特許第5823891号(P5823891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5823891
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月25日
(54)【発明の名称】ヘッダ回収装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20151105BHJP
   F16L 1/028 20060101ALI20151105BHJP
【FI】
   E21D9/06 311G
   F16L1/028 M
   F16L1/028 N
【請求項の数】7
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2012-44467(P2012-44467)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-181294(P2013-181294A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細野 一弘
(72)【発明者】
【氏名】竹内 幹晋
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−057805(JP,A)
【文献】 特開2011−099273(JP,A)
【文献】 特開2002−228047(JP,A)
【文献】 特開平08−061561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
F16L 1/028
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発進立坑と到達立坑との間の地中に埋設されている既設管をその軸方向に切断して拡径するヘッダを有し、前記ヘッダを、前記発進立坑から引き込まれる新設管と接続した状態で、前記到達立坑側から引っ張ることにより、拡径した前記既設管の内周側に前記新設管を引き込む管入れ替え装置と共に用いられ、
前記ヘッダの引張りに伴って、前記既設管に作用する前記到達立坑側への引張り力で、前記到達立坑側に移動しようとする前記既設管を支える既設管支持手段と、
前記到達立坑内に配置された前記既設管の端部の端面に当接させる第1当接部と、前記到達立坑側への前記引張り力を、前記第1当接部を介して前記既設管支持手段に伝達させる第1伝達部と、前記ヘッダが通り抜け可能に形成された切り欠き部、または開口部とを有し、拡径後の前記既設管から前記ヘッダを引き抜くときに用いる第1治具と、を備えるヘッダ回収装置において、
前記既設管支持手段は、前記第1治具から伝達される前記引張り力の反力を作用させる支持部を有し、前記支持部が、前記既設管の前記軸方向に沿う方向に対し、移動可能に形成されていること、
前記既設管支持手段は、固定されたシリンダに対し、伸縮可能なロッドを有した油圧駆動源を備え、前記支持部が、前記ロッドの先端に設けられていること、
前記油圧駆動源は、前記第1治具から伝達される前記引張り力の前記反力を前記支持部から前記既設管に作用させるよう、前記支持部を支えるための駆動力を発揮可能に構成されていること、
を特徴とするヘッダ回収装置。
【請求項2】
請求項に記載するヘッダ回収装置において、
前記第1治具が、前記既設管の端部の前記端面と対向する位置に配置され、前記第1当接部が、前記端部の端面のうち、前記軸方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に形成された一の部分と当接し、前記切り欠き部または前記開口部が、前記端部の管内の中空部に位置合わせして配置されること、
を特徴とするヘッダ回収装置。
【請求項3】
請求項または請求項に記載するヘッダ回収装置において、
前記既設管の端部の前記端面に当接させる第2当接部と、前記到達立坑側への前記引張り力を、前記第2当接部を介して前記既設管支持手段に伝達させる第2伝達部とを有し、前記ヘッダで前記既設管を拡径しているときに用いる第2治具を備えること、
を特徴とするヘッダ回収装置。
【請求項4】
請求項3に記載するヘッダ回収装置において、
前記第2治具から伝達される前記引張り力の反力は、前記既設管支持手段の前記支持部で受けること、
前記油圧駆動源は、前記第2治具から伝達される前記引張り力の前記反力を前記支持部から前記既設管に作用させるよう、前記支持部を支えるための駆動力を発揮可能に構成されていること、
を特徴とするヘッダ回収装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載するヘッダ回収装置において、
前記第2当接部は、前記既設管の径に対応して、前記端部管内の中空部を確保可能な環状に形成されていること、
前記第2治具は、前記既設管の端部の前記端面と対向する位置に配置され、前記第2当接部が、前記端部の端面と、前記既設管の前記軸方向に沿う方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状、または円環状に当接すること、
を特徴とするヘッダ回収装置。
【請求項6】
請求項乃至請求項のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置において、
前記第1治具は平板で形成され、前記第1当接部が、前記第1伝達部の一部として配置されていると共に、前記切り欠き部が、前記第1当接部の径方向径内側に切り欠かれて形成されていること、
を特徴とするヘッダ回収装置。
【請求項7】
請求項乃至請求項のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置において、
前記第2治具は、前記既設管の周方向に沿う方向に対し、複数に分割された分割片からなり、前記複数の分割片同士を着脱可能で一体に形成されていること、
を特徴とするヘッダ回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、新設管と接続したヘッダを引っ張ることにより、地中に埋設されている鋼管等の既設管をその軸方向に切断、拡径し、拡径した既設管の中に新設管を引き込んだ後、既設管の引き込み側端部の管内に入り込んだヘッダを回収するヘッダ回収方法及びヘッダ回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中には、例えば、燃料ガスを送るガス導管、上水を流す水道管等、多くの導管が埋設されている。従来、ガス導管には、継手で接続して形成される鋼管や鋳鉄管等の管が一般的に用いられてきた。これらの管が古くなると、地震等の大きな外力が加わった際に、ダメージを受ける虞がある。そのため、古くなった管を、ポリエチレン(PE)管等、より可撓性を有した材質の新設管に、更新することが進められている。
【0003】
新設管への入替え工事にあたり、既設管が埋設されている区間全体を掘り返したのでは、工事は大がかりで、工事期間も長く、周辺の交通事情への影響が大きくなる。そこで、最近、例えば、特許文献1の既設埋設管の回収方法のように、既設管と新設管との入替を掘削しないで行う非開削ガス管入替工法が採用されている。図19は、特許文献1に係る既設埋設管の回収方法を示す前工程図であり、図20は、図19に続く後工程図である。
【0004】
特許文献1は、図19に示すように、切断ヘッド109を取り付けたワイヤロープ105を、発進立坑103a側から埋設管101内に挿通して到達立坑103b側から引張り、埋設管101を切断して拡径する。この後、図20に示すように、切断ヘッド109を外し、ワイヤロープ105と埋設管101とを接続すると共に、発進立坑103a側でワイヤロープ105の後端に新管107を連結させ、引き続きワイヤロープ105を、到達立坑103b側から引き込んで埋設管101と新管107とを入れ替える。
【0005】
また、特許文献は挙げていないが、特許文献1のほかにも、ヘッダ(切断ヘッド1に相当)前端にワイヤを取り付けると共に、ヘッダ後端に新設管を接続し、発進立坑側から挿通したワイヤを到達立坑側から引張り、埋設されている既設管内に、ヘッダをその軸方向に移動させることにより、既設管を切断し周方向に分割して拡径する。これと同時に、ヘッダの進行に伴って、拡径した既設管に沿って新設管が引き込まれ、既設管を回収しないまま、既設管と新設管とが入れ替えられる。
【0006】
既設管の拡径を終えたヘッダは、回収部まで到達立坑側に引き込まれて回収される。回収部は、埋設されている既設管全体のうち、ヘッダの全長程度の大きさの引き込み側端部を、到達立坑内に設置させることのほか、既設管と同径で、ヘッダの全長程度の大きさの補助管を、既設管と到達立坑内で接続して連通させることにより、確保される。前者の場合、ヘッダによる既設管の切断時に、このヘッダを、既設管の引き込み側端部の管内まで引き寄せて、管内にヘッダが入り込んだ引き込み側端部を、到達立坑内で既設管の他の部分と切り離した後、引き込み側端部の管内からヘッダを取り出して回収する。後者の場合には、ヘッダによる既設管の切断時に、このヘッダを、補助管の管内まで引き寄せて、管内にヘッダが入り込んだ補助管と、既設管との接続を到達立坑内で解除して、補助管の管内からヘッダを取り出して回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−295727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のような従来技術には、以下のような問題があった。作業者が、既設管の引き込み側端部の管内に入り込んだヘッダ(特許文献1の切断ヘッド1)を回収するため、ヘッダが入り込んだ既設管の引き込み側端部を既設管本体から切断後、この引き込み側端部を、到達立坑内から地上に運び出す作業を行う。あるいは管内にヘッダが入り込んだ補助管と、既設管との接続を解除した後、この補助管を、到達立坑内から地上に運び出す作業を行う。このような作業を行うとき、管内にヘッダが入り込んだ既設管の引き込み側端部等の重量は重いため、この引き込み側端部等を地上まで持ち上げる作業は、安全上、作業者に危険を伴う。
【0009】
また、地上に運び出された既設管の引き込み側端部等からヘッダを取り出す作業では、作業者が、管内にヘッダが食い込んだ状態の引き込み側端部(補助管)を、ハンマー等の工具を使い人の手で叩きつけて変形させ、引き込み側端部等の管内でヘッダとの隙間を形成してから、ヘッダを既設管の引き込み側端部等の管内から取り出している。そのため、ヘッダの取り出し作業でも、安全上、作業者に危険を伴う。また、既設管の引き込み側端部等の管内で食い込んだヘッダを回収して、このヘッダを再使用するのに、その都度、既設管の引き込み側端部等をハンマー等の工具で叩きつけてヘッダを取り出していると、工具で叩きつけているときに、その衝撃によってヘッダが損傷してしまう虞もある上、作業の効率が低い。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、既設管の拡径後、既設管の引き込み側端部の管口からヘッダを、安全にかつ効率良く取り出して回収することができるヘッダ回収方法及びヘッダ回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題点を解決するために、本発明のヘッダ回収方法及びヘッダ回収装置は、次の構成を有している。
【0012】
(1)発進立坑と到達立坑との間の地中に埋設されている既設管をその軸方向に切断して拡径するヘッダを、発進立坑から引き込まれる新設管と接続した状態で、到達立坑側から引っ張ることにより、拡径した既設管の内周側に新設管を引き込んだ後、既設管の端部に入り込んだヘッダを回収するヘッダ回収方法において、少なくとも既設管の切断後、到達立坑内に配置された既設管の端部の端面と当接可能な第1当接部と、ヘッダが通り抜け可能な切り欠き部または開口部とを有する第1治具を既設管の端部の端面と対向する位置に配置し、第1当接部を端面に当接させた状態で既設管を支えながら、ヘッダを、切り欠き部または開口部を通過させて既設管の端部の管口から外部に引張り出すヘッダ取り出し工程と、を備えること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するヘッダ回収方法において、ヘッダ取り出し工程の前に、既設管の端部の端面と当接可能な第2当接部を有する第2治具を既設管の端部の端面と対向する位置に配置し、ヘッダの引張りに伴って、既設管に作用する到達立坑側への引張り力で、到達立坑側に移動しようとする既設管を、その端面に第2当接部を当接させた状態で支えながら、ヘッダにより既設管を拡径する既設管拡径工程と、第2治具を代えて第1治具に交換する治具交換工程と、を備えること、を特徴とする。
