(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受電部は、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界と、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて前記送電部から電力を受電する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の受電装置。
前記受電部は、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界と、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて前記送電部から電力を受電する、請求項7から請求項11のいずれかに記載の送電装置。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明に係る受電装置、送電装置および電力伝送システムについて、
図1から
図35を用いて説明する。
【0038】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る受電装置と、送電装置と、電力伝送システムとを模式的に示す模式図である。
【0039】
本実施の形態1に係る電力伝送システムは、受電装置40を含む電動車両10と、送電装置41を含む外部給電装置20とを有する。電動車両10の受電装置は、送電装置41が設けられた駐車スペース42の所定位置に停車して、主に、送電装置41から電力を受電する。
【0040】
駐車スペース42には、電動車両10を所定の位置に停車させるように、輪止や駐車位置および駐車範囲を示すラインが設けられている。
【0041】
外部給電装置20は、交流電源21に接続された高周波電力ドライバ22と、高周波電力ドライバ22などの駆動を制御する制御部26と、この高周波電力ドライバ22に接続された送電装置41とを含む。送電装置41は、送電部28と、電磁誘導コイル23とを含む。送電部28は、共鳴コイル24と、共鳴コイル24に接続されたキャパシタ25とを含む。電磁誘導コイル23は、高周波電力ドライバ22に電気的に接続されている。なお、この
図1に示す例においては、キャパシタ25が設けられているが、キャパシタ25は必ずしも必須の構成ではない。
【0042】
送電部28は、共鳴コイル24のインダクタンスと、共鳴コイル24の浮遊容量およびキャパシタ25のキャパシタンスとから形成された電気回路を含む。
【0043】
電動車両10は、受電装置40と、受電装置40に接続された整流器13と、この整流器13に接続されたDC/DCコンバータ14と、このDC/DCコンバータ14に接続されたバッテリ15と、パワーコントロールユニット(PCU(Power Control Unit))16と、このパワーコントロールユニット16に接続されたモータユニット17と、DC/DCコンバータ14やパワーコントロールユニット16などの駆動を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)18とを備える。なお、本実施の形態に係る電動車両10は、図示しないエンジンを備えたハイブリッド車両であるが、モータにより駆動される車両であれば、電気自動車や燃料電池車両も含む。
【0044】
整流器13は、電磁誘導コイル12に接続されており、電磁誘導コイル12から供給される交流電流を直流電流に変換して、DC/DCコンバータ14に供給する。
【0045】
DC/DCコンバータ14は、整流器13から供給された直流電流の電圧を調整して、バッテリ15に供給する。なお、DC/DCコンバータ14は必須の構成ではなく省略してもよい。この場合には、外部給電装置20にインピーダンスを整合するための整合器を送電装置41と高周波電力ドライバ22との間に設けることで、DC/DCコンバータ14の代用をすることができる。
【0046】
パワーコントロールユニット16は、バッテリ15に接続されたコンバータと、このコンバータに接続されたインバータとを含み、コンバータは、バッテリ15から供給される直流電流を調整(昇圧)して、インバータに供給する。インバータは、コンバータから供給される直流電流を交流電流に変換して、モータユニット17に供給する。
【0047】
モータユニット17は、たとえば、三相交流モータなどが採用されており、パワーコントロールユニット16のインバータから供給される交流電流によって駆動する。
【0048】
なお、電動車両10がハイブリッド車両の場合には、電動車両10は、エンジンをさらに備える。モータユニット17は、発電機として主に機能するモータジェネレータと、電動機として主に機能するモータジェネレータとを含む。
【0049】
受電装置40は、受電部27と、電磁誘導コイル12とを含む。受電部27は、共鳴コイル11とキャパシタ19とを含む。共鳴コイル11は浮遊容量を有する。このため、受電部27は、共鳴コイル11のインダクタンスと、共鳴コイル11およびキャパシタ19のキャパシタンスとによって形成された電気回路を有する。なお、キャパシタ19は、必須の構成ではなく、省略することができる。
【0050】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部28の固有周波数と、受電部27の固有周波数との差は、受電部27または送電部28の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電部28および受電部27の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電部27または送電部28の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、バッテリ15の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
【0051】
ここで、送電部28の固有周波数とは、キャパシタ25が設けられていない場合には、共鳴コイル24のインダクタンスと、共鳴コイル24のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ25が設けられた場合には、送電部28の固有周波数とは、共鳴コイル24およびキャパシタ25のキャパシタンスと、共鳴コイル24のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電部28の共振周波数とも呼ばれる。
【0052】
同様に、受電部27の固有周波数とは、キャパシタ19が設けられていない場合には、共鳴コイル11のインダクタンスと、共鳴コイル11のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ19が設けられた場合には、受電部27の固有周波数とは、共鳴コイル11およびキャパシタ19のキャパシタンスと、共鳴コイル11のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、受電部27の共振周波数とも呼ばれる。
【0053】
図2および
図3を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。
図2は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す。電力伝送システム89は、送電装置90と、受電装置91とを備え、送電装置90は、電磁誘導コイル92と、送電部93とを含む。送電部93は、共鳴コイル94と、共鳴コイル94に設けられたキャパシタ95とを含む。
【0054】
受電装置91は、受電部96と、電磁誘導コイル97とを備える。受電部96は、共鳴コイル99とこの共鳴コイル99に接続されたキャパシタ98とを含む。
【0055】
共鳴コイル94のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ95のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。共鳴コイル99のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ98のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部93の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、受電部96の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
【0056】
f1=1/{2π(Lt×C1)
1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)
1/2}・・・(2)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、送電部93および受電部96の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を
