(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半導体層と、前記半導体層上の第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上の電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層上の第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層上のコントロールゲート電極とを具備し、
前記電荷蓄積層は、前記第1の絶縁層上のフローティングゲート層と、前記フローティングゲート層上の界面絶縁層と、前記界面絶縁層上の第1のチャージトラップ層と、前記第1のチャージトラップ層上の第2のチャージトラップ層とを備え、
前記第2のチャージトラップ層のトラップ準位は、前記第1のチャージトラップ層のトラップ準位よりも低く、
前記第1のチャージトラップ層は、単斜晶構造を有し、前記第2のチャージトラップ層は、立方晶構造を有する不揮発性半導体記憶装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0011】
まず、実施例に係わるメモリセルの前提となるハイブリッド構造について説明する。
【0012】
ハイブリッド構造のメモリセルの特徴は、電荷蓄積層が、電気的にフローティング状態の導電層を備えるフローティングゲート層と、電荷を局所的にトラップする機能を持つ絶縁層を備えるチャージトラップ層との積層である点にある。
【0013】
また、ハイブリッド構造では、フローティングゲート層をトンネルバリア層側に配置し、チャージトラップ層をブロック絶縁層側に配置し、フローティングゲート層を、ブロック絶縁層側のチャージトラップ層により多くの電荷を蓄積させるためのバッファ層として機能させる。
【0014】
さらに、フローティングゲート層とチャージトラップ層の間に、チャージトラップ層に蓄積された電荷をフローティングゲート層にリークさせないための界面絶縁層を配置する点も、ハイブリッド構造の特徴の一つである。
【0015】
このようなハイブリッド構造によれば、例えば、素子分離絶縁層の上面と電荷蓄積層の上面とがほぼ同じであるフラットセル構造において、製造工程中に、メモリセル部が一時的にフィン状に加工されても、そのメモリセル部のアスペクト比を低減することができるため、フィン状のメモリセル部の倒壊を防止することができる。
【0016】
しかし、コンベンショナルなハイブリッド構造では、書き込み後のメモリセルの閾値電圧にばらつきが発生し易く、読み出しマージンの低下による誤読み出しが発生する可能性が高い。
【0017】
そこで、このような閾値電圧のばらつきが発生する理由を検証したところ、その原因は、主に、チャージトラップ層に捕獲された電荷が界面絶縁層を経由してフローティングゲート層に抜けてしまうことにあることが判明した。
【0018】
界面絶縁層は、チャージトラップ層に蓄積された電荷がフローティングゲート層に容易に抜けることがないように、その伝導帯下端が、チャージトラップ層の伝導帯下端よりも高くなる材料、例えば、窒化シリコン層(SiNなど)を備えるのが一般的である。
【0019】
しかし、界面絶縁層に窒化シリコン層を用いた場合、窒化シリコン層に電荷をトラップする性質があることに起因して、チャージトラップ層に蓄積された電荷がフローティングゲート層に容易に抜けてしまう。これは、界面絶縁層を設けた本来の目的が実現できないことを意味し、結果として、閾値電圧のばらつきの原因となる。
【0020】
また、特に、メモリセルがフラットセル構造を有するときは、電荷蓄積層とコントロールゲート電極との対向面積(キャパシタ容量)が小さいため、大きなカップリング比を得ることができず、チャージトラップ層内に十分な量の電荷を捕獲することが難しい。その結果、電子1個をチャージトラップ層に捕獲させることによって得られる閾値電圧の変化量、及びチャージトラップ層から1つの電荷が抜けることによる閾値電圧の変化量が大きくなり、これがフラットセル構造における閾値電圧のばらつきを顕著にしている。
【0021】
以下の実施例では、ハイブリッド構造において、メモリセルの閾値電圧のばらつきを抑制し、閾値電圧分布をシャープにするために必要なチャージトラップ層の構造及び材料について説明する。
【0022】
チャージトラップ層内に捕獲された電荷が、フローティングゲート層に抜け難く、かつ、フラットセル構造においても、大きなカップリング比により、より多くの電荷をチャージトラップ層内に捕獲し得るためには、チャージトラップ層内のできるだけブロック絶縁層に近いエリア内に、電荷を蓄積させるようにすればよい。
