(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5824973
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】容器ホルダ
(51)【国際特許分類】
B65D 67/02 20060101AFI20151112BHJP
【FI】
B65D67/02 M
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-188295(P2011-188295)
(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2013-49457(P2013-49457A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 英里香
(72)【発明者】
【氏名】飯島 恵
【審査官】
結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−007121(JP,U)
【文献】
特開2010−023874(JP,A)
【文献】
特開平08−230869(JP,A)
【文献】
実開平01−082117(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/02
B65D 77/26
B65D 5/50
B65D 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器と、該チューブ容器よりも背の低い背低容器を並べ、チューブ容器の口部を下向きにして保持する容器ホルダであって、
背低容器の下端面がチューブ容器の下端面よりも高い位置となるように背低容器を保持する容器保持穴が形成された柱状部、
チューブ容器のエンドシール側を保持すると共に、背低容器の上方を覆う庇状フラップ、及び
チューブ容器と背低容器の背面に対向する背面板、を有し、
背面板の上端辺と庇状フラップが連続し、柱状部が背面板に固定されている容器ホルダ。
【請求項2】
板紙製ブランクシートの折り曲げにより形成された請求項1記載の容器ホルダ。
【請求項3】
庇状フラップから容器保持穴側に延設された中央フラップを有し、中央フラップからさらに容器保持穴側に折り込み片が延設され、折り込み片が容器保持穴の内側に折り込まれ、その折線が容器保持穴に嵌められた背低容器の天面に当接する請求項2記載の容器ホルダ。
【請求項4】
柱状部の底面が背面板と連続し、柱状部の上面の端縁が背面板に固定されている請求項1〜3のいずれかに記載の容器ホルダ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の容器ホルダにチューブ容器と背低容器が保持され、外装容器内に収容されている容器パッケージ。
【請求項6】
背低容器がジャー容器である請求項5記載の容器パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器とそれよりも背の低い容器を一つのパッケージに収容するための容器ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧品を透明な外装ケースに収容したパッケージでは、パッケージ内で化粧品が安定した姿勢で保持されると共に、化粧品が消費者の目にとまるように、パッケージ内での配置や固定方法が工夫されている。
【0003】
例えば、透明な樹脂シートで形成した箱内の中央の中空部で化粧品容器を保持できるように、化粧品容器の左右両側を紙製のホルダで挟持することが知られている(特許文献1)。
【0004】
また、一つのチューブ容器と2つのボトル容器を透明な外装ケースに収容して一つのパッケージとする場合に、チューブ容器を2つのボトル容器の間で、注出口を下にして起立させる台と、チューブ容器を外装ケースの正面板に押し付けるようにチューブ容器を背面から保持する保持片とを備えたホルダが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3-81824号公報
