特許第5824865号(P5824865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824865
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】粉末、紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/38 20140101AFI20151112BHJP
   C09C 3/08 20060101ALI20151112BHJP
   C09C 3/12 20060101ALI20151112BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20151112BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   C09D11/38
   C09C3/08
   C09C3/12
   B41J2/01 501
   B41M5/00 E
【請求項の数】14
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2011-110101(P2011-110101)
(22)【出願日】2011年5月17日
(65)【公開番号】特開2012-241049(P2012-241049A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
(74)【代理人】
【識別番号】100107261
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 修
(72)【発明者】
【氏名】柴谷 正也
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】籠瀬 武俊
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森山 英和
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山田 季
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】豊田 直之
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
【審査官】 吉田 邦久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−091550(JP,A)
【文献】 特開2010−196005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/38
B41J 2/01
B41M 5/00
C09C 3/08
C09C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性化合物を含み、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられる粉末であって、
少なくとも表面付近が金属材料で構成された複数の粒子を含むものであり、
所定の平均粒径を有する第1の粒子群と、前記第1の粒子群よりも小さい平均粒径を有する第2の粒子群とを含み、
前記複数の粒子は、下記式(1)で表されるフッ素系シラン化合物、下記式(2)で表されるフッ素系リン酸エステル、下記式(3)で表される長鎖アルキル系リン酸エステルのいずれかを用いて表面処理が施されたものであることを特徴とする粉末。

SiXaR(3−a) (1)
(式(1)中、Rは、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭化水素基を表し、Xは、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、aは、1以上3以下の整数である。)

POR(OH)3−n (2)
(式(2)中、Rは、CF(CF−、CF(CF(CH−、CF(CF(CHO)−、CF(CFO−、または、CF(CF(CHO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上19以下の整数であり、lは2以上20以下の整数である。)

POR(OH)3−n (3)
(式(3)中、Rは、CH(CH−、CH(CH(CHO)−、または、CH(CHO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上19以下の整数であり、lは2以上20以下の整数である。)
【請求項2】
前記第1の粒子群の粒度分布の極大値と前記第2の粒子群の粒度分布の極大値とが異なるものである請求項1に記載の粉末。
【請求項3】
前記極大値のピークについての半値幅がいずれも500nm以下である請求項2に記載の粉末。
【請求項4】
前記第1の粒子群の粒度分布の極大値と前記2の粒子群の粒度分布の極大値との差が500nm以上1000nm以下である請求項2または3に記載の粉末。
【請求項5】
前記第1の粒子の平均粒径をD1[nm]、前記第2の粒子の平均粒径をD2[nm]としたとき、0.5≦D2/D1≦0.8の関係を満足する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項6】
前記第1の粒子群を構成する第1の粒子と前記第2の粒子群を構成する第2の粒子とは、組成の異なるものである請求項1ないし5のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項7】
前記第1の粒子は、少なくとも表面付近がAlで構成されたものであり、
前記第2の粒子は、少なくとも表面付近がAl合金で構成されたものである請求項1ないし6のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項8】
前記第2の粒子は、少なくとも表面付近がAl−Mg−Cu合金で構成されたものである請求項7に記載の粉末。
【請求項9】
前記Al−Mg−Cu合金は、Alを主成分とし、0.4質量%以上3.0質量%以下のMg、および、1.3質量%以上5.0質量%以下のCuを含むものである請求項8に記載の粉末。
【請求項10】
前記Al−Mg−Cu合金は、Znを含むものである請求項8または9に記載の粉末。
【請求項11】
前記Al−Mg−Cu合金は、Mnを含むものである請求項8ないし10のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項12】
粉末中における前記第1の粒子群の含有率をX1[質量%]、粉末中における前記第2の粒子群の含有率をX2[質量%]としたとき、1.1≦X1/X2≦18の関係を満足する請求項1ないし11のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項13】
インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物であって、
重合性化合物と、少なくとも表面付近が金属材料で構成された複数の粒子からなる粉末とを含み、
前記粉末は、所定の平均粒径を有する第1の粒子群と、前記第1の粒子群よりも小さい平均粒径を有する第2の粒子群とを含み、
記複数の粒子は、下記式(1)で表されるフッ素系シラン化合物、下記式(2)で表されるフッ素系リン酸エステル、下記式(3)で表される長鎖アルキル系リン酸エステルのいずれかを用いて表面処理が施されたものであることを特徴とする紫外線硬化型インクジェット組成物。

SiXaR(3−a) (1)
(式(1)中、Rは、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭化水素基を表し、Xは、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、aは、1以上3以下の整数である。)

POR(OH)3−n (2)
(式(2)中、Rは、CF(CF−、CF(CF(CH−、CF(CF(CHO)−、CF(CFO−、または、CF(CF(CHO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上19以下の整数であり、lは2以上20以下の整数である。)

POR(OH)3−n (3)
(式(3)中、Rは、CH(CH−、CH(CH(CHO)−、または、CH(CHO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上19以下の整数であり、lは2以上20以下の整数である。)
【請求項14】
