特許第5824914号(P5824914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824914
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】偏光素子、液晶装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20151112BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20151112BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20151112BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   G02B5/30
   G02F1/1335 510
   G03B21/14 Z
   G03B21/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-146016(P2011-146016)
(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公開番号】特開2013-11825(P2013-11825A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2014年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】熊井 啓友
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−267842(JP,A)
【文献】 特開平11−014829(JP,A)
【文献】 特表2004−523804(JP,A)
【文献】 特開平10−020116(JP,A)
【文献】 特開2010−070841(JP,A)
【文献】 特表平10−509247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ナノロッドと、
第2ナノロッドと、を有し、
前記第1ナノロッドは、前記第1ナノロッドに第1波長領域の第1偏光状態の光である第1偏光光を照射したときの透過率が、前記第1波長領域の前記第1偏光状態とは異なる第2偏光状態の光である第2偏光光を照射したときの透過率とは異なる透過率であり、
前記第2ナノロッドは、前記第2ナノロッドに前記第1波長領域とは異なる第2波長領域の前記第1偏光状態の光である第3偏光光を照射したときの透過率が、前記第2波長領域の前記第2偏光状態の光である第4偏光光を照射したときの透過率とは異なる透過率であり、
前記第1ナノロッドは、前記第1ナノロッドの長軸方向と一致した振動方向の偏光成分に対して吸収ピーク波長を有し、
前記第2ナノロッドは、前記第2ナノロッドの短軸方向と一致した振動方向の偏光成分に対して吸収ピーク波長を有し、
前記第1ナノロッドは、第1偏光層に形成され、
前記第2ナノロッドは、前記第1偏光層とは異なる層である第2偏光層に形成され、
前記第1ナノロッドの配向方向と前記第2ナノロッドの配向方向とは交差していることを特徴とする偏光素子。
【請求項2】
前記第1ナノロッドは、前記第1ナノロッドに前記第1偏光光を照射したときの透過率と前記第2偏光光を照射したときの透過率との比が、前記第1ナノロッドに前記第3偏光光を照射したときの透過率と前記第4偏光光を照射したときの透過率との比とは異なり、
前記第2ナノロッドは、前記第2ナノロッドに前記第1偏光光を照射したときの透過率と前記第2偏光光を照射したときの透過率との比が、前記第2ナノロッドに前記第3偏光光を照射したときの透過率と前記第4偏光光を照射したときの透過率との比とは異なることを特徴とする請求項1に記載の偏光素子。
【請求項3】
前記第1ナノロッドは、前記第1偏光光と前記第2偏光光のうち一方の偏光光に対して、前記第1波長領域に吸収ピークを有し、
前記第2ナノロッドは、前記第3偏光光と前記第4偏光光のうち一方の偏光光に対して、前記第2波長領域に吸収ピークを有することを特徴とする請求項1または2に記載の偏光素子。
【請求項4】
前記第1ナノロッドに第1波長領域の光を照射したときの消光比は、前記第2ナノロッドに前記第1波長領域の光を照射したときの消光比よりも大きく、
前記第2ナノロッドに第2波長領域の光を照射したときの消光比は、前記第1ナノロッドに前記第2波長領域の光を照射したときの消光比よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の偏光素子。
【請求項5】
前記第1ナノロッド及び前記第2ナノロッドは、金属単体または第1金属の表面が第2金属で覆われた複合金属であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の偏光素子。
【請求項6】
前記第1ナノロッドは、前記第2ナノロッドとは異なる材料を含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の偏光素子。
