【実施例】
【0151】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」、「%」とは「重量部」、「重量%」を意味する。
【0152】
また、顔料の平均一次粒子径、および樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定方法は以下の通りである。
【0153】
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0154】
(樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
ここで重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、装置としてHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとしてTSK−GEL SUPER HZM−Nを2連でつなげて使用し、溶媒としてTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0155】
<バインダー樹脂の製造方法>
(バインダー樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバインダー樹脂溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0156】
(バインダー樹脂溶液2の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体溶液を得た。
次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液2を調製した。重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0157】
(バインダー樹脂溶液3の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、グリセロールモノメタクリレート8.5部及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体溶液を得た。
次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイオキシルエチルイソシアネート6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液3を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0158】
(バインダー樹脂溶液4の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100モル%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、共重合体溶液を得た。
更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100モル%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させカルボキシル基と、共重合体溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液4を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0159】
<微細化顔料の製造方法>
(青色微細化顔料(P−1):PB15:6)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー 15:6(トーヨーカラー株式会社「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の青色微細化顔料(P−1)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は28.3nmであった。
【0160】
(紫色微細化顔料(P−2):PV23)
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット 23(Clariant社製「Fast Violet RL」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、118部の紫色微細化顔料(P−2)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は26.4nmであった。
【0161】
(赤色微細化顔料(P−3):PR254)
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 254(BASF社製「IRGAZIN RED 2030」)120部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部の赤色微細化顔料(P−3)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は24.8nmであった。
【0162】
(黄色微細化顔料(P−4):PY150)
ニッケル錯体系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 150(ランクセス社製「E−4GN」)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、95部の黄色微細化顔料(P−4)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は39.2nmであった。
【0163】
(緑色微細化顔料(P−5):PG36)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36(トーヨーカラー株式会社製「リオノールグリーン 6YK」)120部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部の緑色微細化顔料(P−5)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は32.6nmであった。
【0164】
(赤色微細化顔料(P−6):PR177)
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 177(BASF社製「クロモフタルレッド A2B」)120部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部の赤色微細化顔料(P−6)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は38.9nmであった。
【0165】
<顔料ペーストの製造方法>
(顔料ペーストPP−1の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し着色組成物(PP−1)を作製した。
微細化顔料(P−1) :10.0部
バインダー樹脂溶液1 :35.0部
シクロヘキサノン :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :20.0部
樹脂型分散剤 :15.0部
(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」の20%PGMAc溶液)
【0166】
(顔料ペーストPP−2〜6の作製)
表1に記載した微細化顔料の種類に変更した以外は、顔料ペースト(PP−1)と同様に顔料ペースト(PP−2〜6)を得た。
【0167】
【表1】
【0168】
<カチオン性シアニン系染料の合成方法>
以下カチオン性シアニン系染料はJ. Org. Chem.,1995,60(8), pp 2411?2422、J. Am. Chem. Soc.,2011,133(40), pp 15870?15873を参考にした。
下記反応スキーム1〜3に従って、本発明におけるカチオン性シアニン系染料A−1〜7、B−1〜4、C−1〜5、D−1〜5、E−1〜5及びF−1〜5をそれぞれ合成した。
