特許第5824188号(P5824188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5824188
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月25日
(54)【発明の名称】自動車用駆動力配分装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 48/22 20060101AFI20151105BHJP
   F16D 25/12 20060101ALI20151105BHJP
   B60K 17/16 20060101ALI20151105BHJP
   B60K 17/348 20060101ALI20151105BHJP
【FI】
   F16H48/22
   F16D25/12 B
   B60K17/16 E
   B60K17/348 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-529954(P2015-529954)
(86)(22)【出願日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】JP2014083106
【審査請求日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】特願2014-29820(P2014-29820)
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】三枝 大城
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 沙知
【審査官】 中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−135760(JP,U)
【文献】 特開2011−149516(JP,A)
【文献】 特開2010−190284(JP,A)
【文献】 特開2010−164102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 48/22
B60K 17/16
B60K 17/348
F16D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の駆動力を左右の車軸(19R,19L)に伝達する左右の油圧クラッチ(21R,21L)を備え、前記油圧クラッチ(21R,21L)はクラッチ油室(26R,26L)の内壁面にクラッチピストン(25R,25L)に対向する環状の油溝(33R,33L,34R,34L)を備え、前記油溝(33R,33L,34R,34L)に連通する作動油供給口(35R,35L)および作動油排出口(36R,36L)の位置が左右の前記油圧クラッチ(21R,21L)で異なる自動車用駆動力配分装置であって、
前記油溝(33R,33L,34R,34L)の断面積を、該油溝(33R,33L,34R,34L)の両端の前記作動油供給口(35R,35L)および前記作動油排出口(36R,36L)間の距離が大きいほど大きく設定したことを特徴とする自動車用駆動力配分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の駆動力を左右の車軸に伝達する左右の油圧クラッチを備え、前記油圧クラッチは油室の内壁面にクラッチピストンに対向する環状の油溝を備え、前記油溝に連通する作動油供給口および作動油排出口の位置が左右の前記油圧クラッチで異なる自動車用駆動力配分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
四輪駆動車両のリヤディファレンシャルギヤに左右一対の油圧クラッチを設け、トランスミッションのトランスファーからプロペラシャフトを介して伝達された駆動力を、左右一対の油圧クラッチを介して左右の後輪に任意の比率で配分するものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2010−96198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リヤディファレンシャルギヤの油圧クラッチのピストン油室の内壁面に、作動油供給口および作動油排出口を有する環状の油溝を形成し、作動油供給口から油溝に供給した作動油を作動油排出口から排出することでクラッチピストンを駆動するように構成した場合、レイアウト上の要請から左右の油圧クラッチの作動油供給口および作動油排出口の位置を左右対称に形成することができない場合がある。即ち、作動油供給口および作動油排出口の理想的な位置は環状の油溝の直径方向両端(位相差が180°)であるが、例えば右側の油圧クラッチでは前記位相差が90°であり、左側の油圧クラッチでは前記位相差が120°であるような場合が発生する。
【0005】
