特許第5824069号(P5824069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5824069中空微小球及び中空微小球を作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824069
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月25日
(54)【発明の名称】中空微小球及び中空微小球を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 19/08 20060101AFI20151105BHJP
   C03C 3/089 20060101ALI20151105BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20151105BHJP
   C03C 3/093 20060101ALI20151105BHJP
   C03C 3/097 20060101ALI20151105BHJP
【FI】
   C03B19/08 B
   C03C3/089
   C03C3/091
   C03C3/093
   C03C3/097
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-546204(P2013-546204)
(86)(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公表番号】特表2014-501693(P2014-501693A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】US2011064581
(87)【国際公開番号】WO2012087656
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月12日
(31)【優先権主張番号】61/424,960
(32)【優先日】2010年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ギャン チー
(72)【発明者】
【氏名】サティンダー ケー.ナヤー
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4163637(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 19/08
C03C 3/089
C03C 3/091
C03C 3/093
C03C 3/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空微小球を形成する方法であって、分配システムを用いて供給原料を分配することと、前記供給原料を1300℃を超える温度まで加熱すること、とを含む方法であり、前記分配が振動エネルギーを用いて実行され、前記分配システムが細長いハウジングを含み、前記細長いハウジングがその中の中心部に垂直に配置された中空内管を有し、前記供給原料が担体ガスを用いて前記中空内管内に導入される、方法。
【請求項2】
前記加熱が、真空下で提供され、更に、前記真空が、6,773Pa(2インチHg)以下の絶対圧で維持される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記供給原料が、
(a)50重量%と90重量%の間のSiOと、
(b)2重量%と20重量%の間のアルカリ金属酸化物と、
(c)1重量%と30重量%の間のBと、
(d)0重量%と0.5重量%の間のイオウと、
(e)0重量%と25重量%の間の二価金属酸化物と、
(f)0重量%と10重%の間のSiO以外の四価金属酸化物と、
(g)0重量%と20重量%の間の三価金属酸化物と、
(h)0重量%と10重量%の間の五価原子の酸化物と、
(i)0重量%と5重量%の間のフッ素と、を含む請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中空微小球を作製するための方法に関する。特に、本開示はまた、中空微小球を作製するために有用な分配法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一態様では、本開示は、供給原料を、該供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分な加熱条件下で分配する工程を含む、中空微小球を形成する方法であって、該分配する工程が、振動エネルギーを用いて行われる、方法を提供する。一態様では、この振動エネルギーは、超音波エネルギーである。
【0003】
別の態様では、本開示は、供給原料を、供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分な加熱条件下で分配する工程を含む方法を含む中空微小球を作製する方法を提供し、分配する工程は、超音波エネルギーを用いて行われ、供給原料が、(a)50重量%と90重量%の間のSiO2と、(b)2重量%と20重量%の間のアルカリ金属酸化物、(c)1重量%と30重量%の間のB2O3と、(d)0重量%と0.5重量%の間のイオウと、(e)0重量%と25重量%の間の二価金属酸化物と、(f)0重量%と10重量%の間のSiO2以外の四価金属酸化物と、(g)0重量%と20重量%の間の三価金属酸化物と、(h)0重量%と10重量%の間の五価原子の酸化物と、(i)0重量%と5重量%の間のフッ素と、を含む。
【0004】
更に別の態様では、本開示は、供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分な加熱条件下で、超音波エネルギーを用いて供給原料を分配することを含む方法を用いて作製された中空微小球を提供する。
【0005】