【請求項7】
第3ナノロッドを有し、
前記第3ナノロッドは、前記第3ナノロッドに前記第1波長領域及び前記第2波長領域とは異なる第3波長領域の前記第1偏光状態の光を照射したときの透過率が、前記第3波長領域の前記第2偏光状態の光を照射したときの透過率とは異なる透過率であり、
前記第1波長領域は赤色波長域内であり、
前記第2波長領域は緑色波長域内であり、
前記第3波長領域は青色波長域内であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の偏光素子。
【請求項8】
一対の基板間に液晶が挟持された液晶パネルと、カラーフィルターと、前記液晶パネルの少なくとも一面側に配置された偏光素子と、を備え、
前記偏光素子が、請求項1ないしのいずれか一項に記載の偏光素子であることを特徴とする液晶装置。
【請求項9】
請求項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光素子、液晶装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光素子の一つとして、偏光ガラスが知られている。偏光ガラスは無機物のみで構成できるため、有機物を含む偏光板に比べて、光に対する劣化が著しく少ない。したがって、偏光ガラスは、近年、高輝度化が進んでいる液晶プロジェクターに有効な光デバイスとして注目されている。
【0003】
一般的な偏光ガラスとして、下記の特許文献1に記載されたものが公知である。その偏光ガラスの製造方法は以下の通りである。
(1)塩化物、臭化物、およびヨウ化物の群から選択した少なくとも一つのハロゲン化物および銀を含有する組成物から、所望の形状のガラス製品を作製する。
(2)そのガラス製品を、ガラス製品中にAgCl、AgBr、またはAgIの結晶を生成せしめるのに十分な期間にわたって、歪み点より高いが、ガラスの軟化点から約50℃は高くない温度にまで加熱し、結晶含有製品を作製する。
(3)この結晶含有製品を、結晶が少なくとも5:1のアスペクト比に伸長されるように、アニール点より高いが、ガラスが約108ポアズの粘度を示す温度より低い温度において応力下で伸長せしめる。
(4)その製品を、製品上に化学的な還元表面層を発達せしめるのに十分な期間にわたり、約250℃より高いが、ガラスのアニール点から約25℃は高くない温度の還元雰囲気に暴露する。ここで、伸長ハロゲン化銀粒子の少なくとも一部は銀元素に還元されている。
【0004】
ところで、下記の特許文献2に、可視域に吸収ピークを持ち、数nm〜数十nm程度の粒径を有する粒子、いわゆるナノ粒子が開示されている。具体的には、530nmの極大吸収波長を有する金粒子と、420nmの極大吸収波長を有する銀粒子と、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−169140号公報
【特許文献2】特開2004−256915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の製造方法では、ガラス製品中に万遍なくハロゲン化物が析出する一方で、還元工程ではガラス製品の表層のハロゲン化物しか還元できない。そのため、ガラス製品の厚さ方向の中央部分にハロゲン化物が残存する。その結果、偏光素子の透過率が低下し、この偏光素子を液晶表示装置などに適用した場合、十分な明るさが得られない虞がある。
【0007】
さらに、従来のフルカラー表示の液晶表示装置の多くは、例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の複数種の色材層からなるカラーフィルターを備えている。一般に、偏光素子が持つ偏光特性は波長依存性を有しており、一つの偏光素子を用いた場合には赤色光、緑色光、青色光のそれぞれに対する偏光特性は異なる。そのため、赤色光、緑色光、青色光に対して平均的な偏光特性を持つ偏光素子を用いるのが通常であった。逆に言えば、偏光素子が持つ偏光特性は赤色光、緑色光、青色光の各々に対して最適化されたものではなかった。その結果、液晶表示装置として十分な明るさやコントラスト、色再現性が得られないという問題があった。
【0008】
なお、特許文献2は、可視域に吸収波長のピークを持つナノ粒子をコーティング材料に適用することが記載されているのみであり、偏光素子への応用については示唆されていない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、波長域が互いに異なる複数の光に対して優れた偏光特性を発揮する偏光素子を提供することを目的とする。また、そのような偏光素子を用いることで表示品位に優れた液晶装置を提供することを目的とする。また、この種の液晶装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の偏光素子は、第1の波長領域において、第1の偏光状態の第1偏光光の透過率が、前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態の第2偏光光の透過率と異なる複数の第1の針状粒子と、前記第1の波長領域とは異なる第2の波長領域において、前記第1偏光光の透過率が前記第2偏光光の透過率と異なる複数の第2の針状粒子と、を備えたことを特徴とする。