このように、環状の油溝に対する作動油供給口および作動油排出口の位相差が180°からずれていると、作動油供給口から供給された作動油が環状の油溝を二股の流路に分かれて作動油排出口に排出される際に、短い方の流路は作動油の抵抗が小さくなり、長い方の流路は作動油の抵抗が大きくなるため、作動油が短い方の流路を短絡することでクラッチピストン全体を均等に押圧することができなくなり、油圧クラッチのスムーズな係合が阻害される可能性があった。しかも流路の抵抗の大小によりクラッチ油室に作動油が満たされるまでの時間が異なるため、油圧クラッチの係合応答性にばらつきが発生する可能性があった。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、自動車用駆動力配分装置の左右の油圧クラッチのスムーズな作動を可能にするとともに、係合応答性のばらつきを解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば、駆動源の駆動力を左右の車軸に伝達する左右の油圧クラッチを備え、前記油圧クラッチは油室の内壁面にクラッチピストンに対向する環状の油溝を備え、前記油溝に連通する作動油供給口および作動油排出口の位置が左右の前記油圧クラッチで異なる自動車用駆動力配分装置であって、前記油溝の断面積を、該油溝の両端の前記作動油供給口および前記作動油排出口間の距離が大きいほど大きく設定したことを特徴とする自動車用駆動力配分装置が提案される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の特徴によれば、駆動源の駆動力を左右の車軸に伝達する左右の油圧クラッチは、油室の内壁面にクラッチピストンに対向する環状の油溝を備える。油溝に連通する作動油供給口および作動油排出口の位置は左右の油圧クラッチで異なっており、油溝の断面積を、該油溝の両端の作動油供給口および作動油排出口間の距離が大きいほど大きく設定したので、各油圧クラッチの作動油供給口および作動油排出口間の長さの異なる油溝の流路抵抗を均一化するとともに、左右の油圧クラッチの油溝の流路抵抗を均一化し、クラッチピストン全体を偏りなく押圧してスムーズな作動を可能にするとともに油圧の圧損を低減することができ、しかも左右の油圧クラッチの係合応答性の向上および係合応答性の均一化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は自動車用駆動力配分装置の縦断面図である。(第1の実施の形態)
図2図2は油圧クラッチに作動油を供給する油圧回路を示す図である。(第1の実施の形態)
図3図3図1の3A−3A線および3B−3B線断面図である。(第1の実施の形態)
【符号の説明】
【0010】
19R 車軸
19L 車軸
21R 油圧クラッチ
21L 油圧クラッチ
25R クラッチピストン
25L クラッチピストン
26R クラッチ油室
26L クラッチ油室
33R 油溝
33L 油溝
34R 油溝
34L 油溝
35R 作動油供給口
35L 作動油供給口
36R 作動油排出口
36L 作動油排出口
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図3に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【第1の実施の形態】
【0012】
図1に示すように、四輪駆動車両の左右の後輪に駆動力を配分する駆動力配分装置は、中央ケーシング11と、中央ケーシング11の右側面に結合される右ケーシング12Rと、中央ケーシング11の左側面に結合される左ケーシング12Lとを備える。中央ケーシング11には、トランスミッションの図示せぬトランスファーから後方に延びるプロペラシャフト13の後端に接続されたドライブベベルギヤ14が前後一対のローラベアリング15,15を介して支持されており、このドライブベベルギヤ14は、中央ケーシング11に左右一対のローラベアリング16R,16Lを介して支持されたクラッチ入力軸17に固設したドリブンベベルギヤ18に噛合する。
【0013】
右ケーシング12Rには、右後輪に接続する右車軸19Rがボールベアリング20Rを介して支持されており、クラッチ入力軸17の右端と右車軸19Rの左端との間に右油圧クラッチ21Rが配置される。同様に、左ケーシング12Lには、左後輪に接続する左車軸19Lがボールベアリング20Lを介して支持されており、クラッチ入力軸17の左端と左車軸19Lの右端との間に左油圧クラッチ21Lが配置される。
【0014】
右油圧クラッチ21Rは、右車軸19Rにスプライン結合されたクラッチインナー22Rと、クラッチ入力軸17の右端にスプライン結合されたクラッチアウター23Rと、クラッチインナー22Rおよびクラッチアウター23R間に配置された複数の摩擦板24R…と、右ケーシング12Rの内部に摺動自在に嵌合して摩擦板24R…を左側に押圧可能なクラッチピストン25Rと、クラッチピストン25Rの背面および右ケーシング12Rの内面間に区画されたクラッチ油室26Rと、クラッチインナー22Rおよびクラッチアウター23R間に配置されたボールベアリング27Rとを備える。
