(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記インターリーバのフィルタの中心周波数を変化させながら測定したモニタ結果にもとづいて、前記合波光の光強度の最大値と最小値との差が大きくなる方向へ前記インターリーバのフィルタ特性のグリッド間隔を変化させ、前記光強度の最大値が大きくなる方向へ前記フィルタ特性の中心周波数を変化させることを特徴とする請求項1記載の光伝送装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は光伝送装置の構成例を示す図である。光伝送装置1は、光キャリア発生部1a、インターリーバ1b、合波部1c、モニタ部1dおよび制御部1eを備える。
【0015】
光キャリア発生部1aは、周波数が可変設定された周波数設定信号にもとづいて、設定された周波数のグリッド間隔である基準グリッド間隔の周期性を有する光キャリア(光搬送波信号)を発生する。
【0016】
インターリーバ1bは、光キャリアをフィルタリングしてインターリーブする。具体的には、制御部1eから送信された制御信号にもとづいて、フィルタ特性(透過特性)のグリッド間隔と、フィルタ特性の中心周波数とを可変して、入力した光キャリアを該フィルタ特性でフィルタリングしてインターリーブする。
【0017】
合波部1cは、インターリーバ1bからの出力光を合波して合波光を生成する。モニタ部1dは、合波光の光強度をモニタする。
制御部1eは、周波数設定信号および制御信号を生成して出力する。また、インターリーバ1bのフィルタの中心周波数を変化させながら測定したモニタ結果にもとづいて、合波光の光強度の変化量が大きくなる方向へインターリーバ1bのフィルタ特性のグリッド間隔を変化させ、光強度の最大値が大きくなる方向へフィルタ特性の中心周波数を変化させる。
【0018】
具体的には、合波光のピーク値とボトム値との差分を算出し、差分が最大となる方向へインターリーバ1bのフィルタ特性のグリッド間隔を可変させる制御を行う。さらに、合波光のピーク値が最大となる方向へインターリーバ1bのフィルタ特性の中心周波数を可変させる制御を行う。
【0019】
この場合、制御部1eは、インターリーバ1bに対して、フィルタ特性のグリッド間隔を基準グリッド間隔に一致させるグリッド間隔調整を行う。さらに、フィルタ特性の中心周波数を、光キャリア発生部1aから出力した光キャリアの中心周波数に一致させる中心周波数調整を行う。
【0020】
次にグリッド間隔調整および中心周波数調整について説明する。
図2はグリッド間隔調整を示す図である。波形スペクトルw1は、光キャリア発生部1aから出力された、基準グリッド間隔g1の周期性を有する光キャリアを示しており、縦軸は光強度、横軸は周波数である。波形スペクトルw2は、インターリーバ1bのフィルタ特性を示しており、縦軸は光強度、横軸は周波数である。
【0021】
なお、基準グリッド間隔g1は、各光キャリアの中心周波数(図中、実線矢印)間隔である。また、インターリーバ1bのフィルタ特性のグリッド間隔g2は、フィルタ特性の各スペクトル(透過スペクトル)の中心周波数(図中、点線矢印)間隔である。
【0022】
グリッド間隔調整は、光キャリアの基準グリッド間隔g1と、インターリーバ1bのフィルタ特性のグリッド間隔g2とを等しくするための調整である。
例えば、グリッド間隔g2の現在の状態が、基準グリッド間隔g1よりも大きいとする(グリッド間隔g2>基準グリッド間隔g1)。この場合、制御部1eから供給される制御信号にもとづき、インターリーバ1bのフィルタ特性のグリッド間隔g2は、基準グリッド間隔g1と等しくなるように可変調整が行われる。波形スペクトルw2−1は、基準グリッド間隔g1とグリッド間隔g2とが一致した状態を示している。
【0023】
図3は中心周波数調整を示す図である。
図2に示したグリッド間隔調整を行って、光キャリアの基準グリッド間隔g1と、インターリーバ1bのフィルタ特性のグリッド間隔g2とを一致させた後に、中心周波数調整を行う。中心周波数調整は、光キャリアの中心周波数と、インターリーバ1bのフィルタ特性のスペクトルの中心周波数とを一致させるための調整である。
【0024】
例えば、波形スペクトルw1、w2−1に示すように、光キャリアの中心周波数に対して、フィルタ特性のスペクトルの中心周波数が、高周波側へΔfずれていたとする。この場合、制御部1eから与えられる制御信号にもとづき、インターリーバ1bのフィルタ特性の中心周波数は、光キャリアの中心周波数と一致するように、低周波側へΔfシフトされる可変調整が行われる。波形スペクトルw2−2は、光キャリアの中心周波数と、インターリーバ1bのフィルタ特性のスペクトルの中心周波数とが一致した状態を示している。
