(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下本発明をデジタルカメラに適用した場合の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ10の回路構成を示すブロック図である。同図で、カメラ筐体の前面に配設される撮影レンズ部11により、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOSイメージセンサ等で構成される固体撮像素子(IS)12の撮像面上に被写体の光像を入射して結像させる。
【0011】
スルー画像表示、あるいはライブビュー画像表示とも称されるモニタ状態では、この固体撮像素子12での撮像により得た画像信号をAGC・A/D変換部13に送り、相関二乗サンプリングや自動ゲイン調整、A/D変換処理を実行してデジタル化する。このデジタル値の画像データはシステムバスSBを介してバッファメモリ14に保持される。
【0012】
このバッファメモリ14に保持された画像データに対して、画像処理部15が適宜必要な画像処理を施す。画像処理部15は、被写体検出部15a、動きベクトル解析部15b、及び領域進入判定部15cを備える。
【0013】
画像処理部15は、固体撮像素子12に備えられるベイヤー配列のカラーフィルタの構成に応じた画像データ(以下「ベイヤーデータ」と称する)に対してマトリックス演算、画素補間処理、ガンマ補正処理等を含むデモザイク処理することで、RAW(生)データであるベイヤーデータに現像を施して輝度色差系(YUV)の画像データに変換する。
【0014】
画像処理部15は、その画像データから表示用に画素数及び階調ビットを大幅に減じた画像データを作成して表示部16へ送り、スルー画像として表示させる。
【0015】
また、上記光学レンズユニット11と同じくカメラ筐体前面には、マイクロホン17が配設され、被写体方向の音声が入力される。マイクロホン17は入力した音声を電気信号化し、音声処理部18へ出力する。
【0016】
音声処理部18は、音声単体での録音時、音声付き静止画像撮影時、及び動画像の撮影時にマイクロホン17から入力する音声信号をデジタルデータ化する。さらに音声処理部18は、デジタル化した音声データの音圧レベルを検出する一方で、該音声データを所定のデータファイル形式、例えばAAC(moving picture experts group−4 Advanced Audio Coding)形式でデータ圧縮して音声データファイルを作成し、後述する記録媒体へ送出する。
【0017】
加えて音声処理部18は、PCM音源等の音源回路を備え、音声の再生時に送られてくる音声データファイルの圧縮を解いてアナログ化し、このデジタルカメラ10の筐体背面側に設けられるスピーカ19を駆動して、拡声放音させる。
【0018】
以上の回路をCPU20が統括制御する。このCPU20は、ワークメモリ21、及びプログラムメモリ22と直接接続される。ワークメモリ21は、例えばDRAMで構成される。プログラムメモリ22は、例えばフラッシュメモリなどの電気的に書換可能な不揮発性メモリで構成され、後述する連写速度制御を含む動作プログラムやデータ等を固定的に記憶する。
【0019】
CPU20はプログラムメモリ22から必要なプログラムやデータ等を読出し、ワークメモリ21に適宜一時的に展開記憶させながら、このデジタルカメラ10全体の制御動作を実行する。
【0020】
さらに上記CPU20は、操作部23から直接入力される各種キー操作信号、及び上記表示部16上に一端に設けられるタッチ入力部24からの操作信号に対応して制御動作を実行する。
【0021】
操作部23は、例えば電源キー、シャッタレリーズキー、ズームアップ/ダウンキー、撮影モードキー、再生モードキー、メニューキー、カーソル(「↑」「→」「↓」「←」)キー、セットキー、解除キー、ディスプレイキー等を備える。
【0022】
タッチ入力部24は、透明導電膜を用いて上記表示部16上に一体に形成されるものであり、ユーザの手指でタッチ操作された位置の座標情報を操作信号として上記CPU20へ送出する。
【0023】
CPU20は、システムバスSBを介して上記AGC・A/D変換部13、バッファメモリ14、画像処理部15、表示部16、タッチ入力部24、及び音声処理部18の他、さらにレンズ駆動部25、フラッシュ駆動部26、イメージセンサ(IS)駆動部27、及びメモリカードコントローラ28と接続される。
【0024】
