特許第5824522号(P5824522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5824522燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824522
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月25日
(54)【発明の名称】燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/02 20060101AFI20151105BHJP
   H01M 8/10 20060101ALI20151105BHJP
【FI】
   H01M8/02 S
   H01M8/10
   H01M8/02 Z
   H01M8/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-534660(P2013-534660)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(86)【国際出願番号】JP2012072698
(87)【国際公開番号】WO2013042542
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2013年10月4日
(31)【優先権主張番号】特願2011-207134(P2011-207134)
(32)【優先日】2011年9月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】田中 之人
(72)【発明者】
【氏名】布川 和男
(72)【発明者】
【氏名】相馬 浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 健一
(72)【発明者】
【氏名】満田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】杉下 昌史
(72)【発明者】
【氏名】小此木 泰介
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−065847(JP,A)
【文献】 特表2009−514144(JP,A)
【文献】 特開2009−158391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ電極触媒層(22a、20a)とガス拡散層(22b、20b)とを有する第1電極(22)及び第2電極(20)が、固体高分子電解質膜(18)の両側に設けられるとともに、前記第1電極(22)は、前記第2電極(20)及び前記固体高分子電解質膜(18)よりも外形寸法が小さく設定される電解質膜・電極構造体(10a)と、
前記固体高分子電解質膜(18)の外周を周回して設けられる樹脂製枠部材(24、93)と、
を備える燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体であって、
前記第1電極(22)の外周端部(22be)と前記樹脂製枠部材(24、93)の内周端部(24a、93a)との間、前記第1電極(22)の前記外周端部(22be)から外部に露呈する前記固体高分子電解質膜(18)の外周縁部(18be)、及び前記第2電極(20)の外周端部(20be)と前記樹脂製枠部材(24、93)の内周端部(24b、93b)との間に連続して配置される中間層(26、94)を備え、
前記電解質膜・電極構造体(10a)は、該電解質膜・電極構造体(10a)に当接する当接面にガス流路(36、38)が設けられた第1セパレータ(14)及び第2セパレータ(16)により挟持され、
前記固体高分子電解質膜(18)の、前記第1電極(22)から露呈した外周縁部が、その裏面に設けられる前記第2電極(20)の前記電極触媒層(20a)を介して、該第2電極(20)の前記ガス拡散層(20b)に支持され、
前記中間層(94)の一方の端部と前記第1電極(22)の前記外周端部(22be)及び前記樹脂製枠部材(93)の前記内周端部(93a)との間には、第1隙間(96a)が形成されるとともに、
前記中間層(94)の他方の端部と前記第2電極(20)の前記外周端部(20be)及び前記樹脂製枠部材(93)の前記内周端部(93b)との間には、第2隙間(96b)が形成され、
前記第1隙間(96a)には、前記中間層(94)の一方の端部に一部が重なり且つ前記ガス拡散層(22b)の内部に樹脂含浸部を有する第1樹脂含浸部(100a)が形成され、及び/又は、
前記第2隙間(96b)には、前記中間層(94)の他方の端部に一部が重なり且つ前記ガス拡散層(20b)の内部に樹脂含浸部を有する第2樹脂含浸部(100b)が形成されることを特徴とする燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体において、前記中間層(26、94)は、前記樹脂製枠部材(24、93)とは異なる樹脂材料で構成されることを特徴とする燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体において、少なくとも一方の前記ガス拡散層(22b)の外周端縁部には、前記中間層(26)と同一の成分が含浸される含浸層(28a)が設けられることを特徴とする燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体。
【請求項4】
