【実施例】
【0079】
実施例1
オーバーラップPCRを使用するHRV14 3Cプロテアーゼコード配列の合成
成熟ヒトライノウイルス株14(HRV14)3Cプロテアーゼのアミノ酸配列は次の通りである:
GPNTEFALSLLRKNIMTITTSKGEFTGLGIHDRVCVIPTHAQPGDDVLVNGQKIRVKDKYKLVDPENINLELTVLTLDRNEKFRDIRGFISEDLEGVDATLVVHSNNFTNTILEVGPVTMAGLINLSSTPTNRMIRYDYATKTGQCGGVLCATGKIFGIHVGGNGRQGFSAQLKKQYFVEKQ(配列番号:35)
大腸菌中での発現のために最適化された配列番号:35をコードするDNA配列及びコドンを生産した。成熟HRV14 3Cプロテアーゼ合成遺伝子断片は、PCRの二つの逐次工程を使用するオーバーラップ伸長PCR法により、スプライシングを使用して得た。第一のPCR反応では、16のオーバーラッププライマー(8つの順方向及び8つの逆方向プライマー)を使用して、可撓性リンカーをコードする5末端領域を含む全HRV14配列を産生させた(配列番号:28)。プライマーは〜50bpのサイズで、プライマー間のオーバーラップは〜20bpであった。第二のPCR反応では、それぞれXhoI及びBamHIクローニング部位を有する末端順方向及び逆方向プライマーを使用し、鋳型として第一PCR反応の産物を使用して全配列を増幅させた。Phusion PCR系(Finnzymes)を使用した。第一PCR反応は、本質的に製造者の指示書に従って好適な量の16全てのプライマーを用いて次のようにして準備した。第一反応のためのPCR条件は次の通りであった;
98℃30秒(初期変性)
98℃10秒(変性)
50℃30秒(アニーリング)
72℃15秒(伸長)
10サイクルの間
72℃5分(最終伸長)
【0080】
第一反応からのPCR産物を、PCR溶液から、GFX
TM PCR DNA及びGel Band精製キット(GEヘルスケア)を使用して直接精製した。
第二のPCR反応において、最も端部の順方向及び逆方向プライマーを使用して、第一反応からのPCR産物から全HRV14 3Cコード配列を増幅させた。条件は、55℃をアニール温度として使用し、20サイクルを10の代わりに使用したことを除いて、第一反応に対して記載したものと同じであった。
第二反応からのPCR産物は、アガロースゲル電気泳動によって判定され予想されたように〜600塩基対のサイズを有している。PCRバンドをアガロースゲルから切除し、PCR産物を、製造者の指示書に従ってGFX
TM PCR DNA及びGel Band精製キット(GEヘルスケア)を使用して精製した。精製したPCR産物を、製造者の指示書に従って確立されたTOPOクローニング系(Invitrogen)を使用してプラスミド中にサブクローニングし、ライゲーション産物を、プラスミド増幅のためにTOP10大腸菌細胞(Invitrogen)中に形質転換させた。単離されたTOP10クローンから得られたプラスミドのXhoI/BamHI挿入断片の正しい配列をDNA配列決定によって証明した。
【0081】
異なった熱安定性アルカリタンパク質タグを持つHRV14のpET11aベクターへのライゲーション
HRV14 3Cプロテアーゼコード領域を含むXhoI/BamHI断片をTOPOプラスミドベクター(Invitrogen)から切除した。ついで、XhoI/BamHI断片を、異なったN末端熱安定アルカリタグをコードする挿入断片がリンカー及びプロテアーゼコード領域の5末端に結合するようにpET11aベクター(Novagen)中にライゲーションさせた。介在リンカーでHRV14 3CプロテアーゼのN末端に融合した異なったタグをコードする16のpET11aベクターを
図1に示すようにして生産した。
DNA配列の検証を制限酵素切断及び/又はDNA配列決定によって実施した。
次のタグつき酵素を生産した:
【0082】
タグつきHRV14 3Cプロテアーゼの発現