【0023】
このようにすれば、電荷蓄積層内に捕獲された電荷からみたコントロールゲート電極に対するキャパシタ容量が大きくなり、カップリング比の増大により、より多くの電荷をチャージトラップ層内のブロック絶縁層寄りに蓄積できるからである。また、電荷がチャージトラップ層内のブロック絶縁層寄りに捕獲される結果、その捕獲された電荷が、界面絶縁層を介して、フローティングゲート層に抜け難くもなる。
【0024】
従って、メモリセルの閾値電圧のばらつきが抑制され、閾値電圧分布がシャープになることにより、読み出しマージンが増加し、誤読み出しが発生し難くなる。
【0025】
また、このように、チャージトラップ層内のブロック絶縁層に近いエリア内に電荷を捕獲するために、実施例では、チャージトラップ層を2層構造とする。
【0026】
例えば、チャージトラップ層を、第1のトラップ準位を有する第1のチャージトラップ層と、第1のトラップ準位よりも低い第2のトラップ準位を有する第2のチャージトラップ層とにより構成する。そして、第1のチャージトラップ層を界面絶縁層側に配置し、第2のチャージトラップ層をブロック絶縁層側に配置する。
【0027】
このような2層構造によれば、コントロールゲート電極に近付くにつれてトラップ準位が深く(低く)なるため、より多くの電荷をブロック絶縁層に近いエリア内に捕獲することが可能になる。
【0028】
[構造]
図1は、不揮発性半導体記憶装置を構成するメモリセルアレイ内のメモリセルを示している。
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図である。
図3は、
図1のIII−III線に沿う断面図である。
【0029】
本例では、素子分離絶縁層11の上面と電荷蓄積層14の上面とがほぼ同じであるフラットセル構造について説明するが、メモリセルMCの構造は、これに限られない。また、メモリセルMCは、二次元構造を有していても、三次元構造を有していても、いずれであっても構わない。
【0030】
また、メモリセルMCは、電荷蓄積層14内の電荷量に応じて、2値データ(1ビットデータ)を記憶する2値メモリであってもよいし、4値データ(2ビットデータ)以上のデータを記憶する多値メモリであってもよい。
【0031】
半導体層(例えば、半導体基板)10は、例えば、シリコン層である。素子分離絶縁層11は、例えば、STI(Shallow Trench Isolation)であり、第1の方向に並び、第2の方向に延びる。素子分離絶縁層11は、例えば、酸化シリコン層であり、半導体層10の第3の方向にある表面上に設けられたトレンチ内に満たされる。
【0032】
アクティブエリアAAは、素子分離絶縁層11により挟まれた半導体層10のことである。アクティブエリアAAは、素子分離絶縁層11と同様に、第1の方向に並び、第2の方向に延びる。
【0033】
アクティブエリアAA内の半導体層10上には、例えば、直列接続された複数のメモリセルMCが配置される。本例では、メモリセルアレイは、NAND構造を有するが、これに限定されることはない。
【0034】
複数のメモリセルMCは、それぞれ、半導体層10の表面領域に配置される複数のソース/ドレイン領域12と、これらソース/ドレイン領域12間のチャネル領域上に配置されるゲート絶縁層(トンネル絶縁層)13と、ゲート絶縁層13上に配置される電荷蓄積層14と、電荷蓄積層14上に配置されるブロック絶縁層15と、ブロック絶縁層15上に配置されるコントロールゲート電極16とを備える。
【0035】
コントロールゲート電極16は、第1の方向に延び、ワード線WLとして機能する。
【0036】
本例では、メモリセルMCは、ソース/ドレイン領域12を有するが、これを省略することも可能である。なぜなら、直列接続された複数のメモリセルMC間の距離が狭くなると、いわゆるフリンジ効果により、ソース/ドレイン領域12がなくても、複数のメモリセルMCのチャネル領域を貫通する伝導経路を発生させることができるからである。
【0037】
電荷蓄積層14は、ゲート絶縁層13上に配置されるフローティングゲート層14aと、フローティングゲート層14a上に配置される界面絶縁層14bと、界面絶縁層14b上に配置される第1のチャージトラップ層14c−1と、第1のチャージトラップ層14c−1上に配置される第2のチャージトラップ層14c−2とを備える。
【0038】
ハイブリッド構造の場合、フローティングゲート層14aは、キャリアが第1及び第2のチャージトラップ層14c−1,14c−2内に捕獲かつ保持され易くするための補助的な役割を担っている。
【0039】