請求項3記載の燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体において、前記含浸層(28a)は、前記ガス拡散層(22b)に85%以上の空孔充填率で含浸されることを特徴とする燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ電極触媒層とガス拡散層とを有する第1電極及び第2電極が、固体高分子電解質膜の両側に設けられるとともに、前記第1電極は、前記第2電極よりも外形寸法が小さく設定される電解質膜・電極構造体と、前記固体高分子電解質膜の外周を周回して設けられる樹脂製枠部材とを備える燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ触媒層(電極触媒層)とガス拡散層(多孔質カーボン)とからなるアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持している。この燃料電池は、所定の数だけ積層することにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この種の電解質膜・電極構造体では、一方のガス拡散層が固体高分子電解質膜よりも小さな表面積に設定されるとともに、他方のガス拡散層が前記固体高分子電解質膜と同一の表面積に設定される、所謂、段差型MEAを構成する場合がある。
【0004】
通常、燃料電池スタックでは、多数の電解質膜・電極構造体が積層されており、コストを抑制するために、前記電解質膜・電極構造体を安価に構成することが要請されている。従って、特に高価な固体高分子電解質膜の使用量を削減するとともに、構成の簡素化を図るため、種々の提案がなされている。
【0005】
例えば、特開2007−66766号公報に開示されている電解質膜−電極接合体では、図18に示すように、電解質膜1と前記電解質膜1の一方の側に配置されたカソード触媒層2aと、前記電解質膜1の他方の側に配置されたアノード触媒層2bと、前記電解質膜1の両側に配置されるガス拡散層3a、3bとを備えている。
【0006】
アノード側のガス拡散層3bは、電解質膜1の面積と同等で、且つ、カソード側のガス拡散層3aの面積よりも大きく構成されている。この電解質膜・電極接合体(MEA)のエッジ領域には、ガスケット構造体4が配置されている。ガス拡散層3a側の電解質膜1の外周部とガスケット構造体4とは、接着層5を介して接合されている。
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、上記の特開2007−66766号公報では、MEAとガスケット構造体4とが、ガス拡散層3aから外部に露呈する電解質膜1の外周縁部に接着層5を介して固定されているだけである。このため、MEAとガスケット構造体4との接合強度が低く、所望の強度を得ることができないという問題がある。
【0008】
しかも、ガス拡散層3a、3bの外周端部とガスケット構造体4の内周端部とを、互いに気密に密着させることは、製造上、相当に困難である。従って、ガス拡散層3a、3bの外周端部とガスケット構造体4の内周端部との間には、隙間が発生し易く、ガスシール性が低下して燃料ガスと酸化剤ガスとが混合するという問題がある。
【0009】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、固体高分子電解質膜の外周を周回して樹脂製枠部材を強固且つ容易に接合するとともに、所望のガスシール性を確実に維持することが可能な燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、それぞれ電極触媒層とガス拡散層とを有する第1電極及び第2電極が、固体高分子電解質膜の両側に設けられるとともに、前記第1電極は、前記第2電極よりも外形寸法が小さく設定される電解質膜・電極構造体と、前記固体高分子電解質膜の外周を周回して設けられる樹脂製枠部材とを備える燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体に関するものである。
【0011】
この燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体では、第1電極の外周端部と樹脂製枠部材の内周端部との間、前記第1電極の前記外周端部から外部に露呈する固体高分子電解質膜の外周縁部、及び第2電極の外周端部と前記樹脂製枠部材の内周端部との間に連続して配置される中間層を備えている。
【0012】
また、この燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体では、中間層は、樹脂製枠部材とは異なる樹脂材料で構成されることが好ましい。
【0013】
さらに、この燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体では、少なくとも一方のガス拡散層の外周端縁部には、中間層と同一の成分が含浸される含浸層が設けられることが好ましい。
【0014】
さらにまた、この燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体では、含浸層は、ガス拡散層に85%以上の空孔充填率で含浸されることが好ましい。
【0015】
また、この燃料電池用樹脂枠付き電解質膜・電極構造体では、中間層の一方の端部と第1電極の外周端部及び樹脂製枠部材の内周端部との間には、第1隙間が形成されるとともに、前記中間層の他方の端部と第2電極の外周端部及び前記樹脂製枠部材の内周端部との間には、第2隙間が形成され、前記第1隙間には、前記樹脂製枠部材に一体又は別体に設けられた第1突起部が溶融されて第1樹脂含浸部が形成される一方、前記第2隙間には、前記樹脂製枠部材に一体又は別体に設けられた第2突起部が溶融されて第2樹脂含浸部が形成されることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、第1電極の外周端部から外部に露呈する固体高分子電解質膜の外周縁部の他、前記第1電極の外周端部及び第2電極の外周端部と樹脂製枠部材の内周端部との間に連続して、中間層が設けられている。