図3に示す。なお、このシミュレーションにおいては、共鳴コイル94および共鳴コイル99の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部93に供給される電流の周波数は一定である。
【0057】
図3に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(3)によって示される。
【0058】
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図3からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部96の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部96の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率をより高めることができることがわかる。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
【0059】
次に、本実施の形態に係る電力伝送システムの動作について説明する。
図1において、電磁誘導コイル23には、高周波電力ドライバ22から交流電力が供給される。電磁誘導コイル23に所定の交流電流が流れると、電磁誘導によって共鳴コイル24にも交流電流が流れる。この際、共鳴コイル24を流れる交流電流の周波数が特定の周波数となるように、電磁誘導コイル23に電力が供給されている。
【0060】
共鳴コイル24に特定の周波数の電流が流れると、共鳴コイル24の周囲には特定の周波数で振動する電磁界が形成される。
【0061】
共鳴コイル11は、共鳴コイル24から所定範囲内に配置されており、共鳴コイル11は共鳴コイル24の周囲に形成された電磁界から電力を受け取る。
【0062】
本実施の形態においては、共鳴コイル11および共鳴コイル24は、所謂、ヘリカルコイルが採用されている。このため、共鳴コイル24の周囲には、特定の周波数で振動する磁界が主に形成され、共鳴コイル11は当該磁界から電力を受け取る。
【0063】
ここで、共鳴コイル24の周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と共鳴コイル24に供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、共鳴コイル24に供給される電流の周波数との関係について説明する。共鳴コイル24から共鳴コイル11に電力を伝送するときの電力伝送効率は、共鳴コイル24および共鳴コイル11の間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電部28および受電部27の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、共鳴コイル24に供給される電流の周波数を周波数f3とし、共鳴コイル11および共鳴コイル24の間のエアギャップをエアギャップAGとする。
【0064】
図4は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、共鳴コイル24に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
【0065】
図4に示すグラフにおいて、横軸は、共鳴コイル24に供給する電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、共鳴コイル24に供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、共鳴コイル24に供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
【0066】
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、エアギャップAGにあわせて、
図1に示す共鳴コイル24に供給する電流の周波数を一定として、キャパシタ25やキャパシタ19のキャパシタンスを変化させることで、送電部28と受電部27との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が考えられる。具体的には、共鳴コイル24に供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタ25およびキャパシタ19のキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、共鳴コイル24および共鳴コイル11に流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電装置41と高周波電力ドライバ22との間に設けられた整合器を利用する手法や、コンバータ14を利用する手法などを採用することもできる。
【0067】
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、共鳴コイル24に供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、
図4において、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、共鳴コイル24には周波数が周波数f4または周波数f5の電流を共鳴コイル24に供給する。そして、周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数が周波数f6の電流を共鳴コイル24に供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせて共鳴コイル24および共鳴コイル11に流れる電流の周波数を変化させることになる。
【0068】
第1の手法では、共鳴コイル24を流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、共鳴コイル24を流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が共鳴コイル24に供給される。共鳴コイル24に特定の周波数の電流が流れることで、共鳴コイル24の周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電部27は、受電部27と送電部28の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電部28から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、共鳴コイル24に供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、共鳴コイル24および共鳴コイル11の水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、共鳴コイル24に供給する電流の周波数を調整する場合がある。
【0069】
なお、本実施の形態では、共鳴コイルとしてヘリカルコイルを採用した例について説明したが、共鳴コイルとして、メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、共鳴コイル24に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界が共鳴コイル24の周囲に形成される。そして、この電界をとおして、送電部28と受電部27との間で電力伝送が行われる。
【0070】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。
図5は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
図5を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電界」と「誘導電界」と「静電界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πとあらわすことができる。
【0071】
「静電界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部28および受電部27(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電部28から他方の受電部27へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0072】
このように、本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部28と受電部27とを電磁界によって共振させることで送電装置41から受電装置に電力を送電している。そして、送電部28と受電部27との間の結合係数(κ)は、好ましくは0.1以下である。なお、結合係数(κ)は、この値に限定されるものではなく電力伝送が良好となる種々の値をとりうる。一般的に、電磁誘導を利用した電力伝送では、送電部と受電部と間の結合係数(κ)は1.0に近いものとなっている。
【0073】