レンズ駆動部25は、CPU21からの制御信号を受けてレンズ用DCモータ(M)29の回転を制御し、上記光学レンズユニット11を構成する複数のレンズ群中の一部、具体的にはズームレンズ及びフォーカスレンズの位置をそれぞれ個別に光軸方向に沿って移動させる。
【0025】
フラッシュ駆動部26は、静止画像撮影時にCPU21からの制御信号を受けて複数の白色高輝度LEDで構成されるフラッシュ部30を撮影タイミングに同期して点灯駆動する。
【0026】
イメージセンサ駆動部27は、その時点で設定されている撮影条件等に応じて上記固体撮像素子12の走査駆動を行なう。
【0027】
上記画像処理部15は、上記操作部24のシャッタレリーズキー操作に伴う画像撮影時に、AGC・A/D変換部13から送られてきてバッファメモリ14に保持される画像データをデモザイク処理し、さらに所定のデータファイル形式、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)であればDCT(離散コサイン変換)やハフマン符号化等のデータ圧縮処理を施してデータ量を大幅に削減した画像データファイルを作成する。作成した画像データファイルはシステムバスSB、メモリカードコントローラ28を介してメモリカード31に記録される。
【0028】
また画像処理部15は、再生モード時にメモリカード31からメモリカードコントローラ28を介して読出されてくる画像データをシステムバスSBを介して受取り、バッファメモリ14に保持させた上で、このバッファメモリ14に保持させた画像データを記録時とは逆の手順で圧縮を解く伸長処理により元のサイズの画像データを得、これをシステムバスSBを介して表示部16に出力して表示させる。
【0029】
メモリカードコントローラ28は、カードコネクタCを介してメモリカード31と接続される。メモリカード31は、このデジタルカメラ10に着脱自在に装着され、このデジタルカメラ10の記録媒体となる画像データ等の記録用メモリである。メモリカード31の内部には、ブロック単位で電気的に書換え可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリと、その駆動回路とが設けられる。
【0030】
次に上記実施形態の動作について説明する。
なお、以下に示す動作は、連写撮影モード下で時間的に連続した複数の静止画像の撮影を行なう際、CPU20がプログラムメモリ22に記憶されている動作プログラムやデータを読出してワークメモリ21に展開して記憶させた上で実行するものである。
【0031】
プログラムメモリ22に記憶されている動作プログラム等は、このデジタルカメラ10の製造工場出荷時にプログラムメモリ22に記憶されていたものに加え、例えばこのデジタルカメラ10のバージョンアップに際して、デジタルカメラ10をパーソナルコンピュータと接続することにより外部から新たな動作プログラム、データ等をダウンロードして記憶するものも含む。
【0032】
図2は、連写撮影モード時の撮影とその後の記録に係る一連の処理内容を示すものである。その処理当初には、固体撮像素子12を所定のフレームレート、例えば60[フレーム/秒]で走査駆動し、得られる画像を順次バッファメモリ14にバッファしながら、表示部16でスルー画像としてリアルタイムに表示させる(ステップS101)。併せてCPU20は、被写体の撮像領域の指定をこのデジタルカメラ10のユーザに促すべく、同表示部16の一部、例えば画面の下部に、ガイドメッセージとして
「主要な被写体を撮影する領域の範囲を指定して下さい」
のような文字列を表示することで報知する(ステップS102)。
【0033】
上記報知の後、実際にユーザが領域を指定したか否かを判断する(ステップS103)。これは、表示部16と一体に設けられるタッチ入力部24の出力する座標信号により、矩形状の範囲を示すタッチ操作がなされたか否かにより判断する。
【0034】
ここでユーザによる領域指定がなされない場合は上記ステップS101からの処理に戻って同様の処理を繰返し実行する。
【0035】
ユーザがタッチ入力部24でのタッチ操作により領域指定を行なった場合、上記ステップS103でそれを判断し、バッファメモリ14にバッファしている時系列の画像内の動きベクトルを、画像処理部15の被写体検出部15a及び動きベクトル解析部15bにより解析して主被写体の領域を特定する(ステップS104)。
【0036】
具体的には、画像内の複数のブロック領域毎の動きベクトルを解析し、その解析結果から、特異な動きベクトルを有するブロック領域を主被写体の領域と特定する。
【0037】
動きベクトル解析部15bが実行する動きベクトルの解析処理の詳細に関しては、MPEG(Moving Picture Experts Group)等の動画圧縮符号化技術で一般的に実施されているきわめて周知の技術であるので、その説明については省略する。