本発明の偏光素子は、第1ナノロッドと、第2ナノロッドと、を有し、前記第1ナノロッドは、前記第1ナノロッドに第1波長領域の第1偏光状態の光である第1偏光光を照射したときの透過率が、前記第1波長領域の前記第1偏光状態とは異なる第2偏光状態の光である第2偏光光を照射したときの透過率とは異なる透過率であり、前記第2ナノロッドは、前記第2ナノロッドに前記第1波長領域とは異なる第2波長領域の前記第1偏光状態の光である第3偏光光を照射したときの透過率が、前記第2波長領域の前記第2偏光状態の光である第4偏光光を照射したときの透過率とは異なる透過率であり、 前記第1ナノロッドは、前記第1ナノロッドの長軸方向と一致した振動方向の偏光成分に対して吸収ピーク波長を有し、前記第2ナノロッドは、前記第2ナノロッドの短軸方向と一致した振動方向の偏光成分に対して吸収ピーク波長を有し、前記第1ナノロッドは、第1偏光層に形成され、前記第2ナノロッドは、前記第1偏光層とは異なる層である第2偏光層に形成され、前記第1ナノロッドの配向方向と前記第2ナノロッドの配向方向とは交差していることを特徴とする。
【0011】
本発明の偏光素子は、第1の波長領域と第2の波長領域とを適切に選択することにより、複数の色光各々に対して偏光特性を高めることができる。その結果、本発明の偏光素子を液晶装置に用いた際に表示品位を高めることができる。
【0012】
本発明の偏光素子は、前記第1の波長領域において前記複数の第1の針状粒子が有する、第1偏光光の透過率と第2偏光光の透過率との比が、前記第2の波長領域において前記複数の第1の針状粒子が有する、前記第1偏光光の透過率と前記第2偏光光の透過率との比とは異なり、前記第1の波長領域において前記複数の第2の針状粒子が有する、前記第1偏光光の透過率と前記第2偏光光の透過率との比が、前記第2の波長領域において前記複数の第2の針状粒子が有する、前記第1偏光光の透過率と前記第2偏光光の透過率との比とは異なる構成を採用しても良い。
この構成によれば、複数の第1の針状粒子が有する、第1偏光光の透過率と第2偏光光の透過率との比、および複数の第2の針状粒子が有する、第1偏光光の透過率と第2偏光光の透過率との比を、特定の波長領域に対して最適化することができる。
【0013】
本発明の偏光素子は、前記複数の第1の針状粒子が、前記第1偏光光と前記第2偏光光のうち一方の偏光光に対して、前記第1の波長領域に吸収ピークを有し、前記複数の第2の針状粒子が、前記第1偏光光と前記第2偏光光のうち一方の偏光光に対して、前記第2の波長領域に吸収ピークを有する構成を採用しても良い。
この構成によれば、複数の第1の針状粒子と複数の第2の針状粒子とを備えたことで、第1の波長領域および第2の波長領域において吸収ピークを有し、第1の波長領域および第2の波長領域において高い偏光特性を有する偏光素子を実現できる。
【0014】
本発明の偏光素子は、前記第1の波長領域において前記第1の針状粒子が有する消光比は、前記第1の波長領域において前記第1の針状粒子が有する消光比よりも大きく、前記第2の波長領域において前記第2の針状粒子が有する消光比は、前記第2の波長領域において前記第1の針状粒子が有する消光比よりも大きい構成を採用しても良い。
この構成によれば、前記第1の波長領域において前記第1の針状粒子が有する消光比は、前記第1の波長領域において前記第1の針状粒子が有する消光比よりも大きく、前記第2の波長領域において前記第2の針状粒子が有する消光比は、前記第2の波長領域において前記第1の針状粒子が有する消光比よりも大きいことで、第1の波長領域および第2の波長領域において高い偏光特性を有する偏光素子を実現できる。
【0015】
本発明の偏光素子は、前記複数の第1の針状粒子と前記複数の第2の針状粒子とが、母材の中で略一方向に配向している構成を採用しても良い。
この構成によれば、第1の針状粒子と第2の針状粒子とを一の母材中に混在させた状態で基材上に偏光層を形成できるため、製造工程の簡略化が図れる。
【0016】
本発明の偏光素子は、前記複数の第1の針状粒子が、第1の母材の中で略一方向に配向し、前記複数の第2の針状粒子が、第2の母材の中で略一方向に配向し、前記第1の母材が前記第2の母材の上に設けられている構成を採用しても良い。
この構成によれば、略一方向に配向した複数の第1の針状粒子を含む偏光層と略一方向に配向した複数の第2の針状粒子を含む偏光層とを、個別に形成できるため、1層毎の針状粒子の配向性を高めることができる。
【0017】
本発明の偏光素子は、前記複数の第1の針状粒子および前記複数の第2の針状粒子のうち少なくとも一方に含まれる一の針状粒子は、金属単体、もしくは第1の金属の表面が第2の金属で覆われた複合金属で構成されていることが望ましい。
この構成によれば、金属単体もしくは複合金属の種類を適切に選択することで、所望の偏光特性を有する偏光素子を実現することができる。
【0018】
本発明の偏光素子は、前記複数の第1の針状粒子を構成する材料が、前記複数の第2の針状粒子を構成する材料とは異なる材料を含むことが望ましい。