本実施の形態の電力伝送における送電部28と受電部27との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」または「電界(電場)共振結合」という。
【0074】
「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
【0075】
本明細書中で説明した送電部28の共鳴コイル24と受電部27の共鳴コイル11とは、コイル形状のアンテナが採用されているため、送電部28と受電部27とは主に、磁界によって結合しており、送電部28と受電部27とは、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」している。
【0076】
なお、共鳴コイル24,11として、たとえば、メアンダラインなどのアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部28と受電部27とは主に、電界によって結合している。このときには、送電部28と受電部27とは、「電界(電場)共振結合」している。
【0077】
図6は、受電装置40に設けられた共鳴コイル11およびその周囲に設けられた部材を示す斜視図である。この
図6に示すように、受電装置40は、共鳴コイル11と、この共鳴コイル11に設けられた絶縁紙30とを含む。なお、この
図6および下記に示す
図7などにおいては、キャパシタ19は図示されていない。
【0078】
図7は、
図6に示す状態から絶縁紙30を取り除いた状態を示す斜視図である。この
図7に示すように、共鳴コイル11は、第1端部31と第2端部32とを含み、共鳴コイル11は、導線33を巻回中心線O1の周囲を取り囲むようにピッチP1をあけて導線33を巻きまわすことで形成されている。共鳴コイル11は、第1端部31から第2端部32に向かうにつれて、巻回中心線O1の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線O1から離れるように形成されている。
【0079】
なお、この
図7に示す例においては、巻回中心線O1上から共鳴コイル11を平面視したときに、円形渦状に形成されているが、巻回中心線O1上から共鳴コイル11を平面視したときに四角形渦状などのように多角形の渦状に形成されていてもよい。
【0080】
図8は、
図7のVIII−VIII線における断面図である。この
図8に示すように、共鳴コイル11の延びる方向に垂直な断面において、共鳴コイル11は、共鳴コイル11の一部である第1部分35と、第2部分36と、第3部分37とが巻回中心線O1に垂直な方向に配列している。なお、第1部分35、第2部分36、第3部分37の順に巻回中心線O1に近接している。
【0081】
ピッチとは、巻回中心線O1に垂直な方向における第1部分35と第2部分36との間の距離と、第2部分36と第3部分37との間の距離を示す。この
図8に示す例においては、第1部分35と第2部分36との間のピッチと、第2部分36と第3部分37との間のピッチとは等しく、共鳴コイル11は、等ピッチで導線33を巻きまわすことで形成されている。
【0082】
この
図8に示す例において、第1部分35から第2部分36に向かう第1部分35および第2部分36の配列方向と、第2部分36から第3部分37に向かう第2部分36と37との配列方向は一致しており、いずれも配列方向D1である。なお、配列方向D1と、ピッチP1の方向とが一致しているが、必ずしも各方向が一致している必要はない。
【0083】
導線33は、共鳴コイル11の延びる方向に垂直な断面において、略長方形形状となるように形成されている。具体的には、導線33は、導線33の厚さ方向に配列する側面50および側面51と、側面50および側面51の各端部を接続するように設けられた端面52および端面53とを含む。端面52と、端面53とは、巻回中心線O1の延びる方向に配列している。
【0084】
そして、第1部分35の側面50と、第2部分36の側面51とがピッチP1をあけて対向しており第2部分36の側面50と第3部分37の側面51とがピッチP1をあけて対向している。
【0085】
ここで、配列方向D1に垂直な仮想平面であって、第3部分37よりも巻回中心線O1側に配置された仮想平面を仮想平面60とする。配列方向D1に対して平行に延びる仮想平面であって、端面53から間隔をあけて配置された仮想平面を仮想平面61とする。
【0086】
そして、側面51に対して巻回中心線O1と反対側に位置する位置から配列方向D1に側面51を仮想平面60に投影する。このときの側面51の投影部の巻回中心線O1方向の長さを長さL4とする。また、端面52に対して端面53と反対側に位置する位置から配列方向D1と垂直な方向に端面52を仮想平面61に投影する。この投影部の巻回中心線O1に対して垂直な方向の長さを長さL5とする。
【0087】
ここで、
図8からも明らかなように、長さL4は、長さL5よりも大きい。このため、共鳴コイル11は、ピッチP1をあけて対向する対向面積が大きいため、共鳴コイル11に形成される容量が大きくなる。なお、長さL4は、導線33の幅であり、長さL5は、導線33の厚さである。なお、導線33の断面形状として、長方形形状の導線を採用した例について説明したが、導線33の断面形状としては、このような形状に限られない。たとえば、導線33の断面形状としては、円形形状、楕円形状、多角形状など様々な形状を採用することができる。
【0088】
このように形成された共鳴コイル11において、第1部分35と第2部分36とによって挟まれた領域を領域R1とする。同様に、第2部分36と第3部分37とによって挟まれた領域を領域R2とする。さらに、領域R1および領域R2の以外の領域を領域R3とする。
【0089】
図9は、
図6に示すIX−IX線における断面図である。この
図9は、共鳴コイル11の延びる方向に対して垂直な方向の断面図である。この
図9に示すように、共鳴コイル11には、絶縁紙30が設けられている。
【0090】
絶縁紙30は、共鳴コイル11の延びる方向に垂直な断面において、配列方向D1に配列する側部62および側部63と、側部62および側部63を接続する接続部64とを含む。絶縁紙30は、変形可能な絶縁材料から形成されている。側部62,63および接続部64も湾曲可能または屈曲可能な材料から形成されている。このため、側部62,63および接続部64は、共鳴コイル11に装着された状態において、壁面状であったり、湾曲面状であったりする。
【0091】
この側部62および側部63は、導線33を挟むように配置されており、側部62および側部63は、共鳴コイル11の延びる方向に延びている。また、接続部64も、導線33の端面53を覆うと共に、共鳴コイル11の延びる方向に延びている。
図6からも明らかなように、絶縁紙30は、共鳴コイル11の第1端部31から第2端部32に達するように、共鳴コイル11の全長に亘って配置されている。
【0092】
ここで、絶縁紙30の構成について詳細に説明する。
図9および
図6において、側部62は、側面51を覆うように配置されており、側部63は、側面50を覆うように配置されている。同様に、接続部64は、端面53を覆うように配置されている。
【0093】
図9において、絶縁紙30のうち、第1部分35を覆う部分に着目する。絶縁紙30のうち、第1部分35を覆う部分は、側部62aと、側部63aと、側部62aおよび側部63aとを接続する接続部64aとを含む。同様に、絶縁紙30のうち、第2部分36を覆う部分は、側部62bと、側部63bと、側部62aおよ側部63bとを接続する接続部64bとを含み、絶縁紙30のうち、第3部分37を覆う部分は、側部62cと、側部63cと、側部62cおよび側部63cを接続する接続部64cとを含む。なお、側部62aと、側部62bと、側部62cとは、いずれも、共鳴コイル11の延びる方向に延びており、各端部は接続されている。同様に、側部63aと、側部63bと、側部63cとは、いずれも、共鳴コイル11の延びる方向に延びており、各端部は接続されている。
【0094】
ここで、側部62aは、導線33の側面51を覆うように設けられている。側部63aは、領域R3から領域R1内に入り込むと共に、領域R1をとおりぬけて、領域R3に引き出されている。このように、側部62aは、領域R1から領域R1の外側に突出している。そして、側部63aは、領域R3で接続部64に接続されている。側部63aは、第1部分35と第2部分36との間から端面52よりも外方に突出するように形成されている。
【0095】
側部62bは、領域R3から領域R1内に入り込み、領域R1をとおりぬけて、領域R3に引き出されている。そして、側部62bは、領域R3において、接続部64bに接続されている。側部63bは側部63aと同様に形成されており、側部63bは、領域R3から領域R2内に入り込むと共に、領域R2をとおりぬけて領域R3に引き出されるように設けられている。側部63bは、領域R3において、接続部64bに接続されている。側部63bおよび側部62bは、第2部分36と第3部分37との間から端面52よりも外方に突出している。
【0096】
側部62cは、領域R3から領域R2内に入り込み、領域R2をとおりぬけて、領域R3に引き出されている。そして、側部62cは、領域R3において、接続部64cに接続されている。側部62cは、端面52から外方に突出している。
