特許第5824876号(P5824876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5824876-物理量検出器の製造方法 図000002
  • 特許5824876-物理量検出器の製造方法 図000003
  • 特許5824876-物理量検出器の製造方法 図000004
  • 特許5824876-物理量検出器の製造方法 図000005
  • 特許5824876-物理量検出器の製造方法 図000006
  • 特許5824876-物理量検出器の製造方法 図000007
  • 特許5824876-物理量検出器の製造方法 図000008
  • 特許5824876-物理量検出器の製造方法 図000009
  • 特許5824876-物理量検出器の製造方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824876
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】物理量検出器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/10 20060101AFI20151112BHJP
   H01L 41/08 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   G01P15/10
   H01L41/08 Z
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-120050(P2011-120050)
(22)【出願日】2011年5月30日
(65)【公開番号】特開2012-247336(P2012-247336A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
(74)【代理人】
【識別番号】100107261
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 修
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 潤
(72)【発明者】
【氏名】中仙道 和之
(72)【発明者】
【氏名】亀田 高弘
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−304765(JP,A)
【文献】 特開2004−133108(JP,A)
【文献】 実開昭57−069246(JP,U)
【文献】 実開昭64−041145(JP,U)
【文献】 特開2003−344444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00−15/18
G01C19/56
H01L41/08
H01L29/84
H01L23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部と、可動部の一端に接続され且つ前記可動部の外縁から間隙をあけて設けられた延出部分を備えたベース部と、前記可動部と前記ベース部の前記延出部分とをつなぐ連結部と、を水晶、ガラス、およびシリコンのいずれかの一つの材料から形成する工程と、
前記可動部に物理量検出素子を設ける工程と、
前記連結部を撓ませて切断する工程と、
有し、
前記連結部は、前記可動部の厚み方向からの平面視において2か所に幅が括れている括れ部と、該2か所の括れ部の間の除去部と、を有するように形成される
ことを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記物理量検出素子を設ける工程の後に、前記連結部を撓ませて切断する工程を行うことを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記連結部は、前記可動部および前記ベース部の前記延出部分の少なくとも一方よりも薄く形成されることを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記連結部は、片面のみを加工して前記可動部および前記ベース部の前記延出部分の少なくとも一方よりも薄く形成されることを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項5】
請求項に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記可動部および前記ベース部の前記延出部分の少なくとも一方において、平面視で外縁が窪んでいる窪み部分を備え、
前記連結部は前記窪み部分に接続されることを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記ベース部の前記延出部分は、前記可動部の外縁を囲うように設けられ、
前記連結部は、前記可動部の中心線に沿って形成されることを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の物理量検出器の製造方法において、