また別の態様では、本開示は、ハウジング及び超音波装置を有する分配システム、並びに加熱システムを含む中空ガラス微小球を形成するための装置も提供し、この加熱条件は、供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分であり、この分配は、超音波エネルギーを用いて実行される。
【0006】
上記の本開示の概要は、本発明のそれぞれの実施形態を説明することを目的としたものではない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細を以下の説明文においても記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明文から、また特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】中空微小球を作製するために使用される、今般開示される装置の一実施形態の正面断面図。
図2】実施例1に従って調製されたガラス中空微小球の光学画像。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用される「ガラス」という用語は、全ての非晶質固体又は非晶質固体を形成するために使用することができる溶融物を含み、そのようなガラスを形成するために使用される原材料は、種々の酸化物及び鉱物を含む。これらの酸化物は、金属酸化物を含む。
【0009】
本明細書で使用される「再生ガラス」という用語は、ガラスを原材料として用いて形成される任意の材料を意味する。
【0010】
本明細書で使用される「真空」という用語は、101,592Pa(0℃で30inHg)以下の絶対圧を意味する。
【0011】
本明細書で使用される「超音波エネルギー」という用語は、約20KHzと約200MHzの間の周波数を有する環状音圧を意味する。
【0012】
本明細書で使用される「超音波ホーン」又は「ソノトロード」という用語は、超音波エネルギーを液体媒質に通過させる装置を意味する。
【0013】
本明細書で使用される「ガラスフリット」という用語は、好適なガラス状材料、典型的には比較的低融解のケイ酸塩ガラスを意味する。フリットを形成するために好適なケイ酸塩ガラス組成物は、例えば、米国特許第2,978,340号(Veatchら)、同第3,030,215号(Veatchら)、同第3,129,086号(Veatchら)、同第3,230,064号(Veatchら)、同第3,365,315号(Beckら)、及び同第4,391,646号(Howell)に記載されていて、これらの開示は、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
本明細書で使用される用語「ガラス供給原料」又は「供給原料」とは、中空微小球を製造するために用いられる粉砕され、必要に応じて分級されたガラスフリットを意味する。
【0015】
約500マイクロメートル未満の平均直径を有する中空微小球は、多くの目的において幅広い有用性を有し、それらのうちのいくつは、ある特定の寸法、形状、密度、及び強度特性を必要とする。例えば、中空微小球は、産業において、それらが変性剤、エンハンサー、硬質化剤、及び/又は充填剤として機能し得る、高分子化合物への添加物として幅広く使用される。概して、中空微小球が、高圧噴霧、ニーディング、押出し、又は射出成形等による高分子化合物の更なる加工の最中に、砕かれるか、あるいは破壊されるのを回避する程度に強いことが望ましい。結果として生じる中空微小球の寸法、形状、密度、及び強度の制御を可能にする中空微小球を作製するための方法を提供することが望ましい。
【0016】
中空微小球及びそれらを作製するための方法が、種々の参考文献に開示されている。例えば、これらの参考文献のうちのいくつかは、ガラス形成成分の同時融合及び融合された塊の膨張を用いて、中空微小球を作製するプロセスを開示する。他の参考文献は、無機ガス形成剤又は発泡剤を含有するガラス組成物を加熱することと、発泡剤を遊離するのに十分な温度になるまでガラスを加熱することを開示する。更に他の参考文献は、湿式微粉砕によって材料を微粉砕して、微粉砕された粉末材料のスラリーを得ることと、スラリーを噴霧して、液滴を形成することと、液滴を加熱して、無機微小球を得るために粉末材料を融合又は焼結すること、を含むプロセスを開示する。更に他の参考文献は、注意深く管理された時間−温度履歴を用いて、部分的な酸化条件下で、正確に製剤化された供給原料混合物を噴流反応器内で処理することによって低密度微小球を作製するためのプロセスを開示する。しかしながら、これらの参考文献のうちのいずれも、それから作製される中空微小球の寸法、形状、密度、及び強度の制御を提供する中空微小球を作製するための方法を提供していない。
【0017】
中空微小球は、典型的には、一般に発泡剤を含有する「供給原料」と称される、粉砕されたフリットを加熱する工程によって作製される。中空微小球を作製するための既知の方法には、ガラス溶融、ガラス供給原料ミリング、及び火炎を用いた中空微小球形成が含まれる。中空微小球を形成するために使用されるガラス組成物が、火炎を用いた中空微小球の形成前にある特定の量の発泡剤を含まなければならないことが、本プロセスの重要なポイントである。発泡剤は、概して、高温で分解する組成物である。代表的な発泡剤には、ガラス組成物の総重量に基づいて約0.12重量%を超える量の発泡剤でガラス組成物中に存在し得る、イオウ又はイオウ及び酸素の化合物が含まれる。
【0018】
これらの方法において、ガラスを2回、1回はガラス中の発泡剤を溶解するためのバッチ溶融中に、もう1回は中空微小球の形成中に溶融することが必要である。ガラス組成物中の発泡剤の揮発性の理由から、バッチ溶融工程は、比較的低温に制限されており、その間に、バッチ組成物がバッチ溶融工程に使用される溶融タンクの耐火材に対して非常に腐蝕性になる。バッチ溶融工程は、比較的長い時間も必要とし、バッチ溶融工程において使用されるガラス粒子の寸法は、小さく保たれなければならない。これらの問題は、増大した費用及び結果として生じる中空微小球中に潜在的な不純物をもたらす。本質的に発泡剤を含まない中空微小球を作製するための方法を提供することが望ましい。