請求項13に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたこと特徴とする記録物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末、紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点がある。また、金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させるために、比較的高い含有率で金属粉末を含有させることも考えられるが、このような場合、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性が著しく低下し、また、記録媒体に付与した後の紫外線硬化型インクジェット組成物の硬化性が低いものとなり、得られる記録物は耐擦性に劣ったものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−57548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、保存安定性、吐出安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物を提供すること、当該紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられる粉末を提供すること、また、前記紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成された光沢感、耐擦性に優れたパターンを有する記録物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の粉末は、重合性化合物を含み、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられる粉末であって、
少なくとも表面付近が金属材料で構成された複数の粒子を含むものであり、
所定の平均粒径を有する第1の粒子群と、前記第1の粒子群よりも小さい平均粒径を有する第2の粒子群とを含むことを特徴とする。
【0007】
これにより、保存安定性、吐出安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物用の粉末を提供することができる。また、ラメ感のある外観を呈するパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物用の粉末を提供することができる。
【0008】
本発明の粉末では、前記第1の粒子群の粒度分布の極大値と前記第2の粒子群の粒度分布の極大値とが異なるものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をより効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感を特に優れたものとすることができる。
【0009】
本発明の粉末では、前記極大値のピークについての半値幅がいずれも500nm以下であることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をさらに効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0010】
本発明の粉末では、前記第1の粒子群の粒度分布の極大値と前記2の粒子群の粒度分布の極大値との差が500nm以上1000nm以下であることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をさらに効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0011】
本発明の粉末では、前記第1の粒子の平均粒径をD[nm]、前記第2の粒子の平均粒径をD[nm]としたとき、0.5≦D/D≦0.8の関係を満足することが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をさらに効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0012】
本発明の粉末では、前記第1の粒子群を構成する第1の粒子と前記第2の粒子群を構成する第2の粒子とは、組成の異なるものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部のラメ感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるべき印刷部の色調を好適に調整することができる。
【0013】
本発明の粉末では、前記第1の粒子は、少なくとも表面付近がAlで構成されたものであり、
前記第2の粒子は、少なくとも表面付近がAl合金で構成されたものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、硬化性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0014】
本発明の粉末では、前記第2の粒子は、少なくとも表面付近がAl−Mg−Cu合金で構成されたものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、硬化性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0015】
本発明の粉末では、前記Al−Mg−Cu合金は、Alを主成分とし、0.4質量%以上3.0質量%以下のMg、および、1.3質量%以上5.0質量%以下のCuを含むものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、硬化性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0016】
本発明の粉末では、前記Al−Mg−Cu合金は、Znを含むものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0017】
本発明の粉末では、前記Al−Mg−Cu合金は、Mnを含むものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0018】
本発明の粉末では、粉末中における前記第1の粒子群の含有率をX[質量%]、粉末中における前記第2の粒子群の含有率をX[質量%]としたとき、1.1≦X/X≦18の関係を満足することが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をさらに効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0019】
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物であって、
重合性化合物と、少なくとも表面付近が金属材料で構成された複数の粒子からなる粉末とを含み、
前記粉末は、所定の平均粒径を有する第1の粒子群と、前記第1の粒子群よりも小さい平均粒径を有する第2の粒子群とを含むものであることを特徴とする。
これにより、保存安定性、吐出安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物を提供することができる。また、ラメ感のある外観を呈するパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物を提供することができる。
【0020】
本発明の記録物は、本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたこと特徴とする。
これにより、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を備えた記録物を提供することができる。また、ラメ感のある外観を呈するパターン(印刷部)を備えた記録物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《粉末》
まず、本発明の粉末(紫外線硬化型インクジェット組成物用粉末)について説明する。
本発明の粉末は、重合性化合物を含み、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられるものであって、少なくとも表面付近が金属材料で構成された複数の粒子を含むものであり、所定の平均粒径を有する第1の粒子群と、前記第1の粒子群よりも小さい平均粒径を有する第2の粒子群とを含むものである。
【0022】
ところで、従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
【0023】
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)が用いられている。
【0024】
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点がある。また、金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させるために、比較的高い含有率で金属粉末を含有させることも考えられるが、このような場合、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性が著しく低下し、また、記録媒体に付与した後の紫外線硬化型インクジェット組成物の硬化性が低いものとなり、得られる記録物は耐擦性に劣ったものとなる。
