【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の説明を考慮すると、上述の課題または短所を解決または克服する要求があることは、本開示に基づく当業者にとっては明らかである。本発明は、従来技術のこの要求または他の要求に関連し、それは本開示に基づいて当業者に明らかにされる。
【0012】
上述から生じる目的は、具体的には独立項の特徴によって実現され得る。しかしながら、本発明は、最初に引用された従来技術の課題または短所の全てを修正する態様に限定されるものではない。本発明はまた、以下に記載される例示的態様に対する包括的な保護をも主張する。
【0013】
本発明によれば、具体的には、好ましくはコーティングされる構成部品、たとえば、車両部品、自動車の車体、自動車の車体や他の車両のフード、フラップまたはドア等、またはハンドリングされる他の構成部品をハンドリングする機器が提供される。
【0014】
具体的には、好ましくは、たとえば、自動車の車体のフード、フラップおよび/またはドアが開放され、保持され、および/または閉鎖され得るように、(ハンドリング)ロボット、塗装ロボットまたはマニピュレーターによってガイドされるように機器が設けられる。
【0015】
具体的には、自動車の車体および自動車の車体の付属部品用のコーティング装置/塗装装置内に、機器が有利に適用される。
【0016】
ハンドリング機器は保持要素または把持要素を備え、構成部品を保持するために、それは好ましくは、体積に関して変化し得て、および/または、形状に関して変化し得て、その結果、構成部品がハンドリングされ得る。
【0017】
具体的には構成部品のハンドリングが実行された後に、構成部品の保持を開放するために、保持要素は、さらに、好ましくは、体積に関して変化し得て、および/または、形状に関して変化し得る。
【0018】
保持要素が体積に関して変化し得て、および/または、形状に関して変化し得るので、構成部品に位置する多様な異なる保持セクション(例:異なるオーダーの規模または異なる形状を有する保持セクション)用の保持要素が用いられ得る。好ましい保持セクションは、たとえば、構成部品内の開口部(具体的には、小さな開口部、たとえば、ハンドル開口部、ドアロック、フードロックおよび/またはトランク/ハッチバックロック用の開口部のようなロック開口部、または類似の開口部)の内部輪郭、または、開口部の隣接セクションである。
【0019】
さらに、保持要素は、好ましくは、体積変化性および/または形状変化性の理由で(異なる)保持セクションにスムースかつ柔軟に適応され得て、それは、保持セクションまたは構成部品にダメージを与えるリスクを最小化または克服し得る。
【0020】
さらに、露出されていないセクション、たとえば、自動車の車体のコーティングされていないセクション(たとえば、構成部品の開口部の内部輪郭、または、構成部品の開口部の完全な背後、または、構成部品の中空スペース内)において構成部品を保持することができることが長所であり、その結果、コーティングされる構成部品の表面は、保持要素によって被覆されないし、損傷も受けない。
【0021】
さらに、体積変化性および/または形状変化性によって、好ましくはコーティングされる構成部品をハンドリングする操作面で信頼できる機器、または、操作面で信頼できる保持要素が、簡便な方法で有利に設けられ得る。操作面の信頼性は、故障の場合でさえ、不安全な状態が起こらず、および/または、構成部品、保持要素および/または保持要素をガイドするロボットにダメージを与えるリスクが少なくとも最小化される、好ましくは除外されることを保証する。
【0022】
たとえば、体積変化性および/または形状変化性の理由で過負荷の場合においても(例:ハンドリングされる引っかかったドアまたはフード)保持要素と構成部品との間の保持が解放されるように保持要素がそのように曲がるという点、または、保持要素が破断されるように保持要素の引き裂き抵抗が選択されるという点において操作面の信頼性が保証され得て、その結果、少なくとも、構成部品、および、保持要素をガイドするロボットにダメージを与えるリスクが、最小化され得る、または、抑制され得る。
【0023】
保持要素は、形状が大型化された、および/または、体積が大型化された、および/または、膨張された(expandierten)、および/または、膨らまされた、および/または、内圧がかけられた状態、および/または、膨張された(aufgeblasenen)状態(以下において、簡潔さのために「膨張状態」として指定される)を含み得る。さらに、保持要素は、形状が小型化された、および/または、体積が小型化された、および/または、本質的には膨張されていない、および/または、収縮された、および/または、緩まされた、および/または、緩んだ状態(以下において、簡潔さのため、「本質的な非膨張状態」として指定される)を含み得る。本質的な非膨張状態もまた、好ましくは、保持要素は膨張しているが(例:圧力がかけられている、または、流体が流されている(ロードされている))、ある程度、そこでは構成部品の保持が起こっていない状態をも含み得る。
