特許第5823603号(P5823603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5823603-駆動装置および表示装置 図000002
  • 特許5823603-駆動装置および表示装置 図000003
  • 特許5823603-駆動装置および表示装置 図000004
  • 特許5823603-駆動装置および表示装置 図000005
  • 特許5823603-駆動装置および表示装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5823603
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月25日
(54)【発明の名称】駆動装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20151105BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20151105BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20151105BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 670K
   G09G3/20 624D
   G09G3/20 670D
   G09G3/20 624B
   G02F1/133 550
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-502168(P2014-502168)
(86)(22)【出願日】2013年2月21日
(86)【国際出願番号】JP2013054398
(87)【国際公開番号】WO2013129239
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】特願2012-44617(P2012-44617)
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小林 史幸
(72)【発明者】
【氏名】大和 朝日
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】中野 武俊
(72)【発明者】
【氏名】柳 俊洋
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−154171(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0085855(US,A1)
【文献】 特開2006−47500(JP,A)
【文献】 特開2001−147416(JP,A)
【文献】 特開平2−272490(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/161022(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20−3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素、複数のゲート信号ライン、および複数のソース信号ラインを有する表示パネルを駆動する駆動装置であって、
前記複数のゲート信号ラインを順次選択して走査する走査線駆動回路と、
選択されたゲート信号ラインに接続された複数の画素の各々に対して、前記複数のソース信号ラインを介して、データ信号を書き込む信号線駆動回路と、
前記表示パネルの電源をオフする前に、前記複数の画素の各々の対向電極の電位を、第1の電位から、前記電源をオフした後において当該画素の備えるTFTのドレイン電極に接続される画素電極の電位を前記対向電極の電位に揃えるための第2の電位へ切り替える切り替え手段と、を備え、
前記TFTは、前記ソース信号ラインに接続されているソース電極を備え、
前記切り替え手段は、前記複数の画素の各々の対向電極の電位を、当該画素の前記第1の電位と当該画素の前記TFTのゲート電極のオフ電位とに応じた前記第2の電位へ切り替える
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記第1の電位をVCOM1、前記第2の電位をVCOM2、前記ゲート電極のオフ電位をVGL、とした場合において、以下に示す数式(1)〜(3)を全て満たすように、前記第2の電位が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
(VCOM1−β×VCOM2)=α×VGL・・・(1)
α=CD−G/(CLC+CCS+CD−G+CD−S1+CD−S2)・・・(2)
β=CLC/(CLC+CCS+CD−G+CD−S1+CD−S2)・・・(3)
但し、CD−Gは、ゲート−ドレイン間の寄生容量を示す。また、CD−S1は、ソース(N)−ドレイン間の寄生容量を示す。また、CD−S2は、ソース(N+1)−ドレイン間の寄生容量を示す。また、CLCは、液晶容量を示す。また、CCSは、補助容量を示す。また、ソース(N)は、或る画素においてソース電極にソース信号を供給するソース信号ライン(N)を示し、ソース(N+1)は、ゲート信号ライン方向にドレイン電極と隣接するソース信号ライン(N+1)を示す。
【請求項3】
前記対向電極と補助電極とが共通に構成されている画素に対しては、上記数式(3)の代わりに、以下数式(3)´を満たすように、前記第2の電位が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
β=(CLC+CCS)/(CLC+CCS+CD−G+CD−S1+CD−S2)・・・(3)´
【請求項4】
前記信号線駆動回路は、
前記表示パネルの電源をオフする前に、前記複数の画素の各々に対して、GND電圧を書き込む
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記切り替え手段は、
前記信号線駆動回路が前記GND電圧の書き込みを行う期間に、前記対向電極の電位を、前記第1の電位から前記第2の電位へ切り替える
ことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記信号線駆動回路は、