【0019】
本開示において有用な供給原料は、例えば、任意の好適なガラスを砕き、及び/又は粉砕することによって調製され得る。本開示における供給原料は、再生ガラス、パーライト、ケイ酸塩ガラス等のガラスを形成することができる任意の組成を有し得る。いくつかの実施形態では、総重量に基づいて、供給原料は、50から90重量パーセントのSiOと、2から20パーセントのアルカリ金属酸化物と、1から30重量パーセントのBと、0から0.5重量パーセントのイオウ(例えば、イオウ元素として)と、0から25重量パーセントの二価金属酸化物(例えば、CaO、MgO、BaO、SrO、ZnO、若しくはPbO)と、0から10重量パーセントのSiO以外の四価金属酸化物(例えば、TiO、MnO、又はZrO)と、0から20重量パーセントの三価金属酸化物(例えば、Al、Fe、又はSbと、0から10重量パーセントの五価原子の酸化物(例えば、P又はV)と、ガラス組成物の溶融を促進するための融剤として働き得る、0から5重量パーセントのフッ素(フッ化物として)を含む。一実施形態では、供給原料は、485gのSiO(US Silica,West Virginia,USAから入手)、590μmよりも90%小さい114gのNa2B、44μmよりも90%小さい161gのCaCO、29gのNaCO、74μmよりも60%小さい3.49gのNaSO、及び840μmよりも90%小さい10gのNaを含む。別の実施形態では、供給原料は、68.02%のSiO、7.44%のNaO、11.09%のB、12.7%のCaCO、及び0.76%のPを含む。
【0020】
追加の成分が供給原料組成物において有用であり、例えば、特定の性質又は特徴(例えば、硬度又は色)を結果として得られる中空微小球にもたらすために供給原料中に含まれ得る。上述の供給原料組成物は、本質的に発泡剤を含まない。本明細書に使用される語句「本質的に発泡剤を含まない」とは、供給原料組成物に添加された発泡剤が、(供給原料組成物の総重量に基づいて)0.05重量%未満であること、又はガラスの総重量に基づいて0.12重量%未満であることを意味する。
【0021】
供給原料は、所望の寸法の中空微小球を形成するのに好適な粒径の供給原料を作り出すために、典型的には、粉砕され、かつ任意で分級される。供給原料を粉砕するのに好適な方法には、例えば、ビーズ若しくはボールミル、アトライターミル、ロールミル、ディスクミル、ジェットミル、又はそれらの組み合わせを用いるミリングが含まれる。例えば、中空微小球を形成するのに好適な粒径の供給原料を調製するために、供給原料は、ディスクミルを用いて粗く粉砕され(例えば、砕かれ)、その後にジェットミルを用いて細かく粉砕され得る。ジェットミルには、他の種類も使用され得るが、概して、3つの種類、すなわち、スパイラルジェットミル、流動床ジェットミル、及び対向ジェットミルがある。
【0022】
スパイラルジェットミルには、例えば、Sturtevant,Inc.,Hanover,Massachusettsからの商標名「MICRONIZER JET MILL」で、The Jet Pulverizer Co.,Moorestown,New Jerseyから商標名「MICRON−MASTER JET PULVERIZER」で、及びFluid Energy Processing and Equipment Co.,Plumsteadville,Pennsylvaniaから商標名「MICRO−JET」で、入手可能なものが挙げられる。スパイラルジェットミルにおいて、扁平円筒型研磨チャンバは、ノズルリングで包囲される。研磨される材料は、インジェクタによって粒子としてノズルリングの内部に導入される。圧縮流体のジェットは、ノズルを通って膨張し、粒子を加速させ、相互衝突による寸法減少を引き起こす。
【0023】
流動床ジェットミルは、例えば、Netzsch Inc.,Exton,Pennsylvaniaから商標名「CGS FLUIDIZED BED JET MILL」で、Fluid Energy Processing and Equipment Co.から商標名「ROTO−JET」で、及びHosokawa Micron Powder Systems,Summit,New Jerseyから商標名「ALPINE MODEL 100 APG」で、入手可能である。この種の機械の下方部分は、研磨領域である。研磨領域内の研磨ノズルのリングは、中心に向かって集中し、研磨流体は、粉砕される材料の粒子を加速させる。寸法減少は、材料の流動床内で起こり、この技術は、エネルギー効率を大いに改善し得る。
【0024】
対向ジェットミルは、少なくとも2つの対向ノズルが粒子を加速させ、それらを中心で衝突させることを除いて、流動床ジェットミルに類似している。対向ジェットミルは、例えば、CCE Technologies,Cottage Grove,Minnesotaから商業的に入手され得る。
【0025】
場合によっては、供給原料は、粒子の不十分な分散により凝塊物を形成し、奇形の中空微小球及び/又は凝塊物をもたらすこともある。凝塊物の上に形成される微小球は、典型的には増大した密度を有する多重セル構造であるために、凝塊物の形成は望ましくない。場合によっては、この凝塊物が個々の粒子よりも非常に大きいという事実により、加熱工程中に凝塊物が融解しないこともある。したがって、凝塊物の形成を最小化しつつ中空ガラス微小球を作製する方法が必要である。本開示の方法を用いて作製される中空微小球は、実質的に単一セル構造を有する。本明細書で使用される「実質的に」という用語は、今般開示される方法を用いて作製される中空微小球の大多数が、単一セル構造を有することを意味する。本明細書で使用される「単一セル構造」という用語は、それぞれの中空微小球が、それぞれの個々の中空微小球中に存在する、追加の外側の壁、部分球体、同心球体等を有さない1つの外壁のみで画定されることを意味する。代表的な単一セル構造は、図2に示される光学画像に示される。振動エネルギーを用いて供給原料を分配する工程を含む中空ガラス微小球を作製する方法が同様に必要である。
