(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】気象画像表示装置を含むネットワーク構成を示す図である。
【
図2】気象画像表示装置が行う処理の全体動作を示すフローチャートである。
【
図3】気象画像表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の検出例において、表示手段に表示されるGUI画面の第1の態様を示す模式図である。
【
図5】第1の検出例において、表示手段に表示されるGUI画面の第2の態様を示す模式図である。
【
図6】第1の検出例において、表示手段に表示されるGUI画面の第3の態様を示す模式図である。
【
図7】第1の検出例に係る気象画像表示装置を示すブロック図である。
【
図8】第1の検出例に係る検出部の動作を示すフローチャートである。
【
図9】第2の検出例に係る検出部の構成を示すブロック図である。
【
図10】第2の検出例に係る検出部の動作を示すフローチャートである。
【
図11】第2の検出例に係る作用を示す第1の模式図である。
【
図12】第2の検出例に係る作用を示す第2の模式図である。
【
図13】第2の検出例に係る作用を示す第3の模式図である。
【
図14】第2の検出例に係る作用を示す第4の模式図である。
【
図15】第2の検出例に係る作用を示す第5の模式図である。
【
図16】第2の検出例に係る作用を示す第6の模式図である。
【
図17】第2の検出例に係る抽出部の抽出処理を示すフローチャートである。
【
図18】第3の検出例に係る検出部の構成を示すブロック図である。
【
図19】第3の検出例に係る経度線を抽出する動作を示すフローチャートである。
【
図20】第3の検出例に係る経度線抽出の作用を示す模式図である。
【
図21】第4の検出例に係る検出部の構成を示すブロック図である。
【
図22】第4の検出例に係る気象画像の向きを検出する動作を示すフローチャートである。
【
図23】第5の検出例に係る検出部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る気象画像表示プログラムがインストールされた気象画像表示装置の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
(全体処理)
図1は、気象画像表示装置1を含むネットワーク構成を示す図である。気象画像表示装置1は、気象画像表示プログラムがインストールされ、インターネット200に接続可能な所謂コンピュータであり、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、スマートフォン等の携帯端末である。
【0022】
インターネット200には、気象画像G提供サーバ100が接続されており、気象画像表示装置1は、気象画像G提供サーバ100から複数の気象画像Gをダウンロードする。気象画像G提供サーバ100は、民間や気象庁や気象協会が提供するコンピュータであり、各種の気象画像Gがアップロードされている。
【0023】
気象画像Gは、地上天気図、アジア高層天気図、極東高層天気図、又はアジア太平洋天気図のように、それぞれ種類が異なり、また日時、縮尺、位置、又は画像の向きの少なくとも何れかが提供先に応じて異なっている場合がある。
【0024】
そこで、この気象画像表示装置1は、複数の気象画像Gの大きさや向きを揃え、適切な位置関係に重なるようにして、複数の気象画像Gを合成し、複数の気象画像Gが持つ各種の情報を統合した一枚の合成画像を表示させる。
【0025】
図2は、この気象画像表示装置1が行う処理の全体動作を示すフローチャートである。まず、気象画像表示装置1は、インターネット200上の気象画像G提供サーバ100と通信し、当該気象画像G提供サーバ100から複数の気象画像Gを受信する(ステップS01)。
【0026】
次に、気象画像表示装置1は、受信した複数の気象画像Gから一の気象画像を基準気象画像G1に決定し、他の気象画像を調整気象画像G2に決定し、基準気象画像G1に対する調整気象画像G2の拡大縮小率、基準気象画像G1に対する調整気象画像G2の向き、及び基準気象画像G1と調整気象画像G2の位置関係を検出する(ステップS02)。
【0027】