【0169】
(カチオン性シアニン系染料A−1の合成)
カチオン性シアニン系染料A−1は、まず中間体A−1を合成した後に、次のステップで目的物であるカチオン性シアニン系染料A−1を合成した。(反応スキーム1)
【0170】
反応スキーム1
【化20】
【0171】
(中間体A−1の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに2,3,3−トリメチルインドレニン 5 g、ヨードエタン 7.35 g、アセトニトリル 10 mLを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析出させた。そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ過した。8.61 gの生成物を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=188.25(分子量188.14)で目的物であることを確認した。
【0172】
(A−1の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに中間体A−1 8.61 g、無水酢酸15 mL加え、そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 4.05 g滴下し、加熱還流させた。1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、6.16 gの生成物を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=385.33(分子量385.26)で目的物であることを確認した。
【0173】
(カチオン性シアニン系染料A−2の合成)
【化21】
中間体A−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、9.49 gの生成物(中間体A−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=216.29(分子量216.17)で目的物であることを確認した。中間体A−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.68 gの生成物(A−2)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=441.45(分子量441.33)で目的物であることを確認した。
【0174】
(カチオン性シアニン系染料A−3の合成)
【化22】
中間体A−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、9.79 gの生成物(中間体A−3)を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=244.35(分子量244.21)で目的物であることを確認した。中間体A−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.92 gの生成物(A−3)を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=497.51(分子量497.39)で目的物であることを確認した。
【0175】
(カチオン性シアニン系染料A−4の合成)
【化23】
中間体A−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、9.04 gの生成物(中間体A−4)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=200.28(分子量200.14)で目的物であることを確認した。中間体A−4 を用い、反応温度を80 ℃に変更した以外は、A−1と同様に合成した。4.60 gの生成物(A−4)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=409.36(分子量409.26)で目的物であることを確認した。
【0176】
(カチオン性シアニン系染料A−5の合成)
カチオン性シアニン系染料A−5は、まず中間体A−5を合成した後に、次のステップで目的物であるカチオン性シアニン系染料A−5を合成した。(反応スキーム2)
【0177】
反応スキーム2
【化24】
【0178】
(中間体A−5の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに2,3,3-トリメチルインドレニン 5 g、2−(4−ブロモ−ブトキシメチル)−オキシラン 9.85 g、ヨウ化カリウム 5.21 g、アセトニトリル 10 mLを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析出させた。そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ過した。5.87 gの生成物(中間体A−5)を得た。収率は52%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=288.31(分子量288.20)で目的物であることを確認した。
【0179】
(A−5の合成)
中間体A−5を用いた以外は、A−4と同様に合成した。5.54 gの生成物(A−5)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=585.49(分子量585.37)で目的物であることを確認した。
【0180】
(カチオン性シアニン系染料A−6の合成)
【化25】
中間体A−5の2−(4−ブロモ−ブトキシメチル)−オキシランを(4−ブロモ−ブチル)−カルバミック酸ビニルエステルに変更した以外は、中間体A−5と同様に合成し、7.93 gの生成物(中間体A−6)を得た。収率は59%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=301.31(分子量301.19)で目的物であることを確認した。中間体A−6を用いた以外はA−4と同様に合成し、3.76 gの生成物(A−6)を得た。収率は55%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=611.48(分子量611.36)で目的物であることを確認した。
【0181】
(カチオン性シアニン系染料A−7の合成)
カチオン性シアニン系染料A−7は、まず中間体A−7aを合成した後に、次のステップで中間体A−7bを合成し、さらに次のステップで目的物であるカチオン性シアニン系染料A−7を合成した。(反応スキーム3)
【0182】
反応スキーム3
【化26】
【0183】
(中間体A−7aの合成)
中間体A−5の2−(4−ブロモ−ブトキシメチル)−オキシランを3−ブロモプロピオン酸に変更した以外は、中間体A−5と同様に合成し、5.87 gの生成物(中間体A−7a)を得た。収率は52%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=232.25(分子量232.13)で目的物であることを確認した。
【0184】
(中間体A−7bの合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL3口フラスコに中間体A−7a 9.81g、ジクロロメタン15 mL、4−(N, Nジメチル)アミノピリジン 0.40 g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 2.55 g、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩3.44 gを加え、室温にて24時間撹拌させた。イオン交換水 30mLにて分液操作を2回行った後、飽和食塩水50 mLで2回有機層を洗浄した。硫酸マグネシウムを5 g加え、30分撹拌後、硫酸マグネシウムをろ過し、溶媒を留去した。真空燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、5.46 gの生成物(中間体A−7b)を得た。収率は71%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=344.31(分子量344.19)で目的物であることを確認した。
