特許第5824866号(P5824866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824866
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 19/18 20060101AFI20151112BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20151112BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   B41J19/18 E
   B41J2/01 303
   B05C5/00 101
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-110955(P2011-110955)
(22)【出願日】2011年5月18日
(65)【公開番号】特開2012-240255(P2012-240255A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
(72)【発明者】
【氏名】岡田 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】小橋 勝
(72)【発明者】
【氏名】小野 俊一
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−174806(JP,A)
【文献】 特開2006−212873(JP,A)
【文献】 特開2005−349799(JP,A)
【文献】 特開2010−324788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 19/18
B41J 19/20
B05C 5/00
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズル、当該ノズルに連通する圧力室、および、駆動信号の印加により駆動して前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の駆動により前記ノズルから液体を噴射させる液体噴射ヘッドと、
装置の駆動部の駆動量を検出する検出装置と、を備える液体噴射装置であって、
前記検出装置は、検出パターンが形成されたスケール部材と、当該スケール部材の検出パターンを検出するセンサー部と、を有し、
前記スケール部材は、前記検出パターンが形成された第1の部分を含み、
少なくとも前記第1の部分は、前記液体噴射ヘッドの移動により生じる空気との摩擦によって前記駆動信号の極性と同極性に帯電する材料から構成されたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記スケール部材は、前記第1の部分以外の第2の部分を含み、
当該第2の部分は、帯電列で前記第1の部分よりも前記駆動信号の極性と反対極性側の順位にある材料から構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置に関し、特に、圧力発生手段の駆動により圧力室内の液体をノズルから噴射する液体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は液体噴射ヘッドを備え、この噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
【0003】
上記のプリンター等で使用される記録ヘッドでは、近年、画像向上等の要求に応えるため、ノズルから噴射されるインクの液量を小さくする傾向がある。このような微量の液滴を記録媒体に対して確実に着弾させるために、液滴の初速が比較的高く設定される。これにより、ノズルから噴射された液滴は、飛翔中に引き伸ばされて、先頭のメイン液滴(主液滴)とそれよりも後のサテライト液滴(副液滴)に分離する。このサテライト液滴の一部又は全部は、空気の粘性抵抗により速度が急激に低下し、記録媒体に到達することなくミスト化してしまうことがある。このことより、ミスト化したサテライト液滴(以下、ミスト)は、装置内を汚染し、記録ヘッドや電気回路等の帯電しやすい部材への付着によって動作不良を発生させたりする問題があった。
【0004】
例えば、記録ヘッドを移動させならインクの噴射を行う構成を採用するプリンターでは、記録ヘッドの走査位置を認識するリニアエンコーダーが設けられている。このリニアエンコーダーは、長尺方向に一定間隔で付された目盛を有するリニアスケールと、リニアスケールの目盛を読み取る検出器(センサー部)とからなる。そして、プリンター内には、リニアスケールが記録ヘッドの走査範囲に亘って配設されている。このようなスケールにミストが付着した場合、正確な位置検出が困難となる虞があった。
【0005】
このような不具合を防止すべく、記録ヘッドを搭載したキャリッジが移動する際に、当該キャリッジとの摺接によりキャリッジの表面に静電気を帯電させる静電気発生部材が設けられた構成のプリンターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構成は、キャリッジの表面を帯電させることにより、キャリッジの表面にミストを静電気力により吸着させて回収するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−205434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記構成では、ミストの回収に必要な帯電量を得るためには、キャリッジと静電気発生部材とを積極的に摩擦する必要があるため、両部材が摩耗する虞がある。そして、摩耗の程度によっては十分な帯電量が得られない可能性もあった。また、静電気発生部材を設けるための設置スペースが別途必要となる問題もあった。
