【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0028】
〔実施例1〕本発明のシリコーン化合物の効果確認(1)
微量採血管処理試料の測定における本発明のシリコーン化合物の効果を確認した。
【0029】
<試験方法>
(1)従来法LTIA試薬
SSタイプ ピュアオート(登録商標)S CRPラテックス(積水メディカル社製)を使用した。
(2)試験用試薬
(2−1)第1試薬
従来法LTIA試薬の緩衝液第1液(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール緩衝液(pH8.5) 20mmol/L)をそのまま使用した。
(2−2)第2試薬
(i)対照試液
従来法LTIA試薬のラテックス試液第2液(抗ヒトC反応性蛋白マウスモノクローナル抗体感作ラテックス 2.25mg/mL)をそのまま使用した。
(ii)実施例1a〜1c試液
シリコーン化合物として、FZ−2166(日本ユニカー社製)、KF−618(信越シリコーン社製)、SH3749、SH7090、SF8410、SH8700、(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、TSA775、TSF4440(以上、GE東芝シリコーン社製)を、最終濃度0.01%、0.03%、0.10%になるよう対照試液に添加し、37℃で24時間加温後に使用した。
(3)微量採血管処理試料および対照試料の調製
微量採血管:BDマイクロテイナマイクロガードチューブ(カタログ番号:365985、ヘパリンリチウム及び血漿分離剤入り、日本ベクトン・デッキンソン社製、採血量0.4〜0.6mL用)に対し、全血を、所定量である0.6mLあるいは所定量の1/12量である0.05mL分注して転倒混和後、30分静置し、微量採血管処理試料(以下、それぞれ0.6mL試料、0.05mL試料という)を調製した。対照試料は、ベノジェクトII(コード番号:VP−HL050K、ヘパリンリチウム、テルモ社製、採血量5mL用)を用いて調製した。
(4)測定方法
試験用試薬として、第1試薬(従来法LTIA試薬の緩衝液第1液)に4種類の第2試薬(対照試液1種類、実施例1a〜1c試液3種類)を組み合わせて使用し、測定試料(対照試料および微量採血管処理試料(0.6mL試料および0.05mL試料))を、日立7170形自動分析装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、下記(5)の測定パラメータにより測定した。
(5)日立7170形自動分析装置の測定パラメータ
(i)液量:測定試料−第1試薬−第2試薬:3μL−150μL−50μL
(ii)分析法:2ポイントエンド法(測光ポイント19−34)
(iii)測定波長:570nm/副波長800nm
(iv)キャリブレーション:スプライン
(v)キャリブレーター:SSタイプ ピュアオート(登録商標)S CRPラテックス
キャリブレーター
【0030】
<測定結果>
4種類の第2試薬(対照試液1種類、実施例1a〜1c試液3種類)を使用して測定した0.6mL試料および0.05mL試料の吸光度を、第2試薬に対照試液を使用して測定した対照試料の吸光度で除して相対吸光度(%)を求めた。結果を表1に示した。
本発明のシリコーン化合物を含有していない対照試液を第2試薬に用いて微量採血管処理試料を測定した場合(比較例1)、相対吸光度の低下が確認された。特に0.05mL試料(所定量の1/12容量である0.05mL分注)では75.6%と大幅な相対吸光度の変動(低下)が確認された。
これに対して、実施例1a〜1c試液(本発明のシリコーン化合物として8種類、各3濃度を含有する)を第2試薬に用いて微量採血管処理試料を測定した場合(実施例1a〜1c)、0.05mL試料を測定した場合においても、相対吸光度の変動は、僅かであるか、ほとんどなかった。
【0031】
【表1】
【0032】
〔実施例2〕本発明のシリコーン化合物を用いたLTIA試薬の調製方法の検討
本発明のシリコーン化合物を用いたLTIA試薬の調製方法について検討を行った。
【0033】
<試験方法>
(1)従来法LTIA試薬
実施例1と同じ従来法LTIA試薬を使用した。
(2)試験用試薬
(2−1)第1試薬
(i)対照試液R1
従来法LTIA試薬の緩衝液第1液をそのまま使用した。
(ii)実施例2a試液
TSA775を、最終濃度0.01%、0.03%になるよう対照試液R1に添加し、37℃で24時間加温後に使用した。
(2−2)第2試薬
(i)対照試液R2
従来法LTIA試薬のラテックス試液第2液をそのまま使用した。
(ii)実施例2b試液
TSA775を、最終濃度0.01%、0.03%になるよう対照試液R2に添加し、10℃以下に24時間静置した後に使用した。
