(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824904
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】積層体製造装置
(51)【国際特許分類】
B29C 47/02 20060101AFI20151112BHJP
B29C 47/88 20060101ALI20151112BHJP
B29C 59/04 20060101ALI20151112BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20151112BHJP
B29L 9/00 20060101ALN20151112BHJP
【FI】
B29C47/02
B29C47/88 Z
B29C59/04 C
B29L7:00
B29L9:00
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-139395(P2011-139395)
(22)【出願日】2011年6月23日
(65)【公開番号】特開2013-6310(P2013-6310A)
(43)【公開日】2013年1月10日
【審査請求日】2014年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100164987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健二
(72)【発明者】
【氏名】竹島 良和
(72)【発明者】
【氏名】三好 誠治
【審査官】
山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−513809(JP,A)
【文献】
特開2005−199537(JP,A)
【文献】
特開2006−224335(JP,A)
【文献】
特開2001−322152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 47/00−47/96
B29C 59/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材が通過する方向にバックアップロールとニップロールとチルロールがこの順に配置され、押出機を経てTダイより溶融した熱可塑性樹脂を垂下させて形成した樹脂膜と基材とをバックアップロールとニップロールとの間、又は、ニップロールとチルロールとの間に通過させて積層体を製造する装置であって、
前記ニップロールの外周面に凹凸模様が形成され、且つ、前記ニップロールの直径が前記チルロールの直径より小さく着脱可能に設けられており、
前記押出機が、前記基材が通過する方向と平行に移動可能であり、前記樹脂膜と前記基材とを前記バックアップロールと前記ニップロールとの間、又は、前記ニップロールと前記チルロールとの間のどちらを通過させるかに応じて前記押出機の位置を移動させることを特徴とする積層体製造装置。
【請求項2】
前記チルロールの直径が400〜800mmφであり、前記ニップロールの直径が120〜250mmφであることを特徴とする請求項1記載の積層体製造装置。
【請求項3】
前記バックアップロール、前記ニップロールおよび前記チルロールの中心が略水平に位置することを特徴とする請求項1又は2記載の積層体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルムを主とした基材と熱可塑性樹脂をTダイよりフィルム状に押出して形成された樹脂膜を積層すると同時に積層された積層体の表面に凹凸模様を形成する積層体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押出機を経てTダイから溶融押出しされた熱可塑性樹脂膜はプラスチックフィルム、金属箔、合成紙、紙等の基材と重ね合わせてチルロール(冷却ロール)とニップロールとの間を通過させたときに押圧することにより積層され、チルロールにより冷却されて積層体が製造されている。
【0003】
この場合、ラミネートされた積層体に要求される性能に応じて、チルロール表面に形成された凹凸模様を積層体の表面に賦型することにより種々の凹凸模様を形成することが行われており、チルロールは表面に形成された凹凸模様が異なる種類のものが複数本準備されているのが通常であり、積層体に要求される滑り性、ブロッキング性、透明性、意匠性等の性能を満たすために、基材の種類、押出す熱可塑性樹脂の種類等を勘案して複数本のチルロールの中から最適の凹凸模様を有するチルロールが選択され使用されている。また、意匠性、ブランド性を高めるために特殊なデザインやロゴ、或いはホログラム等の凹凸模様を施したチルロールが使用されることもある。
【0004】
チルロールは押出された熱可塑性樹脂膜の冷却効率を高めるために、通常、直径600mmφ程度のものが使用されており、重量物であるので取扱いに手間がかかると共に労働負荷がかかるものである。