【特許文献2】特開平8-230869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、チューブ容器と、該チューブ容器よりも背の低い背低容器を外装ケースに入れて一つのパッケージとする場合に、それらの容器を消費者への展示性良く保持することのできる容器ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、外装ケースの内に背低容器と、それよりも背の高いチューブ容器を隣同士で並べ、そのチューブ容器を、口部を下に向けて配置する場合に、背低容器の下端面をチューブ容器の下端面よりも高い位置で保持すると背低容器のアイキャッチ効果が高まり、また、チューブ容器のエンドシール側を庇状フラップで覆うように保持すると、チューブ容器の配置を良好に規制でき、さらにその庇状フラップを背低容器の上方にまで延設すると、庇状フラップが商品案内の優れた表示部となることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、チューブ容器と、該チューブ容器よりも背の低い背低容器を並べ、チューブ容器の口部を下向きにして保持する容器ホルダであって、
背低容器の下端面がチューブ容器の下端面よりも高い位置となるように背低容器を保持する容器保持穴が形成された柱状部、
チューブ容器のエンドシール側を保持すると共に、背低容器の上方を覆う庇状フラップ、及び
チューブ容器と背低容器の背面に対向する背面板、を有し、
背面板の上端辺と庇状フラップが連続し、柱状部が背面板に固定されている容器ホルダを提供する。
【0009】
また、本発明は、上述の容器ホルダにチューブ容器と背低容器が保持され、外装容器内に収容されている容器パッケージを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の容器ホルダによれば、チューブ容器と、該チューブ容器よりも背の低い背低容器が並び、背低容器の下端面がチューブ容器の下端面よりも高い位置で保持されるので、チューブ容器に対して背低容器が浮き上がった状態となり、背低容器のアイキャッチ性が高まる。さらに、チューブ容器のエンドシール側は庇状フラップで覆われるので、口部を下に向けているチューブ容器の配置を良好に規制することができる。さらに、庇状フラップは、チューブ容器と並ぶ背低容器の上方にまで延設されているので、庇状フラップは、容器ホルダにおいてオーニングのような外観を呈し、この部分が商品情報の良好な表示部となる。したがって、本発明の容器ホルダは、商品の展示性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施例の容器ホルダの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例の容器ホルダに容器を保持させた容器パッケージの斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、実施例の容器ホルダのブランクシートの平面図である。
【
図3B】
図3Bは、実施例の容器ホルダの組み立て方法の説明図である。
【
図3C】
図3Cは、実施例の容器ホルダの組み立て方法の説明図である。
【
図3D】
図3Dは、実施例の容器ホルダの組み立て方法の説明図である。
【
図4A】
図4Aは、実施例の容器ホルダの異なるブランクシートの平面図である。
【
図4B】
図4Bは、実施例の容器ホルダの組み立て方法の説明図である。
【
図4C】
図4Cは、実施例の容器ホルダの組み立て方法の説明図である。
【
図5】
図5は、実施例の容器ホルダの斜視図である。
【
図6】
図6は、実施例の容器ホルダに容器を保持させた容器パッケージの斜視図である。
【
図7】
図7は、実施例の容器ホルダのブランクシートの平面図である。
【
図8】
図8は、比較例の容器パッケージの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
図1は、本発明の一実施例の容器ホルダ10Aの斜視図であり、板紙製ブランクシート10A
aの折り曲げにより形成されている。
図3Aは、この容器ホルダ10Aの展開形状を示すブランクシート10A
aの平面図である。また、
図2は、この容器ホルダ10Aを使用した容器パッケージ1Aである。
【0013】
容器パッケージ1Aでは、容器ホルダ10Aの中央に背が低く広口のジャー容器2が正立状態で保持され、その右隣にチューブ容器3が口部を下向きにして保持され、左隣にボトル容器4が正立状態で保持されている。ここで、ジャー容器2の底面は容器ホルダ10Aの底面よりも高い位置にあり、ジャー容器2は、容器ホルダ10A内の中央部で浮いたように保持されている。そして、これらの容器を保持した容器ホルダ10Aの全体が、透明なフィルム材料で形成された外装袋5に収容され、外装袋5の上部には、商品情報X1が印刷されている。
【0014】
