【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子との接続構造1を示した斜視図である。
図2は、
図1に示した同軸ケーブルとシールド端子との接続構造1のA−A線断面図である。
図3は、加締め部材40を装着する前の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1を示した斜視図である。
図4は、
図3に示した加締め部材40を装着する前の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1のB−B線断面図である。
図5は、
図1に示したシールド端子30の拡大斜視図である。
図6は、圧着部31と編組シールド13との位置関係とその効果について説明するための図である。
本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1は、導体からなる芯線部11と芯線部11を被覆する絶縁被覆部12と、絶縁被覆部12の外周面12aを覆う編組シールド13と、編組シールド13の外周面13bを覆う絶縁チューブ20とを有してなる同軸ケーブル10と、編組シールド12の外周面13bに圧着される円筒形状の圧着部31を有してなるシールド端子30と、絶縁チューブ20の外周面20aに圧着されるリング状の加締め部材40と、を有してなる
【0018】
まず、同軸ケーブル10について説明する。
同軸ケーブル10は、例えば、高周波信号を伝送する電線である。
芯線部11は、銅合金等の導体からなる複数本の芯線11bが撚り合わされてなり、電気信号を伝送する信号線として機能するものである。
なお、芯線部11は複数本の芯線11bが撚り合わされてなるものを例示したが、これに限らず、複数本の芯線11bが撚り合わされることなく、直径方向で間隔を空けて配置されていても構わない。あるいは、芯線部11が1本の芯線11bからなるものであっても構わない。
【0019】
絶縁被覆部12は、合成樹脂等の絶縁材からなり、芯線部11を絶縁可能に覆うものである。
編組シールド13は、複数の金属線13aが編み込まれて形成され、絶縁被覆部12を覆うことによって、芯線部11によって伝送される信号に外部からの電磁ノイズが入り込むことを防止するシールド層として機能するものである。
【0020】
絶縁チューブ20は、絶縁材からなるチューブであり、
図4に示すように、圧着部31の外径D1に比して大きい内径D2を有してなる。このため、絶縁チューブ20の端部21の内周面21aと編組シールド13の外周面13bとの間に圧着部31を挿入することができる隙間Sが形成されるようになっている。
なお、絶縁チューブ20の内径D2は、絶縁被覆部12の外周面12aを覆った状態の編組シールド13の外径D3に対して、圧着部31の厚み分のみを追加した大きさに設定されることが好ましい。
【0021】
次に、シールド端子30について説明する。
シールド端子30は、編組シールド13に電気的に接続されることによって編組シールド13を不図示の接地部にアース接続させるための端子である。このシールド端子30は、編組シールド13の外周面13bに圧着される圧着部31、および接地部に接続される不図示の電線等に接続される接続部36を有してなる。
【0022】
圧着部31は、
図5に示すように、円周方向に沿って継ぎ目のない略円筒形状をなし、内径D4が絶縁被覆部12の外周面13bを覆う編組シールド13の外径D3に比して大きくなるように形成されてなる。
接続部36は、圧着部31の縁面31aに突設されてなる板状部36a、および板状部36aを貫通する孔である貫通孔部36bを有してなる。シールド端子30は、この貫通孔部36bを介して不図示のアース電線が接続され、このアース電線を介してアース接続されるようになっている。
なお、接続部36が板状部36a、および貫通孔部36bを有してなるものを例示したが、これに限らない。すなわち、アース接続させることが可能であればその他の形状であっても構わない。例えば、圧接片を有してなる、いわゆる圧接端子のような構成であっても構わない。
【0023】
次に、加締め部材40について説明する。
加締め部材40は、金属材等からなるリング状の部材である。この加締め部材40は、円周方向に直交する継ぎ目41を有してなり、この継ぎ目41が所定の隙間を形成するようになっている。このような継ぎ目41によって、加締め部材40の内径が調整され易くなっている。すなわち、加締め部材40が絶縁チューブ20の外周面20aを締め付け易いようになっている。
【0024】
上述したような同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1では、絶縁チューブ20の端部21の内周面21aと編組シールド13の外周面13bとの間に圧着部31を挿入することができるので、シールド端子30の圧着部31に応じた大きさで編組シールド13が露出されるように絶縁チューブ20の皮剥きをする必要がない。
しかも、
図6(b)に示すように、圧着部31が編組シールド13の外周面13bに圧着されるので、
図6(a)に示すように、編組シールド13が編組シールド13の内側で圧着される場合に比して、編組シールド13と圧着部31とが軸線Cに対してほぼ平行に配置されるようになっている。このため、圧着部
31と編組シールド13とが自然な形で圧着部
31を編組シールド13に圧着でき、圧着部31のエッジによって、編組シールド13にせん断力が作用することを防止することができる。
【0025】
ここで、
図7を用いて、同軸ケーブル10とシールド端子30との接続方法について説明する。
図7は、同軸ケーブル10とシールド端子30とを接続させる工程を示したものである。
【0026】
まず、作業者は、芯線部11の端部11aが露出されるように絶縁チューブ20の端部21を皮剥きする(
図7(a))。圧着部31が絶縁チューブ20の内周面21aと編組シールド13の外周面13bとの間に挿入できるようになっているので、圧着部31の大きさに応じて絶縁チューブ20を皮剥きする必要がない。
【0027】
その後、作業者は、絶縁チューブ20の内周面21aと編組シールド13の外周面13bとの間に圧着部31を挿入する(
図7(b))。この圧着部31の挿入の際、絶縁チューブ20の内周面21aと編組シールド13の外周面13bとの間に圧着部31を挿入可能な隙間Sが形成されているので、圧着部31を容易に挿入することができる。このため、圧着部31の大きさに対応するように編組シールド13を露出させる必要がない。
【0028】
その後、作業者は、絶縁チューブ20の外周面20a上に加締め部材40を通す(
図7(c))。この際、加締め部材40は、絶縁チューブ20の端部21に配置する。
【0029】
その後、作業者は、加締め用の冶具Tを用いて加締め部材40を加締める(
図7(d))。これによって、圧着部31が編組シールド13の外周面13bに圧着され、同軸ケーブル10とシールド端子30との接続が完了される。
【0030】
本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1は、絶縁チューブ20が、端部21が圧着部31の外径D1に比して大きい内径D2を有してなり、加締め部材40が、絶縁チューブ20の端部21に配置され、圧着部31が、端部21の内周面21aと編組シールド13の外周面13bとの間に挿入され、加締め部材40が圧着されることによって編組シールド13の外周面13bに圧着されるので、シールド端子30の圧着部31に応じた大きさで編組シールド13が露出されるように絶縁チューブ20の皮剥きをする必要がないので、組み付け作業を容易にすることができる。
【0031】