【0025】
そこで、発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、本発明に至った。すなわち、本発明では、重合性化合物を含む紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられる粉末を、少なくとも表面付近が金属材料で構成された複数の粒子を含むものであり、所定の平均粒径を有する第1の粒子群と、前記第1の粒子群よりも小さい平均粒径を有する第2の粒子群とを含むものとした。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をより効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感を優れたものとすることができるとともに、耐擦性も優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性も優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部を優れたラメ感を呈するものとすることができる。なお、本発明において、ラメ感とは、キラキラした意匠性、パール調のことをいい、不均一な反射が得られる光沢感のある外観をいう。
また、第1の粒子群を構成する第1の粒子および第2の粒子群を構成する第2の粒子は、それぞれ、少なくとも表面付近が金属材料で構成されたものであればよく、例えば、全体が金属材料で構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部の表面を金属材料で構成された層が被覆してなる構成のものであってもよい。
【0026】
<第1の粒子群>
第1の粒子群は、少なくとも表面付近が金属材料で構成された複数個の粒子(第1の粒子)からなるものである。このように、紫外線硬化型インクジェット組成物用の粉末が、少なくとも表面付近が金属材料で構成された粒子を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、高級感を優れたものとすることができる。特に、本発明では、紫外線硬化型インクジェット組成物用粉末が、第1の粒子とともに、後に詳述する第2の粒子を含むものであることにより、保存安定性、吐出安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物を提供することができる。また、ラメ感のある外観を呈するパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物を提供することができる。
第1の粒子は、いかなる形状のものであってもよいが、鱗片状をなすものであるのが好ましい。このように、形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
【0027】
本発明において、鱗片状とは、平板状、湾曲板状等のように、所定の角度から観察した際(平面視した際)の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状のことをいい、特に、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S[nm]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S[nm]に対する比率(S/S)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上である。この値としては、例えば、任意の10個の粒子について観察を行い、これらの粒子についての算出される値の平均値を採用することができる。
【0028】
第1の粒子群は、後に詳述する第2の粒子群よりも大きい平均粒径を有するものであるが、第1の粒子群の平均粒径(D50)は、500nm以上2000nm以下であるのが好ましく、800nm以上1800nm以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性等を特に優れたものとしつつ、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。これに対し、第1の粒子群の平均粒径が前記下限値未満であると、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感を十分に優れたものとするのが困難となる。また、第1の粒子群の平均粒径が前記上限値を超えると、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性等、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性を十分に優れたものとすることが困難になる。なお、本発明において、平均粒径とは、個数基準の平均粒径のことを指し、投影面積が最大となる方向から観察した際の面積Sと同一の面積を有する真円の直径の平均値のことを指す。
【0029】
第1の粒子の最大粒径(Dmax)は、2800nm以下であるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性、特に、高周波での吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。なお、本明細書において、最大粒径(Dmax)とは、少なくともその重量の95%が通過するうちの最小寸法のふるいのふるい目の大きさのことをいう。
【0030】
第1の粒子が鱗片状をなすものである場合、第1の粒子の平均厚さは、5nm以上250nm以下であるのが好ましく、10nm以上150nm以下であるのがより好ましい。第1の粒子の平均厚さが前記範囲内の値であると、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとしつつ、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感等を特に優れたものとすることができる。
【0031】
第1の粒子を構成する金属材料としては、単体としての各種金属、各種合金等を用いることができるが、Alが好ましい。金属アルミニウムは、それ自体が、本来優れた金属光沢を呈するものである。したがって、このような材料で構成された第1の粒子を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、硬化性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0032】
また、第1の粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、気相成膜法により金属材料で構成された膜を形成し、その後、当該膜を粉砕することにより得られたものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)において、金属材料が本来有している光沢感等をより効果的に表現させることができる。また、各粒子間での特性のばらつきを抑制することができる。また、当該方法を用いることにより、比較的薄い第1の粒子であっても好適に製造することができる。
【0033】
このような方法を用いて第1の粒子を製造する場合、例えば、基材上に、金属材料で構成された膜の形成(成膜)を行うことにより、第1の粒子を好適に製造することができる。前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等を用いることができる。また、基材は、成膜面に離型剤層を有するものであってもよい。
また、前記粉砕は、液体中において、前記膜に超音波振動を付与することにより行われるものであるのが好ましい。これにより、上述したような粒径の第1の粒子を容易かつ確実に得ることができるとともに、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を抑制することができる。
【0034】
また、上記のような方法で、粉砕を行う場合、前記液体としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルおよびジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものを用いるのが好ましい。これにより、第1の粒子の不本意な酸化等を防止しつつ、第1の粒子の生産性を特に優れたものとし、また、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
【0035】