容器ホルダ10Aの中央部には、ジャー容器2の底面を、該容器ホルダ10Aの底面よりも高い位置で保持できるように、容器保持穴11を有する柱状部12が設けられている。この場合、容器保持穴11の下横枠を形成する柱状部下部正面板12aの上縁12a
pでジャー容器2の底面を支持し、ジャー容器2の側面を、容器保持穴11の縦枠を形成する柱状部側面板12cで保持する。このようにジャー容器2を容器ホルダ10Aの中央部で浮かすように保持することにより、消費者にジャー容器2をアピールし、ジャー容器2のアイキャッチ性、展示性を高めることができる。ここで、容器ホルダ10Aの底面板19から容器保持穴11までの柱状部下部正面板12aの高さ寸法H1は、ジャー容器2の展示性を高める点、及び容器ホルダ10Aの組み上げやすさの点から、10mm以上とすることが好ましい。
【0015】
容器ホルダ10Aには、チューブ容器3のエンドシール側とジャー容器2の上方を一面で覆う庇状フラップ13が設けられている。庇状フラップ13は、チューブ容器3のエンドシール側の外形に沿うように、容器ホルダ10Aの上端部から斜めに垂下しており、容器ホルダ10Aにおいてオーニングのような外観を呈している。したがって、庇状フラップ13は、消費者の目にとまりやすく、商品情報X2の良好な表示部となる。また、庇状フラップ13は、容器ホルダ10Aにチューブ容器3を保持させるためのエンドシール側の保持板としても機能する。
【0016】
容器ホルダ10Aは、チューブ容器3とジャー容器2の背面に対向する位置に背面板14(
図3A)を有し、背面板14の上端辺と庇状フラップ13とが連続している。ここで、背面板14の高さH2は、チューブ容器3の高さと同程度とすることが好ましい。また、後述するように、背面板14には、容器ホルダ10Aを形成する板紙の折り込みにより柱状部12が固定されている。このように、容器ホルダ10Aにおいて柱状部12を固定することにより、容器保持のための安定性を高めることができる。
【0017】
また容器ホルダ10Aでは、庇状フラップ13から容器保持穴11側に中央フラップ15が延設され、中央フラップ15からさらに容器保持穴11側に折り込み片16が延設され、折り込み片16が容器保持穴11の内側に折り込まれ、その折れ線L1が、容器保持穴11に嵌められたジャー容器2の天面に当接するようにしている。このように、折り込み片16を容器保持穴に折り込むことにより、庇状フラップ13の組み立てが安定する。
【0018】
この容器ホルダ10Aは、例えば、
図3Aの展開形状の板紙製ブランクシート10A
aの折り曲げにより、次のように製造される。
ブランクシート10A
aでは、柱状部12を形成する柱状部下部正面板12a、柱状部上部正面板12b及び柱状部側面板12cが、第1の上面側板17aを介して背面板14と連続している。そこで、
図3Bに示すように、第1の上面側板17aを背面板14上に折重ね、柱状部下部正面板12aと柱状部上部正面板12bを折り曲げにより背面板14の前面に突出させ、第2の上面側板17bの側辺17b
pを、背面板14と第3の上面側板17cとの間の折れ線L2に合わせる。次に、
図3Cに示すように、第2の上面側板17b上に第3の上面側板17cを折重ね、第3の上面側板17cから突出する差し込み片17c
pを、柱状部側面板12cと第2の上面側板17bとの間の切れ目21に差し込む。次に、柱状部の底部フラップ18を柱状部12内に折り込む。さらに、
図3Dに示すように、庇状フラップ13を前面に折り倒し、中央フラップ15を柱状部上部正面板12bに重ね、折り込み片16を柱状部12の容器保持穴11内に折り込む。また背面板14に連続する底面板19から突出した折り込み片20も柱状部12内に折り込む。こうして、
図1に示す容器ホルダ10Aを組み上げることができる。
【0019】
なお、この容器ホルダ10Aを形成するブランクシートは、
図3Aに示したものに限らず、例えば、
図4Aに示すブランクシート10A
bのように、柱状部12を形成する柱状部下部正面板12a、柱状部上部正面板12b及び柱状部側面板12cを、底面板19を介して背面板14と連続させてもよい。このブランクシート10A
bを使用する場合には、まず、
図4Bに示すように、柱状部下部正面板12a、柱状部上部正面板12b及び柱状部側面板12cを、背面板14上に折り曲げ、柱状部上部正面板12bに連続する柱状部支持板22ののりしろ片23を背面板14に貼着する。次に、
図4Cに示すように柱状部側面板12cを折り曲げ、柱状部側面板12cの縁辺の切欠12c
pに、上面板17の差し込み片17
pを差し込むことにより、
図1に示す容器ホルダ10Aを組み上げることができる。
【0020】
本発明の容器ホルダは種々の態様をとることができる。例えば、