【0008】
なお、このような問題は、上記のプリンターに限らず、駆動電圧の印加により圧力発生手段を駆動させることで圧力室内の液体に圧力変動を生じさせてノズルから液体を噴射させる他の液体噴射装置においても同様に存在する。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体の噴射時に生じるミストによるスケール部材の汚染を簡単且つより確実に防止することが可能な液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体を噴射するノズル、当該ノズルに連通する圧力室、および、駆動信号の印加により駆動して前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の駆動により前記ノズルから液体を噴射させる液体噴射ヘッドと、
装置の駆動部の駆動量を検出する検出装置と、を備える液体噴射装置であって、
前記検出装置は、検出パターンが形成されたスケール部材と、当該スケール部材の検出パターンを検出するセンサー部と、を有し、
前記スケール部材は、前記検出パターンが形成された第1の部分を含み、
少なくとも前記第1の部分は、帯電列で前記駆動信号の極性と同極性側の順位にある材料から構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、スケール部材のうち、少なくとも第1の部分は、駆動信号の極性と同極性に帯電する。また、液体噴射ヘッドのノズルから噴射された液体は、静電誘導により駆動信号の極性と同極性に帯電する。さらに、この液体の噴射に伴って生じるミストも駆動信号の極性と同極性に帯電する。第1の部分とミストとの間に斥力が作用するため、当該第1の部分に対するミストの付着が防止される。これにより、第1の部分に対するミストの付着によるセンサー部の検出精度(読取精度)の低下が抑制される。また、第1の部分は、他の部材との積極的な摩擦をすることなく気流等により帯電するため、摩耗の虞が無い。このため、摩耗による機能の低下を防止することができる。また、摩擦をするための部材を別途設ける必要がないため、省スペース化に寄与することができる。
【0012】
上記構成において、前記スケール部材は、前記第1の部分以外の第2の部分を含み、当該第2の部分は、帯電列で前記第1の部分よりも前記駆動信号の極性と反対極性側の順位にある材料から構成された構成を採用することが望ましい。
【0013】
上記構成によれば、スケール部材の第2の部分が、帯電列で第1の部分よりも駆動信号の極性と反対極性側の順位にある材料から構成されたので、ミストの帯電極性とは反対極性に帯電する。これにより、ミストは第2の部分に静電気力により吸着されて回収される。その結果、浮遊ミストが低減され、第1の部分やその他の構成部品へのミストの付着がより確実に防止される。
さらに、上記目的を達成するために提案される本発明の液体噴射装置は、以下の構成を備えたものであってもよい。
すなわち、液体を噴射するノズル、当該ノズルに連通する圧力室、および、駆動信号の印加により駆動して前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の駆動により前記ノズルから液体を噴射させる液体噴射ヘッドと、
装置の駆動部の駆動量を検出する検出装置と、を備える液体噴射装置であって、
前記検出装置は、検出パターンが形成されたスケール部材と、当該スケール部材の検出パターンを検出するセンサー部と、を有し、
前記スケール部材は、前記検出パターンが形成された第1の部分を含み、
少なくとも前記第1の部分は、前記液体噴射ヘッドの移動により生じる空気との摩擦によって前記駆動信号の極性と同極性に帯電する材料から構成されたことを特徴とする。
この構成によれば、スケール部材のうち、少なくとも第1の部分は、液体噴射ヘッドの移動により生じる空気との摩擦によって駆動信号の極性と同極性に帯電する。また、液体噴射ヘッドのノズルから噴射された液体は、静電誘導により駆動信号の極性と同極性に帯電する。さらに、この液体の噴射に伴って生じるミストも駆動信号の極性と同極性に帯電する。第1の部分とミストとの間に斥力が作用するため、当該第1の部分に対するミストの付着が防止される。これにより、第1の部分に対するミストの付着によるセンサー部の検出精度(読取精度)の低下が抑制される。また、第1の部分は、他の部材との積極的な摩擦をすることなく気流等により帯電するため、摩耗の虞が無い。このため、摩耗による機能の低下を防止することができる。また、摩擦をするための部材を別途設ける必要がないため、省スペース化に寄与することができる。
また、上記構成において、前記スケール部材は、前記第1の部分以外の第2の部分を含み、当該第2の部分は、帯電列で前記第1の部分よりも前記駆動信号の極性と反対極性側の順位にある材料から構成された構成を採用することが望ましい。
上記構成によれば、スケール部材の第2の部分が、帯電列で第1の部分よりも駆動信号の極性と反対極性側の順位にある材料から構成されたので、ミストの帯電極性とは反対極性に帯電する。これにより、ミストは第2の部分に静電気力により吸着されて回収される。その結果、浮遊ミストが低減され、第1の部分やその他の構成部品へのミストの付着がより確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】プリンターの内部構成を説明する図である。
図2】記録ヘッドの要部断面図である。
図3】圧電振動子の構成を説明する断面図である。
図4】記録ヘッドの電気的構成を説明するブロック図である。
図5】噴射駆動パルスの構成を説明する波形図である。
図6】リニアスケールの構成を説明する図である。
図7】ロータリーエンコーダーの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