【0038】
主被写体をその動きベクトルにより特定すると、次いで特定した動きベクトルの大きさ、すなわち画像内での主被写体の移動速度から、上記指定領域を囲むようなサブ領域を設定する(ステップS105)。
【0039】
図3(A)は、表示部16で表示される画面中から、主被写体MOと、指定領域TA、及びサブ領域SAを抽出してその関係を示すものである。サブ領域SAは、動きベクトルの大きさが大きい時は指定領域TAに対して大きく、動きベクトルが小さい時は指定領域TAに対して小さく設定する。動きベクトル、及び指定領域TAに対するサブ領域SAの大きさは、予め設定した複数のしきい値により段階的に設定するものとしても良い。
因みに、表示部16の画面中、主被写体MOは矢印A1の方向に移動する移動体である。この主被写体MOの移動方向については、デジタルカメラ10を三脚等に固定して撮影し、現実の主被写体MOに相当する移動体が画面中で移動する場合に限らず、ユーザがデジタルカメラ10を手持ちで撮影する場合に、撮影範囲中で主被写体MOが所望する位置に移動するよう構図を代えることで、相対的に画面中を移動することも含める。
【0040】
また、同図で縦2本、横2本の計4本の破線で示す線C1〜C4は、黄金比に従った構図での撮影を補助するための線であり、例えば上記操作部23のディスプレイキーの操作により表示部16での表示の有無を切り換えることが可能であるものとする。
【0041】
次いで、設定した動きベクトルと、指定された領域の大きさとに基づいて、連写撮影時の2種類の撮像レートFR1,FR2(FR1<FR2)を設定する(ステップS106)。
上記撮像レートFR1は、主被写体MOの少なくとも一部がサブ領域SA内に入っている状態で連写撮影する場合の撮像フレームレートを示す。また、上記撮像レートFR2は、主被写体MOの全部が指定領域TA内に入っている状態で連写撮影する場合の撮像フレームレートを示す。
【0042】
こうして各種設定が完了すると、実際の連写撮影を開始するべく、画像処理部15の領域進入判定部15cを用い、画像中の主被写体MOの少なくとも一部がサブ領域SAに達するのを待機する(ステップS107)。
そして、画像中の主被写体MOの少なくとも一部がサブ領域SAに達すると、上記ステップS107でそれを判断し、上記ステップS106で設定した撮像レートFR1、例えば15[フレーム/秒]で連写撮影を開始する(ステップS108)。CPU20は、撮影により取得したRAWデータを順次バッファメモリ14に保持させる。
【0043】
その後、領域進入判定部15cにより画像中の主被写体MOの全部が指定領域TA内に収まったか否かを判断し(ステップS109)、収まっていないと判断した場合には、上記ステップS108からの処理に戻る。
【0044】
こうしてステップS108,S109の処理を繰返し実行することで、撮像レートFR1での連写撮影を続行しながら、領域進入判定部15cの判定により画像中の主被写体MOの全部が指定領域TA内に収まるのを待機する。
【0045】
図3(B)は、上記
図3(A)の状態からさらに主被写体MOが画面右下方向に移動し、サブ領域SAを越えて一部が指定領域TAに達している状態を示す。同図(B)中に示すように、画面中を矢印A2の方向にさらに主被写体MOが移動することで主被写体MOが指定領域TA内に収まり、ユーザが意図した構図となる。
【0046】
しかして、主被写体MOが表示部16の画面中でさらに移動し、
図3(C)に示すように指定領域TA内に主被写体MOが完全に収まった状態になると、上記ステップS109でそれを判断し、上記ステップS106で設定した撮像レートFR2、例えば30[フレーム/秒]に代えて連写撮影を継続する(ステップS110)。
【0047】
その後、画像中の主被写体MOの少なくとも一部が指定領域TAから外れたか否かを判断し(ステップS111)、外れていないと判断した場合には、上記ステップS110からの処理に戻る。
【0048】
こうしてステップS110,S111の処理を繰返し実行することで、画像中の主被写体MOの全部が指定領域TA内に収まっている間、撮像レートFR2での連写撮影を続行する。
【0049】
そして、画像中の主被写体MOの少なくとも一部が指定領域TAを外れると、上記ステップS111でそれを判断し、再び上記ステップS106で設定した撮像レートFR1に変えて連写撮影を続行する(ステップS112)。
【0050】