【0026】
本開示の装置は、分配システム、加熱システム、及びコレクタを有する。供給原料の分配は、振動エネルギーを用いて実施される。幾つかの実施形態では、振動エネルギーは、振とう器によってもたらされる。幾つかの実施形態では、この振動エネルギーは、超音波エネルギーである。振動エネルギーが超音波エネルギーである場合、分配システムは、超音波エネルギーを用いて供給原料が加熱システム内に分配されることを可能にする超音波装置を更に含む。幾つかの実施形態では、この超音波装置は、圧電変換器に接続されているブースタに接続された超音波ホーンである。この変換器は、電源によって通電される。本開示の目的のために、超音波ホーン、ブースタ、及び圧電変換器は、以降は「超音波スタック」と総称される。幾つかの実施形態では、この加熱システムは、ガス/空気火炎を含む。幾つかの実施形態では、この加熱システムは、真空システムを更に含む。ここで図1を参照すると、本開示の装置10の1つの代表的実施形態が示されている。
【0027】
図1に示される装置10は、細長いハウジング20を有する分配システム12を含む。細長いハウジング20は、水平方向の壁24よりも長い垂直方向の壁22を有する。細長いハウジング20の寸法及び形状は、そこを通って分配される供給原料の種類及び容積に応じて選択される。例えば、細長いハウジング20は、球面状に形成できる。図1に示される代表的な細長いハウジングは、球面状であり、約5.08cmの直径を有する。細長いハウジング20は、供給原料32、例えば、金属、ガラス、樹脂等、及びこれらの組み合わせ等の材料を分配するのに好適な任意の材料で作製され得る。
【0028】
細長いハウジング20は、細長いハウジング20内の中心部に垂直に配置された中空内管26も含む。中空内管26の寸法及び形状は、そこを通って分配される供給原料32の種類及び容積に応じて選択される。例えば、中空内管26は、球面状に形成できる。図1に示される代表的中空内管26は、球面状であり、約2.54cmの直径を有する。中空内管26は、上端部28及び下端部30で開放されていて、粒子又は供給原料32は、そこを通過し得る。中空内管26は、供給原料32、例えば、金属、ガラス、樹脂等、及びそれらの組み合わせ等の材料を分配するのに好適な任意の材料で作製され得る。例えば、図1に示される中空内管26は、完全に金属から作られる。
【0029】
細長いハウジング20は、首部34も含む。首部34は、供給原料32及び/又は供給原料32を流動化させ、かつ装置10内の中空内管に移動させるために用いられる担体ガスを受容するための入口を画定する。首部34は、分配システム12の水平方向の壁24付近に位置付けられ得る。あるいは、首部34は、分配システム12の垂直方向の壁22の底部付近に位置付けられ得る。図1に示される代表的な首部34は、水平方向の壁24の一部に沿って位置付けられ、開口部36及び垂直に延在する壁40を含む。図1に示される分配システム12は、2つの首部34を有するか、あるいは底部の一部に更に沿った水平方向の壁24を有し得る。図1に示される代表的な首部34は、オリフィス様に小さい。図1に示されるように、供給原料32を受容するための入口35は、細長いハウジング20の上部水平方向の壁24内に位置し得る。
【0030】
中空内管26の下端部30は、加熱システム14への入口44に動作可能に取り付けられる。装置10は、中空内管26の下端部30と加熱システム14への入口44との間に移行部42を含み得る。中空内管26の下端部30と加熱システム14への入口44との間の移行部42が、周囲空気の装置10へ導入を回避するために密封されることが望ましい。例えば、中空内管26の下端部30と加熱システム14への入口44との間の移行部42は、動作中に周囲空気が装置に進入することを阻止するために、oリング又は任意の他の種類の従来のガスケット材料で密封され得る。
【0031】
装置10は、加熱システム14を含む。幾つかの実施形態では、加熱システム14は、ガス/空気火炎又はガス/空気/酸素火炎を含む。この火炎は、様々な密度及び強度の中空微小球を産出するよう調節されるガス/空気比及びガス/空気/酸素比で、中性、還元性又は酸性であってもよい。任意の市販の加熱システム、例えば、Thermal Technology Inc.,California,USAから市販されているファーネスモデル「Astro 1100−4080 MI」等が使用され得る。当業者は、加熱システム14内の温度が、供給原料32に使用される材料の種類等の種々の要因に依存することを理解し得る。本開示の方法では、加熱システム14内の温度は、ガラス軟化温度以上の温度で維持されるべきである。一実施形態では、加熱システム14内の温度が、約1300℃を超える温度で維持される。代表的温度としては、約1300℃以上の温度、約1410℃以上の温度、約1550℃以上の温度、約1560℃以上の温度、約1575℃以上の温度、約1600℃以上の温度、及び約1650℃以上の温度が挙げられる。
【0032】
装置10は、加熱システム14内に真空を提供する真空システム16(図示されず)も含むことができる。任意の市販の真空システムが使用され得る。真空システム16は、空気ライン、液体ライン等の配管ラインを介して加熱システム14に接続される、独立システムであり得る。真空システム16は、加熱システム14、コレクタ18、又はそれら両方にも統合され得る。例えば、Master Appliances Corp.Wisconsin,USAから、商標名「Master Heat Gun」で市販されている冷気送風機は、加熱システム14内に直接組み込まれ得る。これらの冷気送風機は、加熱システム14への入口、加熱システム14への出口、コレクタ18への入口、又はそれらの組み合わせでの冷却空気を提供し得る。幾つかの実施形態では、今般開示される加熱システム14内で、約6,773Pa(2inHg)未満の絶対内圧を維持することが望ましい。他の利点の中でも、加熱システム14内で約6,773Pa(2inHg)未満の絶対内圧を維持することは、本質的に発泡剤を含まない供給原料32を用いる場合に、本発明で開示される中空微小球を作製する方法において有用である。