【0016】
図1はプリンター1の内部構成を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。このプリンター1は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド2が取り付けられると共に、液体供給源の一種であるインクカートリッジ3が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録動作時の記録ヘッド2の下方に配設されたプラテン5と、キャリッジ4を記録紙6(記録媒体および着弾対象の一種)の紙幅方向、即ち、主走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構7と、記録紙6がセットされる給紙部13と、主走査方向に直交する副走査方向に記録紙6を搬送する搬送部8と、印刷が終了した記録紙6を排出する排紙部14と、搬送部8および排紙部14を駆動するモーターから成る駆動モーター15と、駆動モーター15の回転駆動力を搬送部8から排紙部14に伝達する伝動部16と、を備えている。
【0017】
キャリッジ4は、主走査方向に架設されたガイドロッド9に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ移動機構7の作動により、ガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するように構成されている。キャリッジ4の主走査方向の位置は、リニアエンコーダー10によって検出され、その検出信号、即ち、リニアエンコーダーパルスがプリンターコントローラー72(図4参照)に送信される。リニアエンコーダー10は、記録ヘッド2の走査位置に応じたリニアエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報として出力する。すなわち、プリンター1における駆動部の一種としてのキャリッジ4およびこれに搭載された記録ヘッド2の移動量(駆動量)を検出する検出装置として機能する。このリニアエンコーダー10は、フレーム2の背面の内壁に主走査方向に沿って張設されたリニアスケール17(スケール部材の一種)と、キャリッジ4の背面に取り付けられたリニアセンサー部18(センサー部の一種)と、を備えている。リニアエンコーダー10の検出方式としては光学式や磁気式などがあり、本実施形態では光学式が採用されている。なお、リニアエンコーダー10の詳細については後述する。
【0018】
キャリッジ4の移動範囲内における記録領域よりも外側の端部領域には、キャリッジの走査の基点となるホームポジションが設定されている。本実施形態におけるホームポジションには、記録ヘッド2のノズル形成面(ノズルプレート50:図2参照)を封止するキャッピング部材11と、ノズル形成面を払拭するためのワイパー部材12とが配置されている。そして、プリンター1は、このホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ4が移動する往動時と、反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ4が戻る復動時との双方向で記録紙6上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録が可能に構成されている。
【0019】
プラテン5は、主走査方向に長尺な板状の部材であり、その表面には長手方向に沿って所定の間隔で複数の支持突起5aが突設されている。各支持突起5aはプラテン面よりも上方(記録動作時における記録ヘッド2側)へ突出している。各支持突起5aの上面は、記録紙6を支える当接面となり、記録紙6の背面(インクが着弾する記録面とは反対側の面)を部分的に支える。また、プラテン5の表面であって、各支持突起5aから外れた部分には、インク吸収材5bが配設されている。このインク吸収材5bは、例えばフェルトやスポンジ等で作製された吸液性を有する多孔質部材から成る。
【0020】
搬送部8は、搬送駆動ローラー21、搬送従動ローラー22、シャフト23、ローター24、および搬送ローラー駆動ギア25を有している。シャフト23は、プリンター1の筐体の上フレーム27に回転自在に軸支されている。搬送ローラー駆動ギア25、上フレーム27、ローター24、搬送駆動ローラー21は、図1(b)の手前側から、シャフト23の軸方向においてこの順に重なる状態で配置されている。搬送駆動ローラー21、ローター24、および搬送ローラー駆動ギア25は、回転軸としてのシャフト23に接続されている。そして、ローター24は、駆動モーター15による駆動力により回転する。これに伴って、搬送駆動ローラー21および搬送ローラー駆動ギア25も一体的に回転する。搬送ローラー駆動ギア25は、後述する伝動部16の第1伝動ギア37と噛み合っている。したがって、搬送ローラー駆動ギア25が回転することにより、伝動部16の第1伝動ギア37に駆動モーター15の駆動力が伝達される。搬送従動ローラー22は、筐体に回転自在に軸支され、押圧部材29によってプラテン5側へ押圧される。給紙部13から記録紙6が送られてくると、押圧部材29が搬送従動ローラー22をプラテン5側に押圧することにより、搬送従動ローラー22とプラテン5との間に記録紙6が挟まれる。この状態で搬送駆動ローラー21が回転すると、記録紙6が下流側に搬送されると共に、この記録紙6の移動に伴って搬送従動ローラー22が回転する。
【0021】
ローター24は、ロータリーエンコーダー26を有しており、本発明におけるスケール部材の一種としても機能する。搬送部8による記録紙6の搬送量は、ロータリーエンコーダー26によって検出され、その検出信号、即ち、ロータリーエンコーダーパルス(位置情報の一種)がプリンターコントローラー72(図4参照)に送信される。すなわち、ロータリーエンコーダー26は、プリンター1における駆動部の一種としての搬送部8の搬送駆動ローラー21の回転量(駆動量)、換言すると、記録紙6の搬送量を検出する検出装置として機能する。このロータリーエンコーダー26の詳細については後述する。