この構成によれば、各針状粒子の材料の種類を適切に選択することで、所望の偏光特性を有する偏光素子を実現することができる。
【0019】
本発明の偏光素子は、第3の波長領域において、前記第1偏光光の透過率が前記第2偏光光の透過率と異なる複数の第3の針状粒子を更に備え、前記第1の波長領域が赤色波長域内に存在し、前記第2の波長領域が緑色波長域内に存在し、前記第3の波長領域が青色波長域内に存在することが望ましい。
この構成によれば、例えば赤色画素、緑色画素、青色画素を備えた液晶装置に用いて好適な偏光素子を実現することができる。
【0020】
本発明の液晶装置は、一対の基板間に液晶が挟持された液晶パネルと、カラーフィルターと、前記液晶パネルの少なくとも一面側に配置された偏光素子と、を備え、前記偏光素子が、前記本発明の偏光素子であることを特徴とする。
本発明の液晶装置は前記本発明の偏光素子を備えているため、表示品位に優れた液晶装置を実現することができる。
【0021】
本発明の電子機器は、前記本発明の液晶装置を備えたことを特徴とする。
本発明の電子機器は前記本発明の液晶装置を備えているため、表示品位に優れた液晶表示部を有する電子機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態の偏光素子を示す断面図である。
図2】本実施形態の偏光素子の製造工程を、順を追って示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態の偏光素子を示す断面図である。
図4】本発明の第3実施形態の偏光素子を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態の液晶装置を示す平面図である。
図6図4のH−H’線に沿う断面図である。
図7】本発明の一実施形態の電子機器を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1および図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態の偏光素子を示す断面図である。図2は、本実施形態の偏光素子の製造工程を、順を追って示す断面図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0024】
本実施形態の偏光素子1は、図1に示すように、基材としてのガラス基板2によって支持されている。ガラス基板2の具体的な材質は特に限定されるものではなく、公知のいかなるガラス基板を用いても良い。なお、透光性を有する基板であれば、特にガラス基板に限定されるものではなく、石英基板、サファイア基板、樹脂基板等を用いても良い。偏光素子1に耐熱性が要求される場合には、無機系の基板を用いることが望ましい。
【0025】
偏光素子1は、ある特定の波長領域において、第1の偏光状態の第1偏光光の透過率が、前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態の第2偏光光の透過率とは異なる特性を有する。つまり、ある特定の波長域において、第1偏光光を透過する一方、第2偏光光を吸収する特性を有する。本実施形態の偏光素子1は、単一の層で構成されている。偏光素子1は、無機物を主原料とする透光性の母材5、例えばシリコン酸化物からなる母材5中に、金(Au)、銀(Ag)等からなる複数のナノロッド4(針状粒子)が分散したものである。
【0026】
個々のナノロッド4は、短軸方向が例えば数nmから数十nm程度、長軸方向が例えば数十nmから100nm程度の寸法を有している。ナノロッド4は、第1の波長領域における第1偏光光の透過率と第2偏光光の透過率との比が、第1の波長領域とは異なる第2の波長領域における第1偏光光の透過率と第2偏光光の透過率との比と異なる、という特性を有している。つまり、ナノロッド4は、振動方向がナノロッド4の短軸方向と一致した偏光成分に対する吸収スペクトルが、振動方向がナノロッド4の長軸方向と一致した偏光成分に対する吸収スペクトルとは異なる、という特性を有している。本実施形態の場合、偏光素子1の内部には、後述する3種類のナノロッド4が混在しており、3種類のナノロッド4はそれぞれ異なる吸収ピーク波長を有している。3種類のナノロッド4は、略同一の方向に配向している。ここで、ガラス基板2の主面をxy平面とし、ナノロッド4の配向方向をX軸方向とする。
【0027】
3種類のナノロッド4は、銀ナノロッド4B、金ナノロッド4G、金コア・銀シェルナノロッド4R、である。銀ナノロッド4Bおよび金ナノロッド4Gは、それぞれ銀単体、金単体から構成されている。一方、金コア・銀シェルナノロッド4Rは、金(第1の金属)からなる針状結晶の表面が銀(第2の金属)で被覆された複合金属で構成されている。
【0028】
各ナノロッド4のサイズの一例として、銀ナノロッド4Bは、長軸方向の寸法が例えば40nm、短軸方向の寸法が例えば5nm、アスペクト比が8である。金ナノロッド4Gは、長軸方向の寸法が例えば15nm、短軸方向の寸法が例えば5nm、アスペクト比が3である。金コア・銀シェルナノロッド4Rは、長軸方向の寸法が例えば24nm、短軸方向の寸法が例えば12nm、アスペクト比が2である。なお、アスペクト比とは、ナノロッド4の短軸方向の寸法に対する長軸方向の寸法の比である。