異なったN末端タグを有するHRV143CプロテアーゼをコードするpET11aベクターコンストラクトを、熱ショック又は化学薬品ベースの標準的方法によってRosetta(DE3)(Novagen)大腸菌株に形質転換させた。形質転換した細胞を、150マイクログラム/ミリリットルのアンピシリンと34マイクログラム/ミリリットルのクロラムフィニコールを含むLB(Luria−Bertani)培地寒天板で一晩増殖させた。アンピシリンとクロラムフィニコールを含む液体LB培地を培養皿から播種し、37℃、240rpmで振盪フラスコで培養した。培地に0.5mMのIPTGを加えてタンパク質の誘導を開始した後、OD
600:〜0.4−0.8に達したときに温度を30℃まで低下させた。3時間の誘導後に得られた最終OD
600は、1.6−2.8の範囲であった。細胞を遠心分離によって収集した。誘導細胞及び未誘導細胞、並びに誘導細胞の可溶型及び不溶型画分(25mMのNaPO
4,pH7からなるバッファー中での超音波処理及び遠心分離によって得た)を含むペレットの可溶化物のSDS−PAGEを実施して、HRV14 3Cプロテアーゼ変異体の発現レベルと溶解性を評価した。発現レベルには差が観察されたが、非常に高い溶解性(〜80%又はそれ以上)がHRV14 3Cプロテアーゼの殆どのタグ付き型について観察された。
【0083】
配列番号:19(pACSH239)のタグがN末端についたHRV14 3Cプロテアーゼの精製:
pACSH239プロテアーゼの細胞培養ペレット(40mlの培養から)を、pH7の25mMのNaPO
4を含むバッファー中での超音波処理によって破壊した。細胞細片を10000gの遠心分離によって遠心沈殿させた。上清を、AKTAエクスプローラー100精製システム(GEヘルスケア)を使用して実施した精製前に滅菌濾過した。5mlのカラム容積のプレパックSPセファロースFF Hiトラップカラム(GEヘルスケア)を、次のバッファーを使用する3ml/分の流量での分離に使用した:
バッファーA: 50mMのリン酸ナトリウム,pH7+1mMのEDTA
バッファーB: 50mMのリン酸ナトリウム,pH7+1MのNaCl+1mMのEDTA
【0084】
カラムは最初に7カラム容量のバッファーAに対して平衡にした。アプリケーションの充填後に、7カラム容量のバッファーAを使用する洗浄によって未結合タンパク質を除去した。20カラム容積に対して0−100%バッファーBの線形勾配を使用して、カラムからpACSH239プロテアーゼを溶離させた。融合タンパク質は0.4−0.5MのNaClの塩濃度でカラムから溶離させた。幾らかのタンパク質がフロースルーにおいて失われた。しかしながら、pACSH239プロテアーゼは単一の陽イオン交換クロマトグラフィー工程で、HPLC及びSDS−PAGE標準法によって決定して高純度(〜85−90%)まで精製することができた。LC−MSによって、溶離されたpACSH239プロテアーゼが予想された分子量を有していることがまた証明された。
【0085】
配列番号:10(pACSH238)のタグがN末端についたHRV14 3Cプロテアーゼの精製:
pACSH239に対して記載したようにして80mlの細胞培養物からのpH7の25mMのNaPO
4中で超音波処理した細胞培養ペレットから、精製の準備ができた上清を調製した。SPセファロースFFプレパック5mlHiトラップカラム(GEヘルスケア)にアプリケーションを充填した。流量は3ml/分であり、精製に使用したバッファーは:
バッファーA: 50mMのリン酸ナトリウム,pH7
バッファーB: 50mMのリン酸ナトリウム,pH7 + 1MのNaCl
であった。
カラムは最初に7カラム容量のバッファーAに対して平衡にした。7カラム容量のバッファーAを使用する洗浄工程において未結合試料を除去し、20カラム容積に対して0−100%バッファーBの線形勾配を使用して、カラムからpACSH238プロテアーゼを溶離させた。