【0025】
次に光伝送装置の構成例について説明する。
図4は光伝送装置の構成例を示す図である。光伝送装置10は、種光源11a、可変周波数発振部11b、周波数コム(comb)光源11c、帯域可変インターリーバ12、光変調器13−1〜13−4、光カプラ14、モニタ部15、制御部16を備える。
【0026】
なお、種光源11a、可変周波数発振部11bおよび周波数コム光源11cは、
図1の光キャリア発生部1aの機能を実現する構成要素に該当する。また、帯域可変インターリーバ12は、
図1のインターリーバ1bに対応し、光カプラ14は、
図1の合波部1cに対応する。さらに、モニタ部15は、
図1のモニタ部1dに対応し、制御部16は、
図1の制御部1eに対応する。
【0027】
種光源11aは、波長チューナブル光源であって、制御部16からの波長設定指示にもとづき、設定指示された波長の連続光を発出する。可変周波数発振部11bは、制御部16から出力された周波数設定信号にもとづき、周波数が設定指示された周波数信号を出力する。周波数コム光源11cは、種光源11aから発出された光を周波数信号で変調して、複数波長の周期性を有する光キャリアを出力する。
【0028】
ここで、光の多重方式として、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式の光伝送を行うとすると、制御部16は、25GHzの周波数設定信号を可変周波数発振部11bへ送信する。可変周波数発振部11bは、該周波数設定信号にもとづき、25GHzの周波数信号を出力する。そして、周波数コム光源11cは、種光源11aからの発出光を25GHzの周波数信号で変調して、25GHz周期の光キャリアを出力する(25GHz間隔置きに光キャリアが出力される)。
【0029】
また、例えば、WDM方式の光伝送を行う場合は、制御部16は、50GHzの周波数設定信号を可変周波数発振部11bへ送信する。可変周波数発振部11bは、該周波数設定信号にもとづき、50GHzの周波数信号を出力する。そして、周波数コム光源11cは、種光源11aからの発出光を50GHzの周波数信号で変調して、50GHz周期の光キャリアを出力する(50GHz間隔置きに光キャリアが出力される)。
【0030】
帯域可変インターリーバ12は、周波数コム光源11cから出力された各光キャリアに後段の光変調器13−1〜13−4で該当の光変調を施すために、制御部16から出力される制御信号にもとづき、フィルタ特性のグリッド間隔および中心周波数を可変して、フィルタ特性の周波数帯域を可変する。
【0031】
そして、帯域可変後のグリッド間隔および中心周波数を有するフィルタ特性で、入力した光キャリアのフィルタリングを行って、所定のポート#1〜#4から各光キャリアをインターリーブ(間引き)する。
【0032】
光変調器13−1〜13−4は、入力した光キャリアを個別に光変調する。光カプラ14は、光変調後の光信号を合波して2分岐して出力する。分岐された一方の合波光は、後段処理部であるWSS(Wavelength Selective Switch:波長選択スイッチ)51へ送信され、分岐された他方の合波光は、モニタ部15へ送信される。モニタ部15は、合波光の光強度の波長依存性をモニタする。
【0033】
制御部16は、種光源11aに対して、設定すべき波長の波長設定指示を与える。また、可変周波数発振部11bに対して、多重方式に応じた周波数設定信号を出力する。例えば、OFDMの場合は25GHzの周波数設定信号を出力し、WDMの場合は、50GHzの周波数設定信号を出力する。
【0034】
さらに、制御部16は、モニタ部15のモニタ結果にもとづき、グリッド間隔調整および中心周波数調整を行うための制御信号を生成して、帯域可変インターリーバ12へ出力し、帯域可変インターリーバ12の帯域を可変制御する。
【0035】
なお、制御部16は、図示しない保守端末に接続可能であり、保守端末から通知された設定情報にもとづいて、装置内の設定を行う。また、保守端末に対して運用状態の表示制御等も行う。
【0036】
次に周波数コム光源11cの出力特性、帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性およびWSS51の出力特性の各波形スペクトルについて説明する。
なお、一例として、400Gbpsの光伝送を行うものとして、OFDM方式の光伝送モード(25GHz間隔、4サブキャリア×100Gbps)と、WDM方式の光伝送モード(50GHz間隔、4波のWDM光)とについて説明する。
【0037】
(1)OFDM方式の光伝送モードについて。