【0015】
左油圧クラッチ21Lの構造は、上述した右油圧クラッチ21Rの構造と実質的に左右対称な同一構造であるため、重複する説明を省略する。左油圧クラッチ21Lの構成要素の符号は、右油圧クラッチ21Rの構成要素の符号の添え字「R」を「L」に変更したものである。
【0016】
中央ケーシング11の右端部には、電動モータ28により駆動される右オイルポンプ29Rおよび左オイルポンプ29Lと、右オイルポンプ29Rおよび左オイルポンプ29Lから右油圧クラッチ21Rおよび左油圧クラッチ21Lへの作動油の供給を制御するバルブ等が収納されたバルブブロック30とが配置される。
【0017】
図2に示すように、右オイルポンプ29Rがオイルタンク31から汲み上げた作動油は、右油圧クラッチ21Rのクラッチ油室26Rに供給された後、リニアソレノイド弁よりなる右絞り弁32Rを通過してオイルタンク31に戻される。また左オイルポンプ29Lがオイルタンク31から汲み上げた作動油は、左油圧クラッチ21Lのクラッチ油室26Lに供給された後、リニアソレノイド弁よりなる左絞り弁32Lを通過してオイルタンク31に戻される。
【0018】
このとき、左右の絞り弁32R,32Lを全開状態にすると作動油はクラッチ油室26R,26Lを素通りして油圧が立ち上がらないため、左右の油圧クラッチ21R,21Lは係合解除する。また左右の絞り弁32R,32Lを絞ると、その開度に応じてクラッチ油室26R,26Lの油圧が立ち上がることで、左右の油圧クラッチ21R,21Lが所定の係合トルクで係合し、クラッチ入力軸17から左右の車軸19R,19Lに任意のトルクを伝達することができる。
【0019】
図3(A)は、右油圧クラッチ21Rのクラッチ油室26Rを区画する右ケーシング12Rの内壁面(クラッチピストン25Rの背面に対向する面)を示すものである。クラッチ油室26Rの内壁面には環状を成す長短の油溝33R,34Rが形成されており、右油圧クラッチ21Rが係合解除してクラッチピストン25Rが後退しているとき、この油溝33R,34Rによって右ケーシング12Rの内壁面とクラッチピストン25Rの背面との間に環状の油路が形成される。
【0020】
二つの油溝33R,34Rの始端には右オイルポンプ29Rに接続する作動油供給口35Rが形成され、二つの油溝33R,34Rの終端には右絞り弁32Rに接続する作動油排出口36Rが形成される。本実施の形態では、右油圧クラッチ21Rの短油路33Rを挟む作動油供給口35Rと作動油排出口36Rとの間の位相差は、スペースやレイアウト上の都合から90°に設定されている。
【0021】
図3(B)は、左油圧クラッチ21Lのクラッチ油室26Lを区画する左ケーシング12Lの内壁面(クラッチピストン25Lの背面に対向する面)を示すものである。クラッチ油室26Lの内壁面には環状を成す長短の油溝33L,34Lが形成されており、左油圧クラッチ21Lが係合解除してクラッチピストン25Lが後退しているとき、この油溝33L,34Lによって左ケーシング12Lの内壁面とクラッチピストン25Lの背面との間に環状の油路が形成される。
【0022】
二つの油溝33L,34Lの始端には左オイルポンプ29Lに接続する作動油供給口35Lが形成され、二つの油溝33L,34Lの終端には左絞り弁32Lに接続する作動油排出口36Lが形成される。本実施の形態では、左油圧クラッチ21Lの短油路33Lを挟む作動油供給口35Lと作動油排出口36Lとの間の位相差は、スペースやレイアウト上の都合から120°に設定されている。
【0023】
右油圧クラッチ21Rの短油溝33Rおよび長油溝34Rの幅は異なっており、短いために流路抵抗が小さい短油溝33Rの幅は、長いために流路抵抗が大きい長油溝34Rの幅よりも小さくなっている。同様に、左クラッチ21Lの短油溝33Lおよび長油溝34Lの幅は異なっており、短いために流路抵抗が小さい短油溝33L幅は、長いために流路抵抗が大きい長油溝34Lの幅よりも小さくなっている。
【0024】
油溝33R,33L,34R,34Lによりクラッチピストン25R,25Lの背面との間に形成される油路の断面を円形断面にモデル化し、右油圧クラッチ21Rの短油溝33Rの半径および長油溝34Rの半径をそれぞれγSR,γLRとし、左油圧クラッチ21Lの短油溝33Lの半径および長油溝34Lの半径をそれぞれγSL,γLLとしたとき、右油圧クラッチ21Rの短油溝33Rおよび長油溝34Rを流れる作動油の流速が一致し、かつ左油圧クラッチ21Lの短油溝33Lおよび長油溝34Lを流れる作動油の流速が一致するという条件から、右油圧クラッチ21Rの短油溝33Rの半径γSRと長油溝34Rの半径γLRとの間の関係は、
γLR/γSR=√(NR−1) …(1)
に設定される。ここでNRは、θを作動油供給口35Rおよび作動油排出口36R間の位相差[deg]としたときに、θ/360=1/NRから得られる値である。実施の形態の右油圧クラッチ21Rではθ=90゜であるため、NR=4であり、よってγLR/γSR=√3に設定される。