(3)(2)に記載するヘッダ回収方法において、第2当接部は、既設管の端部の径に対応して、端部の中空部が確保可能な環状に形成され、既設管拡径工程で、第2治具を、既設管の端部の端面と対向する位置に配置した後、第2当接部を、端部の端面に、既設管の軸方向に沿う方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状、または円環状に当接させること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するヘッダ回収方法において、ヘッダ取り出し工程で、第1治具が既設管の端部の端面と対向する位置に配置された後、第1当接部を、端部の端面のうち、軸方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に形成された部分に当接させると共に、切り欠き部または開口部を、端部の管内の中空部に位置合わせして配置すること、を特徴とする。
【0013】
(5)発進立坑と到達立坑との間の地中に埋設されている既設管をその軸方向に切断して拡径するヘッダを有し、ヘッダを、発進立坑から引き込まれる新設管と接続した状態で、到達立坑側から引っ張ることにより、拡径した既設管の内周側に新設管を引き込む管入れ替え装置と共に用いられ、ヘッダの引張りに伴って、既設管に作用する到達立坑側への引張り力で、到達立坑側に移動しようとする既設管を支える既設管支持手段と、到達立坑内に配置された既設管の端部の端面に当接させる第1当接部と、到達立坑側への引張り力を、第1当接部を介して既設管支持手段に伝達させる第1伝達部と、ヘッダが通り抜け可能に形成された切り欠き部、または開口部とを有し、既設管の拡径時に用いる第1治具と、を備えること、を特徴とする。
(6)(5)に記載するヘッダ回収装置において、第1治具が、既設管の端部の端面と対向する位置に配置され、第1当接部が、端部の端面のうち、軸方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に形成された一の部分と当接し、切り欠き部または開口部が、端部の管内の中空部に位置合わせして配置されること、を特徴とする。
(7)(5)または(6)に記載するヘッダ回収装置において、既設管の端部の端面に当接させる第2当接部と、到達立坑側への引張り力を、第2当接部を介して既設管支持手段に伝達させる第2伝達部とを有し、ヘッダで既設管を拡径しているときに用いる第2治具を備えること、を特徴とする。
(8)(7)に記載するヘッダ回収装置において、第2当接部は、既設管の径に対応して、端部管内の中空部を確保可能な環状に形成されていること、第2治具は、既設管の端部の端面と対向する位置に配置され、第2当接部が、端部の端面と、既設管の軸方向に沿う方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状、または円環状に当接すること、を特徴とする。
(9)(5)乃至(8)のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置において、既設管支持手段は、第1治具または第2治具から伝達される引張り力の反力を作用させる支持部を有し、支持部が、既設管の軸方向に沿う方向に対し、移動可能に形成されていること、を特徴とする。
(10)(9)に記載するヘッダ回収装置において、既設管支持手段は、固定されたシリンダに対し、伸縮可能なロッドを有した油圧駆動源であり、支持部が、ロッドの先端に設けられていること、を特徴とする。
(11)(5)乃至(10)のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置において、第1治具は平板で形成され、第1当接部が、第1伝達部の一部として配置されていると共に、切り欠き部が、第1当接部の径方向径内側に切り欠かれて形成されていること、を特徴とする。
(12)(7)乃至(11)のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置において、第2治具は、既設管の周方向に沿う方向に対し、複数に分割された分割片からなり、複数の分割片同士を着脱可能で一体に形成されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記構成を有する本発明のヘッダ回収方法及びヘッダ回収装置の作用・効果について説明する。
【0015】
(1)発進立坑と到達立坑との間の地中に埋設されている既設管をその軸方向に切断して拡径するヘッダを、発進立坑から引き込まれる新設管と接続した状態で、到達立坑側から引っ張ることにより、拡径した既設管の内周側に新設管を引き込んだ後、既設管の端部に入り込んだヘッダを回収するヘッダ回収方法において、少なくとも既設管の切断後、到達立坑内に配置された既設管の端部の端面と当接可能な第1当接部と、ヘッダが通り抜け可能な切り欠き部または開口部とを有する第1治具を既設管の端部の端面と対向する位置に配置し、第1当接部を端面に当接させた状態で既設管を支えながら、ヘッダを、切り欠き部または開口部を通過させて既設管の端部の管口から外部に引張り出すヘッダ取り出し工程と、を備えること、を特徴とするので、ヘッダ取り出し工程では、第1治具を取り付けた後、ヘッダをさらに到達立坑側に引っ張ることにより、ヘッダが、既設管の引き込み側端部をその軸方向に切断しながら第1治具の切り欠き部または開口部を通過し、既設管の引き込み側端部の管口から外部に引張り出される。このとき、ヘッダの引張りに伴って、既設管に到達立坑側への引張り力が作用して、既設管が到達立坑側に移動しようとするが、第1治具の第1当接部を既設管の引き込み側端部の端面に当接させて既設管を支えているため、この引張り力による反力が第1当接部を介して既設管の引き込み側端部の端面に作用して、既設管は到達立坑側に移動しない。よって、ヘッダが第1治具の切り欠き部または開口部を通過するよう、ヘッダを到達立坑側に引っ張ることにより、ヘッダが、既設管の引き込み側端部から外部に引張り出されて回収することができる。
【0016】
また、本発明のヘッダ回収方法では、従来技術と異なり、ヘッダを既設管の引き込み側端部から取り出して回収するとき、管内にヘッダが入り込んだ既設管の引き込み側端部を既設管本体から切断する作業や、補助管を既設管と接続させた後、ヘッダが入り込んだ補助管と既設管との接続を解除する作業が、全く不要である。また、作業者が、第1治具を既設管の引き込み側端部に配置して、ヘッダを到達立坑側に引き続き引っ張るだけで、ヘッダを簡単に回収することができ、ヘッダの回収作業が、従来の回収作業より効率良く行うことができる。
【0017】
また、作業者は、第1治具を既設管の引き込み側端部の端面に配置し、ヘッダの引張り操作をするだけで、ヘッダを、既設管の引き込み側端部から外部に取り出して回収できるため、作業者に危険を伴うこともなく安全に、ヘッダを回収することができる。また、作業者は、到達立坑内で既設管内から回収されたヘッダを地上まで搬出するのに、ヘッダ単体を地上に持ち上げれば良く、作業者の運搬上の負担が、既設管の引き込み側端部等と共にこの管内に入り込んだヘッダを到達立坑内から地上に運び出していた従来技術に比べて、小さくなる。加えて、ヘッダの回収時に、従来技術のように、ハンマー等の工具で既設管を叩きつけることもなく、工具による衝撃に起因して、ヘッダが損傷してしまうこともない。
【0018】
従って、既設管の拡径後、既設管の引き込み側端部の管口からヘッダを、安全にかつ効率良く取り出して回収することができる、という優れた効果を奏する。
【0019】
(2)(1)に記載するヘッダ回収方法において、ヘッダ取り出し工程の前に、既設管の端部の端面と当接可能な第2当接部を有する第2治具を既設管の端部の端面と対向する位置に配置し、ヘッダの引張りに伴って、既設管に作用する到達立坑側への引張り力で、到達立坑側に移動しようとする既設管を、その端面に第2当接部を当接させた状態で支えながら、ヘッダにより既設管を拡径する既設管拡径工程と、第2治具を代えて第1治具に交換する治具交換工程と、を備えること、を特徴とするので、既設管拡径工程で既設管の拡径作業は、例えば、ワイヤ巻取り装置等に捲回されたワイヤにより、ヘッダを到達立坑側に引張りながら、ヘッダのカッタで既設管を軸方向に切断しつつ、切断された部分をヘッダの拡径部で既設管の周方向に拡げて行うため、既設管の管内を移動するときのヘッダの摺動抵抗は非常に大きい。そのため、このような大きな力でヘッダを引っ張ると、ヘッダの引張りに伴って、既設管そのものが到達立坑側に移動しようとする既設管の引張り力が大きく作用する。このとき、第2治具を既設管の端部(引き込み側端部)に取り付けて、第2当接部を既設管の引き込み側端部の端面に当接させて既設管を支えることで、到達立坑側に移動しようとする既設管の引張り力に対する反力を、既設管の引き込み側端部の端面に作用させることで、拡径作業中、既設管は、移動しないで保持した状態にできる。よって、既設管の拡径時に、既設管を固定させたまま、前述したワイヤでヘッダを引っ張ることで、ヘッダの引張り力が既設管内のヘッダにロスなく伝わり、既設管を効率良く切断し、拡径することができる。
【0020】
また、既設管拡径工程では、第2治具を用いて既設管を支えながら、ヘッダを引っ張って既設管を切断し拡径したが、ヘッダの先端部が到達立坑内の既設管の引き込み側端部の管口まで間近に到達すると、このままヘッダを引張り続けると、ヘッダと第2治具とが干渉してしまい、ヘッダが第2治具を通過できず、既設管の端部の外部へ引張り出せない。そこで、治具交換工程を行い、第2治具を第1治具に交換した後、前述したように、ヘッダを到達立坑側に引っ張ることにより、ヘッダを、第1治具の切り欠き部または開口部を通過させて、既設管の引き込み側端部から外部に引張り出して回収することができる。
【0021】
(3)(2)に記載するヘッダ回収方法において、第2当接部は、既設管の端部の径に対応して、端部の中空部が確保可能な環状に形成され、既設管拡径工程で、第2治具を、既設管の端部の端面と対向する位置に配置した後、第2当接部を、端部の端面に、既設管の軸方向に沿う方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状、または円環状に当接させること、を特徴とするので、先に例示したワイヤ巻取り装置に捲回されたワイヤを、既設管の管内のヘッダと、第2当接部の円環内を通じて接続でき、第2治具が既設管の端部(引き込み側端部)に取り付けられていても、ワイヤでヘッダを到達立坑側に引っ張ることができる。また、ヘッダの引張り時に、既設管に掛かる引張り力の反力が、円弧状または円環状の第2当接部を介して、円環状の既設管の引き込み側端部の端面に作用する。このときの反力が、既設管の軸方向発進立坑側に沿って作用すると、既設管が地中に埋設されている状態のまま傾くことなく、動かずに保持できるため、この軸方向発進立坑側と正反対である軸方向到達立坑側に向けてヘッダを軸方向に真直ぐ引っ張ると、ヘッダが、既設管の管内で、既設管の内壁に局部的に当たることもなくスムーズに移動できるようになる。そのため、ワイヤによりヘッダを既設管の管内に引っ張るときに、ワイヤ引き込み装置において、ワイヤを引っ張るときに掛かる負荷をより小さく抑えて、既設管をその軸方向に切断すると共に、切断された部分を拡径部で管の周方向に拡げて拡径することができる。
【0022】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するヘッダ回収方法において、ヘッダ取り出し工程で、第1治具が既設管の端部の端面と対向する位置に配置された後、第1当接部を、端部の端面のうち、軸方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に形成された部分に当接させると共に、切り欠き部または開口部を、端部の管内の中空部に位置合わせして配置すること、を特徴とするので、第1当接部を端部(引き込み側端部)の端面に当接させた状態で、第1治具を既設管の引き込み側端部と対向する位置に配置すると、ヘッダを到達立坑側にさらに引っ張るだけで、第1治具により、既設管が動かないよう、既設管を支えることができると共に、第1治具の切り欠き部または開口部に、ヘッダのカッタ等を通過させて、既設管の引き込み側端部をその軸方向に拡径して、ヘッダを既設管の引き込み側端部の管口から外部に簡単に取り出すことができる。
【0023】