前記ベース部の前記延出部分は、前記平面視において前記可動部の一端から他端に向かう方向に沿って前記可動部の両側に延在するように設けられ、
前記連結部は、前記可動部の両側に延在する前記延出部分の夫々と前記可動部との間に形成されることを特徴とする物理量検出器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量検出器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物理量検出器としての加速度検出器には、例えば、圧電振動素子に検出軸方向の力が作用すると圧電振動素子の共振周波数が変化する現象を利用して、この共振周波数の変化から加速度検出器に印加される加速度を検出するように構成されているものがある。
例えば、特許文献1には、フレーム状の平行四辺形枠の一方の対角に双音叉型圧電振動素子を接合し、他方の対角に圧縮力、または引っ張り力を加える構成の加速度計(加速度検出器)、及びその製造方法が開示されている。
【0003】
特許文献1の加速度検出器は、固定部と、固定部に丁番を介して接続され丁番軸回りに回動可能な可動部(震性マス)と、を備えた略平板状の中央素子と、中央素子の両面に接着され、双音叉型圧電振動素子が組み込まれた略平板状の一対のトランスジューサー素子と、を備えている(特許文献1の図3参照)。
上記加速度検出器は、一対の双音叉型圧電振動素子間の、印加される加速度に応じて変化する共振周波数の差(周波数差)によって、加速度を検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−54411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の製造方法によれば、上記加速度検出器は、中央素子が、外周に位置する載置リングの外側に設けられた分離タブを介して、製造の間中、ウエハーに保持され、製造後分離タブを破壊することによってウエハーから分離される。
しかしながら、特許文献1の製造方法によれば、中央素子は、製造の間中、載置リングの内側の可動部(震性マス)の自由端側が、丁番軸回りに回動可能(変位可能)な状態にある。
このことから、特許文献1の製造方法によれば、上記加速度検出器の中央素子は、例えば、ウエットエッチングなどを用いた形状加工時や、一対のトランスジューサー素子の接着時などに加わる外力により、可動部や丁番が破損する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる物理量検出器の製造方法は、平板枠状のベース部と、該
ベース部の内側に配置され、一方の端部が継ぎ手部を介して前記ベース部に接続された平
板状の可動部と、前記ベース部と前記可動部とに前記継ぎ手部を跨いで架け渡された物理
量検出素子と、を備えた物理量検出器の製造方法であって、前記ベース部と、前記継ぎ手
部と、前記可動部と、該可動部の自由端としての他方の端部側に設けられ、前記ベース部
と前記可動部とをつなぐ連結部と、を一体で形成する工程と、前記物理量検出素子を前記
ベース部と前記可動部とに架け渡して固定する工程と、前記連結部を切断する工程と、を
有することを特徴とする。また他の態様では、可動部と、可動部の一端に接続され且つ前記可動部の外縁から間隙をあけて設けられた延出部分を備えたベース部と、前記可動部と前記ベース部の前記延出部分とをつなぐ連結部と、を形成する工程と、前記可動部に物理量検出素子を設ける工程と、前記連結部を切断する工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、ベース部(固定部に相当)と、継ぎ手部(丁番に相当)と、可動部と、連結部と、を一体で形成する工程と、加速度検出素子をベース部と可動部とに架け渡して固定する工程と、連結部を切断する工程と、を有する。
このことから、物理量検出器の製造方法は、製造工程時に加わる外力による可動部の撓みが連結部によって抑制され、製造工程時の可動部や継ぎ手部の破損を低減して、物理量検出器の生産性を向上させることができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記物理量検出素
子を設ける工程の後に、前記連結部を切断する工程を行うことが好ましい。
【0010】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、物理量検出素子をベース部と可動部とに架け渡して固定する工程の後に、連結部を切断する工程を行うことから、物理量検出素子をベース部と可動部とに架け渡して固定する際に加わる外力による可動部の撓みを、連結部によって抑制することができる。
この結果、物理量検出器の製造方法は、物理量検出素子をベース部と可動部とに架け渡して固定する工程時の可動部や継ぎ手部の破損を低減して、物理量検出器の生産性を向上させることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記連結部前記可動部および前記ベース部の前記延出部分の少なくとも一方よりも薄く形成されることを特徴とすることが好ましい。