当該駆動装置の外部から供給される制御信号によって、前記GND電圧の書き込みを開始するタイミングが制御される
ことを特徴とする請求項4または5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記複数の画素の各々の前記第2の電位は、前記ゲート電極のオフ電位が負極の場合、当該画素の前記第1の電位よりも高い電位であり、前記ゲート電極のオフ電位が正極の場合、当該画素の前記第1の電位よりも低い電位である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記信号線駆動回路は、
前記複数の画素の各々に対して、正極の前記データ信号と、負極の前記データ信号とを、交互に書き込む
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
複数の画素、複数のゲート信号ライン、および複数のソース信号ラインを有する表示パネルと、
請求項1から8のいずれか一項に記載の駆動装置と
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
前記複数の画素の各々には、液晶画素が用いられていることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の画素の各々が有する前記TFTの半導体層には、酸化物半導体が用いられていることを特徴とする請求項9または10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記酸化物半導体は、InGaZnOxであることを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子書籍端末、スマートフォン、携帯電話、PDA(携帯型情報端末)、タブレット端末、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、携帯ゲーム機、カーナビゲーション装置等の各種情報端末においては、液晶表示装置等の比較的薄型の表示装置が多く利用されている。このような表示装置においては、消費電力を低下させることや、表示画質を向上させることが共通の課題となっている。そこで、従来、表示装置に関し、このような課題を解決することを目的とした様々な技術が考案されている。
【0003】
例えば、各画素に画像データを書き込む走査期間と、各画素に画像データを書き込まない非走査期間とを設け、走査期間において各画素に書き込まれた画像データを、非走査期間において各画素に保持させておく技術が考案されている。この技術によると、画像データの書き込みを行う頻度が少なくなるために、表示装置の消費電力を低下させることが可能となっている。
【0004】
但し、このような技術を用いた場合、表示装置の電源をオフにした後も、画像データが画素に保持されたままとなってしまうといった問題が生じる場合がある。このような問題は、画素の焼き付きや液晶の劣化等の不具合が生じる要因ともなる。
【0005】
そこで、このような問題を解決するための技術として、下記引用文献1には、液晶表示装置の電源を停止する前に、全画素の容量素子に固定電位を書き込むことにより、容量素子の電極間の電位差を無くす技術が開示されている。この技術によると、液晶表示装置の電源の停止後に、液晶に電圧がかかり続けることがないため、液晶の劣化を防止することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2011−170327号公報(公開日:2011年9月1日)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、一旦は容量素子の電極間の電位差を無くすことができたとしても、液晶表示装置の電源を停止したときに、ドレイン電極の電位が変動してしまう。これにより、対向電極とドレイン電極との間に電位差が生じてしまうこととなる。その理由について、図5を参照して、以下に説明する。
【0008】
(従来の表示装置による制御例)
図5は、従来の表示装置における、各種動作のタイミングを示すタイミングチャートである。特に、図5は、表示装置の電源をオフする際の、各種動作のタイミングを示す。
【0009】
図5において、(a)は、画素が備えるTFTのソース電極の電位を示す。(b)は、画素が備えるTFTのドレイン電極の電位を示す。(c)は、画素が備える対向電極COMの電位を示す。(e)は、画素が備えるTFTのゲート電極の電位を示す。(f)は、表示装置の電源の状態を示す。
【0010】
図5に示す例では、従来の表示装置において、通常走査期間、GND走査期間、および電源OFF期間が設けられている。「通常走査期間」は、入力された映像信号に応じて表示パネルを駆動し、映像信号に応じた映像を表示パネルに表示させる期間である。また、「グランド走査期間」は、表示装置の電源がオフに切り替えられる前に、複数の画素の各々に対して、GND電圧を書き込む期間である。また、「電源OFF期間」は、表示装置の電源がオフに切り替えられる期間である。
【0011】
ここで、通常走査期間およびグランド走査期間において、ドレイン電極の基準電位V1は、GNDよりも負極側にΔV1シフトしたもの(すなわち、−ΔV1)となっている。これに応じて、対向電極COMの電位VCOM1は、GNDよりも負極側にΔV1シフトした電位(すなわち、−ΔV1)に設定されている。すなわち、通常走査期間およびグランド走査期間においては、ドレイン電極の基準電位と対向電極COMの電位との間に、電位差が生じないようになっている。
【0012】
しかしながら、電源OFF期間においては、対向電極COMの電位は、GNDとなっているのに対し、ドレイン電極の電位は、GNDよりも高い電位となっている。すなわち、ドレイン電極と対向電極COMとの間に電位差が生じてしまっている。
【0013】
その理由は、表示装置の電源がオフに切り替えられたことにより、ゲート電極の電位および対向電極COMの電位の各々がGNDへ変位し、その影響により、ドレイン電極の電位が、GNDよりも高い電位まで変位してしまったからである。
【0014】
表示装置において、このような電位差が生じ、その状態が長時間続いてしまうと、画素の焼き付きや液晶の劣化等の不具合が生じてしまう。特に、近年の表示装置においては、画素におけるTFTのオフ特性が向上してきているため、このような電位差が生じてしまうと、その状態が長時間続いてしまう可能性が高い。
