特許第5824206号(P5824206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824206
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月25日
(54)【発明の名称】吊荷旋回装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/08 20060101AFI20151105BHJP
   B66C 1/34 20060101ALI20151105BHJP
【FI】
   B66C13/08 L
   B66C1/34 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-259950(P2010-259950)
(22)【出願日】2010年11月22日
(65)【公開番号】特開2012-111570(P2012-111570A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100152261
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】和田 政臣
(72)【発明者】
【氏名】今岡 静男
(72)【発明者】
【氏名】天下井 聡
(72)【発明者】
【氏名】菅野 敦庸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 耕二
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−046894(JP,A)
【文献】 特開平06−056383(JP,A)
【文献】 特開平09−315761(JP,A)
【文献】 実開平07−019282(JP,U)
【文献】 特開平11−116181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/34
B66C 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンで吊り下げた吊荷の鉛直線上に取り付け可能なジャイロアクチュエータと前記吊荷の旋回フックと、
前記旋回フックを介して前記吊荷を水平方向に旋回する旋回手段を駆動させて生じた加速トルクが装置にかかる反力と想定して、反力抑制に必要なジャイロモーメント(M)、フライホイールの慣性モーメント(I)、フライホイール角速度(Ω)、ジンバル角速度
、任意調整係数(k)とし、次式に基づいて前記ジャイロモーメントを計算し、
前記ジャイロモーメントを発生させる前記ジャイロアクチュエータのフライホイールの速度に変更する制御部と、
を備えたことを特徴とする吊荷旋回装置。
【請求項2】
ケーシングと、
前記ケーシング内に前記クレーンの鉛直線上に吊り下げた旋回フックで吊荷を旋回させる旋回手段と、
前記鉛直線上であって、前記旋回フックの上方に前記吊荷の旋回によって生じるクレーンロープの捻れを抑制するジャイロアクチュエータと、
前記旋回手段を駆動させて生じた加速トルクを検出するトルクセンサーと、
前記加速トルクが装置にかかる反力と想定して、反力抑制に必要なジャイロモーメント(M)、フライホイールの慣性モーメント(I)、フライホイール角速度(Ω)、ジンバル角速度
、任意調整係数(k)とし、次式に基づいて前記ジャイロモーメントを計算し、
前記ジャイロモーメントを発生させる前記ジャイロアクチュエータのフライホイールの速度に変更する制御部と、
を備えたことを特徴とする吊荷旋回装置。
【請求項3】
前記ケーシングの旋回軸角度検出値を検出するジャイロセンサーを備え、前記旋回軸角度検出値が0であるとき、前記フライホイールを停止させることを特徴とする請求項2に記載の吊荷旋回装置。
【請求項4】
前記制御部と有線又は無線通信回線により接続して、旋回手段を駆動する任意の加速時間パターンを選択可能なコントローラを備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の吊荷旋回装置。
【請求項5】
前記ケーシングと前記クレーンロープの間に止め具を設けたことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の吊荷旋回装置。
【請求項6】