ここで、本例では、書き込み後のメモリセルの閾値電圧のばらつきを抑制するために、第1及び第2のチャージトラップ層14c−1,14c−2は、以下の条件を満たす材料により構成する。
【0040】
・ 第2のチャージトラップ層14c−2のトラップ準位が第1のチャージトラップ層14c−1のトラップ準位よりも低い
例えば、第1及び第2のチャージトラップ層14c−1,14c−2のメイン組成が同じである場合(例えば、両者ともにHfO
2を含む場合)、このような条件を満たすためには、第1のチャージトラップ層14c−1を単斜晶構造 (Monoclinic crystal structure)とし、第2のチャージトラップ層14c−2を立方晶構造 (Cubic crystal structure)もしくは斜方晶(orthorhombic)とすればよい。
【0041】
ここで、メイン組成が同じであるとは、第1及び第2のチャージトラップ層14c−1,14c−2の構成元素が同じであること、及び、第2のチャージトラップ層14c−2の構成元素が、第1のチャージトラップ層14c−1の構成元素の全てを含み、かつ、第1のチャージトラップ層14c−1の構成元素以外の元素(不純物)を含んでいること、を意味するものとする。
【0042】
尚、第1のチャージトラップ層14c−1がHfO
2の場合、HfO
2は、一般的には、単斜晶構造が安定状態である。即ち、第2のチャージトラップ層14c−2を立方晶構造とするためには、一工夫が必要である。
【0043】
これについては、製造方法の説明で詳述する。
【0044】
また、本例では、複数のメモリセルMCは、フラットセル構造を有する。即ち、素子分離絶縁層11の上面と電荷蓄積層14の上面とがほぼ同じであり、ブロック絶縁層15の下地がフラットになっている。
【0045】
フラットセル構造では、素子分離絶縁層11を形成する前に、メモリセル部が一時的にフィン状に加工され、微細化が進行するにつれてメモリセル部のアスペクト比(H/W)が大きくなることが知られている。
【0046】
しかし、本例によれば、メモリセルの閾値電圧のばらつきの抑制という効果に起因して、電荷蓄積層14の高さ(第3の方向の幅)を小さくできるため、メモリセル部のアスペクト比の増加を抑制し、製造工程中にフィン状のメモリセル部が倒壊することも防止できる。
【0047】
ブロック絶縁層15は、積層構造を有し、第1乃至第3の層を含む。第1の層15aは、書き込み時のリークを防止するための高い電位障壁を有する絶縁層であり、例えば、酸化シリコン層(SiO
2)である。第2の層15bは、メモリセルMCのカップリング比を向上させるための高い誘電率を有する絶縁層であり、例えば、酸化ハフニウム層(HfO
2)である。第3の層15cは、第2の層15bとコントロールゲート電極16との反応を防止するためのバッファ層であり、例えば、酸化タンタル層(TaO)である。
【0048】
本例では、ブロック絶縁層15は、3層構造を有するが、これに限られない。例えば、ブロック絶縁層15は、単層であってもよい。また、電荷蓄積層14とブロック絶縁層15の間、及び、ブロック絶縁層15とコントロールゲート電極16の間の少なくとも1つに、界面層が存在していてもよい。
【0049】
図4は、実施例のメモリセルのエネルギーバンド図を示している。
【0050】
同図において、縦方向がエネルギー、横方向が各層の位置を表している。また、同図の各名称は、
図1乃至
図3の構造の各名称に対応する。
【0051】
本例では、半導体層をSiとし、トンネル絶縁層をSiO
2とし、界面絶縁層をSiNとし、第1のチャージトラップ層を単斜晶構造HfO
2とし、第2のチャージトラップ層を立方晶構造HfO
2とし、ブロック絶縁層をSiO
2/HfO
2/TaOの積層とし、コントロールゲート電極を金属とする。
【0052】
第1のチャージトラップ層は、伝導帯下端から約0.65eV低い位置にチャージのトラップ準位を有する。また、第2のチャージトラップ層は、第1のチャージトラップ層のトラップ準位からさらに約0.3eV低い位置にチャージのトラップ準位を有する。
【0053】
このようなバンド構造によれば、ブロック絶縁層に近い第2のチャージトラップ層のトラップ準位が第1のチャージトラップ層のトラップ準位よりも低く、書き込み時に、第2のチャージトラップ層内により多くの電荷が捕獲される。このため、閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0054】
また、トラップ準位が深い第2のチャージトラップ層内に電荷が捕獲されることにより、第2のチャージトラップ層内における電荷の閉じ込め効果が高くなり、データ保持特性も向上する。
【0055】