【0185】
(A−7の合成)
中間体A−7bを用いた以外は、A−4と同様に合成した。5.54 gの生成物(A−7)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=824.38(分子量824.25)で目的物であることを確認した。
【0186】
(カチオン性シアニン系染料B−1の合成)
【化27】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを2,3,3−トリメチル−4,5−ベンゾ−3H−インドールに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、7.59 gの生成物(中間体B−1)を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=238.28(分子量238.16)で目的物であることを確認した。中間体B−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、5.79 gの生成物(B−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=485.42(分子量485.30)で目的物であることを確認した。
【0187】
(カチオン性シアニン系染料B−2の合成)
【化28】
中間体B−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体B−1と同様に合成し、8.27 gの生成物(中間体B−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=266.30(分子量266.19)で目的物であることを確認した。中間体B−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.33 gの生成物(B−2)を得た。収率は90%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=541.48(分子量541.36)で目的物であることを確認した。
【0188】
(カチオン性シアニン系染料B−3の合成)
【化29】
中間体B−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体B−1と同様に合成し、8.56 gの生成物(中間体B−3)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=294.32(分子量294.22)で目的物であることを確認した。中間体B−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.48 gの生成物(B−3)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=597.55(分子量597.42)で目的物であることを確認した。
【0189】
(カチオン性シアニン系染料B−4の合成)
【化30】
中間体B−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体B−1と同様に合成し、4.96 gの生成物(中間体B−4)を得た。収率は55%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=250.35(分子量250.16)で目的物であることを確認した。中間体B−4を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.68 gの生成物(B−4)を得た。収率は64%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=569.41(分子量569.30)で目的物であることを確認した。
【0190】
(カチオン性シアニン系染料C−1の合成)
【化31】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−ブロモ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、7.53 gの生成物(中間体C−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=266.18(分子量266.05)で目的物であることを確認した。中間体C−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、5.89 gの生成物(C−1)を得た。収率は92%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=541.20(分子量541.08)で目的物であることを確認した。
【0191】
(カチオン性シアニン系染料C−2の合成)
【化32】
中間体C−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体C−1と同様に合成し、7.80 gの生成物(中間体C−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=294.20(分子量294.09)で目的物であることを確認した。中間体C−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.04 gの生成物(C−2)を得た。収率は90%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=599.59(分子量599.46)で目的物であることを確認した。
【0192】
(カチオン性シアニン系染料C−3の合成)
【化33】
中間体C−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体C−1と同様に合成し、8.04 gの生成物(中間体C−3)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=322.24(分子量322.12)で目的物であることを確認した。中間体C−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.14 gの生成物(C−3)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=653.33(分子量653.21)で目的物であることを確認した。
【0193】
(カチオン性シアニン系染料C−4の合成)
【化34】
中間体C−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体C−1と同様に合成し、4.43 gの生成物(中間体C−4)を得た。収率は52%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=278.16(分子量278.05)で目的物であることを確認した。中間体C−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.50 gの生成物(C−4)を得た。収率は66%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=565.21(分子量565.08)で目的物であることを確認した。
【0194】
(カチオン性シアニン系染料C−5の合成)
【化35】
中間体A−7aの2,3,3-トリメチルインドレニンを5−ブロモ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−7aと同様に合成し5.06 gの生成物(中間体C−5a)を得た。収率は55%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=310.16(分子量310.04)で目的物であることを確認した。