その後、画像中の主被写体MOの全部がサブ領域SAから外れたか否かを判断し(ステップS113)、外れていないと判断した場合には、上記ステップS112からの処理に戻る。
【0051】
こうしてステップS112,S113の処理を繰返し実行することで、画像中の主被写体MOの全部がサブ領域SAから外れるまでの間、撮像レートFR1での連写撮影を続行する。
【0052】
その後、画像中の主被写体MOの全部がサブ領域SAから外れると、上記ステップS113でそれを判断し、その時点で連写撮影を停止する(ステップS114)。
【0053】
図4は、主被写体MOの移動位置上のサブ領域SA、指定領域TAの位置と、撮像フレームレートの関係を示す。
図示する如く主被写体MOの少なくとも一部がサブ領域SAに入った時点で、フレームレートFR1での連写撮影が開始される。そして、主被写体MOの全部が指定領域TA内に収まっている期間Mでは、ユーザの意図した構図となっている可能性が高いため、上記フレームレートFR1より高いフレームレートFR2に変えて連写撮影が続行される。
【0054】
その後、主被写体MOの少なくとも一部が指定領域TAを外れてから、主被写体MO全部がサブ領域SAを外れるまでの間も、再び上記フレームレートFR1で連写撮影が続行される。そして、主被写体MO全部がサブ領域SAを外れた時点で、連写撮影を停止する。
【0055】
連写撮影停止後にCPU20は、バッファメモリ14に保持している一連の連写撮影により得られた画像データに対し、それぞれ画素数を大幅に間引いた縮小画像を生成する(ステップS115)。
【0056】
そして、生成した縮小画像を表示部16にて一覧表示させた上で、保存する画像の選択を促すようなガイドメッセージ、例えば
「保存する画像を全てタッチした上で「保存」ボタンをタッチして下さい」
のような表示を行なう。この表示に合わせて、表示部16の例えば右下端部には、選択終了と保存実行を指示するための「保存」ボタンを表示させる(ステップS116)。
【0057】
このとき、各縮小画像の例えば左上部に空欄となったチェックボックスを併せて表示し、タッチされた縮小画像については当該チェックボックス内にチェック「レ」を入れて表示することで、容易に保存する画像と保存しない画像を判別可能に表示できる。
【0058】
あるいは、保存すべくタッチした縮小画像については、当該縮小画像全体を半透明表示した上でその画像に重ねるように赤字で例えば「RECORD」の文字を表示させても良い。
【0059】
その後、「保存」ボタンがタッチ操作されて縮小画像の選択が終了するのを待機する(ステップS117)。そして、縮小画像の選択が指示されると上記ステップS117でそれを判断し、選択された縮小画像に対応する、バッファメモリ14に保持された画像データをそれぞれ所定のデータファイル形式、例えばJPEGに従って画像データファイル化し、得た画像データファイルをメモリカード31に記録させて(ステップS118)、一連の連写撮影モード時の処理を終了する。
【0060】
なお、
図2の動作例では、縮小画像により保存する画像を個別に選択するものとして説明したが、一覧表示した縮小画像中、ユーザが所望の構図となっていると思われる時系列に連続した画像の範囲を表す先頭及び末尾の2枚を選択することで、その2枚を先頭及び末尾とする連続した複数の画像の範囲を一括して選択するものとしても良い。
【0061】
いずれにしても、ユーザが記録する連写画像中から記録する画像を簡易な操作で選択可能となる。
【0062】
以上詳述した如く本実施形態によれば、ユーザが所望する構図の移動体の画像を簡易に複数撮影することが可能となる。
【0063】
加えて上記実施形態では、主被写体MOが指定領域TAに入ると、それまでのフレームレートより高いフレームレートに自動的に切り換えて連写撮影を続行するようにしたので、ユーザが所望する構図となった主被写体MOの画像をより多く取得することができ、結果としてユーザの満足する画像を撮影する可能性が高くなる。
【0064】
また上記実施形態では、連写撮影のフレームレートを設定するに当たって、画面中の主被写体MOの動きベクトルを算出してその大きさにより指定領域TA内にある時のフレームレートFR2、及びその前後でのフレームレートFR1を設定するものとした。
【0065】
これにより、動画像の処理できわめて一般的に用いられている動きベクトルの算出アルゴリズムを用いて、移動体としての主被写体MOの画面中での動きの速さに応じて適切なフレームレートを設定することができる。
【0066】
なお上記実施形態では、ユーザが任意の指定領域TAを設定するものとして説明したが、予め複数の指定領域パターンを用意しておき、ユーザはそれらのパターンの中から任意のものを選択するようにしても良い。