【0015】
このように、従来の表示装置では、各画素におけるドレイン電極と対向電極との電位差を生じさせずに、表示パネルの電源をオフすることができない。本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、各画素におけるドレイン電極と対向電極との電位差を生じさせずに、表示パネルの電源をオフすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様に係る駆動装置は、複数の画素、複数のゲート信号ライン、および複数のソース信号ラインを有する表示パネルを駆動する駆動装置であって、前記複数のゲート信号ラインを順次選択して走査する走査線駆動回路と、選択されたゲート信号ラインに接続された複数の画素の各々に対して、前記複数のソース信号ラインを介して、データ信号を書き込む信号線駆動回路と、前記表示パネルの電源をオフする前に、前記複数の画素の各々の対向電極の電位を、第1の電位から、前記電源をオフした後において当該画素のドレイン電極の電位を前記対向電極の電位に揃えるための第2の電位へ切り替える切り替え手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、複数の画素、複数のゲート信号ライン、および複数の信号線を有する表示パネルと、上記駆動装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、各画素におけるドレイン電極と対向電極との電位差を生じさせずに、表示パネルの電源をオフすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る表示装置の主要部の構成を示す。
図2】実施形態に係る表示装置における、各種動作のタイミングを示すタイミングチャートである。
図3】実施形態に係る表示装置の表示パネルが備える画素の等価回路を示す。
図4】酸化物半導体を用いたTFTを含む、各種TFTの特性を示す図である。
図5】従来の表示装置における、各種動作のタイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
本発明に係る実施形態について、図面を参照して以下に説明する。
【0021】
(表示装置の構成)
はじめに、図1を参照して、実施形態に係る表示装置100の構成例について説明する。図1は、実施形態に係る表示装置100の主要部の構成を示す。
【0022】
この表示装置100は、電子書籍端末、スマートフォン、携帯電話、PDA、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、携帯ゲーム機、カーナビゲーション装置等において、各種映像を表示するための表示装置として搭載されるものである。
【0023】
図1に示すように、表示装置100は、表示パネル102およびディスプレイ駆動回路110を備えている。
【0024】
(表示パネル)
表示パネル102は、表示装置100に入力された映像信号に応じた映像を表示する。この表示パネル102には、いわゆるアクティブマトリクス型の液晶表示パネルが採用されている。表示パネル102は、複数の画素P、複数のゲート信号ラインG(m本のゲート信号ラインG(1)〜(m))、および複数のソース信号ラインS(n本のゲート信号ラインG(1)〜(n))を備えている。
【0025】
複数の画素Pは、格子状に配設されている。これにより、複数の画素Pは、複数の画素列および複数の画素行(n画素列×m画素行)を形成している。本実施形態では、各画素Pには、TFT液晶画素が用いられている。ゲート信号ラインGは、画素行毎に設けられている。各ゲート信号ラインGは、対応する画素行の各画素Pに対してゲート信号(走査信号)を供給するための信号路として設けられている。ソース信号ラインSは、画素列毎に設けられている。各ソース信号ラインSは、対応する画素列各画素Pに対してソース信号(画像データ信号)を供給するための信号路として設けられている。
【0026】
(ディスプレイ駆動回路)
ディスプレイ駆動回路110は、入力された映像信号に応じて表示パネル102を駆動することにより、この映像信号に応じた映像を表示パネル102に表示させる。図1に示すように、ディスプレイ駆動回路110は、タイミングコントローラ112、電源生成回路113、走査線駆動回路114、および信号線駆動回路120を備えている。
【0027】
(タイミングコントローラ)
タイミングコントローラ112には、外部(例えば、システム側コントロール部)から映像信号が入力される。ここでいう映像信号には、クロック信号、同期信号、画像データ信号等が含まれる。そして、タイミングコントローラ112は、この映像信号に従って、各駆動回路(走査線駆動回路114および信号線駆動回路120)の動作および動作タイミングを制御する。例えば、タイミングコントローラ112は、走査線駆動回路114に対して、走査制御信号として、GSP、GCK、GOEを出力する。また、タイミングコントローラ112は、信号線駆動回路120に対して、画像データ信号および同期信号を供給する。タイミングコントローラ112の制御により、各駆回路は、互いに同期して動作し、表示パネル102には、上記映像信号に応じた映像が表示されることとなる。
【0028】
(電源生成回路)
電源生成回路113は、外部(例えば、システム側コントロール部)から供給された入力電源から、走査線駆動回路114および信号線駆動回路120が必要とする電圧の各々を生成する。そして、電源生成回路113は、走査線駆動回路114および信号線駆動回路120の各々に対して、生成した電圧を供給する。
【0029】
(走査線駆動回路)
走査線駆動回路114は、タイミングコントローラ112から供給された走査制御信号に従って、各ゲート信号ラインGを駆動する。具体的には、走査線駆動回路114は、上記走査制御信号に従って、複数のゲート信号ラインGを1本ずつ順次選択し、選択したゲート信号ラインGに対して、オン電圧を印加する(すなわち、ゲート信号を供給する)。これにより、当該ゲート信号ラインG上の各画素Pにおいて、スイッチング素子がオンに切り替えられる。本実施形態では、各画素Pが有するスイッチング素子には、nチャネルTFTが用いられているが、これ以外のスイッチング素子が用いられてもよい。
【0030】
(信号線駆動回路)