【0012】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、連結部をベース部及び可動部よりも薄く形成することから、連結部を切断する工程において、ベース部及び可動部に悪影響を与えることなく連結部の切断を容易に行うことができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記連結部、片
面のみを加工して前記可動部および前記ベース部の前記延出部分の少なくとも一方よりも薄く形成されることが好ましい。
【0014】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、連結部を片面のみを加工してベース部及び可動部よりも薄く形成することから、両面からの加工と比較して、連結部の形成を容易に行うことができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記連結部は、幅が括れている括れ部を有しているように形成することが好ましい。
【0016】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、連結部を、ベース部側と可動部側とに括れ部を有するように形成することから、連結部を周囲より強度が弱い2箇所の括れ部で切断できるので、ベース部と可動部との間に所定の間隔(隙間)を確保することができる。
この結果、物理量検出器の製造方法は、可動部変位時におけるベース部と可動部との干渉を確実に回避することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記可動部および前記ベース部の前記延出部分の少なくとも一方において、平面視で外縁が窪んでいる窪み部分を備え、前記連結部は前記窪み部分に接続されることが好ましい。
【0018】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、連結部の括れ部を、平面視において、ベース部と可動部とに食い込むように形成することから、連結部の切断後の残部をベース部及び可動部の外形形状から突出させないようにすることができる。
この結果、物理量検出器の製造方法は、ベース部と可動部との間隔に対して、連結部の切断後の残部が影響を与えない(ベース部と可動部との間隔が切断後の残部の位置に依存しない)ことから、ベース部と可動部との間に所定の間隔を確実に確保することができる。
したがって、物理量検出器の製造方法は、可動部変位時におけるベース部と可動部との干渉を、より確実に回避することができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例にかかる物理量検出器の製造方法において、前記ベース部の前記延出部分は、前記可動部の外縁を囲うように設けられ、前記連結部は、前記可動部の中心線に沿って形成されることが好ましい。
【0020】
これによれば、物理量検出器の製造方法は、連結部を、平面視において、可動部の、可動部とベース部とを結んだ方向に沿った中心線に重なるように形成することから、連結部による可動部の支持バランスが良好となる。
この結果、物理量検出器の製造方法は、連結部が上記中心線と重ならない場合と比較して、可動部がより撓み難くなることから、製造工程時の可動部や継ぎ手部の破損を確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態の物理量検出器の概略構成を示す部分展開模式斜視図。
図2】本実施形態の物理量検出器の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
図3】物理量検出器の動作について説明する模式断面図であり、(a)は、可動部が紙面下方(−Z方向)に変位した状態を示し、(b)は、可動部が紙面上方(+Z方向)に変位した状態を示す。
図4】物理量検出器の製造工程の一例を示すフローチャート。
図5】ベース基板形成工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
図6】加速度検出素子接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
図7】連結部切断工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図、(c)は(a)のC部の拡大図。
図8】質量部接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
図9】連結部のバリエーションを示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
(実施形態)
最初に、物理量検出器の構成の一例について説明する。
図1は、本実施形態の物理量検出器の一例としての加速度検出器の概略構成を示す部分展開模式斜視図である。図2は、本実施形態の加速度検出器の概略構成を示す模式平断面図である。図2(a)は、平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A線での断面図である。なお、各配線は省略してあり、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