【0017】
このため、第1電極及び第2電極と樹脂製枠部材との接合強度は、接着による接合に比べて良好に向上し、剥がれ等の発生を可及的に抑制することができる。しかも、第1電極の外周端部と樹脂製枠部材の内周端部との間、及び第2電極の外周端部と前記樹脂製枠部材の内周端部との間には、隙間が形成されることがない。従って、所望のガスシール性を確実に維持することが可能になり、簡単且つ経済的な構成で、燃料ガスと酸化剤ガスとの混合を可及的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体が組み込まれる固体高分子型燃料電池の要部分解斜視説明図である。
図2】前記燃料電池の、図1中、II−II線断面説明図である。
図3】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体のカソード側電極側の正面説明図である。
図4】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体のアノード側電極側の正面説明図である。
図5】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体を製造する方法の説明図である。
図6】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体を製造する方法の説明図である。
図7】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体を製造する方法の説明図である。
図8】空孔充填率とガス流量との関係説明図である。
図9】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体を製造する別の方法の説明図である。
図10】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体を製造する別の方法の説明図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体が組み込まれる固体高分子型燃料電池の要部分解斜視説明図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体が組み込まれる固体高分子型燃料電池の断面説明図である。
図13】本発明の第4の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体が組み込まれる固体高分子型燃料電池の断面説明図である。
図14】本発明の第5の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体が組み込まれる固体高分子型燃料電池の断面説明図である。
図15】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体を製造する方法の説明図である。
図16】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体を製造する方法の説明図である。
図17】前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体を製造する方法の説明図である。
図18】特開2007−66766号公報に開示された電解質膜−電極接合体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10が組み込まれる固体高分子型燃料電池12は、前記樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10を第1セパレータ14及び第2セパレータ16で挟持する。第1セパレータ14及び第2セパレータ16は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板や、カーボン部材等で構成されている。
【0020】
図2に示すように、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10は、電解質膜・電極構造体10aを備えるとともに、前記電解質膜・電極構造体10aは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜18と、前記固体高分子電解質膜18を挟持するアノード側電極(第2電極)20及びカソード側電極(第1電極)22とを有する。固体高分子電解質膜18は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質が使用される。
【0021】
カソード側電極22は、固体高分子電解質膜18及びアノード側電極20よりも小さな表面積を有する。また、カソード側電極22は、アノード側電極20よりも大きな表面積を有していてもよい。固体高分子電解質膜18の外周縁部は、小さい方の電極、例えば、カソード側電極22の外周よりも突出していればよく、大きい方の電極、例えば、アノード側電極20の端部と同一位置に配置されていなくてもよい。
【0022】
アノード側電極20は、固体高分子電解質膜18の一方の面18aに配置される。カソード側電極22は、固体高分子電解質膜18の他方の面18bに配置されるとともに、前記固体高分子電解質膜18の外周端部18beを額縁状に露呈させる。
【0023】
アノード側電極20は、固体高分子電解質膜18の面18aに接合される電極触媒層20aと、前記電極触媒層20aに積層されるガス拡散層20bとを設ける。カソード側電極22は、固体高分子電解質膜18の面18bに接合される電極触媒層22aと、前記電極触媒層22aに積層されるガス拡散層22bとを設ける。