また、第1の粒子は、表面処理が施されたものであってもよい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物のゲル化等をより効果的に防止することができ、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。このような表面処理としては、例えば、下記式(1)で表されるフッ素系シラン化合物、下記式(2)で表されるフッ素系リン酸エステル、下記式(3)で表される長鎖アルキル系リン酸エステル等を用いた処理が挙げられる。
【0036】
SiX(3−a) (1)
(式(1)中、Rは、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭化水素基を表し、Xは、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、aは、1以上3以下の整数である。)
POR(OH)3−n (2)
(式(2)中、Rは、CF(CF−、CF(CF(CH−、CF(CF(CHO)−、CF(CFO−、または、CF(CF(CHO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上19以下の整数であり、lは2以上20以下の整数である。)
POR(OH)3−n (3)
(式(3)中、Rは、CH(CH−、CH(CH(CHO)−、または、CH(CHO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上19以下の整数であり、lは2以上20以下の整数である。)
【0037】
第1の粒子群の粒度分布における極大値(特に、存在比率が最大となる値)のピークについての半値幅は、500nm以下であるのが好ましく、400nm以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0038】
本発明に係る粉末中における第1の粒子(第1の粒子群)の含有率は、52.4質量%以上94.7質量%以下であるのが好ましく、56.5質量%以上90.9質量%以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、ラメ感をさらに確実に優れたものとすることができる。
【0039】
<第2の粒子群>
本発明に係る粉末は、上述した第1の粒子群に加え、当該第1の粒子群よりも平均粒径が小さく、金属材料で構成された複数の粒子からなる第2の粒子群を含むものである。このように、平均粒径の異なる複数種の粒子群を含むことにより、比較的粒径の大きい粒子(第1の粒子)により印刷部全体としての光沢感を優れたものとしつつ、当該粒子(第1の粒子)同士の隙間に、比較的粒径の小さい粒子(第2の粒子)を効率よく配置させることができ、印刷部全体としての光沢感を向上させることができる。また、複数の第1の粒子の間に第2の粒子が配置されることにより、印刷部の耐擦性を優れたものとすることができる。また、複数の第1の粒子の間に第2の粒子が配置されることにより、印刷部における粉末の密度を高いものとすることができ、印刷部の耐擦性を優れたものとすることができる。また、平均粒径の異なる第1の粒子群と第2の粒子群とを含むことにより、これらが記録物の外観において異なる印象を与えることができ、記録物の外観をラメ感があるものとすることができる。また、平均粒径の異なる第1の粒子群と第2の粒子群とを含むことにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性(紫外線硬化型インクジェット組成物における粉末の分散安定性)を優れたものとすることができるとともに、インクジェット方式による紫外線硬化型インクジェット組成物の液切れを良好なものとすることができ、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性を優れたものとすることができる。
【0040】
第2の粒子群の平均粒径は、前述した第1の粒子群の平均粒径よりも小さいものであればよいが、800nm以上1200nm以下であるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、ラメ感をさらに確実に優れたものとすることができる。
第2の粒子群はその平均粒径が前述した第1の粒子群の平均粒径よりも小さいものであればよいが、第2の粒子群の粒度分布の極大値(特に、存在比率が最大となる値)は、第1の粒子群の粒度分布の極大値(特に、存在比率が最大となる値)と異なるものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をより効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感を特に優れたものとすることができる。
【0041】
第2の粒子群の粒度分布における極大値(特に、存在比率が最大となる値)のピークについての半値幅は、第1の粒子群の粒度分布における極大値(特に、存在比率が最大となる値)のピークについての半値幅と同様に、500nm以下であるのが好ましく、400nm以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0042】
第1の粒子群の粒度分布の極大値(特に、存在比率が最大となる値)と2の粒子群の粒度分布の極大値(特に、存在比率が最大となる値)との差は、500nm以上1000nm以下であるのが好ましく、600nm以上900nm以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をさらに効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0043】
第1の粒子の平均粒径をD[nm]、第2の粒子の平均粒径をD[nm]としたとき、0.5≦D/D≦0.8の関係を満足するのが好ましい。このような関係を満足することにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をさらに効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0044】
また、第2の粒子は、第1の粒子と同一の組成を有するものであってもよいが、第1の粒子と組成の異なるものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部のラメ感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるべき印刷部の色調を好適に調整することができる。
【0045】
第2の粒子を構成する金属材料としては、単体としての各種金属、各種合金等を用いることができる。特に、第1の粒子の少なくとも表面付近がAlで構成されたものである場合、第2の粒子は、少なくとも表面付近がAl合金で構成されたものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、硬化性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0046】
第2の粒子の少なくとも表面付近がAl合金で構成されたものである場合、当該Al合金は、Al−Mg−Cu合金であるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、硬化性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0047】
Al−Mg−Cu合金は、AlとMgとCuとを含む組成を有するものであればよいが、Alを主成分とし、0.4質量%以上3.0質量%以下のMg、および、1.3質量%以上5.0質量%以下のCuを含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、硬化性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0048】
上記のように、Al−Mg−Cu合金中において、Alは、主成分(合金の構成元素中最大の含有率を有するもの)であればよいが、Al−Mg−Cu合金中におけるAlの含有率は、83.0質量%以上98.3質量%以下であるのが好ましく、87.0質量%以上96.0質量%以下であるのがより好ましく、89.5質量%以上92.0質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
【0049】
また、上記のように、Al−Mg−Cu合金中におけるMgの含有率は、0.4質量%以上3.0質量%以下であるのが好ましいが、0.5質量%以上2.8質量%以下であるのがより好ましく、1.6質量%以上2.6質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、上記のように、Al−Mg−Cu合金中におけるCuの含有率は、1.3質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましいが、1.4質量%以上4.1質量%以下であるのがより好ましく、1.5質量%以上2.0質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