【0097】
このように、第1部分35と第2部分36との間は、側部63aおよび側部62bによって絶縁されている。さらに、側部63aと側部62bとが第1部分35および第2部分36の間から外部に引き出されているため、第1部分35と第2部分36との間の沿面距離が長くなっている。このため、電力伝送時に、共鳴コイル11内に電流が流れたとしても、第1部分35および第2部分36の間で放電が生じることを抑制することができる。
【0098】
さらに、第1部分35の端面53は、接続部64aによって覆われており、第2部分36の端面53も、接続部64bによって覆われているため、第1部分35および第2部分36の間で放電が生じることが抑制されている。
【0099】
同様に、第2部分36および第3部分37の間も、側部63bと側部62cとによって絶縁距離が確保されており、さらに、第2部分36および第3部分37の端面53は、接続部64b,64cによって覆われているため、第2部分36および第3部分37の間で放電が生じることが抑制されている。
【0100】
ここで、側部62a〜側部62cおよび側部63a〜63cを配列方向D1に仮想平面60に投影する。このときの投影部の配列方向D1に垂直な方向の長さを長さLL1とする。この長さLL1は、長さL4よりも長い。
【0101】
さらに、側部62a〜側部62cおよび側部63a〜63cのうち、端面52から突出する部分を配列方向D1に仮想平面60に投影する。この投影部の配列方向D1に垂直な方向の長さを長さLL2とする。この長さLL2は、たとえば、長さL4以下であって、長さL4の半分以上である。側部63などが突出する長さが長さL4よりも長くなると、絶縁紙30が周囲の部材と接触して、破れが生じるおそれがある。さらに、突出する長さが長さL4の半分の長さよりも短くなると、沿面距離が短くなるためである。
【0102】
第3部分37の側面50は、共鳴コイル11の内周面を規定しており、当該第3部分37の側面50は、側部63cによって覆われている。さらに、第1部分35の側面50は、側部62aによって覆われている。このため、共鳴コイル11の大部分が絶縁紙30によって覆われており、共鳴コイル11と外部の部材との間で放電が生じることが抑制されている。
【0103】
このように本実施の形態1に係る受電装置40によれば、共鳴コイル11に放電が生じることを抑制することができる。
【0104】
次に、送電装置41に設けられた共鳴コイル24およびこの共鳴コイル24に設けられた絶縁紙について説明する。なお、送電装置41の共鳴コイル24と、この共鳴コイル24に設けられた絶縁紙は、基本的に受電装置40に設けられた共鳴コイル11と、共鳴コイル11に設けられた絶縁紙と同じ構成となっている。
【0105】
図10は、共鳴コイル24および共鳴コイル24に設けられた絶縁紙を示す斜視図である。なお、この
図10および後述する
図11においては、キャパシタ25は図示されていない。
図10に示すように、共鳴コイル24と、この共鳴コイル24に設けられた絶縁紙130とを含む。
【0106】
図11は、
図10に示す状態から絶縁紙130を取り除いた状態を示す斜視図である。この
図11に示すように、共鳴コイル24は、第3端部131と、第4端部132とを含み、共鳴コイル24は、導線133を巻回中心線O2の周囲を取り囲むようにピッチP2をあけて導線133を巻き回すことで形成されている。なお、共鳴コイル24は、第3端部131から第4端部132に向かうにつれて、巻回中心線O2の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線O2から離れるように形成されている。
【0107】
なお、この
図11に示す例においては、巻回中心線O2上から共鳴コイル24を平面視したときに、共鳴コイル24は、円形渦状に形成されているが、巻回中心線O2上から共鳴コイル24を平面視したときに四角形渦状などのように多角形の渦状に形成されていてもよい。
【0108】
図12は、
図11に示すXII−XII線における断面図である。この
図12に示すように、共鳴コイル24の延びる方向に垂直な断面において、共鳴コイル24は、共鳴コイル24の一部である第4部分135と、第5部分136と、第6部分137とが巻回中心線O2に垂直な方向に配列している。なお、第4部分135、第5部分136、第6部分137の順に巻回中心線O2に近接するように配置されている。
【0109】
なお、共鳴コイル24においては、ピッチとは巻回中心線O2に垂直な方向における第4部分135と第5部分136との間の距離と、第5部分136と第6部分137との間の距離とを示す。なお、第4部分135と第5部分136との間のピッチと、第5部分136と第6部分137との間のピッチは等しく、共鳴コイル24は、等ピッチで導線133を巻き回すことで形成されている。
【0110】
なお、この
図12に示す例においては、第4部分135から第5部分136に向かう第4部分135と第5部分136との配列方向と、第5部分136から第6部分137に向かう第5部分136と第6部分137との配列方向は一致しており、いずれもも配列方向D2である。なお、配列方向D2とピッチP2との方向が一致しているが、必ずしも各方向が一致している必要はない。
【0111】
導線133は、共鳴コイル24の延びる方向に垂直な断面において、略長方形形状となるように形成されている。具体的には、導線133は、厚さ方向に配列する側面150および側面151と、側面150および側面151の各端部を接続するように設けられた端面152および端面153とを含む。
【0112】
端面152および端面153は、巻回中心線O2の延びる方向に配列している。そして、第4部分135の側面150と、第5部分136の側面151とがピッチP2をあけて対向しており、第5部分136の側面150と、第6部分137の側面151とがピッチP2をあけて対向している。
【0113】
ここで、配列方向D2に垂直な仮想平面であって、第6部分137よりも巻回中心線O2側に配置された仮想平面を仮想平面160とする。配列方向D2に対して平行に延びる仮想平面であって、端面153から間隔をあけて配置された仮想平面を仮想平面161とする。
【0114】
そして、側面151に対して巻回中心線O2と反対側に位置する位置から配列方向D2に側面151を仮想平面160に投影する。このときの側面151の投影部の配列方向D2に垂直な方向の長さを長さL6とする。端面152に対して端面153と反対側に位置する位置から配列方向D2と垂直な方向に端面152を仮想平面161に投影する。この投影部の配列方向D2の長さを長さL7とする。ここで、
図12からも明らかなように、長さL6は、長さL7よりも長い。
【0115】
このため、共鳴コイル24は、ピッチP2をあけて対向する面積が大きく、共鳴コイル24に形成される容量が大きい。長さL6は、導線133の幅であり、長さL7は、導線133の厚さである。ここで、導線133においても、各種の断面形状のものを採用することができる。
【0116】
このように形成された共鳴コイル24において、第4部分135と第5部分136とによって挟まれた領域を領域R4とする。同様に、第5部分136と第6部分137とによって挟まれた領域を領域R5とする。さらに、領域R4および領域R5以外の領域を領域R6とする。
【0117】
図13は、
図10に示すXIII−XIII線における断面図である。この
図13に示す例においては、共鳴コイル24には、絶縁紙130が設けられている。
【0118】
絶縁紙130は、共鳴コイル24の延びる方向に垂直な断面において、配列方向D2に配列する側部162および側部163と、側部162および側部163を接続する接続部164とを含む。側部162および側部163は、導線133を挟むように配置されており、側部162および側部163は、共鳴コイル24の延びる方向に延びている。接続部164は、端面153を覆うと共に、共鳴コイル24の延びる方向に延びている。
図10からも明らかなように、絶縁紙130は、共鳴コイル24の第3端部131から第4端部132に達するように、共鳴コイル24の全長に亘って配置されている。
【0119】
次に絶縁紙130の構成について詳細に説明する。
図13および
図10において、側部162は、側面151を覆うように配置されており、側部163は、側面150を覆うように設けられている。接続部164は、端面153を覆うように配置されている。なお、絶縁紙130は、変形可能な絶縁材料から形成されている。側部162,163および接続部164も湾曲可能または屈曲可能な材料から形成されている。このため、側部162,163および接続部164は、共鳴コイル24に装着された状態において、壁面状であったり、湾曲面状であったりする。
【0120】
図13において、絶縁紙130のうち、第4部分135を覆う部分に着目する。絶縁紙130のうち、第4部分135を覆う部分は、第4部分135の側面151を覆う側部162aと、第4部分135の側面150を覆う側部163aと、側部162aと側部163aとを接続する接続部164aとを含み、接続部164aは、第4部分135の端面153を覆うように設けられている。
【0121】