(5)発進立坑と到達立坑との間の地中に埋設されている既設管をその軸方向に切断して拡径するヘッダを有し、ヘッダを、発進立坑から引き込まれる新設管と接続した状態で、到達立坑側から引っ張ることにより、拡径した既設管の内周側に新設管を引き込む管入れ替え装置と共に用いられ、ヘッダの引張りに伴って、既設管に作用する到達立坑側への引張り力で、到達立坑側に移動しようとする既設管を支える既設管支持手段と、到達立坑内に配置された既設管の端部の端面に当接させる第1当接部と、到達立坑側への引張り力を、第1当接部を介して既設管支持手段に伝達させる第1伝達部と、ヘッダが通り抜け可能に形成された切り欠き部、または開口部とを有し、既設管の拡径時に用いる第1治具と、を備えること、を特徴とするので、本発明のヘッダ回収装置を到達立坑内に設置しておき、ヘッダが、発進立坑から到達立坑側に向けて移動して地中に埋設された既設管を切断し終えた後、ヘッダの先端部が到達立坑内に位置する既設管の端部(引き込み側端部)の管口に到達直前に位置したときに、第1治具が、この既設管の引き込み側端部に、その端面と第1当接部とを当接させた状態で取り付けられる。第1治具の取り付け後、管入れ替え装置でヘッダをさらに到達立坑側に引っ張ることにより、ヘッダが、既設管の引き込み側端部をその軸方向に切断しながら、あるいは引き込み側端部を切断した後に、第1治具の切り欠き部(または開口部)を通過し、既設管の引き込み側端部の管口から外部に引張り出される。このとき、ヘッダの引張りに伴って、既設管には到達立坑側への引張り力が作用して、既設管が到達立坑側に移動しようとするが、この引張り力の反力が、既設管支持手段から第1伝達部、第1当接部を介して既設管の引き込み側端部の端面に作用して、既設管は到達立坑側に移動しない。よって、ヘッダが第1治具の切り欠き部(または開口部)を通過するよう、管入れ替え装置でヘッダを到達立坑側に引っ張ることにより、ヘッダを、既設管の引き込み側端部から外部に完全に引張り出して回収することができる。
【0024】
また、本発明のヘッダ回収装置では、従来技術と異なり、ヘッダを既設管の端部(引き込み側端部)から取り出して回収するとき、管内にヘッダが入り込んだ既設管の引き込み側端部を既設管本体から切断する作業や、補助管を既設管と接続させた後、ヘッダが入り込んだ補助管と既設管との接続を解除する作業が、全く不要である。また、作業者が、第1治具を既設管の引き込み側端部に取り付けて、管入れ替え装置によりヘッダを到達立坑側に引き続き引っ張るだけで、ヘッダが簡単に回収でき、ヘッダの回収作業が、従来の回収作業より効率良く行うことができる。
【0025】
また、作業者が、第1治具を既設管の引き込み側端部の端面に配置し、管入れ替え装置によるヘッダの引張り操作をするだけで、ヘッダを、既設管の引き込み側端部から外部に取り出して回収できるため、作業者に危険を伴うこともなく安全に、ヘッダを回収することができる。また、作業者は、到達立坑内で既設管内から回収されたヘッダを地上まで搬出するのに、ヘッダ単体を地上に持ち上げれば良く、作業者の運搬上の負担が、既設管の引き込み側端部等と共にこの管内に入り込んだヘッダを到達立坑内から地上に運び出していた従来技術に比べて、小さくなる。加えて、ヘッダの回収時に、従来技術のように、ハンマー等の工具で既設管を叩きつけることもなく、工具による衝撃に起因して、ヘッダが損傷してしまうこともない。
【0026】
従って、既設管の拡径後、既設管の引き込み側端部の管口からヘッダを、安全にかつ効率良く取り出して回収することができる、という優れた効果を奏する。
【0027】
(6)(5)に記載するヘッダ回収装置において、第1治具が、既設管の端部の端面と対向する位置に配置され、第1当接部が、端部の端面のうち、軸方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に形成された一の部分と当接し、切り欠き部または開口部が、端部の管内の中空部に位置合わせして配置されること、を特徴とするので、例えば、到達立坑の近接位置に設置されるワイヤ巻取り装置等に捲回されたワイヤを、到達立坑から発進立坑側に挿入しておき、拡径時にこのワイヤと接続したヘッダを到達立坑側に引っ張って既設管を拡径する管入れ替え装置等の場合には、ワイヤが既設管の管内を挿通している状態であっても、ワイヤの配線経路を、切り欠き部または開口部に配置することで、第1治具を既設管の端部(引き込み側端部)を通じて、ヘッダを引っ張ることができる。
【0028】
ところで、ヘッダは、ヘッダ本体を既設管の内周面に沿って進行方向に案内するガイドローラと、既設管をその軸方向に切断するカッタと、カッタにより分割させた既設管をその周方向に拡径させる円錐台状の拡径部と、を有して構成されていることがある。このようなヘッダでは拡径時に、カッタと拡径部が、その機能上、既設管の外周より径外側にも移動経路をとって移動する。
【0029】
本発明のヘッダ回収装置では、第1治具の第1当接部が、埋設されている既設管の引き込み側端部の端面のうち、円弧状に形成された一の部分と当接して、既設管が、第1伝達部を介して、既設管支持手段によって支えられる。これにより、既設管が保持された状態となり、この状態で、ヘッダが、上述したワイヤによって、到達立坑側から引っ張られると、既設管の外周より径外側に移動経路を持つカッタ及び拡径部のほか、ガイドローラ等が、切り欠き部または開口部に向けて移動し通過することができる。よって、ヘッダは、第1治具と干渉することなく、既設管の引き込み側端部から外部に引張り出すことができる。
【0030】
(7)(5)または(6)に記載するヘッダ回収装置において、既設管の端部の端面に当接させる第2当接部と、到達立坑側への引張り力を、第2当接部を介して既設管支持手段に伝達させる第2伝達部とを有し、ヘッダで既設管を拡径しているときに用いる第2治具を備えること、を特徴とするので、既設管の拡径作業は、例えば、前述したワイヤにより、数〜数十(t)の大きな力でヘッダを到達立坑側に引張りながら、ヘッダのカッタで既設管を軸方向に切断しつつ、切断された部分を拡径部で既設管の周方向に拡げるため、既設管の管内を移動するときのヘッダの摺動抵抗は非常に大きい。そのため、ヘッダをこのような大きな力で引っ張ると、ヘッダの引張りに伴って、既設管そのものが到達立坑側に移動しようとする既設管の引張り力が大きく作用する。このとき、第2治具が既設管の端部(引き込み側端部)に取り付けられることで、第2当接部が既設管の引き込み側端部の端面に当接して、到達立坑側に移動しようと既設管の引張り力が、第2伝達部を介して既設管支持手段に作用する。既設管支持手段は、この引張り力の反力を既設管の引き込み側端部の端面に向けて作用させるため、拡径作業中、既設管は、移動しないで保持した状態にできる。そのため、既設管の拡径時に、既設管を固定させたまま、前述したワイヤでヘッダを引っ張ることで、例示したように、数〜数十(t)の大きな力(ヘッダの引張り力)が、既設管内のヘッダにロスなく伝わり、既設管を効率良く切断し、拡径することができる。
【0031】
(8)(7)に記載するヘッダ回収装置において、第2当接部は、既設管の径に対応して、端部管内の中空部を確保可能な環状に形成されていること、第2治具は、既設管の端部の端面と対向する位置に配置され、第2当接部が、端部の端面と、既設管の軸方向に沿う方向に延びる軸線上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状、または円環状に当接すること、を特徴とするので、先に例示したワイヤ巻取り装置に捲回されたワイヤを、既設管の管内のヘッダと、第2当接部の円環内を通じて接続でき、第2治具が既設管の端部に取り付けられていても、ワイヤでヘッダを到達立坑側に引っ張ることができる。また、前述で例示したように、数〜数十(t)の大きな力でヘッダを引張り、既設管に掛かる引張り力の反力が、円弧状または円環状の第2当接部を介して、円環状の既設管の端部(引き込み側端部)の端面に作用する。このときの反力が、既設管の軸方向発進立坑側に沿って作用すると、既設管が地中に埋設されている状態のまま傾くことなく、動かずに保持できるため、この軸方向発進立坑側と正反対である軸方向到達立坑側に向けてヘッダを軸方向に真直ぐ引っ張ると、ヘッダが、既設管の管内で、既設管の内壁に局部的に当たることもなくスムーズに移動できるようになる。そのため、ワイヤによりヘッダを既設管の管内に引っ張るときに、ワイヤ引き込み装置において、ワイヤを引っ張るときに掛かる負荷をより小さく抑えて、既設管をその軸方向に切断すると共に、切断された部分を拡径部で管の周方向に拡げて拡径することができる。
【0032】
(9)(5)乃至(8)のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置において、既設管支持手段は、第1治具または第2治具から伝達される引張り力の反力を作用させる支持部を有し、支持部が、既設管の軸方向に沿う方向に対し、移動可能に形成されていること、を特徴とするので、既設管の拡径にあたり、到達立坑内に位置する既設管の端部(引き込み側端部)に、第2治具を取り付ける場合や、既設管の拡径後、第2治具を取り外し、第2治具に代えて第1治具を既設管の引き込み側端部に取り付ける場合等に、既設管支持手段の支持部が、既設管の引き込み側端部から離間する向きに移動すると、作業者が、第1治具や第2治具を既設管の引き込み側端部に着脱させるときに、その作業がし易くなる。
【0033】
一方で、既設管の引き込み側端部の端面に第1当接部を当接させて第1治具を既設管の引き込み側端部に配置したら、支持部を既設管の引き込み側端部に近接する向きに移動させ、既設管支持手段の支持部と第1治具の第1伝達部とを当接させる。これにより、既設管に作用する引張り力の反力が、既設管支持手段の支持部から第1治具の第1伝達部、第1当接部を介して、既設管の引き込み側端部の端面に作用するようになる。また、既設管の引き込み側端部の端面に第2当接部を当接させて第2治具を既設管の引き込み側端部に配置したら、支持部を既設管の引き込み側端部に近接する向きに移動させ、既設管支持手段の支持部と第2治具の第2伝達部とを当接させる。これにより、既設管に作用する引張り力の反力が、既設管支持手段の支持部から第2治具の第2伝達部、第2当接部を介して、既設管の引き込み側端部の端面に作用するようになる。
【0034】
(10)(9)に記載するヘッダ回収装置において、既設管支持手段は、固定されたシリンダに対し、伸縮可能なロッドを有した油圧駆動源であり、支持部が、ロッドの先端に設けられていること、を特徴とするので、到達立坑側に移動しようとする既設管を大きな力で安定して支えるのに、既設管支持手段を省スペースで構成することができ、コンパクト化した既設管支持手段は、スペースが狭い到達立坑内にも設置することができる。また、例えば、第1治具や第2治具の着脱時等において、既設管支持手段の支持部と既設管の引き込み側端部との間に第1治具または第2治具を挟み込みたい場合や、支持部の位置を変更したい場合に、簡単な操作でロッドが自在に伸縮、停止できるため、支持部の位置を変更するときの作業性が向上する。
【0035】
(11)(5)乃至(10)のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置において、第1治具は平板で形成され、第1当接部が、第1伝達部の一部として配置されていると共に、切り欠き部が、第1当接部の径方向径内側に切り欠かれて形成されていること、を特徴とするので、第1治具は、1つの平板を機械加工して安価に形成することができる。また、例えば、第1当接部を既設管の端部(引き込み側端部)の端面と位置合わせして当接させた状態で、既設管の軸方向発進立坑側に既設管支持手段の支持部を第1伝達部に押圧すること等により、第1治具が、既設管の引き込み側端部に固定して簡単に取り付けることができる。さらに、第1当接部を既設管の引き込み側端部の端面と位置合わせして当接させた状態で、第1治具を既設管の引き込み側端部に固定するだけで、ヘッダが、その通過経路として、既設管の引き込み側端部の管内と連通する切り欠き部を通じて、既設管の引き込み側端部の外部に簡単に移動できるようになる。
【0036】
(12)(7)乃至(11)のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置において、第2治具は、既設管の周方向に沿う方向に対し、複数に分割された分割片からなり、複数の分割片同士を着脱可能で一体に形成されていること、を特徴とするので、例えば、円環を2分割した分割片で、既設管を挟む上下に2つの分割片を突き合わせて連結させた第2治具の場合、作業者が、到達立坑内の既設管の端部(引き込み側端部)に第2治具を取り付けるとき、まず上半分の分割片を既設管の引き込み側端部に載置し、下半分の分割片と連結させる。これにより、作業者が、到達立坑内に入って、第2治具を既設管の引き込み側端部に取り付けるときに、第2治具全体を一度に持ち上げる必要がなく、第2治具全体の重量を分担して既設管の引き込み側端部に取り付けることができ、狭い到達立坑内で、作業者に掛かる作業負担(労力)を軽減することができる。
【0037】