【0025】
同様に、左油圧クラッチ21Lの短油溝33Lの半径RSLと長油溝34Lの半径γLLとの間の関係は、
γLL/γSL=√(NL−1) …(2)
に設定される。実施の形態の左油圧クラッチ21Lではθ=120゜であるため、NL=3であり、よってγLL/γSL=√2に設定される。
【0026】
また右油圧クラッチ21Rの短油溝33Rおよび長油溝34Rを合わせた作動油の流量が、左油圧クラッチ21Lの短油溝33Lおよび長油溝34Lを合わせた作動油の流量に等しいという条件から、
γSL/γSR=√(NR/2)/√(NL/2) …(3)
に設定される。実施の形態の右油圧クラッチ21RではNR=4であり、実施の形態の左油圧クラッチ21LではNL=3であるため、γSL/γSR=√2/√1.5に設定される。
【0027】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0028】
エンジンからトランスミッションのトランスファー、プロペラシャフト13、ドライブベベルギヤ14、ドリブンベベルギヤ18を介してクラッチ入力軸17に伝達された駆動力は、右油圧クラッチ21Rを係合することで右車軸19Rに伝達され、左油圧クラッチ21Lを係合することで左車軸19Lに伝達される。
【0029】
右油圧クラッチ21Rを係合すべく右絞り弁32Rを絞ると、右オイルポンプ29Rが吐出した作動油が右絞り弁32Rにおいて塞き止められ、右クラッチ油室26Rの油圧が上昇してクラッチピストン25Rを押圧することで、摩擦板24R…どうしが相互に当接してクラッチインナー22Rおよびクラッチアウター23Rが結合される。また左油圧クラッチ21Lを係合すべく左絞り弁32Lを絞ると、左オイルポンプ29Lが吐出した作動油が左絞り弁32Lにおいて塞き止められ、左クラッチ油室26Lの油圧が上昇してクラッチピストン25Lを押圧することで、摩擦板24L…どうしが相互に当接してクラッチインナー22Lおよびクラッチアウター23Lが結合される。
【0030】
さて、右油圧クラッチ21Rあるいは左油圧クラッチ21Lの作動油供給口35R,35Lからクラッチ油室26R,26Lに流入した作動油は、二股に分かれた短油溝33R,33Lおよび長油溝34R,34Lを通って流れ、クラッチ油室26R,26Lを満たした後に作動油排出口36R,36Lから排出される。このとき、短油溝33R,33Lおよび長油溝34R,34Lは長さが全て異なっているため、そこを流れる作動油が受ける抵抗も全て異なってしまい、作動油が短い方の油溝を短絡することでクラッチピストン25R,25L全体を均等に押圧することができなくなり、左右の油圧クラッチ21R,21Lのスムーズな係合が阻害される可能性があるだけでなく、抵抗の大小によりクラッチ油室26R,26Lに作動油が満たされるまでの時間が異なるため、左右の油圧クラッチ21R,21Lの係合応答性にばらつきが発生する可能性がある。
【0031】
しかしながら、本実施の形態によれば、短油溝33R,33Lおよび長油溝34R,34Lの溝幅(溝半径)を、その流路長が短いものほど小さく設定し、その流路長が長いものほど大きく設定することで、短油溝33R,33Lを流れる作動油の流速と長油溝34R,34Lを流れる作動油の流速とを一致させ、かつ右油圧クラッチ21Rの短油溝33Rおよび長油溝34Rを合わせた作動油の流量が、左油圧クラッチ21Lの短油溝33Lおよび長油溝34Lを合わせた作動油の流量に等しくなるように設定したので、左右の油圧クラッチ21R,21Lのクラッチピストン25R,25L全体を偏りなく押圧してスムーズな作動を可能にするとともに油圧の圧損を低減することができ、しかも左右の油圧クラッチ21R,21Lの係合応答性の向上および係合応答性の均一化を達成することができる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0033】
例えば、作動油供給口35R,35Lおよび作動油排出口36R,36L間の位相差は実施の形態に限定されるものではない。
【要約】
自動車用駆動力配分装置において、油圧クラッチ(21R,21L)は、クラッチ油室(26R,26L)の内壁面にクラッチピストン(25R,25L)に対向する環状の油溝(33R,33L,34R,34L)を備え、油溝(33R,33L,34R,34L)に連通する作動油供給口(35R,35L)および作動油排出口(36R,36L)の位置が左右の油圧クラッチ(21R,21L)で異なっている。油溝(33R,33L,34R,34L)の断面積を、その両端の作動油供給口(35R,35L)および作動油排出口(36R,36L)間の距離が大きいほど大きく設定したので、各油圧クラッチ(21R,21L)の油溝(33R,33L,34R,34L)の流路抵抗を均一化する。これにより油圧クラッチ(21R,21L)のスムーズな作動と、係合応答性の向上および係合応答性の均一化とを達成することができる。
図1
図2
図3