中間体C−5a を用いた以外は中間体A−7bと同様に合成し、4.57 gの生成物(中間体C−5b)を得た。収率は72%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=422.22(分子量422.10)で目的物であることを確認した。中間体C−5bを用いた以外は、A−7と同様に合成し4.74 gの生成物(C−5)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=853.28(分子量853.17)で目的物であることを確認した。
【0195】
(カチオン性シアニン系染料D−1の合成)
【化36】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−クロロ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、8.12 gの生成物(中間体D−1)を得た。収率は90%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=222.23(分子量222.10)で目的物であることを確認した。
中間体D−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.15 gの生成物(D−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=453.30(分子量453.19)で目的物であることを確認した。
【0196】
(カチオン性シアニン系染料D−2の合成)
【化37】
中間体D−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体D−1と同様に合成し、8.58 gの生成物(中間体D−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=250.28(分子量250.14)で目的物であることを確認した。中間体D−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.44 gの生成物(D−2)を得た。収率は89%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=509.38(分子量509.25)で目的物であることを確認した。
【0197】
(カチオン性シアニン系染料D−3の合成方法)
【化38】
中間体D−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体D−1と同様に合成し、9.11 gの生成物(中間体D−3)を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=278.27(分子量278.17)で目的物であることを確認した。中間体D−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.85 gの生成物(D−3)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=565.44(分子量565.31)で目的物であることを確認した。
【0198】
(カチオン性シアニン系染料D−4の合成方法)
【化39】
中間体D−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体D−1と同様に合成し、5.60 gの生成物(中間体D−4)を得た。収率は60%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=234.21(分子量234.10)で目的物であることを確認した。中間体D−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.91 gの生成物(D−4)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=477.30(分子量477.19)で目的物であることを確認した。
【0199】
(カチオン性シアニン系染料D−5の合成方法)
【化40】
中間体A−5の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−クロロ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−5と同様に合成し、4.57 gの生成物(中間体D−5)を得た。収率は57%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=322.28(分子量322.16)で目的物であることを確認した。中間体D−5 を用いた以外は、A−5と同様に合成し、3.74 gの生成物(D−5)を得た。収率は65%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=653.41(分子量653.29)で目的物であることを確認した。
【0200】
(カチオン性シアニン系染料E−1の合成方法)
【化41】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを2,3,3,5−テトラメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、8.46 gの生成物(中間体E−1)を得た。収率は89%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=202.35(分子量202.16)で目的物であることを確認した。中間体E−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.32 gの生成物(E−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=413.48(分子量413.36)で目的物であることを確認した。
【0201】
(カチオン性シアニン系染料E−2の合成方法)
【化42】
中間体E−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体E−1と同様に合成し、9.07 gの生成物(中間体E−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=230.31(分子量230.19)で目的物であることを確認した。中間体E−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.44 gの生成物(E−2)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=469.46(分子量469.36)で目的物であることを確認した。
【0202】
(カチオン性シアニン系染料E−3の合成方法)
【化43】
中間体E−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体E−1と同様に合成し、9.34 gの生成物(中間体E−3)を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=258.35(分子量258.22)で目的物であることを確認した。中間体E−3を用いた以外は、A−1と同様に合成した。6.25 gの生成物(E−3)を得た。収率は79%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=525.53(分子量525.42)で目的物であることを確認した。
【0203】
(カチオン性シアニン系染料E−4の合成方法)
【化44】
中間体E−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体E−1と同様に合成し、6.11 gの生成物(中間体E−4)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=214.28(分子量214.16)で目的物であることを確認した。中間体E−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.93 gの生成物(E−4)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=437.41(分子量437.30)で目的物であることを確認した。