pACSH238プロテアーゼは〜0.2MのNaCの濃度でカラムから溶離させた。pACSH239プロテアーゼとは対照的に、pACSH238プロテアーゼの主要な部分がこれらの精製条件でカラムに結合した。LC−MSによって、溶離されたプロテアーゼが予想された分子量を有していることがまた証明された。第一の精製工程の回収率はpACSH239プロテアーゼと比較すると4倍高く、純度はHPLC及びSDS−PAGE分析から判断して〜90%であった。
【0086】
配列番号:19タグつきHRV14_3Cプロテアーゼ(pACSH239)の活性の評価
修飾HRV14 3C切断部位SSSGGSEVLFQ(配列番号:36)を持つ介在リンカーを有するS661インスリンレセプターアンタゴニストペプチドを含む融合タンパク質(pACSH294)を切断するために、pACSH239プロテアーゼの活性を、異なった量のプロテアーゼを使用して推定した。
S661ペプチドは次の配列を有している:
GSLDESFYDWFERQLGGGSGGSSLEEEWAQIQCEVWGRGCPSY(配列番号:37)。
pACSH294融合タンパク質基質とpACSH239プロテアーゼの匹敵するタンパク質濃度を、HPLCクロマトグラムの解析からのUV214nmの吸光度ピーク面積の積分によって計算した。酵素と基質を200uLの反応容積で混合し、異なった基質に対する酵素の比(濃度に従って調節)を使用して50mMのTrisHCl、pH7.5、150mMのNaClを含む切断バッファー中で25℃にて6又は12時間、インキュベートした。LC−MS実験は、S661ペプチド(配列番号:37)と放出されたタグ(配列番号:19)+リンカー(配列番号:36)だけが、1:100の酵素対基質比を使用して12時間のインキュベーション後に観察されたことを示している(
図2)。非常に少量の融合タンパク質だけが1:200の比を使用して12時間後に残った。従って、該結果は、1:100−1:200の酵素/基質比が一晩のインキュベーションでpACSH294融合タンパク質を完全にプロセシングするために十分であることを示している。
【0087】
消化中に存在している放出S661ペプチドは、続いて、陰イオン交換クロマトグラフィーカラム(HiTrap Qセファロース・ハイ・パーフォーマンス, 1 ml, GE Healthcare)を使用して98%を越える純度まで精製しうる。バッファー及び一般的精製条件は、pACSH239プロテアーゼの精製に対して記載された通りであった。S661ペプチドはこのカラムに結合したが、pACSH239プロテアーゼは溶離勾配内でカラムから如何なる塩濃度でも溶離せず、フロースルー画分のLC−MS分析によって判断されるフロースルーにおいて観察されただけであった。よって、pACSH239プロテアーゼは第二の精製工程において標的タンパク質から効果的に除去された。
【0088】
配列番号:10タグつきHRV14_3Cプロテアーゼ(pACSH238)の活性の評価
同一量のpACSH238又はpACSH239プロテアーゼを用いて、併行実験において、50mMのTrisHCl pH7.5,150mMのNaClからなるバッファー中のpACSH294基質をプロセシングした。1:25又は1:50の酵素:基質比を二種の酵素に対して評価した。30℃での3時間のインキュベーション後に放出されたS661インスリンレセプターアンタゴニストペプチドの量は、二種の酵素に対して正確に同じであり、N末端に付着したタグが異なったサイズであるにもかかわらず、それらが統一の特異的活性を有していることを示している。pACSH239プロテアーゼと同様に、pACSH238プロテアーゼは陰イオン交換カラムに結合せず、よってそれが標的タンパク質前躯体の消化に続いて適切な精製によって効果的に除去されうることを示している。
【0089】
実施例2
タグつきタバコエッチウイルスプロテアーゼのクローニング
成熟タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼは次のアミノ酸配列を有している:
GESLFKGPRDYNPISSTICHLTNESDGHTTSLYGIGFGPFIITNKHLFRRNNGTLLVQSLHGVFKVKNTTTLQQHLIDGRDMIIIRMPKDFPPFPQKLKFREPQREERICLVTTNFQTKSMSSMVSDTSCTFPSSDGIFWKHWIQTKDGQCGSPLVSTRDGFIVGIHSASNFTNTNNYFTSVPKNFMELLTNQEAQQWVSGWRLNADSVLWGGHKVFMVKPEEPFQPVKEATQLMN(配列番号:38)
安定化変異(S219V)を持つTEV配列を含む挿入断片を、Phusion PCR系(Finnzymes)、XhoI及びBamHIクローニング部位をそれぞれ含む順方向及び逆方向プライマー及び既存のTEV(Ser219Val)コードプラスミドを鋳型として用いて、標準的PCR法によって得た。PCR産物の5’端は可動性リンカーをコードする配列(配列番号:28)を含んでいた。
【0090】
PCR産物をGFX精製(GEヘルスケア)し、製造者(Invitrogen)の指示に従い、かつ実施例1に記載したようにしてTOPOベクター中にサブクローニングした。TOPOプラスミドからのXhoI/BamHI挿入断片の正しいTEVコード配列を、DNA配列決定によって検証した。正しい挿入断片をXhoI/BamHI酵素でTOPOプラスミドから切除し、pET11a(Novagen)発現ベクターの熱安定性アルカリタグをコードする挿入断片の3’端に融合させた。次のコンストラクトを作製した:
【0091】
タグつきTEVプロテアーゼ変異体の発現
pACSH307、pACSH308及びpACSH309プロテアーゼコードプラスミドをRosetta(DE3)(Novagen)大腸菌株中に形質転換させた。形質転換細胞を、150マイクログラム/ミリリットルのアンピシリンと34マイクログラム/ミリリットルのクロラムフィニコールを含むLB(Luria−Bertani)培地寒天プレートで一晩増殖させた。アンピシリンとクロラムフィニコールを含む液体LB培地を培養プレートから播種し、振盪フラスコで37℃、240rpmで培養した。温度を、OD
600:〜0.4−0.5に達したときに30℃に低下させた。この温度への30分の適合化後、培養培地に0.5mMのIPTGを加えることによって、タンパク質誘導を開始させた。3時間の誘導後に得られた最終OD
600は1.6の範囲であった。細胞を遠心分離によって収集した。誘導細胞及び非誘導細胞、並びに誘導された細胞の可溶性及び不溶性画分を含むペレットの可溶化物(10mMのNaPO4、pH7からなるバッファー中での超音波処理及び遠心分離によって得られた)のSDS−PAGEを実施して、TEVプロテアーゼ変異体の発現レベル及び溶解性を評価した。発現レベルは3種全てのコンストラクトに対して同様であった。溶解性は、配列番号:10のタグつきTEV変異体(〜70%)(pACSH307)に対して最も高いと推定された。
【0092】
pACSH307プロテアーゼの精製
25mMのNaPO4、pH7中で超音波処理された培養ペレット(80mlの培養から)からの滅菌濾過上清からpACSH307プロテアーゼの精製を、AKTAエクスプローラー100システム(GEヘルスケア)を使用し、実施例1にpACSH238に対して記載したバッファー及び条件を正確に用いて実施した。分離をHiTrap SPセファロースFF5mlカラムで実施したとき、約0.25MのNaClでピークが明らかに溶離した。ピークの最高点からの画分のLC−MS分析により、このコンストラクトに対して正確に予想された分子量が得られ、主ピークの純度は、SDS−PAGE及びHPLC分析によって判断して〜85−90%であった。
【0093】
配列番号:10のタグつきTEVプロテアーゼ(pACSH307)の活性の評価