【0050】
Al−Mg−Cu合金は、AlとMgとCuとを含む組成を有するものであればよいが、さらに、Znを含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0051】
この場合、Al−Mg−Cu合金中におけるZnの含有率は、4.0質量%以上6.5質量%以下であるのが好ましく、4.5質量%以上6.0質量%以下であるのがより好ましく、4.8質量%以上5.4質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の光沢感、ラメ感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
【0052】
Al−Mg−Cu合金は、AlとMgとCuとを含む組成を有するものであればよいが、さらに、Mnを含むものであってもよい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の耐擦性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0053】
この場合、Al−Mg−Cu合金中におけるMnの含有率は、0.01質量%以上0.9質量%以下であるのが好ましく、0.02質量%以上0.7質量%以下であるのがより好ましく、0.02質量%以上0.6質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の光沢感、ラメ感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
【0054】
Al−Mg−Cu合金は、Al、Mg、Cu、ZnおよびMn以外の成分を含むものであってもよいが、Al、Mg、Cu、ZnおよびMn以外の成分の含有率の和が、2.0質量%以下のものであるのが好ましく、1.0質量%以下のものであるのがより好ましく、0.8質量%以下のものであるのがさらに好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の光沢感、ラメ感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
【0055】
第2の粒子は、いかなる形状のものであってもよいが、鱗片状をなすものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部全体としての光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
また、第2の粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、例えば、インゴット等を粉砕することにより得られた粗大粉末を所望の粒径まで粉砕する粉砕法、蒸着等の気相成膜法等によりフィルム上に形成した金属膜を前記フィルムから剥離・粉砕させる方法(特に、液体中において剥離・粉砕を行い、前記液体中に分散させる方法)、化学的な造粒法等の方法により製造することができるが、第2の粒子は、水アトマイズ法により製造されたものを、鱗片化することにより得られたものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物中における第2の粒子の分散安定性、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0056】
また、第2の粒子は、表面処理が施されたものであってもよい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物のゲル化等をより効果的に防止することができ、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。このような表面処理としては、例えば、下記式(1)で表されるフッ素系シラン化合物、下記式(2)で表されるフッ素系リン酸エステル、下記式(3)で表される長鎖アルキル系リン酸エステル等を用いた処理が挙げられる。
【0057】
SiX(3−a) (1)
(式(1)中、Rは、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭化水素基を表し、Xは、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、aは、1以上3以下の整数である。)
POR(OH)3−n (2)
(式(2)中、Rは、CF(CF−、CF(CF(CH−、CF(CF(CHO)−、CF(CFO−、または、CF(CF(CHO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上19以下の整数であり、lは2以上20以下の整数である。)
POR(OH)3−n (3)
(式(3)中、Rは、CH(CH−、CH(CH(CHO)−、または、CH(CHO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上19以下の整数であり、lは2以上20以下の整数である。)
【0058】
第2の粒子が鱗片状をなすものである場合、第2の粒子の平均厚さは、10nm以上500nm以下であるのが好ましく、50nm以上200nm以下であるのがより好ましい。第2の粒子の平均厚さが前記範囲内の値であると、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとしつつ、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感等を特に優れたものとすることができる。
【0059】
本発明に係る粉末中における第2の粒子の含有率は、5.3質量%以上47.6質量%以下であるのが好ましく、9.1質量%以上43.5質量%以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感をさらに確実に優れたものとすることができる。
【0060】
本発明に係る粉末中における、第1の粒子群の含有率をX[質量%]、第2の粒子群の含有率をX[質量%]としたとき、1.1≦X/X≦18の関係を満足するのが好ましく、1.3≦X/X≦10の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足するにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される印刷物において、第1の粒子群を構成する第1の粒子同士の隙間に、第2の粒子群を構成する第2の粒子をさらに効率よく配置させることができ、印刷部の光沢感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性、ラメ感をさらに優れたものとすることができる。
【0061】
本発明の粉末は、全体としての平均粒径が900nm以上2500nm以下であるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
本発明の粉末は、上述したような第1の粒子と第2の粒子とを含むものであればよいが、さらに、その他の第3の粒子(例えば、表面が非金属材料で構成された第3の粒子)を含むものであってもよい。この場合、本発明に係る粉末中における第3の粒子の含有率は、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましい。
【0062】
《紫外線硬化型インクジェット組成物》
次に、本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物について説明する。
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、重合性化合物と、上述したような粉末とを含むものである。これにより、保存安定性、吐出安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物を提供することができる。また、ラメ感のある外観を呈するパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物を提供することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物中における前記粉末の含有率は、0.8質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上15質量%以下であるのがより好ましい。
【0063】
<重合性化合物>
重合性化合物は、紫外線の照射により重合し、硬化する成分である。このような成分を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。