図5は周波数コム光源の出力特性を示す図である。縦軸は光強度、横軸は波長である。OFDM方式の場合、25GHz間隔で光キャリアが周波数コム光源11cから出力する。
【0038】
図6は帯域可変インターリーバのフィルタ特性を示す図である。縦軸は光強度、横軸は波長である。なお、横軸は、帯域可変インターリーバ12のポート#1〜#4毎に波長軸をとっている(ポート単位にフィルタ特性を階層的に図示している)。帯域可変インターリーバ12のポート#1〜#4それぞれから、異なる中心周波数を持つ光キャリアがインターリーブ出力されている。
【0039】
図7はWSSの出力特性を示す図である。縦軸は光強度、横軸は波長である。なお、点線はWSS51の透過領域を示している。
(2)WDM方式の光伝送モードについて。
【0040】
図8は周波数コム光源の出力特性を示す図である。縦軸は光強度、横軸は波長である。WDM方式の場合、50GHz間隔で光キャリアが周波数コム光源11cから出力する。
図9は帯域可変インターリーバの透過特性を示す図である。縦軸は光強度、横軸は波長である。なお、横軸は、帯域可変インターリーバ12のポート#1〜#4毎に波長軸をとっている(ポート単位にフィルタ特性を階層的に図示している)。帯域可変インターリーバ12のポート#1〜#4それぞれから、異なる中心周波数を持つ光キャリアがインターリーブ出力されている。
【0041】
図10はWSSの出力特性を示す図である。縦軸は光強度、横軸は波長である。なお、点線はWSS51の透過領域を示している。
ここで、上記の
図7に示すWSS51の出力特性を見ると、WSS51の透過領域内でOFDM方式の光キャリアは重複している。OFDM方式では、光キャリア同士が互いに直交するので、後段処理でチャネル分離が可能であり、このため、チャネル間での重複が許されるからである。一方、
図10に示すWSS51の出力特性を見ると、WDM方式の光キャリアは重複部分がない。WDM方式では、重複部分はクロストークになるからである。
【0042】
このように、OFDMの場合は、同じ100Gbpsを送る場合でも、チャネル間を狭くできるので周波数効率はよい。また、WDMの場合は、チャネル間の重複がないので光S/Nが高く長距離伝送に適している。
【0043】
次に帯域可変イーターリーブ制御について説明する。
図11は帯域可変インターリーブの制御シーケンスを示す図である。
〔S1〕周波数コム光源11cは、種光源11aから発出された光を、可変周波数発振部11bから出力された周波数信号で変調して、周波数信号で設定された所望の基準グリッド間隔g1の周期を持つ光キャリアを出力する。
【0044】
〔S2〕制御部16は、初期設定値にもとづき、光キャリアの基準グリッド間隔g1に対して、帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2を粗く設定するための制御信号を、帯域可変インターリーバ12へ与える。帯域可変インターリーバ12は、該制御信号にもとづき、グリッド間隔g2の粗設定を行う(初期設定値の内容については後述する)。
【0045】
〔S3〕モニタ部15は、光カプラ14から出力される合波光の光強度をモニタし、モニタ結果を制御部16へ送信する。
〔S4〕制御部16は、モニタ結果から、合波光のピーク値とボトム値との差分を算出する。そして、制御信号により、差分が最大となる方向へ帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2を可変させて、グリッド間隔調整を行う。
【0046】
〔S5〕制御部16は、モニタ結果から、合波光のピーク値を求める。そして、制御信号により、ピーク値が最大となる方向へ帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性の中心周波数を可変させて、中心周波数調整を行う。
【0047】
〔S6〕制御部16は、ステップS4、S5で調整したグリッド間隔g2および中心周波数で固定設定する。そして、帯域可変インターリーバ12は、設定されたフィルタ特性で光キャリアのフィルタリングを行って、光伝送装置10の運用が開示される。なお、制御部16は、運用中もモニタ結果を確認して、帯域可変インターリーバ12に対して、グリッド間隔および中心周波数の微調整を行う。
【0048】
次に初期設定値について説明する。制御部16は、初期運用設定時に、帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2を基準グリッド間隔g1に粗く設定する粗設定を行う。このため、粗設定を行うための初期設定値が登録された初期設定テーブルを内部メモリに有している。
【0049】