(iii)実施例2c試液
TSA775を、最終濃度0.01%、0.03%になるよう対照試液R2に添加し、37℃で24時間加温後に使用した。
(3)微量採血管処理試料および対照試料の調製
実施例1と同様にして0.6mL試料、0.05mL試料および対照試料を調製した。
(4)測定方法
試験用試薬として、第1試薬−第2試薬を下記4通りに組み合わせて使用し、測定試料(対照試料および微量採血管処理試料(0.6mL試料および0.05mL試料))、日立7170形自動分析装置を用い、下記(5)の測定パラメータにより測定した。
比較例2 :対照試液R1−対照試液R2、
実施例2a:実施例2a試液−対照試液R2、
実施例2b:対照試液R1−実施例2b試液、
実施例2c:対照試液R1−実施例2c試液
(5)日立7170形自動分析装置の測定パラメータ
実施例1と同条件とした。
【0034】
<測定結果>
4種類の第1試薬−第2試薬の組み合わせ(比較例2、実施例2a〜2c)を使用して測定した0.6mL試料および0.05mL試料の測定値(キャリブレータにより濃度換算した値)を、比較例2の第1試薬−第2試薬の組み合わせを使用して測定した対照試料の測定値で除して相対測定値(%)を求めた。結果を表2に示した。
本発明のシリコーン化合物を全く含有していない対照試液R1−対照試液R2の組み合わせで微量採血管処理試料を測定した場合(比較例2)、相対測定値の低下が確認された。
これに対して、本発明のシリコーン化合物を含有する実施例2a〜2c試液を用いて微量採血管処理試料を測定した場合(実施例2a〜2c)、0.05mL試料を測定した場合においても、相対測定値の変動は、僅かであるか、ほとんどなかった。
本発明のシリコーン化合物を含有する試液を使用した実施例2a〜2cにおける、2種類のシリコーン化合物濃度での0.6mL試料および0.05mL試料の相対測定値(4種類)の平均値は、それぞれ96.0%(実施例2a)、98.3%(実施例2b)、100.5%(実施例2c)であった。以上より、検討した3条件間では、抗体担持ラテックスを含有する試液に本発明のシリコーン化合物を添加し、さらに37℃で24時間加温した場合が、最も干渉低減効果が高かった。
これは、加温およびインキュベートにより、シリコーン化合物の試液中での溶解度が向上したり、あるいは、いわゆるブロッキング効果と同様の効果が付加されたことによる可能性が考えられた。
【0035】
【表2】
【0036】
〔実施例3〕本発明のシリコーン化合物の効果確認(2)
界面活性剤添加試料の測定における本発明のシリコーン化合物の効果を確認した。
【0037】
<試験方法>
(1)従来法LTIA試薬
実施例1と同じ従来法LTIA試薬を使用した。
(2)試験用試薬
(2−1)第1試薬
従来法LTIA試薬の緩衝液第1液をそのまま使用した。
(2−2)第2試薬
(i)対照試液
従来法LTIA試薬のラテックス試液第2液をそのまま使用した。
(ii)実施例3試液
TSA775を、最終濃度0.01%になるよう対照試液に添加し、37℃で20時間加温後に使用した。
(3)界面活性剤添加試料および対照試料の調製
ガラス試験管に全血分注して得た血清に対し、表3に記載の添加濃度(最終濃度)になるようTriton(登録商標)X−100(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)、Tween(登録商標)20(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、Brij(登録商標)35(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル)を添加して界面活性剤添加試料を調製した。対照試料は、生理食塩水を添加した血清を使用した。
(4)測定方法
試験用試薬として、第1試薬(従来法LTIA試薬の緩衝液第1液)に2種類の第2試薬(対照試液、実施例3試液)を組み合わせて使用し、測定試料(対照試料および界面活性剤添加試料)、日立7170形自動分析装置を用い、下記(5)の測定パラメータにより測定した。
(5)日立7170形自動分析装置の測定パラメータ
実施例1と同条件とした。
【0038】
<測定結果>
2種類の第1試薬−第2試薬の組み合わせ(比較例3、実施例3)を使用して測定した界面活性剤添加試料の測定値(キャリブレータにより濃度換算した値)を、比較例3の第1試薬−第2試薬の組み合わせを使用して測定した対照試料の測定値で除して相対測定値(%)を求めた。結果を表3に示した。
本発明のシリコーン化合物を含有させた実施例3では、比較例3に対して相対測定値の変動幅が少なかった。特に界面活性剤高濃度時にはその差は顕著であった。
本発明の方法を使用したLTIA測定系では、非特許文献1に記載された界面活性剤の干渉も回避できることがわかった。
【0039】
【表3】