【0029】
銀ナノロッド4Bは、振動方向が短軸方向と一致した偏光成分に対して410nm(青色波長域)に吸収ピーク波長を有している。青色波長域は、例えば第3の波長領域である。金ナノロッド4Gは、振動方向が短軸方向と一致した偏光成分に対して530nm(緑色波長域)に吸収ピーク波長を有している。緑色波長域は、例えば第2の波長領域である。金コア・銀シェルナノロッド4Rは、振動方向が長軸方向と一致した偏光成分に対して650nm(赤色波長域)に吸収ピーク波長を有している。赤色波長域は、例えば第1の波長領域である。
【0030】
これにより、銀ナノロッド4Bは、主に青色波長域の光に対して振動方向が短軸方向と一致した偏光成分を吸収し、振動方向が長軸方向と一致した偏光成分を透過する特性を発現する。金ナノロッド4Gは、主に緑色波長域の光に対して振動方向が短軸方向と一致した偏光成分を吸収し、振動方向が長軸方向と一致した偏光成分を透過する特性を発現する。金コア・銀シェルナノロッド4Rは、主に赤色波長域の光に対して振動方向が長軸方向と一致した偏光成分を吸収し、振動方向が短軸方向と一致した偏光成分を透過する特性を発現する。したがって、銀ナノロッド4Bと金ナノロッド4Gと金コア・銀シェルナノロッド4Rとは互いに干渉することなく、偏光素子1は、青色波長域の光と緑色波長域の光と赤色波長域の光各々に対して偏光特性が高められた偏光素子として機能する。
【0031】
上述したように、第1偏光光と第2偏光光のうち、銀ナノロッド4Bが吸収ピーク波長を示す偏光成分の振動方向と金コア・銀シェルナノロッド4Rが吸収ピーク波長を示す偏光成分の振動方向とは、互いに直交する。また、第1偏光光と第2偏光光のうち、金ナノロッド4Gが吸収ピーク波長を示す偏光成分の振動方向と金コア・銀シェルナノロッド4Rが吸収ピーク波長を示す偏光成分の振動方向とは、互いに直交する。したがって、偏光素子1において銀ナノロッド4Bおよび金ナノロッド4Gと金コア・銀シェルナノロッド4Rとを同一方向に配向させた場合、偏光素子1を透過する青色光および緑色光の振動方向は、偏光素子1を透過する赤色光の振動方向と異なる。しかしながら、この偏光素子1を液晶装置に適用する場合、液晶パネルの光入射側と光射出側とに本実施形態に係る偏光素子1を使用すれば、青色光、緑色光と赤色光とで透過する偏光成分が異なったとしても、液晶パネル内での偏光状態が異なるだけであり、表示上は差し支えない。
【0032】
以下、上記構成の偏光素子1の製造方法について、図2(A)〜図2(C)を用いて説明する。
図2(A)に示すように、ガラス基板2上に、銀ナノロッド4B、金ナノロッド4G、金コア・銀シェルナノロッド4Rを含有する有機溶媒溶液10を塗布する(塗布工程)。偏光層形成材料4Aを塗布する手段としては、公知の印刷技術等を用いることができる。有機溶媒溶液10は、シリコン酸化物の原料であるポリシラザンを任意の有機溶媒に溶解したものである。有機溶媒溶液10を塗布した段階では、複数の銀ナノロッド4B、複数の金ナノロッド4G、複数の金コア・銀シェルナノロッド4Rはランダムな方向を向いている。
【0033】
次に、図2(B)に示すように、有機溶媒溶液10に対してx軸と平行な方向に電界を印加する(電界印加工程)。このとき、第1電極6と第2電極7とが交互に複数配置されたステージ11上にガラス基板2を載置する。なお、図2(B)には示していないが、第1電極6および第2電極7は帯状の形状を有し、y軸方向に延在している。第1電極6には高周波電源8を接続し、第2電極7は接地する。この状態で第1電極6−第2電極7間に高周波電圧を印加すると、有機溶媒溶液10の内部に、x軸と平行な方向に電界が発生する。銀ナノロッド4B、金ナノロッド4G、金コア・銀シェルナノロッド4Rは全て針状の形状をしており、各ナノロッド4には分極が生じている。そのため、各ナノロッド4は、長軸方向が電界の方向に沿うように配向する。
【0034】
次に、図2(C)に示すように、例えばオーブン9等を用いて有機溶媒溶液10を焼成する(焼成工程)。これにより、有機溶媒溶液10中の有機溶媒が除去されるとともに、ポリシラザンが大気中の水分や酸素と反応して固化し、シリコン酸化物(母材5)に変化する。このとき、銀ナノロッド4B、金ナノロッド4G、金コア・銀シェルナノロッド4Rが略同一方向に配向した状態で固定される。
以上の工程を経て、本実施形態の偏光素子1が完成する。
【0035】
従来の偏光素子は、光の波長に対してブロードな偏光特性を持つのが普通であり、偏光特性が各色光に対して最適化されているわけではなかった。そのため、例えば液晶装置に用いた際に輝度やコントラストの低下、色再現性の悪化等、表示上の不具合が生じていた。
【0036】
これに対して、本実施形態の偏光素子1では、銀ナノロッド4Bは、青色波長域において第1偏光光の透過率が第2偏光光の透過率とは異なり、金ナノロッド4Gは、緑色波長域において第1偏光光の透過率が第2偏光光の透過率とは異なり、金コア・銀シェルナノロッド4Rは、赤色波長域において第1偏光光の透過率が第2偏光光の透過率とは異なる。