【0024】
図1図2に示すように、加速度検出器1は、平板枠状のベース部10と、ベース部10の枠の内側に配置され、一方の端部(固定端)が継ぎ手部11を介してベース部10に接続された矩形平板状の可動部12と、ベース部10と可動部12とに継ぎ手部11を跨いで架け渡された物理量検出素子としての加速度検出素子13と、を備えている。
【0025】
可動部12は、平板の表裏面に相当する両主面12a,12bに、平面視において、一部がベース部10における可動部12の他方の端部(自由端)側の領域と重なる一対の質量部(錘)15が配置されている。質量部15は、接合材16を介して主面12a,12bに接合されている。
ベース部10、継ぎ手部11、可動部12は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を用いて一体で略平板状に形成されている。なお、継ぎ手部11で接続された一方の端部側を除いて、可動部12とベース部10との間には、両者を分割するスリット状の孔が設けられている。
ベース部10、継ぎ手部11、可動部12の外形形状は、フォトリソグラフィー、エッチングなどの技術を用いて精度よく形成されている。
【0026】
継ぎ手部11は、両主面12a,12b側からのハーフエッチングによって、ベース部10と可動部12とを区切るように、ベース部10と可動部12とを結ぶ方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に沿って有底の溝部11aが形成されている。
溝部11aにより、継ぎ手部11のY軸方向に沿った断面形状(図2(b)の形状)は、略H字状に形成されている。
この継ぎ手部11により、可動部12は、主面12a(12b)と交差する方向(Z軸方向)に加わる加速度に応じて、継ぎ手部11を支点(回転軸)にして主面12aと交差する方向(Z軸方向)に変位(回動)可能となっている。
【0027】
質量部15は、可動部12の主面12a(12b)側に突出する円柱状(円板状)の凸部15aを有し、凸部15aの先端部が、可動部12の主面12a(12b)に接合材16を介して接合されている。
なお、凸部15aは、熱応力の抑制の観点から、可動部12への接合に必要な面積を確保しつつ、平面サイズを極力小さくすることが好ましい。また、質量部15は、接合時の傾き回避の観点から、平面視において、質量部15の重心が凸部15a内に収まることが好ましい。
質量部15は、加速度検出器1の感度向上を図るべく平面サイズを極力大きくするために、可動部12における継ぎ手部11側とは反対側の自由端側から、加速度検出素子13を避けて二股状で継ぎ手部11近傍まで延び、平面視において、略U字状に形成されている。
質量部15には、例えば、Cu、Auなどの金属に代表される比較的比重の大きい材料が用いられている。
接合材16には、弾性に優れたシリコーン系樹脂(変成シリコーン樹脂など)を含む接着剤として、例えば、シリコーン系熱硬化型接着剤が用いられている。
【0028】
加速度検出器1は、質量部15とベース部10とが重なる領域B(図2(a)のハッチング部分)では、図2(b)に示すように、質量部15とベース部10との間に隙間Cが設けられている。本実施形態では、隙間Cを凸部15aの厚さ(突出高さ)で管理している。
【0029】
加速度検出素子13は、ベース部10と可動部12とを結ぶ方向(Y軸方向)に沿って延びる少なくとも一以上(ここでは2本)の角柱状であって、X軸方向に屈曲振動をする振動梁13a,13bを有する加速度検出部13cと、加速度検出部13cの両端に接続された一対の基部13d,13eと、を備えている。
加速度検出素子13は、圧電材料を用いて2本の振動梁13a,13bと一対の基部13d,13eとで二組の音叉を構成することから、双音叉型圧電振動素子(双音叉素子、双音叉型振動片)とも呼ばれている。
加速度検出素子13は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を用いて、加速度検出部13cと基部13d,13eとが一体で略平板状に形成されている。また、加速度検出素子13の外形形状は、フォトリソグラフィー、エッチングなどの技術を用いて精度よく形成されている。
【0030】
加速度検出素子13は、一方の基部13dが可動部12の主面12a側に、例えば、低融点ガラス、共晶接合可能なAu/Sn合金被膜などの接合部材17を介して固定され、他方の基部13eがベース部10の主面10a側(可動部12の主面12aと同じ側)に接合部材17を介して固定されている。
なお、加速度検出素子13と、ベース部10の主面10a及び可動部12の主面12aとの間には、可動部12の変位時に加速度検出素子13とベース部10及び可動部12とが互いに接触しないように、所定の隙間が設けられている。この隙間は、本実施形態では、接合部材17の厚さで管理されている。