【0024】
具体的には、流体供給および/または流体除去(例:流体取出または流体の排出)によって、保持要素は、形状に関して変化し得る、および/または、体積に関して変化し得る。さらに、好ましくは、圧力増加(たとえば、大気圧より高い圧力まで)によって、および/または、圧力減少(たとえば、原則的には大気圧まで、または、圧力までで、それが保持要素の形状および/または位置を保ち、そこで保持要素が構成部品内の開口部の中に、および/または、開口部を通って正確にガイドされ得る、および/または、そこで保持要素が開口部から安全に再び外にガイドされ得る)によって、保持要素が、形状に関して変化し得る、および/または、体積に関して変化し得る。流体供給または圧力増加によって、好ましくは、保持要素が膨張され、または、大型化され、および/または、構成部品が保持され、流体除去または圧力減少によって、好ましくは、膨張されていない、または、小型化している保持要素に至る、および/または、構成部品の保持が解放される。
【0025】
具体的には、保持要素の内部圧力を相対的に大気圧まで上昇させるため、および/または、保持要素の体積および/または形状を増加させるため(または、保持要素を膨張状態にするため)、保持要素に流体を供給することが可能であり、その結果、構成部品が好ましくは保持され得る。
【0026】
保持要素の内部圧力を、たとえば原則的には大気圧まで減少させるため、および/または、保持要素の体積および/または形状を減少させるため(または、保持要素を本質的な非膨張状態にするため)、保持要素から流体を除去することも可能であり、その結果、構成部品の保持が好ましくは解放され得る。
【0027】
機器は、たとえば、流体供給および/または流体除去(例:流体取出または流体の排出)用の装置を備え得る、または、そのような装置と接続可能であるように構成され得る。
【0028】
保持要素、および/または、保持要素の体積および/または形状の大型化または膨張が、好ましくは、長軸方向の伸び、および/または、周方向の大型化または放射方向における大型化によって起こる一方、保持要素、および/または、保持要素の体積および/または形状の小型化または非膨張は、それに対応して、長軸方向の短縮、および/または、周方向の小型化または放射方向における小型化によって起こる。
【0029】
好ましくは、構成部品内の開口部の中に、および/または、開口部を通ってガイドされるように(本質的な非膨張状態)、具体的には、開口部の内部および/または下流および/または上流において、形状に関して変化する、および/または、体積に関して変化するように(または、膨張状態にするように)、保持要素が設けられ、その結果、構成部品が保持され得る。
【0030】
構成部品内の開口部の本質的には完全な下流で保持要素が膨張状態になることさえ可能であり、その結果、一方では、たとえばコーティングプロセス中に保持要素が汚染防止位置に有利に配置され、他方ではコーティングされる構成部品の表面を被覆しないし、損傷も与えない点が有利な点である。
【0031】
具体的には、構成部品とのポジティブな嵌合、非ポジティブな嵌合および/または摩擦嵌合を形成するために、膨張状態において、構成部品に対して、具体的には構成部品の開口部の内部輪郭に対して押圧するように保持要素が設けられる。さらに、構成部品とのポジティブな嵌合、非ポジティブな嵌合および/または摩擦嵌合を解放するために、本質的な非膨張状態において、構成部品に対して、具体的には構成部品の開口部の内部輪郭に対して印加している圧力を解放するように保持要素が設けられる。
【0032】
好ましくは、少なくとも部分的に、または、完全に、構成部品内の開口部の内部輪郭に適合するように、保持要素が設けられる。たとえば、保持要素は、膨張状態において構成部品内の開口部を好ましくは完全に塞ぐまたは閉鎖する、および/または、開口部の内部輪郭または開口部の隣接セクションと好ましくは完全に接し、その結果、保持要素と構成部品との間の大きな接触面積が有利に実現され得る。これによって、従来技術に係るフックまたはピンの本質的には点状の保持と比較して、より良い応力分布が生まれる。
【0033】
保持要素は、以下のうちの少なくとも1つであり得る。伸長性がある、伸長性がない、柔軟性がある、弾力性がある(elastisch)、弾力性がある(nachgiebig)、流体密封性がある、風船状である、膨張性がある、フィルム状である、膜状である(例:フィルムまたは膜から作られた)、中空体である、風船状に形状に関して可変である、風船状に体積に関して可変である、形状に関しておよび/または体積に関して可逆的に可変である、具体的には膨張可能である、形状記憶効果を有している(例:記憶/形状記憶効果を有する材料から構成される)。