重合性化合物は、液状をなすものであり、紫外線硬化型インクジェット組成物において、粉末を分散する分散媒として機能するものであるのが好ましい。これにより、別途、記録物の製造過程において除去される(蒸発する)分散媒を用いる必要がなく、記録物の製造においても、分散媒を除去する工程を設ける必要がないため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、分散媒として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。また、重合性化合物を含むことにより、様々な記録媒体(基材)に対する、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の密着性を優れたものとすることができる。すなわち、重合性化合物を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット組成物は、メディア対応性に優れたものとなる。
【0064】
重合性化合物としては、紫外線の照射により重合する成分であればよく、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、少なくともモノマー成分を含むものであるのが好ましい。モノマーは、オリゴマー成分等に比べて、一般に、低粘度の成分であるため、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性を特に優れたものとする上で有利である。
【0065】
重合性化合物としてのモノマーとしては、例えば、イソボニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性2エチルヘキシルアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性クレゾールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピパレートジアクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。中でも、4−ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
【0066】
特に、紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレートを含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。また、第1の粒子および第2の粒子をより好適に配置させることができ、記録物の光沢感、ラメ感、高級感を特に優れたものとすることができる。
【0067】
また、紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレートに加え、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット組成物の反応性をさらに優れたものとし、記録物の生産性をさらに優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。また、第1の粒子および第2の粒子をより好適に配置させることができ、記録物の光沢感、ラメ感、高級感をさらに優れたものとすることができる。
【0068】
また、紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートおよび/またはアミノアクリレートを含むのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。また、第1の粒子および第2の粒子をより好適に配置させることができ、記録物の光沢感、ラメ感、高級感を特に優れたものとすることができる。
【0069】
また、紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、モノマー以外に、オリゴマーを含むものとしてもよい。特に多官能のオリゴマーを含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。なお、本発明では、重合性化合物の中でも、分子の骨格中に繰り返し構造を有し、分子量が600以上のものをオリゴマーと呼ぶ。オリゴマーとしては、繰り返し構造がウレタンであるウレタンオリゴマー、繰り返し構造がエポキシであるエポキシオリゴマー等が好ましく用いられる。
【0070】
<その他の成分>
本実施の形態に係る紫外線硬化型インクジェット組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
【0071】
光重合開始剤は、紫外線照射によってラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記重合性化合物の重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
【0072】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
【0073】
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
紫外線硬化型インクジェット組成物中における光重合開始剤の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であると、紫外線硬化速度が十分大きく、且つ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色がほとんどない。
紫外線硬化型インクジェット組成物がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
【0075】
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
紫外線硬化型インクジェット組成物が分散剤を含むものであると、粉末の分散性を優れたものとすることができ、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0076】
また、本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、記録物の製造工程において除去される(蒸発する)有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
【0077】
《記録物》
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したような紫外線硬化型インクジェット組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたものである。このような記録物は、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を有するものである。また、このような記録物は、ラメ感のある外観を呈するパターン(印刷部)を有するものである。
【0078】
上述したように、本発明に係る紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物を含むものであり、記録媒体に対する密着性に優れるものである。このように、本発明に係る紫外線硬化型インクジェット組成物は記録媒体に対する密着性に優れるものであるため、記録媒体は、いかなるものであってもよく、吸収性または非吸収性のいずれを用いてもよく、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙等)、プラスチック材料、金属、セラミックス、木材、貝殻、綿、ポリエステル、ウール等の天然繊維・合成繊維、不織布等を用いることができる。
【0079】
本発明の記録物は、いかなる用途のものであってもよく、例えば、装飾品やそれ以外に適用されるものであってもよい。本発明の記録物の具体例としては、コンソールリッド、スイッチベース、センタークラスタ、インテリアパネル、エンブレム、センターコンソール、メーター銘板等の車両用内装品、各種電子機器の操作部(キースイッチ類)、装飾性を発揮する装飾部、指標、ロゴ等の表示物等が挙げられる。
【0080】
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インクジェット法による紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
インクジェット法により吐出された紫外線硬化型インクジェット組成物は、紫外線の照射により硬化する。
【0081】
紫外線源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザダイオード(UV−LD)等を用いることができる。中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザダイオード(UV−LD)が好ましい。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0082】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)の製造