基準気象画像G1は、何れが選択されてもよいが、例えば、地上天気図等の最下層のレイヤーや雲が写り込まないように可視領域の電磁波を用いて撮影した真夜中の可視画像が好ましい。拡大縮小率は、基準気象画像G1に大きさを揃えるための調整気象画像G2の拡大率又は縮小率である。向きは、東西南北が画像の上下左右の何れに設定されているかを示す。位置関係は、基準気象画像G1の描画領域と調整気象画像G2の描画領域との重複箇所を示す。
【0028】
複数の気象画像Gの相違点検出が終了すると、気象画像表示装置1は、拡大縮小率が示す倍率で調整気象画像G2を拡大又は縮小し(ステップS03)、基準気象画像G1の向きに揃えるように調整気象画像G2の向きを回転させる(ステップS04)。
【0029】
調整気象画像G2の調整が終了すると、気象画像表示装置1は、検出した位置関係に沿うように基準気象画像G1に調整気象画像G2を重ねた合成画像を生成する(ステップS05)。
【0030】
そして、気象画像表示装置1は、合成画像を表示手段80(
図3参照)に表示させる(ステップS06)。表示手段80は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、コンピュータである気象画像表示装置1に接続又は付属している。
【0031】
(全体構成)
この気象画像表示装置1の全体構成を説明する。
図3は、気象画像表示装置1の全体構成を示すブロック図である。この気象画像表示装置1は、気象画像表示プログラムを実行することにより、通信部10と記憶部20と検出部30と調整部40と画像生成部50とデータベース60とビューア70とを備える。
【0032】
通信部10は、無線LAN、有線LAN、又は携帯電話回線と接続可能なネットワークアダプタを含み構成され、インターネット200を介して気象画像G提供サーバ100と通信し、気象画像G提供サーバ100から気象画像Gをダウンロードする。記憶部20は、一時記憶メモリ又は不揮発性メモリを含み構成され、通信部10がダウンロードした気象画像Gが展開される。
【0033】
検出部30は、主にCPUを含み構成され、記憶部20に記憶された基準気象画像G1に対する調整気象画像G2の拡大縮小率、位置関係、及び向きを検出する。
【0034】
検出方法としては、ユーザの目視によるGUIを用いた調整操作に応じた拡大縮小率や向きや位置関係の検出を行う手動方法や、複数の気象画像Gに共通して描画されている図形をマーカとするパターンマッチング方法が挙げられる。
【0035】
パターンマッチング方法において、マーカとなり得る図形は、緯度線と経度線とに囲まれた一領域、画像内で輪郭が閉じたループを描く台湾等の島であるこれら図形で画像上を走査し、各所で図形を大小させながら、また90度ピッチで回転させながら、パターンマッチングする。気象画像Gの向きは、画像と直交する経度線が画像を横断するか縦断するかによって判断してもよい。
【0036】
調整部40は、主にCPUを含み構成され、基準気象画像G1に調整気象画像G2の大きさと向きを揃える画像処理を行う。当該画像処理は、調整気象画像G2の拡大又は縮小処理と回転処理である。調整部40は、検出部30が検出した拡大縮小率が示す倍率で調整気象画像G2を拡大又は縮小する。また、調整部40は、検出部30が検出した基準気象画像G1と調整画像の向きを揃えるように調整気象画像G2を回転させる。
【0037】
画像生成部50は、主にCPUを含み構成され、基準気象画像G1と調整気象画像G2とを重ね合わせた合成画像を生成する。調整気象画像G2を重ね合わせる位置は、検出部30が検出した基準気象画像G1と調整気象画像G2の位置関係に従う。
【0038】
この画像生成部50は、合成処理に先だって、気象画像Gに存在する海上領域及び輪郭を除く陸地領域を透明ピクセルに変更しておく。透明ピクセルへの変更の際には、気象画像Gを2値化することで透明ピクセルに変更する領域とその他領域とを分別しておく。また、合成処理に先立って、基準気象画像G1上に重ね合わせる調整気象画像G2の透明度を予め設定しておく。
【0039】
データベース60は、主にHDDを含み構成され、ダウンロードした気象画像Gと合成情報と時空情報とを登録する。合成情報は、合成の際の調整気象画像G2の拡大縮小率、向き、及び位置関係であり、調整部40から取得する。時空情報は、気象画像Gに付帯している日時情報と重ね合わせる際の階層情報であり、通信部10から取得する。