また、ヘッダは、ヘッダ本体を既設管の内周面に沿って進行方向に案内するガイドローラと、既設管をその軸方向に切断するカッタと、カッタにより分割させた既設管をその周方向に拡径させる円錐台状の拡径部と、を有して構成されていることがある。このようなヘッダでは、ガイドローラはヘッダの先端から後端にかけて複数配置され、拡径部はヘッダの後端に配置され、カッタは拡径部より先端側に配置されている。既設管を挟む上下に2つの分割片を突き合わせて連結された第2治具の場合、ヘッダの先端部が、到達立坑内の既設管の引き込み側端部の管口と間近な位置にあると、カッタが第2治具と接触する虞があるため、例えば、カッタの移動経路と交わる第2治具の下半分の分割片だけを取り除いておき、カッタの接触を防止する。その一方で、ヘッダが既設管の引き込み側端部の外部の管口から出るまで、ヘッダを到達立坑側に引張り続けたとき、ヘッダの引張り力に対する反力を、第2治具の上半分の分割片に作用させて、既設管の移動を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施形態に係るヘッダ回収装置を用いて既設管を新設管に入れ替える様子を概略的に示す説明図である。
図2】本実施形態に係る管入れ替え装置のうち、ワイヤ引き込み装置を示す説明図である。
図3】本実施形態に係る管入れ替え装置のうち、ヘッダを示す正面図である。
図4】実施形態に係るヘッダ回収装置を示す正面図であり、第2治具を用いている様子を示す図である。
図5図4に示すヘッダ回収装置の平面図である。
図6】実施形態に係るヘッダ回収装置の入口側板部材を示す図である。
図7】実施形態に係るヘッダ回収装置の出口側板部材を示す図である。
図8】実施形態に係るヘッダ回収装置の支持部を示す図である。
図9】実施形態に係るヘッダ回収装置の第1治具を示す図であり、(a)は正面図、(b)側面図である。
図10】第1治具の第1当接部が既設管の引き込み側端部の端面に当接する範囲を説明する図である。
図11】実施形態に係るヘッダ回収装置の第2治具のうちの上側分割片を示す図であり、(a)は正面図、(b)側面図である。
図12】第2治具のうちの下側分割片を示す図であり、(a)は正面図、(b)側面図である。
図13】第2治具の上側分割片と第2治具の下側分割片とを連結させた状態を示す説明図である。
図14】第2治具の第2当接部が既設管の引き込み側端部の端面に当接する範囲を説明する図である。
図15】実施形態に係るヘッダ回収方法の既設管拡径工程を示す第1工程図である。
図16図15に続く第2工程図であり、既設管拡径工程の終了直前の様子を示す説明図である。
図17図16に続く第3工程図であり、治具交換工程を実施した様子を示す説明図である。
図18図17に続く第4工程図であり、ヘッダ取り出し工程でヘッダを引き込み側端部の管口から引き抜いた直後の様子を示す説明図である。
図19】従来技術に係る既設埋設管の回収方法を示す前工程図である
図20図19に続く後工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係るヘッダ回収方法及びヘッダ回収装置について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、実施形態に係るヘッダ回収装置を用いて既設管を新設管に入れ替える様子を概略的に示す説明図である。
【0040】
はじめに、本発明に係るヘッダ回収装置を用いた非開削ガス管入替工法について、図1を用いて簡単に説明する。この非開削ガス管入替工法は、ヘッダ11をワイヤWで引っ張る工法であり、図1に示すように、ワイヤW、ヘッダ11、ワイヤ引き込み装置20、及びワイヤ巻き取りドラム28等からなる管入れ替え装置10と、ヘッダ回収装置30とを用いる。非開削ガス管入替工法では、既設管5が埋設された所定位置に、まず発進立坑1と到達立坑2とを掘った後、発進立坑1側と到達立坑2側の両側で既設管5を切断する。到達立坑2側の既設管5の切断は、到達立坑2の内壁2aより離れた位置で行い、既設管5の引き込み側端部6(端部)が到達立坑2内に配置されるようにする。次いで、本実施形態に係るヘッダ回収装置30とワイヤ引き込み装置20とを、到達立坑2内に設置する。ヘッダ回収装置30は、到達立坑2の内壁2aとワイヤ引き込み装置20との間に配置する。
【0041】
次いで、到達立坑2内において、ワイヤWを既設管5の管内に挿入し、ワイヤWの始端部(図1の左側端部)が発進立坑1内に到達するまで、発進立坑1側に向けて送る。一方、発進立坑1内において到達したワイヤWの始端部と、ヘッダ11の先端部(図1中、右側端部)とを、連結する。また、ヘッダ11の後端部(図1中、左側端部)に、例えば、ポリエチレン製等の新設管5Nを接続する。ワイヤ引き込み装置20により、ワイヤWを到達立坑2側に引き寄せると、ヘッダ11が、既設管5の内部に引き込まれ到達立坑2に向けて移動する。
【0042】
次に、管入れ替え装置10について、図1を用いて説明する。管入れ替え装置10は、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設されている既設管5をその軸方向Lに切断して拡径するヘッダ11を有している。ヘッダ11は、発進立坑1から引き込まれる新設管5Nと接続した状態で、到達立坑2に近接する地面GL上に設置したワイヤ巻き取りドラム28に捲回されたワイヤWを、ワイヤ引き込み装置20で到達立坑2側に引っ張ることにより、拡径した既設管5の内周5a側に新設管5Nを引き込む。
【0043】
ワイヤ引き込み装置20について、図2を用いて説明する。図2は、ワイヤ引き込み装置を示す説明図である。
【0044】
ワイヤ引き込み装置20は、市販されている周知の装置であり、本実施形態では、数〜数十(t)の力でワイヤWを引っ張る能力を具備している。このワイヤ引き込み装置20は、図2に示すように、ガイド部材21、引上げ部材22、ワイヤ保持部材23、クランプ部材24、及びプーリ27等を有する。ガイド部材21は、図2に示すように、略J型字形状に形成され、外周に沿う縁部に、ワイヤWを保持可能な溝を有している。
【0045】
引上げ部材22は、第1の駆動源である第1の油圧シリンダ25Aに対し、そのロッド25Bの伸縮動作による直線運動により、ガイド部材21の溝との間に挿通したワイヤWを、クランプまたはアンクランプする。また、この引上げ部材22は、第2の駆動源である第2の油圧シリンダ26Aに対し、そのロッド26Bの伸縮動作による直線運動により、軸心Mを中心に、ガイド部材21の外周縁部に沿った揺動方向Pに対し、所定範囲を回動可能に配設されている。引上げ部材22は、図2に示すように、ガイド部材21に対しアンクランプ状態からクランプ状態に切り替わると同時に、位置Paから位置Pbまで揺動方向Pに移動開始することにより、ガイド部材21と共にクランプした状態のワイヤWを、ガイド部材21の外周縁部に沿って到達立坑2側に引き寄せながら、到達立坑2側に引き上げる。
【0046】
ワイヤ保持部材23は、ワイヤWを保持可能な溝を有している。クランプ部材24は、略円弧形状に形成され、爪先部の外周縁部にワイヤWを保持可能な溝を有している。クランプ部材24は、第2の油圧シリンダ26Aに対し、そのロッド26Bの伸縮動作による直線運動を回転運動に変換する機構に構成され、軸心Nを中心に、所定範囲の揺動方向Qに対し回動可能に設けられている。これにより、クランプ部材24は、ワイヤ保持部材23と近接または離間できるようになっている。このクランプ部材24は、ガイド部材21に対しクランプ状態からアンクランプ状態に切り替わり、ワイヤWの保持が解除されると同時に、ワイヤ保持部材23に近接して、ワイヤWが発進立坑1側に逆戻りしないよう、ワイヤ保持部材23の溝との間に挿通したワイヤWをクランプする。
【0047】
かくして、ワイヤ引き込み装置20では、ワイヤ保持部材23とクランプ部材24とによりワイヤWを保持した状態で、引上げ部材22がガイド部材21の外周縁部に沿って揺動方向Pに移動して、ワイヤWが所定長さだけ到達立坑2側に引き上げられる。そして、この引上げ動作を連続運転で複数サイクル繰り返し行うことで、ワイヤWが到達立坑2側に順次送り出されて引き込まれる。
【0048】
次に、ヘッダ11について、図3を用いて説明する。図3はヘッダを示す正面図である。ヘッダ11は、図3に示すように、大別して、ヘッダ本体部12と拡径部15とからなり、本実施形態では、拡径部15と一体に形成されたヘッダ本体部12には、ガイドローラ13とカッタ14とが回転可能に軸支されている。また、ヘッダ本体部12の前側には、ワイヤWの始端部と接続可能なワイヤ取付部12Wが形成されている。新設管5Nと接続可能な新設管取付部15Nが、拡径部15の後側に形成され、拡径部15は、カッタ14により切断されて分割させた既設管5をその周方向Cに拡径させる。なお、図3に示したヘッダ11は、その機能を説明するために単に例示した構成に過ぎず、ヘッダの構成、機能は、本実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。
【0049】
次に、ヘッダ回収装置30について、図1、及び図4乃至図12を用いて説明する。図4は、実施形態に係るヘッダ回収装置を示す正面図であり、第2治具を用いている様子を示す図である。図5は、図4に示すヘッダ回収装置の平面図である。
【0050】
ヘッダ回収装置30は、図1に示すように、管入れ替え装置10と共に用いられる。ヘッダ回収装置30は、既設管支持手段40と、第1治具50と、第2治具60とを備えている。既設管支持手段40は、図4及び図5に示すように、4つのフレーム部材31、入口側板部材32、出口側板部材33、2つのシリンダ支持部材34、及び2つのシリンダ支持部補強部材35からなるボディに組み込まれている。
【0051】
はじめに、ボディについて説明する。図6は、実施形態に係るヘッダ回収装置の入口側板部材を示す図である。図7は、実施形態に係るヘッダ回収装置の出口側板部材を示す図である。入口側板部材32は、金属製であり、図6に示すように、後述する第2治具60とほぼ同じ外径(図12参照)の貫通孔32Hを有した矩形状の平板である。貫通孔32Hの径は、第1治具50の外周径、及び第2治具60の外周径より小さく、第1治具50及び第2治具60が、貫通孔32Hを通り抜け不可となっている。出口側板部材33は、金属製であり、図7に示すように、ワイヤWが挿通可能な貫通孔33Hを有し、入口側板部材32と同じ大きさで形成された矩形状の平板である。
【0052】
入口側板部材32と出口側板部材33とは、図4及び図5に示すように、互いに面同士を平行に対向させて配置され、4つの棒状のフレーム部材31のそれぞれ両端を、入口側板部材32と出口側板部材33とのそれぞれ四隅に接続して固定されている。出口側板部材33には、貫通孔33Hを挟む左右(図7中、左右方向に対応)両側に、平板状のシリンダ支持部材34が2つ取り付けられている。また、シリンダ支持部補強部材35が、図5において、上側の位置する2つのフレーム部材31と、シリンダ支持部材34の一方とに架設され、もう1つのシリンダ支持部補強部材35が、下側の位置する2つのフレーム部材31と、シリンダ支持部材34の他方とに架設されている。2つのシリンダ支持部補強部材35はそれぞれ、ワイヤ引き込み装置20によるワイヤWの到達立坑2側への引張り力T1(数〜数十(t)の力)に打勝つ高い剛性で、2つのフレーム部材31と、シリンダ支持部材34を介して出口側板部材33に固定されている。
【0053】
次に、既設管支持手段40について説明する。既設管支持手段40は、ワイヤ引き込み装置20によりワイヤWと連結するヘッダ11の引張りに伴って、既設管5に作用する到達立坑2側への引張り力T1で、到達立坑2側に移動しようとする既設管5を支える。この既設管支持手段40は、第1治具50または第2治具60から伝達される引張り力T1の反力T2を平面で作用させる支持部44を有し、支持部44が、既設管5の軸方向Lに沿う方向に対し、移動可能に形成されている。
【0054】
具体的には、既設管支持手段40は、シリンダ支持部補強部材35に固定されたシリンダ41に対し、伸縮可能なロッド43を有した油圧駆動源である。シリンダ41は、図示しない油圧供給源から当該シリンダ41内に作動油を供給する第1ポート42aと、当該シリンダ41内から作動油を油圧供給源に戻す第2ポート42bとを有している。ロッド43は、第1ポート42aと第2ポート42bを通じて、シリンダ41に流通させる作動油を制御することで、自在に伸縮して前進または後退できるようになっている。本実施形態では、2つのシリンダ41の各ロッド43が、それぞれほぼ同期したタイミングで伸縮するようになっている。2組のシリンダ41及びそのロッド43を具備した既設管支持手段40は、ワイヤ引き込み装置20によるワイヤWの到達立坑2側への引張り力T1に対し、その反力T2となる外力を既設管5に作用させる駆動力を発揮可能な性能を備えている。
【0055】
