形成されている。まつ毛部7は、支持部5に複数本のまつ毛6が一体的に形成されたものである。次に各構成部材について説明する。
【0016】
貼着部
貼着部は、粘着剤層、透湿性樹脂層及び熱硬化性樹脂層を有し、かつ、前記熱硬化性樹脂層が前記透湿性樹脂層表面上の一部に形成されている。
【0017】
粘着剤層は、公知又は市販の粘着剤によって形成される層である。粘着剤としては、皮膚に粘着可能なものであれば限定されず、例えばアクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤等を用いることができる。特に、本発明では、透湿性等の点からみて、シリコン系粘着剤を好適に用いることができる。また、
図1では粘着剤層は透湿性樹脂層の下層に全面に形成されているが、一部に形成されていても良い。例えば、ドット状、ストライプ状、格子状等のいずれの形状も採用することができる。粘着剤層の厚みは限定的ではないが、透湿性等の見地より、通常は20〜80μm程度とし、特に25〜60μmとすることが好ましい。
【0018】
透湿性樹脂層は、透湿性を有するものであれば良く、例えばアクリル系樹脂、ポリオレフィン、ポリウレタン等の各種の樹脂を採用することができる。例えば、ポリウレタンをインフレーション成形によって得られた透湿性フィルムを前記透湿性樹脂層として好適に用いることができる。ポリウレタンとしては、ポリエステル系又はポリエーテル系のいずれでも良い。また、ポリウレタンそのものは公知のもの又は市販品を使用することもできる。また、透湿性樹脂層の透湿性(水蒸気透過率)の程度は特に制限されないが、汗等をより効果的に放散できるという点で1000〜4000g/m
2・24hr程度、特に2500〜4000g/m
2・24hrとすることが好ましい。透湿性樹脂層の厚みは限定的ではないが、通常は5〜50μm程度とし、特に10〜35μmとすることが好ましい。このようなウレタンシートを用いることによって、ウレタンシートに粘着剤層を形成した後の透湿性も1000g/m
2・24hr以上、特に1200g/m
2・24hr以上、さらには1400g/m
2・24hr以上を維持することができる。
【0019】
熱硬化性樹脂層は、まつ毛部と接合するためのものであり、ヒートシール(熱圧着)により硬化し得るものであればいずれのものも採用することができる。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、アクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂を適宜選択することができる。熱硬化性樹脂は、透湿性樹脂層の上層の一部に形成すれば良い。すなわち、透湿性樹脂層の上表面の一部を外気に露出するようにすれば良い。これは、例えば
図1に示すように、線状の熱硬化性樹脂層を透湿性樹脂層の長手方向に平行になるように透湿性樹脂層上に形成することができる。この場合の線幅は限定的ではないが、一般的には0.5〜2mm程度とすれば良い。このように、熱硬化性樹脂を透湿性樹脂層の上層の一部に形成することによって、汗等を効果的に外気中に放出することができる。熱硬化性樹脂層の厚みは限定的ではないが、通常は50〜70μm程度とし、特に55〜65μmとすることが好ましい。また、熱硬化性樹脂層を線状に形成する場合の線幅は、用いるまつ毛部の支持部の幅に合わせるようにすれば良く、通常は0.5〜1.5mmの範囲内で適宜調整することができる。
【0020】
また、本発明では、粘着剤層の下層として離型紙を積層しても良い。例えば、合成樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)製シート又はフィルム、紙等の公知の離型紙を採用することができる。これによって、粘着剤層を使用時まで保護し、使用時に離型紙を剥がして皮膚に貼着することができる。
【0021】
まつ毛部
まつ毛部は、線状の支持部に複数のまつ毛が一体的に固定されたものであって、かつ、前記支持部が前記熱硬化性樹脂層を介して前記貼着部に接合されている。
【0022】
支持部の材質は限定されないが、通常は合成樹脂、合成ゴム、金属(合金)等を単独又は2つ以上組合せて用いることができる。支持部は貼着部とともに瞼に追従するように湾曲されていることが好ましい。支持部が湾曲することにより貼着部も湾曲するため、本発明の付けまつ毛の装着時において付けまつ毛が瞼により追従しやすくなる。湾曲させる方法は公知の加工方法に従えば良い。また、その加工手順は、1)支持部を貼着部に接合する前において予め支持部を湾曲させる方法、2)支持部と貼着部を接合しながら湾曲させる方法、3)支持部と貼着部を接合した後、支持部と貼着部をともに湾曲させる方法等のいずれであっても良い。加工手段としては、公知の方法に従えば良く、例えば湾曲した熱版又は型を加熱した後、支持部(又は支持部と貼着部)を湾曲状に成形することができる。また、支持部として形状記憶合金を用いることができる。この場合、例えば所望の湾曲状に形状を予め記憶させておいた上で、製造工程では支持部を直線状で取扱い、製造仕上げ段階又は付けまつ毛使用時において湾曲状に戻るように設計することもできる。
【0023】
支持部に固定されるまつ毛は、天然まつ毛又は人工まつ毛のいずれであっても良い。本発明では、特にまつ毛部は、合成樹脂又は合成ゴムで支持部とまつ毛とが一体的に成形したものを好適に用いることができる。また、まつ毛部自体は公知又は市販のものを用いることもできる。