【0040】
ビューア70は、主にCPUを含み構成され、合成画像を表示手段80に表示させたり、撮影日時順又は逆順にデータベース60に登録された複数の合成画像を連続表示する。
【0041】
(第1の検出例)
このような気象画像表示装置1における拡大縮小率、向き、及び位置関係の検出例を詳細に説明する。本検出例では、GUIインターフェースを用いてユーザが目視にて画像の大きさや向きや描画位置を変更する。
【0042】
図4乃至6は、表示手段80に表示されるGUI画面81を示す模式図である。
図4乃至6に示すように、検出部30は、表示手段80にGUI画面81を表示させる。GUI画面81には、描画フィールドと回転ボタン82と確定ボタン83とが表示される。描画フィールドには、基準気象画像G1と調整気象画像G2とが表示される。尚、GUI画面81には、気象画像Gの色と透明度を変更する色変更アイコン84と透明度変更バー85が設けられている。
【0043】
図4に示すように、調整気象画像G2上にポインタ86を位置させてドラッグすると、検出部30は、ドラッグの始点から終点へ調整気象画像G2を移動させる。すなわち、マウスボタンの押下を示すマウスイベントが発生し、そのマウスイベント発生時のポインタ86の位置が調整気象画像G2内にあると、マウスボタンの押下が継続されている間、ポインタ86の位置に調整気象画像G2を移動させる。
【0044】
また、
図5に示すように、回転ボタン82がクリックされると、検出部30は、クリックの回数を検出し、回数に応じて調整対象の気象画像Gを90度ずつ回転させる。
【0045】
更に、
図6に示すように、調整気象画像G2の角にポインタ86を合わせてドラッグすると、検出部30は、ポインタ86を合わせた角がドラッグの終点に位置するように、調整気象画像G2の縦横比を維持したまま拡大又は縮小させる。すなわち、マウスボタンの押下を示すマウスイベントが発生し、そのマウスイベント発生時のポインタ86の位置が調整対象の気象画像Gの角であると、マウスボタンの押下が継続されている間、ポインタ86の位置に其の角が位置するように気象画像Gを拡大又は縮小させる。
【0046】
尚、マウスホイールを前後に操作することで、現在の視野中心を拡大縮小の中心にして拡大縮小するようにしてもよい。
【0047】
そして、確定ボタン83が押下されると、検出部30は、調整情報として、調整気象画像G2の基準気象画像G1に対する位置、拡大又は縮小した倍率、及び回転後の向きを特定する。
【0048】
すなわち、この検出部30は、
図7に示すように、表示制御部31を備えている。表示制御部31は、複数の気象画像Gを重ねたGUI画面81を表示手段80に表示させ、検出部30は、ユーザの操作に応じた拡大縮小率、位置、及び回転後の向きを含む調整情報を逐次更新しながら記憶する。
【0049】
図8は、この検出部30の動作を示すフローチャートである。まず、検出部30の表示制御部31は、記憶部20から複数の気象画像Gを読み出し(ステップS11)、GUI画面81上の描画フィールドに重ねて表示する(ステップS12)。このとき、複数の気象画像Gを区別できるように、画像の枠をなぞった色付きの太線で強調したり、等値線や緯度経度線の色を気象画像G毎に変えて肉眼で区別できるようにしてもよい。
【0050】
ユーザが入力手段90を用いて調整気象画像G2の移動操作を行うと(ステップS13)、表示制御部31は、操作に応じた移動先に調整気象画像G2を再描画し(ステップS14)、検出部30は、移動先の座標を位置関係を示す情報として調整情報に含める(ステップS15)。
【0051】
また、回転ボタン82がクリックされると(ステップS16)、表示制御部31は、調整気象画像G2を90度回転させて再描画し(ステップS17)、検出部30は、合計回転角度を向きを示す情報として調整情報に含める(ステップS18)。
【0052】
更に、ユーザが入力手段90を用いて調整気象画像G2の拡大又は縮小操作を行うと(ステップS19)、表示制御部31は、調整気象画像G2を操作に応じて拡大又は縮小して再描画し(ステップS20)、検出部30は、拡大又は縮小された倍率を拡大縮小率を示す情報として調整情報に含める(ステップS21)。
【0053】