【0033】
装置10は、形成された中空微小球がその中で収集されるコレクタ18も含み得る。コレクタ18の入口48は、加熱システム14の出口46に動作可能に取り付けられる。コレクタ18と加熱システム14との間の接続は、装置10への周囲空気の導入を回避するために密封されることが望ましい。例えば、コレクタ18と加熱システム14との間の接続は、動作中に周囲空気が装置に進入することを阻止するために、oリング又は任意の他の種類の従来のガスケット材料で密封され得る。当業者は、コレクタ18が、その中に収集される中空微小球の寸法、形状、及び容積、加熱システム14内への真空システム組入れ、装置10の動作温度等の種々の要因に応じて、多数の方法で設計され得ることを理解し得る。
【0034】
図1に示されるように、装置10のディスペンサー12はまた、移動可能な超音波ホーン29と中空内管26の上端部28との間の隙間31をもたらすために、細長いハウジング20から中空内管26の上端部28の直上まで延在する移動可能な超音波ホーン29を有する。超音波ホーン29は、ブースタ(図示せず)に接続される。このブースタは、圧電変換器(図示せず)に更に接続される。隙間31は、超音波ホーン29を中空内管26の上端部28に対して移動させることによって調節され得る。例えば、1:1利得及び1.5利得のブースタ(Dukane Corporation,St.Charles,IL価ら市販される)を有する1.2インチ(93cm)の直径を有する円筒状のアルミニウム超音波ホーンなどの任意の市販の超音波ホーン又は超音波スタックが用いられてもよい。振動エネルギーを提供するための別の方法としては、又は超音波スタックに加えて、他の装置、例えば振とう器などが用いられることが可能である。ホーン29は、円筒状ロッドとして図1では示されているが、他の形状も利用可能である。例えば、ホーン29は、長四角形又は正方形の(断面で)棒、球形の、先細の、二重先細の形状などであることができる。
【0035】
依然として図1を参照して、中空微小球の作製のための本開示方法の過程で、粒子又は供給原料32は、担体ガスを用いて装置10内に供給され、この担体ガスは、任意の不活性ガスであり得る。当業者は、担体ガスの流量が、例えば、装置10内に供給される供給原料の寸法、形状、及び容積、装置10内の所望の圧力等の種々の要因に基づいて選択されることを理解し得る。担体ガスの流量は、供給原料32を流動化し、かつ中空内管26の上端部28の開口部内に供給原料32を導入するのに十分である必要がある。幾つかの実施形態では、重力により供給原料32が、加熱システムに向かって引き寄せられる。幾つかの実施形態では、供給原料32は、真空システム16によって加熱システム14内に作られる真空により、加熱システム14に向かって引き寄せられる。加熱システム14内に入ると、供給原料32は、中空微小球になる。一実施形態では、中空微小球は、加熱システム14を通って重力を介して自由落下し、加熱システム14内の出口46を出ることができる。別の実施形態では、中空微小球は、加熱システム14内で維持される真空よりも高いコレクタ18内真空によって、加熱システム14内の出口46を通ってコレクタ18内に引き寄せられ得る。コレクタ18内に収集された中空微小球は、コレクタ18内の出口50を通って装置10から分配され得る。代替的に、コレクタ18は、装置10から形成された中空微小球を排出するために、装置10から取り外し可能であり得る。
【0036】
本開示の方法は、比較的高い処理量をもたらす。処理量は、より大型の炉ではより高くなるよう、炉の寸法に応じて変化するだろう。幾つかの実施形態では、2.5インチ(6.35cm)のホットゾーン直径を有する炉については、約2.1g/分を超える処理量が用いられる。幾つかの実施形態では、本開示の方法は、5.0g/分、又は7.0g/分を超える処理量をもたらす。
【0037】
本開示の方法を用いて作製される中空微小球は、比較的低い密度を有する。いくつかの実施形態では、本開示の中空微小球は、約1.5g/mL未満の密度を有する。いくつかの実施形態では、本開示の中空微小球は、約0.8g/mL未満の密度を有する。更に他の実施形態では、本開示の中空微小球は、約0.6g/mL未満、又は約0.55g/mL未満の密度を有する。
【0038】
本開示による中空微小球は、例えば、充填剤用途、変性剤用途、封じ込め容器用途又は基材用途の多種多様な用途で用いられ得る。好ましい実施形態による合成微小球は、複合材料における充填剤としても用いられてもよく、これらは低コスト化、重量軽減、改善された処理加工、性能向上、改善された可削性及び/又は改善された作業性の特性を付与する。より具体的には、合成微小球は、ポリマー(熱硬化性、熱可塑性、及び無機ジオポリマーを含む)、無機セメント質材料(ポルトランドセメント、石灰セメント、アルミナ系セメント、しっくい、リン酸塩系セメント、マグネシア系セメント及び他の液圧硬化可能な結合剤を含む)、コンクリートシステム(精密なコンクリート構造物、傾斜したコンクリートパネル、柱状物、吊るされたコンクリート構造物を含む)、パテ(例えば、空隙充填及び補修用途)、木材複合材(パーティクルボード、ファイバーボード、木材/ポリマー複合材及び他の複合木材構造物)、粘土、及びセラミックスにおける充填剤として使用され得る。1つの特に好ましい使用は、ファイバーセメント建築用製品におけるものである。
【0039】