【0005】
積層体の凹凸模様を変更する場合には、その都度、所望の凹凸模様を有するチルロールに交換をする必要がある。チルロール交換に際し、まず旧チルロールに駆動伝達しているタイミングベルト等を外し、ボルトを取外して軸受カバーを取外し、旧チルロールをクレーン等で持ち上げ取り外し、所望の凹凸模様を有するチルロールに交換し、再び、上記とは逆の手順で取付ける。これらのチルロール交換作業は、手間がかかるものであり、交換時間がかかり過ぎるという問題や労働負荷がかかるという問題があった。
【0006】
一方、このような課題を解決するものとして、エクストルジョンラミネーターにおいて、冷却するクーリングロール(チルロール)の軸受が下側の支持台のみで構成されたエクストルジョンラミネーターのクーリングロール支持装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1の支持装置によりチルロール交換時間は短縮された。しかし、チルロールは複数本を準備しなければならず、チルロールは高価であり設備コストが嵩むという問題がある。また、チルロールは重量物であるので取扱いに手間がかかり交換時間の短縮には限界があり、まだ十分とは言えないのが実情である。
【0008】
また、万線状パターン群でなる微細な凹凸部が施されている金属版を冷却ロール(チルロール)に装着し、T型ダイスから押出した溶融合成樹脂を金属版の装着された冷却ロールに押出し、冷却し製膜すると同時に、万線状パターン群でなる微細な凹凸パターンを樹脂表面に形成する凹凸パターンを有するシートの製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
しかしながら、特許文献2に開示された技術は、金属版を歪まずに装着するにはスキルが要求され、熟練者でないと装着に手間がかかるという問題や、装着した合わせ目が発生するという問題があり、チルロール交換時間が短時間で、設備コストが少なくてすむ積層体製造装置の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平5−7436号公報
【特許文献2】特開2007−118274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意、研究の結果、凹凸模様をニップロールに形成し、ニップロールを着脱可能にすることにより、チルロール交換作業を少なくできることを見出し、本願発明に至った。すなわち、本発明の目的は、凹凸模様を形成するロールの設備コストが低減でき、凹凸模様を形成するロールの交換が容易で、短時間で交換可能な積層体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、基材が通過する方向にバックアップロールとニップロールとチルロールがこの順に配置され、押出機を経てTダイより溶融した熱可塑性樹脂を垂下させて形成した樹脂膜と基材とをバックアップロールとニップロールとの間
、又は、ニップロールとチルロールとの間に通過させて積層体を製造する装置であって、前記ニップロールの外周面に凹凸模様が形成され、且つ、前記ニップロールの直径が前記チルロールの直径より小さく着脱可能に設けられて
おり、前記押出機が、前記基材が通過する方向と平行に移動可能であり、前記樹脂膜と前記基材とを前記バックアップロールと前記ニップロールとの間、又は、前記ニップロールと前記チルロールとの間のどちらを通過させるかに応じて前記押出機の位置を移動させることを特徴とする積層体製造装置である。
【0013】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の積層体製造装置において、前記チルロールの直径が400〜800mmφであり、前記ニップロールの直径が120〜250mmφであることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の積層体製造装置において、
前記バックアップロール、前記ニップロールおよび前記チルロールの中心が略水平に位置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の積層体製造装置は、基材が通過する方向にバックアップロールとニップロールとチルロールがこの順に配置され、押出機を経てTダイより溶融した熱可塑性樹脂を垂下させて形成した樹脂膜と基材とをバックアップロールとニップロールとの間乃至はニップロールとチルロールとの間に通過させて積層体を製造する装置であって、前記ニップロールの外周面に凹凸模様が形成され、且つ、前記ニップロールの直径が前記チルロールの直径より小さく着脱可能に設けられている構成とすることにより、凹凸模様の変更に際しては、従来のようにチルロール交換をすることなく、ニップロールのみを交換することになり、ニップロールはチルロールに比べ小径であり取扱いが簡便となり、交換時間が短縮される。