そして、確定ボタン83がクリックされると(ステップS22)、検出部30は、最終的な調整情報を確定して調整部40と画像生成部50に引き渡し(ステップS23)、検出処理を終了する。調整部40は、引き渡された調整情報に合わせて調整気象画像G2の大きさと向きを変更し、画像生成部50は、大きさと向きが変更された調整気象画像G2を調整情報が示す位置関係に置いて基準調整画像との合成画像を生成する。
【0054】
(第2の検出例)
更に、第2の検出例を詳細に説明する。第2の検出例は、パターンマッチング法を用いて調整情報を特定するものである。この検出部30は、
図9に示すように、ハフ変換により緯度線Li及び経度線Lkを抽出する抽出部32と、マーカとなる図形Obを調整気象画像G2から生成するマーカ生成部33と、マーカとして用いた図形Obと基準気象画像G1の各所とのパターンマッチングを行うマッチング部34とを備えている。
【0055】
図10は、この検出部30の動作を示すフローチャートである。また、
図11乃至16は、この検出部30の作用を示す模式図である。
【0056】
最初に、抽出部32は、
図11に示すように、基準気象画像G1と調整気象画像G2とからハフ変換を用いて緯度線Li及び経度線Lkを抽出する(ステップS31)。
【0057】
次に、マーカ生成部33は、
図12に示すように、調整気象画像G2から緯度線Li及び経度線Lkで囲まれた一の領域の輪郭を図形Obとして抽出する(ステップS32)。
【0058】
図形Obを抽出すると、マッチング部34は、
図13に示すように、抽出した図形Obをマーカとして用い、当該図形Obで基準気象画像G1を走査する(ステップS33)。この走査処理において、マッチング部34は、
図14に示すように、各所で図形Obを段階的に拡大又は縮小し(ステップS34)、
図15に示すように、更に各所で図形Obの向きを90度ずつ回転させ(ステップS35)、逐次パターンマッチングを行う。
【0059】
すなわち、マッチング部34は、各所の緯度線Liと経度線Lkとで囲まれる領域とマーカとして用いている図形Obとが合致するか否かを判断する(ステップS36)。
【0060】
図16に示すように、図形Obと合致した領域が存在した場合には(ステップS36,Yes)、その位置が調整気象画像G2を重ね合わせ箇所となり、合致したときの図形Obの倍率が調整気象画像G2の拡大縮小率となり、合致したときの図形Obの回転量が調整気象画像G2を回転させる量となり、これらの情報を調整情報に含める(ステップS37)。
【0061】
ハフ変換による抽出部32について更に詳細に説明する。
図9に示すように、抽出部32は、ハフ変換部35を備え、ハフ変換処理を用いて気象画像Gから直線や曲線を抽出する。また、抽出部32は、比較部36を備え、ハフ変換による角度と距離毎の重複プロット数と所定値とを比較することで、直線及び曲線から緯度線Li及び経度線Lkを選択する。
【0062】
図17は、この抽出部32による緯度線Li及び経度線Lkの抽出処理を示すフローチャートである。まず、ハフ変換部35は、気象画像Gを記憶部20から読み出す(ステップS41)。そして、ハフ変換部35は、気象画像Gを走査して黒色が設定されているピクセルを探す(ステップS42)。すなわち、気象画像Gが白黒画像でない場合には、予め二値化しておく。
【0063】
次に、ハフ変換部35は、検出された黒色のピクセルを通る角度θの直線を気象画像G上に設定し(ステップS43)、気象画像Gの原点から当該直線までの距離rを求め(ステップS44)、(θ,r)の極座標二次元空間にプロットする(ステップS45)。この極座標二次元空間への変換は、全ての黒色のピクセルに対して各角度θの全直線について行う。
【0064】
更に、ハフ変換部35は、検出された黒色のピクセルを通る楕円の中心座標(X,Y)を設定し(ステップS46)、楕円の半径rを求め(ステップS47)、(X,Y,r)の三次元空間にプロットする(ステップS48)。この三次元空間への変換は、全ての黒色のピクセルと通る全ての楕円について行う。尚、楕円の中心とは、長軸と短軸の交点をいう。
【0065】
そして、ハフ変換部35は、同一の座標(θ,r)及び(X,Y,r)に重複してプロットされた数をそれぞれカウントする(ステップS49)。
【0066】