【0204】
(カチオン性シアニン系染料E−5の合成方法)
【化45】
中間体A−6の2,3,3−トリメチルインドレニンを2,3,3,5−テトラメチルインドレニンにに変更した以外は、中間体A−6と同様に合成し、7.40 gの生成物(中間体E−5)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=315.33(分子量315.21)で目的物であることを確認した。中間体E−5 を用いた以外は、A−6と同様に合成し、3.98 gの生成物(E−5)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=639.51(分子量639.39)で目的物であることを確認した。
【0205】
(カチオン性シアニン系染料F−1の合成方法)
【化46】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−メトキシ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、8.03 gの生成物(中間体F−1)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=218.26(分子量218.15)で目的物であることを確認した。中間体F−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.06 gの生成物(F−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=445.41(分子量445.29)で目的物であることを確認した。
【0206】
(カチオン性シアニン系染料F−2の合成方法)
【化47】
中間体F−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体F−1と同様に合成し、8.58 gの生成物(中間体F−2)を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=246.32(分子量246.19)で目的物であることを確認した。中間体F−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.36 gの生成物(F−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=501.46(分子量501.35)で目的物であることを確認した。
【0207】
(カチオン性シアニン系染料F−3の合成方法)
【化48】
中間体F−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体F−1と同様に合成し、9.01 gの生成物(中間体F−3)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=274.33(分子量274.22)で目的物であることを確認した。中間体F−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.61 gの生成物(F−3)を得た。収率は86%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=557.51(分子量557.41)で目的物であることを確認した。
【0208】
(カチオン性シアニン系染料F−4の合成方法)
【化49】
中間体F−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体F−1と同様に合成し、6.23 gの生成物(中間体F−4)を得た。収率は66%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=230.26(分子量230.15)で目的物であることを確認した。中間体F−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、3.17 gの生成物(F−4)を得た。収率は61%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=469.40(分子量469.28)で目的物であることを確認した。
【0209】
(カチオン性シアニン系染料F−5の合成方法)
【化50】
中間体A−7aの2,3,3-トリメチルインドレニンを5−メトキシ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−7bと同様に合成し、5.55 gの生成物(中間体F−5a)を得た。収率は54%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=262.28(分子量262.14)で目的物であることを確認した。中間体F−5a を用いた以外は、A−7bと同様に合成し、5.29 gの生成物(中間体F−5b)を得た。収率は74%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=374.39(分子量374.26)で目的物であることを確認した。中間体F−5bを用いた以外は、A−7と同様に合成し、5.42 gの生成物(F−5)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z= 757.49(分子量757.37)で目的物であることを確認した。
【0210】
<一般式(1−1)で示されるイミド酸アニオンの製造方法>
(イミド酸アニオンG−1の合成)
【化51】
温度計、撹拌機、冷却管を具備した4つ口セパラブルフラスコに、トリフルオロメタンスルホンアミド 3.58 g(1.1当量)と炭酸カリウム 5.53 g(2当量)、アセトニトリル 60 mlを加えた後、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリド 3.53 gを分割添加し、5時間加熱還流した。室温まで冷却後、アセトニトリル 400 mlを加えてよく撹拌した後、吸引ろ過により得られたろ液を濃縮して、7.30 gの生成物を得た。
1 H、
13 C − N M R スペクトル( 溶剤: 重水素化クロロホルム) 測定により、得られた化合物が目的化合物( G−1 ) で表される化合物であることを確認した。
【0211】
(イミド酸アニオンG−2の合成)
【化52】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えて3,4−ジフルオロベンゼンスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−2を得た。
【0212】
(イミド酸アニオンG−3の合成)
【化53】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えてp−フルオロベンゼンスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−3を得た。
【0213】
(イミド酸アニオンG−4の合成)
【化54】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えて3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−4を得た。
【0214】
(イミド酸アニオンG−5の合成)
【化55】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えてp−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−5を得た。
【0215】
(イミド酸アニオンG−6の合成)
【化56】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えてp−トリフルオロメトキシベンゼンスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−6を得た。
【0216】
(イミド酸アニオンG−7の合成)