【0022】
排紙部14は、排紙駆動ローラー31、排紙従動ローラー32、シャフト33、および排紙部駆動ギア34を有し、記録紙6の搬送経路においてプラテン5の下流側(排紙側)に配置されている。排紙駆動ローラー31および排紙部駆動ギア34は、それぞれ回転軸としてのシャフト33に接続されている。シャフト33は、上フレーム27に回転自在に支持されている。また、排紙従動ローラー32は、上フレーム27に対して回転自在に支持され、排紙駆動ローラー31の回転に伴って回転する。排紙部駆動ギア34は、後述する伝動部16の第2伝動ギア38と噛み合っている。したがって、駆動モーター15による駆動力が、伝動部16の第2伝動ギア38を介して排紙部駆動ギア34に伝達される。排紙部駆動ギア34がシャフト33を軸として回転すると、排紙駆動ローラー31も一体的に回転する。そして、プラテン5側から記録紙6が送られてくると、当該記録紙6は、排紙駆動ローラー31と排紙従動ローラー32との間に挟まれる。この状態で排紙駆動ローラー31が回転すると、記録紙6が排紙側に搬送され、この記録紙6の移動に伴って排紙従動ローラー32が回転する。
【0023】
伝動部16は、シャフト36、第1伝動ギア37、および第2伝動ギア38を有する。第1伝動ギア37および第2伝動ギア38は、図1(b)における手前からこの順に配置され、回転の軸としてのシャフト36に接続されている。シャフト36は、筐体の上フレーム27に回転自在に支持される。シャフト36は接地されており、第1伝動ギア37および第2伝動ギア38もシャフト36を通じて接地されている。
【0024】
図2は、記録ヘッド2の構成を説明する要部断面図である。この記録ヘッド2は、ケース41と、このケース41内に収納される振動子ユニット42と、ケース41の底面(先端面)に接合される流路ユニット43と、カバー部材45等を備えている。上記のケース41は、例えば、エポキシ系樹脂により作製され、その内部には振動子ユニット42を収納するための収納空部44が形成されている。振動子ユニット42は、圧力発生手段の一種として機能する圧電振動子46と、この圧電振動子46が接合される固定板47と、圧電振動子46に駆動信号を供給するフレキシブルケーブル48とを備えている。
【0025】
図3は、振動子ユニット42の構成を説明する素子長手方向の断面図である。同図に示すように、圧電振動子46は、共通内部電極65と個別内部電極66とで、圧電体67を挟んで交互に積層して形成された積層型の圧電振動子である。ここで、共通内部電極65は、全ての圧電振動子46に共通な電極であり、接地電位に設定される。また、個別内部電極66は、印加される駆動信号の噴射駆動パルスDP(図5参照。)に応じて電位が変動する電極である。そして、本実施形態では、圧電振動子46における振動子先端から振動子長手方向(積層方向とは直交する方向)の半分程度まで若しくは3分の2程度までの部分が自由端部46aとなっている。また、圧電振動子46における残りの部分、即ち、自由端部46aの基端から振動子基端までの部分が基端部(固定端部)46bとなっている。
【0026】
自由端部46aには、共通内部電極65と個別内部電極66とが重なり合った活性領域(オーバーラップ部分)Aが形成されている。これらの内部電極65,66に電位差を与えると、活性領域Aの圧電体67が作動して変形し、自由端部46aが振動子長手方向に変位して伸縮する。そして、共通内部電極65の基端は、圧電振動子46の基端面部で共通外部電極69に導通している。一方、個別内部電極66の先端は、圧電振動子46の先端面部で個別外部電極69に導通している。なお、共通内部電極65の先端は圧電振動子46の先端面部よりも少し手前(基端面側)に位置しており、個別内部電極66の基端は自由端部46aと基端部46bの境界に位置している。
【0027】
個別外部電極69(駆動電極)は、圧電振動子46の先端面部と、圧電振動子46における積層方向の一側面である配線接続面(図3における上側の面)とに一連に形成された電極であり、配線部材としてのフレキシブルケーブル48の配線パターンと各個別内部電極66とを導通する。そして、この個別外部電極69の配線接続面側の部分は、基端部46b上から先端側に向けて連続的に形成されている。共通外部電極69は、圧電振動子46の基端面部と、上記の配線接続面と、圧電振動子46における積層方向の他側面である固定板取付面(図3における下側の面)とに一連に形成された電極であり、フレキシブルケーブル48の配線パターンと各共通内部電極65との間を導通する。そして、この共通外部電極69における配線接続面側の部分は個別外部電極69の端部よりも少し手前から基端面部側に向けて連続的に形成されており、固定部取付面側の部分は振動子の先端面部よりも少し手前の位置から基端側に向けて連続的に形成されている。
【0028】
上記の基端部46bは、活性領域Aの圧電体67の作動時においても伸縮しない非作動部である。この基端部46bの配線接続面側にはフレキシブルケーブル48が配置されており、基端部46b上で個別外部電極69及び共通外部電極69とフレキシブルケーブル48とが電気的に接続される。そして、このフレキシブルケーブル48を通して駆動信号が各個別外部電極69に印加される。
【0029】
流路ユニット43は、流路形成基板49の一方の面にノズルプレート50が接合されると共に、流路形成基板49の他方の面に振動板51が接合されて構成されている。この流路ユニット43には、リザーバー52(共通液室)と、インク供給口53と、圧力室54と、ノズル連通口55と、ノズル56とが設けられている。そして、インク供給口53から圧力室54及びノズル連通口55を経てノズル56に至る一連のインク流路が、各ノズル56に対応して形成されている。