前記旋回手段は、前記クレーンの鉛直線上に旋回フックを直に旋回させる旋回モーターを備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の吊荷旋回装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンで吊り下げた吊荷を旋回させる吊荷旋回装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高所における吊荷の吊り下ろし作業は、吊荷に直接取り付けられた介錯ロープ又は棒によって周囲の作業者が人力で吊荷を旋回させて、下方の障害物と接触しないようにして行っていた。しかしこの作業は吊荷が重量物の場合、また高所作業である場合など作業者の安全を十分に確保できないという問題があった。そこで吊荷と共に吊荷旋回装置をクレーンで吊り下げて吊荷を旋回させていたが、吊荷の旋回時に装置自身が反力を受けてしまい、吊荷が揺動して吊り下ろし作業が遅延したり、安全性を確保できないという問題があった。このような吊荷の反力を解消するため、ジャイロ装置を旋回装置に組み込んだ特許文献1、2の吊荷旋回装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−86868号公報
【特許文献2】特開昭62−46894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2のような装置によれば、吊荷の旋回時に生じる反力をジャイロモーメントで受けて抑制することができる。しかしながら、いずれの装置もジャイロ効果を発生するためには、ジャイロ装置を構成するフライホイールが高速回転を維持しなければならないため、フライホイールを駆動させるモーターの消費電力が大きくなるという問題がある。
【0005】
また吊荷の旋回作業によっては、反力を抑制するためのジャイロモーメントを発生させなくても吊荷を揺動させることなく旋回させることができる場合があり、このような場合に消費電力の無駄が生じていた。
そこで本発明は消費電力を低減することができる吊荷旋回装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明の吊荷旋回装置は、クレーンで吊り下げた吊荷の鉛直線上に取り付け可能なジャイロアクチュエータと前記吊荷の旋回フックと、前記旋回フックを介して前記吊荷を水平方向に旋回する旋回手段を駆動させて生じた加速トルクが装置にかかる反力と想定して、反力抑制に必要なジャイロモーメント(M)、フライホイールの慣性モーメント(I)、フライホイール角速度(Ω)、ジンバル角速度
、任意調整係数(k)とし、次式に基づいて前記ジャイロモーメントを計算し、
前記ジャイロモーメントを発生させる前記ジャイロアクチュエータのフライホイールの速度に変更する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
本発明の吊荷旋回装置は、ケーシングと、前記ケーシング内に前記クレーンの鉛直線上に吊り下げた旋回フックで吊荷を旋回させる旋回手段と、前記鉛直線上であって、前記旋回フックの上方に前記吊荷の旋回によって生じるクレーンロープの捻れを抑制するジャイロアクチュエータと、前記旋回手段を駆動させて生じた加速トルクを検出するトルクセンサーと、前記加速トルクが装置にかかる反力と想定して、反力抑制に必要なジャイロモーメント(M)、フライホイールの慣性モーメント(I)、フライホイール角速度(Ω)、ジンバル角速度
、任意調整係数(k)とし、次式に基づいて前記ジャイロモーメントを計算し、
前記ジャイロモーメントを発生させる前記ジャイロアクチュエータのフライホイールの速度に変更する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
この場合において、前記ケーシングの旋回軸角度検出値を検出するジャイロセンサーを備え、前記旋回軸角度検出値が0であるとき、前記フライホイールを停止させるとよい。これにより装置全体の消費電力を低減することができる。
【0009】
また前記制御部と有線又は無線通信回線により接続して、旋回手段を駆動する任意の加速時間パターンを選択可能なコントローラを備えているとよい。
上記構成により装置全体の消費電力を低減することができる。
【0010】
また前記ケーシングと前記クレーンロープの間に止め具を設けているとよい。
上記構成により、クレーンロープから吊り下げられたケーシングの自由回転を拘束することができるため、より安定して装置に生じる反力を抑制することができる。
【0011】
また前記旋回手段は、前記クレーンの鉛直線上に旋回フックを直に旋回させる旋回モーターを備えているとよい。
上記構成により、装置構成の平面スペースを簡略化して、旋回フックを直接旋回させることができる。従って、吊荷の吊り下ろし場所が狭隘な場所であっても吊り下ろすことができる。
【発明の効果】
【0012】
上記構成による本発明の吊荷旋回装置によれば、吊荷の旋回時に発生するクレーンロープ、吊荷旋回装置の反力を抑制し、装置全体の消費電力を低減することができる。
【0013】
本発明はコントローラにより、任意の加速時間と旋回速度を選択することができ、吊荷の慣性モーメントに応じて選択できるようになっている。また、加速トルクが小さく装置自体が揺れない場合は地軸回り角度検出センサーにより、フライホイールは自動停止したままで旋回させることができる。これにより、吊荷の慣性モーメントに応じて装置の消費電力を低減することができると共に、吊荷旋回時の加速トルクによる装置自体の地軸回りの揺れを軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の吊荷旋回装置の構成概略を示す斜視図である。