ロッド43の先端には、支持部44が設けられている。図8は、実施形態に係るヘッダ回収装置の支持部を示す図である。支持部44は、図8に示すように、ワイヤWが挿通可能な貫通孔44Hを有し、略円環面状に形成された平板である。2つのロッド43の先端が、参照する図4図5及び図8に示すように、貫通孔44Hを跨いだ状態で支持部44に固定されている。貫通孔44Hの径は、ヘッダ11(拡径部15)のほか、このヘッダ11と連結する新設管5Nが挿通可能な径であり、ヘッダ11や新設管5Nが、貫通孔44Hを通り抜けできるようになっている。また、貫通孔44Hの径は、第1治具50の外周径、及び第2治具60の外周径より小さく、第1治具50及び第2治具60が、貫通孔44Hを通り抜け不可となっている。
【0056】
次に、第1治具50について説明する。第1治具50は、到達立坑2内に配置された既設管5の引き込み側端部6の端面6aに当接させる第1当接部52と、ワイヤ引き込み装置20によるワイヤWの到達立坑2側への引張り力T1を、第1当接部52を介して既設管支持手段40に伝達させる第1伝達部51と、ヘッダ11が通り抜け可能に形成された第1治具切り欠き部53(切り欠き部)と、を有する。この第1治具50は、既設管5の拡径後に用いられる。図9は、実施形態に係るヘッダ回収装置の第1治具を示す図であり、(a)は正面図、(b)側面図である。図10は、第1治具の第1当接部が既設管の引き込み側端部の端面に当接する範囲を説明する図である。
【0057】
具体的には、第1治具50は、図9に示すように、円弧状の平板で形成され、第1当接部52が、第1伝達部51の一部として配置されていると共に、第1治具切り欠き部53が、第1当接部52の径方向径内側に切り欠かれて形成されている。この第1治具50は、既設管5の拡径後、ヘッダ11の一部として、例えば、ワイヤ取付部12Wのほか、前側のガイドローラ13辺りまでのヘッダ本体部12の前部が、既設管5の引き込み側端部6の管口の直前位置まで到達した時点で、既設管5の引き込み側端部6に取り付けられる。第1治具50が既設管5の引き込み側端部6に取り付けられた状態では、第1当接部52の第1当接面52aは、図9及び図10に示すように、引き込み側端部6の端面6aのうち、軸方向Lに延びる軸線AX(図1参照)上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に形成された一の部分6Saと当接し、第1当接部52と当接しない他の部分6Sbは、第1治具切り欠き部53に配置される。第1治具50には、取手54が設けられている。
【0058】
次に、第2治具60について説明する。第2治具60は、既設管5の引き込み側端部6の端面6aに当接させる第2当接部62A,62Bと、ワイヤ引き込み装置20によるワイヤWの到達立坑2側への引張り力T1を、第2当接部62A,62Bを介して既設管支持手段40に伝達させる第2伝達部63A,63Bと、を有する。この第2治具60は、ヘッダ11で既設管5を切断しているときに用いられる。
【0059】
図11は、実施形態に係るヘッダ回収装置の第2治具のうちの上側分割片を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。図12は、第2治具のうちの下側分割片を示す図であり、(a)は正面図、(b)側面図である。図13は、第2治具の上側分割片と第2治具の下側分割片とを連結させた状態を示す説明図である。図14は、第2治具の第2当接部が既設管の引き込み側端部の端面に当接する範囲を説明する図である。
【0060】
第2治具は、図11乃至図14に示すように、既設管5の引き込み側端部6の周方向Cに沿う方向に対し、複数(本実施形態では2つ)に分割された上側分割片61A及び下側分割片61B(分割片)からなり、上側分割片61Aと下側分割片61Bとを着脱可能に形成されている。はじめに、上側分割片61Aについて、図11を用いて説明する。
【0061】
上側分割片61Aは、図11に示すように、中心角180度の略扇型形状に形成された板状の第2伝達部63Aと、その内周面から径外側に少し離れた内側縁部に、隙間を挟んで立設した2つの略四分の1円筒形状の上側分割片筒部65Aとを有している。第2当接部62Aは、第2伝達部63Aのうち、2つの上側分割片筒部65Aの径内側に位置しており、上側分割片筒部65Aの径内側にある第2伝達部63Aの面が上側分割片当接面62Aaとなっている。上側分割片筒部65Aの内径は、参照する図14に示すように、既設管5の引き込み側端部6の外径とほぼ同径となっており、上側分割片筒部65Aで引き込み側端部6の上半分を包み込むことで、上側分割片61Aが引き込み側端部6に取り付けできるようになっている。
【0062】
第2伝達部63Aにおいて、ちょうど中心角90度の位置には、第2治具切り欠き部66が、2つの上側分割片筒部65Aの間の隙間と共に、第2伝達部63Aの一部を切り欠いて形成されている。第2治具切り欠き部66は、ヘッダ11(ヘッダ本体部12)の先頭部が既設管5の引き込み側端部6の端面6a(管口)を通過しようとしたときに、ヘッダ本体部12のガイドローラ13が、上側分割片61Aの第2伝達部63A(第2治具60)と干渉しない程度の大きさとなっている。
【0063】
第2伝達部63Aには、2つの上側分割片筒部65Aを挟む両側に係合片68がそれぞれ配設されている。係合片68は、図11に示すように、平板の長手方向一方側(図11(a)の上側)に、第2伝達部63Aに立設した軸部67Aを中心に回動可能に設けられ、長手方向他方側(図11(a)の下側)を、第2伝達部63Aの端面である下側分割片突合せ面61Bbより離れて位置する。係合片68の長手方向他方側には、係合片68の長辺から内側に切り欠いた係合溝69が、形成されている。上側分割片61Aには、取
手64Aが、中心角90度の位置に設けられている。
【0064】
次に、下側分割片61Bについて、図12を用いて説明する。下側分割片61Bは、上側分割片61Aと対となる分割片で、図12に示すように、第2伝達部63Aと同径で、中心角180度の略扇型形状に形成された板状の第2伝達部63Bと、その内周面から径外側に少し離れた内側縁部に、隙間を挟んで立設した2つの略四分の1円筒形状の下側分割片筒部65Bとを有している。第2当接部62Bは、第2伝達部63Bのうち、2つの下側分割片筒部65Bの径内側に位置しており、下側分割片筒部65Bの径内側にある第2伝達部63Bの面が下側分割片当接面62Baとなっている。下側分割片筒部65Bの内径は、上側分割片筒部65Aと同様、参照する図14に示すように、既設管5の引き込み側端部6の外径とほぼ同径となっており、下側分割片筒部65Bで引き込み側端部6の下半分を包み込むことで、下側分割片筒部65Bが引き込み側端部6に取り付けできるようになっている。また、下側分割片61Bには、取手64Bが、中心角90度の位置に設けられている。
【0065】
第2伝達部63Bには、2つの下側分割片筒部65Bを挟む両側にピン67Bがそれぞれ配設されている。ピン67Bは、上側分割片61Aの係合片68の係合溝69と係合可能に形成されている。図13に示すように、上側分割片61Aの上側分割片突合せ面61Abと、下側分割片61Bの下側分割片突合せ面61Bbとを互いに対向して突き合わせ、係合片68の係合溝69にピン67Bを係合させると、上側分割片61Aと下側分割片61Bとが固定され、第2治具60として一体となる。これにより、上側分割片当接面62Aaと下側分割片当接面62Baとが、同じ平面上で、円環面から第2治具切り欠き部66が欠落した扇型形状に形成され、第2治具切り欠き部66と繋がった第2治具貫通部60Hが、第2治具60の中央に形成される。
【0066】
すなわち、第2当接部62A,62Bは、既設管5の引き込み側端部6の径に対応して、引き込み側端部6の中空部6Sが確保可能な環状に形成される。第2治具60は、既設管5を拡径している間、ヘッダ11の一部として、例えば、ワイヤ取付部12Wのほか、前側のガイドローラ13辺りまでのヘッダ本体部12の先頭部が、第2治具60の第2当接部62A,62Bに近接する位置まで、既設管5の引き込み側端部6に取り付けられる。第2治具60が既設管5の引き込み側端部6に取り付けられた状態では、第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baが、図14に示すように、引き込み側端部6の端面6aの大半の部分と、既設管5の軸方向Lに沿う方向に延びる軸線AX上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に当接する。
【0067】
次に、本実施形態に係るヘッダ回収方法について、説明する。本実施形態に係るヘッダ回収方法は、非開削ガス管入替工法による新設管5Nへの置き換え工事において、前述した管入れ替え装置10とヘッダ回収装置30とにより、既設管5を新設管5Nに入れ替える一連の作業の中で行われ、次述する拡径準備工程の実施した後に行われる。
【0068】
拡径準備工程ではまず、発進立坑1と到達立坑2とを掘った後、既設管5を発進立坑1側で切断する共に、この既設管5の到達立坑2側を、到達立坑2の内壁2aより離れた位置で切断し、既設管5の引き込み側端部6を到達立坑2内に配置する。次いで、ワイヤ引き込み装置20とヘッダ回収装置30とを到達立坑2内に運び入れて、ヘッダ回収装置30を、到達立坑2の内壁2aとワイヤ引き込み装置20との間に設置する。次いで、到達立坑2内において、ワイヤWを既設管5の引き込み側端部6の管口から引き込み側端部6管内の中空部6S(図14参照)に挿入し、ワイヤWの始端部(図1の左側端部)が発進立坑1内に到達するまで、発進立坑1側に向けて送る。一方、発進立坑1内において到達したワイヤWの始端部と、ヘッダ11の先端部(図1中、右側端部)とを、連結する。また、ヘッダ11の後端部(図1中、左側端部)に、新設管5Nを接続する。発進立坑1と到達立坑2とを繋ぐ切断後の既設管5において、その管内の発進立坑1側の拡径起点となる位置に、ワイヤWと新設管5Nを接続したヘッダ11を、設置しておく。
【0069】
次に、本実施形態に係るヘッダ回収方法について、図15乃至図18を用いて説明する。本実施形態に係るヘッダ回収方法は、既設管拡径工程、治具交換工程、及びヘッダ取り出し工程を有し、各工程はこの順に実施される。
【0070】
図15は、実施形態に係るヘッダ回収方法の既設管拡径工程を示す第1工程図である。図16は、図15に続く第2工程図であり、既設管拡径工程の終了直前の様子を示す説明図である。図17は、図16に続く第3工程図であり、治具交換工程を実施した様子を示す説明図である。図18は、図17に続く第4工程図であり、ヘッダ取り出し工程でヘッダを引き込み側端部の管口から引き抜いた直後の様子を示す説明図である。なお、図15乃至図18は、図を見易くするため、図5において、既設管支持手段40の支持部44の中央(図5中、上下方向中央)からその奥側(図5中、上側)を見た視点で、図示されている。
【0071】
はじめに、既設管拡径工程について、図13乃至図15を用いて説明する。既設管拡径工程では、図13乃至図15に示すように、既設管5の引き込み側端部6の端面6aと当接可能な第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを有する第2治具60(上側分割片61A及び下側分割片61B)を、既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置する。そして、ヘッダ11の引張りに伴って、既設管5に作用する到達立坑2側への引張り力T1で、到達立坑2側に移動しようとする既設管5を、第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを引き込み側端部6の端面6aに当接させた状態で支えながら、ヘッダ11により既設管5を拡径する。この既設管拡径工程は、ヘッダ取り出し工程の前に実施される。
【0072】
具体的に説明する。拡径準備工程の終了後、到達立坑2内において、作業者が、取手64Aで掴んだ上側分割片61Aを既設管5の引き込み側端部6の上方に、ヘッダ11のガイドローラ13の移動経路に上側分割片61Aの第2治具切り欠き部66を位置合わせして取り付ける。また、作業者は、取手64Bで掴んだ下側分割片61Bをこの引き込み側端部6の下方に取り付けて、係合片68の係合溝69をピン67Bに係合させることにより、上側分割片61Aと下側分割片61Bとを一体に固定する。これにより、上側分割片当接面62Aaが、引き込み側端部6の端面6aの上方半分と対向する位置に配置され、下側分割片当接面62Baが、引き込み側端部6の端面6aの下方半分と対向する位置に配置される。
【0073】