【0034】
好ましくは、保持要素は、プラスチックから、具体的には熱可塑性ポリウレタンから作られる。具体的な好適なプラスチックに関する例は、文献「Desmopan(登録商標)−Typen▼u▲bersicht-Richtwerte, Ausgabe 10.2008」に記載されたバイエル社製の商標名Desmopan(登録商標)で知られる材料であり、本文献の内容の全てが本明細書に追加されるものとする。
【0035】
たとえば、構成部品内の開口部の中に、および/または、開口部を通って保持要素を正確にガイドするために、および/または、保持要素を開口部から安全にガイドして外に出すために、機器は、さらに、保持要素をある形状および/または位置に保つ支持部を備え得る。保持要素をある形状および/または位置に保つために、保持要素はまた、記憶または形状記憶効果をも有し得て、そこにおいて、たとえば、構成部品内の開口部の中に、および/または、開口部を通って正確にそれがガイドされ得る、および/または、そこにおいて、たとえば、安全にガイドされて開口部から外に出され得る。そのため、本質的な非膨張状態にある保持要素が、開口部を通って、および/または、開口部の中に向けて、および、再び外に安全にガイドされ得ることが有利に保証され得る。
【0036】
好ましくは、支持部は保持要素内に配置され、柔軟性があり、弾力性があり(elastisch)、および/または、弾力性がある(nachgiebig)ように構成され、具体的にはバネとして構成される。好ましくは、支持部は、保持要素によって取り囲まれる、または、保持要素またはその体積の中に収容される。
【0037】
保持要素は、単一の流体ロード可能チャンバーおよび/または圧力印加可能チャンバーから構成され得る、または、複数のチャンバーに分割され得る。複数の流体ロード可能チャンバーおよび/または圧力印加可能チャンバーには、流体および/または圧力が、連続して、および/または、並行して、ロード/印加され得る。
【0038】
機器は、所定の破壊点をさらに備え得て、それは、たとえば、構成部品がハンドリング中に引っかかった場合に破壊される。機器の固定構造に連結するための固定手段を保持要素が備えることも可能であり、たとえば、構成部品がハンドリング中に引っかかった場合に好ましくはダメージなしで連結が解放される。さらに、構成部品がハンドリング中に引っかかった場合に保持要素が破断されるように、保持要素の引き裂き抵抗が選択され得る。前述のケースにおいては保持要素がダメージを受けるが、コーティングされる構成部品、または、保持要素をガイドするロボットはダメージを受けない。
【0039】
好ましくは、ハンドリング機器は、流体を供給および/または排出するための流体供給/排出管を備え、流体供給/排出管は、保持要素および/またはその体積に向けて開口している。
【0040】
さらに、保持要素は、好ましくは、少なくとも1つの流体供給/排出開口部を有し、それはたとえば流体供給/排出管に連結され得る。
【0041】
さらに、機器は、ロボットに連結するための接合部分、および/または、流体供給および/または流体除去用の装置に連結する接合部分を備え得る。
【0042】
さらに、好ましくは、機器は、保持要素および/または構成部品の個々の操作状態および/または操作プロセス(たとえば、不正確な保持、構成部品の不存在、具体的には「構成部品が保持されていない」または他の不完全な状態またはプロセス。たとえば、構成部品上の保持要素または引っかかっている構成部品に印加している強すぎる力、圧力または応力だけでなく、たとえば、保持要素と構成部品との間の正確な保持、具体的には「保持された構成部品」または他の正常な状態またはプロセス)を、具体的には、保持要素が印加される/荷重をかけられる少なくとも1つの流体圧力および/または少なくとも1つの流体体積に基づいて、検出および/またはモニタリングおよび/または決定および/または立証するための装置を有する。操作状態または操作プロセスは、たとえば、力、応力または圧力を含み得て、保持要素はそれによって構成部品を保持する、または、構成部品に荷重をかける。たとえば、大きすぎる力、応力または圧力は構成部品にダメージを与え得るので、これは長所である。
【0043】
それゆえに、好ましくは、流体体積および/または流体圧力をコントロール(または制御)するように、または、変化させるように機器が設けられ得て、それによって、保持要素は、たとえば、1つまたは複数の既述の操作状態または操作プロセス(たとえば、ハンドリング中にも)に従って荷重をかけられる。そのため、たとえば、構成部品およびもしかすると保持要素にもダメージを与えることを避けるために、構成部品上の保持要素にロードされる力、応力および/または圧力がモニタリングおよびコントロールされ得て、具体的には制限され得る。