具体的には、例えば、ベース部10及び可動部12と加速度検出素子13との間に、所定の隙間に相当する厚さに形成されたスペーサーを挟んだ状態で、ベース部10及び可動部12と加速度検出素子13とを接合部材17によって固定することで、隙間を所定の範囲内に管理することができる。なお、加速度検出器1の製造方法については、後述する。
【0031】
加速度検出素子13は、振動梁13a,13bの図示しない励振電極(駆動電極)から基部13eに引き出された引き出し電極13f,13gが、例えば、金属フィラーなどの導電性物質が混合された導電性接着剤(例えば、シリコーン系導電性接着剤)18によって、ベース部10の主面10aに設けられた接続端子10b,10cと接続されている。
詳述すると、引き出し電極13fは、接続端子10bと接続され、引き出し電極13gは、接続端子10cと接続されている。
ベース部10の接続端子10b,10cは、図示しない配線によって、ベース部10の主面10aの反対側の面である主面10dに設けられた外部接続端子10e,10fと接続されている。詳述すると、接続端子10bは、外部接続端子10eと接続され、接続端子10cは、外部接続端子10fと接続されている。
なお、励振電極、引き出し電極13f,13g、接続端子10b,10c、外部接続端子10e,10fは、例えば、Crを下地層とし、その上にAuが積層された構成となっている。
【0032】
ここで、加速度検出器1の動作について説明する。
図3は、加速度検出器の動作について説明する模式断面図である。図3(a)は、可動部が紙面下方(−Z方向)に変位した状態を示し、図3(b)は、可動部が紙面上方(+Z方向)に変位した状態を示す。
【0033】
図3(a)に示すように、加速度検出器1は、Z軸方向に加わる加速度+αに応じた慣性力によって、可動部12が、継ぎ手部11を支点にして−Z方向に変位した場合、加速度検出素子13には、Y軸方向に基部13dと基部13eとが互いに離れる方向の引っ張り力が加わり、加速度検出部13cの振動梁13a,13bに引っ張り応力が生じる。
これにより、加速度検出器1は、例えば、巻き上げられた弦楽器の弦のように、加速度検出部13cの振動梁13a,13bの振動周波数(以下、共振周波数ともいう)が高くなる方に変化する。
【0034】
一方、図3(b)に示すように、加速度検出器1は、Z軸方向に加わる加速度−αに応じた慣性力によって、可動部12が、継ぎ手部11を支点にして+Z方向に変位した場合、加速度検出素子13には、Y軸方向に基部13dと基部13eとが互いに近づく方向の圧縮力が加わり、加速度検出部13cの振動梁13a,13bに圧縮応力が生じる。
これにより、加速度検出器1は、例えば、巻き戻された弦楽器の弦のように、加速度検出部13cの振動梁13a,13bの共振周波数が低くなる方に変化する。
【0035】
加速度検出器1は、この共振周波数の変化を検出可能な構成となっている。Z軸方向に加わる加速度(+α、−α)は、この検出された共振周波数の変化の割合に応じて、ルックアップテーブルなどによって定められた数値に変換することで導出される。
【0036】
ここで、図3(a)に示すように、加速度検出器1は、Z軸方向に加わる加速度+αが所定の大きさより大きい場合、可動部12の主面12aに固定された質量部15の、平面視においてベース部10と重なる部分がベース部10の主面10aに接触する。
これにより、加速度検出器1は、加速度+αに応じて−Z方向に変位する可動部12の変位を、所定の範囲(隙間Cに相当、図2(b)参照)内に規制する。
【0037】
一方、図3(b)に示すように、加速度検出器1は、Z軸方向に加わる加速度−αが所定の大きさより大きい場合、可動部12の主面12bに固定された質量部15の、平面視においてベース部10と重なる部分がベース部10の主面10dに接触する。
これにより、加速度検出器1は、加速度−αに応じて+Z方向に変位する可動部12の変位を、所定の範囲(隙間Cに相当、図2(b)参照)内に規制する。
【0038】
次に、加速度検出器1の製造方法の一例について説明する。
図4は、加速度検出器の製造工程の一例を示すフローチャートであり、図5図8は、各主要製造工程を説明する模式図である。
【0039】
図4に示すように、加速度検出器1の製造方法は、ベース基板形成工程S1と、加速度検出素子接合工程S2と、連結部切断工程S3と、質量部接合工程S4と、ベース基板分離工程S5と、を有している。
【0040】
[ベース基板形成工程S1]
まず、図5のベース基板形成工程を説明する模式図に示すように、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板(ウエハー)100を用いて、フォトリソグラフィー、ウエットエッチングなどの技術により、ベース部10と、継ぎ手部11と、可動部12と、可動部12の自由端側に設けられ、ベース部10と可動部12とをつなぐ連結部14と、が一体となったベース基板110を形成する。
なお、ベース基板110は、隣り合うベース基板110と接続梁(分離タブに相当)120を介して接続されることにより、一枚の水晶基板100に複数個取りされる。
【0041】