pACSH307プロテアーゼの活性を、同じN末端タグ(配列番号:19)を持つが、タバコエッチウイルス切断認識部位SSSGGSENLYFQ(配列番号:39)を含むリンカーを持つ実施例1に記載されたような、S661インスリンアンタゴニストペプチド(配列番号:37)を含む融合タンパク質(pACSH248)を切断するために、異なった量のプロテアーゼを用いて、推定した。消化実験を、50mMのトリスHCl、pH8、0.5mMのEDTAを含む切断バッファー中で実施した。LC−MS実験は、1:1の酵素対基質比での8時間のインキュベーション後に、S661ペプチドの主要な部分がpACSH248融合タンパク質から切り離されたことを示している。これは、タグつきTEVプロテアーゼが活性な酵素として発現され精製され、pACSH248融合タンパク質から配列番号:19のタグを除去するために使用できることを証明している。
【0094】
実施例3
proTGaseのクローニングと発現
トランスグルタミナーゼ(tGASE)遺伝子は、シグナルペプチドとプロドメインに成熟tGASE配列が続いてなる。protGASE(シグナルペプチドは伴わないがN末端Met残基は伴う)を、標準的な方法論を用い、Streptomyces mobaraensisのゲノムDNAからPCRによって調製した。プロドメインを変更した結果、HRV14 3C切断部位が成熟tGASE配列のGly53−Pro54N末端伸展の丁度前に含められた。protGASE配列を、標準的なクローニング技術を使用して、pET11aベクター(pNNC130)中にクローニングしたところ、このプラスミドによってコードされたタンパク質は次の配列を有していた(成熟tGASE配列は残基55で始まる):
MDNGAGEETKSYAETYRLTADDVANINALNESAPAASSAGPSFRAPLEVLFQGPDSDDRVTPPAEPLDRMPDPYRPSYGRAETVVNNYIRKWQQVYSHRDGRKQQMTEEQREWLSYGCVGVTWVNSGQYPTNRLAFASFDEDRFKNELKNGRPRSGETRAEFEGRVAKESFDEEKGFQRAREVASVMNRALENAHDESAYLDNLKKELANGNDALRNEDARSPFYSALRNTPSFKERNGGNHDPSRMKAVIYSKHFWSGQDRSSSADKRKYGDPDAFRPAPGTGLVDMSRDRNIPRSPTSPGEGFVNFDYGWFGAQTEADADKTVWTHGNHYHAPNGSLGAMHVYESKFRNWSEGYSDFDRGAYVITFIPKSWNTAPDKVKQGWP(配列番号40)。
【0095】
pNNC130プラスミドをBL21(DE3)(Novagen)中に形質転換させ、150マイクログラム/ミリリットルのアンピシリンを含むLB培地で一晩培養した。アンピシリンを含む液体LB培地を、一晩培養した寒天プレートから播種し、OD
600が〜0.8になるまで37℃で240rpmにて培養した。30℃への20分の適応化後、0.1mMのIPTGで発現を誘導させた。4時間のタンパク質の誘導後、およそ2の最終OD
600で細胞を収集した。SDS−PAGE解析は、大部分のprotGASEが、10mMのNaPO
4、pH8を含むバッファー中での超音波処理と細胞片の遠心分離後に得られた上清中の可溶型画分中に見出されたことを示している。
【0096】
protGASEの精製:
200mlの誘導細胞培養物からの細胞ペレットを40mlの10mM NaPO
4バッファー(pH8)に溶解させた。超音波処理と10000gでの遠心分離後に、上清を滅菌濾過し、最終アプリケーション容積を10mMのNaPO
4バッファー(pH8)で50mlに調整した。
精製は、3ml/分の流量と次のバッファーを使用して実施例1及び2に記載された機器を使用して実施した:
バッファーA: 25mMのNaPO
4バッファー pH8.0
バッファーB: 25mMのNaPO
4バッファー pH8.0、0.5MのNaCl