ここで、帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性は、例えば、帯域可変インターリーバ12内の光導波路に与える温度変化により、該光導波路の屈折率を変化させることで可変できる。
【0050】
したがって、帯域可変インターリーバ12が温度変化により、導波路の屈折率を変化させることでフィルタ特性を変える構成を有している場合には、初期設定テーブルの属性項目には、グリッド間隔および温度値が登録される(保守端末からの設定が可能)。
【0051】
例えば、グリッド間隔が25GHzの設定には、光導波路に与える温度はA℃であり、グリッド間隔が50GHzの設定には、光導波路に与える温度はB℃というように登録されている。
【0052】
したがって、グリッド間隔を例えば、25GHzで粗設定する際には、制御部16は、初期設定テーブルの登録値にもとづき、帯域可変インターリーバ12の光導波路に与える温度がA℃となるような、制御信号を出力する。帯域可変インターリーバ12は、該制御信号を用いて、内部の温度設定素子の温度を変化させて、光導波路の屈折率を変化させて粗設定を行う。
【0053】
なお、粗設定に限らず、帯域可変インターリーバ12が上記のような構成の場合には、グリッド間隔調整および中心周波数調整を行う際にも、このような温度設定でフィルタ特性が制御される。
【0054】
また、帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性は、例えば、空間光学系に用いるミラー素子などの角度位置の変化による光路長の変化によっても実現される。したがって、帯域可変インターリーバ12がミラー素子の角度変化により、光路長を変化させることでフィルタ特性を変える構成を有している場合には、初期設定テーブルの属性項目には、グリッド間隔およびミラー素子の角度値が登録される(保守端末からの設定が可能)。
【0055】
例えば、グリッド間隔が25GHzの設定には、ミラー素子に与える角度はC度であり、グリッド間隔が50GHzの設定には、ミラー素子に与える角度はD度というように登録されている。
【0056】
したがって、グリッド間隔を例えば、25GHzで粗設定する際には、制御部16は、初期設定テーブルの登録値にもとづき、帯域可変インターリーバ12のミラー素子に与える角度がC度となるような、制御信号を出力する。帯域可変インターリーバ12は、該制御信号を用いて、内部のミラー素子駆動部を駆動させて、光路長を変化させて粗設定を行う。
【0057】
なお、粗設定に限らず、帯域可変インターリーバ12が上記のような構成の場合には、グリッド間隔調整および中心周波数調整を行う際にも、このようなミラー角度設定でフィルタ特性が制御される。
【0058】
次に帯域可変インターリーブ制御について具体的な波形スペクトルを挙げて説明する。なお、WDM方式(光キャリアの周波数間隔が50GHz)を行う場合について示す。
図12、
図13は帯域可変インターリーバのフィルタ特性を示す図である。縦軸は透過特性(dB)であり、横軸は周波数コム光源11cから出力される光キャリアの中心周波数に対する相対周波数(GHz)である。
【0059】
図12の波形スペクトルw11では、帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2が50GHz間隔の透過特性を示している。この場合は、帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2と、周波数コム光源11cから出力される光キャリアの基準グリッド間隔g1とが共に50GHzで一致する。
【0060】
図13の波形スペクトルw12では、帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2が45GHz間隔の透過特性を示している。この場合は、帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2が45GHzであり、周波数コム光源11cから出力される光キャリアの基準グリッド間隔が50GHzであるので、5GHzの格差が生じている。
【0061】
図14、
図15は帯域可変インターリーバのフィルタ特性の中心周波数を変化させた場合の合波光の光強度を示す図である。縦軸はモニタ部15で検出される合波光の光強度の相対値(dB)であり、横軸は周波数コム光源11cから出力される光キャリアの中心周波数に対する帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性の中心周波数の変化量(GHz)である。
【0062】
図14の波形スペクトルw13は、帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2が50GHz間隔の透過特性である