(実施例1)
第1の粒子は、以下のようにして製造した。
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用意した。次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された膜を順次形成した。次に、Al膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、ジエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、Alで構成された鱗片状の粒子が得られた。当該粒子に対し、オクタデシルトリメトキシシランによる表面処理を施し、多数個の第1の粒子(第1の粒子群)を得た。第1の粒子群の平均粒径(D50)は1750nmであった。第1の粒子の最大粒径(Dmax)は2500nmであった。また、第1の粒子の平均厚さは、35nmであった。
【0083】
他方、第2の粒子は、以下のようにして製造した。
まず、Al−Mg−Cu合金の溶湯を用いて、水アトマイズ法により、球形状をなし、平均粒径が9.2μmの金属粒子を製造した。本工程における合金溶湯の冷却速度(700℃から300℃までの冷却速度)は、1×10℃/秒であった。製造された金属粒子は、Al:90.65質量%、Mg:2.54質量%、Cu:1.60質量%、Zn:5.19質量%、Mn:0.02質量%の組成を有するものであった。次に、上記のようにして得られた略球形状の金属粒子を、ジルコニアビーズ(直径:5mm)を用いた遊星ボールミルにより、鱗片形状に異形化(鱗片化)した。本工程は、フェノキシエチルアクリレート中で行った。次に、鱗片化工程で得られた混合物を、超音波分散機に導入し、微細処理を行い、その後、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランによる表面処理を施した。さらにその後、5μmメンブレンフィルターにて濾過を行い、ジルコニアビーズを除去するとともに、金属粒子の粗大粒子をカットして、平均粒子径D50が820nmの多数個の第2の粒子(第2の粒子群)が分散した分散体を得た。
上記のようにして得られた第1の粒子(第1の粒子群)および第2の粒子(第2の粒子群)を上記液体から分離し混合した。
【0084】
その後、第1の粒子(第1の粒子群)と第2の粒子(第2の粒子群)とを混合することにより得られた粉末を、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、光重合開始剤としてのIrgacure819(チバ・ジャパン社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure TPO(ACETO社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure DETX(Lambson社製)、レベリング剤としてのUV−3500(ビックケミー社製)、および、重合禁止剤としてのヒドロキノンモノメチルエーテルと混合することにより、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を得た。
【0085】
(実施例2〜11)
インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)の調製に用いる粉末の構成、原料の種類・比率を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
【0086】
(比較例1)
粉末として、第2の粒子(第2の粒子群)を含まず、第1の粒子(第1の粒子群)のみで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例2)
第1の粒子として、ガスアトマイズ法により製造された球形状のAl粒子を用いた以外は、前記比較例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
【0087】
(比較例3)
粉末として、第1の粒子(第1の粒子群)を含まず、第2の粒子(第2の粒子群)のみで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例4)
第2の粒子として、ガスアトマイズ法により製造された球形状のAl合金粒子(Al:90.65質量%、Mg:2.54質量%、Cu:1.60質量%、Zn:5.19質量%、Mn:0.02質量%)を用いた以外は、前記比較例3と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
【0088】
前記各実施例および比較例について、インクジェット組成物の組成を、表1にまとめて示した。なお、表中、Alからなる組成を「C1」、Al:90.65質量%、Mg:2.54質量%、Cu:1.60質量%、Zn:5.19質量%、Mn:0.02質量%の組成を「C2」、Al:90.49質量%、Mg:2.50質量%、Cu:1.60質量%、Zn:5.38質量%、Mn:0.03質量%の組成を「C3」、Al:89.96質量%、Mg:2.54質量%、Cu:1.60質量%、Zn:5.19質量%、Mn:0.02質量%、Cr:0.23質量%、Si0.22質量%、Fe:0.21質量%、Ti:0.03の組成を「C4」、Al:90.65質量%、Mg:2.54質量%、Cu:1.60質量%、Zn:5.19質量%、Mn:0.02質量%の組成を「C5」、Al:94.60質量%、Mg:0.30質量%、Cu:5.10質量%の組成を「C6」、Al:90.59質量%、Mg:2.59質量%、Cu:1.98質量%、Zn:4.82質量%、Mn:0.02質量%の組成を「C7」、Al:92.00質量%、Mg:1.30質量%、Cu:1.40質量%、Zn:4.60質量%、Mn:0.70質量%の組成を「C8」、Al:95.70質量%、Mg:3.10質量%、Cu:1.20質量%の組成を「C9」、Al:89.34質量%、Mg:2.71質量%、Cu:2.13質量%、Zn:5.60質量%、Mn:0.22質量%の組成を「C10」、Al:94.61質量%、Mg:1.36質量%、Cu:4.03質量%の組成を「C11」、Pdからなる組成を「C12」、SUS316Lを「C13」、オクタデシルトリメトキシシランによる表面処理を「S1」、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランによる表面処理を「S2」、2−(パーフルオロヘキシル)エチルホスホン酸による表面処理を「S3」、ラウリル酸エステルによる表面処理を「S4」、フェノキシエチルアクリレートを「PEA」、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルを「VEEA」、トリプロピレングリコールジアクリレートを「TPGDA」、ジプロピレングリコールジアクリレートを「DPGDA」、N−ビニルカプロラクタムを「VC」、ベンジルメタクリレートを「BM」、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートを「DMTCDDA」、アミノアクリレートを「AA」、ウレタンアクリレートを「UA」、Irgacure 819(チバ・ジャパン社製)を「ic819」、Speedcure TPO(ACETO社製)を「scTPO」、Speedcure DETX(Lambson社製)を「scDETX」、UV−3500(ビックケミー社製)を「UV3500」、ヒドロキノンモノメチルエーテルを「MEHQ」、4−ヒドロキシブチルアクリレートを「HBA」で示した。また、各インクジェット組成物中に含まれるそれぞれ任意の10個の第1の粒子、第2の粒子について観察を行い、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S[nm]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S[nm]に対する比率(S/S)を求め、これらの平均値を、表1にあわせて示した。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)の20℃における粘度は、いずれも、3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内の値であった。また、前記各実施例の紫外線硬化型インクジェット組成物を構成する第1の粒子の最大粒径(Dmax)は、いずれも、2600nm以下であった。また、前記各実施例および比較例のインクジェット組成物を構成する粒子において、表1に示す成分以外の含有率は、いずれも0.1質量%以下であった。また、前記各実施例について、第1の粒子群の粒度分布における極大値(存在比率が最大となる値)のピークについての半値幅、第2の粒子群の粒度分布における極大値(存在比率が最大となる値)のピークについての半値幅は、いずれも390nm以下であった。また、前記各実施例について、第1の粒子群の粒度分布の極大値(存在比率が最大となる値)と2の粒子群の粒度分布の極大値(存在比率が最大となる値)との差は、いずれも、670nm以上810nm以下であった。