この中空微小球はまた、他の材料と組み合わされた変性剤として使用されてもよい。寸法及び形状の適切な選択によって、この微小球は特定の材料と組み合わされて、増加した皮膜厚さ、改善された分布などの独自の特徴をもたらし得る。典型的な変性剤用途としては、光反射用途(例えば、高速道路のマーカー及び標識)、工業用爆薬、爆発エネルギー吸収構造体(例えば、爆弾と爆薬のエネルギーを吸収するために)、ペンキ及び粉末塗料用途、研削及びブラスト処理用途、掘削用途(例えば、油井掘削用のセメント)、接着剤成分並びに防音及び断熱用途が挙げられる。
【0040】
この中空微小球はまた、他の材料を封じ込める及び/又は格納するための用いられてもよい。典型的収容用途としては、医療及び医薬品の用途(例えば、薬剤用のマイクロ容器)、放射性又は毒性材料用のマイクロ封じ込め容器、並びに気体及び液体のマイクロ封じ込め容器が挙げられる。
【0041】
中空微小球はまた、表面反応が基材用途などに用いられる様々な用途において、特定の表面活性をもたらすよう使用されてもよい。この微小球に、金属又はセラミックコーティング、酸リーチングなどの二次処理を受けさせることによって、表面活性は更に改善され得る。典型的基材用途としては、液体から汚染物質を除去するためのイオン交換用途、その中で微小球の表面が合成、変換又は分解反応において触媒として役立つよう処理される触媒用途、汚染物質が気体又は液体流から除去される濾過、ポリマー複合材のための導電性充填剤又はRF遮蔽充填剤、並びに医療用撮像が挙げられる。
【0042】
本開示の代表的実施形態としては、以下が挙げられる。
【0043】
実施形態1.中空微小球を形成するための方法は、供給原料を分配することと、供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換させるのに十分な条件を用いて供給原料を加熱することとを含み、この分配は、振動エネルギーを用いて実行される。
【0044】
実施形態2.振動エネルギーが超音波エネルギーである、実施形態1に記載の方法。
【0045】
実施形態3.中空微小球が本質的に単一セル構造を有する、実施形態1〜2のいずれかに記載の方法。
【0046】
実施形態4.分配システムが、超音波ホーン及び振とう器の1つを更に含む、実施形態1〜3のいずれかに記載の方法。
【0047】
実施形態5.超音波ホーンが、圧電変換器に接続されたブースタに更に接続される、実施形態4に記載の方法。
【0048】
実施形態6.分配システムが、内部の中心部に垂直に配置された中空内管を有する細長いハウジングを更に含み、この供給原料が担体ガスを用いて中空内管内に導入される、実施形態1〜5のいずれかに記載の方法。
【0049】
実施形態7.加熱が、真空下で提供される、実施形態1〜6のいずれかに記載の方法。
【0050】
実施形態8.真空が、6,773Pa(2インチHg)以下の絶対圧で維持される、実施形態7に記載の方法。
【0051】
実施形態9.真空が、33,864Pa(10インチHg)以下の絶対圧で維持される、実施形態7に記載の方法。
【0052】
実施形態10.供給原料が、ガラス、再生ガラス、パーライト、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つから選択される、実施形態1〜9のいずれかに記載の方法。
【0053】
実施形態11.供給原料が、
(a)50重量%と90重量%の間のSiOと、
(b)2重量%と20重量%の間のアルカリ金属酸化物と、
(c)1重量%と30重量%の間のBと、
(d)0重量%と0.5重量%の間のイオウと、
(e)0重量%と25重量%の間の二価金属酸化物と、
(f)0重量5と10重量%の間のSiO以外の四価金属酸化物と、
(g)0重量%と20重量%の間の三価金属酸化物と、
(h)0重量%と10重量%の間の五価原子の酸化物と、
(i)0重量%と5重量%の間のフッ素とを含む、実施形態1〜10のいずれかに記載の方法。
【0054】
実施形態12.供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分な条件を用いて供給原料を加熱する工程が、1300℃を超える温度まで供給原料を加熱することを含む、実施形態1〜11のいずれかに記載の方法。
【0055】
実施形態13.振動エネルギーを用いて供給原料を分配すること、及び供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分な条件を用いて供給原料を加熱することを含む方法を用いて作製される中空微小球。
【0056】
実施形態14.振動エネルギーが超音波エネルギーである、実施形態13に記載の中空微小球。
【0057】
実施形態15.中空微小球が実質的に単一のセル構造である、実施形態13又は14に記載の中空微小球。
【0058】
実施形態16.加熱が、真空下で提供される、実施形態13、14又は15に記載の中空微小球。
【0059】
実施形態17.真空が、6,773Pa(2インチHg)以下の絶対圧で維持される、実施形態16に記載の中空微小球。
【0060】
実施形態18.真空が、33,864Pa(10インチHg)以下の絶対圧で維持される、実施形態16に記載の中空微小球。
【0061】
実施形態19.供給原料が、ガラス、再生ガラス、パーライト、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つから選択される、実施形態13、14、15、16、17又は18に記載の中空微小球。
【0062】
実施形態20.供給原料が、
(a)50重量%と90重量%の間のSiOと、
(b)2重量%と20重量%の間のアルカリ金属酸化物と、
(c)1重量%と30重量%の間のBと、
(d)0重量%と0.5重量%の間のイオウと、
(e)0重量%と25重量%の間の二価金属酸化物と、
(f)0重量%と10重量%の間のSiO以外の四価金属酸化物と、
(g)0重量%と20重量%の間の三価金属酸化物と、
(h)0重量%と10重量%の間の五価原子の酸化物と、
(i)0重量%と5重量%の間のフッ素とを含む、実施形態13、14、15、16、17、18又は19に記載の中空微小球。
【0063】