図2】吊荷旋回装置の正面の断面図である。
図3】吊荷旋回装置の側面の断面図である。
図4】吊荷旋回装置の平面図である。
図5】コントローラの説明図である。
図6】吊荷旋回装置のフローチャートである。
図7】吊荷旋回装置の動作説明図である。
図8】本発明の吊荷旋回装置の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の吊荷旋回装置の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
図1は本発明の吊荷旋回装置の構成概略を示す斜視図である。図2は吊荷旋回装置の正面の断面図である。図3は吊荷旋回装置の側面の断面図である。図4は吊荷旋回装置の平面図である。図1に示すように本発明の吊荷旋回装置10は、ケーシング20と、ジャイロアクチュエータ30と、旋回手段40、制御部50を主な基本構成としている。
【0016】
まず始めにクレーンフック12の構成について説明する。クレーンフック12は、吊荷旋回装置10を吊り下げ可能なフックであり、フック端部をシーブブロック14と回転自在に接続させている。シーブブロック14はクレーンロープ16を複数回掛け渡した滑車である。シーブブロック14はクレーンロープ16を掛け渡す面を円盤状に形成し、側面を平面状に形成している。本実施形態のシーブブロック14は一例として2つの溝を形成してクレーンロープ16を2回掛け渡している。
【0017】
ケーシング20は、クレーンフック12に吊り下げることができるようにクレーンフック支持ピン22とサポート24を上面に形成している。サポート24は略U字型に形成し、一対の自由端(側辺)をケーシング20の上面から鉛直方向に突出形成している。サポート24はプレーンフック支持ピン22を水平方向に挿入可能な貫通孔26を備えている。このような構成によりサポート24の自由端からクレーンフック12を挿入し、貫通孔26にクレーンフック支持ピン22を挿入して着脱可能に締結することにより、ケーシング20上にクレーンフック12を固定することができる。またケーシング20は箱状に形成され、内部にジャイロアクチュエータ30と、旋回手段40と、制御部50を備えている。ケーシング20の上面であって、クレーンロープ16の鉛直軸上となる位置には、地軸回り角度検出センサー28を取り付けている。地軸回り角度検出センサー28は、クレーンロープ16の鉛直軸(Z軸方向)を中心として、ケーシング20が水平方向に旋回する角度を検出可能に構成している。またケーシング20の側面には、通信手段となる無線受信機29を取り付けている。無線受信機29は後述するコントローラ60からの操作信号を受信可能とし、電気的に接続させた制御部50に受信した操作信号を出力可能に構成している。
【0018】
ジャイロアクチュエータ30は、フライホイール32と、ジンバル34と、フライホイールモーター36と、カウンタウェイト37と、ストッパー38とを主な基本構成としている。
【0019】
フライホイール32は、Y軸方向の回転軸(不図示)を中心として高速回転可能に構成している。フライホイール32の回転軸(Y軸方向)の中心はクレーンロープ16の鉛直線上(Z軸方向)と一致するように取り付けている。フライホイール32のX軸方向の回転はジンバル34によって支持されている。ジンバル34の側面のプレート33であって、Y軸方向の回転軸の軸線上にはフライホイール32を高速回転させるフライホイールモーター36が接続している。またフライホイール32を中心としてフライホイールモーター36の反対側にはカウンタウェイト37を取り付けている。カウンタウェイト37は、フライホイール32の高速回転を妨げないようにフライホイール32のバランスを調整するものである。
【0020】
ジンバル34は、ケーシング20の上面から下方へ延出された一対の軸受け台35によって支持されている。
ストッパー38は、フライホイール32のジンバル34の回転軸を0座標とする鉛直面(図1のZX平面)に対して水平軸から±45°の範囲で回転するように制限する位置に取り付けられている。即ちストッパー38の先端とプレート33の側面が接触することにより、ジンバル34が±45°よりも大きく傾斜することがない。
【0021】
旋回手段40は、旋回フック42と、旋回モーター44と、旋回ギア46とを主な基本構成としている。旋回フック42はケーシング20の下面であって、水平方向(XY平面)に旋回する旋回中心軸がクレーンロープ16の鉛直軸上と一致するように取り付けている。旋回フック42の一端は吊荷の吊り下げロープを吊り下げ可能に形成し、他端は旋回ギア46の中心に取り付けている。旋回ギア46は側方に取り付けられた旋回モーター44のピニオンと噛み合わせている。このような構成による旋回手段40は、旋回フック42に吊り下げた吊荷をクレーンロープ16の鉛直軸上(図1のZ軸方向)を中心として平面方向(図1のXY平面)に旋回させることができる。