【0067】
このように予め指定領域TAのパターンを用意しておくことで、一般的な構図で撮影を行なう場合のユーザの負担を減らし、より簡易且つ迅速に連写撮影に移行することができる。
【0068】
また上記実施形態では説明しなかったが、画像中からパターン抽出可能な特徴物、例えば各種のタワーやビルディングなどの建造物によるランドマーク、あるいはペットなどの動物等を背景領域に属するものとし、主被写体が特徴物と重複するような状態では意図的に連写撮影のフレームレートを下げるなど、主被写体と背景中の特徴物とが共存した構図を意図して連写撮影のフレームレートを設定することで、より表現力を増した構図の画像をシャッタチャンスを逃すことなく確実に撮影できる。
【0069】
上記特徴物を画像中からパターン抽出する際には、上記実施形態で示した如く表示部16と一体にして形成したタッチ入力部24によりユーザが特徴物を直接指定することにより、さらにパターン抽出のための画像処理演算の負担を軽減できる。
【0070】
(第2の実施形態)
以下本発明をデジタルカメラに適用した場合の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態に係るデジタルカメラ10の回路構成については、上記
図1に示したものと基本的に同様であるものとして、同一部分には同一符号を使用してその図示と説明とを省略する。
【0071】
さらに本実施形態では、画像処理部15の領域進入判定部15cが、被写体検出部15a及び動きベクトル解析部15bでの処理により算出した主被写体の位置と、ユーザが特定した撮像位置との距離が、設定される第1及び第2の距離r1,r2以内となったか否かにより特定した撮像位置への進入の度合いを判定する。
【0072】
次に上記実施形態の動作について説明する。
なお、以下に示す動作は、連写撮影モード下で時間的に連続した複数の静止画像の撮影を行なう際、CPU20がプログラムメモリ22に記憶されている動作プログラムやデータを読出してワークメモリ21に展開して記憶させた上で実行するものである。
【0073】
プログラムメモリ22に記憶されている動作プログラム等は、このデジタルカメラ10の製造工場出荷時にプログラムメモリ22に記憶されていたものに加え、例えばこのデジタルカメラ10のバージョンアップに際して、デジタルカメラ10をパーソナルコンピュータと接続することにより外部から新たな動作プログラム、データ等をダウンロードして記憶するものも含む。
【0074】
図6は、連写撮影モード時の撮影とその後の記録に係る一連の処理内容を示すものである。その処理当初には、固体撮像素子12を所定のフレームレート、例えば60[フレーム/秒]で走査駆動し、得られる画像を順次バッファメモリ14にバッファしながら、表示部16でスルー画像としてリアルタイムに表示させる(ステップS201)。併せてCPU20は、被写体の撮像位置の指定をこのデジタルカメラ10のユーザに促すべく、同表示部16の一部、例えば画面の下部に、ガイドメッセージとして
「主要な被写体を撮影する位置を指定して下さい」
のような文字列を表示することで報知する(ステップS202)。
【0075】
上記報知の後、実際にユーザが撮像位置を指定したか否かを判断する(ステップS203)。これは、表示部16と一体に設けられるタッチ入力部24の出力する座標信号により、任意の位置を指定するタッチ操作がなされたか否かにより判断する。
【0076】
ここでユーザによる位置指定がなされない場合は上記ステップS201からの処理に戻って同様の処理を繰返し実行する。
【0077】
ユーザがタッチ入力部24でのタッチ操作により位置指定を行なった場合、上記ステップS203でそれを判断し、バッファメモリ14にバッファしている時系列の画像内の動きベクトルを所定のブロック領域毎(図示しない)に、画像処理部15の被写体検出部15a及び動きベクトル解析部15bにより解析し、特異な動きベクトルを有するブロック領域の位置を、主被写体の位置として特定する(ステップS204)。
【0078】
ここで、特異な動きベクトルを有するブロック領域が複数ある場合、例えば、タッチ操作により指定された位置から最短距離にある特異な動きベクトルを有するブロックの中心位置を主被写体の位置としても良い。また、特異な動きベクトルを有する複数のブロック領域の各々の中心位置の平均を主被写体の位置としても良い。
【0079】
また本実施形態では、例えば、縦16画素×横16画素を基本ブロックとして画像内を複数のブロック領域に分割し、分割したブロック領域毎の動きベクトルを解析し、その解析結果から、他のブロック領域と比較して特異な動きベクトルを有するブロック領域を主被写体の領域と特定する。