側部163aは、領域R6から領域R4内に入り込み、そして、領域R4をとおりぬける。さらに、側部163aは、領域R4を通り抜けた後、さらに、領域R6内に入り込むように配置されている。
【0122】
絶縁紙130のうち、第5部分136を覆う部分は、第5部分136の側面151を覆う側部162bと、第5部分136の側面150を覆う側部163bと、側部162bと側部163bとを接続する接続部164bとを含み、接続部164bは、第5部分136の端面153を覆うように設けられている。
【0123】
側部162bは、領域R6から領域R4内に入り込み、領域R4をとおりぬける。さらに、絶縁紙130の側部162bは、領域R4から領域R6に引き出されている。また、側部163bは、領域R6から領域R5内に入り込む。そして、側部163bは、領域R5を通り抜け、領域R6に達している。
【0124】
絶縁紙130のうち、第6部分137を覆う部分は、第6部分137の側面151を覆う側部162cと、側面150を覆う側部163cと、端面153を覆う接続部164cとを含む。側部162cは、領域R6から領域R5内に入り込み、側部162cは、領域R5から領域R6に引き出されている。
【0125】
このため、第4部分135と第5部分136との間には、側部163aと側部162bとが配置されているため、第4部分135と第5部分136との間の絶縁性が確保されている。
【0126】
第4部分135および第5部分136の端面153が接続部164aおよび接続部164bによって覆われると共に、側部163aと側部162bとが端面152より領域R6内に突出しているため、第4部分135と第5部分136との間の沿面距離は、長くなっている。
【0127】
同様に、第5部分136と、第6部分137との間には、側部163bと側部162cとが配置されているため、第5部分136と第6部分137との間の絶縁性が確保されている。
【0128】
また、第5部分136および第6部分137の端面153が接続部164bおよび接続部164cによって覆われると共に、側部163bおよび側部162cは、端面152から領域R6内に突出するように配置されているため、第5部分136と第6部分137との間の沿面距離が長くなっている。このため、共鳴コイル24においても、ピッチ間で放電が生じることが抑制されている。
【0129】
ここで、第6部分137よりも巻回中心線O2側に位置し、配列方向D2と垂直な方向に延びる仮想平面を仮想平面160とする。第6部分137に対して巻回中心線O2と反対側に位置する位置から第6部分137を配列方向D2に向けて仮想平面160に投影する。このときの投影部の配列方向D2に対して垂直な方向の延びる方向の長さを長さL16とする。
【0130】
同様に、絶縁紙130を仮想平面160に投影する。このときの投影部の配列方向D2に垂直な方向の長さを長さLL3とする。この
図13からも明らかなように、絶縁紙130の長さLL3は、導線133の長さL16よりも長いことがわかる。ここで、長さLL3は、絶縁紙130の幅を示し、長さL16は、導線133の幅を示す。
【0131】
このように、絶縁紙130の幅は、導線133の幅よりも大きくなるように形成されている。ここで、絶縁紙130のうち、端面152から突出する部分を仮想平面160に投影する。このときの投影部の配列方向D2に垂直な方向の長さを長さLL4とする。この長さLL4は、長さL16の半分以上であって、長さL16よりも小さい。このような長さに長さLL4を設定することで、第4部分135と、第5部分136と、第6部分137との間の沿面距離を確保することができる。
【0132】
(実施の形態2)
図14から
図21を用いて、本実施の形態2に係る受電装置および送電装置について説明する。なお、
図14から
図21に示す構成のうち、上記
図1から
図13に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付して、説明を省略する場合がある。
【0133】
図14は、受電装置40に設けられた共鳴コイル11およびこの共鳴コイル11に設けられた絶縁紙を示す斜視図である。この
図14に示すように、共鳴コイル11は、絶縁紙230によって覆われている。
【0134】
図15は、
図14に示す状態から絶縁紙230を取り除いた状態を示す斜視図である。この
図15に示すように、共鳴コイル11は、第1端部231と、第2端部232とを含む。ここで、共鳴コイル11は、第1端部231から第2端部232に向かうにつれて、巻回中心線O3の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線O3の延びる方向に変位するように導線233を巻回して形成されている。なお、共鳴コイル11は、ピッチP3をあけて導線233を巻回して形成されている。ピッチP3の方向は巻回中心線O3の延びる方向である。
【0135】
図16は、
図15に示すXVI−XVI線における断面図である。この
図16に示すように、共鳴コイル11の延びる方向に垂直な断面において、共鳴コイル11は、第1部分235と、第2部分236と、第3部分237とが配列方向D3にピッチP3をあけて配列している。なお、本実施の形態3においては、配列方向D3と巻回中心線O3の延びる方向(ピッチの方向)とは一致しているが、必ずしも各方向は一致している必要はない。
【0136】
導線233は長方形形状となるように形成されている。具体的には、導線233は、厚さ方向に配列する側面250および側面251と、この側面250および側面251の各端部を接続するように配置された端面252および端面253とを含む。端面252および端面253は、巻回中心線O3に垂直な方向に配列しており、端面253は、端面252に対して巻回中心線O3と反対側に配置されている。
【0137】
そして、第1部分235の側面250と、第2部分236の側面251とがピッチP3をあけて互いに対向している。第2部分236の側面250と、第3部分237の側面251とがピッチP3をあけて対向している。各端面252は、端面253よりも巻回中心線O3側に配置されており、共鳴コイル11の内周面を形成している。
【0138】
ここで、端面253に対して巻回中心線O3と反対側に位置し、配列方向D3と平行な仮想平面を仮想平面260とする。第3部分237に対して第1部分235と反対側に位置し、配列方向D3に垂直な仮想平面を仮想平面261とする。
【0139】
そして、側面251を配列方向D3で仮想平面261に投影する。配列方向D3に垂直な方向における投影部の長さを長さL8とする。端面252に対して端面253と反対側に位置する位置から配列方向D3に垂直な方向に端面252を仮想平面260に投影する。このときの投影部の配列方向D3の長さを長さL9とする。
【0140】
図16からも明らかなように、長さL8は、長さL9よりも長い。このため、本実施の形態3に係る共鳴コイル11においても、共鳴コイル11に大きな容量が形成される。
【0141】
ここで、第1部分235と、第2部分236とによって挟まれた領域を領域R7とし、第2部分236と第3部分237との間に挟まれた領域を領域R8とする。さらに、領域R8および領域R7以外の領域を領域R9とする。
【0142】
図14において、絶縁紙230は、上記のように形成された共鳴コイル11の第1端部231から第2端部232に達するように、共鳴コイル11の全長に亘って配置されている。
【0143】
図17は、
図14に示すXVII−XVII線における断面図である。この
図17において、絶縁紙230は、導線233の側面251を覆う側部262と、側面250を覆う側部263と、側部262および側部263を接続する接続部264とを含む。ここで、側部262および側部263は、導線233を挟み込むように配置されており、側部262および側部263は、導線233の延びる方向に延びている。接続部264は、端面253を覆うように設けられており、共鳴コイル24の延びる方向に延びている。
【0144】
絶縁紙230は、共鳴コイル11の第1端部231から第2端部232に達するように配置されており、絶縁紙230は、共鳴コイル11の略全周に亘って配置されている。
【0145】
絶縁紙230のうち、第1部分235と、第2部分236とを覆う部分に着目する。ここで、第1部分235の側面250は、側部263aによって覆われており、第2部分236の側面251は側部262bによって覆われている。
【0146】
なお、第1部分235、第2部分236および第3部分237の側面251を覆う側部262a、側部262bおよび側部262cは一体的に形成されている。第1部分235、第2部分236および第3部分237の側面250を覆う側部263a、側部263bおよび側部263cは一体的に形成されている。
【0147】
側部263aと、側部262bとは、領域R9から領域R7に入り込むと共に、領域R7をとおりぬけて領域R9に達するように形成されている。
【0148】
さらに、第1部分235の端面253は、接続部264aによって覆われており、第2部分236の端面253は、接続部264bによって覆われている。
【0149】
このため、第1部分235と第2部分236との間の沿面距離は長く、第1部分235と第2部分236との間で放電が生じることが抑制されている。
