(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの金属天井と前記信号配線とを電気的に接続し、かつ前記少なくとも1つの金属天井を支持する支持柱を具備することを特徴とする請求項1記載の電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず実施例が解決する課題を明確にするため、比較例1について説明する。比較例1は金属天井が接地されている例である。
図1(a)から
図2は、比較例1に係るラダー型フィルタを例示する平面図である。
図1(a)は、
図2における封止部及び金属天井を透視した平面図である。
図1(b)は、
図2における封止部を透視した平面図である。
図1(a)中の破線の四角は金属天井120を示す。図中では、複数の信号配線116のうち1つに符号を付し、複数の支持柱122のうち、直列共振子S1の近くに設けられたもの、及び信号配線16上のものに符号を付している。なお、ラダー型フィルタが備える端子は下地層、柱状端子、及び半田ボールを含む。
図1(a)においては下地層が図示されている。
図1(b)においては柱状端子が図示されている。
図2においては半田ボールが図示されている。
【0018】
図1(a)から
図2に示すように、ラダー型フィルタ100Rの圧電基板110の上面には、直列共振子S1〜S4、並列共振子P1及びP2、信号配線116、接地配線118、並びに支持柱122が設けられている。共振子S1〜S4、P1及びP2はラダー型に配置されている。直列共振子S1〜S4は、信号配線116によりアンテナ端子Antと送信端子Txとの間に直列接続されている。並列共振子P1の一端は信号配線116により直列共振子S1〜S2間に並列接続され、他端は接地配線118により接地端子GND1と電気的に接続されている。並列共振子P2の一端は直列共振子S3〜S4間に並列接続され、他端は接地端子GND2と電気的に接続されている。共振子はIDT112及び反射電極114を含むSAW共振子である。IDT112は対向する櫛形電極からなり、弾性波を励振する。反射電極114は、弾性波の進行方向に沿ってIDT112の両側に設けられており、弾性波を反射する。
【0019】
支持柱122は、共振子、及び信号配線116と離間し、絶縁している。また信号配線116上の支持柱122は例えば窒化シリコン(SiN)等の絶縁体からなる絶縁層(不図示)により信号配線116と絶縁される。
【0020】
図1(b)に示すように、金属天井120は圧電基板110の上に、共振子、端子及び配線と重なるように設けられる。金属天井120は支持柱122の上面に接触し、支持柱122に支持される。金属天井120は、支持柱122、接地端子GND1及びGND2と電気的に接続され、共振子、信号配線16、端子Ant及びTxとは離間し、絶縁している。
【0021】
図2は封止部124を透視せずに、ラダー型フィルタの上面を図示した図である。
図2に示すように、封止部124は、金属天井120を覆うように、圧電基板110全体の上に設けられ、共振子、配線及び端子を封止する。封止部124を貫通する開口部からは、半田ボールが突出する。半田ボールは電子部品と外部機器とを接続する外部接続端子として機能する。
【0022】
ラダー型フィルタ100Rの通過帯域は、共振子の共振周波数及び反共振周波数により定まる。ラダー型フィルタ100Rは、通過帯域内の周波数を有する信号を通過させ、通過帯域外の周波数を有する信号を抑圧する。送信端子Txには高周波信号が入力される。信号配線116は高周波信号を伝送する。アンテナ端子Antは、ラダー型フィルタ100Rと不図示のアンテナとを接続し、ラダー型フィルタ100Rを通過した高周波信号をアンテナに出力する。
【0023】
次にラダー型フィルタにおける周波数特性の劣化について説明する。周波数特性の劣化の原因として、金属天井120と共振子との間、及び金属天井120と配線との間における容量の形成が挙げられる。
図1(b)に示したように、金属天井120は接地端子GND1及びGND2と接続されているため、共振子と接地端子GND1及びGND2との間に並列に容量が生成される。容量の生成によるラダー型フィルタの周波数特性の変化を検証するためにシミュレーションを行った。
図3(a)及び
図3(b)は、シミュレーションに用いた回路を示す回路図である。
【0024】
図3(a)に示すように、回路102において、共振子Sはポート11とポート13との間に直列接続されている。共振子Sとポート11との間の配線、及び共振子Sとポート13との間の配線は接地されている。