既設管拡径工程では、第2治具60が既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置された後、第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aaと、第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baとを、引き込み側端部6の端面6aに、既設管5の軸方向Lに沿う方向に延びる軸線AX上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に当接させる。これにより、第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aaと、第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baとが、図14に示すように、既設管5の引き込み側端部6の径に対応して、引き込み側端部6の中空部6Sが確保可能な環状に形成され、ワイヤWの配線経路を確保できる。
【0074】
また、既設管拡径工程では、ワイヤWでヘッダ11を引っ張っているときには、既設管支持手段40における2つのシリンダ41に対し、予め各ロッド43を前進させて伸ばしておく。そして、ワイヤ引き込み装置20により、ワイヤWを引張り力T1(本実施形態では、数〜数十(t)の引張り力)で到達立坑2側に引っ張ることで、既設管5の中空部6Sを移動経路として、ヘッダ11を拡径起点位置から到達立坑2側に移動させる。ヘッダ11を引っ張ることにより、ヘッダ11の移動中、2つのカッタ14が既設管5を軸方向Lに沿って切断し、拡径部15が、カッタ14で周方向Cに分割した切断後の既設管5を拡径する。
【0075】
このとき、ヘッダ11の引張りに伴って、既設管5に作用する到達立坑2側への引張り力T1で、既設管5が到達立坑2側に移動しようとする。それを回避するため、図15に示すように、ヘッダ回収装置30において、第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを引き込み側端部6の端面6aに当接させると共に、上側分割片61Aの上側分割片支持部当接面61Aa、及び下側分割片61Bの下側分割片支持部当接面61Baを、支持部44の支持面44aと当接させる。これにより、引張り力T1に対する反力T2を支持部44で作用させて到達立坑2側に移動しようとする既設管5を支えながら、ヘッダ11で既設管5の拡径を行い、ヘッダ11に追従して導入する新設管5Nを、拡径した既設管5の内周側に引き入れることができる。ヘッダ11による既設管5の拡径は、ヘッダ本体部12の先頭部が到達立坑2内に配置される既設管5の引き込み側端部6の管口に概ね差し掛かる位置まで、第2治具60を用いて行われる。
【0076】
ヘッダ11において、カッタ14と拡径部15とが、第2治具60の第2治具貫通部60Hを通り抜けできない。そのため、例えば、ワイヤ取付部12Wを含むヘッダ本体部12の先頭部が、既設管5の引き込み側端部6の管口からちょうど外部に抜け出したところで、作業者は、ワイヤ引き込み装置20によるワイヤWの引張りを停止し、既設管5の拡径を中断する。その後、既設管支持手段40における2つのシリンダ41に対し、予め各ロッド43を収縮させて後退させる。これにより、既設管支持手段40における支持部44の支持面44aは、第2治具60における上側分割片61Aの上側分割片支持部当接面61Aa、及び下側分割片61Bの下側分割片支持部当接面61Baと離間する。離間後、作業者は、図16に示すように、第2治具60(上側分割片61A及び下側分割片61B)のうち、下側分割片61Bだけを既設管5の引き込み側端部6から取り外す。
【0077】
下側分割片61Bを既設管5の引き込み側端部6から取り外したら、ワイヤ引き込み装置20によるワイヤWの引張りを再開する。このとき、支持部44の支持面44aと上側分割片61Aの上側分割片支持部当接面61Aaとを離間させたままでも良いが、既設管支持手段40の各ロッド43を再度前進させて、支持部44の支持面44aを上側分割片61Aの上側分割片支持部当接面61Aaに当接させても良い。
【0078】
下側分割片61Bの取り外し後、作業者は、ヘッダ11を、さらに到達立坑2側に移動させ、後側のカッタ14が既設管5の引き込み側端部6の管口からちょうど外部に抜け出した直後のところで、ワイヤ引き込み装置20によるワイヤWの引張りを再度停止する。既設管5の切断作業は、後側のカッタ14が引き込み側端部6の端面6aを切断した時点で、終了する。
【0079】
次いで、第2治具60を代えて第1治具50に交換する治具交換工程を行う。具体的には、作業者は、支持部44の支持面44aと上側分割片61Aの上側分割片支持部当接面61Aaとを離間させた状態で、第2治具60の残りの下側分割片61Bを既設管5の引き込み側端部6から取り外す。その後、作業者は、取手54で第1治具50を掴み、第1治具50の第1治具切り欠き部53内にヘッダ11のヘッダ本体部12の先頭部が入るよう、第1治具50をヘッダ本体部12の先頭部の上方に載置する。第1治具50は、参照する図9及び、図17に示すように、第1治具50と支持部44とがほぼ平行になるよう、第1治具50における取手54側の面(第1当接面52aを含む面)を、既設管5の引き込み側端部6の端面6aに当接させた状態で、ヘッダ本体部12の先頭部に載置す
る。その後、既設管支持手段40の各ロッド43を再び前進させる。また、ワイヤ引き込み装置20によるワイヤWの引張りを再開する。
【0080】
次いで、ヘッダ取り出し工程を行う。ヘッダ取り出し工程は、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設されている既設管5をその軸方向Lに切断して拡径するヘッダ11を、発進立坑1から引き込まれる新設管5Nと接続した状態で、到達立坑2側から引っ張ることにより、拡径した既設管5の内周5a側に新設管5Nを引き込んだ後、既設管5の引き込み側端部6に入り込んだヘッダ11を回収する。そして、このヘッダ取り出し工程は、既設管5の拡径後、到達立坑2内に配置された既設管5の引き込み側端部6の端面6aと当接可能な第1当接部52の第1当接面52aと、ヘッダ11が通り抜け可能な第1治具切り欠き部53を有する第1治具50を既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置し、第1当接面52aを端面6aに当接させた状態で既設管5を支えながら、ヘッダ11を、第1治具切り欠き部53を通過させて既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に引張り出す。
【0081】
このヘッダ取り出し工程で、第1治具50が既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置された後、第1当接部52の第1当接面52aを、図10に示すように、引き込み側端部6の端面6aのうち、軸方向Lに延びる軸線AX上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に形成された一の部分6Saに当接させると共に、第1治具切り欠き部53を、第1当接面52aと当接しない他の部分6Sbのほか、引き込み側端部6の管内の中空部6Sに位置合わせして配置する。
【0082】
具体的に説明する。カッタ14で周方向Cに分割した切断後の既設管において、その引き込み側端部6の管口から、ヘッダ11の拡径部15を完全に引き抜くには、ヘッダ11の拡径部15は後方ほど径が大きいため、拡径後の既設管5の内周5a側を拡径部15が移動するときに生じる摺動抵抗は、かなり大きい。そのため、既設管支持手段40の各ロッド43を再び前進させて、支持部44の支持面44aを、第1治具50の第1当接部52の第1当接面52aに当接させる。当接後、この状態で、図28に示すように、ワイヤ引き込み装置20によりワイヤWを、その摺動抵抗に打勝つ引張り力T1で再度引張り、ヘッダ11を、既設管5の引き込み側端部6の管口に向けて引張り込む。このとき、引張り力T1に対する反力T2を支持部44で作用させて到達立坑2側に移動しようとする既設管5を支えながら、新設管5Nの先端部が到達立坑2内の所定位置まで到達するまで、ヘッダ11をワイヤWで引き寄せて、ヘッダ11全体を、既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に引張り出す。
【0083】
次いで、ワイヤ引き込み装置20によるワイヤWの引張りを停止し、既設管支持手段40における2つのシリンダ41に対し、予め各ロッド43を収縮させて後退させた後、第1治具50を取り外す。ヘッダ11のヘッダ本体部12のワイヤ取付部12Wと、ワイヤWの始端部との連結を解除すると共に、ヘッダ11のヘッダ本体部12の新設管取付部15Nと、新設管5Nの先端部との連結を解除した後、かくして、ヘッダ11が既設管5から回収される。
【0084】
前述した構成を有する本実施形態に係るヘッダ回収装置30及びヘッダ回収方法の作用・効果について説明する。
【0085】
本実施形態に係るヘッダ回収方法では、
(1)発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設されている既設管5をその軸方向Lに切断して拡径するヘッダ11を、発進立坑1から引き込まれる新設管5Nと接続した状態で、到達立坑2側から引っ張ることにより、拡径した既設管5の内周5a側に新設管5Nを引き込んだ後、既設管5の引き込み側端部6に入り込んだヘッダ11を回収するヘッダ回収方法において、少なくとも既設管5の切断後、到達立坑2内に配置された既設管5の引き込み側端部6の端面6aと当接可能な第1当接部52の第1当接面52aと、ヘッダ11が通り抜け可能な第1治具切り欠き部53とを有する第1治具50を既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置し、第1当接部52の第1当接面52aを端面6aに当接させた状態で既設管5を支えながら、ヘッダ11を、第1治具切り欠き部53を通過させて既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に引張り出すヘッダ取り出し工程と、を備えることを特徴とするので、ヘッダ取り出し工程では、第1治具50を取り付けた後、ヘッダ11をさらに到達立坑2側に引っ張ることにより、ヘッダ11が、切断後、既設管5の引き込み側端部6をその軸方向Lに第1治具50の第1治具切り欠き部53を通過し、既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に引張り出される。
【0086】
このとき、ヘッダ11の引張りに伴って、既設管5に到達立坑2側への引張り力T1が作用して、既設管5が到達立坑2側に移動しようとするが、第1治具50の第1当接部52の第1当接面52aを既設管5の引き込み側端部6の端面6aに当接させて既設管5を支えているため、この引張り力T1による反力T2が第1当接部52の第1当接面52aを介して既設管5の引き込み側端部6の端面6aに作用して、既設管5は到達立坑2側に移動しない。よって、ヘッダ11が第1治具50の第1治具切り欠き部53を通過するよう、ヘッダ11を到達立坑2側に引っ張ることにより、ヘッダ11が、既設管5の引き込み側端部6から外部に引張り出されて回収することができる。
【0087】
また、本実施形態に係るヘッダ回収方法では、従来技術と異なり、ヘッダ11を既設管5の引き込み側端部6から取り出して回収するとき、管内にヘッダが入り込んだ既設管の引き込み側端部を既設管本体から切断する作業や、補助管を既設管と接続させた後、ヘッダが入り込んだ補助管と既設管との接続を解除する作業が、全く不要である。また、作業者が、第1治具50を既設管5の引き込み側端部6に配置して、ヘッダ11を到達立坑2側に引き続き引っ張るだけで、ヘッダ11を簡単に回収することができ、ヘッダ11の回収作業が、従来の回収作業より効率良く行うことができる。
【0088】
また、作業者は、第1治具50を既設管5の引き込み側端部6の端面6aに配置し、ヘッダ11の引張り操作をするだけで、ヘッダ11を、既設管5の引き込み側端部6から外部に取り出して回収できるため、作業者に危険を伴うこともなく安全に、ヘッダを回収することができる。また、作業者は、到達立坑2内で既設管1内から回収されたヘッダ11を地上GLまで搬出するのに、ヘッダ11単体を地上に持ち上げれば良く、作業者の運搬上の負担が、既設管の引き込み側端部等と共にこの管内に入り込んだヘッダを到達立坑内から地上に運び出していた従来技術に比べて、小さくなる。加えて、ヘッダ11の回収時に、従来技術のように、ハンマー等の工具で既設管を叩きつけることもなく、工具による衝撃に起因して、ヘッダ11が損傷してしまうこともない。
【0089】
従って、既設管5の拡径後、既設管5の引き込み側端部6の管口からヘッダ11を、安全にかつ効率良く取り出して回収することができる、という優れた効果を奏する。
【0090】