また、チルロールに比べ、ニップロールは小径であり、安価となるので設備コストが低減できる。さらに、チルロールの交換頻度が少なくなるので労働負荷が軽減される。また、Tダイより溶融した熱可塑性樹脂をバックアップロールとニップロールとの間に垂下させて樹脂膜を形成しバックアップロールとニップロールとの間に基材と樹脂膜とを通過させ押圧し、チルロールで冷却させることにより、樹脂膜の表面または樹脂膜と基材の両表面に凹凸模様を形成すると同時に積層することができる。さらに、Tダイより溶融した熱可塑性樹脂をニップロールとチルロールとの間に垂下させて樹脂膜を形成しニップロールとチルロールとの間に基材と樹脂膜とを通過させ押圧し、チルロールで冷却させることにより、基材の表面または基材と樹脂膜の両表面に凹凸模様を形成すると同時に積層することができる。
【0017】
また、請求項
1記載の本発明は、
前記押出機が、前記基材が通過する方向と平行に移動可能であり、前記樹脂膜と前記基材とを前記バックアップロールと前記ニップロールとの間、又は、前記ニップロールと前記チルロールとの間のどちらを通過させるかに応じて前記押出機の位置を移動させることができるので、押出機を移動することによりTダイより溶融した熱可塑性樹脂をバックアップロールとニップロールとの間乃至はニップロールとチルロールとの間に垂下させて樹脂膜を形成し、基材と積層することが容易となる。
【0018】
また、請求項
2記載の本発明は、
前記チルロールの直径が400〜800mmφであり、前記ニップロールの直径が120〜250mmφであるので、ニップロールの軽量化が図れ、取扱いが一層容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る積層体製造装置を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る積層体製造装置をエクストルージョンラミネーターのラミネート部に搭載した概略図である。
【
図3】本発明に係る積層体製造装置を用いた積層体製造方法の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明に係る積層体製造装置を示す概略図、
図2は本発明に係る積層体製造装置をエクストルージョンラミネーターのラミネート部に搭載した概略図、
図3は本発明に係る積層体製造装置を用いた積層体製造方法の他の例を示す概略図であり、図中の1は基材、2は樹脂膜、3、3’は凹凸模様を有する積層体、4は巻取、10はバックアップロール、11はニップロール、11aは凹凸模様、12はチルロール、13はTダイ、20は第1給紙装置、21はACコーティング装置、22は乾燥装置、23はラミネート部、24は巻取装置をそれぞれ示す。
【0021】
図1は本発明に係る積層体製造装置を示す概略図であって、積層体製造装置は、エクストルージョンラミネーターのラミネート部に載置されるものである。積層体製造装置は、
図1に示すように基材1が通過する方向(以下、ウェブ走行方向という。)にバックアップロール10とニップロール11とチルロール12がこの順に配置され、押出機(図示しない)を経てTダイ13より溶融した熱可塑性樹脂を垂下させて形成した樹脂膜2と基材1とをバックアップロール10とニップロール11との間に通過させて凹凸模様を有する積層体3を製造する装置である。
【0022】
また、押出機はウェブ走行方向と平行に移動可能とすることもできる。その場合、押出機に固定して設置されたTダイ13は押出機と共にウェブ走行方向と平行に移動する。後述するが、
図1の破線で示した部分まで移動させるとニップロール11とチルロール12との間にTダイ13より溶融した熱可塑性樹脂を垂下させて形成された樹脂膜2を導くことができ、ニップロール11とチルロール12との間に樹脂膜2と基材1を通過させて積層体3’(
図3参照)を製造することができる。なお、図中の破線は移動したTダイと樹脂膜を示し、符号は省略している。
【0023】
チルロール12には駆動手段が設けられ、エクストルージョンラミネーターにおける基材の走行速度はチルロール12の周速と同調するようになっている。バックアップロール10とニップロール11は、例えばエアシリンダー等を介してチルロール12に圧着できるように圧着手段を備えている。樹脂膜2と基材1とをバックアップロール10とニップロール11との間乃至はニップロール11とチルロール12との間に通過させて積層体を製造する際には、圧着手段によりニップロール11を介してバックアップロール10がチルロール12に圧着される。
バックアップロール10とニップロール11は駆動手段がなくてもよいが、樹脂膜2と基材1とをバックアップロール10とニップロール11との間で積層する場合には、バックアップロール10には駆動手段(図示しない)を設ける方が好ましい。