ハフ変換部35による処理が終了すると、比較部36は、同一の座標(θ,r)及び(X,Y,r)に重複してプロットされた数を所定値とそれぞれ比較する(ステップS50)。そして、所定値以上の重複プロット数がカウントされた座標を緯度線Li及び経度線Lkを示す座標情報として特定する(ステップS51)。
【0067】
この所定値は、緯度線Liや経度線Lkを示す直線や曲線に相当する重複プロット数に対応する値である。気象画像G内には、海岸線、等圧線、風力記号等の各種の直線や曲線が存在するが、緯度線Li及び経度線Lkはこれらと比べて圧倒的に長い。そのため、緯度線Li及び経度線Lkと、その他の直線や曲線とを分ける閾値を設けることで、緯度線Li及び経度線Lkと他の線とを区別できる。
【0068】
(第3の検出例)
更に、第3の検出例を詳細に説明する。第3の検出例は、直線である経度線Lkの抽出に投影変換の手法を用いたものである。すなわち、
図18に示すように、抽出部32は、ハフ変換部35と投影変換部37と比較部36とを備えている。
【0069】
投影変換部37は、各向きの被投影軸Paに対して気象画像Gを投影する。比較部36は、経度線Lkの抽出処理において、投影により得られた各ヒストグラムHgから所定値以上のピークを検出することで、そのピークに対応する位置を通る投射線を経度線Lkとして検出する。
【0070】
図19は、この抽出部32による経度線Lkを抽出する動作を示すフローチャートである。また、
図20は、この抽出部32による作用を示す模式図である。
【0071】
まず、
図19及び
図20に示すように、投影変換部37は、気象画像Gと同一平面上に、気象画像Gと各種の角度で交わる被投影軸Paを有する投影空間を設定して投影変換する(ステップS61)。投影空間は、角度θの被投影軸Paと、被投影軸Paに対して直交する縦軸を有する。そして、投影変換部37は、被投影軸Pa上の各点で直交する各直線上に乗る黒色ピクセルの数をカウントし、角度θの被投影軸PaにおけるヒストグラムHgを生成する(ステップS62)。このS61〜S62の処理は、各角度θの各被投影軸Paに対して実施する。
【0072】
次に、比較部36は、各ヒストグラムHgのピークを検出し(ステップS63)、所定値以上となるピークを抽出する(ステップS64)。そして、比較部36は、所定値以上のピークに対応する被投影軸Pa上の点と直交する直線を経度線Lkとして特定する(ステップS65)。
【0073】
(第4の検出例)
更に、第4の検出例を詳細に説明する。第4の検出例に係る検出部30は、第1の検出例と気象画像Gの向きを検出する態様が異なる。この第4の検出例では、傾きが0又は無限大となる経度線Lkを探索し、その経度線Lkの向きによって気象画像Gの向きを検出する。すなわち、
図21に示すように、検出部30は、傾き算出部38を備えている。
【0074】
図22は、この傾き算出部38による気象画像Gの向きを検出する動作を示すフローチャートである。まず、傾き算出部38は、抽出部32によって抽出された経度線Lk上の2点の座標を特定する(ステップS71)。
【0075】
そして、傾き算出部38は、その2点のX座標若しくはY座標が同じであるか異なっているかを判断する(ステップS72)。異なっていれば(ステップS72,No)、次の経度線LkについてS71〜S72を繰り返す。
【0076】
一方、同じであれば(ステップS72,Yes)、その2点を通る経度線Lkの延び方向を気象画像Gの向きとする(ステップS73)。この傾き算出部38により、気象画像Gの縦辺又は横辺に直交する経度線Lkが検出され、気象画像Gの向きが特定される。
【0077】
尚、傾きが0又は無限大とは、厳密には0近傍又は無限大近傍が含まれ、2点のX座標若しくはY座標が同じであるか異なっているかは、座標値が所定範囲内に収まっているか否かにより判断される。
【0078】
(第5の検出例)
更に、第5の検出例を詳細に説明する。第5の検出例に係る検出部30は、第1乃至4の検出例と比べて、予めマーカとして用いる図形Obを記憶している。すなわち、
図23に示すように、この検出部30は、マーカ記憶部39とマッチング部34とを備えている。マーカ記憶部39は、気象画像G内で輪郭が閉じたループを描く台湾等の地形の図形Obを記憶している。マッチング部34は、大きさと向きを変更した図形Obで気象画像G内を走査し、暫時マッチングを行う。
【0079】
(効果)