信号線駆動回路120は、タイミングコントローラ112から供給された同期信号に応じたタイミングで、走査線駆動回路114によって駆動されたゲート信号ラインG上の各画素Pに対して、タイミングコントローラ112から供給された画像データ信号を書き込む。具体的には、信号線駆動回路120は、駆動されたゲート信号ラインG上の各画素Pに対して、対応するソース信号ラインSを介して、当該画素に書き込まれる画像データ信号に応じた電圧を印加する。これにより、上記各画素Pに対して、画像データ信号が書き込まれることとなる。
【0031】
そして、上記各画素Pにおいては、液晶容量Clcの画素電極へ、画像データ信号が供給されることとなる。これにより、上記各画素Pにおいては、液晶容量Clcの画素電極と対向電極COMとの間に封入されている液晶の配列方向が、供給された画像データ信号の電圧レベルと対向電極COMに供給された対向電圧の電圧レベルの差分に応じて変化し、この差分に応じた画像が表示されることとなる。
【0032】
(対向電極駆動回路)
ここで、本実施形態の信号線駆動回路120は、対向電極駆動回路としての機能を有している。例えば、信号線駆動回路120は、複数の画素Pの各々に設けられている対向電極COMに対し、当該対向電極COMを駆動するための対向電圧VCOMを供給することが可能となっている。
【0033】
特に、本実施形態の信号線駆動回路120は、上記対向電圧VCOMの電圧値を制御することが可能となっている。このために、信号線駆動回路120は、図1に示すように、VCOM選択回路122、VCOM記憶部124、およびD/Aコンバータ126を備えている。
【0034】
VCOM記憶部124には、対向電圧VCOMの複数の電圧値が記憶されている。上記複数の電圧値には、第1の電位および第2の電位が含まれている。第1の電位および第2の電位については、後で詳しく説明する。
【0035】
VCOM選択回路122は、VCOM記憶部124に記憶されている複数の電圧値の中から、複数の画素Pの各々の対向電極COMに供給する電圧値を選択する。この選択は、タイミングコントローラ112から供給されるVCOM制御信号(対向電圧制御信号)に従って行われる。VCOM選択回路122によって選択された電圧値は、D/Aコンバータ126へ供給される。
【0036】
D/Aコンバータ126は、供給された電圧値(デジタル信号)に基づいて、その電圧値を有する対向電圧VCOM(アナログ信号)を生成する。そして、D/Aコンバータ126は、各対向電極COMに対して、生成した対向電圧VCOMを供給する。
【0037】
この構成により、表示装置100は、VCOM選択回路122へ入力する制御信号の信号値によって、対向電圧VCOMの電圧値を任意に切り替えることが可能となっている。
【0038】
(対向電圧の制御例)
以下、図2を参照して、実施形態に係る表示装置100における、対向電圧の制御例を説明する。図2は、実施形態に係る表示装置100における、各種動作のタイミングを示すタイミングチャートである。特に、図2は、表示装置100の電源をオフする際の、各種動作のタイミングを示す。
【0039】
図2において、(a)は、画素Pが備えるTFTのソース電極の電位を示す。(b)は、画素Pが備えるTFTのドレイン電極の電位を示す。(c)は、対向電極COMの電位を示す。(d)は、VCOM制御信号の波形を示す。(e)は、画素Pが備えるTFTのゲート電極の電位を示す。(f)は、表示装置100の電源の状態を示す。
【0040】
図2に示すように、表示装置100においては、通常走査期間、GND走査期間、および電源OFF期間が設けられている。「通常走査期間」は、入力された映像信号に応じて表示パネル102を駆動し、映像信号に応じた映像を表示パネル102に表示させる期間である。「グランド走査期間」は、表示装置100の電源がオフされる前に、複数の画素Pの各々に対して、GND電圧を書き込む期間である。「電源OFF期間」は、表示装置100の電源がオフに切り替えられる期間である。
【0041】
以下、通常走査期間、GND走査期間、および電源OFF期間の各々における、表示装置100の動作を具体的に説明する。なお、以下の説明では、表示パネル102のある1つの画素Pに関連付けて、表示装置100の動作を説明しているが、他の画素Pについても同様の動作がなされる。
【0042】
(1)通常走査期間
この通常走査期間においては、まず、画素Pのソース電極に対し、信号線駆動回路120から、対応するソース信号ラインSを介して、対応する画像データが供給される。
【0043】
そして、対応するゲート信号ラインGを介して、画素Pのゲート電極にオン電圧が印加されると、画素PのTFTがオン状態となる。これにより、画素Pにおいて、ソース電極に供給された画像データは、TFTを通じて、ドレイン電極に供給される。すなわち、画像データが画素Pに書き込まれる。そして、画素Pにおいては、ドレイン電極と対向電極COMとの電位差に応じて、液晶における光の透過量が調整され、画像データに応じた画像が表示される。画素Pに書き込まれた画像データは、そのフレームが終了するまで、画素Pに保持される。但し、そのフレームの後に休止期間が設けられている場合、上記画像データは、その休止期間中、画素Pに保持される場合もある。
【0044】
表示装置100は、通常走査期間中、上記動作を繰り返す。これにより、画素Pには、1フレーム毎に、画像データが書き込まれて、この画像データに応じた画像が表示されることとなる。なお、図2に示す例では、表示装置100は、画像データの極性が1フレーム毎に反転する駆動方式が採用されている。これ以外にも、表示装置100には、2以上のフレーム毎に極性が反転する駆動方式や、画像データの書き込みを行わない休止期間(休止フレーム)が設けられる駆動方式等が採用される場合もある。
【0045】
ここで、図2に示すように、ドレイン電極の電位は、ソース電極の電位よりも、負極側にΔV1シフトされている。このようなシフトが生じるのは、TFTおよび配線の抵抗や、寄生容量等の影響を受けるからである。これにより、ソース電極の基準電位がGNDとなっているのに対し、ドレイン電極の基準電位V1は、GNDよりも負極側にΔV1シフトしたもの(すなわち、−ΔV1)となっている。これに応じて、対向電極COMの電位は、GNDよりも負極側にΔV1シフトしたVCOM1(すなわち、−ΔV1)となっている。
【0046】
(2)グランド走査期間
