【実施例】
【0017】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0018】
参考例
(1) 2,2´-[(1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-エタンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,3,3,3-テトラフルオロプロパン酸]二カリウム塩水溶液の調製
攪拌装置および冷却装置を備えた容量50LのSUS製オートクレーブに、48重量%水酸化カリウム水溶液10.7kg(91.5モル)および水10.7kgを加え、20℃まで冷却した。次に、純度96重量%の2,2´,3,3,3,3´,3´,3´-オクタフルオロ-2,2´-[(パーフルオロエチレン)ジオキシ]ビス(プロパノイルフルオリド)
FOC-CF(CF
3)OCF
2CF
2OCF(CF
3)-COF
10.0kg(22.5モル)を反応温度が50℃を超えないように、攪拌しながらゆっくりと滴下した。反応溶液の温度がそれ以上上昇しないことを確認した後冷却を停止し、室温条件下で8時間攪拌を続けた。カートリッジフィルターを通じて反応混合物を回収し、無色透明の液体31.0kgを得た。得られた液体について
19F-NMR測定を実施し、既知の2,2´-[1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-エタンジイル]ビス(オキシ)]ビス[2,3,3,3-テトラフルオロプロパン酸]二カリウム塩
KOOC-CF(CF
3)OCF
2CF
2OCF(CF
3)-COOK
と同等のスペクトルであることが確認された。また、水溶液10gをガラス製シャーレに分取し、100℃のオーブンで重量変化が1%以内となるまで完全に乾燥させたところ、白色の粉末4.3gが得られたことから、得られた水溶液の全固形分濃度を43%とした。なお、
19F-NMRでの定量より、ジカルボン酸カリウム塩水溶液の濃度は36重量%であり、回収率は98.7%であった。
【0019】
(2) 2,2´-[(1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-エタンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,3,3,3-テトラフルオロプロパン酸]二カリウム塩粉末の調製
得られた2,2´-[(1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-エタンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,3,3,3-テトラフルオロプロパン酸]二カリウム塩水溶液30kgについて、スプレードライヤー(プリス製P26-H30)を用いて、乾燥空気の入口温度180℃、出口温度120〜125℃、水溶液供給速度11kg/時間で噴霧乾燥処理を行ったところ、目視粒径80〜200μm、残溶媒量1.9重量%の白色粉末12.7kgが得られた(回収率98.0%)。
19F-NMR測定を実施し、既知の2,2´-[1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-エタンジイル]ビス(オキシ)]ビス[2,3,3,3-テトラフルオロプロパン酸]二カリウム塩と同等のスペクトルであることが確認され、また
19F-NMRでの定量より、ジカルボン酸カリウム塩の純度は80.5重量%であった。
【0020】
(3) 得られた2,2´-[(1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-エタンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,3,3,3-テトラフルオロプロパン酸]二カリウム塩の白色粉末12.5kg(21.3モル)を、攪拌装置、コンデンサー、受器、温度計および窒素導入ラインを備えた容量120LのSUS製反応容器に入れ、攪拌しながら減圧下(6.67×10
2Pa)、100℃で24時間の加温を行った。粉体の含水率が0.2重量%であることを確認した後、攪拌しながら窒素を微量流しつつ昇温させ、160℃で8時間の加熱攪拌を行ったところ、粗生成物5.4kgが得られた。
19F-NMR測定を実施し、既知の1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-ビス[(トリフルオロビニル)オキシ]エタン
CF
2=CFOCF
2CF
2OCF=CF
2
と同等のスペクトルであることが確認され、また、ガスクロマトグラフィーによる測定を併用し、構造不明低沸点不純物/目的物ジビニルエーテル/HF付加副生成物=3.4/89.1/7.0(重量比)であることが確認された(目的物の収率76.8%)
【0021】
実施例1
参考例で得られた粗生成物を水洗した後、水洗物5,000gおよびトリエタノールアミン250gを、攪拌機、温度計、蒸留塔、環流冷却管およびコンデンサーを備えた容量5Lの四口フラスコに仕込んだ。蒸留塔には、充填剤としてSUS304ヘリパックNo.2を充填して使用し、これを蒸留精製し、温度43℃/20kPaの留分を分取した。蒸留によって得られた留分の水洗水のpHは7.0であり、蒸留から24時間経過後の同留分についての水洗水pHも7.0であった。
【0022】
実施例2
実施例1において、トリエタノールアミン量が50gに変更されて用いられたところ、蒸留によって得られた留分の水洗水のpHは7.0であったが、蒸留から24時間経過後の同留分の水洗水のpHは4.0であった。さらにトリエタノールアミン50gを添加し、同留分の水洗水のpHを測定したところ、7.0であった。
【0023】
比較例
実施例1において、トリエタノールアミンが用いられなかったところ、蒸留によって得られた留分の水洗水のpHは7.0であったが、蒸留から24時間経過後の同留分の水洗水のpHは2.0であった。