【0150】
さらに、第1部分235と第2部分236との間に、側部263aと側部262bとが配置されているため、第1部分235と第2部分236との間の絶縁性が確保されている。
【0151】
次に、絶縁紙230のうち、第2部分236と第3部分237とを覆う部分に着目する。第2部分236の側面250は側部263bによって覆われており、第3部分237の側面251は側部262cによって覆われている。
【0152】
側部263bと側部262cとは、領域R9から領域R8内に入り込むと共に、領域R8をとおりぬけて、領域R9に引き出されている。さらに、第2部分236の端面253は、接続部264bによって覆われており、第3部分237の端面253は、接続部264cによって覆われている。
【0153】
このため、第2部分236と第3部分237との間の沿面距離が長く、第2部分236と第3部分237との間で放電が生じることが抑制されている。また、第2部分236と、第3部分237との間に側部263bと側部262cとが配置されているため、第2部分236と第3部分237との間の絶縁性が確保されている。
【0154】
ここで、絶縁紙230を仮想平面261を配列方向D3に投影する。この投影部の配列方向D3に対して垂直な方向の長さを長さLL5とする。同様に、絶縁紙230のうち、端面252から突出する部分を配列方向D3に仮想平面261に投影する。この投影部の配列方向D3に垂直な方向の長さをLL6とする。
【0155】
ここで、
図17において、導線233の幅は、長さL8であり、絶縁紙230の幅は、長さLL5である。ここで、長さLL5は、長さL8よりも長い。さらに、長さLL5は、長さL8の半分の長さ以上であり、長さLL5は長さL8よりも小さい。
【0156】
このように、本実施の形態に係る受電装置40においても、共鳴コイル11で放電が生じることが抑制されている。
【0157】
次に、送電装置41に設けられた共鳴コイル24と、共鳴コイル24に設けられた絶縁紙とについて説明する。
【0158】
図18は、共鳴コイル24および共鳴コイル24に設けられた絶縁紙を示す斜視図である。この
図18に示すように、共鳴コイル24には絶縁紙330が設けられている。
【0159】
図19は、
図18に示す状態から絶縁紙330を取り除いた状態を示す斜視図である。この
図19に示すように、共鳴コイル24は、第3端部331と、第4端部332とを含む。共鳴コイル24は、第3端部331から第4端部332に向かうにつれて、巻回中心線O4の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線O4の延びる方向に変位するように、導線333を曲げて形成されている。なお、共鳴コイル24は、ピッチP4をあけて導線333を曲げて形成されている。なお、ピッチP4の方向は、巻回中心線O4の延びる方向である。
【0160】
図20は、
図19に示すXX−XX線における断面図である。この
図20に示すように、共鳴コイル24の延びる方向に垂直な方向の断面では、共鳴コイル24は、配列方向D4に配列する第4部分335と、第5部分336と、第6部分337とを含む。
【0161】
なお、配列方向D4と巻回中心線O4の延びる方向とは一致しているが、必ずしも一致している必要はない。
【0162】
共鳴コイル24の延びる方向に垂直な断面において、導線333は略長方形形状となるように形成されている。
【0163】
具体的には、導線333の厚さ方向に配列する側面350および側面351と、側面350および側面351の端部を接続するように設けられた端面352および端面353とを含む。端面352と端面353とは、巻回中心線O4に垂直な方向に配列しており、第4部分335は、巻回中心線O4と対向しており、端面353は端面353と反対側に配置されている。
【0164】
そして、第4部分335の側面350と、第5部分336の側面351とが対向しており、第5部分336の側面350と第6部分337の側面351とが対向している。
【0165】
端面352は端面353よりも巻回中心線O4側に配置されている。端面352は共鳴コイル24の内周面を規定し、端面353は、共鳴コイル24の外周面を規定する。
【0166】
ここで、端面353に対して巻回中心線O4と反対側に位置し、配列方向D4と平行な仮想平面を仮想平面360とする。第6部分337に対して第4部分335と反対側に位置し、配列方向D4に垂直な仮想平面を仮想平面361とする。
【0167】
そして、側面351を配列方向D4で仮想平面361に投影する。配列方向D4に垂直な方向における投影部の長さを長さL10とする。端面352に対して端面353と反対側に位置する位置から配列方向D4に垂直な方向で端面352を仮想平面360に投影する。配列方向D4におけるこの投影部の長さを長さL11とする。
【0168】
図20からも明らかなように、長さL10は、長さL11よりも長い。このため、本実施の形態2に係る共鳴コイル24においても、大きな容量が形成される。
【0169】
ここで、第4部分335と第5部分336とによって挟まれた領域を領域R10とする。同様に、第5部分336と第6部分337とによって挟まれた領域を領域R11とする。そして、領域R10と領域R11と以外の領域を領域R12とする。
【0170】
図21は、
図18に示すXXI−XXI線における断面図である。この
図21に示すように、絶縁紙330は、導線333の側面351を覆うと共に、共鳴コイル24の延びる方向に延びる側部362と、端面353を覆う接続部364と、側面350を覆うと共に、共鳴コイル24の延びる方向に延びる側部363とを含む。
【0171】
第4部分335、第5部分336および第6部分337の側面351を覆う側部362a、側部362bおよび側部362cは、一体的に形成されている。第4部分335、第5部分336および第6部分337の側面350を覆う側部363a、側部363bおよび側部363cは、一体的に形成されている。
【0172】
ここで、絶縁紙330のうち、第4部分335および第5部分336を覆う部分に着目する。側部363aおよび側部362bとは、領域R12から領域R10に入り込むと共に、領域R10を通り抜けて、領域R12に引き出されている。さらに、第4部分335の端面353は、接続部364aによって覆われており、第5部分336の端面353は、接続部364bによって覆われている。
【0173】
このため、第4部分335と第5部分336との間の沿面距離が長く、第4部分335と第5部分336との間で放電が生じることを抑制することができる。第4部分335と第5部分336との間に、側部363aと側部362bとが配置されているため、第4部分335と第5部分336との間の絶縁性が確保されている。
【0174】
次に、絶縁紙330のうち、第5部分336と第6部分337とを覆う部分に着目する。側部363bと、側部362cとは、領域R12から領域R11内に入り込むと共に、領域R11をとおりぬけ、領域R12に引き出されている。さらに、第5部分336の端面353は、接続部364bによって覆われており、第6部分337の端面353は、接続部364cによって覆われている。
【0175】
このため、第5部分336と第6部分337との間の沿面距離は長く、第5部分336と第6部分337との間で放電が生じることが抑制されている。また、第5部分336と第6部分337との間には、側部363bと側部362cとが配置されており、第5部分336と第6部分337との間の絶縁性が確保されている。
【0176】
このように、本実施の形態2に係る共鳴コイル24においても、ピッチ間で放電が生じることが抑制されている。
【0177】
ここで、絶縁紙330を配列方向D4に仮想平面361に投影する。この投影部の配列方向D4に垂直な方向の長さLL7とする。そして、絶縁紙330のうち、端面352より突出する部分を配列方向D4で仮想平面361に投影する。この投影部の配列方向D4に垂直な方向の長さを長さLL8とする。長さLL8は、長さL10よりも長い。また、長さLL8は、長さL10の半分以上であって、長さL10よりも短い。
【0178】
(実施の形態3)
図22から
図23を用いて、本実施の形態3に係る受電装置40と、送電装置41とについて説明する。なお、
図22から
図23に示す構成のうち、上記
図1から
図21に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0179】
図22は、受電部27に設けられた共鳴コイル11と、この共鳴コイル11に設けられた絶縁紙を示す斜視図である。
【0180】
この
図22に示すように、共鳴コイル11は、上記実施の形態1と同様に、第1端部31を含み、巻回中心線O1を中心に渦状に導線33を巻回することで形成されている。
【0181】
絶縁紙430は、複数の単位絶縁紙444A〜444Cを含み、単位絶縁紙444Aと、単位絶縁紙444Bと、単位絶縁紙444Cは、共鳴コイル11の長さ方向に配列している。
【0182】
具体的には、単位絶縁紙444Aは、第2端部32と、共鳴コイル11のうち、第2端部32に対してピッチをあけて隣り合う部分との間に亘って配置さされている。単位絶縁紙444Cは、第1端部31と、共鳴コイル11のうち、第1端部31とピッチをあけて隣り合う部分との間に亘って配置されている。単位絶縁紙444Bは、共鳴コイル11のうち、単位絶縁紙444Cと単位絶縁紙444Aとの間に位置する部分に配置されている。