図12の場合における、合波光の光強度のスペクトルを示している。
【0063】
一方、
図15の波形スペクトルw14は、帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2が45GHz間隔の透過特性である
図13の場合における、合波光の光強度のスペクトルを示している。
【0064】
図14と
図15とからわかるように、グリッド間格差が生じていなく一致している
図14の場合には、合波光のピーク値とボトム値との差分は最大となる。これに対し、グリッド間格差が生じている
図15のような場合には、差分は最大とはならない。
【0065】
したがって、合波光のピーク値とボトム値との差分が最大となる方向へ、帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性のグリッド間隔g2を可変させることで、帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2を基準グリッド間隔g1に一致させることが可能になる。
【0066】
また、合波光のピーク値が最大となる箇所が、光キャリアの中心周波数と、帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性の中心周波数が一致する箇所である。したがって、合波光のピーク値が最大となる方向へ、フィルタ特性の中心周波数を可変させることで、帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性の中心周波数を光キャリアの中心周波数に一致させることが可能になる。
【0067】
図16は合波光のピーク値とボトム値との差分を示す図である。縦軸は合波光のピーク値とボトム値との差分(dB)であり、横軸は帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性のグリッド間隔(GHz)である。
【0068】
帯域可変インターリーバ12のグリッド間隔g2と、周波数コム光源11cから出力される光キャリアの基準グリッド間隔g1とが共に50GHzで一致しているときの波形スペクトルw15では、差分値の最大値が35dBとなっている。したがって、差分値が35dBとなる方向へグリッド間隔g2を可変させることになる。
【0069】
図17はグリッド間隔調整および中心周波数調整後のスペクトルを示す図である。縦軸はモニタ部15で検出される合波光の光強度の相対値(dB)であり、横軸は帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性の中心周波数と、周波数コム光源11cから出力される光キャリアの中心周波数との調整差(GHz)である。
【0070】
波形スペクトルw16では、グリッド間隔調整によって、帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性のグリッド間隔g2は、周波数コム光源11cから出力される光キャリアの基準グリッド間隔g1と一致する。かつ中心周波数調整によって、帯域可変インターリーバ12のフィルタ特性の中心周波数と周波数コム光源11cから出力される光キャリアの中心周波数とは一致する。このように調整された状態で運用を開始することになる。
【0071】
以上説明したように、光伝送装置は、インターリーバからの出力の合波光をモニタし、モニタ結果にもとづいて、合波光のピーク値とボトム値との差分を算出し、差分が最大となる方向へインターリーバのフィルタ特性のグリッド間隔を可変させ、ピーク値が最大となる方向へ前記フィルタ特性の中心周波数を可変させる構成とした。これにより、帯域可変のインターリーブを実現することが可能になる。
【0072】
また、所望の基準グリッド間隔を有する光キャリアに対して、インターリーバのフィルタ特性のグリッド間隔を可変させて、グリッド間隔を基準グリッド間隔に一致させるグリッド間隔調整を行い、フィルタ特性の中心周波数を可変させて、フィルタ特性の中心周波数を光キャリアの中心周波数に一致させる中心周波数調整を行う構成とした。これにより、多様な多重方式および光変調方式に適応的に対応することが可能になり、任意の多重方式および光変調方式を1台の装置でサポートすることが可能になる。
【0073】
次に光伝送装置10の機能を有する光伝送システムの構成例について説明する。
図18は光伝送システムの構成例を示す図である。光伝送システム100は、帯域可変トランスポンダ30、クライアント装置40−1〜40−n、ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)装置50および光伝送制御部60を備える。