5mlのQセファロース高性能(HP)HiTrapカラム(GEヘルスケア)を、バッファーAを用いて7カラム容積(CV)に平衡化した。protGASEを含むアプリケーションをカラムに充填し、未結合試料を10CVでバッファーAを用いて洗浄した。30カラム容量で0−100%のバッファーBの線形勾配を使用してprotGASEを溶離させた。protGASEを含むピークは、およそ0.05MのNaCl濃度でカラムから溶離させられた。集められた画分をSDS−PAGEによって分析し、protGASEの同一性を、タンパク質の予想された理論質量に非常に近い質量を与えたLC−MS分析によって確認した。
【0097】
pACSH238又はpACSH239プロテアーゼを使用するプロドメインの除去
protGASEを含む第一精製工程からの画分をプールし、バッファーを、ダイアフィルトレーションのためにVivaspin20(10000MWCO)(Satorius)を使用し、50mMのトリスHC(pH7.5)、150mMのNaCl及び1mMのDTTを含む切断バッファーに代えた。精製したprotGASEとpACSH239プロテアーゼの量を、HPLCクロマトグラムからのUV214nmの吸光度ピーク面積を推定することによって調整した。異なった酵素対基質比(1:10、1:50、1:100及び1:200)を用いた切断試験を、25℃で一晩、切断バッファー中に1mMのDTTを含めるか含めないで実施した。実験は、pACSH239プロテアーゼが、1:200の酵素基質比と切断バッファー中に1mMのDTTを使用してプロドメインを完全に除去(してGly−Pro伸長成熟tGASEを取得)することができたことを示している。放出された成熟tGASE及びprotGASEの質量はLC−MSを使用して決定した。
同様な試験で、pACSH238プロテアーゼはprotGASEからプロドメインを効果的に切断することができることがまた見出された。
【0098】
成熟tGASEの精製
pACSH239プロテアーゼでの消化後に得られたGly−Pro伸長成熟tGASEを25mMのNaPO4(pH6)、1mMのDTT(バッファーA)中で48mlまで希釈し、次のバッファーを使用して5mlのSPセファロース高性能(HP)HiTrapカラム(GEヘルスケア)で分離した:
バッファーA: 25mMのNaPO
4バッファー pH6.0+1mMのDTT
バッファーB: 25mMのNaPO
4バッファー pH6.0+1mMのDTT+0.5MのNaCl
精製を、3ml/分の流量と30カラム容量に対して0−100%のバッファーBからの線形勾配溶離を使用して、実施した。
精製物からのUV280クロマトグラムは、一つの主ピークがおよそ0.1MのNaCl濃度でSPセファロースHPカラムから溶離させられたことを示していた。LC−MS分析により、溶離されたタンパク質が成熟tGASEと同一であることが確認された。pACSH239プロテアーゼは、N末端に融合した配列番号:19のタグの高電荷のため、成熟tGASEよりも更に遅くカラムから溶離され、よって、第二の精製工程後に標的タンパク質から効果的に除去されうる。
【0099】
実施例4
オーバーラップPCRを使用するHAV18 3Cプロテアーゼの合成:
成熟A型肝炎株18(HAV18)3Cプロテアーゼのアミノ酸配列は次の通りである: STLEIAGLVRKNLVQFGVGEKNGCVRWVMNALGVKDDWLLVPSHAYKFEKDYEMMEFYFNRGGTYYSISAGNVVIQSLDVGFQDVVLMKVPTIPKFRDITEHFIKKGDVPRALNRLATLVTTVNGTPMLISEGPLKMEEKATYVHKKNDGTTVDLTVDQAWRGKGEGLPGMCGGALVSSNQSIQNAILGIHVAGGNSILVAKLVTQEMFQNIDKKIESQ(配列番号:45)。
成熟HAV18 3Cプロテアーゼ遺伝子のコドン最適化DNA断片を、HRV14 3Cプロテアーゼに対して実施例1に記載されたようにして、PCRの二つの連続工程を含むオーバーラップ伸長PCRによるスプライシングを使用して、得た。正しい配列を有する最終の断片は、5’端XhoI及び3’端BamHI部位を有しており、これにより、配列番号:10コード化部がリンカー及びプロテアーゼコード領域の5末端に結合するように、pET11aベクター(Novagen)へのライゲーションが可能になった。