この際、連結部14を、ベース部10及び可動部12よりも薄く形成することが好ましい。このとき、連結部14を、片面(ベース部10の主面10d側、可動部12の主面12b側)のみをウエットエッチングなどで加工して、ベース部10及び可動部12よりも薄く形成することがより好ましい。
更に、連結部14を、例えば平面視または側面視においてベース部10側と可動部12側とに括れ部14a,14bを有するよう構成する。ただし、本実施形態の場合、連結部14の厚さが薄く形成されていることを考慮すると、括れ部14a、14bの厚さが極端に薄くなってしまわないように、平面視において、ベース部10側と可動部12側とに括れ部14a,14bを有するように形成することが好ましい。
【0042】
このとき、連結部14の括れ部14a,14bを、平面視において、ベース部10と可動部12とに食い込むように形成することがより好ましい。
換言すれば、ベース部10及び可動部12の互いに向かい合う側面を、例えば、平面視において、円弧状にえぐるようにして設けたスペースに、連結部14の括れ部14a,14bを形成することが好ましい。
そして、括れ部14aと括れ部14bとの間には、上記円弧と同心で略円形状の除去部14cを形成することが好ましい。
また、連結部14を、平面視において、可動部12の、可動部12とベース部10とを結んだ方向に沿った中心線12cに重なるように形成することが好ましい。
なお、上記の好ましい理由は後述する。
【0043】
なお、ベース基板110の各部分の厚さの一例としては、ベース部10及び可動部12が100μm〜200μm程度、継ぎ手部11が20μm程度、連結部14が40μm程度である。なお、継ぎ手部11は、両主面12a,12b側からのハーフエッチングによって形成する。
【0044】
[加速度検出素子接合工程S2]
ついで、図6の加速度検出素子接合工程を説明する模式図に示すように、加速度検出素子13をベース部10と可動部12とに架け渡して固定する。
具体的には、加速度検出素子13の一方の基部13dを、可動部12の主面12aに、例えば、低融点ガラス、共晶接合可能なAu/Sn合金被膜などの接合部材17を介して固定(接合)し、他方の基部13eを、ベース部10の主面10aに接合部材17を介して固定する。
なお、加速度検出素子13を、平面視において、可動部12とベース部10とを結んだ方向に沿った中心線13hが、可動部12の中心線12cと重なるように固定することが、加速度検出の感度や精度などの検出特性向上の観点から好ましい。
【0045】
この際、前述したように、加速度検出素子13と、ベース部10の主面10a及び可動部12の主面12aとの間に、可動部12の変位時に加速度検出素子13とベース部10及び可動部12とが互いに接触しないように、所定の隙間を設ける。この隙間は、本実施形態では、接合部材17の厚さで管理する。
具体的には、例えば、ベース部10及び可動部12と加速度検出素子13との間に、所定の隙間に相当する厚さに形成されたスペーサーを挟んだ状態で、ベース部10及び可動部12と加速度検出素子13とを接合部材17によって固定し、接合部材17硬化後にスペーサーを除去することで、隙間を所定の範囲内に管理する。
【0046】
ついで、加速度検出素子13の引き出し電極13f,13gを、例えば、金属フィラーなどの導電性物質が混合された導電性接着剤(例えば、シリコーン系導電性接着剤)18を介して、ベース部10の主面10aに設けられた接続端子10b,10cと接続する。
詳述すると、まず、引き出し電極13fと接続端子10bとに跨るように導電性接着剤18を塗布し、引き出し電極13gと接続端子10cとに跨るように導電性接着剤18を塗布する。
ついで、導電性接着剤18を加熱して硬化させ、引き出し電極13fと接続端子10bとを電気的に接続し、引き出し電極13gと接続端子10cとを電気的に接続する。
なお、この工程では、導電性接着剤18に代えて金属ワイヤーを用いて、ワイヤーボンディングによって引き出し電極13f,13gと接続端子10b,10cとを電気的に接続してもよい。
【0047】
[連結部切断工程S3]
ついで、図7の連結部切断工程を説明する模式図に示すように、ベース基板110の連結部14を切断する。
具体的には、例えば、図示しない細い円柱状の突起部を有する切断装置を用いて、図7(c)に示す、連結部14の除去部14cを、ベース部10の主面10a側から切断装置の突起部で押圧して、除去部14cを括れ部14a及び括れ部14bから切断(分離)する。このとき、括れ部14a,14bがベース部10及び可動部12から、除去部14cと一緒に切断されても構わない。
【0048】
ここで、除去部14cの直径Dは、ベース部10と可動部12との間隔Eより大きく形成されていることが好ましい。これにより、連結部14切断時に、括れ部14a,14bの切断面14d,14eを、ベース部10及び可動部12の外形形状線(図7(c)の2点鎖線で結んだ直線)より外側に突出しないようにすることが可能となる。
【0049】
[質量部接合工程S4]
ついで、図8の質量部接合工程を説明する模式図に示すように、質量部15を接合材16を介して可動部12の主面12a(12b)に固定(接合)する。