図5に示す容器ホルダ10Bのように、容器保持穴11の下横枠となる柱状部下部正面板12aの上縁12a
p形状を、この上縁12a
pで保持する背低容器の下端面の形状に適合させてもよい。
【0021】
図6は、
図5の容器ホルダ10Bの容器保持穴11に、背の低いチューブ容器6を保持させ、その横隣には、
図2に示した容器パッケージ1Aと同様に、チューブ容器3を口部を下向きにして保持させると共にボトル容器4を正立状態で保持させ、容器ホルダ10B全体を外装袋5に収容した容器パッケージ1Bの斜視図である。
【0022】
図7は、容器ホルダ10Bのブランクシート10B
aの平面図である。このブランクシート10B
aは、
図3Aに示したブランクシート10A
aにおいて、柱状部下部正面板12aの上縁12a
pの形状をチューブ容器6の底面の支持に適合させたものである。したがって、
図3Aに示したブランクシート10A
aと同様に組み立てることができる。
【0023】
このように、本発明の容器ホルダでは、柱状部12の容器保持穴11に、庇状フラップ13の下で保持するチューブ容器3よりも背の低いジャー容器、瓶容器、チューブ容器などの種々の背低容器を保持することができる。
【0024】
庇状フラップ13の外で保持する容器としては、ボトル容器4の他、任意の容器とすることができ、複数本を並列させてもよい。
【0025】
なお、容器パッケージ1A、1Bにおいては、庇状フラップ13の外で保持する容器をチューブ容器3と同程度の高さ寸法とすることが好ましく、この高さ寸法に容器ホルダ10Aの背面板14の高さH2を合わせることが好ましい。また、ジャー容器2の高さ寸法が、チューブ容器3の高さ寸法の2分の1から5分の1程度となるように、これらの容器の高さを設定することが好ましい。
【0026】
また、本発明の容器ホルダは、プラスチックシートで形成されたブランクシートの組み立てにより製造してもよく、また、一体成型により製造してもよい。
【0027】
一方、本発明の容器ホルダに容器を保持させたものを外装容器に収容して容器パッケージ1A、1Bとするにあたり、使用する外装容器としては、袋状のもの、箱状のものなどを使用することができる。特に外装容器として袋状のものを用いる場合は、容器ホルダ10Aの剛性により、ここで保持する容器の外装容器からの出し入れが容易となる。
【実施例】
【0028】
背低容器とチューブ容器を並べる場合に、背低容器をチューブ容器に対して浮き上がったように保持することが、背低容器の展示性に及ぼす影響を試験するため、
図8に示す比較例の容器パッケージ1Xを作製した。この容器パッケージ1Xは、ジャー容器2の下端面の位置がチューブ容器3の下端面の位置と揃うようした以外は
図2の実施例の容器パッケージ1Aと同様に構成したものである。
【0029】
図2の実施例の容器パッケージ1Aにおけるジャー容器2と、
図8の比較例の容器パッケージにおけるジャー容器2のアイキャッチ性を、次の5段階の評価基準によりスコアリングし、20〜40歳の女性6名から評価を得てその平均を算出した。結果を表1に示す。
1:アイキャッチ性を全く感じない
2:アイキャッチ性をあまり感じない
3:どちらとも言えない
4:アイキャッチ性を感じる
5:アイキャッチ性を非常に感じる。
【0030】
【表1】
【0031】
表1の結果から、ジャー容器2などの背低容器が容器ホルダ内で浮き上がったように保持されていることにより、アイキャッチ効果が高まり、優れたディスプレイ効果を得られることが確認できた。
【符号の説明】
【0032】
1A 容器パッケージ
1B 容器パッケージ
2 ジャー容器
3 チューブ容器
4 ボトル容器
5 外装袋
6 チューブ容器
10A 容器ホルダ
10A
a 容器ホルダのブランクシート
10A
b 容器ホルダのブランクシート
10B 容器ホルダ
10B
a 容器ホルダのブランクシート
11 容器保持穴
12 柱状部
12a 柱状部下部正面板
12a
p 柱状部下部正面板の上縁
12b 柱状部上部正面板
12c 柱状部側面板
12c
p 切欠
13 庇状フラップ
14 背面板
15 中央フラップ
16 折り込み片
17 上面板
17
p 上面板の差し込み片
17a 第1の上面側板
17b 第2の上面側板
17b
p 第2の上面側板の側辺
17c 第3の上面側板
17c
p 第3の上面側板の差し込み片
18 柱状部の底部フラップ
19 底面板
20 折り込み片
21 切れ目
22 柱状部支持板
23 のりしろ片
H1 柱状部下部正面板の高さ寸法
H2 背面板の高さ
L1 折れ線
L2 背面板と上面側板との間の折れ線
X1、X2 商品情報