【0030】
上記ノズルプレート50は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル56が列状に穿設されたステンレス等の金属製の薄いプレートである。このノズルプレート50には、ノズル56を列設してノズル列(ノズル群)が複数設けられており、1つのノズル列は、例えば180個のノズル56によって構成される。
【0031】
上記振動板51は、支持板57の表面に弾性体膜58を積層した二重構造である。本実施形態では、金属板の一種であるステンレス板を支持板57とし、この支持板57の表面に樹脂フィルムを弾性体膜58としてラミネートした複合板材を用いて振動板51を作製している。この振動板51には、圧力室54の容積を変化させるダイヤフラム部59が設けられている。また、この振動板51には、リザーバー52の一部を封止するコンプライアンス部60が設けられている。
【0032】
上記のダイヤフラム部59は、エッチング加工等によって支持板57を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム部59は、圧電振動子46の自由端部46aの先端面が接合される島部61と、この島部61を囲む薄肉弾性部62とからなる。上記のコンプライアンス部60は、リザーバー52の開口面に対向する領域の支持板57を、ダイヤフラム部59と同様にエッチング加工等によって除去することにより作製され、リザーバー52に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
【0033】
そして、上記の島部61には圧電振動子46の先端面が接合されているので、この圧電振動子46の自由端部46aを伸縮させることで圧力室54の容積を変動させることができる。この容積変動に伴って圧力室54内のインクに圧力変動が生じる。そして、記録ヘッド2は、この圧力変動を利用してノズル56からインクを噴射させるようになっている。
【0034】
カバー部材45は、流路ユニット43の側面やヘッドケース41の側面を保護する部材であり、ステンレス鋼等の導電性を有する板材から作製されている。本実施形態におけるカバー部材45の一部は、ノズルプレート50のノズル56を露出させた状態でノズル形成面の周縁部に当接しており、当該ノズルプレート50に対して電気的に導通している。カバー部材45は接地されており、ノズルプレート50に接触して導通することで、例えば、記録紙6等から発生した静電気がノズルプレート50を通じて伝達することによる駆動IC等の損傷やノズルプレート50の帯電を防止するようになっている。
【0035】
次に、プリンター1の電気的構成を説明する。
図4は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。外部装置71は、例えばコンピューターやデジタルカメラなどの画像を取り扱う電子機器である。この外部装置71は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1において記録紙6等の記録媒体に画像やテキストを印刷させるため、その画像等に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
【0036】
本実施形態におけるプリンター1は、駆動モーター15、搬送部8、伝動部16、排紙部14、キャリッジ移動機構7、リニアエンコーダー10、ロータリーエンコーダー26、記録ヘッド2、及び、プリンターコントローラー72を有する。
【0037】
プリンターコントローラー72は、プリンターの各部の制御を行うための制御ユニットである。プリンターコントローラー72は、インターフェース(I/F)部75と、CPU76と、記憶部77と、駆動信号生成部78と、を有する。インターフェース部75は、外部装置71からプリンター1へ印刷データや印刷命令を送ったり、外部装置71がプリンター1の状態情報を受け取ったりする等プリンターの状態データの送受信を行う。CPU76は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。記憶部77は、CPU76のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。CPU76は、記憶部77に記憶されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。
【0038】
CPU76は、リニアエンコーダー10から出力されるリニアエンコーダーパルスからタイミングパルスPTSを生成するタイミングパルス生成手段として機能する。そして、CPU76は、このタイミングパルスPTSに同期させて印刷データの転送や、駆動信号生成部78による駆動信号COMの生成等を制御する。また、CPU76は、タイミングパルスPTSに基づいて、ラッチ信号LAT等のタイミング信号を生成して記録ヘッド2のヘッド制御部53に出力する。ヘッド制御部53は、プリンターコントローラー72からのヘッド制御信号(印刷データおよびタイミング信号)に基づき、記録ヘッド2の圧電振動子46に対する駆動信号COMの噴射駆動パルスDP(図5参照)の印加制御等を行う。
【0039】
駆動信号生成部78は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成部78は、上記の電圧信号を増幅して駆動信号COMを生成する。この駆動信号COMは、記録媒体に対する印刷処理(記録処理或いは噴射処理)時に記録ヘッド2の圧力発生手段である圧電振動子46に印加されるものであり、繰り返し周期である単位期間内に、例えば図5に示す噴射駆動パルスDPを少なくとも1つ以上含む一連の信号である。ここで、噴射駆動パルスDPとは、記録ヘッド2のノズル56から液滴状のインクを噴射させるために、圧電振動子46に所定の動作を行わせるものである。