表示装置100の電源がオフされる際には、まず、外部(例えば、システム側コントロール部)から、タイミングコントローラ112に対して、表示装置100の電源をオフする旨の制御信号が供給される。この制御信号をタイミングコントローラ112が受け取ると、表示装置100は、グランド走査期間に入る。
【0047】
グランド走査期間においては、信号線駆動回路120から、画素Pのソース電極に対して、画像データの代わりに、GND電圧が印加される。したがって、このグランド走査期間において、ソース電極の電位は、基準電位であるGNDとなる。
【0048】
そして、対応するゲート信号ラインGを介して、画素Pのゲート電極にオン電圧が印加されると、画素PのTFTがオン状態となる。これにより、画素Pにおいては、ソース電極に印加されたGND電圧が、負極側にΔV1シフトしつつ、TFTを通じて、ドレイン電極に供給される。これにより、このグランド走査期間において、ドレイン電極の電位は、基準電位であるV1となる。
【0049】
このように、本実施形態の表示装置100は、電源がオフに切り替えられる前に、各画素PにGND電圧を書き込み、各画素Pのドレイン電極の電位を基準電位としておく。これにより、本実施形態の表示装置100は、電源がオフに切り替えられる前に、ドレイン電極と共通電極COMとの電位差を減らしておき、電源がオフに切り替えられた時の表示不具合を防止することができるようになっている。
【0050】
また、グランド走査期間においては、タイミングコントローラ112から信号線駆動回路120へ、VCOM制御信号が供給される。このVCOM制御信号は、対向電極の電位の切り替えを指示するものである。この例では、VCOM制御信号がタイミングコントローラ112から供給されることとしているが、外部(例えば、システム側コントロール部)から供給されてもよい。
【0051】
表示装置100は、このVCOM制御信号として、対向電極の切り替え先をVCOM1とするかVCOM2とするかを2値(0および1)で示すものを用いてもよい。表示装置100は、少なくとも対向電極の切り替え先を識別可能なものであれば、VCOM制御信号として、上記以外のものを用いてもよい。例えば、表示装置100は、VCOM制御信号として、SPI(Serial Peripheral Interface)等のように、複数ビットから構成されており、かつシリアル転送されるものを用いてもよい。
【0052】
VCOM制御信号を受け取った信号線駆動回路120は、対向電圧をVCOM1からVCOM2に切り替える。これにより、図2の枠囲みAに示すように、対向電極COMの電位は、VCOM1からVCOM2に切り替えられる。
【0053】
この例では、ゲート電極のオフ電位が負極となっているため、VCOM2は、VCOM1よりも高い電位となっている。すなわち、VCOM2は、GNDとの電位差がVCOM1よりも小さくなっている。
【0054】
ゲート電極のオフ電位が正極となっている場合、VCOM2は、VCOM1よりも低い電位となる。この場合も、VCOM2は、GNDとの電位差がVCOM1よりも小さくなる。
【0055】
なお、表示装置100は、1つのフレームをグランド走査期間としてもよく、複数のフレームをグランド走査期間としてもよい。
【0056】
(3)電源OFF期間
表示装置100の電源がオフに切り替えられると、走査線駆動回路114および信号線駆動回路120に対する電源の供給が途絶える。
【0057】
これにより、図2の枠囲みBに示すように、ゲート電極の電位はVGLからGNDへ変位する。その変位量は、|VGL|である。同時に、対向電極COMの電位は、VCOM2からGNDへ変位する。その変位量は、|VCOM2|である。
【0058】
さらに、上記ゲート電極の電位および上記対向電極COMの電位の各々が変位したことの影響を受けて、ドレイン電極の電位が変位する。その変位量は、上記ゲート電極の電位の変位量、および、上記対向電極COMの電位の変位量に応じたものとなる。
【0059】
そこで、上記したとおり、本実施形態の表示装置100は、当該表示装置100の電源がオフに切り替えられる前に、対向電極COMの電位を、VCOM2に切り替える。このVCOM2には、ドレイン電極の変位量を適切なものとするために、この変位量に影響を及ぼすドレイン電極の電位およびゲート電極のオフ電位に応じた値が用いられている。特に、本実施形態では、対向電極COMの電位がGNDまで変位するのに合わせて、ドレイン電極の電位がGNDまで変位するように、VCOM2が設定されている。
【0060】
これにより、本実施形態の表示装置100は、表示装置100の電源がオフに切り替えられると、ゲート電極の電位および対向電極COMの電位の各々がGNDまで変位するのとともに、ドレイン電極の電位も、GNDまで変位する(図2の枠囲みB参照)。すなわち、本実施形態の表示装置100は、対向電極COMとドレイン電極との電位差を生じさせることなく、当該表示装置100の電源をオフすることが可能となっている。
【0061】
(VCOM2の算出例)
以下、図3を参照して、表示装置100に適用するVCOM2の算出例について説明する。図3は、表示パネル102が備える画素Pの等価回路を示す。図3では、表示パネル102が備える複数の画素Pのうちの1つの画素Pの構成を示している。なお、表示パネル2が備えるその他の画素Pについても、この画素Pと同様の構成である。
【0062】
図3において、CD−Gは、ゲート−ドレイン間の寄生容量を示す。また、CD−S1は、ソース(N)−ドレイン間の寄生容量を示す。また、CD−S2は、ソース(N+1)−ドレイン間の寄生容量を示す。また、CLCは、液晶容量を示す。また、CCSは、補助容量を示す。また、COMは、対向電極を示す。また、CSは、補助電極を示す。また、ソース(N)は、或る画素においてソース電極にソース信号を供給するソース信号ライン(N)を示し、ソース(N+1)は、ゲート信号ライン方向にドレイン電極と隣接するソース信号ライン(N+1)を示す。
【0063】
表示装置100の電源がオフに切り替えられた時の、ドレイン電極の変位量は、以下数式(1)〜(3)を用いて求めることが可能である。
【0064】
β×(−VCOM2)+α×(−VGL)・・・(1)
上記αは、以下数式(2)によって求められる。
【0065】
α=CD−G/(CLC+CCS+CD−G+CD−S1+CD−S2)・・・(2)