図3(b)に示すように、回路104はキャパシタC1及びC2(以下C1及びC2)を含む。C1の一端は共振子Sの一端とポート11との間に接続されている。C2の一端は共振子Sの他端とポート13との間に接続されている。C1の他端及びC2の他端は接地されている。C1及びC2のキャパシタンスは0.5pFである。共振子Sは、42度回転Yカットのタンタル酸リチウム(LiTaO
3)からなる圧電基板上にIDTを備えるSAW共振子である。C1及びC2は、
図1(b)の金属天井120による容量に対応する。
【0025】
回路102及び回路104それぞれのインピーダンスの虚部(インピーダンス虚部)を計算することで、容量の付加による共振周波数及び反共振周波数の変化を調べた。回路の共振周波数は、ポート11に信号を入力しポート11から信号が出力される場合にインピーダンス虚部が負から正になる周波数と定義した。回路の反共振周波数は、ポート13に信号を入力しポート11から信号が出力される場合にインピーダンス虚部が負から正になる周波数と定義した。
図4(a)は、ポート11に信号を入力しポート11から信号が出力される場合のインピーダンスの計算結果を示すグラフである。
図4(b)は、ポート13に信号を入力しポート11から信号が出力される場合のインピーダンスの計算結果を示すグラフである。横軸は周波数を、縦軸はインピーダンス虚部をそれぞれ表す。破線は回路102のインピーダンス虚部、実線は回路104のインピーダンス虚部をそれぞれ表す。
【0026】
図4(a)に円で囲むように、回路102の共振周波数は約1980MHzである。回路104の共振周波数は約2010MHzである。
図4(b)に円で囲むように、回路102の反共振周波数及び回路104の反共振周波数は、約2050MHzである。このように、C1及びC2の付加により共振周波数が高周波数側にシフトする。
【0027】
既述したように、ラダー型フィルタの周波数特性は、共振子の共振周波数及び反共振周波数により定まる。
図4(a)に示したような共振周波数のシフトは、ラダー型フィルタの通過帯域における特性劣化の原因となる。また、ラダー型フィルタの通過帯域が狭くなる。ラダー型フィルタを広帯域化するためには、例えば圧電基板の電気機械結合定数k
2を大きくすればよい。しかしk
2は材料によって定まる物性値である。このため、k
2を所望の値に制御することは難しい。以上のように、金属天井120が接地配線と接続され、付加容量が形成されることにより、ラダー型フィルタ等の電子部品の特性が劣化する。
【実施例1】
【0028】
実施例1は金属天井が信号配線と電気的に接続されている例である。実施例1に係るラダー型フィルタの構成について説明する。
図5(a)及び
図5(b)は、実施例1に係るラダー型フィルタを例示する平面図である。
図2に対応する平面図は、端子の数が異なること以外は
図2と同じであるため図示を省略する。
図6(a)から
図6(c)は、実施例1に係るラダー型フィルタを例示する断面図である。
図6(a)は
図5(b)の折れ線A−Aに沿った断面、
図6(b)は
図5(b)の直線B−Bに沿った断面、
図6(c)は
図5(b)の折れ線C−Cに沿った断面を図示している。
図7は、実施例1に係るラダー型フィルタを備えるデュープレクサを例示する図である。デュープレクサ101の送信フィルタは実施例2に係るラダー型フィルタ100である。ラダー型フィルタ100の一端及び受信フィルタ106の一端はアンテナ端子Antに接続されている。受信フィルタ106の他端は受信端子Rxに接続されている。L1〜L3は例えば評価ボード、プリント配線基板等に含まれる。
図7中の破線の四角は金属天井20を表す。破線と実線との交点に位置する黒丸は、金属天井20と配線とが接続されていることを表す。なお図中では、送信フィルタ、およびアンテナ端子Antに付随する回路等の素子は省略してある。
【0029】
図5(a)、
図5(b)及び
図7に示すように、実施例1に係るラダー型フィルタ100においては、アンテナ端子Antと送信端子Txとの間に直列共振子S1〜S6が直列接続されている。並列共振子P1及びP2の一端は直列共振子S1〜S2間に並列接続され、他端は接地端子GND1に接続されている。同様に、並列共振子P3及びP4は、直列共振子S3〜S4間、及び接地端子GND2に接続されている。並列共振子P5及びP6は、直列共振子S5〜S6間、及び接地端子GND3に接続されている。
図7に示すように、デュープレクサ101において並列共振子P1及びP2はL1の一端に接続されている。並列共振子P3〜P6はL2の一端に接続されている。L1の他端及びL2の他端はL3の一端に接続されている。L3の他端は接地されている。
【0030】