【0022】
また旋回モーター44は内部にトルクセンサー45を備えている。トルクセンサー45は、後述する制御部50と電気的に接続し、旋回モーター44の加速トルクを検出して、測定値を制御部50へ出力するように構成している。
【0023】
本発明の吊荷旋回装置10は、クレーンロープ16の鉛直軸上に地軸回り角度検出センサー28と、ジャイロアクチュエータ30と、旋回フック42を上から順に取り付けた構成となる。
【0024】
制御部50は、地軸回り角度検出センサー28と、旋回モーター44及びトルクセンサー45と、フライホイールモーター36と、無線受信機29と電気的に接続している。制御部50は、無線受信機29を介して後述するコントローラ60の操作信号に基づいて、旋回モーター44を任意の加速時間パターンで可動させることができる。またトルクセンサー45の加速トルクの測定値に基づいてフライホイールモーター36の回転数をフィードバック制御することができる。さらに地軸回り角度検出センサー28の旋回軸角度検出値が0のとき、フライホイールモーター36を回転停止させるようにフィードバック制御することができる。
【0025】
本発明の吊荷旋回装置10は、旋回時の旋回モーター44による反力を小さくするためにコントローラ60で任意に旋回における加速時間と旋回速度を調整できる構成としている。
【0026】
ここで吊荷旋回時における旋回モーター44から生じる装置への反力の関係を次式のように表すことができる。
【数1】
をそれぞれ示している。
【0027】
本発明では装置の消費電力の低減の観点から、反力を抑制するためのジャイロモーメントを発生させるフライホイール32の回転数をなるべく抑えることが望ましい。そこで、数式1の旋回速度Nを小さく設定し、加速時間Tを大きくすることで装置への反力Fを小さくする必要がある。
【0028】
具体的には、吊荷の慣性モーメントが大きい大型モジュールや長尺配管などの場合、旋回時における装置自体への反力が大きくなるため、吊荷の旋回時間が遅く、加速時間が長いパターンを選択することで、旋回時にかかる反力(加速トルク)を小さくすることができる。これにより、吊荷の旋回時の加速トルクによる装置自体の地軸回りの揺れを軽減させることができる。
【0029】
一方、吊荷の慣性モーメントが小さい小型モジュールや小径配管などの場合には、慣性モーメントが小さいので、吊荷の旋回速度は速く、加速時間が短いパターンを選択することができる。これにより、吊荷の旋回時の加速トルクによる装置自体の地軸回りの揺れを軽減させることができる。
【0030】
図5はコントローラの説明図である。コントローラ60は作業者が吊荷旋回装置10の周辺から無線受信機29を通じて操作可能に構成されている。なおコントローラ60は有線による電気通信回線を通じて制御部50に操作信号を出力する構成とすることもできる。コントローラ60の操作パネルには、フライホイール回転ボタン61、フライホイール停止ボタン62、吊荷正転時の加速時間パターン1〜3ボタン63,65,67、吊荷逆転時の加速時間パターン1〜3ボタン64,66,68が形成されている。フライホイール回転ボタン61はフライホイールモーター36を可動させてフライホイール32を所定の回転速度まで回転させる操作ボタンであり、フライホイール停止ボタン62はフライホイールモーター36及びフライホイール32を停止させる操作ボタンである。
【0031】
このような構成によりコントローラ60によって、予め設定された任意の加速時間の加速時間パターンを吊荷の慣性モーメントに応じて選択できるようになっている。このとき加速時間パターンを選択すると同時に旋回速度を連動させるように構成(前述のように、旋回時間を遅くかつ加速時間が長いパターンと、旋回時間を速くかつ加速時間が短いパターンの組み合わせなど)することができる。あるいはまた加速時間と旋回速度のパターンをそれぞれ独立の操作ボタンで制御するように構成することもできる。
【0032】
反力受け板70は、ケーシング20のサポート24を中心にして対称に形成された一対の部材である。反力受け板70は対向する一対の面の間でシーブブロック14の側面を挟持するように構成している。具体的に反力受け板70は、サポート24を中心にして同一直線上に形成されたレール(不図示)上を図4中の矢印Aに示すようにスライド可能に形成している。このような構成により、クレーンフック12をケーシングに取り付ける際には、予め反力受け板70の間を離間させた状態で、サポート24の貫通孔26にクレーンフック支持ピン22を挿入してケーシング20上にクレーンフック12を固定する。そして一対の反力受け板70をサポート24側(中心側)にスライド移動させて、シーブブロック14の側面を反力受け板70の対向する一対の面で挟持した状態で固定することができる。
【0033】
上記構成による本発明の吊荷旋回装置の作用について以下説明する。図6は吊荷旋回装置のフローチャートである。図7は吊荷旋回装置の動作説明図である。