具体的には、まず、質量部15の凸部15aの先端部平面に、弾性に優れたシリコーン系樹脂(変成シリコーン樹脂など)を含む、例えば、シリコーン系熱硬化型接着剤が用いられた接合材16を、ディスペンサーなどの塗布装置で所定量塗布する。
ついで、質量部15を凸部15aが可動部12の主面12a(12b)側になるようにして位置合わせし、可動部12に配置する。
ついで、接合材16を加熱して硬化させ、質量部15を可動部12の主面12a(12b)に固定(接合)する。

この際、前述したように、質量部15の傾き回避の観点から、平面視において、質量部15の重心が凸部15a内に収まっていることが好ましい。
【0050】
[ベース基板分離工程S5]
ついで、図示しない切断装置を用いて接続梁120を切断し、ベース基板110を水晶基板100から分離して個片化し、図1図2に示すような、加速度検出器1を得る。
【0051】
なお、上記各工程は、支障のない範囲で順番を適宜入れ換えてもよい。例えば、質量部接合工程S4は、ベース基板分離工程S5でベース基板110を個片化した後で、個別に行ってもよい。
また、準備工程、検査工程、調整工程など上記以外の工程は、上記各工程の前後などに適宜行うものとする。
【0052】
上述したように、加速度検出器1の製造方法は、ベース部10と、継ぎ手部11と、可動部12と、連結部14と、を一体で形成するベース基板形成工程S1と、加速度検出素子13をベース部10と可動部12とに架け渡して固定する加速度検出素子接合工程S2と、連結部14を切断する連結部切断工程S3と、を有している。
そして、加速度検出器1の製造方法は、ベース部10と可動部12とをつなぐ連結部14を形成することから、製造工程中の、例えば、ウエットエッチングによるベース基板110形成時や、加速度検出素子13の可動部12への固定時などの外力が加わるときの可動部12の撓みを、連結部14により抑制することができる。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、製造工程時の可動部12や継ぎ手部11の破損を低減して、加速度検出器1の生産性を向上させることができる。
【0053】
また、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13をベース部10と可動部12とに架け渡して固定する加速度検出素子接合工程S2の後に、連結部14を切断する連結部切断工程S3を行う。
このことから、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13をベース部10と可動部12とに架け渡して固定する際に加わる外力による可動部12の撓みを、連結部14によって抑制することができる。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、加速度検出素子13をベース部10と可動部12とに架け渡して固定する加速度検出素子接合工程S2における可動部12や継ぎ手部11の破損を低減して、加速度検出器1の生産性を向上させることができる。
【0054】
また、加速度検出器1の製造方法は、連結部14をベース部10及び可動部12よりも薄く形成することから、連結部14を切断する連結部切断工程S3において、ベース部10及び可動部12に悪影響を与える(不具合を発生させる)ことなく、連結部14の切断を容易に行うことができる。
また、連結部切断工程S3において、予め水晶基板100を台などの平面の上に置いて作業する場合は、主面10bが台と接触した状態となる。ただし連結部14をベース部10及び可動部12よりも薄く形成することから、除去部14cの主面10b側の面と台との間に隙間が存在する。
したがって、切断装置の突起部を使って除去部14cを主面10b側へ押した際には、除去部14cが上述の隙間内へ変位することができ、これに伴って括れ部14aと括れ部14bとを十分に撓ませて切断させることができる。
【0055】
また、加速度検出器1の製造方法は、連結部14を片面(主面10d側)のみを加工してベース部10及び可動部12よりも薄く形成することから、両面からの加工と比較して、例えば、ウエットエッチングの際のマスキング形状が単純になるなどにより手間がかからず、連結部14の形成を容易に行うことができる。
【0056】
また、加速度検出器1の製造方法は、連結部14を、平面視において、ベース部10側と可動部12側とに括れ部14a,14bを有するように形成することから、連結部14を周囲より強度が弱い2箇所の括れ部14a,14bで切断できるので、ベース部10と可動部12との間に所定の間隔(隙間)を確保することができる。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、可動部12変位時におけるベース部10と可動部12との干渉を確実に回避することができる。
【0057】