図5(a)に示すように、共振子S1〜S6及びP1〜P6はIDT12及び反射電極14を含むSAW共振子である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、複数の信号配線16はそれぞれ、共振子間、又は共振子と信号端子との間を接続している。複数の信号配線16のうち、アンテナ端子Ant〜直列共振子S1間を接続するものを信号配線16a(第1配線)とする。複数の信号配線16のうち、直列共振子S1と、共振子S2、P1及びP2との間を接続するものを信号配線16b(第2配線)とする。図中において、符号が付されていない信号配線は信号配線16である。複数の金属天井20のうち、直列共振子S1上のものを金属天井20a、共振子S2、P1及びP2上のものを金属天井20b、並列共振子P5及びP6上のものを金属天井20c、並列共振子P3及びP4上のものを金属天井20dとする。図中において符合が付されていない金属天井は金属天井20である。
【0031】
金属天井20dは、並列共振子P3及びP4と接地端子GND2との間を接続する接地配線18と接続されている。金属天井20d以外の金属天井20、20a、20b、20cは接地配線18及び接地端子GND1〜GND3と接続されず、信号配線16と接続されている。このため金属天井20が共振子及び配線と接地端子GND1〜GND3との間に生成する容量が低減される。この結果、実施例1によれば
図5(a)に示したような共振周波数のシフトが抑制され、ラダー型フィルタの周波数特性の劣化が抑制される。
【0032】
図5(a)、
図5(b)及び
図7に示すように、複数の金属天井20のうち金属天井20aは信号配線16aと接続され、信号配線16bと接続されていない。このため信号配線16aと信号配線16bとの短絡が抑制される。他の金属天井20も同様に、金属天井20下の共振子の一端に接続された配線に接続され、他端に接続された配線には接続されない。
【0033】
図5(a)から
図6(a)に示すように、金属天井20bは支持柱22に支持されているため、共振子S2、P1及びP2上に空隙23が形成される。支持柱22の高さは例えば1〜30μmである。他の共振子も空隙23に露出する。封止部24は粘性が高い樹脂等からなるため、金属天井20bの内側への流入は抑制され、空隙23は確保される。このため共振子による弾性波の励振は抑制されない。支持柱22はシードメタル21に接触している。シードメタル21は、支持柱22及び柱状端子32を形成する電解メッキ法において給電線として用いられ、電解メッキ終了後は支持柱22及び柱状端子32と一体となる。
【0034】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、複数の支持柱22は金属天井20の四隅、辺に沿った位置等に設けられる。このため、金属天井20は強固に支持される。
図6(b)に示すように、金属天井20cを支持する複数の支持柱22のうち最も幅の広い支持柱22aは、信号配線16と接触するとともに、金属天井20cの断面の中央部を機械的に支持する。このため金属天井20cは強く支持される。例えば封止部24を設ける工程等において、金属天井20に圧力が加わる。実施例1によれば、
図6(b)に示すように、金属天井20及び支持柱22により形成される矩形の辺の中央部が、支持柱22aにより強固に支持されているため、矩形が潰れにくい。従って、共振子上の空隙23が確保される。
【0035】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、金属天井20cを支持する複数の支持柱22のうち2つは、並列共振子P5及びP6に共通して接続された信号配線16(第3配線)と接続されている。複数の支持柱22が同じ配線に接続されるため配線間の短絡は抑制され、かつ金属天井20cはより強固に支持される。
【0036】
図6(a)から
図6(c)に示すように、封止部24は、金属天井20bの側面及び上面、支持柱22の側面に接触、接着し、かつ覆う。このためラダー型フィルタ100の耐湿性が高まる。
図6(c)に示すように、端子Ant及びGND1は下地層30、柱状端子32及び半田ボール34を含む。下地層30は圧電基板10上に設けられている。下地層30上にシードメタル21が設けられ、シードメタル21に覆われるように柱状端子32が設けられている。半田ボール34は、柱状端子32上に封止部24から露出するように設けられている。端子Tx、GND2及びGND3も同様の構成である。
【0037】
次に実施例1の変形例について説明する。
図8は実施例1の変形例に係るラダー型フィルタを例示する平面図である。
図5(a)から
図6(c)において既述した構成については説明を省略する。
【0038】