また、バックアップロール10、ニップロール11及びチルロール12には、ロールの軸方向の両端に通じる中空部(図示しない)を有しており、ロールの軸の一端から中空部を経て他端に流れる例えば水等の冷却流体が連続して供給され樹脂を適正な温度に冷却する冷却手段を備えている。さらに、バックアップロール10の冷却能力を高めるためにバックアップロール10に圧着する冷却ロール(図示しない)を設けることができる。
【0024】
ニップロール11の外周面に凹凸模様11aが形成され、且つ、ニップロール11の直径がチルロール12の直径より小さく着脱可能に設けられている。そして、
図1に示すようにバックアップロール10とニップロール11との間に基材1と樹脂膜2とを通過させ、チルロール12にニップロール11を介してバックアップロール10を圧着させることにより、ニップロール11の外周面に形成された凹凸模様11aが樹脂膜2の表面または樹脂膜2と基材1の両表面に賦型されると同時に積層され、その後、凹凸模様を有する積層体3はチルロール12の表面に巻き付けられつつ適正な温度に冷却される。なお、チルロール12は矢印で示したように時計回りの方向に回転している。
【0025】
ニップロール11の表面に設けられる凹凸模様11aは、特に限定されるものではなく、例えば、石目、布目、砂目模様等を施して積層体の滑り性、ブロッキング性を向上させたり、或いは、デザインやホログラム等の凹凸模様を施して意匠性を高めたり、或いは文字記号、万線、抽象模様等を施しブランド性を高めたりすることができる。
【0026】
ニップロール11は、中空部を備えたステンレス鋼、鉄鋼等の鉄芯の外周面に例えばエチレンプロピレンゴム等の合成ゴムで被覆され、さらに合成ゴムの外周面に耐熱性、離型性のあるシリコンゴムが被覆され、適宜、硬度が調整されたものが用いられる。このようなニップロール11の外周面への凹凸模様11aの作製方法としては、レーザー加工を行う方法、高速ドリル等により切削する方法、熱針等による方法等が挙げられ、ニップロール11の外周面のシリコンゴムに彫刻して形成される。
【0027】
このようにニップロール11に凹凸模様を形成することにより、新たな凹凸模様が要求される作業に切替を行う場合には、従来のようにチルロール12を交換する必要がなく、ニップロール11のみを交換すればよい。さらにニップロール11の直径がチルロール12の直径より小さく着脱可能に設けられているので、ニップロール11の軽量化が図れ、取扱いが簡便となり、交換時間が短時間となる。さらに、チルロールに比べ、ニップロールは小径であり、設備コストが低減できる。また、チルロール12の直径が400〜800mmφであり、ニップロール11の直径が120〜250mmφであることが好ましく、ニップロール11の直径が250mmφを超えると重量が増加し、取扱いに手間がかかり、交換時間も長くなり、さらに、ニップロールのコストも高いものとなる。ニップロール11の直径が120mmφ未満では十分な冷却性能が得られない。
【0028】
また、バックアップロール10とニップロール11とチルロール12の配置位置は、バックアップロール10、ニップロール11およびチルロール12の中心を結ぶ線が曲線又は勾配がある直線でもよいが、
図1に示すように略水平線上に位置するように配置することが好ましい。なぜなら、樹脂膜2の垂下位置がバックアップロール10側、ニップロール11側、又はチルロール12側に偏ることなく、バックアップロール10とニップロール11との接点又はニップロール11とチルロール12との接点に樹脂膜2を垂下できるので基材1と樹脂膜2との良好な接着強度が得られ、あるいは、基材1が樹脂膜2の熱で異常に伸びることがないので品質が良好となる。
【0029】
図2は、本発明に係る積層体製造装置をエクストルージョンラミネーターのラミネート部に搭載した概略図である。エクストルージョンラミネーターは、
図2に示すように基材1がコイル状に巻き取られた巻取4を取付けて巻き戻す第1給紙装置20、第1給紙装置20より繰り出された基材1にアンカー剤(AC剤)の希釈溶液を塗布するACコーティング装置21、AC剤の希釈剤を乾燥させる乾燥装置22、第1給紙より繰り出された基材1とTダイより熱可塑性樹脂を溶融押出した樹脂膜とを積層するラミネート部23、凹凸模様を有する積層体3をコイル状に巻き取る巻取装置24から構成され、各装置間にウェブをサポートする複数のガイドロールやその他の付属装置が搭載されている。
【0030】
上記ラミネート部23には、本発明に係る積層体製造装置が搭載されており、
図2には、基材1が通過する方向にバックアップロール10と外周面に凹凸模様11aが形成されたニップロール11とチルロール12がこの順に配置され、押出機を経てTダイ13より溶融した熱可塑性樹脂を垂下させて形成した樹脂膜2と基材1とをバックアップロール10とニップロール11との間に通過させ、チルロール12にニップロール11を介してバックアップロール10を圧着させることにより、ニップロール11の外周面に形成された凹凸模様11aが樹脂膜2の表面または樹脂膜2と基材1の両表面に賦型されると同時に積層され、その後、凹凸模様を有する積層体3はチルロール12の表面に巻き付けられつつ適正な温度に冷却され、複数のガイドロールを経て巻取装置24に巻き上げられて巻取となるものである。