【0024】
電極触媒層20a、22aは、カーボンブラックに白金粒子を担持した触媒粒子を形成し、イオン導伝性バインダーとして高分子電解質を使用し、この高分子電解質の溶液中に前記触媒粒子を均一に混合して作製された触媒ペーストを、固体高分子電解質膜18の両面に印刷、塗布又は転写することによって構成される。ガス拡散層20b、22bは、カーボンペーパ等からなるとともに、前記ガス拡散層20bの平面寸法は、前記ガス拡散層22bの平面寸法よりも大きく設定される。
【0025】
図2図4に示すように、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10は、固体高分子電解質膜18の外周を周回するとともに、カソード側電極22及びアノード側電極20に接合される樹脂製枠部材24を備える。樹脂製枠部材24は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPPA(ポリフタルアミド)等で構成される他、弾性を有する高分子材料を用いてもよい。
【0026】
樹脂製枠部材24は、内部に段付き開口部を設けており、内方に配置される第1内周端部24aと、前記第1内周端部24aよりも外方に配置される第2内周端部24bとを有する。樹脂製枠部材24と電解質膜・電極構造体10aとの間には、中間層26が設けられる。
【0027】
中間層26は、カソード側電極22を構成するガス拡散層22bの外周端部22beと樹脂製枠部材24の第1内周端部24aとの間に配置される第1板状部26a、前記外周端部22beから外部に露呈する固体高分子電解質膜18の外周端部18beに配置される第2板状部26b、及びアノード側電極20を構成するガス拡散層20bの外周端部20beと前記樹脂製枠部材24の第2内周端部24bとの間に配置される第3板状部26cを、連続して一体に有する。
【0028】
中間層26は、断面略Z形状を有しており、樹脂製枠部材24とは異なる樹脂材料で構成される。具体的には、中間層26は、シリコン系ゴム(エラストマー)、フッ素ゴム(エラストマー)、エポキシ系樹脂(エラストマー)、ウレタン系樹脂(エラストマー)、変性PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂(エラストマー)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂(エラストマー)、又はオレフィン系樹脂(エラストマー)、あるいは、ホットメルト等が使用される。
【0029】
カソード側電極22を構成するガス拡散層22bの外周縁部には、外周端位置から内方に所定の範囲を有して中間層26と同一の成分が含浸される第1含浸層28aが設けられる。アノード側電極20を構成するガス拡散層20bの外周縁部には、外周端位置から内方に所定の範囲を有して中間層26と同一の成分が含浸される第2含浸層28bが設けられる。第1含浸層28a及び第2含浸層28bは、ガス拡散層22b及びガス拡散層20bに、それぞれ85%以上の空孔充填率で含浸される。
【0030】
図3に示すように、第1含浸層28aは、カソード側電極22を構成するガス拡散層22bの全周にわたって形成される。図4に示すように、第2含浸層28bは、アノード側電極20を構成するガス拡散層20bの全周にわたって形成される。
【0031】
図1に示すように、燃料電池12の矢印B方向(図1中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔30a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔32a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔34bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
【0032】
燃料電池12の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔34a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔32b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔30bが、矢印C方向に配列して設けられる。
【0033】
第2セパレータ16の樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10に向かう面16aには、酸化剤ガス入口連通孔30aと酸化剤ガス出口連通孔30bとに連通する酸化剤ガス流路36が設けられる。
【0034】
第1セパレータ14の樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10に向かう面14aには、燃料ガス入口連通孔34aと燃料ガス出口連通孔34bとに連通する燃料ガス流路38が形成される。第1セパレータ14の面14bと第2セパレータ16の面16bとの間には、冷却媒体入口連通孔32aと冷却媒体出口連通孔32bとに連通する冷却媒体流路40が形成される。
【0035】
図1及び図2に示すように、第1セパレータ14の面14a、14bには、この第1セパレータ14の外周端部を周回して、第1シール部材42が一体化されるとともに、第2セパレータ16の面16a、16bには、この第2セパレータ16の外周端部を周回して、第2シール部材44が一体化される。
【0036】