上記βは、以下数式(3)によって求められる。
【0066】
β=CLC/(CLC+CCS+CD−G+CD−S1+CD−S2)・・・(3)
特に、COM電極とCS電極を共通にする構成では、上記数式(3)の代わりに、以下数式(3)´を用いることが好ましい。
【0067】
β=(CLC+CCS)/(CLC+CCS+CD−G+CD−S1+CD−S2)・・・(3)´
上記したとおり、表示装置100の電源がオフに切り替えられると、対向電極COMの電位はGNDへ変位するから、対向電極COMとドレイン電極との電位差を無くすためには、ドレイン電極の電位をGNDまで変位させる必要がある。表示装置100の電源がオフとなる直前における、ドレイン電極の電位は−ΔV1であるから、ドレイン電極の電位をGNDまで変位させるためには、ドレイン電極の変位量をΔV1とする必要がある。
【0068】
したがって、ドレイン電極の変位量を求めるための上記数式(1)の算出結果が、ΔV1と等しくなるように、すなわち、−ΔV1−β×VCOM2=α×VGLとなるように、VCOM2を設定することで、表示装置100の電源がオフに切り替えたときに、対向電極COMとドレイン電極との電位差が生じないようにすることができる。上記−ΔV1は、VCOM1と表現することもできる。その理由は、図2に示すように、ドレイン電極の基準電位V1と対向電極の電位VCOM1とは、実質的に同じだからである。
【0069】
(効果)
以上説明したように、本実施形態の表示装置100によれば、対向電極COMとドレイン電極との電位差を生じさせることなく、表示パネル102の電源をオフに切り替えることができる。したがって、本実施形態の表示装置100によれば、画素の焼き付きや液晶の劣化等の不具合の生じ難い表示装置を提供することができる。
【0070】
特に、本実施形態の表示装置100によれば、VCOM2として、ドレイン電極の電位の変位量に影響を及ぼす各種電位および各種容量を考慮したものを用いているため、ドレイン電極の電位の変位量をより適切なものとし、表示パネルの電源をオフしたときに、対向電極COMとドレイン電極との電位差をより生じさせないことができる。
【0071】
(表示パネル102の画素)
次に、上記各実施形態に係る表示装置100が備える表示パネル102の画素について説明する。
【0072】
上記各実施形態の表示装置100においては、表示パネル102が備える複数の画素Pの各々のスイッチング素子として、いわゆる酸化物半導体を用いたTFTを採用しており、特に、上記酸化物半導体として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、および亜鉛(Zn)から構成される酸化物である、いわゆるIGZO(InGaZnOx)が用いられているTFTを採用している。以下、酸化物半導体を用いたTFTの優位性を説明する。
【0073】
(TFT特性)
図4は、酸化物半導体を用いたTFTを含む、各種TFTの特性を示す図である。この図4では、酸化物半導体を用いたTFT、a−Si(amorphous silicon)を用いたTFT、およびLTPS(Low Temperature Poly Silicon)を用いたTFTの各々の特性を示す。
【0074】
図4において、横軸(Vgh)は、上記各TFTにおいてゲートに供給されるオン電圧の電圧値を示し、縦軸(Id)は、上記各TFTにおけるソース−ドレイン間の電流量を示す。特に、図中において「TFT−on」は所定のオン電圧を示し、「TFT−off」は、所定のオフ電圧を示す。
【0075】
図4に示すように、酸化物半導体を用いたTFTは、a−Siを用いたTFTよりも、オン状態の時の電子移動度が高い。図示は省略するが、具体的には、a−Siを用いたTFTは、そのTFT−on時のId電流が1uAであるのに対し、酸化物半導体を用いたTFTは、そのTFT−on時のId電流が20〜50uA程度である。このことから、酸化物半導体を用いたTFTは、a−Siを用いたTFTよりも、オン状態の時の電子移動度が20〜50倍程度高く、オン特性が非常に優れていることが分かる。
【0076】
また、図4に示すように、酸化物半導体を用いたTFTは、オフ状態のときのリーク電流が、a−Siを用いたTFTよりも少ない。図示は省略するが、具体的には、a−Siを用いたTFTは、そのTFT−off時のId電流が10pAであるのに対し、酸化物半導体を用いたTFTは、そのTFT−off時のId電流が0.1pA程度である。このことから、酸化物半導体を用いたTFTは、オフ状態のときのリーク電流が、a−Siを用いたTFTの1/100程度であり、リーク電流が殆ど生じない、オフ特性が非常に優れたものであることが分かる。
【0077】
本実施形態の表示装置100は、このような酸化物半導体(特に、IGZO)を用いたTFTを各画素に採用している。
【0078】
これにより、本実施形態の表示装置100は、各画素のTFTのオフ特性が優れたものとなるために、表示パネルの複数の画素の各々のソース信号が書き込まれている状態を長期間維持することができる。このため、本実施形態の表示装置100は、例えば、表示パネル102のリフレッシュレートを容易に下げることができる等の効果を奏することができる。
【0079】
一方、本実施形態の表示装置100は、各画素のTFTのオフ特性が優れたものとなるために、電源のオフ時にドレイン電極と対向電極との電位差が生じてしまうと、この電位差が解消され難い。しかしながら、本実施形態の表示装置100は、このような電位差を生じさせない構成を採用しているので、画素の焼き付きや液晶の劣化等の不具合が生じることもない。
【0080】
また、本実施形態の表示装置100は、各画素のTFTのオン特性が優れたものとなるために、より小型のTFTで画素を駆動することができるので、各画素において、TFTが占める面積の割り合いを小さくすることができる。すなわち、各画素における開口率を高め、バックライト光の透過率を高めることができる。その結果、消費電力が少ないバックライトを採用したり、バックライトの輝度を抑制したりすることができるので、消費電力を低減することができる。
【0081】
さらに、本実施形態の表示装置100は、各画素のTFTのオン特性が優れたものとなるために、各画素に対するソース信号の書き込み時間をより短時間化することもできるので、表示パネル102のリフレッシュレートを容易に高くすることができる。