図5は、実施例のメモリセルのエネルギーバンド図を示している。
【0056】
このバンド図は、
図4のバンド図と比べると、界面絶縁層のバンド構造が異なっている。その他の点については、
図4及び
図5のバンド構造で同じである。
【0057】
本例は、書き込み特性の向上とデータ保持特性の向上を図るために、界面絶縁層を、以下の条件を満たす材料により構成した点に特徴を有する。
【0058】
・ 伝導帯下端が第1のチャージトラップ層のトラップ準位よりも高い
・ 伝導帯下端が第1のチャージトラップ層の伝導帯下端よりも低い
・ 電荷トラップ性を有しない
図4のバンド構造では、界面絶縁層の伝導帯下端を第1のチャージトラップ層の伝導帯下端よりも高くする。例えば、第1のチャージトラップ層が単斜晶構造HfO
2であるときは、界面絶縁層としては、SiNを使用する。
【0059】
これに対し、
図5のバンド構造では、まず、書き込み特性の向上のため、界面絶縁層の伝導帯下端を第1のチャージトラップ層の伝導帯下端よりも低くする。これにより、書き込み時に、フローティングゲート層(例えば、Si)から第1のチャージトラップ層に移動するキャリアに対する電位障壁が低減され、書き込み特性が向上する。
【0060】
また、データ保持特性の向上のため、界面絶縁層の伝導帯下端を第1のチャージトラップ層のトラップ準位よりも高くする。即ち、第1及び第2のチャージトラップ層に捕獲されているキャリアがフローティングゲート層に抜けることを防止するためには、界面絶縁層の伝導帯下端を第1のチャージトラップ層のトラップ準位よりも高くすればよい。
【0061】
これにより、
図5のバンド構造では、メモリセルの閾値分布のばらつきの抑制と共に、書き込み特性及びデータ保持特性の向上を実現できる。
【0062】
尚、このような条件を満たす界面絶縁層の材料としては、例えば、チャージトラップ層がHfO
2であるときは、チャージトラップ層を構成する材料(HfO
2)に、アルカリ金属(例えば、Mg)又はランタノイド系材料(例えば、La又はY)を添加した材料を挙げることができる。
【0063】
但し、第1のチャージトラップ層、第2のチャージトラップ層及び界面絶縁層を構成する材料の組成比は、上述の例に限られない。例えば、第1のチャージトラップ層、第2のチャージトラップ層及び界面絶縁層が安定な状態を維持することを条件に、それらの組成比を適宜変更することは可能である。
【0064】
図6は、比較例のメモリセルのエネルギーバンド図を示している。
【0065】
同図において、縦方向がエネルギー、横方向が各層の位置を表している。
【0066】
図6の比較例は、
図4の実施例と比べると、チャージトラップ層が複数層であるか、又は、単層であるか、の違いを除いて、全て同じである。
【0067】
即ち、両者は、前提条件として、半導体層、トンネル絶縁層、フローティングゲート層、界面絶縁層、ブロック絶縁層及びコントロールゲート電極を、同じ構造及び同じ材料により構成し、チャージトラップ層のみを異ならせたものである。
【0068】
図7は、
図4の実施例と
図6の比較例の閾値分布を比較する図である。
【0069】
同図において、実線が
図4の実施例を示し、破線が
図6の比較例を示している。また、横軸は、書き込み閾値電圧Vthであり、縦軸は、ビット数(Bit Count)である。
【0070】
実施例によれば、比較例に比べて、書き込み後の閾値分布のばらつきを抑制し、閾値分布をシャープにすることができる。従って、読み出し時のマージンを十分に確保することができ、誤読み出しを防止できる。
【0071】
図8は、
図5の実施例と
図6の比較例の書き込み特性を比較する図である。
【0072】
ここでは、メモリセルの書き込み特性を、書き込み電圧Vpgmと閾値電圧の変化量ΔVthとの関係で表している。
【0073】
同図によれば、書き込み電圧が同じである場合に、実施例の閾値電圧の変化量が、比較例の閾値電圧の変化量よりも大きくなることが容易に理解できる。
【0074】
即ち、これは、同じ条件下で書き込みを行ったときに、実施例のメモリセルが、比較例のメモリセルに比べて、より多くの電荷をチャージトラップ層内に捕獲することができることを意味する。
【0075】
このように、実施例によれば、書き込み特性を向上することができる。
【0076】
図9は、
図5の実施例と
図6の比較例のデータ保持特性を比較する図である。
【0077】
ここでは、メモリセルのデータ保持特性を、書き込み直後の時点からの経過時間Timeと閾値電圧の変化量ΔVthとの関係で表している。
【0078】