【0080】
動きベクトル解析部15bが実行する動きベクトルの解析処理の詳細に関しては、MPEG(Moving Picture Experts Group)等の動画圧縮符号化技術で一般的に実施されているきわめて周知の技術であるので、その説明については省略する。
【0081】
主被写体の存在するブロック領域を特定すると、次いで特定したブロック領域の位置、すなわち当該ブロック領域中で最も上記ユーザが特定した撮像位置に近い画素位置と、特定した撮像位置との距離に応じて、連写撮影時の2種類の撮像レートFR1,FR2(FR1<FR2)を設定する(ステップS205)。
上記撮像レートFR1は、主被写体MOの少なくとも一部が特定した撮像位置から第1の距離r1内にある状態で連写撮影する場合の撮像フレームレートを示す。また、上記撮像レートFR2は、主被写体MOの少なくとも一部が上記第1の距離よりも短い第2の距離r2(r1>r2)内にある状態で連写撮影する場合の撮像フレームレートを示す。
【0082】
こうして各種設定が完了すると、実際の連写撮影を開始するべく、画像処理部15の領域進入判定部15cを用い、画像中の主被写体MOの少なくとも一部が上記第1の距離r1以下となるのを待機する(ステップS206)。
図6(A)は、表示部16で表示される画面中から、主被写体MOと、指定位置TPとの関係を示すものである。この状態では、主被写体MOの先端側の位置から特定した撮像位置TPまでの距離rは、第1の距離r1及び第2の距離r2のいずれにも達しておらず、連写撮像は開始されていない。
因みに、表示部16の画面中、主被写体MOは矢印A11の方向に移動する移動体である。この主被写体MOの移動方向については、デジタルカメラ10を三脚等に固定して撮影し、現実の主被写体MOに相当する移動体が画面中で移動する場合に限らず、ユーザがデジタルカメラ10を手持ちで撮影する場合に、撮影範囲中で主被写体MOが所望する位置に移動するよう構図を代えることで、相対的に画面中を移動することも含める。
【0083】
また、同図で縦2本、横2本の計4本の破線で示す線C1〜C4は、黄金比に従った構図での撮影を補助するための線であり、例えば上記操作部23のディスプレイキーの操作により表示部16での表示の有無を切り換えることが可能であるものとする。
【0084】
そして、画像中の主被写体MOの少なくとも一部から撮像位置TPまでの距離rが第1の距離r1以下となると、上記ステップS206でそれを判断し、上記ステップS205で設定した撮像レートFR1、例えば15[フレーム/秒]で連写撮影を開始する(ステップS207)。CPU20は、撮影により取得したRAWデータを順次バッファメモリ14に保持させる。
【0085】
その後、領域進入判定部15cにより画像中の主被写体MOの少なくとも一部から撮像位置TPまでの距離rが上記第2の距離r2以下となったか否かを判断し(ステップS208)、なっていないと判断した場合には、上記ステップS207からの処理に戻る。
【0086】
こうしてステップS207,S208の処理を繰返し実行することで、撮像レートFR1での連写撮影を続行しながら、領域進入判定部15cの判定により主被写体MOの少なくとも一部から撮像位置TPまでの距離rが上記第2の距離r2以下となるのを待機する。
【0087】
図6(B)は、上記
図6(A)の状態からさらに主被写体MOが画面右下方向に移動し、主被写体MOの少なくとも一部から撮像位置TPまでの距離rが第1の距離r1以下となり、かつまだ第2の距離r2以下とはなっていない状態を示す。同図(B)中に示すように、画面中を矢印A12の方向にさらに主被写体MOが移動することで主被写体MOのの撮像位置TPまでの距離rが第2の距離r2以下となり、ユーザが意図した構図に近くなる。
【0088】
しかして、主被写体MOが表示部16の画面中でさらに移動し、
図6(C)に示すように撮像位置TPまでの距離rが第2の距離r2以下となると、上記ステップS208でそれを判断し、上記ステップS205で設定した撮像レートFR2、例えば30[フレーム/秒]に代えて連写撮影を継続する(ステップS209)。
【0089】
その後、画像中の主被写体MOの全部と撮像位置TRとの間の距離が上記第2の距離r2より離れたか否かを判断し(ステップS210)、少なくとも主被写体MOの一部が上記第2の距離r2以内であって離れていないと判断した場合には、上記ステップS209からの処理に戻る。
【0090】
こうしてステップS209,S210の処理を繰返し実行することで、画像中の主被写体MOの少なくとも一部が撮像位置TPから第2の距離r2内にある間、撮像レートFR2での連写撮影を続行する。