【0044】
たとえば、機器、具体的には、保持要素および/または構成部品の個々の操作状態または操作プロセスを検出および/または決定および/または立証する装置は、1つまたは複数のセンサ(たとえば、力センサ、圧力センサ、体積センサ等)を有する。
【0045】
保持要素および/または構成部品の操作状態または操作プロセスが、機器の制御部によって既に知られている値またはパラメータに基づいて立証され、モニタリングされ、決定され得る、および/または、いかなる問題もなく、さらなるスイッチ、センサ等のような追加の機械的または電気的な構成部品に対する必要もなく、そこから決定され得る、ということは長所である。
【0046】
保持要素に印加される(供給および/または排出)1つの流体圧力または複数の流体圧力を検出および/または決定するために設けられた第一の検出ユニットを、装置は有し得る。
【0047】
保持要素にロードされる(供給および/または排出)1つの流体体積または複数の流体体積を検出および/または決定するために設けられた第二の検出ユニットを、装置は有し得る。
【0048】
流体体積は、それぞれの場合において、たとえば、ある一定の体積をもって1つまたは複数の投入器から出てくるので、保持要素に流される(ロードされる)1つの流体体積または複数の流体体積が本質的には常に同一のサイズであることが可能であり、そのため、好ましくは、体積測定も体積流測定も必要ではなくなる。
【0049】
さらに、少なくとも1つの検出された流体圧力および少なくとも1つの検出された流体体積に基づいて、および/または、保持要素に印加/ロードされる少なくとも1つの流体圧力および/または少なくとも1つの流体体積に基づいて、1つまたは複数の流体圧力/流体体積曲線を決定および/または生成するために、装置は、決定および/または生成ユニットを有し得る。
【0050】
また、少なくとも1つの決定および/または生成された流体圧力/流体体積曲線と、メモリに蓄積された少なくとも1つの参照流体圧力/流体体積曲線とを比較するために、装置は、比較および/または立証ユニットをさらに備え得て、その結果、たとえば、構成部品が保持されているか否か(構成部品が正常に存在しているか否か)、構成部品が引っかかっているか否か、構成部品が正常にハンドリングされているか、または、不完全にハンドリングされているか、を立証することが可能になる。
【0051】
参照流体圧力/流体体積曲線は、たとえば、典型的な不正常な状態またはプロセスを表し得るだけでなく、正常な状態またはプロセスをも表し得て、かつ、たとえば、個々の構成部品または保持セクションに合わせて調整され得る。参照流体圧力/流体体積曲線は、簡素な実験によって決定され得る。
【0052】
決定および/または生成された流体圧力/流体体積曲線が、正しいプロセスまたは状態を表す蓄積された参照流体圧力/流体体積曲線と合致しない場合、不完全な状態またはプロセスがほとんどの場合存在するという結論が導き出され得る。
【0053】
決定および/または生成された流体圧力/流体体積曲線が、参照流体圧力/流体体積曲線と原則的に合致する場合、ある正常なプロセス状態が存在する、または、ある不完全な状態またはプロセスが存在する、という結論が導き出され得る。
【0054】
さらに、本発明は、マニピュレーターまたはロボット(具体的には塗装ロボットおよび/またはハンドリングロボット)、好ましくはSCARAロボット(「スカラ型組立てロボットアーム」)または7までの自由度を有するロボットに関連し、それは既述のようなハンドリング機器を有する。
【0055】
そのような(ハンドリング)ロボットの例は国際公開第2010/025827号および独国特許出願第102009012140号明細書によって既知であり、(ハンドリング)ロボットのデザイン構造に関して、これらの文献の内容が本明細書に含まれるものとする。
【0056】
本発明によれば、具体的には、好ましくはコーティングされる構成部品をハンドリングする、好ましくは既述されたような機器および/またはロボットによって実行される方法がさらに提供され、構成部品を保持するために、保持要素が、形状に関して変化して、および/または、体積に関して変化して、かつ、保持要素がハンドリングされる。
【0057】
さらなる方法ステップが、機器に関する上述の記載から、具体的には機器の機能から直接的に生じる。
【0058】
本発明はさらに、自動車の車体または他の車両部品の、ドア、フラップまたはフード等を保持および/またはハンドリングするための風船状の保持要素の使用にも関連する。
【0059】
本発明の他の有利な発展形は、従属項に開示されるか、添付の図面とともに以下の好ましい例示的態様の記載から明らかである。