【0082】
(変形例)
実施形態では、表示装置100は、グランド走査期間において、複数の画素Pの各々に対してGND電圧を書き込むこととした。これに限らず、複数の画素Pの各々に対して書き込まれる電圧は、少なくとも、複数の画素の各々のドレイン電位を揃えることができるものであれば、GND電圧以外の電圧であってもよい。
【0083】
さらに、複数の画素Pの各々に対して書き込まれる電圧は、画素毎(もしくは、所定の表示領域毎)に異なっていてもよい。例えば、複数の画素において、特性のばらつきにより、同様にGND電圧を印加したとしても、ドレイン電位にばらつきが生じる場合がある。
【0084】
この場合、表示装置100は、上記ドレイン電位のばらつきが生じないように、印加する電圧を画素毎に異ならせてもよい。例えば、表示装置100は、ドレイン電位が目標とする基準電位よりも低くなる画素に対しては、その差分に応じて印加する電圧を高め、ドレイン電位が目標とする基準電位よりも高くなる画素に対しては、その差分に応じて印加する電圧を低くするようにしてもよい。
【0085】
この場合、表示装置100は、各画素の電圧値または補正値を、メモリ等に予め格納しておくことが好ましい。また、表示装置100は、グランド走査期間においては、フレーム毎の極性反転を停止することが好ましい。
【0086】
(補足説明)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0087】
実施形態では、対向電極駆動回路としての機能を信号線駆動回路120に設けることとしたが、これに限らず、当該機能は、少なくともディスプレイ駆動回路110内であれば、どのように設けられていてもよい。
【0088】
また、実施形態では、表示装置100に適用するVCOM2を予め算出しておき、VCOM記憶部124に格納しておくこととしたが、例えば、ディスプレイ駆動回路110に算出部を設け、この算出部が、第2の電位を算出するようにしてもよい。この場合、算出部は、実施形態で説明した各数式を用いて、第2の電位を算出してもよい。また、算出部は、少なくとも対向電極COMの電位を第2の電位に切り替える前に、当該第2の電位を算出すればよい。
【0089】
また、実施形態では、酸化物半導体(特に、IGZO)を用いたTFTを各画素に採用している表示装置へ本発明を適用する例を説明したが、これに限らず、a−Siを用いたTFTや、LTPSを用いたTFT等の、他のTFTを各画素に採用している表示装置にも、本発明を適用することができる。
【0090】
また、実施形態では、複数の画素Pの各々にGND電圧を書き込むのに並行して、対向電極COMの電位をVCOM1からVCOM2に切り替えることが好ましいとしたが、これに限らず、例えば、上記書き込みの前に、上記切り替えを行うことも可能である。
【0091】
また、実施形態では、表示装置100の電源をオフに切り替える前に、複数の画素Pの各々にGND電圧を書き込むことが好ましいとしたが、この書き込みを行わない構成とすることも可能である。
【0092】
また、実施形態では、信号線駆動回路120は、VCOM制御信号を外部から受け取ったことに応じて、対向電圧をVCOM1からVCOM2に切り替えることとしたが、VCOM制御信号によらずに、表示装置100の電源がオフされることを検知し、その後任意のタイミングで、対向電圧をVCOM1からVCOM2に自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0093】
〔まとめ〕
上述のように、本発明の一態様に係る駆動装置は、複数の画素、複数のゲート信号ライン、および複数のソース信号ラインを有する表示パネルを駆動する駆動装置であって、前記複数のゲート信号ラインを順次選択して走査する走査線駆動回路と、選択されたゲート信号ラインに接続された複数の画素の各々に対して、前記複数のソース信号ラインを介して、データ信号を書き込む信号線駆動回路と、前記表示パネルの電源をオフする前に、前記複数の画素の各々の対向電極の電位を、第1の電位から、前記電源をオフした後において当該画素のドレイン電極の電位を前記対向電極の電位に揃えるための第2の電位へ切り替える切り替え手段とを備えることを特徴とする。
【0094】
表示パネルの電源をオフしたときに生じるドレイン電極の電位の変位量は、そのときの対向電極の電位に影響される。この駆動装置によれば、表示パネルの電源をオフする前に、対向電極の電位を第2の電位に切り替えておくことにより、上記ドレイン電極の電位の変位量を適切なものとし、表示パネルの電源をオフしたときに、対向電極とドレイン電極との電位差を生じさせないことができる。すなわち、この駆動装置によれば、上記電位差を生じさせることなく、表示パネルの電源をオフすることができる。
【0095】
上記駆動装置において、前記切り替え手段は、前記複数の画素の各々の対向電極の電位を、前記複数の画素の各々の対向電極の電位を、当該画素の前記第1の電位と当該画素のゲート電極のオフ電位とに応じた前記第2の電位へ切り替えることが好ましい。
【0096】
表示パネルの電源をオフしたときに生じるドレイン電極の電位の変位量は、そのときのゲート電極の電位にも影響される。したがって、ドレイン電位を目標の電位に変位させるためには、当該変位前のゲート電極の電位を考慮する必要がある。また、ドレイン電極の電位を目標の電位に変位させるためには、当該変位前のドレイン電極の電位も考慮する必要がある。なお、変位前のドレイン電極の電位は、実質的に第1の電位と同じであるため、変位前のドレイン電極の電位の代わりに、第1の電位を考慮してもよい。
【0097】
この構成によれば、ドレイン電極の電位の変位量に影響を及ぼす第1の電位(すなわち、上記変位前のドレイン電極の電位)およびゲート電極の電位が考慮された第2の電位を用いているため、上記ドレイン電極の電位の変位量をより適切なものとし、表示パネルの電源をオフしたときに、対向電極とドレイン電極との電位差をより生じさせないことができる。
【0098】
また、上記駆動装置において、前記第1の電位をVCOM1、前記第2の電位をVCOM2、前記ゲート電極のオフ電位をVGL、とした場合において、以下に示す数式(1)〜(3)を全て満たすように、前記第2の電位が設定されていることが好ましい。
【0099】
(VCOM1−β×VCOM2)=α×VGL・・・(1)
α=CD−G/(CLC+CCS+CD−G+CD−S1+CD−S2)・・・(2)