クレーンフックに吊荷旋回装置及び吊荷を吊り下げた状態であって、吊荷を旋回する前にコントローラ60のフライホイール回転ボタンを操作して、フライホイールモーター36を駆動しフライホイール32を回転させる(ステップ1)。
【0034】
フライホイール32が最高回転速度に到達する(ステップ2)。
次に旋回モーターを駆動させる(ステップ3)。
吊荷正転時又は逆転時の加速時間パターン1〜3を選択する(ステップ4)。
旋回モーターを駆動させるとモーターの加速トルクによって装置自身に旋回軸周りの図7中の矢印Iに示すような反力が生じる。旋回モーター44の加速トルクをトルクセンサー45により検出する(ステップ5)。
吊荷旋回装置の旋回軸回りの旋回軸角度を検出する地軸回り角度検出センサー28により検出し、旋回軸角度が0°であるか否かを判定する(ステップ6)。
【0035】
旋回軸角度が0°でない場合、フライホイール32の最適速度を計算する(ステップ7)。
具体的には旋回モーターの負荷トルクがそのまま装置自身にかかる反力としてかかると想定して数式1に基づく計算を行うことで反力抑制に必要なジャイロモーメントを発生させるフライホイールの最適な回転数を決定する。
【数2】
【0036】
ステップ7による計算結果に基づいて、フライホイール32の回転速度を変更するフィードバック制御を行う(ステップ8)。これによりフライホイールの回転数を必要最小限に抑えることができる。
吊荷80が図7の矢印IIに示すようにクレーンロープの鉛直線上を回転中心として旋回する(ステップ9)。
【0037】
このときジャイロアクチュエータ30のフライホイール32は回転した状態を保っており、装置自身が地軸回りに揺れたときに、ベアリング構造となっているジンバル34によって、フライホイール32がジャイロ効果により図7の矢印IIIに示すように傾斜する(ステップ10)。
【0038】
フライホイール32がジャイロ効果により傾斜することで、反力(矢印I)を抑制するための図7の矢印IVに示すような地軸回りのジャイロモーメントが発生する(ステップ11)。
【0039】
これにより装置自身の地軸回りの揺動を抑制することができる(ステップ12)。
任意の位置に吊荷80を旋回させた後停止させる(ステップ13)。
フライホイール32の回転を停止させる(ステップ14)。
【0040】
一方、吊荷の慣性モーメントが小さく、吊荷旋回時に装置自身の揺れが小さい場合は、常時フライホイール32はフライホイールモーター36とそのカウンタウェイト37によって地軸に対して平行な状態で静止して旋回軸角度が0°となる。この場合にはフライホイール32の回転を停止させるため、フライホイールモーター36を停止させる信号を制御部50からフライホイールモーター36に出力するフィードバック制御を実行する(ステップ15)。
【0041】
吊荷80が図7の矢印IIに示すようにクレーンロープの鉛直線上を回転中心として旋回する(ステップ16)。
任意の位置に吊荷80を旋回させた後停止させる(ステップ17)。
このように本発明の吊荷旋回装置によれば、ジャイロ効果を発生するにフライホイールモーター36を常に高速回転させる必要がなくなり、装置全体の消費電力を低減することができる。
【0042】
図8は本発明の吊荷旋回装置の変形例の説明図である。
変形例の吊荷旋回装置100は、図1に示す旋回ギアの構成を省略して、図示のように旋回モーター440の回転軸がクレーンロープ16の鉛直線及び旋回フック42の旋回中心と一致するように取り付けている。このような構成の旋回モーター440によれば、装置構成の平面スペースを簡略化して、旋回フック42を直接旋回させることができる。従って、吊荷の吊り下ろし場所が狭隘な場所であっても吊り下ろすことができる。
【符号の説明】
【0043】
10、100………吊荷旋回装置、12………クレーンフック、14………シーブブロック、16………クレーンロープ、20………ケーシング、22………クレーンフック支持ピン、24………サポート、26………貫通孔、28………地軸回り角度検出センサー、29………無線受信機、30………ジャイロアクチュエータ、32………フライホイール、33………プレート、34………ジンバル、35………軸受け台、36………フライホイールモーター、37………カウンタウェイト、38………ストッパー、40………旋回手段、42………旋回フック、44,440………旋回モーター、45………トルクセンサー、46………旋回ギア、50………制御部、60………コントローラ、61………フライホイール回転ボタン、62………フライホイール停止ボタン、63………吊荷正転時の加速時間パターン1ボタン、64………吊荷逆転時の加速時間パターン1ボタン、65………吊荷正転時の加速時間パターン2ボタン、66………吊荷逆転時の加速時間パターン2ボタン、67………吊荷正転時の加速時間パターン3ボタン、68………吊荷逆転時の加速時間パターン3ボタン、70………反力受け板、80………吊荷。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8