【0037】
具体的には、青色波長域において、銀ナノロッド4Bは、短軸方向に振動する偏光成分に対して吸収ピーク波長を有し、長軸方向に振動する偏光成分を透過する。緑色波長域において、金ナノロッド4Gは短軸方向に振動する偏光成分に対して吸収ピーク波長を有し、長軸方向に振動する偏光成分を透過する。赤色波長域において、金コア・銀シェルナノロッド4Rは、長軸方向に振動する偏光成分に対して吸収ピーク波長を有し、短軸方向に振動する偏光成分を透過する。
【0038】
ここで、所定の波長域において、金コア・銀シェルナノロッド4Rによって吸収されない偏光成分の透過率を金コア・銀シェルナノロッド4Rによって吸収されるべき偏光成分の透過率で除して得られる値を、所定の波長域における金コア・銀シェルナノロッド4Rの消光比と定義する。銀ナノロッド4Bの消光比と金ナノロッド4Gの消光比も同様に定義する。赤色波長域において、金コア・銀シェルナノロッド4Rの消光比は、銀ナノロッド4Bの消光比および金ナノロッド4Gの消光比よりも大きい。また、緑色波長域において、金ナノロッド4Gの消光比は、銀ナノロッド4Bの消光比および金コア・銀シェルナノロッド4Rの消光比よりも大きい。また、青色波長域において、銀ナノロッド4Bの消光比は、金ナノロッド4Gの消光比および金コア・銀シェルナノロッド4Rの消光比よりも大きい。
【0039】
なお、所定の波長域において、第1偏光光と第2偏光光のうち、金コア・銀シェルナノロッド4Rによって吸収されるべき偏光成分とは異なる偏光成分の透過率を、所定の波長域の光において金コア・銀シェルナノロッド4Rが透過させる偏光成分の透過率とみなすことができる。また、所定の波長域において、第1偏光光と第2偏光光のうち、金コア・銀シェルナノロッド4Rによって吸収されるべき偏光成分の透過率を、所定の波長域の光において金コア・銀シェルナノロッド4Rが吸収する偏光成分の透過率とみなすことができる。
【0040】
同様に、所定の波長域において、第1偏光光と第2偏光光のうち、金ナノロッド4Gによって吸収されるべき偏光成分とは異なる偏光成分の透過率を、所定の波長域の光において金ナノロッド4Gが透過させる偏光成分の透過率とみなすことができる。また、所定の波長域において、第1偏光光と第2偏光光のうち、金ナノロッド4Gによって吸収されるべき偏光成分の透過率を、所定の波長域の光において金ナノロッド4Gが吸収する偏光成分の透過率とみなすことができる。
【0041】
同様に、所定の波長域において、第1偏光光と第2偏光光のうち、銀ナノロッド4Bによって吸収されるべき偏光成分とは異なる偏光成分の透過率を、所定の波長域の光において銀ナノロッド4Bが透過させる偏光成分の透過率とみなすことができる。また、所定の波長域において、第1偏光光と第2偏光光のうち、銀ナノロッド4Bによって吸収されるべき偏光成分の透過率を、所定の波長域の光において銀ナノロッド4Bが吸収する偏光成分の透過率とみなすことができる。
【0042】
そのため、1つの偏光素子が青色光、緑色光、赤色光の各色光に対して高い偏光特性を有している。その結果、本実施形態の偏光素子1を青色画素、緑色画素、赤色画素を有する液晶装置に用いた場合、輝度やコントラストの低下、色再現性等を高められ、表示品位を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態の偏光素子1は、単一の母材5の内部に銀ナノロッド4B、金ナノロッド4G、金コア・銀シェルナノロッド4Rが混在した構成を有しているため、後に母材5となるポリシラザン中に上記のナノロッドを全て混合した溶液を用いて偏光素子1を形成することができる。よって、偏光素子1の製造工程の簡略化が図れる。また、偏光素子1の構成材料が全て無機材料であるため、耐熱性に優れた偏光素子を実現することができる。
【0044】
また、本実施形態の偏光素子1は、既に説明したように公知の薄膜形成技術を用いて容易に製造できるため、従来と比較して偏光素子の厚さを薄くすることができる。
【0045】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施形態の偏光素子の基本構成は第1実施形態と同様であり、偏光層の構成が第1実施形態と異なるのみである。
図3は、本実施形態の偏光素子を示す断面図である。
図3において、第1実施形態の図1と共通する構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0046】
第1実施形態の偏光素子1は、ガラス基板2上に1層の偏光素子1が形成されていた。これに対して、本実施形態の偏光素子21は、図3に示すように、基材としてのガラス基板2(基材)と、ガラス基板2の一面に積層された偏光層12B,偏光層12G,偏光層12Rと、を備えている。3層の偏光層を、ガラス基板2側(下層側)から順に、第1偏光層12B、第2偏光層12G、第3偏光層12Rとする。
【0047】