β=CLC/(CLC+CCS+CD−G+CD−S1+CD−S2)・・・(3)
但し、CD−Gは、ゲート−ドレイン間の寄生容量を示す。また、CD−S1は、ソース(N)−ドレイン間の寄生容量を示す。また、CD−S2は、ソース(N+1)−ドレイン間の寄生容量を示す。また、CLCは、液晶容量を示す。また、CCSは、補助容量を示す。
【0100】
なお、前記対向電極と補助電極とが共通に構成されている画素に対しては、上記数式(3)の代わりに、以下数式(3)´を満たすように、前記第2の電位が設定されていることが好ましい。
【0101】
β=(CLC+CCS)/(CLC+CCS+CD−G+CD−S1+CD−S2)・・・(3)´
この構成によれば、ドレイン電極の電位の変位量に影響を及ぼす上記各種容量がさらに考慮された第2の電位を用いているため、上記ドレイン電極の電位の変位量をより適切なものとし、表示パネルの電源をオフしたときに、対向電極とドレイン電極との電位差をより生じさせないことができる。
【0102】
また、上記駆動装置において、前記信号線駆動回路は、前記表示パネルの電源をオフする前に、前記複数の画素の各々に対して、GND電圧を書き込むことが好ましい。
【0103】
この構成によれば、複数の画素の各々のドレイン電位をGND電位に揃えることができるため、すなわち、表示パネル面内において各TFTのドレイン電位の差を無くすことができるため、本発明の効果をパネル全体に均一に反映させることができる。
【0104】
また、上記駆動装置において、前記切り替え手段は、前記信号線駆動回路が前記GND電圧の書き込みを行う期間に、前記対向電極の電位を、前記第1の電位から前記第2の電位へ切り替えることが好ましい。
【0105】
この構成によれば、上記書き込みの終了を待たずに、上記書き込みと並行して上記切り替えを行うことできるため、例えば、上記書き込みが終了するや否や、表示パネルの電源をオフに切り替えることができる。したがって、表示パネルの電源をオフする際にかかる処理時間を短縮することができる。
【0106】
特に、上記書き込みの終了後は、大概、ゲートがオフになっているために、上記切り替えを行った際に対向電圧の変位に伴いドレイン電圧も同様に変位する。このため、液晶両端電位差の変化が少なく本発明の効果が十分に得られない。また、上記書き込みを行う前は、何らかの画像が表示されている状態であるため、このタイミングで上記切り替えを行ってしまうと、各画素において、画像データの実効電圧に大きなズレが生じてしまい、表示不具合を招いてしまう。したがって、上記書き込み中に上記切り替えを行うこの構成によれば、上記したような不具合を生じさせることなく、上記書き込みと上記切り替えとを行うことができる。
【0107】
また、上記駆動装置において、前記信号線駆動回路は、当該駆動装置の外部から供給される制御信号によって、前記GND電圧の書き込みを開始するタイミングが制御されることが好ましい。
【0108】
この構成によれば、外部からの要求に応じた適切なタイミングで、上記書き込みおよび上記切り替えを行うことができる。
【0109】
また、上記駆動装置において、前記複数の画素の各々の前記第2の電位は、当該画素のゲート電極のオフ電位が負極の場合、当該画素の前記第1の電位よりも高い電位であり、当該画素のゲート電極のオフ電位が正極の場合、当該画素の前記第1の電位よりも低い電位であることが好ましい。
【0110】
この構成によれば、ゲート電極のオフ電位が負極および正極の場合のいずれであっても、第2の電位として適切なものを用いて、ドレイン電極と対向電極との電位差を生じさせずに、表示パネルの電源をオフすることができる。
【0111】
また、上記駆動装置において、前記信号線駆動回路は、前記複数の画素の各々に対して、正極の前記データ信号と、負極の前記データ信号とを、交互に書き込むことが好ましい。
【0112】
この構成によれば、複数の画素の各々に対して、正極のデータ信号と負極のデータ信号とをバランスよく書き込むことができるための、その画素特性が一方の極性に偏ってしまうことを防止することができる。また、この構成によれば、表示パネルの電源をオフする前に、複数の画素の各々の対向電極の電位を、GNDに近づけておくことができるため、表示パネルの電源をオフしたときの対向電極の電位の変位量を抑えることができる。これにより、ドレイン電極の電位の変位量を抑えることができるので、より高精度に、ドレイン電極の電位の変位量を制御することができる。
【0113】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、複数の画素、複数のゲート信号ライン、および複数の信号線を有する表示パネルと、上記駆動装置とを備えたことを特徴とする。
【0114】
この表示装置によれば、上記駆動装置と同様の効果を奏することができる。
【0115】
上記表示装置において、前記複数の画素の各々には、液晶画素が用いられていることが好ましい。
【0116】
この構成によれば、複数の画素の各々において焼き付きや劣化等の上記電位差による不具合が生じ易い構成であるために、上記電位差を生じさせない構成による、より有用な効果を奏することができる。
【0117】
また、上記表示装置において、上記複数の画素の各々が有するスイッチング素子の半導体層には、酸化物半導体が用いられていることが好ましい。特に、上記酸化物半導体は、IGZOであることが好ましい。
【0118】
この構成によれば、電源のオフ時にドレイン電極と対向電極との電位差が生じてしまうと、この電位差が解消され難い構成であるため、上記電位差を生じさせない構成による、より有用な効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の一態様に係る駆動装置および表示装置は、複数の画素を備えて構成される各種表示装置、およびこのような表示装置を駆動する各種駆動装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0120】
100 表示装置
102 表示パネル
110 ディスプレイ駆動回路(駆動装置)
112 タイミングコントローラ
113 電源生成回路
114 走査線駆動回路
120 信号線駆動回路
122 VCOM選択回路(切り替え手段)
124 VCOM記憶部
126 D/Aコンバータ
図1
図2
図3
図4
図5