図8に示すように、金属天井20dは信号配線16と接続され、接地配線18とは接続されない。ラダー型フィルタ100Vが備える全ての金属天井20が信号配線16と接続されることにより、共振子と接地端子GND1〜3間の容量を低減することができる。また例えば2つ以上の金属天井20が接地配線18と接続され、かつ1つ以上の金属天井20が信号配線16と接続されてもよい。このように金属天井20の少なくとも1つが信号配線16と接続されればよい。
【0039】
圧電基板10は、例えばタンタル酸リチウム(LiTaO
3)、及びニオブ酸リチウム(LiNbO
3)等の圧電体からなる。IDT12、反射電極14、信号配線16、接地配線18、下地層30は例えばアルミニウム(Al)等を材料とする金属膜からなる。金属天井20、支持柱22、及び柱状端子32は、例えば銅(Cu)等の金属からなる。材料にCu、又はCuを含む合金を用いることで、金属天井20、支持柱22、及び柱状端子32を電解メッキ法により簡単に形成することができる。また金属天井20と圧電基板10との熱膨張係数の差が小さくなるため、圧電基板10の変形が抑制され、ラダー型フィルタの信頼性が高まる。半田ボール34は、例えば錫銀(SnAg)等の半田からなる。封止部24は、例えば液晶ポリマー、ポリイミド等の樹脂、又は樹脂以外の絶縁体からなる。液晶ポリマーはCuとの密着性が高いため、封止部24として用いることが好ましい。
【0040】
直列共振子S1〜S6が接地配線18に接続されず、かつ直列共振子S1〜S6上の金属天井20が信号配線16に接続されることにより、ラダー型フィルタの周波数特性の劣化を効果的に抑制することができる。実施例1においては、ラダー型フィルタを例としたが、例えば共振子単体、多重モード型フィルタ、デュアルフィルタ、デュープレクサ等に実施例の構成を適用してもよい。また実施例に係るフィルタをデュープレクサの送信フィルタ及び受信フィルタのいずれに適用してもよい。機能部は電子部品の機能を生じさせる部分であり、弾性表面波共振子以外に、弾性境界波共振子、圧電薄膜共振子等の弾性波共振子でもよい。圧電薄膜共振子を用いる場合、圧電基板10の代わりに、例えばシリコン(Si)からなる基板を用いる。またIDT12の代わりに、圧電体からなる圧電薄膜を挟む上部電極及び下部電極とが重なる領域が弾性波を励振する機能部となる。さらに、弾性波を利用しない、圧電ジャイロ、MEMS(Micro Electron Mechanical Systems)等の電子部品であっても、基板上に形成された機能部上に空隙を設ける必要があるものであれば、実施例は適用可能である。
【実施例2】
【0041】
実施例2は金属天井20を分割した例である。
図9(a)及び
図9(b)は、実施例2に係るラダー型フィルタを例示する平面図である。
図5(a)から
図6(c)において既述した構成については説明を省略する。
図9(a)及び
図9(b)に示すように、実施例2に係るラダー型フィルタ200においては、1つの共振子上に1つの金属天井20が設けられている。他の構成は、実施例1に係るラダー型フィルタ100と同じである。
【0042】
次にラダー型フィルタの周波数特性のシミュレーションについて説明する。シミュレーションでは、実施例2と比較例2とで周波数特性を比較した。比較例2は金属天井が接地されている例である。比較例2に係るラダー型フィルタの構成について説明する。
【0043】
図10(a)及び
図10(b)は、比較例2に係るラダー型フィルタを例示する平面図である。
図11は、比較例2に係るラダー型フィルタを例示する断面図である。
図10(a)の配線中の白抜きの領域は、配線上の支持柱122を表す。
図10(a)及び
図10(b)に示すように比較例2に係るラダー型フィルタ200Rにおいては、直列共振子S1上、共振子S2〜S6とP1及びP2との上、並列共振子P3〜P6上に1つずつ金属天井120が設けられている。
図10(a)及び
図10(b)に破線の円で示すように、直列共振子S1上には、金属天井120と接触する半田ボールからなる接地端子GND4が設けられている。金属天井120は信号配線116に接続されておらず、接地端子GND1〜GND4と接続されている。
図10(b)中に点線で示すように、複数の金属天井120のうち1つは接地端子GND1と重なり、一体化されている。複数の金属天井120のうち1つは接地端子GND2及びGND3と一体化されている。なお、後述する絶縁層117は、
図10(a)及び
図10(b)においては図示していない。
【0044】
図11に示すように、1つの支持柱122及びシードメタル121は信号配線116上に設けられている。支持柱122aと信号配線116との間には絶縁層117が設けられている。このため、支持柱122aと信号配線116とは絶縁される。なお、絶縁層117の上面は、支持柱122aの下面よりも大きい長さ、幅を有する。また、封止部124は、例えば
図11に点線で示した位置まで流入するが、粘性が高いため金属天井120の内側に大きく流入することは抑制される。