実施形態21.分配システムが、細長いハウジングを更に含み、その細長いハウジングは、内部の中心部に垂直に配置された中空内管を含み、この中空内管が上端部と下端部とを有し、更に、超音波ホーンが細長いハウジングの頂部から中空内管の上端部の直上まで延在する、実施形態13、14、15、16、17、18、19又は20に記載の中空微小球。
【0064】
実施形態22.細長いハウジング内で供給原料を流動化させることと、担体ガスを用いて中空内管内に供給原料を導入することを更に含む、実施形態21に記載の中空微小球。
【0065】
実施形態23.中空ガラス微小球を形成するための装置であり、
ハウジング及び超音波装置を有する分配システムと、
加熱システムとを含む装置であり、
その加熱の条件は供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分であり、その分配が超音波エネルギーを用いて実行される、装置。
【0066】
実施形態24.加熱システムが、真空システムを更に含む、実施形態23に記載の装置。
【0067】
限定はしないが、以下の特定の実施例は、本発明を説明するために供されるであろう。これらの実施例では、全ての量は、別途明記されない限り、重量部で表される。
【0068】
装置
ファーネスモデル(Thermal Technology Inc.,California,USAによって商品化された)「Astro 1100−4080 MI」を、粒子又は供給原料が加熱システムを通って自由落下するように、上部及び下部ヒースを除去することによって内側のチャンバ(インプレート)を修正したことを除いて、以下の実施例において加熱システムとして用いた。3つの冷気送風機(Master Appliances Corp.,Wisconsin,USAによって商品化された商標名「Master Heat Gun」)を、機械的クランプを用いて加熱システムの構造に固定し、1つの冷気送風機を、供給開口部付近の加熱システムの上部に設置し、2つの冷気送風機を、加熱システムの底部に設置し、収集開口部で空気を送風した。加熱システムの上部に設置された供給開口部を、分配システムを所定の位置に保持するために、oリングシールを加えることにより修正した。
【0069】
試験方法
平均粒子密度決定
Micromeritics,Norcross,Georgiaから入手された商標名「Accupyc 1330 Pycnometer」で完全に自動化されたガス置換比重瓶を用いて、ASTM D2840−69「中空微小球の平均の真粒子密度」に従って微小球の密度を決定した。
【0070】
粒径の決定
粒径分布を、Beckman Coulter,Fullerton,Californiaから入手可能な商標名「Coulter Counter LS−130」の粒径分析器を用いて決定した。
【実施例】
【0071】
比較実施例A
実施例1は、参照により本明細書に組み込まれた、PCT特許公報第WO2006/062566号に記載されるように得られた供給原料を用いて調製された。供給原料は、485gのSiO(US Silica,West Virginia,USAから入手)、590μmよりも90%小さい114gのNa2B(US Borax,California,USAから入手)、44μmよりも90%小さい161gのCaCO(Imerys,Alabama,USAから入手)、29gのNaCO(FMC Corp.,Wyoming,USAから入手)、74μmよりも60%小さい3.49gのNaSO(Searles Valley Mineral,California,USAから入手)、及び840μmよりも90%小さい10gのNa(Astaris,Missouri,USAから入手)を含んだ。ガラス供給原料の全体のイオウ濃度は、0.12%であった。
【0072】
この供給原料を、流動床ジェットミル(Hosokawa Micron Powder Systems,Summit,New Jerseyから商標名「Alpine Model 100 APG」で入手可能)内で粉砕し、約13μmの平均粒径を有する供給原料を得た。超音波装置が使用されなかったこと以外は、図1に示されかつ対応する本文に記載される装置10を用いて、供給原料を加熱システム内に分配した。供給原料を細長いハウジング20と中空内管26との間に配置して、担体ガスを、時間当たり6〜8立方フィート(CFH)の流量及び−101,591Pa(−30inHg)の絶対真空で、首部34を通して注入した。供給原料は、それに印加される真空圧により、中空内管26の上端部の収縮した開口部に向かって浮遊し、中空管26を通って加熱システム14に向かって引き寄せられた。比較実施例Aに従って調製された泡のプロセス条件及び密度が、以下の表1に示される。
【0073】
【表1】
【0074】
温度を、携帯型高温計(商標名「Mikraon M90−31」でMikron Infrared,California,USAから入手可能)を用いて測定した。
【0075】
(実施例1〜4)
実施例1〜4を、供給原料を加熱システムに分配する前に、供給原料を分配するために超音波エネルギーが用いられたことを除けば、比較実施例Aに記載されたように調製した。
【0076】
供給原料32を、図1に示され、かつ対応する本文に記載される装置10を用いて、加熱システム14中に分配した。1.5利得ブースタ(Dukane Corporationから市販されている)に取り付けられた超音波ホーン29を、超音波ホーン29と中空内管26との間の空隙が約0.3〜0.5約mmである状態で、ディスペンサー12上に据付けた。供給原料32を細長いハウジング20と中空内管26との間に配置して、担体ガスを、以下の表2に従って、時間当たり6〜8平方フィートの流量及び真空で、首部34を通して注入した。供給原料は、それに印加される真空圧により、中空内管26の上端部の収縮した開口部に向かって浮遊し、中空管26を通って加熱システム14に向かって引き寄せられた。
【0077】
温度を携帯型高温計を用いて測定した。
【0078】
プロセス条件及び試験結果は、以下の表2に示される。