図2に示すように、第1シール部材42は、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10の樹脂製枠部材24に当接する第1凸状シール42aと、第2セパレータ16の第2シール部材44に当接する第2凸状シール42bとを有する。第2シール部材44は、平面シールを構成する。なお、第2凸状シール42bに代えて、第2シール部材44に凸状シール(図示せず)を設けてもよい。
【0037】
第1及び第2シール部材42、44には、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
【0038】
図1に示すように、第1セパレータ14には、燃料ガス入口連通孔34aを燃料ガス流路38に連通する供給孔部46と、前記燃料ガス流路38を燃料ガス出口連通孔34bに連通する排出孔部48とが形成される。
【0039】
次いで、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10を製造する方法について、以下に説明する。
【0040】
先ず、図5に示すように、段差MEAである電解質膜・電極構造体10aが作製される。具体的には、固体高分子電解質膜18の両方の面18a、18bには、電極触媒層20a、22aが塗布される。そして、固体高分子電解質膜18の面18a側に、すなわち、電極触媒層20aにガス拡散層20bが配置されるとともに、前記固体高分子電解質膜18の面18bに、すなわち、電極触媒層22aにガス拡散層22bが配置される。これらが一体に積層されてホットプレス処理されることにより、電解質膜・電極構造体10aが作製される。
【0041】
一方、樹脂製枠部材24は、射出成形機(図示せず)により予め成形され、前記樹脂製枠部材24と電解質膜・電極構造体10aとが位置合わせされる。樹脂製枠部材24は、第1内周端部24aと第2内周端部24bとを有している。電解質膜・電極構造体10aでは、固体高分子電解質膜18の外周端部18beが額縁状に露呈しており、前記外周端部18beに対応して中間層26を構成する第2板状部26bが配置される。
【0042】
そして、図6に示すように、樹脂製枠部材24と電解質膜・電極構造体10aとは、第1内周端部24aにカソード側電極22が配置される一方、第2内周端部24bに固体高分子電解質膜18及びアノード側電極20が配置され、第2板状部26bを介して一体化される。ここで、第1内周端部24aとカソード側電極22を構成するガス拡散層22bの外周端部22beとの間、及び第2内周端部24bとアノード側電極20を構成するガス拡散層20bの外周端部20beとの間には、それぞれ間隙S1及びS2が設けられる。
【0043】
次に、図7に示すように、各間隙S1、S2には、第2板状部26bと同じ中間層26の材料が射出される。このため、間隙S1、S2に充填された材料が硬化することにより、第1板状部26a及び第3板状部26cが形成され、これらが第2板状部26bと一体化されて中間層26が形成される。なお、第1板状部26a、第2板状部26b及び第3板状部26cは、密着性が良ければ、それぞれの材料組成が異なっていてもよい。
【0044】
さらに、射出された材料は、ガス拡散層22b、20bに含浸される。従って、ガス拡散層22bの外周縁部には、外周端位置から内方に所定の範囲を有して第1含浸層28aが設けられる。一方、ガス拡散層20bの外周縁部には、外周端位置から内方に所定の範囲を有して第2含浸層28bが設けられる。
【0045】
その際、第1含浸層28a及び第2含浸層28bは、ガス拡散層22b及びガス拡散層20bに、それぞれ85%以上の空孔充填率で含浸される。空孔充填率とガス拡散層流量とは、例えば、パームポロメータによる評価結果として図8に示す関係を有している。これにより、空孔充填率が85%以上であれば、ガスを確実に封止することができる。
【0046】
この場合、第1の実施形態では、樹脂製枠部材24と電解質膜・電極構造体10aとの間には、中間層26が設けられている。中間層26は、カソード側電極22を構成するガス拡散層22bの外周端部22beと樹脂製枠部材24の第1内周端部24aとの間に隙間なく配置される第1板状部26a、前記外周端部22beから外部に露呈する固体高分子電解質膜18の外周端部18beに配置される第2板状部26b、及びアノード側電極20を構成するガス拡散層20bの外周端部20beと前記樹脂製枠部材24の第2内周端部24bとの間に隙間なく配置される第3板状部26cを、連続して一体に有している。
【0047】
その上、ガス拡散層22b及びガス拡散層20bには、第1含浸層28a及び第2含浸層28bが設けられている。なお、第1含浸層28aのみ、又は、第2含浸層28bのみを設けてもよい。
【0048】
このため、カソード側電極22及びアノード側電極20と樹脂製枠部材24との接合強度は、接着による接合に比べて良好に向上し、剥がれ等の発生を可及的に抑制することができる。
【0049】
しかも、第1内周端部24aとカソード側電極22を構成するガス拡散層22bの外周端部22beとの間、及び第2内周端部24bとアノード側電極20を構成するガス拡散層20bの外周端部20beとの間には、隙間が形成されることがない。従って、所望のガスシール性を確実に維持することが可能になり、簡単且つ経済的な構成で、燃料ガスと酸化剤ガスとの混合を可及的に抑制することができるという効果が得られる。
【0050】
このように構成される燃料電池12の動作について、以下に説明する。
【0051】
先ず、図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔30aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔34aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔32aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