【0091】
そして、画像中の主被写体MOの全部が撮像位置TPから第2の距離r2より大きく離れると、上記ステップS210でそれを判断し、再び上記ステップS205で設定した撮像レートFR1に変えて連写撮影を続行する(ステップS211)。
【0092】
その後、画像中の主被写体MOの全部と撮像位置TRとの間の距離が上記第1の距離r1より離れたか否かを判断し(ステップS212)、少なくとも主被写体MOの一部が上記第1の距離r1以内であって離れていないと判断した場合には、上記ステップS211からの処理に戻る。
【0093】
こうしてステップS211,S212の処理を繰返し実行することで、画像中の主被写体MOの少なくとも一部が撮像位置TPから第1の距離r1内にある間、撮像レートFR1での連写撮影を続行する。
【0094】
その後、画像中の主被写体MOの全部が撮像位置TRから上記第1の距離r1より大きく離れると、上記ステップS212でそれを判断し、その時点で連写撮影を停止する(ステップS213)。
【0095】
連写撮影停止後にCPU20は、バッファメモリ14に保持している一連の連写撮影により得られた画像データに対し、それぞれ画素数を大幅に間引いた縮小画像を生成する(ステップS214)。
【0096】
そして、生成した縮小画像を表示部16にて一覧表示させた上で、保存する画像の選択を促すようなガイドメッセージ、例えば
「保存する画像を全てタッチした上で「保存」ボタンをタッチして下さい」
のような表示を行なう。この表示に合わせて、表示部16の例えば右下端部には、選択終了と保存実行を指示するための「保存」ボタンを表示させる(ステップS215)。
【0097】
このとき、各縮小画像の例えば左上部に空欄となったチェックボックスを併せて表示し、タッチされた縮小画像については当該チェックボックス内にチェック「レ」を入れて表示することで、容易に保存する画像と保存しない画像を判別可能に表示できる。
【0098】
あるいは、保存すべくタッチした縮小画像については、当該縮小画像全体を半透明表示した上でその画像に重ねるように赤字で例えば「RECORD」の文字を表示させても良い。
【0099】
その後、「保存」ボタンがタッチ操作されて縮小画像の選択が終了するのを待機する(ステップS216)。そして、縮小画像の選択が指示されると上記ステップS216でそれを判断し、選択された縮小画像に対応する、バッファメモリ14に保持された画像データをそれぞれ所定のデータファイル形式、例えばJPEGに従って画像データファイル化し、得た画像データファイルをメモリカード31に記録させて(ステップS217)、一連の連写撮影モード時の処理を終了する。
【0100】
なお、
図5の動作例では、縮小画像により保存する画像を個別に選択するものとして説明したが、一覧表示した縮小画像中、ユーザが所望の構図となっていると思われる時系列に連続した画像の範囲を表す先頭及び末尾の2枚を選択することで、その2枚を先頭及び末尾とする連続した複数の画像の範囲を一括して選択するものとしても良い。
【0101】
以上詳述した如く本実施形態によれば、ユーザが所望する構図の移動体の画像を簡易に複数撮影することが可能となる。
【0102】
また上記実施形態では、主被写体MOの最も近い位置とユーザが特定した撮像位置TPとの距離に基づいて撮影の開始、終了と連写撮影時の撮像フレームレートを可変設定するものとしたので、画像処理部15を用いてのCPU20による制御をより簡易化できる。
【0103】
なお上記第1及び第2の実施形態では、撮像フレームレートを2段階に分けて制御する方法について説明したが、本発明はこれに限らず、主被写体MOと指定領域TAまたは指定位置TPとの距離等に応じてさらに細かい撮像フレームレートを設定して多段階に変化するように制御してもよい。
【0104】
なお上記各実施形態はいずれも連写撮影を行なうデジタルカメラに適用した場合について説明したものであるが、本発明はこれに限らず、カメラ機能を有する電子機器であれば、他にも携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assistants:個人向け情報携帯端末)、電子ブック、携帯ゲーム端末、モバイルコンピュータなどの各種機器にも同様に適用可能となる。
【0105】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0106】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