また、本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1は、圧着部31が編組シールド13の外周面13bに圧着されることによって、圧着部
31と編組シールド13とが自然な形で圧着部
31を編組シールド13に圧着されるので、圧着部31のエッジによって編組シールド13にせん断力が作用することを防止することができる。これにより、編組シールド13が圧着部31によって損傷されることを防ぐことができる。
【0032】
また、本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1は、加締め部材40が円周方向に直交する継ぎ目41を有してなるので、加締め部材40によって絶縁チューブ20の外周面20aを容易に締め付けることができる。
【0033】
また、本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1は、圧着部31が継ぎ目のない略円筒形状をなしているので、圧着片を折り曲げる作業が必要ないため、組み付け作業が容易になる。
【0034】
また、本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続方法は、絶縁チューブ20の端部21の内周面21aと編組シールド13の外周面13bとの間に圧着部31を挿入する圧着部挿入工程と、絶縁チューブ20の端部21の外周面20aに配置されたリング状の加締め部材40を圧着することによって圧着部31を編組シールド13に圧着する圧着工程とを含むので、圧着部31の大きさに関係なく、絶縁チューブ20を皮剥きすることができるので、組み付け作業を容易にすることができる。
【0035】
(変形例1)
次に、
図8を用いて本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1の変形例1について説明する。
図8は、変形例1の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造2を示した斜視図である。
この変形例1の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造2は、絶縁チューブ20に代わって絶縁チューブ22を有してなる点で実施例の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0036】
絶縁チューブ22は、端部21以外は、編組シールド13を隙間なく覆うように内径D2が端部21に比して小さく設定されている。
この変形例1の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造2は、実施例の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1と同様な効果を奏することができるとともに、絶縁チューブ
22の端部21以外の外径を小さく設定することができる。
【0037】
(変形例2)
次に、
図9および
図10を用いて本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1の変形例2について説明する。
図9は、変形例2の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造3を示した斜視図である。
図10は、
図9に示した同軸ケーブルとシールド端子との接続構造3のC−C線断面図である。
この変形例2の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造3では、シールド端子30に代わってシールド端子32を有してなる点で実施例の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0038】
シールド端子32は、圧着部31が周方向に直交する継ぎ目部33を有してなる。このため、圧着部31の内径が調整され易くなっている。すなわち、圧着部31が編組シールド13の外周面13bに圧着され易いようになっている。
この変形例2の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造3は、実施例の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1と同様な効果を奏することができる。
しかも、圧着部31が継ぎ目部33を有してなるので、編組シールド13により密着され易いようになっている。
【0039】
(変形例3)
次に、
図11を用いて本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1の変形例3について説明する。
図11は、変形例3の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造4の要部断面図である。
この変形例3の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造4では、加締め部材40に代わって加締め部材42を有してなる点で実施例の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0040】
加締め部材42は、継ぎ目41を形成する両端部41a、41aの縁面41b,41bが接するようになっている。このため、加締め部材40を加締めることによって、加締め部材42の両端部41a、41aが絶縁チューブ20の外周面20aにくい込み易くなっている。
この変形例3の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造4は、実施例の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1と同様な効果を奏することができる。
また、加締め部材42を絶縁チューブ20に強固に固定させることができる。
【0041】
(変形例4)
次に、
図12を用いて本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1の変形例4について説明する。
図12は、変形例4の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造5の要部断面図である。
この変形例4の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造5では、加締め部材40に代わって加締め部材43を有してなる点で実施例の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0042】
加締め部材43は、両端部41a、41aが重なるようになっている。このため、加締め部材43は、絶縁チューブ20の外周方向で絶縁チューブ20の外周面20aを確実に覆うようになっている。
この変形例4の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造5は、実施例の同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1と同様な効果を奏することができる。
また、絶縁チューブ20の外周方向で絶縁チューブ20の外周面20aを確実に加締めることができる。
【0043】
なお、本発明の実施例に係る同軸ケーブルとシールド端子の接続構造1、2、3、4、5は、加締め部材40が継ぎ目41を有してなるものを例示したが、継ぎ目41のないものであっても構わない。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。