第1偏光層12Bは、第1の母材としてシリコン酸化物からなる母材5中に複数の銀ナノロッド4Bが分散されている。複数の銀ナノロッド4Bは、ガラス基板2の主面内で略同一の方向に配向している。ここで、銀ナノロッド4Bの配向方向をx軸方向とする。第2偏光層12Gは、第2の母材としてシリコン酸化物からなる母材5中に複数の金ナノロッド4Gが分散されている。複数の金ナノロッド4Gは、略同一の方向、すなわち、x軸方向に配向している。第3偏光層12Rは、第3の母材としてシリコン酸化物からなる母材5中に複数の金コア・銀シェルナノロッド4Rが分散されている。複数の金コア・銀シェルナノロッド4Rは、略同一の方向、すなわち、x軸方向に配向している。
【0048】
各ナノロッド4のサイズや吸収特性は第1実施形態に記載した通りである。すなわち、銀ナノロッド4Bは、振動方向が短軸方向と一致した偏光成分に対して410nm(青色波長域)に吸収ピーク波長を有している。金ナノロッド4Gは、振動方向が短軸方向と一致した偏光成分に対して530nm(緑色波長域)に吸収ピーク波長を有している。金コア・銀シェルナノロッド4Rは、振動方向が長軸方向と一致した偏光成分に対して650nm(赤色波長域)に吸収ピーク波長を有している。
【0049】
本実施形態に係る偏光素子21は、第1実施形態に係る偏光素子1と同様に、青色波長域の光と緑色波長域の光と赤色波長域の光各々に対して偏光特性が高められた偏光素子として機能する。また、本実施形態の場合、1種類のナノロッド4を母材5の原料であるポリシラザン中に含有させた状態でガラス基板2上に1層ずつ第1偏光層12B,第2偏光層12G,第3偏光層12Rを形成できる。そのため、各偏光層内のナノロッドの配向性を高めることができる。
【0050】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態の偏光素子の基本構成は第2実施形態と同様であり、第3偏光層の構成が第2実施形態と異なるのみである。
図4は、本実施形態の偏光素子を示す断面図である。
図4において、第2実施形態の図3と共通する構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施形態の偏光素子23は、図4に示すように、基材としてのガラス基板2(基材)と、ガラス基板2の一面に積層された偏光層12B,偏光層12G,偏光層13Rと、を備えている。ガラス基板2側(下層側)から、第1偏光層12B、第2偏光層12G、第3偏光層13Rがこの順に積層されている。
【0052】
第1偏光層12Bおよび第2偏光層12Gの構成は、第2実施形態と同様である。第1偏光層12Bは、母材5中に複数の銀ナノロッド4Bが分散されている。複数の銀ナノロッド4Bは、ガラス基板2の主面内で略同一の方向に配向している。ここで、銀ナノロッド4Bの配向方向をx軸方向とする。第2偏光層12Gは、母材5中に複数の金ナノロッド4Gが分散されている。複数の金ナノロッド4Gは、略同一の方向、すなわち、x軸方向に配向している。
【0053】
本実施形態の偏光素子23では、第3偏光層13Rの構成が第2実施形態と異なる。第3偏光層12Rは、母材5中に複数の金コア・銀シェルナノロッド4Rが分散されている。複数の金コア・銀シェルナノロッド4Rは、略同一の方向に配向しているが、第1偏光層12Bの銀ナノロッド4Bの配向方向および第2偏光層12Gの金ナノロッド4Gの配向方向とは直交する方向、すなわち、y軸方向に配向している。座標軸の設定は、第1実施形態と同様である。
【0054】
本実施形態に係る偏光素子23は、第1実施形態に係る偏光素子1と同様に、青色波長域の光と緑色波長域の光と赤色波長域の光各々に対して偏光特性が高められた偏光素子として機能する。
【0055】
また、第1実施形態で述べたように、第1偏光光と第2偏光光のうち、銀ナノロッド4Bが吸収ピーク波長を示す偏光成分の振動方向と金コア・銀シェルナノロッド4Rが吸収ピーク波長を示す偏光成分の振動方向とは、互いに直交する。また、第1偏光光と第2偏光光のうち、金ナノロッド4Gが吸収ピーク波長を示す偏光成分の振動方向と金コア・銀シェルナノロッド4Rが吸収ピーク波長を示す偏光成分の振動方向とは、互いに直交する。ところが、本実施形態においては、金コア・銀シェルナノロッド4Rの配向方向と、銀ナノロッド4Bおよび金ナノロッド4Gの配向方向と、が直交しているため、全ての色光で偏光素子23を透過する偏光成分の振動方向を一致させることができる。
【0056】
[液晶装置]
以下、本発明の一実施形態である液晶装置を、図4図5を参照して説明する。
本実施形態では、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)を画素スイッチング素子として用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示装置の例を挙げて説明する。図4は本実施形態の液晶表示装置を各構成要素とともに対向基板の側から見た平面図、図5図4のH−H’線に沿う断面図である。
【0057】