同図によれば、書き込み直後のメモリセルの閾値電圧が同じであると仮定した場合に、実施例の閾値電圧の変化量が、比較例の閾値電圧の変化量よりも小さくなることが容易に理解できる。
【0079】
即ち、これは、書き込み直後に、実施例と比較例のメモリセルを同じ環境下に置いたときに、実施例のメモリセルが、比較例のメモリセルに比べて、より多くの電荷をチャージトラップ層内に保持することができることを意味する。
【0080】
このように、実施例によれば、データ保持特性を向上することができる。
【0081】
[製造方法]
図1乃至
図3の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を説明する。
【0083】
これらの図において、第1、第2及び第3の方向は、
図1乃至
図3の第1、第2及び第3の方向に対応する。また、第1及び第2の方向は、例えば、半導体基板としての半導体層10の表面に平行な方向であり、かつ、互いに直交する。第3の方向は、例えば、半導体基板としての半導体層10の表面に垂直な方向である。
【0084】
また、第1の方向は、例えば、コントロールゲート電極(ワード線)が延びる方向であり、かつ、メモリセルとしてのセルトランジスタ(FET:Field Effect Transistor)のチャネル幅に平行な方向である。第2の方向は、例えば、ビット線が延びる方向であり、かつ、メモリセルとしてのセルトランジスタのチャネル長に平行な方向である。
【0085】
さらに、これらの図において、
図1乃至
図3と同一の要素には同じ符号を付すことにより、
図1乃至
図3の構造と
図10乃至
図18の製造方法の対応関係を明確化する。
【0086】
まず、
図10に示すように、例えば、熱酸化法により、半導体層10上にゲート絶縁層(例えば、酸化シリコン層)13を形成する。続けて、例えば、CVD法又はALD法により、ゲート絶縁層13上にフローティングゲート層(例えば、導電性ポリシリコン層)14aを形成する。
【0087】
次に、
図11に示すように、フローティングゲート層14a上に、界面絶縁層14b、第1のチャージトラップ層14c−1、及び、第2のチャージトラップ層14c−2を形成する。
【0088】
ここで、例えば、
図5のバンド構造を実現するため、界面絶縁層14bを、第1のチャージトラップ層14c−1を構成する材料にアルカリ金属及びランタノイド系材料のうちの1つを添加した材料により構成する。この場合、界面絶縁層14b及び第1のチャージトラップ層14c−1は、同一チャンバー内で連続して形成することが可能である。
【0089】
例えば、
図12に示すように、界面絶縁層14bは、第1の条件として、第1のガス(Hfを含むガス)、第2のガス(アルカリ金属又はランタノイド系材料のうちの1つを含むガス)及び第3のガス(酸素を含むガス、例えば、H
2O又はO
3)を含む雰囲気中で形成される。
【0090】
また、第1のチャージトラップ層14c−1は、第2の条件として、第1及び第3のガスを含み、第2のガスを含まない雰囲気中で形成される。
【0091】
この場合、界面絶縁層14b及び第1のチャージトラップ層14c−1は、同一チャンバー内で第1及び第2の条件の切り替えを行うことにより連続して形成することが可能である。
【0092】
ここで、第1及び第2の条件の切り替えは、界面絶縁層14bの形成後に、第2のガスの供給を止めるだけでよい。
【0093】
例えば、CVD法、ALD法又はPVD法により、第1、第2及び第3のガスを含む雰囲気中で界面絶縁層14bを形成した後、第2のガスのみを止めて、引き続き、第1のチャージトラップ層14c−1を形成することができる。
【0094】
尚、界面絶縁層14b及び第1のチャージトラップ層14c−1の形成に関しては、それらの厚さを一原子層単位で制御可能な方法を採用するのが望ましい。
【0095】
第1のチャージトラップ層14c−1は、例えば、CVD法、ALD法又はPVD法により形成された直後においては、アモルファス状態にある。そこで、この後、熱処理(アニール)を行い、アモルファス状態の第1のチャージトラップ層14c−1を結晶化させる。
【0096】
例えば、
図13及び
図14に示すように、界面絶縁層14b上に、第1のチャージトラップ層(例えば、HfO
2)14c−1を形成した後、温度600℃以上のアニールを行うことにより、第1のチャージトラップ層14c−1は、アモルファス状態から単斜晶構造に変化する。
【0097】
この後、例えば、CVD法、ALD法又はPVD法により、第1のチャージトラップ層14c−1上に、第2のチャージトラップ層(例えば、HfO
2)14c−2を形成する。第2のチャージトラップ層14c−2も、例えば、CVD法、ALD法又はPVD法により形成された直後においては、アモルファス状態にある。