【0040】
図5は、駆動信号COMに含まれる噴射駆動パルスDPの構成の一例を示す波形図である。なお、図5において、縦軸は電位であり、横軸は時間である。また、噴射駆動パルスDPは、基準電位(中間電位)Vbから最大電位(最大電圧)Vmaxまでプラス側に電位が変化して圧力室54を膨張させる膨張要素p1と、最大電位Vmaxを一定時間維持する膨張維持要素p2と、最大電位Vmaxから基準電位Vbよりも低い最小電位(最小電圧)Vminまでマイナス側に電位が変化して圧力室54を急激に収縮させる収縮要素p3と、最小電位Vminを一定時間維持する収縮維持(制振ホールド)要素p4と、最小電位Vminから基準電位Vbまで電位が復帰する復帰要素p5と、を含んでいる。本実施形態における噴射駆動パルスDPは、最小電位(最小電圧)Vminが0以上であるため、全体としてプラスの電圧波形であるが、例えば共通外部電極69に印加されるバイアス電圧との関係で、部分的にマイナスの値を示す構成であっても良い。この場合、噴射駆動パルスDPの電圧が平均してプラスであるものとする。
【0041】
噴射駆動パルスDPが圧電振動子46に印加されると次のように作用する。まず、膨張要素p1により圧電振動子46が収縮し、これに伴って圧力室54が基準電位Vbに対応する基準容積から最大電位Vmaxに対応する最大容積まで膨張する。これにより、ノズル56に露出しているメニスカスが圧力室側に引き込まれる。この圧力室54の膨張状態は、膨張維持要素p2の印加期間中に亘って一定に維持される。膨張維持要素p2の後に続いて収縮要素p3が圧電振動子46に印加されると、当該圧電振動子46が伸長し、これにより、圧力室54が上記最大容積から最小電位Vminに対応する最小容積まで急激に収縮する。この圧力室54の急激な収縮によって圧力室54内のインクが加圧され、これにより、ノズル56からは数pl〜数十plのインクが噴射される。この圧力室54の収縮状態は、収縮維持要素p4の印加期間に亘って短時間維持され、その後、制振要素p5が圧電振動子46に印加されて、圧力室54が最小電位Vminに対応する容積から基準電位Vbに対応する基準容積まで復帰する。
【0042】
ここで、本発明に係るプリンター1は、記録ヘッド2のノズル56から噴射されるインクが、圧電振動子46の駆動電極(個別外部電極69)に印加される駆動電圧(噴射駆動パルスDP)と同極性に帯電することを利用して、リニアスケール17のスケール中央部17aおよびロータリーエンコーダー26のロータリースケール39にミストが付着することを抑制している点に特徴を有している。
【0043】
まず、本実施形態におけるリニアエンコーダー10の詳細について説明する。
図6は、リニアスケール17の構成を説明する図であり、(a)は部分拡大図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。リニアスケール17は、記録ヘッド2の移動方向、すなわち主走査方向に長尺な帯状の部材である。本実施形態においては、帯幅方向(短尺方向)の中央に位置するスケール中央部17a(本発明における第1の部分に相当)と、このスケール中央部17aの上下に設けられたスケール縁部17b(本発明における第2の部分に相当)と、から成り、これらのスケール中央部17aとスケール縁部17bとは、それぞれ異なる材質から構成されている。すなわち、リニアスケール17は、二色成型によって形成されている。
【0044】
スケール中央部17aは、キャリッジ4(記録ヘッド2)の位置検出に関与する部分(機能部分)であり、透明で、尚かつ、圧電振動子46の駆動電極(個別外部電極69)に印加される駆動信号(噴射駆動パルスDP)と同極性に帯電しやすい材料から成る。本実施形態においては、噴射駆動パルスDPがプラス極性の電圧であるため、スケール中央部17aは、帯電列でよりプラス側に帯電しやすい材料から作製されている。プラス側に帯電しやすい材料としては、アクリルやポリエステル等が挙げられる。また、スケール中央部17aには、光を遮蔽する遮光部80が、主走査方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。遮光部80は、スケール中央部17aの帯幅方向に長尺なスリット形状に印刷された(塗料などで塗りつぶされた)部分である。この遮光部80を一定の間隔で複数設けることで、隣り合う遮光部80の間には光が透過可能な透光部81が設けられている。すなわち、スケール中央部17aには、透光部81と遮光部80とが主走査方向に沿って交互にストライプ状に設けられて検出パターンが形成されている。なお、スケール中央部17aが不透明な材料から成る場合、例えば、スリット状の貫通穴を透光部として形成することで検出パターンとする構成も採用することができる。
【0045】
一方、スケール縁部17bは、キャリッジ4(記録ヘッド2)の位置検出に関与しない部分(非機能部分)であり、駆動電圧およびスケール中央部17aとは反対の極性に帯電しやすい材料から成る。本実施形態におけるスケール縁部17bは、帯電列でスケール中央部17aよりもマイナス側の順位にある材料から作製されている。マイナス側に帯電しやすい材料としては、塩化ビニルやポリエステル等が挙げられる。なお、スケール中央部17aとスケール縁部17bの材料の組み合わせは例示したものには限られない。リニアスケール17としての機能を奏することが可能であって、帯電列で相対的にスケール中央部17aがプラス側の順位、スケール縁部17bがマイナス側の順位であれば、任意の組み合わせを採用することができる。
【0046】