図4および図5に示すように、本実施形態の液晶表示装置31は、TFTアレイ基板32と対向基板33とがシール材34によって貼り合わされ、このシール材34によって区画された領域内に液晶層35が封入された液晶パネル36を有している。液晶層35は、正の誘電率異方性を有する液晶材料から構成されている。シール材34の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる遮光膜(周辺見切り)37が形成されている。
【0058】
シール材34の外側の周辺回路領域には、データ線駆動回路38および外部回路実装端子39がTFTアレイ基板32の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路40が形成されている。TFTアレイ基板32の残る一辺には、表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路40の間を接続するための複数の配線41が設けられている。また、対向基板43の角部においては、TFTアレイ基板32と対向基板33との間で電気的導通をとるための基板間導通材42が配設されている。
【0059】
対向基板33の液晶層35側の面には、カラーフィルター43が形成されている。カラーフィルター43は、マトリクス状に配列された複数のサブピクセルの各々に対応して、赤色色材層、緑色色材層、青色色材層を有している。液晶パネル36の光入射側および光射出側には、偏光板44,45がそれぞれ配置されている。これらの偏光板44,45は、第1実施形態もしくは第2実施形態の偏光素子である。
【0060】
本実施形態によれば、第1実施形態もしくは第2実施形態の偏光素子を備えたことにより、明るく、コントラストの高い表示が可能な液晶表示装置を実現できる。
【0061】
[電子機器]
以下、本発明の電子機器の一実施形態を、図6を用いて説明する。
図6は上記実施形態の液晶表示装置を備えた携帯電話機の斜視図である。図6に示すように、携帯電話機1300(電子機器)は、複数の操作ボタン1302、受話口1303、送話口1304とともに、上記実施形態の液晶表示装置からなる表示部1301を備えている。
【0062】
本実施形態によれば、表示部1301として上記実施形態の液晶表示装置を備えたことにより、表示品位に優れた液晶表示部を備えた電子機器を実現することができる。
【0063】
なお、本発明の電子機器の具体例としては、上記の携帯電話機の他、プロジェクター、電子ブック、パーソナルコンピューター、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビジョン、ビューファインダー型またはモニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた電子機器等が挙げられる。
【0064】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、複数の互いに異なる波長に対して優れた偏光特性を有する偏光素子を実現する手段として、銀ナノロッド、金ナノロッド、金コア・銀シェルナノロッドというように、波長に応じてナノロッドの材料を選択した。この手段に代えて、波長に応じてナノロッドのアスペクト比を選択してもよい。この手段によっても、複数の互いに異なる波長に対して優れた偏光特性を有する偏光素子を実現することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、ナノロッドの材料として、金と銀を用いたが、これに限定されない。半導体材料を用いてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、3種類のナノロッドを用いることで、3つの波長域に吸収ピークを持つ偏光素子を実現したが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像表示を構成する色光が赤、緑、青、黄のように4つであれば、偏光素子がこれらの色に応じて4つの波長域に吸収ピークを持つように、4種類のナノロッドを用いればよい。
【0067】
また、画像表示を構成する色光が3つであっても、偏光素子が2つの波長域に吸収ピークを持つように、2種類のナノロッドを用いてもよい。この場合、画像表示を構成する3つの波長域のうち1つの波長域が、偏光素子が有する2つの吸収ピーク波長のいずれかと重なっていることが好ましい。
【0068】
さらに、波長域についても、青色波長域、緑色波長域、赤色波長域に限るものではない。その他、偏光素子の各部の構成材料、寸法、製造工程等に関して、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1,21,23…偏光素子、2…ガラス基板(基材)、4…ナノロッド(針状粒子)、4R…金コア・銀シェルナノロッド、4G…金ナノロッド、4B…銀ナノロッド、5…母材、12B…第1偏光層、12G…第2偏光層、12R,13R…第3偏光層、31…液晶表示装置(液晶装置)、36…液晶パネル、43…カラーフィルター、44,45…偏光板(偏光素子)、1300…携帯電話機(電子機器)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7