【0098】
そこで、この後、熱処理(アニール)を行い、アモルファス状態の第2のチャージトラップ層14c−2を結晶化させる。
【0099】
但し、第2のチャージトラップ層14c−2は、第1のチャージトラップ層14c−2とは異なり、立方晶構造にする必要がある。
【0100】
第2のチャージトラップ層14c−2を立方晶構造とするためには、例えば、
図13に示すように、第2のチャージトラップ層14c−2を形成した後、1000℃/sec以上の高速昇降による900℃以上のアニール(例えば、RTP:Rapid thermal process)を行えばよい。
【0101】
このようなアニールを行うことにより、第2のチャージトラップ層14c−2は、アモルファス状態から立方晶構造に変化する。
【0102】
また、第2のチャージトラップ層14c−2を立方晶構造とするためには、例えば、
図14に示すように、第2のチャージトラップ層14c−2を形成する際に、第2のチャージトラップ層14c−2内に不純物(Si、Ti及びGeのグループから選択される1つ)を含ませればよい。
【0103】
尚、第2のチャージトラップ層14c−2内の不純物の濃度は、10%以下であるのが望ましい。
【0104】
この場合、例えば、温度600℃以上のアニールを行うことにより、第2のチャージトラップ層14c−2は、アモルファス状態から立方晶構造に変化する。
【0105】
次に、
図15に示すように、PEP(Photo Engraving Process)により、フローティングゲート層14a、界面絶縁層14b、第1のチャージトラップ層14c−1及び第2のチャージトラップ層14c−2を備える電荷蓄積層14上に、レジストパターン21を形成する。
【0106】
そして、このレジストパターン21をマスクにして、RIEにより、電荷蓄積層14、ゲート絶縁層13及び半導体層10をエッチングする。その結果、複数のメモリセル部の間には、素子分離トレンチTが形成され、かつ、この素子分離トレンチTにより形成された複数のメモリセル部は、それぞれ、第1の方向の幅がWであり、第2の方向に延び、第3の方向の高さがHであるフィン状となる。
【0107】
この後、レジストパターン21は除去される。
【0108】
尚、本例では、フィン状のメモリセル部のパターニングを、レジストパターン21をマスクにして行ったが、レジストパターン21に代えて、ハードマスク層をマスクにしてもよい。
【0109】
次に、
図16に示すように、例えば、CVD法により、素子分離トレンチTを完全に満たす素子分離絶縁層(例えば、酸化シリコン層)11を形成する。また、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により、素子分離絶縁層11を研磨し、素子分離絶縁層11を素子分離トレンチT内のみに残存させる。
【0110】
その結果、STI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離絶縁層11が形成される。
【0111】
次に、
図17に示すように、例えば、CVD法又はALD法により、素子分離絶縁層11上及び電荷蓄積層14上に、ブロック絶縁層(15a,15b,15c)15を形成する。ブロック絶縁層15は、フラットな下地上に形成される。即ち、ブロック絶縁層15は、電荷蓄積層14の上面のみを覆い、電荷蓄積層の側面を覆わない。この構造は、既に述べたように、フラットセル構造と呼ばれ、メモリセルの第1の方向の幅を狭めて、メモリセルの微細化を図るのに有効である。
【0112】
また、例えば、CVD法又はALD法により、ブロック絶縁層15上にコントロールゲート電極16を形成する。
【0113】
次に、
図18に示すように、例えば、PEP及びRIEにより、メモリセルのパターニングを行う。
【0114】
例えば、第1の方向に延びるライン&スペースパターンのレジストパターンをマスクにして、コントロールゲート電極16、ブロック絶縁層15、電荷蓄積層14及びゲート絶縁層13を順次エッチングすることにより、第2の方向に互いに分断された複数のメモリセルMCを形成する。
【0115】
尚、コントロールゲート電極16は、この時点で、第1の方向に延びるワード線WLとなる。
【0116】
最後に、メモリセルMCのコントロールゲート電極16をマスクにして、イオン注入により、半導体層10内に不純物を注入すると、ソース/ドレイン領域12がセルフアラインで形成される。
【0117】
以上の製造工程により、
図1乃至
図3の不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。