【化57】
G−1の合成において、トリフルオロメタンスルホンアミドに代えてp−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−7を得た。
【0217】
(イミド酸アニオンG−8の合成)
【化58】
G−1の合成において、トリフルオロメタンスルホンアミドに代えて2,5−ジフルオロベンゼンスルホンアミドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−8を得た。
【0218】
(イミド酸アニオンG−9の合成)
【化59】
G−1の合成において、トリフルオロメタンスルホンアミドに代えてp−トリフルオロメトキシベンゼンスルホンアミドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−9を得た。
【0219】
【化60】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えて2−ナフタレンスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−10を得た。
【0220】
(イミド酸アニオンG−11の合成)
【化61】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えてp−トルエンスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−11を得た。
【0221】
(イミド酸アニオンG−12の合成)
【化62】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えてp−ニトロベンゼンスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−11を得た。
【0222】
(イミド酸アニオンG−13の合成)
【化63】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えて4−ビフェニルスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−13を得た。
【0223】
(イミド酸アニオンG−14の合成)
【化64】
G−1の合成において、トリフルオロメタンスルホンアミドに代えてメタンスルホンアミドを、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えて2-チオフェンスルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−14を得た。
【0224】
(イミド酸アニオンG−15の合成)
【化65】
G−1の合成において、トリフルオロメタンスルホンアミドに代えてメタンスルホンアミドを、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えてベンゼンスルホニルクロリド使用した以外は同様にして、上記化合物G−15を得た。
【0225】
(イミド酸アニオンG−16の合成)
【化66】
G−1の合成において、トリフルオロメタンスルホンアミドに代えてベンゼンスルホンアミドを、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えてベンゼンスルホニルクロリド使用した以外は同様にして、上記化合物G−16を得た。
【0226】
(イミド酸アニオンG−17の合成)
【化67】
G−1の合成において、トリフルオロメタンスルホンアミドに代えてベンゼンスルホンアミドを、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えて1−オクタンスルホニルクロリド使用した以外は同様にして、上記化合物G−17を得た。
【0227】
(イミド酸アニオンG−18の合成)
【化68】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えてp−アセトアミドベンゼンスルホニルクロリド使用した以外は同様にして、上記中間体G−18aを得た。
【0228】
【化69】
温度計、撹拌機、冷却管を具備した4つ口セパラブルフラスコに、化合物G−18a 3.86 gと5%塩酸 15 mlを加えた後、90℃で2時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で中和し、エバポレーターにて濃縮し、白色固体を得た。これを吸引ろ過中、テトラヒドロフランで洗浄し、得られたろ液を濃縮して、3.03 gの生成物を得た。
1 H、
13 C − N M R スペクトル( 溶剤: 重水素化クロロホルム) 測定により、得られた化合物が目的化合物( G−18 ) で表される化合物であることを確認した。
【0229】
(イミド酸アニオンG−19の合成)
【化70】
温度計、撹拌機、冷却管を具備した4つ口セパラブルフラスコに、化合物G−18a 3.03 gと塩化シアヌル 18.4 g、水 40 mlを加えた後、室温で1時間撹拌した。次いで、アニリン塩酸塩 0.93 gを添加し、2時間撹拌した。また、ブチルアミン塩酸塩 0.73 gを加え、80℃で3時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、塩化ナトリウムにて塩析することで、5.30 gの生成物を得た。
1 H、
13 C − N M R スペクトル( 溶剤: 重水素化クロロホルム) 測定により、得られた化合物が目的化合物( G−19 ) で表される化合物であることを確認した。
【0230】
(イミド酸アニオンG−20の合成)
【化71】
G−1の合成において、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドに代えて2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−スルホニルクロリドを使用した以外は同様にして、上記化合物G−20を得た。
【0231】
(イミド酸アニオンG−21の合成)
【化72】
撹拌子を入れた300 mlナスフラスコに、化合物G−183.03 gを溶解させたテトラヒドロフランと、無水マレイン酸 1.07 gを溶解させた1,4−ジオキサンを、体積比1:1で混ぜあわせ、室温で12時間撹拌した。反応によって生じた白色固体を吸引ろ過でろ別することで、3.81 gの生成物(G−21a)を得た。
1 H、
13 C − N M R スペクトル( 溶剤: 重水素化クロロホルム) 測定により、得られた化合物が目的化合物( G−21a) で表される化合物であることを確認した。
【0232】
【化73】
撹拌子を入れた300 mlナスフラスコに、酢酸ナトリウムを含む無水酢酸溶液(酢酸ナトリウム:無水酢酸=1:10)、化合物G−21a 4.01 gを加え、70℃で3時間撹拌した。室温まで放冷した後、ジエチルエーテルを加え生じた沈殿物を吸引ろ過で得た。その後、アセトニトリルで洗い、そのろ液にジエチルエーテルを加え再沈殿させて、3.45 g の生成物を得た。
1 H、
13 C − N M R スペクトル( 溶剤: 重水素化クロロホルム) 測定により、得られた化合物が目的化合物( G−21) で表される化合物であることを確認した。
【0233】
<造塩化合物の製造方法>
(造塩化合物(ZC−1))
下記の手順でカチオン性シアニン系染料とイミド酸アニオン(G−1)とからなる造塩化合物(ZC−1)を製造した。
【0234】
水100部と、メタノール300部、メチルエチルケトン100部、アセトン100部の混合溶剤に8.23部のイミド酸アニオン(G−1)と、10部のカチオン性シアニン系染料(A−1)を溶解させ、60℃で240分攪拌し、十分に反応を行った。その後、エバポレーターにて減圧下で溶剤を飛ばし濃縮させることで造塩化合物である固形物を取り出した。この固形物に水1000部を加え25℃で180分攪拌し、吸引濾過をすることで、副生物である塩を除去した。また、濾紙上に残った造塩化合物は400部の水をふりかけることでさらに洗浄し副生物である塩を完全に除去した後、造塩化合物を取り出した。取り出した造塩化合物は、乾燥機で乾燥し、14.3部の、カチオン性シアニン系染料(A−1)とイミド酸アニオン(G−1)との造塩化合物(ZC−1)を得た。