【0079】
【表2】
【0080】
図2は、Leica Mycrosystems of Illinois,USAから入手可能なデジタルカメラモデルHRD−060HMTに接続される顕微鏡モデル「DM LM」で撮られた、実施例1に記載されるように調製されたガラス中空微小球の光学画像である。図2に示される中空微小球は、実質的に単一セル構造を有する。
【0081】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[24]に記載する。
[1]
中空微小球を形成する方法であって、供給原料を分配することと、前記供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分な条件を用いて、前記供給原料を加熱すること、とを含む方法であり、前記分配が振動エネルギーを用いて実行される、方法。
[2]
前記振動エネルギーが超音波エネルギーである、項目1に記載の方法。
[3]
前記中空微小球が実質的に単一のセル構造を有する、項目1又は2のいずれか一項に記載の方法。
[4]
前記分配システムが、超音波ホーン及び振とう器の中の1つを更に含む、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記超音波ホーンが、圧電変換器に接続されたブースタに更に接続される、項目4に記載の方法。
[6]
前記分配システムが細長いハウジングを更に含み、前記細長いハウジングがその中の中心部に垂直に配置された中空内管を有し、前記供給原料が担体ガスを用いて前記中空内管内に導入される、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記加熱が、真空下で提供される、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記真空が、6,773Pa(2インチHg)以下の絶対圧で維持される、項目7に記載の方法。
[9]
前記真空が、33,864Pa(10インチHg)以下の絶対圧で維持される、項目7に記載の方法。
[10]
前記供給原料が、ガラス、再生ガラス、パーライト、及びこれらの組み合わせの中の少なくとも1つから選択される、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記供給原料が、
(a)50重量%と90重量%の間のSiOと、
(b)2重量%と20重量%の間のアルカリ金属酸化物と、
(c)1重量%と30重量%の間のBと、
(d)0重量%と0.5重量%の間のイオウと、
(e)0重量%と25重量%の間の二価金属酸化物と、
(f)0重量%と10重%の間のSiO以外の四価金属酸化物と、
(g)0重量%と20重量%の間の三価金属酸化物と、
(h)0重量%と10重量%の間の五価原子の酸化物と、
(i)0重量%と5重量%の間のフッ素と、を含む項目1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分な条件を用いて、前記供給原料を加熱する前記工程が、前記供給原料を1300℃を超える温度まで加熱することを含む、項目1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[13]
振動エネルギーを用いて供給原料を分配すること、及び前記供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分な条件を用いて、前記供給原料を加熱することを含む方法を用いて作製された中空微小球。
[14]
前記振動エネルギーが超音波エネルギーである、項目13に記載の中空微小球。
[15]
前記中空微小球が実質的に単一のセル構造を有する、項目13又は14に記載の中空微小球。
[16]
前記加熱が真空下で実行される、項目13、14又は15に記載の中空微小球。
[17]
前記真空が、6,773Pa(2インチHg)以下の絶対圧で維持される、項目16に記載の中空微小球。
[18]
前記真空が、33,864Pa(10インチHg)以下の絶対圧で維持される、項目16に記載の中空微小球。
[19]
前記供給原料が、ガラス、再生ガラス、パーライト、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つから選択される、項目13、14、15、16、17又は18に記載の中空微小球。
[20]
前記供給原料が、
(a)50重量%と90重量%の間のSiOと、
(b)2重量%と20重量%の間のアルカリ金属酸化物と、
(c)1重量%と30重量%の間のBと、
(d)0重量%と0.5重量%の間のイオウと、
(e)0重量%と25重量%の間の二価金属酸化物と、
(f)0重量%と10重%の間のSiO以外の四価金属酸化物と、
(g)0重量%と20重量%の間の三価金属酸化物と、
(h)0重量%と10重量%の間の五価原子の酸化物と、
(i)0重量%と5重量%の間のフッ素と、を含む項目13、14、15、16、17、18又は19に記載の中空微小球。
[21]
前記分配システムが細長いハウジングを更に含み、前記細長いハウジングがその中の中心部に垂直に配置された中空内管を有し、前記中空内管が上端部と下端部とを有し、更に、超音波ホーンが前記細長いハウジングの頂部から前記中空内管の前記上端部の直上まで延在する、項目13、14、15、16、17、18、19又は20に記載の中空微小球。
[22]
前記細長いハウジング内で供給原料を流動化させることと、担体ガスを用いて前記中空内管内に前記供給原料を導入することを更に含む、項目21に記載の中空微小球。
[23]
中空ガラス微小球を形成するための装置であって、
ハウジング及び超音波装置を有する分配システムと、
加熱システムとを含む装置であり、
前記加熱の条件が、前記供給原料の少なくとも一部を中空微小球に変換するのに十分であり、前記分配が超音波エネルギーを用いて実行される、装置。
[24]
前記加熱システムが、真空システムを更に含む、項目23に記載の装置。
図1
図2