(2)(1)に記載するヘッダ回収方法において、ヘッダ取り出し工程の前に、既設管5の引き込み側端部6の端面6aと当接可能な第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを有する第2治具60を既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置し、ヘッダ11の引張りに伴って、既設管5に作用する到達立坑2側への引張り力T1で、到達立坑2側に移動しようとする既設管5を、その端面6aに第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを当接させた状態で支えながら、ヘッダ11により既設管5を拡径する既設管拡径工程と、第2治具60を代えて第1治具50に交換する治具交換工程と、を備えることを特徴とするので、既設管拡径工程で既設管5の拡径作業は、本実施形態のように、例えば、ワイヤ巻き取りドラム28に捲回されたワイヤWにより、数〜数十(t)という大きな力T1でヘッダ11を到達立坑2側に引張りながら、ヘッダ11のカッタ14で既設管5を軸方向Lに切断しつつ、切断された部分をヘッダ11の拡径部15で既設管5の周方向Cに拡げて行うため、既設管5の管内(中空部6S)を移動するときのヘッダ11の摺動抵抗は非常に大きい。
【0091】
そのため、このような大きな力T1でヘッダ11を引っ張ると、ヘッダ11の引張りに伴って、既設管5そのものが到達立坑2側に移動しようとする既設管5の引張り力T1が大きく作用する。このとき、第2治具60を既設管5の引き込み側端部6に取り付けて、第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを既設管5の引き込み側端部6の端面6aに当接させて既設管5を支えることで、到達立坑2側に移動しようとする既設管5の引張り力T1に対する反力T2を、既設管5の引き込み側端部6の端面6aに作用させることで、拡径作業中、既設管5は、移動しないで保持した状態にできる。よって、既設管5の拡径時に、既設管5を固定させたまま、ワイヤWでヘッダ11を引っ張ることで、例示したように、数〜数十(t)という大きな力T1(ヘッダ11の引張り力T1)が、既設管5内のヘッダ11にロスなく伝わり、既設管5を効率良く切断し、拡径することができる。
【0092】
また、既設管拡径工程では、第2治具60を用いて既設管5を支えながら、ヘッダ11を引っ張って既設管5を切断し拡径したが、ヘッダ11の先端部が到達立坑2内の既設管5の引き込み側端部6の管口間近まで到達すると、このままヘッダ11を引張り続けると、ヘッダ11と第2治具60とが干渉してしまい、ヘッダ11が第2治具60を通過できず、既設管5の引き込み側端部6の管口から外部へ引張り出せない。そこで、治具交換工程を行い、第2治具60を第1治具50に交換した後、前述したように、ヘッダ11を到達立坑2側に引っ張ることにより、ヘッダ11を、第1治具50の第1治具切り欠き部53を通過させて、既設管5の引き込み側端部6から外部に引張り出して回収することができる。
【0093】
(3)(2)に記載するヘッダ回収方法において、第2当接部62Aの側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baは、既設管5の引き込み側端部6の径に対応して、引き込み側端部6の中空部6Sが確保可能な環状に形成され、既設管拡径工程で、第2治具60を既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置した後、第2当接部62Aの側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを、引き込み側端部6の端面6aに、既設管5の軸方向Lに沿う方向に延びる軸線AX上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に当接させることを特徴とするので、ワイヤ巻き取りドラム28に捲回されたワイヤWを、既設管5の管内のヘッダ11と、第2当接部62A,62Bの円環内の第2治具貫通部60Hを通じて接続でき、第2治具60が既設管5の引き込み側端部6に取り付けられていても、ワイヤWでヘッダ11を到達立坑2側に引っ張ることができる。
【0094】
また、本実施形態では、例示したように、数〜数十(t)という大きな力T1でヘッダ11を引張り、既設管5に掛かる引張り力T1の反力T2が、円弧状の第2当接部62Aの側分割片当接面62Aa及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを介して、円環状の既設管5の引き込み側端部6の端面6aに作用する。このときの反力T2が、既設管5の軸方向L発進立坑1側に沿って作用すると、既設管5が地中に埋設されている状態のまま傾くことなく、動かずに保持できるため、この軸方向L発進立坑1側とその正反対である軸方向L到達立坑2側に向けてヘッダ11を軸方向Lに真直ぐ引っ張ると、ヘッダ11が、既設管5の管内で、既設管5の内壁(内周面5a)に局部的に当たることもなくスムーズに移動できるようになる。そのため、ワイヤWによりヘッダ11を既設管5の管内に引っ張るときに、ワイヤ引き込み装置20において、ワイヤWを引っ張るときに掛かる負荷をより小さく抑えて、既設管5をその軸方向Lに切断すると共に、切断された部分を拡径部15で管の周方向Cに拡げて拡径することができる。
【0095】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するヘッダ回収方法において、ヘッダ取り出し工程で、第1治具50が既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置された後、第1当接部52の第1当接面52aを、引き込み側端部6の端面6aのうち、軸方向Lに延びる軸線AX上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に形成された一の部分6Saに当接させると共に、第1治具切り欠き部53を、引き込み側端部6の管内の中空部6Sに位置合わせして配置することを特徴とするので、第1当接部52の第1当接面52aを引き込み側端部6の端面6aに当接させた状態で、第1治具50を既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置すると、ヘッダ11を到達立坑2側にさらに引っ張るだけで、第1治具50により、既設管5が動かないよう、既設管5を支えることができると共に、第1治具50の第1治具切り欠き部53に、ヘッダ11のカッタ14等を通過させて、既設管5の引き込み側端部6をその軸方向Lに切断し拡径して、ヘッダ11を既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に簡単に取り出すことができる。
【0096】
本実施形態に係るヘッダ回収装置30では、
(5)発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設されている既設管5をその軸方向Lに切断して拡径するヘッダ11を有し、ヘッダ11を、発進立坑1から引き込まれる新設管5Nと接続した状態で、到達立坑1側から引っ張ることにより、拡径した既設管5の内周5a側に新設管5Nを引き込む管入れ替え装置10と共に用いられ、ヘッダ11の引張りに伴って、既設管5に作用する到達立坑2側への引張り力T1で、到達立坑2側に移動しようとする既設管5を支える既設管支持手段40と、到達立坑2内に配置された既設管5の引き込み側端部6の端面6aに当接させる第1当接部52の第1当接面52aと、到達立坑2側への引張り力T1を、第1当接部52を介して既設管支持手段40に伝達させる第1伝達部51と、ヘッダ11が通り抜け可能に形成された第1治具切り欠き部53とを有し、既設管5の拡径後に用いる第1治具50と、を備えることを特徴とするので、本実施形態に係るヘッダ回収装置30を到達立坑2内に設置しておき、ヘッダ11が、発進立坑1から到達立坑2側に向けて移動して、地中に埋設された既設管5を拡径し終える直前で、ヘッダ11の先端部が到達立坑2内に位置する既設管5の引き込み側端部6内に到達したときに、第1治具50が、この既設管5の引き込み側端部6に、その端面6aの一の部分6Saと第1当接部52の第1当接面52aとを当接させた状態で、取り付けられる。
【0097】
第1治具50の取り付け後、管入れ替え装置10でヘッダ11をさらに到達立坑2側に引っ張ることにより、ヘッダ11が、既設管5の引き込み側端部6をその軸方向Lに第1治具50の第1治具切り欠き部53を通過し、既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に引張り出される。このとき、ヘッダ11の引張りに伴って、既設管5には到達立坑2側への引張り力T1が作用して、既設管5が到達立坑2側に移動しようとするが、この引張り力T1の反力T2が、既設管支持手段40から第1伝達部51、第1当接部52の第1当接面52aを介して既設管5の引き込み側端部6の端面6aに作用する。そのため、既設管5は到達立坑2側に移動しない。よって、ヘッダ11が第1治具50の第1治具切り欠き部53を通過するよう、管入れ替え装置10のワイヤ引き込み装置20でヘッダ11を到達立坑2側に引っ張ることにより、ヘッダ11を、既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に引張り出して回収することができる。
【0098】
また、本実施形態に係るヘッダ回収装置30では、従来技術と異なり、ヘッダ11を既設管5の引き込み側端部6から取り出して回収するとき、管内にヘッダが入り込んだ既設管の引き込み側端部を既設管本体から切断する作業や、補助管を既設管と接続させた後、ヘッダが入り込んだ補助管と既設管との接続を解除する作業が、全く不要である。また、作業者が、第1治具50を既設管5の引き込み側端部6に配置して、管入れ替え装置10のワイヤ引き込み装置20によりヘッダ11を到達立坑2側に引き続き引っ張るだけで、ヘッダ11が簡単に回収でき、ヘッダ11の回収作業が、従来の回収作業より効率良く行うことができる。また、既設管5から新設管5Nへの置き換え工事区間の地面GLが、平坦である場合のほか、傾斜があっても、ヘッダ11の回収ができる。
【0099】
また、作業者が、第1治具50を既設管5の引き込み側端部6の端面6aに配置し、管入れ替え装置に10よるヘッダ11の引張り操作をするだけで、ヘッダ11を、既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に取り出して回収できるため、作業者に危険を伴うこともなく安全に、ヘッダ11を回収することができる。また、作業者は、到達立坑2内で既設管5内から回収されたヘッダ11を地上GLまで搬出するのに、ヘッダ11単体を地上に持ち上げれば良く、作業者の運搬上の負担が、既設管の引き込み側端部等と共にこの管内に入り込んだヘッダを到達立坑内から地上に運び出していた従来技術に比べて、小さくなる。加えて、ヘッダ11の回収時に、従来技術のように、ハンマー等の工具で既設管を叩きつけることもなく、工具による衝撃に起因して、ヘッダ11が損傷してしまうこともない。
【0100】
従って、既設管5の拡径後、既設管5の引き込み側端部6の管口からヘッダ11を、安全にかつ効率良く取り出して回収することができる、という優れた効果を奏する。
【0101】
(6)(5)に記載するヘッダ回収装置30において、第1治具50は、既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置され、第1当接部52の第1当接面52aが、引き込み側端部6の端面6aのうち、軸方向Lに延びる軸線AX上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に形成された一の部分6Saと当接し、第1治具切り欠き部53が、引き込み側端部6の管内の中空部6Sに位置合わせして配置されることを特徴とするので、本実施形態のように、例えば、到達立坑2の近接位置に設置されるワイヤ巻き取りドラム28に捲回されたワイヤWを、到達立坑2から発進立坑1側に挿入しておき、拡径時にこのワイヤWと接続したヘッダ11を到達立坑2側に引っ張って既設管5を拡径する管入れ替え装置10の場合には、ワイヤWが既設管5の管内(中空部6S)を挿通している状態であっても、ワイヤWの配線経路を、第1治具切り欠き部53に配置することで、第1治具50を既設管5の引き込み側端部6に取り付けることができる。
【0102】
ところで、ヘッダ11は、ヘッダ本体部12を既設管5の内周面5aに沿って進行方向に案内するガイドローラ13と、既設管5をその軸方向Lに切断するカッタ14と、カッタ14により分割させた既設管5をその周方向Cに拡径させる円錐台状の拡径部15と、を有して構成されている。このヘッダ11では拡径時に、カッタ14と拡径部15が、その機能上、既設管5の外周より径外側にも移動経路をとって移動する。
【0103】