【0052】
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔30aから第2セパレータ16の酸化剤ガス流路36に導入され、矢印B方向に移動して電解質膜・電極構造体10aのカソード側電極22に供給される。一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔34aから供給孔部46を通って第1セパレータ14の燃料ガス流路38に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路38に沿って矢印B方向に移動し、電解質膜・電極構造体10aのアノード側電極20に供給される。
【0053】
従って、各電解質膜・電極構造体10aでは、カソード側電極22に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極20に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
【0054】
次いで、カソード側電極22に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔30bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード側電極20に供給されて消費された燃料ガスは、排出孔部48を通り燃料ガス出口連通孔34bに沿って矢印A方向に排出される。
【0055】
また、冷却媒体入口連通孔32aに供給された冷却媒体は、第1セパレータ14と第2セパレータ16との間の冷却媒体流路40に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体10aを冷却した後、冷却媒体出口連通孔32bから排出される。
【0056】
次いで、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10を製造する別の方法について、以下に説明する。
【0057】
先ず、図9に示すように、上記と同様に電解質膜・電極構造体10aが作成された後、前記電解質膜・電極構造体10aの外周に、中間層26と同一の材料の液状シールLSが一体化される。液状シールLSは、カソード側電極22を構成するガス拡散層22bの外周端部22be、固体高分子電解質膜18の外周端部18be及びアノード側電極20を構成するガス拡散層20bの外周端部20beを覆って設けられるとともに、第1含浸層28a及び第2含浸層28bを一体に形成している。
【0058】
そこで、液状シールLSが半硬化した後、図10に示すように、電解質膜・電極構造体10aに樹脂製枠部材24が一体化される。このため、電解質膜・電極構造体10aと樹脂製枠部材24との間に形成される間隙S1、S2には、半硬化した液状シールLSが流動して硬化する。従って、樹脂製枠部材24の外方に延在するばり(図示せず)が除去されることにより、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10が得られる。
【0059】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体60が組み込まれる固体高分子型燃料電池62の要部分解斜視説明図である。
【0060】
なお、第1の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体10が組み込まれる燃料電池12と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3以降の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0061】
樹脂枠付き電解質膜・電極構造体60は、電解質膜・電極構造体10aを備えるとともに、固体高分子電解質膜18の外周を周回し、カソード側電極22及びアノード側電極20に接合される樹脂製枠部材64を設ける。樹脂製枠部材64は、第1セパレータ14及び第2セパレータ16と同一の外形寸法に設定されており、外周縁部には、酸化剤ガス入口連通孔30a、冷却媒体入口連通孔32a、燃料ガス出口連通孔34b、燃料ガス入口連通孔34a、冷却媒体出口連通孔32b及び酸化剤ガス出口連通孔30bが形成される。
【0062】
このように構成される第2の実施形態では、樹脂製枠部材64と電解質膜・電極構造体10aとの間には、中間層26が設けられるとともに、ガス拡散層22b及びガス拡散層20bには、第1含浸層28a及び第2含浸層28bが設けられている。
【0063】
このため、カソード側電極22及びアノード側電極20と樹脂製枠部材64との接合強度は、接着による接合に比べて良好に向上し、剥がれ等の発生を可及的に抑制することができる。しかも、簡単且つ経済的な構成で、燃料ガスと酸化剤ガスとの混合を可及的に抑制することが可能になる等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
図12は、本発明の第3の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体70が組み込まれる固体高分子型燃料電池72の断面説明図である。
【0065】
樹脂枠付き電解質膜・電極構造体70は、電解質膜・電極構造体10aを備えるとともに、固体高分子電解質膜18の外周を周回し、カソード側電極22及びアノード側電極20に接合される樹脂製枠部材74を設ける。樹脂製枠部材74は、第1セパレータ14及び第2セパレータ16と同一の外形寸法に設定される。樹脂製枠部材74と第1セパレータ14及び第2セパレータ16との間には、それぞれシール部材76a、76bが介装される。