【0089】
【表1】
【0090】
[2]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記実施例および比較例のインクジェット組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各色のインクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクが充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、120時間放置した。
【0091】
その後、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、4000000発(4000000滴)の液滴の連続吐出を行った。上記120時間放置した後の、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された4000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。なお、ノズルの先端と記録媒体の表面との距離は1.0mmとなるようにした。
【0092】
A:ズレ量dの平均値が1.0μm未満。
B:ズレ量dの平均値が1.0μm以上1.7μm未満。
C:ズレ量dの平均値が1.7μm以上2.7μm未満。
D:ズレ量dの平均値が2.7μm以上3.3μm未満。
E:ズレ量dの平均値が3.3μm以上。
【0093】
[3]インクジェット組成物の保存安定性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、35℃の環境下に、21日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット組成物の40℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
【0094】
A:粘度の上昇率が3%未満。
B:粘度の上昇率が3%以上5%未満。
C:粘度の上昇率が5%以上10%未満。
D:粘度の上昇率が10%以上15%未満。
E:粘度の上昇率が15%以上、または、異物の発生が認められる。
【0095】
[4]硬化性
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、エプソン製インクジェットプリンター;PM800Cへ導入し、記録媒体として三菱樹脂(株)製、ダイアホイル G440E(厚さ38μm)を用いて、インク量wet 9g/mにて、ベタ印刷を行い、印刷後、ただちにLED−UVランプ;フォセオン社製 RX firefly(ギャップ6mm 1000mW/cm)を用いて紫外線の照射を行い、インクジェット組成物が硬化したか否かを確認し、以下の5段階の基準に従い、評価した。硬化したか否かは、綿棒にて表面をこすって、未硬化のインク組成物が付着しないか否かで判断した。なお、下記A〜Eの照射量に該当するかどうかは、ランプを何秒照射したかによって算出できる。
【0096】
A:100mJ/cm未満の紫外線照射量にて硬化した。
B:100mJ/cm以上200mJ/cm未満の紫外線照射量にて硬化した。
C:200mJ/cm以上500mJ/cm未満の紫外線照射量にて硬化した。
D:500mJ/cm以上1000mJ/cm未満の紫外線照射量にて硬化した。
E:1000mJ/cm以上の紫外線照射量にて硬化する。もしくはまったく硬化
しない。
【0097】
[5]記録物の製造
各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、インクジェット組成物をインクジェット装置に投入した。
その後、ポリカーボネート(旭硝子社製、カーボグラス ポリッシュ 2mm厚)を用いて成形した曲面部を有する基材(記録媒体)上に、所定のパターンで、インクジェット組成物を吐出した。
【0098】
その後、365nm、380nm、395nmの波長に極大値を有するスペクトルの紫外線を照射を、照射強度180mW/cmを15秒間照射し、基材上のインクジェット組成物を硬化させ、記録物としてのインテリアパネルを得た。
上記のような方法を用いて、各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、10個のインテリアパネル(記録物)を製造した。
【0099】
また、基材として、ポリエチレンテレフタレート(三菱樹脂社製 ダイアホイル G440E 38μm厚)を用いて成形したもの、低密度ポリエチレン(三井化学東セロ社製 T.U.X(L−LDPE) HC−E #80)を用いて成形したもの、2軸延伸ポリプロピレン(三井化学東セロ社製 OP U−1 #60)を用いて成形したもの、硬質塩化ビニル(アクリサンデー社製 サンデーシート(透明)0.5mm厚)を用いて成形したものを用いた以外は、上記と同様にして、各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、10個ずつのインテリアパネル(記録物)を製造した。
【0100】
[6]記録物の評価
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[6.1]記録物の光沢感評価
前記各実施例および比較例で製造した各記録物を目視により観察し、以下の7段階の基準に従い、評価した。
【0101】
A:高級感に溢れる光沢感を有し、極めて優れた外観を有している。
B:高級感に溢れる光沢感を有し、非常に優れた外観を有している。
C:高級感のある光沢感を有し、優れた外観を有している。
D:高級感のある光沢感を有し、良好な外観を有している。
E:光沢感に劣り、外観がやや不良。
F:光沢感に劣り、外観が不良。
G:光沢感に劣り、外観が極めて不良。
【0102】
[6.2]ラメ感評価
前記各実施例および比較例で製造した各記録物を目視により観察し、記録物のラメ感(キラキラした意匠性、パール調)を以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:非常に優れたラメ感(キラキラ感)を有している。
B:優れたラメ感(キラキラ感)を有している。
C:良好なラメ感(キラキラ感)を有している。
D:ラメ感(キラキラ感)に劣り、やや均一性の高い光沢感を有している。
E:ラメ感(キラキラ感)に劣り、非常に均一性の高い光沢感を有している。また
は、光沢感が不十分である。
【0103】
[6.3]光沢度
前記各実施例および比較例で製造した各記録物のパターン形成部について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度が320以上。
B:光沢度が210以上320未満。
C:光沢度が100以上210未満。
D:光沢度が100未満。
【0104】
[6.4]耐擦性
前記各実施例および比較例に係る記録物について、記録物の製造から72時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じて耐擦性試験を行い、上記[6.3]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
【0105】
A:光沢度の低下率が6%未満。
B:光沢度の低下率が6%以上15%未満。
C:光沢度の低下率が15%以上25%未満。
D:光沢度の低下率が25%以上28%未満。
E:光沢度の低下率が28%以上、または、金属粒子が脱落して記録媒体の表面が
露出したもの。
【0106】
これらの結果を表2に示す。なお、表2中、ポリカーボネート製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M1」、ポリエチレンテレフタレート製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M2」、低密度ポリエチレン製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M3」、2軸延伸ポリプロピレン製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M4」、硬質塩化ビニル製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M5」で示した。
【0107】
【表2】
【0108】
表2から明らかなように、本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、液滴の吐出安定性、保存安定性および硬化性に優れていた。また、本発明の記録物は、優れた光沢感、ラメ感、外観を有しており、パターン形成部の耐擦性にも優れていた。これに対して、比較例では、満足な結果が得られなかった。