【0235】
(造塩化合物(ZC−2〜ZC−52))
カチオン性シアニン系染料とイミド酸アニオンの種類と重量部を、表2に示す内容に変更した以外は、造塩化合物(ZC−1)と同様にして、各種カチオン性シアニン系染料と各種イミド酸アニオンとからなる造塩化合物(ZC−2〜ZC−51)を製造した。
【0236】
(造塩化合物(ZC−53〜ZC−57))
カチオン性シアニン系染料、イミド酸アニオンの種類と重量部を、表3に示すカチオン性染料とアニオンの種類と重量部に変更した以外は、造塩化合物(ZC−1)と同様にして、各種カチオン性染料と各種アニオンとからなる造塩化合物(ZC−53〜ZC−57)を製造した。
【0237】
【表2】
【0238】
【表3】
【0239】
<染料ペースト、及び着色組成物の製造方法>
[実施例1]
(染料ペーストDP−1の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し着色組成物(DP−1)を作製した。
造塩化合物(ZC−1) :10.0部
バインダー樹脂溶液1 :50.0部
シクロヘキサノン :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :20.0部
【0240】
(着色組成物(DB−1)の作製)
次に、顔料ペースト(PP−3)と、染料ペースト(DP−1)を乾燥塗膜の色度が、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」C光源)測定においてx=0.661、y=0.323となるような配合比にて調整し、1時間ディスパーにて攪拌混合することで、着色組成物(DB−1)を得た。
【0241】
[実施例2〜52、比較例1〜5]
(染料ペースト(DP−2〜DP−57)及び、着色組成物(DB−2〜57)の作製)
表4に示す造塩化合物の種類を変更した以外は、染料ペーストDP−1と同様にして染料ペーストDP−2〜DP−57を作製した。
次に、表5、表6に示す顔料ペースト、染料ペーストの種類に変更した以外は着色組成物DB−1と同様にして着色組成物(DB−2〜57)を製造した。
ただし、実施例8〜21は参考例である。
【0242】
<着色組成物の評価>
得られた着色組成物(DB−1〜57)について、耐熱性、明度、およびコントラスト比、異物評価に関する試験を下記の方法で行った。試験の結果は上記表5〜6に示してある。
【0243】
(塗膜の耐熱性評価方法)
着色組成物(DB−1〜57)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、ついで220℃で30分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定した膜厚が約2.0μmとなるようにした。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記の3段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))
2+ (a*(2)- a*(1))
2+( b*(2)- b*(1))
2)
◎:ΔEab*が1.5未満
○:ΔEab*が1.5以上、3.0未満
×:ΔEab*が3.0以上、5.0以上
【0244】
(塗膜の明度評価方法)
着色組成物(DB−1〜57)を、 スピンコーターにて100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にx=0.661になるように塗布し、オーブンにて230℃で30分焼成し、得られた着色組成物の塗布基板を得た。得られた塗布基板を用いて、明度(分光透過率)を測定した。 なお、XYZ表色系色度図における明度(分光透過率)の測定は、分光光度計(OTSUKA LCF―1100M)を用いて行った。判定基準は以下の通りである。×は使用困難なレベルである。
◎:18.0以上
○:17.6以上18.0未満
×:17.6未満
【0245】
(塗膜のコントラスト比評価方法)
着色組成物(DB−1〜57)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、回転数を変えて、230℃での熱処理後の膜厚が約1.5μm前後となるように3点の塗布基板を作製した。乾燥条件は、塗布後70℃で20分、さらに230℃で30分であり、それぞれ膜厚およびコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が1.5μmにおけるコントラストを一次相関法で求めた。×は使用困難なレベルである。
◎:CR≧10000以上
○:CR=5000以上、10000未満
△:CR=3000以上、5000未満
×:CR=3000未満
【0246】
(塗膜異物試験方法)
調製直後の着色組成物(DB−1〜57)にて試験基板を作製し、塗膜析出物の数をカウントすることで評価した。先ず、100mm×100mm、1.1mm厚の透明ガラス基板上に乾燥後の膜厚が約2.0μmとなるように着色組成物をスピンコーターで塗布し、オーブンで230℃、20分加熱して試験基板を得た。その後、オリンパスシステム社製の金属顕微鏡「BX60」を用いて表面観察を行い(倍率は500倍)、透過により任意の5視野にて観測可能な塗膜析出物の数をカウントする。
◎:5個未満
○:5個以上20個未満
△:20個以上100個未満
×:100個以上
【0247】
【表4】
【0248】
【表5】
【0249】
【表6】
【0250】
着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定のイミド酸アニオンの造塩化合物を含んだ着色組成物(DB−1〜52)は耐熱性、コントラスト比、明度の観点で、非常に良好な結果となった。(実施例1〜52)
また、なかでも着色剤としてイミド酸アニオン中にフッ素原子を含む造塩化合物を含んだ着色組成物(DB−1〜13、18〜52)は、着色剤としてイミド酸アニオン中にフッ素原子を含まない造塩化合物を含んだ着色組成物(DB−14〜17)に比べ耐熱性が良好であるため、その結果、明度、コントラスト比も良好な結果となった。
しかし、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料ではないカチオン染料と、イミド酸アニオンの造塩化合物を含んだ着色組成物(DB−53〜54)は非常に大きな蛍光が観測されたためコントラスト比が実施例に比べると大きく劣る結果となった。
また、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定のイミド酸アニオンではないアニオンとの造塩化合物を含んだ着色組成物(DB−55〜56)は、実施例に比べ耐熱性が大きく劣るため塗膜が荒れ、その結果、コントラスト比や明度も大きく劣る結果となった。
また、着色剤としてカチオン性シアニン系染料と芳香族炭化水素、複素環を有さないイミド酸アニオンとの造塩化合物を含んだ着色組成物(DB−57)は、溶剤への溶解性が低下したため塗膜形成時に析出物が発生し、明度とコントラスト比が実施例に比べ劣る結果となった。
【0251】
<感光性着色組成物(レジスト材)の製造>
[実施例53]
(レジスト材(R−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−1)を作製した。
着色組成物(DB−1) :60.0部
バインダー樹脂溶液1 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0252】
[実施例54〜104、比較例6〜10]
(レジスト材(R−2〜57))
以下、着色組成物(DB−1)を表7〜8に示す着色組成物に変更した以外は実施例52と同様にして、アルカリ現像型レジスト材(R−2〜57)を作製した。
ただし、実施例60〜73は参考例である。
【0253】
[実施例105]
(レジスト材(R−58))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−58)を作製した。
着色組成物(DB−52) :60.0部