図1(b)に示すように、リニアセンサー部18は、光を照射する発光素子等を有する発光部19と、光を受光する受光素子等を有する受光部20とを備えている。発光部19と受光部20とは、リニアスケール17のスケール中央部17aを間に挟んで互いに対向するように配置されており、発光部19の光軸は受光部20に向けられている。発光部19から照射された光は、リニアスケール17の透光部81では透過して受光部20によって受光される一方、遮光部80では遮蔽されて受光部20に受光されない。そして、リニアセンサー部18は、スケール中央部17aの透光部81での受光状態と遮光部80での受光状態の差異に応じて、リニアエンコーダーパルスを、主走査方向におけるキャリッジ4の位置情報として出力するようになっている。これにより、プリンターコントローラー72は、リニアセンサー部18からのリニアエンコーダーパルスに基づいて、キャリッジ4に搭載された記録ヘッド2の走査位置を認識しながら、当該記録ヘッド2による記録紙6に対する記録動作を制御することができる。また、プリンターコントローラー72は、受光部20における受光タイミング(単位時間当たりの受光回数)に基づいて、キャリッジ4の移動速度を検出することもできる。
【0047】
上記構成のリニアスケール17では、キャリッジ4の移動による気流等によりスケール中央部17aがプラスに帯電し、スケール縁部17bがマイナスに帯電する。これにより、図6(b)に示すように、スケール中央部17aとスケール縁部17bとの間に局所的な閉電界Efが形成される。
【0048】
次に、本実施形態におけるロータリーエンコーダー26の詳細について説明する。
図7は、ロータリーエンコーダー26の構成を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は(a)におけるB−B線断面図である。ロータリーエンコーダー26は、ローター24の外周縁部に設けられたロータリースケール39(本発明における第1の部分に相当)と、当該ロータリースケール39よりも中央側(シャフト23側)のローター中央部84(本発明における第2の部分に相当)と、ロータリーセンサー部40(センサー部の一種)と、から成る。ロータリースケール39とローター中央部24aとは、それぞれ異なる材質から構成されている。すなわち、ローター24は、二色成型によって形成されている。
【0049】
ロータリースケール39は、記録紙6の搬送量の検出に関与する部分(機能部分)であり、圧電振動子46の駆動電極(個別外部電極69)に印加される駆動信号(噴射駆動パルスDP)と同極性に帯電しやすい材料から成る。本実施形態においては、噴射駆動パルスDPがプラス極性の電圧であるため、ロータリースケール39は、帯電列でよりプラス側に帯電しやすい材料から作製されている。また、ロータリースケール39には、ローター24の径方向に長尺なスリット部83が、円周に沿って所定の間隔で複数設けられている。このスリット部83は、ローター24の厚さ方向を貫通する貫通穴である。このスリット部83を一定の間隔で複数設けることで、隣り合うスリット部83の間には遮光部84が設けられている。すなわち、ロータリースケール39には、スリット部83と遮光部84とがロータリースケール39の円周に沿って交互に設けられて、検出パターンが形成されている。
【0050】
一方、ローター中央部24aは、記録紙6の搬送量の検出に関与しない部分(非機能部分)であり、駆動電圧およびロータリースケール39とは反対の極性に帯電しやすい材料から成る。本実施形態におけるローター中央部24aは、帯電列でロータリースケール39よりもマイナス側の順位にある材料から作製されている。
【0051】
図7(b)に示すように、ロータリーセンサー部40は、光を照射する発光素子等を有する発光部86と、光を受光する受光素子等を有する受光部87と、これらの発光部86および受光部87を保持するブラケット88と、を備えている。発光部86と受光部87とは、ロータリースケール39を間に挟んで互いに対向する状態でブラケット88に固定されている。このブラケット88は、プリンター1の筐体の上フレーム27に固定されている。また、発光部86の光軸は受光部87に向けられている。発光部86から照射された光は、ロータリースケール39のスリット部83では透過して受光部87によって受光される一方、遮光部84では遮蔽されて受光部87に受光されない。そして、ロータリーセンサー部40は、スリット部83での受光状態と遮光部84での受光状態の差異に応じて、ロータリーエンコーダーパルスを、副走査方向における記録紙6の搬送量情報として出力するようになっている。これにより、プリンターコントローラー72は、ロータリーセンサー部40からのロータリーエンコーダーパルスに基づいて、記録紙6の搬送量を認識しながら、記録ヘッド2による記録紙6に対する記録動作を制御することができる。
【0052】
上記構成のロータリーエンコーダー26では、ローター24の回転またはその他の駆動部の回転・移動による気流等により、ロータリースケール39がプラスに帯電し、ローター中央部24aがマイナスに帯電する。これにより、図7(b)に示すように、スケール中央部17aとスケール縁部17bとの間に閉電界Efが形成される。
【0053】
上記プリンター1では、プラス極性の噴射駆動パルスDPが圧電振動子46の個別外部電極69に印加されてインクの噴射が行われる際、静電誘導により圧力室54内における圧電振動子46の近傍のインクにはマイナス電荷が誘導され、ノズル56の近傍のインクにはプラス電荷が誘導される。そして、ノズル56から噴射されたインクはプラスに帯電する。記録紙6に向けて飛翔しているインクは、レナード効果によりプラスの帯電が強まる。これにより、飛翔する間にインクが分離して生じるサテライト液滴や、これよりも更に微小なミスト(以下、ミスト等)がプラスに帯電する。そして、これらのミスト等の一部は、記録紙6に着弾せずに浮遊する。
【0054】