請求項1記載の発明は、撮像手段と、上記撮像手段の撮像画角から、移動体である主被写体を収めるべき領域または被写体が到達すべき位置を指定する指定手段と、上記撮像手段から所定の速度で連続して上記撮像画角の画像を取得する画像取得手段と、上記画像取得手段により上記撮像手段から所定の速度で連続して取得された各画像中の主被写体の位置と、上記指定手段で指定された領域または位置とに基づいて、上記画像取得手段が上記撮像手段から画像を取得する速度を制御する速度制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0107】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記速度制御手段は、上記画像取得手段により所定の速度で連続して取得された各画像中の主被写体の位置が上記指定手段で指定した領域または位置と略一致した場合に、上記撮像手段から画像を取得する速度が早くなるように制御することを特徴とする。
【0108】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記画像取得手段により所定の速度で連続して取得した各画像中の主被写体の位置と上記指定手段で指定した領域または位置との距離を算出する距離算出手段をさらに備え、上記速度制御手段は、上記距離算出手段で算出した距離に基づいて、上記画像を取得する速度を制御することを特徴とする。
【0109】
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記画像取得手段により所定の速度で連続して取得された各画像中の主被写体の動きベクトルを算出するベクトル算出手段をさらに備え、上記速度制御手段は、上記画像取得手段により所定の速度で連続して取得された各画像中の主被写体の位置と、上記指定手段で指定した領域または位置と、上記ベクトル算出手段で算出した動きベクトルとに基づいて、上記画像取得手段が上記撮像手段から画像を取得する速度を制御することを特徴とする。
【0110】
請求項5記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記指定手段は、予め記憶した複数の領域パターンから1つを選択することを特徴とする。
【0111】
請求項6記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記指定手段は、上記撮像手段の撮像画角を、画像中からパターン抽出可能な特徴物が存在する背景領域と、主被写体を撮像する主被写体領域とに区分し、上記速度制御手段は、画像中の主被写体の位置が、上記主被写体領域にあるか否かにより上記画像取得手段が上記撮像手段から画像を取得する速度を制御することを特徴とする。
【0112】
請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記速度制御手段により制御した速度で上記画像取得手段により連続して取得した画像を保持する保持手段と、上記保持手段で保持する画像を一覧表示する表示手段と、上記表示手段で一覧表示した画像中からの選択を検出する検出手段と、上記検出手段で選択を検出した画像を上記保持手段から読出して記録する記録手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0113】
請求項8記載の発明は、撮像部を備えた装置での撮像制御方法であって、上記撮像部の撮像画角から、移動体である主被写体を収めるべき領域または被写体が到達すべき位置を指定する指定ステップと、上記撮像部から所定の速度で連続して上記撮像画角の画像を取得する画像取得ステップと、上記画像取得ステップにて上記撮像部から所定の速度で連続して取得する各画像中の主被写体の位置と、上記指定ステップにて指定された領域または位置とに基づいて、上記画像取得ステップにて画像を取得する速度を制御する速度制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0114】
請求項9記載の発明は、撮像部を備えたコンピュータを、上記撮像部の撮像画角から、移動体である主被写体を収めるべき領域または被写体が到達すべき位置を指定する指定手段、上記撮像部から所定の速度で連続して上記撮像画角の画像を取得する画像取得手段、及び上記画像取得手段により上記撮像部から所定の速度で連続して取得する各画像中の主被写体の位置と、上記指定手段により指定された領域または位置とに基づいて、上記画像取得手段により画像を取得する速度を制御する速度制御手段として機能させることを特徴とする。