【0066】
図13は、本発明の第4の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体80が組み込まれる固体高分子型燃料電池82の断面説明図である。
【0067】
樹脂枠付き電解質膜・電極構造体80は、電解質膜・電極構造体10aを備えるとともに、固体高分子電解質膜18の外周を周回し、カソード側電極22及びアノード側電極20に接合される樹脂製枠部材84を設ける。樹脂製枠部材84は、第1セパレータ14及び第2セパレータ16よりも大きな外形寸法に設定される。樹脂製枠部材84と第1セパレータ14との間には、シール部材86aが介装されるとともに、前記樹脂製枠部材84間には、前記第1セパレータ14及び第2セパレータ16の外方に位置してシール部材86bが介装される。
【0068】
このように構成される第3及び第4の実施形態では、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
図14は、本発明の第5の実施形態に係る樹脂枠付き電解質膜・電極構造体90が組み込まれる固体高分子型燃料電池92の断面説明図である。
【0070】
樹脂枠付き電解質膜・電極構造体90を構成する樹脂製枠部材93と電解質膜・電極構造体10aとの間には、中間層94が設けられる。中間層94は、中間層26と同様の材料で構成されるとともに、断面略Z形状を有している。中間層94の一方の端部と、カソード側電極22を構成するガス拡散層22bの外周端部22be及び樹脂製枠部材93の第1内周端部93aとの間には、第1隙間96aが形成される。中間層94の他方の端部と、アノード側電極20を構成するガス拡散層20bの外周端部20be及び樹脂製枠部材93の第2内周端部93bとの間には、第2隙間96bが形成される。
【0071】
第1隙間96aには、後述するように、樹脂製枠部材93に一体又は別体に設けられた第1突起部98aが溶融されて第1樹脂含浸部100aが形成される。第2隙間96bには、後述するように、樹脂製枠部材93に一体又は別体に設けられた第2突起部98bが溶融されて第2樹脂含浸部100bが形成される。
【0072】
第1樹脂含浸部100aは、中間層94の一方の端部に一部が重なり且つガス拡散層22bの内部に含浸されて設けられるとともに、第2樹脂含浸部100bは、前記中間層94の他方の端部に一部が重なり且つガス拡散層20bの内部に含浸されて設けられる。ガス拡散層22b、20bには、それぞれ中間層94の一部が含浸された接着層102a、102bが設けられる。
【0073】
次いで、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体90を製造する方法について、以下に説明する。
【0074】
先ず、図15に示すように、樹脂製枠部材93は、射出成形機(図示せず)により成形されており、前記樹脂製枠部材93の一方の外表面(第1内周端部93a側の外表面)には、第1内周端部93aを周回する枠形状の第1突起部98aが一体成形される。樹脂製枠部材93の他方の外表面(第2内周端部93b側の外表面)には、第2内周端部93bを周回する枠形状の第2突起部98bが一体成形される。なお、第1突起部98a及び第2突起部98bは、樹脂製枠部材93とは別体の枠部材で形成しておき、前記樹脂製枠部材93に重ねて配置してもよい。
【0075】
樹脂製枠部材93と電解質膜・電極構造体10aとが位置合わせされるとともに、固体高分子電解質膜18の外周端部18beに対応して中間層94を構成する板状部材94aが配置される。
【0076】
そして、図16に示すように、樹脂製枠部材93と電解質膜・電極構造体10aとは、第1内周端部93aにカソード側電極22が配置される一方、第2内周端部93bに固体高分子電解質膜18及びアノード側電極20が配置され、板状部材94aを介して一体化される。
【0077】
ここで、板状部材94aは、樹脂製枠部材93と電解質膜・電極構造体10aとに挟持される。このため、板状部材94aは、第1内周端部93aとカソード側電極22を構成するガス拡散層22bの外周端部22beとの間、及び第2内周端部93bとアノード側電極20を構成するガス拡散層20bの外周端部20beとの間に進入し、断面略Z形状に成形された中間層94が得られる。
【0078】
その際、中間層94の一方の端部と、カソード側電極22を構成するガス拡散層22bの外周端部22be及び樹脂製枠部材93の第1内周端部93aとの間には、第1隙間96aが形成される。また、中間層94の他方の端部と、アノード側電極20を構成するガス拡散層20bの外周端部20be及び樹脂製枠部材93の第2内周端部93bとの間には、第2隙間96bが形成される。
【0079】
次に、図17に示すように、樹脂製枠部材93の第1突起部98a及び第2突起部98bが加熱される。加熱方式としては、レーザ溶着、赤外線溶着やインパルス溶着等が採用される。
【0080】
従って、第1突起部98aは、加熱溶融され、第1隙間96aを覆ってカソード側電極22を構成するガス拡散層22bに含浸される。一方、第2突起部98bは、加熱溶融され、第2隙間96bを覆ってアノード側電極20を構成するガス拡散層20bに含浸する。これにより、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体90が製造される。
【0081】
このように製造される第5の実施形態では、上記の第1〜第4の実施形態と同様の効果が得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18