本実施形態に係るヘッダ回収装置30では、第1治具50の第1当接部52の第1当接面52aが、埋設されている既設管5の引き込み側端部6の端面6aのうち、円弧状に形成された一の部分6Saと当接して、既設管5が、第1伝達部51を介して、既設管支持手段40によって支えられる。これにより、既設管5が保持された状態となり、この状態で、ヘッダ11が、ワイヤWによって、到達立坑2側から引っ張られると、既設管5の外周より径外側に移動経路を持つカッタ14及び拡径部15のほか、ガイドローラ13等が、第1治具切り欠き部53に向けて移動し通過することができる。よって、ヘッダ11は、第1治具50と干渉することなく、既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に引張り出すことができる。
【0104】
(7)(5)または(6)に記載するヘッダ回収装置30において、既設管5の引き込み側端部6の端面6aに当接させる第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baと、到達立坑2側への引張り力T1を、第2当接部62A,62Bを介して既設管支持手段40に伝達させる第2伝達部63A,63Bとを有し、ヘッダ11で既設管5を拡径しているときに用いる第2治具60を備えることを特徴とするので、既設管5の拡径作業は、本実施形態のように、例えば、前述したワイヤWにより、数〜数十(t)という大きな力T1でヘッダ11を到達立坑2側に引張りながら、ヘッダ11のカッタ14で既設管5を軸方向Lに切断しつつ、切断された部分を拡径部15で既設管5の周方向Cに拡げるため、既設管5の管内(中空部6S)を移動するときのヘッダ11の摺動抵抗は非常に大きい。
【0105】
そのため、ヘッダ11をこのような大きな力T1で引っ張ると、ヘッダ11の引張りに伴って、既設管5そのものが到達立坑2側に移動しようとする既設管5の引張り力T1が大きく作用する。このとき、第2治具60が既設管5の引き込み側端部6に取り付けられることで、第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baが、既設管5の引き込み側端部6の端面6aに当接して、到達立坑2側に移動しようと既設管5の引張り力T1が、第2伝達部63Aの上側分割片支持部当接面61Aa、第2伝達部63Bの下側分割片支持部当接面61Baを介して既設管支持手段40の支持部44の支持面44aに作用する。既設管支持手段40は、この引張り力T1の反力T2を既設管5の引き込み側端部6の端面6aに向けて作用させるため、拡径作業中、既設管5は、移動しないで保持した状態にできる。そのため、既設管5の拡径時に、既設管5を固定させたまま、ワイヤWでヘッダ11を引っ張ることで、例示したように、数〜数十(t)という大きな力(ヘッダ11の引張り力T1)が、既設管5内のヘッダ11にロスなく伝わり、既設管5を効率良く切断し、拡径することができる。
【0106】
(8)(7)に記載するヘッダ回収装置30において、第2当接部62A,62Bは、既設管5の径に対応して、既設管5端部の管内の中空部6Sを確保可能な環状に形成されていること、第2治具60は、既設管5の引き込み側端部6の端面6aと対向する位置に配置され、第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baが、引き込み側端部6の端面6aと、既設管5の軸方向Lに沿う方向に延びる軸線AX上に、中心を有する円環の一部をなす円弧状に当接することを特徴とするので、ワイヤ巻き取りドラム28に捲回されたワイヤWを、既設管5の管内のヘッダ11と、第2当接部62A,62Bの円環内の第2治具貫通部60Hを通じて接続でき、第2治具60が既設管5の引き込み側端部6に取り付けられていても、ワイヤ引き込み装置20によりワイヤWでヘッダを到達立坑2側に引っ張ることができる。
【0107】
また、前述で例示したように、数〜数十(t)という大きな力T1でヘッダ11を引張り、既設管5に掛かる引張り力T1の反力T2が、円弧状の第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを介して、円環状の既設管5の引き込み側端部6の端面6aに作用する。このときの反力T2が、既設管5の軸方向L発進立坑1側に沿って作用すると、既設管5が地中に埋設されている状態のまま傾くことなく、動かずに保持できる。そのため、この軸方向L発進立坑1側と正反対である軸方向L到達立坑2側に向けてヘッダ11を軸方向Lに真直ぐ引っ張ると、ヘッダ11が、既設管5の管内で、既設管5の内壁(内周面5a)に局部的に当たることもなくスムーズに移動できるようになる。よって、ワイヤWによりヘッダ11を既設管5の管内に引っ張るときに、ワイヤ引き込み装置20において、ワイヤWを引っ張るときに掛かる負荷をより小さく抑えて、既設管5をその軸方向Lに切断すると共に、切断された部分を拡径部15で管の周方向Cに拡げて拡径することができる。
【0108】
(9)(5)乃至(8)のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置30において、既設管支持手段40は、第1治具50または第2治具60から伝達される引張り力T1の反力T2を作用させる支持部44を有し、支持部44が、既設管5の軸方向Lに沿う方向に対し、移動可能に形成されていることを特徴とするので、既設管5の拡径にあたり、到達立坑2内に位置する既設管5の引き込み側端部6に、第2治具60を取り付ける場合や、既設管5の拡径後、第2治具60を取り外し、第2治具60に代えて第1治具50を既設管5の引き込み側端部6に取り付ける場合等に、既設管支持手段40の支持部44が、既設管5の引き込み側端部6から離間する向きに移動すると、作業者が、第1治具50や第2治具60を既設管5の引き込み側端部6に着脱させるときに、その作業がし易くなる。
【0109】
一方で、既設管5の引き込み側端部6の端面6aに第1当接部52の第1当接面52aを当接させて第1治具50を既設管5の引き込み側端部6に取り付けたら、支持部44を既設管5の引き込み側端部6に近接する向きに移動させ、既設管支持手段40の支持部44の支持面44aと、第1治具50の第1当接部52の第1当接面52aとを当接させる。これにより、既設管5に作用する引張り力T1の反力T2が、既設管支持手段40の支持部44の支持面44aから第1治具50の第1伝達部51、第1当接部52の第1当接面52aを介して、既設管5の引き込み側端部6の端面6aに作用するようになる。
【0110】
また、既設管5の引き込み側端部6の端面6aに、第2当接部62Aの上側分割片当接面62Aa、及び第2当接部62Bの下側分割片当接面62Baを当接させて第2治具60を既設管5の引き込み側端部6に取り付けたら、支持部44を既設管5の引き込み側端部6に近接する向きに移動させ、既設管支持手段40の支持部44の支持面44aと、第2治具60において、第2伝達部63Aの上側分割片支持部当接面61Aa、及び第2伝達部63Bの下側分割片支持部当接面61Baと、を当接させる。これにより、既設管5に作用する引張り力T1の反力T2が、既設管支持手段40の支持部44から第2治具60の第2伝達部63A,63B、第2当接部62A,62Bを介して、既設管5の引き込み側端部6の端面6aに作用するようになる。
【0111】
(10)(9)に記載するヘッダ回収装置30において、既設管支持手段40は、固定されたシリンダ41に対し、伸縮可能なロッド43を有した油圧駆動源であり、支持部44が、ロッド43の先端に設けられていることを特徴とするので、到達立坑2側に移動しようとする既設管5を大きな力で安定して支えるのに、既設管支持手段40を省スペースで構成することができ、コンパクト化した既設管支持手段40は、スペースが狭い到達立坑2内にも設置することができる。また、例えば、第1治具50や第2治具60の着脱時等において、支持部44の位置を変更したい場合に、簡単な操作でロッド43が自在に伸縮、停止できるため、支持部44の位置を変更するときの作業性が向上する。
【0112】
(11)(5)乃至(10)のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置30において、第1治具50は平板で形成され、第1当接部52が、第1伝達部51の一部として配置されていると共に、第1治具切り欠き部53が、第1当接部52の径方向径内側に切り欠かれて形成されていることを特徴とするので、第1治具50は、1つの平板を機械加工して安価に形成することができる。また、例えば、第1当接部52を既設管5の引き込み側端部6の端面6aと位置合わせして当接させた状態で、既設管5の軸方向L発進立坑1側に既設管支持手段40の支持部44を第1伝達部51に押圧すること等により、第1治具50が、既設管5の引き込み側端部6に固定して簡単に取り付けることができる。
【0113】
さらに、第1当接部52を既設管5の引き込み側端部6の端面6aと位置合わせして当接させた状態で、第1治具50の第1当接部52を既設管5の引き込み側端部6に固定するだけで、ヘッダ11が、その通過経路として、既設管5の引き込み側端部6の管内の中空部6Sと連通する第1治具切り欠き部53を通じて、既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に簡単に移動できるようになる。
【0114】
(12)(7)乃至(11)のいずれか1つに記載するヘッダ回収装置30において、第2治具60は、既設管5の周方向Cに沿う方向に対し、2つに分割された上側分割片61Aと下側分割片61Bとからなり、上側分割片61Aと下側分割片61Bとを着脱可能で一体に形成されていることを特徴とするので、本実施形態のように、例えば、円環を2分割した分割片で、既設管5の引き込み側端部6を挟む上下に上側分割片61Aと下側分割片61Bとを突き合わせて連結させた第2治具60の場合、作業者が、到達立坑2内の既設管5の引き込み側端部6に第2治具60を取り付けるとき、まず上半分の上側分割片61Aを既設管5の引き込み側端部6に載置し、下半分の下側分割片61Bと連結させる。これにより、作業者が、到達立坑2内に入って、第2治具60を既設管5の引き込み側端部6に取り付けるときに、第2治具60全体を一度に持ち上げる必要がなく、第2治具60全体の重量を分担して既設管5の引き込み側端部6に取り付けることができ、狭い到達立坑2内で、作業者に掛かる作業負担(労力)を軽減することができる。
【0115】
また、前述したように、ヘッダ11は、ヘッダ本体部12を既設管5の内周面5aに沿って進行方向に案内するガイドローラ13と、既設管5をその軸方向Lに切断するカッタ14と、カッタ14により分割させた既設管5をその周方向Cに拡径させる円錐台状の拡径部15と、を有して構成されている。このようなヘッダ11では、ガイドローラ13はヘッダ11の先端から後端にかけて複数(本実施形態では3つ)配置され、拡径部15はヘッダ11の後端に配置され、カッタ14は拡径部15より先端側に配置されている。既設管5を挟む上下に上側分割片61Aと下側分割片61Bとを突き合わせて連結させた第2治具60の場合、ヘッダ11の先端部が、到達立坑2内の既設管5の引き込み側端部6の管口に到達間近になると、カッタ14が第2治具60と接触する虞があるため、例えば、カッタ14の移動経路と交わる第2治具60の下半分の下側分割片61Bだけを取り除いておき、下側分割片61Bとカッタ14との接触を防止する。その一方で、ヘッダ11が既設管5の引き込み側端部6の管口から外部に出るまで、ヘッダ11を到達立坑2側に引張り続けたとき、ヘッダ11の引張り力T1に対する反力T2を、第2治具60の上半分の上側分割片61Aで作用させて、既設管5の移動を阻止することができる。
【0116】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
例えば、実施形態では、第2治具60を、上側分割片61Aと下側分割片61Bとの2分割で構成したが、第2治具60は、例えば、単体であるほか、分割する分割片の数量は、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 発進立坑
2 到達立坑
5 既設管
5N 新設管
6 引き込み側端部(端部)
6a 端面
6S 中空部
6Sa 一の部分
10 管入れ替え装置
11 ヘッダ
30 ヘッダ回収装置
40 既設管支持手段
41 シリンダ
43 ロッド
44 支持部
50 第1治具
51 第1伝達部
52 第1当接部
53 第1治具切り欠き部(切り欠き部)
60 第2治具
61A 上側分割片(分割片)
61B 下側分割片(分割片)
62A,62B 第2当接部
63A,63B 第2伝達部
L 軸方向
C 周方向
T1 引張り力
T2 反力
AX 軸線
図1
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