【0024】
まつ毛部は、支持部において熱硬化性樹脂層を介して貼着部に接合されている。すなわち、熱圧着(ヒートシール)によってまつ毛部と貼着部とが強固に接合されている。
【0025】
本発明の付けまつ毛は、公知又は市販の付けまつ毛と同様にして使用することもできる。例えば、必要に応じて離型紙を剥離した後、粘着剤層を皮膚の所定の位置に貼着すれば良い。この場合、必要に応じてまつ毛をカール等の処理を加えることもできる。
【0026】
2.付けまつ毛の製造方法
本発明のまつ毛は、例えば、粘着剤層、透湿性樹脂層及び熱硬化性樹脂層を有する貼着部に対し、線状の支持部に複数のまつ毛が一体的に固定されたまつ毛部を接合するに際し、熱圧着によって前記支持部と前記熱硬化性樹脂層とを接合する工程を含むことを特徴とする付けまつ毛の製造方法によって得ることができる。
【0027】
貼着部は、各層を積層することによって製造することができる。例えば、透湿性樹脂シートの裏面に粘着剤層を形成するとともに、透湿性樹脂シートのおもて面に熱硬化性樹脂層を形成すれば良い。粘着剤層の形成は、例えば液状粘着剤を透湿性樹脂シートの裏面に塗布することによって実施することができる。また、粘着シート(例えば両面テープ)の片面を透湿性樹脂シートの裏面に貼着することにより粘着剤層を形成することもできる。熱硬化性樹脂層の形成は、例えば熱硬化性樹脂を含む粘着シートを透湿性樹脂のおもて面に貼着する方法のほか、熱硬化性樹脂を含む溶液又は分散液を透湿性樹脂シートのおもて面に塗布する方法等によって実施することができる。
【0028】
貼着部の熱硬化性樹脂層とまつ毛部の支持部とを熱圧着(ヒートシール)によって接合する。熱圧着時の温度条件は、熱硬化性樹脂の種類等によって異なるが、一般的には100〜150℃とし、特に110〜130℃とすることが好ましい。また、圧力は、0.03〜0.3MPa程度の範囲内で適宜設定することができる。熱圧着の時間は通常1〜20秒程度とすれば良い。熱圧着によって、貼着部とまつ毛部とが短時間で強固に接合することが可能となる。本発明では、熱圧着(ヒートシール)は、公知又は市販のヒートシール装置を使用すれば良い。
【0029】
この場合、
図3(a)に示すように、互いに噛み合う2枚の湾曲状熱版31を備えたヒートシール装置を用い、2つの熱版31の間で貼着部の熱硬化性樹脂層とまつ毛部の支持部との熱圧着(ヒートシール)を行うことによって湾曲状の製品32を得ることができる。この製品32は、予め湾曲状に形成された複数の付けまつ毛が繋がった状態であるが、これを
図3(b)のように1つずつ切り離せば、湾曲状に形成された複数の付けまつ毛33を同時に得ることができる。これにより、まぶたにフィットできる付けまつ毛をより効率的に製造することができる。なお、本発明では、付けまつ毛1つずつを前記のようなヒートシール装置でヒートシールして湾曲状の付けまつ毛32を1つずつ製造しても良い。
【0030】
3.付けまつ毛用貼着シート
本発明は、1)粘着剤層、2)透湿性樹脂層及び3)熱硬化性樹脂層を含み、かつ、前記熱硬化性樹脂層が前記透湿性樹脂層表面上の一部に形成されていることを特徴とする付けまつ毛用貼着シートを包含する。
【0031】
粘着剤層、透湿性樹脂層、熱硬化性樹脂層等の材質、厚み等は、前記1.で述べた本発明の付けまつ毛で採用されているものと同様である。
【0032】
本発明の付けまつ毛用貼着シートは、前記まつ毛部に相当する公知又は市販のものをそのまま適用することができる。すなわち、利用者の好みに応じて様々なタイプの付けまつ毛を構成することができる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0034】
実施例1
透湿性樹脂シート(ポリウレタン)の片面の全面にシリコーン系粘着剤を塗布することにより、粘着剤層(乾燥後厚み25μm)を有する片面に粘着剤層を有する透湿性ウレタンシート(規格:280mm×25mm)を成形した。
【0035】
熱硬化性樹脂(アクリル系樹脂)からなる粘着シート(約1mm幅)を粘着剤層と逆側の透湿性ウレタンシート面の真ん中に
図1のように貼り付け、貼着部を成形した。
【0036】
次いで、粘着シートに人工まつ毛を次に示す条件で熱圧着した。熱圧着条件は、
図3(a)に示すようなヒートシール機を用いて温度120℃及び圧力0.1MPaの条件下で4秒間加熱することによって人工まつ毛と粘着シートを熱圧着するとともにまつ毛部の支持部及び透湿性ウレタンシートを湾曲状に成形した。
【0037】
透湿性樹脂シートは、インフレーション成形法により得られたウレタンシートであって、透湿性樹脂シートの厚み30μmであり、透湿性が2862g/m
2・24hrであるものを使用した。ウレタンシートに粘着シートを形成した後の透湿性は1420g/m
2・24hrであった。また、前記の人工まつ毛としては、支持部と人工まつ毛とが一体的に形成されたまつ毛部の市販品を用いた。
【0038】
このようにして、貼着部とまつ毛部を有する付けまつ毛を得た。得られた付けまつ毛を皮膚に貼着したところ、容易に貼着できるととともに、汗をかいてもずれや傾きはなく、長時間にわたって所定の位置で保持することができた。
【0039】
このようにして、貼着部とまつ毛部を有する付けまつ毛を得た。得られた付けまつ毛を皮膚に貼着したところ、容易に貼着できるととともに、汗をかいてもずれや傾きはなく、長時間にわたって所定の位置で保持することができた。