【0045】
次にシミュレーションに用いた回路について説明する。実施例2に係るラダー型フィルタ200及び比較例2に係るラダー型フィルタ200R各々を含むデュープレクサを、評価ボードに実装した構成でシミュレーションを行った。デュープレクサはLTE(Long Term Evolution) Band1方式に対応している。LTE Band1方式の送信帯域は1920MHz〜1980MHzに位置する。
【0046】
図12は、実施例2に係るラダー型フィルタを備えるデュープレクサを例示する図である。
図12及び
図13中では、送信フィルタ、およびアンテナ端子Antに付随する回路等の素子は省略してある。図中の破線は金属天井20を表す。
図12に示すように、デュープレクサ201の送信フィルタは実施例2に係るラダー型フィルタ200である。L1〜L3は、デュープレクサを評価するための評価ボードに含まれる。
【0047】
図13は、比較例2に係るラダー型フィルタを備えるデュープレクサを例示する図である。デュープレクサ201Rの送信フィルタは比較例2に係るラダー型フィルタ200Rである。
図10(a)及び
図10(b)中における1つの金属天井120は、
図13中において破線の直線で繋いで図示している。
【0048】
図14は、ラダー型フィルタの周波数特性の計算結果を示すグラフである。横軸は周波数、縦軸は減衰量をそれぞれ表す。実線は実施例2における計算結果、破線は比較例2における計算結果をそれぞれ表す。
図14に破線で示すように、比較例2においては通過帯域内の減衰量が増加している。また通過帯域外の減衰量が低下している。このように比較例2においては周波数特性が劣化している。これに対し実施例2においては、
図14に実線で示すように、通過帯域内の減衰量は小さく、かつ通過帯域外の減衰量は大きい。また実施例2と比較例2とでは通過帯域の幅が同程度である。以上のように、実施例2によれば特性の劣化を抑制することができる。
【0049】
実施例2のように複数の共振子の各々の上に1つの金属天井が設けられてもよいし、実施例1のように複数の共振子上に1つの金属天井が設けられてもよい。共振子、端子及び配線等のレイアウトに応じて金属天井の数を変更することが可能であるため、ラダー型フィルタの設計の自由度が高まる。
【実施例3】
【0050】
実施例3は、電子部品を組み込んだモジュールの例である。
図15(a)は、実施例3に係るモジュールを例示する断面図である。
図15(a)におけるラダー型フィルタ100の断面は、
図6(b)のC−Cに沿ったものである。
【0051】
図15(a)に示すように、実施例3に係るモジュール300は、ラダー型フィルタ100、プリント配線基板70及びモールド樹脂76を備える。プリント配線基板70は例えば樹脂からなり、配線72を備える。複数のプリント配線基板70は積層され、配線72同士はビア配線74により電気的に接続されている。ラダー型フィルタ100は、半田ボールにより配線72と電気的に接続されている。このように、ラダー型フィルタ100はプリント配線基板70にフリップチップ実装されている。最上層に位置するプリント配線基板70の上には、ラダー型フィルタ100を封止するモールド樹脂76が設けられている。実施例3によれば、モジュール300の周波数特性の劣化が抑制される。また、ラダー型フィルタ100が備える共振子は、封止部24に加えてモールド樹脂76により封止されるため、より効果的に保護される。
【実施例4】
【0052】
実施例4は、プリント配線基板に埋め込まれたラダー型フィルタを備える弾性波デバイスの例である。
図15(b)は、実施例4に係る弾性波デバイスを例示する断面図である。
図15(b)におけるラダー型フィルタ100の断面は、
図6(b)のA−Aに沿ったものである。
【0053】
図15(b)に示すように、実施例3に係るモジュール300において、ラダー型フィルタ100は、積層されたプリント配線基板70内に埋め込まれている。ラダー型フィルタ100は、例えば樹脂等の絶縁体からなる絶縁部78に覆われている。絶縁部78により、ラダー型フィルタ100は封止され固定されている。実施例3によれば、モジュール400の周波数特性の劣化が抑制される。また、ラダー型フィルタ100が備える共振子は、封止部24(
図15(b)において不図示)に加えてモールド樹脂76により封止されるため、より効果的に保護される。
【0054】
実施例3及び実施例4では、ラダー型フィルタ100を組み込んだモジュールを例としたが、モジュールは例えばデュアルフィルタ又はデュープレクサ等を備えるものでもよい。またモジュールは、フィルタと共に、例えばキャパシタ、インダクタ又は伝送線路等の受動素子を集積化したものでもよい。