【0183】
ここで、
図23は、
図22に示すXXIII−XXIII線における断面図である。この
図23に示すように、単位絶縁紙444は、第1部分35の側面51を覆う側部462aと、側面50を覆う側部463aと、側部462aの端部と側部463の端部とを接続すると共に、第1部分35の端面53を覆うように設けられた接続部464aとを含む。
【0184】
単位絶縁紙444Bは、第2部分36の側面51を覆う側部462bと、第2部分36の側面50を覆う側部463bと、側部462bの端部と側部463bの端部とを接続すると共に、第2部分36の端面52を覆うように設けられた接続部464bとを含む。
【0185】
単位絶縁紙444Cは、第3部分37の側面51を覆う側部462cと、第3部分37の側面51を覆う側部463cと、側部462cの端部と側部463cの端部とを接続すると共に、第3部分37の端面53を覆うように設けられた接続部464cとを含む。
【0186】
この
図23に示すように、側部463aと側部462bとは、領域R3から領域R1内に入り込むと共に、領域R1を通り抜けて、領域R3に引き出されている。さらに、側部463bおよび側部462cは、領域R3から領域R2内に入り込むと共に領域R2をとおりぬけ、さらに、領域R3に引き出されている。
【0187】
このため、本実施の形態3に係る共鳴コイル11においても、共鳴コイル11のピッチP1で放電が生じることが抑制されている。
【0188】
さらに、第1部分35の端面52は、単位絶縁紙444Aから外部に露出している一方で、第2部分36の端面52は、単位絶縁紙444Bによって覆われている。さらに、第2部分36の端面53は、単位絶縁紙444Bから露出している一方で、第1部分35の端面53は、接続部464aによって覆われている。このため、第1部分35と第2部分36との間の沿面距離は非常に長くなっており、第1部分35と第2部分36との間で放電が生じることが抑制されている。
【0189】
同様に、第2部分36の端面53が単位絶縁紙444Bから外部に露出している一方で、第3部分37の端面53が単位絶縁紙444Cの接続部464cによって覆われ、さらに、第3部分37の端面52が単位絶縁紙444Cから外部に露出している一方で、第2部分36の端面52は単位絶縁紙444Bの接続部464bによって覆われている。
【0190】
このため、第2部分36と第3部分37との間の沿面距離が非常に長く、第2部分36と第3部分37との間で放電が生じることを抑制することができる。
【0191】
なお、上記共鳴コイル11および絶縁紙430の構成を共鳴コイル24およびこの共鳴コイル24を覆う絶縁紙に適用することができることはいうまでもない。
【0192】
(実施の形態4)
図24から
図25を用いて本実施の形態4に係る受電装置40について説明する。なお、
図1から
図23に示す構成のうち、
図1から
図23に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0193】
図24は、本実施の形態4に係る受電装置40に設けられた共鳴コイル11および共鳴コイル11に設けられた絶縁紙を示す斜視図である。この
図24に示すように、共鳴コイル11には、絶縁紙530が設けられている。
【0194】
絶縁紙530は、共鳴コイル11の長さ方向に配列する単位絶縁紙544Aと、単位絶縁紙544Bと、単位絶縁紙544Cとを含む。
【0195】
図25は、
図24に示すXXV−XXV線における断面図である。この
図25に示すように、単位絶縁紙544Aは、共鳴コイル11の第1部分235を覆うように設けられている。単位絶縁膜544Bは、共鳴コイル11の第2部分236を覆うように設けられている。単位絶縁膜544Cは、共鳴コイル11の第3部分237を覆うように設けられている。
【0196】
単位絶縁膜544は、側面251を覆う側部562aと、側面250を覆う側部563aと、側部562aと側部563aとを接続すると共に、端面253を覆うように設けられた接続部564aとを含む。
【0197】
単位絶縁膜544Bは、第2部分236の側面251を覆う側部562bと、第2部分236の側面250を覆う側部563bと、側部562bおよび側部563bを接続すると共に、第2部分236の端面252を覆うように設けられた接続部564bとを含む。
【0198】
単位絶縁膜544Cは、第3部分237の側面251を覆う側部562cと、側面250を覆う側部563cと、側部562cおよび側部563cを接続する接続部564cとを含む。
【0199】
ここで、側部563aと、側部562bとは、いずれも、領域R3の外部から領域R3内に入り込み、さらに、領域R3通りぬけて、領域R5に達するように設けられている。同様に、側部562cおよび側部563bは、領域R5から領域R4内に入り込み、領域R4をとおりぬけて、領域R5に達するように設けられている。
【0200】
このため、第1部分235と、第2部分236との間の沿面距離が長く、第1部分235と第2部分236との間で放電が生じることが抑制されている。同様に、第2部分236と第3部分237との間の沿面距離が長いため第2部分236と第3部分237との間で放電が生じることが抑制されている。
【0201】
このため、本実施の形態4に係る受電装置40に設けられた共鳴コイル11において、ピッチ間で放電が生じることを抑制することができる。
【0202】
なお、本実施の形態4においては、受電装置40に設けられた共鳴コイル11および共鳴コイル11に設けられた絶縁紙530のについて説明したが、同様の構成を送電装置41の共鳴コイル24に適用することができるのはいうまでもない。
【0203】
(実施の形態5)
図26および
図27を用いて、本実施の形態5に係る受電装置40について説明する。
図26は、本実施の形態5に係る受電装置40に設けられた共鳴コイル11および共鳴コイル11に設けられた絶縁紙630を示す斜視図である。この
図26に示すように、絶縁紙630は、共鳴コイル11のピッチ間に配置されている。
【0204】
図27は、
図26に示すXXVII−XXVII線における断面図である。この
図27示すように、絶縁紙630は、第1部分35と第2部分36との間に位置する第1絶縁部631と、第2部分36と第3部分37との間に配置された第2絶縁部632とを含む。
【0205】
なお、第1絶縁部631および第2絶縁部632は、いずれも、一体的に形成されている。
【0206】
ここで、第1絶縁部631は、領域R3から領域R1内に入り込むと共に、領域R1をとおりぬけて、領域R3に達するように形成されている。同様に、第2絶縁部632も、領域R3から領域R2内に入り込み、領域R2をとおりぬけて、領域R3に達するように形成されている。
【0207】
このため、本実施の形態5においても、第1部分35と第2部分36との間で放電が生じることを抑制することができ、また、第2部分36と第3部分37との間で放電が生じることを抑制することができる。このように、絶縁紙630は、端面52から外方に突出すると共に、端面53から外方に突出するように形成されている。
【0208】
なお、本実施の形態5においても、受電装置40に設けられた共鳴コイル11と、この共鳴コイル11に設けられた絶縁紙630との構成について説明したが、同様の構成を送電装置41に設けられた共鳴コイル24と、この共鳴コイル24に設けられる絶縁紙に適用することができることはいうまでもない。
【0209】
(実施の形態6)
図28および
図29を用いて、本実施の形態6に係る受電装置40について説明する。
図28は、本実施の形態6に設けられた受電装置40の共鳴コイル11と、この共鳴コイル11に設けられた絶縁紙730とを示す斜視図である。
【0210】
なお、本実施の形態6の共鳴コイル24は、第3端部から第4端部に向かうにつれて、巻回中心線O3の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線O3の延びる方向に変位するように形成されている。
【0211】
図29は、
図28の一部を拡大視した断面図である。この
図29において、絶縁紙730は、第1部分235と第2部分236との間に配置された第3絶縁部731と、第1部分235と第3部分237との間に配置された第4絶縁部732とを含む。
【0212】
第3絶縁部731と、第4絶縁部732とはいずれも共鳴コイル24の延びる方向に延びており、互いに接続されている。
【0213】
そして、第3絶縁部731は、領域R9から領域R7内に入り込むと共に、領域R7をとおりぬけて、領域R9に引き出されるように形成されている。
【0214】
同様に、第4絶縁部732は、領域R9から領域R8内に入り込み、領域R8をとおりぬけて領域R9に引き出されている。このように絶縁紙730は、端面253から外方に延び出ると共に、端面252から外方に延び出るように形成されている。
【0215】
このため、本実施の形態6に係る受電装置40においても、共鳴コイル11の第1部分235と第2部分236との間の絶縁距離が長く、また、第2部分236および第3部分237の間の絶縁距離が長くなっている。