なお、
図2にはTダイを備えたラミネート部23がひとつであるシングルラミネーターを例示したが、ラミネート部23と巻取装置24との間にさらにNo.2ラミネート部を備えたタンデムラミネーターであってもよい。タンデムラミネーターの場合には、ラミネート部23又はNo.2ラミネート部に本発明の積層体製造装置を搭載することができる。また、図示していないが、第二給紙装置を設け、第二給紙装置より他方の基材をチルロール12側からバックアップロール10とニップロール11の間に供給し、第一給紙装置20から供給された一方の基材1とを樹脂膜2でサンドイッチラミネーションすることもできる。
【0031】
図3は、本発明に係る積層体製造装置を用いた積層体製造方法の他の例を示す概略図であり、押出機をウェブ走行方向と平行に移動させ、押出機を経てTダイより溶融した熱可塑性樹脂をニップロール11とチルロール12との間に垂下させて樹脂膜2を形成し、基材1と樹脂膜2とをニップロール11とチルロール12との間を通過させ、チルロール12にニップロール11を介してバックアップロール10を圧着させることにより、基材1と樹脂膜2を積層し、その後、積層体3’はチルロール12の表面に巻き付けられつつ適正な温度に冷却されるものである。
【0032】
本発明において、チルロール12は反転可能な駆動手段を備えていることが好ましく、本発明の積層体製造装置の
図1の例では、チルロール12は時計回り方向に回転しており、
図3に示す積層体製造方法の他の例では、時計回りと反対方向に回転している。また、押出機をウェブ走行方向と平行に移動できる構成とする方が好ましく、押出機を移動してTダイより溶融した熱可塑性樹脂を押出し形成した樹脂膜の垂下させる位置、基材1を走行させる位置及びチルロール12の回転方向をそれぞれ変更する操作だけでニップロール11とチルロール12との間に押出機(図示しない)を経てTダイ13より溶融した熱可塑性樹脂を垂下させて樹脂膜2を形成し、基材1と樹脂膜2とを通過させ、チルロール12にニップロール11を介してバックアップロール10を圧着させることにより、ニップロール11の外周面に形成された凹凸模様11aが基材1の表面または基材1と樹脂膜2の両表面に賦型されると同時に積層され、その後、凹凸模様を有する積層体3’はチルロール12の表面に巻き付けられつつ適正な温度に冷却される。
【0033】
このように押出機をウェブ走行方向と平行に移動できる構成とすることにより押出機を経てTダイより溶融した熱可塑性樹脂を垂下させて形成した樹脂膜と基材とをバックアップロールとニップロールとの間乃至はニップロールとチルロールとの間に通過させて容易に積層することができる。バックアップロール10とニップロール11との間で基材1と樹脂膜2とを積層すると、凹凸模様3が樹脂膜2の表面に強調して形成することができ、ニップロール11とチルロール12との間で基材1と樹脂膜2とを積層すると、凹凸模様3が基材1の表面に強調して形成することができる。なお、押出機は、従来と同様にウェブ走行方向と直交する方向に前進、後退できる手段を有していることは言うまでもない。
【0034】
本発明に用いられる基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエチレン等のフィルムやセロハンや上記のフィルムにポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等のガスバリア性樹脂組成物を塗布してガスバリア層を設けたもの、あるいは、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物を蒸着して蒸着層を設けたものを用いることができる。また、これらのフィルムとしては、未延伸フィルム、一軸方向ないし二軸方向に延伸したフィルムが使用でき、上記のフィルムの単体もしくはこれらを組合せて積層したものを用いることができる。なお、未延伸フィルムは第二給紙装置より供給し、列挙した上記の基材とサンドイッチラミネーションするのが好ましい。
【0035】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、非晶性ポリエステル系等の樹脂が挙げられる。
【符号の説明】
【0036】
1 基材
2 樹脂膜
3、3’ 凹凸模様を有する積層体
4 巻取
10 バックアップロール
11 ニップロール
11a 凹凸模様
12 チルロール
13 Tダイ
20 第1給紙装置
21 ACコーティング装置
22 乾燥装置
23 ラミネート部
24 巻取装置