バインダー樹脂溶液2 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0254】
[実施例106]
(レジスト材(R−59))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−59)を作製した。
着色組成物(DB−52) :60.0部
バインダー樹脂溶液3 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0255】
[実施例107]
(レジスト材(R−60))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−60)を作製した。
着色組成物(DB−52) :60.0部
バインダー樹脂溶液4 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0256】
<感光性着色組成物(レジスト材)の評価>
得られたレジスト材(R−1〜60)について、耐熱性、明度、コントラスト比、異物評価に関する試験を下記の方法で行った。試験の結果は上記表7、表8に示した。
【0257】
(塗膜の耐熱性評価)
得られたレジスト材(R−1〜60)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm
2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。ついで220℃で30分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定した膜厚が約2.0μmとなるようにした。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記の3段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.5未満
○:ΔEab*が1.5以上、3.0未満
×:ΔEab*が3.0以上、5.0以上
【0258】
(塗膜の明度評価)
得られたレジスト材(R−1〜60)をスピンコーターにてx=0.661になるように、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に塗布し、50mJ/cm
2の露光量で紫外線により露光した後、23℃の0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像し、オーブンにて230℃で30分焼成し、得られた感光性着色組成物の塗布基板を得た。得られた塗布基板を用いて、明度(分光透過率)を測定した。 なお、XYZ表色系色度図における明度(分光透過率)の測定は、分光光度計(OTSUKA LCF―1100M)を用いて行った。判定基準は以下の通りである。×は使用困難なレベルである。
◎:18.0以上
○:17.6以上18.0未満
×:17.6未満
【0259】
(コントラスト比の評価)
得られたレジスト材(R−1〜60)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、回転数を変えて、230℃での熱処理後の膜厚が約1.5μm前後となるように3枚の基板に塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm
2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、塗膜基板を得た。ついで220℃で30分間加熱、放冷後、得られた塗膜基板のそれぞれ膜厚およびコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が1.5μmにおけるコントラストを一次相関法で求めた。×は使用困難なレベルである。
◎:CR≧10000以上
○:CR=5000以上、10000未満
△:CR=3000以上、5000未満
×:CR=3000未満
【0260】
(塗膜異物試験方法)
得られたレジスト材(R−1〜60)を用いて試験基板を作製し、塗膜析出物の数をカウントすることで評価した。先ず、100mm×100mm、1.1mm厚の透明ガラス基板上に乾燥後の膜厚が約2.0μmとなるように着色組成物をスピンコーターで塗布し、オーブンで230℃、20分加熱して試験基板を得た。その後、オリンパスシステム社製の金属顕微鏡「BX60」を用いて表面観察を行い(倍率は500倍)、透過により任意の5視野にて観測可能な塗膜析出物の数をカウントする。
◎:5個未満
○:5個以上20個未満
△:20個以上100個未満
×:100個以上
【表7】
【0261】
【表8】
【0262】
着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定のイミド酸アニオンの造塩化合物を含んだ感光性着色組成物(R−1〜52、R−58〜60)は耐熱性、コントラスト比、明度の観点で、非常に良好な結果となった。(実施例52〜107)
また、なかでも着色剤としてイミド酸アニオン中にフッ素原子を含む造塩化合物を含んだ感光性着色組成物(R−1〜13、R−18〜52)は、着色剤としてイミド酸アニオン中にフッ素原子を含まない造塩化合物を含んだ感光性着色組成物(R−14〜17)に比べ耐熱性が良好であるため、その結果、明度、コントラスト比も良好な結果となった。
しかし、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料ではないカチオン染料と、イミド酸アニオンの造塩化合物を含んだ感光性着色組成物(R−53〜54)は非常に大きな蛍光が観測されたためコントラスト比が実施例に比べると大きく劣る結果となった。
また、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定のイミド酸アニオンではないアニオンとの造塩化合物を含んだ感光性着色組成物(R−55〜56)は、実施例に比べ耐熱性が大きく劣るため塗膜が荒れ、その結果、コントラスト比や明度も大きく劣る結果となった。
また、着色剤としてカチオン性シアニン系染料と芳香族炭化水素も複素環も有さないイミド酸アニオンとの造塩化合物を含んだ着色組成物(R−57)は、溶剤への溶解性が低下したため塗膜形成時に析出物が発生し、明度とコントラスト比が実施例に比べ劣る結果となった。
【0263】
<カラーフィルタの製造>
まず、カラーフィルタの作製に使用する青色感光性着色組成物、及び緑色感光性着色組成物の作製を行った。尚、赤色については感光性着色組成物(R−52)を使用した。
【0264】
(青色感光性着色組成物(RB−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、青色感光性着色組成物(RB−1)を作製した。
顔料ペースト(PP−1) 24.0部
顔料ペースト(PP−2) 10.0部
バインダー樹脂溶液1 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
【0265】
(緑色感光性着色組成物(RG−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色感光性着色組成物(RG−1)を作製した。
顔料ペースト(PP−4) 17.0部
顔料ペースト(PP−5) 17.0部
バインダー樹脂溶液1 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
【0266】
(カラーフィルタの作製)
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで赤色感光性着色組成物(R−52)を、膜厚が2.0umになるように塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、本発明の緑色感光性着色組成物(RG−1)を膜厚が2umになるように、青色感光性着色組成物(RB−1)を膜厚が2umになるように、それぞれ塗布し、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
【0267】
本発明の赤色感光性着色組成物(R−52)を用いることにより、高コントラスト比、高明度であるカラーフィルタを作製することが可能であった。