以上のように、気象画像表示プログラムをインストールした気象画像表示装置1は、記憶部20と検出部30と調整部40と画像生成部50と表示手段80を備えるようにした。記憶部20は、縮尺、位置、又は向きの少なくとも何れかが異なる複数の気象画像Gを記憶する。検出部30は、一の気象画像と縮尺を合わせるための他の気象画像の拡大縮小率、一の気象画像に対する他の気象画像の向き、及び一の気象画像と他の気象画像の位置関係を検出する。調整部40は、検出部30により検出された拡大縮小率と向きに基づき、他の気象画像の縮尺及び向きを一の気象画像に合わせる。画像生成部50は、検出部30で検出された位置関係に基づき、調整部40で調整された他の気象画像と一の気象画像とを重ね合わせた合成画像を生成する。そして、表示手段80は、この合成画像を表示する。
【0080】
拡大縮小率、向き、及び位置関係の検出では、まず、複数の気象画像Gから緯度線Li及び経度線Lkを抽出する。次に、経度線Lk及び緯度線Liで囲まれる図形Obを、緯度線Li及び経度線Lkの抽出を経た他の気象画像から生成する。そして、緯度線Li及び経度線Lkの抽出を経た一の気象画像から、抽出した図形Obと合致する領域を、当該図形Obの大きさの変更及び傾きの90度ピッチでの回転を行いつつ探索する。
【0081】
そして、マッチングで合致が発生したときの図形Obの大きさの変更率を拡大縮小率として検出し、図形Obの向きを一の気象画像に対する他の気象画像の向きとして検出し、合致が発生した探索箇所を一の気象画像に対する他の気象画像の位置関係として検出する。
【0082】
緯度線Li及び経度線Lkは、ハフ変換により直線及び曲線を検出し、重複プロット数と緯度線Li及び経度線Lkに相当する所定値とを比較し、所定値以上となった重複プロット数に対応する直線及び曲線を緯度線Li及び経度線Lkとして抽出するようにすればよい。
【0083】
これにより、縮尺、位置、又は向きの少なくとも何れかが異なる複数の気象画像Gを容易に合成することができ、1枚の合成画像で各種の情報を統合的に管理・観察することができ、気象現象の把握精度を向上させることができるとともに、情報が複数の気象画像Gに散逸していた現状を鑑みると、ユーザの利便性は飛躍的に高まる。
【0084】
更に、緯度線Li及び経度線Lkを抽出し、これらの線に囲まれた図形Obをマーカとして用いるという手法によれば、格子点等のマーカ抽出が困難であったラスターデータの気象画像Gであっても、自動的に合成画像を生成することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態の一検出例では、緯度線Li及び経度線Lkの抽出を経た複数の気象画像Gから、傾きが0、0近傍、無限大、又は無限大近傍の経度線Lkを特定し、特定した緯度線Liの傾きを複数の気象画像Gの向きとして検出するようにした。
【0086】
これにより、図形Obをマーカとして用いてマッチングをする場合と比べて、マーカの向きを変更しながら合致判定をする必要はなくなり、マッチング処理が最大で4分の1の負荷となるため、自動処理の高速化が図れる。
【0087】
また、本実施形態の一検出例では、気象画像Gに対して各種の角度で交わる被投影軸Paを設定して投影変換することでヒストグラムHgを生成し、各ヒストグラムHgのピークと所定値とを比較し、所定値以上のピークに対応する被投影軸Pa上の点と直交する直線を経度線Lkとして抽出するようにした。
【0088】
これにより、自動処理を行う場合、経度線Lkの抽出に関してはハフ変換と比べて遥かに処理の軽い手法で実現することができるので、全体的な自動処理の高速化を図ることができる。
【0089】
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものである。すなわち、これら実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことで、様々な形態で実施されることが可能である。そして、これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0090】
例えば、基準気象画像G1に対する調整気象画像G2の拡大縮小率、向き、及び位置関係を探索する際に、ハフ変換、投影処理、及びユーザ目視による手入力を複合的に用いて緯度線Li及び経度線Lkを抽出するようにしてもよい。