【0216】
このため、電力伝送時においても、第1部分235と第2部分236との間と、第2部分236と第3部分237との間で放電が生じることが抑制されている。
【0217】
なお、本実施の形態6においても、受電装置40に設けられた共鳴コイル11と、共鳴コイル11に設けられた絶縁紙730について説明したが、同様の構成を送電装置41の共鳴コイル24およびこの共鳴コイル24に設けられる絶縁紙に適用することができることはいうまでもない。
【0218】
(実施の形態7)
図30から
図35を用いて、本実施の形態に係る受電装置40および送電装置41について説明する。なお、
図30から
図35に示す構成のうち、上記
図1から
図29に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0219】
図30は、本実施の形態の受電装置40に設けられた受電部27を示す斜視図である。この
図30に示すように、受電部27は、電磁誘導コイル12と、共鳴コイル11と、電磁誘導コイル12および共鳴コイル11を支持する支持ユニット801と、共鳴コイル11の両端部に接続されたキャパシタ19とを含む。
【0220】
共鳴コイル11は、一端部から他方端部に向かうにつれて、巻回中心線O1の周囲を取り囲むように導線233を曲げて形成されており、共鳴コイル11は、一端部から他方端部に向かうにつれて、巻回中心線O1の延びる方向に変位するように形成されている。
【0221】
支持ユニット801は、巻回中心線O1を中心に環状に配置された複数のコイル保持部材802を含む。コイル保持部材802は、絶縁性の樹脂材料によって形成されてる。
【0222】
環状に配列するコイル保持部材802の外周に共鳴コイル11および電磁誘導コイル12が装着されている。なお、共鳴コイル11および電磁誘導コイル12を環状に配列するコイル保持部材802の内周側に配置するようにしてもよい。
【0223】
図31は、コイル保持部材802を示す斜視図である。この
図31に示すように、コイル保持部材802は、上端部側に設けられて、シールドの天板部に固定される支持ユニット801と、このコイル保持部材802に接続され、下方に延びる柱部804と、柱部804に間隔をあけて形成された複数の支持部805とを含む。
【0224】
支持部805は、下方に向けて間隔をあけて複数形成されており、この支持部805によって、複数の溝部806が形成されている。そして、共鳴コイル11と、電磁誘導コイル12とが溝部806にはめ込まれている。
【0225】
本実施の形態7に係る例においては、共鳴コイル11は、略2巻程度とされている。このため、共鳴コイル11は、溝部806aと、溝部806aと隣り合う溝部806bとにはめ込まれている。
【0226】
ここで、溝部806aには絶縁部811が設けられており、溝部806bにも、絶縁部812が設けられている。
【0227】
図32は、溝部806の一部を示す断面図である。この
図32に示すように、共鳴コイル11の延びる方向に垂直な断面において、共鳴コイル11は、第1部分235と、第2部分236とを含む。そして、第1部分235から第2部分236に向かう第1部分235と第2部分236との配列方向を配列方向D3とする。
【0228】
ここで、絶縁部811は、溝部806aの内周面上に配置されており、第1部分235は、溝部806a内に一部が嵌め込まれると共に、絶縁部811に覆われるように設けられてる。
【0229】
第1部分235は、厚さ方向に配列する側面251および側面250と、側面251の端部と側面250の端部とを接続するように設けられた端面252および端面253とを含む。
【0230】
第1部分235は、側面251および側面250の一部と、端面252とが溝部806aから露出するように、溝部806aに嵌め込まれている。
【0231】
絶縁部811は、側面251を覆うように設けられた側部821と、側面250を覆うように設けられた側部822と、端面253を覆うように設けられた接続部823とを含む。
【0232】
側部821は、溝部806の内周面と側面251との間に配置され、側部822は、溝部806aの内周面と側面250との間に配置されている。
【0233】
そして、側部821および側部822は、第1部分235よりも巻回中心線O1側に引き出されている。
【0234】
接続部823は、第1部分235の端面253を覆うように設けられており、接続部823は、端面253と溝部806aの内周面との間に配置されている。
【0235】
絶縁部812も、絶縁部811と同様に形成されている。絶縁部812は、第2部分236の側面251を覆う側部824と、第2部分236の側面250を覆う側部825と、側部824の一端部および側部825の一端部を接続する接続部826とを含む。
【0236】
ここで、側部822は、領域R9から領域R7内に入り込むと共に、領域R7を通りぬけて、領域R7から領域R9に引き出されている。
【0237】
同様に、側部824も、領域R9から領域R7内に入り込むと共に、領域R7を通りぬけて、領域R7から領域R9に引き出されている。
【0238】
このため、第1部分235と第2部分236との間の沿面距離が長く第1部分235および第2部分236の間で放電が生じることが抑制されている。
【0239】
図33は、本実施の形態に係る送電装置41の送電部28を示す斜視図である。この
図33に示すように、送電部28は、電磁誘導コイル23と、共鳴コイル24と、電磁誘導コイル23および共鳴コイル24支持する支持ユニット851とを含む。
【0240】
共鳴コイル24は、一端部から他端部に向かうにつれて、巻回中心線O2の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線O2の延びる方向に変位するように導線333を曲げて形成されている。
【0241】
支持ユニット851は、巻回中心線O2を中心に間隔をあけて環状に配置された複数のコイル支持部材852を含む。
【0242】
図34は、コイル支持部材852を示す斜視図である。この
図34に示すように、コイル支持部材852は、シールドの底面に固定される土台部853と、この土台部853から上方に向けて延びる柱部854とを含む。
【0243】
柱部854には、複数の支持部855が間隔をあけて複数形成されており、支持部855の間には、溝部856が形成されている。
【0244】
本実施の形態においては、共鳴コイル24は、2巻程度とされており、共鳴コイル24は、溝部856aと溝部856bとに嵌め込まれている。
【0245】
送電部28は、溝部856aに設けられた絶縁紙861と、溝部856b内に設けられた絶縁紙862とを含む。
【0246】
図35は、コイル支持部材852の一部を示す断面図である。この
図35に示すように、共鳴コイル24の延びる方向に垂直な断面において、共鳴コイル24は、配列方向D4に配列する第4部分335および第5部分336を含む。
【0247】
そして、第4部分335は、溝部856a内に配置された絶縁紙861によって覆われており、第4部分335は、溝部856b内に配置された絶縁紙862によって覆われている。
【0248】
絶縁紙861は、第4部分335の側面351を覆う側部871と、第4部分335の側面350を覆う側部872と、側部871の一端部と側部872の一端部を接続する接続部873とを含む。接続部873は、第4部分335の端面353を覆うように設けられている。
【0249】
絶縁紙862は、第5部分336の側面351を覆うように設けられた側部874と、第5部分336の側面351を覆うように設けられた側部875と、側部874の一端部と側部875の一端部とを接続する接続部876とを含む。接続部876は、第5部分336の端面353を覆うように形成されている。そして、側部872および側部874は、領域R10の外側に位置する領域R11から領域R10内に入り込むと共に、領域R1を通りぬけるように形成され、領域R1から引き出されるように形成されている。
【0250】
このため、第4部分335および第5部分336の間の沿面距離が長く、第4部分335および第5部分336の間で放電が生じることを抑制することができる。
【0251】
さらに、側部872は、第4部分335の端面352よりも巻回中心線O2側に張り出しており、側部874も、第5部分336の端面352よりも巻回中心線O2側に張り出している。
【0252】
このため、第4部分335と第5部分336との間の沿面距離が長くなっており、第4部分335および第5部分336の間で放電が生じることを抑制することができる。なお、上記各実施の形態では、電磁誘導コイル12,23を含んだ送電装置および受電装置を例示したが、電磁誘導コイルを含まない共鳴型非接触送受電装置にも本発明は適用可能である。
【0253】
具体的には、送電装置41側においては、電磁誘導コイル23を設けずに、共鳴コイル24に電源部(交流電源21、高周波電力ドライバ22)を直接接続してもよい。受電装置40側においては、電磁誘導コイル12を設けずに、共鳴コイル11に整流器13を直接接続してもよい。今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。