【0074】
帯域可変トランスポンダ30は、クライアント収容部31−1〜31−n、マトリクススイッチ32および伝送処理部33−1〜33−nを備える。また、クライアント収容部31−1〜31−nは、光モジュール31aおよびクライアント信号終端部31bを含む。伝送処理部33−1〜33−nは、フレーム処理部33aおよび光送受信部10aを含む。
【0075】
なお、光送受信部10aは、
図4に示した光伝送装置10の制御部16を除く構成要素の機能を有している。光伝送制御部60は、
図4に示した制御部16の機能を有している。
【0076】
クライアント装置40−1〜40−nは、クライアント収容部31−1〜31−n内の光モジュール31aに接続する。光モジュール31aは、クライアント装置40−1〜40−nから送信された光信号を受信してO/E変換する。または、クライアント信号終端部31bから送信されたクライアント信号をE/O変換する。
【0077】
クライアント信号終端部31bは、光モジュール31aまたはマトリクススイッチ32から送信された信号の終端処理を行う。マトリクススイッチ32は、光伝送制御部60からのスイッチ指示にもとづくスイッチング処理を行って、受信信号を所定ポートから出力する。フレーム処理部33aは、フレーム処理として、アドレス解決処理や誤り訂正処理等を行う。
【0078】
光送受信部10aは、光伝送制御部60からの制御指示にもとづき、光送信/受信処理を行う。ROADM装置50は、WSS51を含み、光伝送制御部60からの波長のAdd(挿入)/Drop(分岐)指示にもとづき、指示された波長の光信号のAdd/Drop制御を行う。
【0079】
光伝送制御部60は、図示しない保守端末が接続可能であり、保守端末から運用に関わる設定を受け、上記に示した各種の制御指示を所定の構成要素に送信する。また、保守端末に対して運用状態の表示制御なども行う。
【0080】
図19は光送受信部の構成例を示す図である。光送受信部10aは、種光源11a、可変周波数発振部11b、周波数コム光源11c、帯域可変インターリーバ12、光変調器13−1〜13−4、光カプラ14、モニタ部15、符号変換部17、光カプラ21、LO(Local Oscillator)22、光フロントエンド部23−1〜23−4、A/D部24−1〜24−4およびディジタル信号処理部25を備える。
【0081】
なお、フレーム処理部33aからROADM装置50への方向に流れる処理に関わる構成要素について、
図4で上述した構成要素についての説明は省略する。符号変換部17は、フレーム処理部33aから送信されたディジタル信号をサブキャリアまたは多値符号にコーディングする符号変換を行い、D/A変換を行ってアナログ信号を生成する。そして、該アナログ信号を光変調器13−1〜13−4へ送信する。光変調器13−1〜13−4では、帯域可変インターリーバ12から出力された光キャリアを該アナログ信号で光変調する。
【0082】
一方、ROADM装置50からフレーム処理部33aへの方向に流れる信号の処理では、ディジタルコヒーレント受信が行われる。光カプラ21は、ROADM装置50からの出力光を光分岐する。
【0083】
LO22は、発振周波数を可変に設定して局部発振光を出力する。光フロントエンド部23−1〜23−4は、光カプラ21から出力された光信号と、局部発振光とをミキシングして、光信号の電界情報(光の位相および強度)に対応するベースバンド信号を出力する。また、光フロントエンド部23−1〜23−4は、O/E変換機能を有し、電界情報であるベースバンド信号をアナログの電気信号に変換する。
【0084】
A/D部24−1〜24−4は、所定のサンプリングクロックのサンプリングタイミングで、電界情報を含むアナログ信号を量子化し、ディジタル信号に変換して出力する。
ディジタル信号処理部25は、ディジタル信号を受信して、ディジタル信号処理による検波を行って復調し、クライアント信号を生成してフレーム処理部33aへ出力する。
【0085】
以上説明したように、光伝送装置では、制御信号にもとづいて、インターリーバのフィルタ特性のグリッド間隔および中心周波数を可変的に制御して調整する構成とした。これにより、帯域可変のインターリーブが可能になる。
【0086】
また、帯域可変のインターリーブが可能なため、1台の装置で、伝送システムに応じた最適な多重方式および光変調方式を、柔軟に選択して設定することも可能になり、システム規模、消費電力およびコストを低減させることが可能になる。
【0087】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。