上述したように、本実施形態におけるリニアスケール17の機能部分であるスケール中央部17aがプラスに帯電し、非機能部分であるスケール縁部17bがマイナスに帯電する。これにより、プラスに帯電したスケール中央部17aに関しては、同じくプラスに帯電したミストとの間に斥力が作用するため、当該ミストの付着が防止される。その結果、ミストの付着による検出精度の低下が防止される。一方、当該ミストMsは、図6(b)に示すように、マイナスに帯電したスケール縁部17bに静電気力によって吸着されて回収される。これにより、浮遊ミストが低減され、機能部分であるスケール中央部17aや、プリンター1の内部のその他の構成部品へのミストの付着がより確実に防止される。
【0055】
同様に、本実施形態におけるロータリーエンコーダー26の機能部分であるロータリースケール39はプラスに帯電し、非機能部分であるローター中央部24aがマイナスに帯電する。これにより、プラスに帯電したロータリースケール39に関しては、プラスに帯電したミストとの間に斥力が作用するため、当該ミストの付着が防止される。その結果、ミストの付着による検出精度の低下が防止される。一方、当該ミストMsは、図7(b)に示すように、マイナスに帯電したローター中央部24aに静電気力によって吸着されて回収される。これにより、浮遊ミストが低減され、機能部分であるロータリースケール39やその他の構成部品へのミストの付着がより確実に防止される。
【0056】
以上のように、本発明に係るプリンター1では、スケール部材であるリニアスケール17、および、ローター24に関し、機能部分(第1の部分)であるスケール中央部17a、および、ロータリースケール39が、帯電列で駆動信号(噴射駆動パルスDP)の極性と同極性側の順位にある材料から構成されたので、スケール部材の機能部分に対し、駆動信号と同極性に帯電したミストの付着が防止される。これにより、機能部分に対するミストの付着によるセンサー部の検出精度の低下が抑制される。その結果、プリンター1の信頼性が向上する。また、機能部分は、他の部材との積極的な摩擦をすることなく気流等により帯電するため、摩耗の虞が無い。このため、摩耗による機能の低下を防止することができる。また、摩擦をするための部材を別途設ける必要がないため、省スペース化に寄与することができる。
【0057】
さらに、本実施形態においては、リニアスケール17の非機能部分(第2の部分)であるスケール縁部17b、および、ローター中央部24aが、帯電列で機能部分よりも駆動信号の極性と反対極性側の順位にある材料から構成されたので、ミストは非機能部分に吸着されて回収される。これにより、浮遊ミストが低減され、機能部分やその他の構成部品へのミストの付着がより確実に防止される。
【0058】
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態では、機能部分であるスケール中央部17a、および、ロータリースケール39が、帯電列で駆動信号の極性と同極性側の順位にある材料から構成され、非機能部分(第2の部分)であるスケール縁部17b、および、ローター中央部24aが、帯電列で機能部分よりも駆動信号の極性と反対極性側の順位にある材料から構成された例を示したが、これには限られない。少なくとも、機能部分が、帯電列で駆動信号の極性と同極性側の順位にある材料から構成されていれば、当該機能部分へのミストの付着防止効果が得られる。
【0060】
また、上記実施形態では、インクが噴射される際に生じるミストがプラスに帯電する構成を例示したが、これには限られない。例えば、圧電振動子に印加される駆動信号(噴射駆動パルスDP)の極性がマイナスの構成では、条件によってはミストがマイナスに帯電する場合も考えられる。この場合、機能部分をマイナスに帯電しやすい材料で構成し、非機能部分をプラスに帯電しやすい材料で構成することもできる。この構成においても、ミストが機能部分に付着することが抑制される。
【0061】
また、上記実施形態では、圧力発生手段として、所謂縦振動型の圧電振動子46を例示したが、これには限られず、例えば、所謂撓み振動型の圧電振動子を採用することも可能である。この場合、図5に例示した駆動信号(噴射駆動パルスDP)の波形に関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。その他、圧力発生手段としては、発熱によりインクを突沸させることで圧力変動を生じさせる発熱素子や、静電気力により圧力室の区画壁を変位させることで圧力変動を生じさせる静電アクチュエーターなど、電圧の印加により駆動される圧力発生手段を採用する構成においても本発明を適用することが可能である。
【0062】
そして、本発明は、圧力発生手段を用いて液体の噴射制御が可能な液体噴射装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体噴射装置、例えば、ディスプレイ製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。そして、ディスプレイ製造装置では、色材噴射ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極製造装置では、電極材噴射ヘッドから液状の電極材料を噴射する。チップ製造装置では、生体有機物噴射ヘッドから生体有機物の溶液を噴射する。
【符号の説明】
【0063】
1…プリンター,2…記録ヘッド,6…記録紙,8…搬送部,10…リニアエンコーダー,14…排紙部,15…駆動部,16…伝動部,17…リニアスケール,17a…スケール中央部,17b…スケール縁部,18…リニアセンサー部,24…ローター,24a…ローター中央部,26…ロータリーエンコーダー,39…ロータリースケール,40…ロータリーセンサー部,46…圧電振動子,50…ノズルプレート,54…圧力室,56…ノズル,69…個別外部電極,78…駆動信号生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7