また、加速度検出器1の製造方法は、連結部14の括れ部14a,14bを、平面視において、ベース部10と可動部12とに食い込むように形成することから、連結部14の括れ部14a,14bの切断後の切断面14d,14eを、ベース部10及び可動部12の外形形状線より外側に突出させないようにすることができる。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、ベース部10と可動部12との間隔Eに連結部14の切断後の残部が影響を与えない(ベース部10と可動部12との間隔Eが切断後の切断面14d,14eの位置に依存しない)ことから、ベース部10と可動部12との間に所定の間隔Eを確実に確保することができる。
したがって、加速度検出器1の製造方法は、可動部12変位時におけるベース部10と可動部12との干渉を、より確実に回避することができる。
【0058】
また、加速度検出器1の製造方法は、連結部14を、平面視において、可動部12の、可動部12とベース部10とを結んだ方向に沿った中心線12cに重なるように形成することから、連結部14による可動部12の支持バランスが良好となる。
この結果、加速度検出器1の製造方法は、連結部14が上記中心線12cと重ならない場合と比較して、可動部12がより撓み難くなることから、製造工程時の可動部12や継ぎ手部11の破損を確実に低減することができる。
【0059】
なお、連結部14は、上記の配置に限定するものではなく、例えば、図9の連結部のバリエーションを示す模式平面図に示すような配置としてもよい。
連結部14は、図9(a)に示すように、可動部12の自由端側であって、ベース部10及び可動部12の短辺の2箇所に設けてもよい。
これによれば、加速度検出器1の製造方法は、連結部14を2箇所に設けたことから、連結部14を1箇所に設けた場合と比較して、可動部12がより撓み難くなり、製造工程時の可動部12や継ぎ手部11の破損をより確実に低減することができる。
【0060】
また、連結部14は、図9(b)に示すように、可動部12の自由端側であって、ベース部10及び可動部12の両方(紙面上方と下方)の長辺にそれぞれ1箇所ずつ設けてもよい。
これによれば、加速度検出器1の製造方法は、連結部14をベース部10及び可動部12の両方の長辺にそれぞれ1箇所ずつ設けたことから、平面視において、質量部15と連結部14の除去部14cとが重ならないようにすることができる。
これにより、加速度検出器1の製造方法は、質量部接合工程S4後に、連結部切断工程S3を行うことが可能なことから、質量部接合工程S4における可動部12や継ぎ手部11の破損を低減することができる。
【0061】
なお、連結部14は、ベース部10の主面10d側に代えて、主面10a側から薄く加工してもよく、両主面10a,10d側から薄く加工してもよい。
この場合、連結部14の主面10aは、ベース部10及び可動部12の主面10aよりも奥まった位置になるので連結部切断工程S3の際に切断装置の突起部の据わりがよくなるなどの効果が得られる。
また、連結部14は、切断に支障がなければ、括れ部14a,14bがなくてもよく、ベース部10と可動部12との間隔の確保に支障がなければ、括れ部14a,14bをベース部10及び可動部12に食い込むように形成しなくてもよい。
また、連結部14は、除去部14cの形状が略円形状でなくてもよく、例えば、楕円形状、三角形状、四角形状など、切断に支障がない範囲で任意の形状にしてもよい。
また、連結部14は、除去部14cを括れ部14a,14bよりも厚く形成することにより、除去部14cの剛性を向上させ、連結部切断工程S3において、除去部14c内での切断(除去部14cの一部が残部となる切断)を確実に避けるようにしてもよい。
【0062】
なお、ベース基板110の材料は、水晶に限定するものではなく、ガラス、またはシリコンなどの半導体材料であってもよい。
また、加速度検出素子の材料は、水晶に限定するものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料、または酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料を被膜として備えたシリコンなどの半導体材料であってもよい。
【0063】
以上、物理量検出器として加速度検出装器を例に挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、加速度検出結果から力、速度、距離などを検出する物理量検出器にも適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1…加速度検出器、10…ベース部、10a…主面、10b,10c…接続端子、10d…主面、10e,10f…外部接続端子、11…継ぎ手部、11a…溝部、12…可動部、12a,12b…主面、12c…中心線、13…加速度検出素子、13a,13b…振動梁、13c…加速度検出部、13d,13e…基部、13f,13g…引き出し電極、13h…中心線、14…連結部、14a,14b…括れ部、14c…除去部、15…質量部、15a…凸部、16…接合材、17…接合部材、18…導電性接着剤、100…水晶基板、110…ベース基板、120…接続梁、B…質量部とベース部とが重なる領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9