【0100】
配列番号:10のタグつきHAV18 3Cプロテアーゼ(pACSH362)の発現
Rosetta(DE3)大腸菌株中での発現を、本質的に実施例1に記載されているようにして実施した。配列番号:10タグつきHRV14 3Cプロテアーゼと同様な発現レベルが達成可能であり、少なくとも80%のタンパク質が細胞破壊及び遠心分離後に可溶型画分中にあった。
【0101】
配列番号:10のタグつきHAV18 3Cプロテアーゼ(pACSH362)の精製
pACSH239プロテアーゼの細胞培養ペレット(80mlの培養から)を、pH7の25mMのNaPO
4を含むバッファー中での超音波処理によって破壊した。細胞片を10000gの遠心分離によって遠心沈殿させた。上清を、AKTAエクスプローラー100精製システム(GEヘルスケア)を使用して実施した精製前に滅菌濾過した。5mlのカラム容積のプレパックSPセファロースFF Hiトラップカラム(GEヘルスケア)を、次のバッファーを使用する3ml/分の流量での分離に使用した:
バッファーA: 50mMのリン酸ナトリウム,pH7
バッファーB: 50mMのリン酸ナトリウム,pH7+1MのNaCl
カラムは最初に7カラム容量のバッファーAに対して平衡にした。アプリケーションの充填後に、7カラム容量のバッファーAを使用する洗浄によって未結合タンパク質を除去した。20カラム容積に対して0−100%バッファーBの線形勾配を使用して、カラムからpACSH362プロテアーゼを溶離させた。pACSH362プロテアーゼは0.2−0.3MのNaClの塩濃度でカラムから溶離させた。pACSH362プロテアーゼの主な部分はこれらの精製条件でカラムに結合した。溶離されたpACSH362プロテアーゼの純度は、単一の陽イオン交換クロマトグラフィー工程後に、HPLC及びSDS−PAGE標準法によって決定して〜85−90%であると推定された。LC−MSによって、溶離されたプロテアーゼが予想された分子量を有していることがまた証明された。
【0102】
配列番号:10のタグつきHAV18 3Cプロテアーゼ(pACSH362)の活性の評価
タグつきHAV18 3Cプロテアーゼ(pACSH362)を用いて、N末端タグ(配列番号:19)及び修飾HAV18 3C切断部位SSSGGSELRTQ(配列番号:49)を持つ介在リンカーを備えたS661インスリンレセプターアンタゴニストペプチド(配列番号:37)を含むpACSH360融合タンパク質をプロセシングした。
1:10又は1:50の酵素対基質比のpACSH362プロテアーゼ及びpACSH360融合タンパク質を、37℃での7時間のインキュベーション後にLC−MSによって評価した。放出されたS661ペプチドを表す断片が、実施例1におけるように、双方の比に対して観察され、タグつきHAV18酵素が活性であることが示された。
【0103】
実施例5
タグつきウサギ出血病ウイルス3C様プロテアーゼのクローニング
サーマス・サーモフィラス、ジオバチルス・コーストフィラス(Geobacillus kaustophilus)、サーモシフォ・メラネシエンシス(Thermosipho melanesiensis)、BI429及びアシドサーマス・セルロリティカス(Acidothermus cellulolyticus)11Bから由来するリボソームタンパク質L9ファミリーからのタンパク質タグの精製は大腸菌発現に対してコドン最適化され、GENEART GmbH, Regensburg, ドイツから合成遺伝子として得た。タグをコードする遺伝子断片は5’端NdeI部位と3’端XhoI部位を有していた。ウサギ出血病ウイルス3C様プロテアーゼ(RHDV)をコードする3’端BamHI部位及び5’端XhoI部位を有するコドン最適化断片がまた得られた(GENEART GmbH, Regensburg,ドイツ)。
【0104】
次のRHDVプロテアーゼを産生させるために、次のコンストラクトをpET11a大腸菌発現ベクター中で標準的なクローン化技術によって構築した:
【0105】
タグつきウサギ出血病ウイルス3C様プロテアーゼの発現
BL21(DE3)大腸菌株での発現を、本質的に実施例1に記載されているようにして実施した。非常に類似した発現レベルが4種全てのコンストラクトに対して得られ、上清のSDS−PAGEにより判定して溶解度は約80%−90%であり、ペレットは細胞破壊及び遠心分離後に取り出された。
配列番号:41,42,43及び44のタグつきHAV18 3Cプロテアーゼの精製
タグつきRHDVプロテアーゼのそれぞれの細胞培養ペレット(80mlの培養から)を超音波処理によって破壊した。既に記載されたものと同じバッファー及び条件を使用して、上清を調製し、予め充填されたSPセファロースFF5mlカラム(GEヘルスケア)を使用して分離した。
捕捉工程後のプロテアーゼの回収量の比較の際に、配列番号:41のタグを含むpACSH433プロテアーゼの場合に最善の結果が得られ、これは残りの変異体の場合よりも〜2−3.5倍のカラム上のタンパク質に結合した。
【0106】
実施例6
protGASE(pNNC130)又はpACSH294(S661融合タンパク質)とタグつきHRV14 3Cプロテアーゼ変異体の同時発現
pACYCDuet−1プラスミド(Novagen)は、pET11a(Novagen)プラスミドよりも少ないコピー数を有しており、該プラスミドから生産されたタンパク質の量はpET11aプラスミドより低くなければならない。更に、プラスミドは、pET11aとは異なった選択マーカー(クロラムフィニコール耐性)を含んでおり、同じ宿主株におけるこれら二つのプラスミドの維持及び同時発現を可能にする。pACSH238プロテアーゼの発現に対してpACYCDuet−1ベクターを、またpACSH238プロテアーゼによってプロセシングされうるS661融合タンパク質(pACSH294)又はprotGASE(pNNC130)の発現に対してpET11aベクターを使用して、タグつきプロセシング酵素を使用する標的タンパク質前躯体のプロセシング方法が実施可能かどうかを評価した。
pACSH238プロテアーゼをコードするpET11aプラスミドの断片(実施例1)及び開始コドンの上流のベクター骨格の一部をMluI及びBamHI制限酵素を用いて切除し、MluI/BamHI切断pACYCDuet−1プラスミド骨格(Novagen)中にライゲーションした。
【0107】
pACSH238プロテアーゼを発現するpACYCDuet1プラスミドを、protGASE(pNNC130)をコードするpET11aプラスミドかS661融合タンパク質(pACSH294)の何れかと共にBL21(DE3)に形質転換させた。よって、ある株はprotGASEと共にpACSH238プロテアーゼ(pACYC−Duet−1プラスミド由来)を同時発現でき、他の株はS661融合タンパク質(pACSH294)と共にpACSH238プロテアーゼを発現する。
同時発現株を、protGASE又はS661融合タンパク質の何れかだけを発現するコントロール株と平行して、150マイクログラム/ミリリットルのアンピシリンと34マイクログラム/ミリリットルのクロラムフィニコールを含むLB培地で培養した。発現条件は実施例1において、pACSH238プロテアーゼに対して記載した通りであった。30℃での3時間の発現後、同時発現株とそのコントロールを収集した。SDS−PAGEから、同時発現は、コントロールと比較して誘導protGASE又はS661融合タンパク質に対して、より低い分子量を生じたことが明らかになった。pACSH238プロテアーゼ/protGASE同時発現株からのSDSゲルバンドに存在している切断された誘導タンパク質は、ゲル内(in-gel)消化後の標準的な質量分析ベースの方法を使用してtGASEと同定された。従って、結果は、同時発現されたpACSH238プロテアーゼが、protGASEからプロドメインを、S661融合タンパク質からインビボで配列番号:19の精製タグを切断することができたことを示している。