(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記案内手段は、前記案内を提示しているとき、前記積算燃料給油量が前記所定量以上になるまで、前記案内提示状態を保持することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
前記案内手段は、前記案内が提示されている状態で、前記積算燃料給油量が前記所定量以上となったとき、前記案内を提示しないことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制御装置。
前記案内手段は、経過期間が所定期間を経過する前に積算燃料給油量が所定量以上になることにより、前記案内を提示しないことを特徴とする請求項1から3の何れか1の請求項に記載の車両の制御装置。
前記車両が、前記燃料タンク内に給油された少なくとも1種の燃料を使用せず、走行可能なものであることを特徴とする請求項1から5の何れか1の請求項に記載の車両の制御装置。
【背景技術】
【0002】
近年、積載燃料(例えばガソリン)を消費しない状態でも動力を発生可能な車両として、エンジンおよびモータを駆動源として搭載したハイブリッド車両が知られている。エンジンは積載燃料により車両を駆動するための動力を発生し、モータは搭載された蓄電装置(例えばバッテリ)からの電力により車両を駆動するための動力を発生する。
【0003】
バッテリは、エンジンによって駆動される発電機が発電した電力や、車両の減速時にモータを用いて回生された電力などにより充電される。また、このようなハイブリッド車両において、車両の外部の電源から供給された電力によってバッテリを充電することが可能なプラグインハイブリッド車も知られている。
【0004】
ハイブリッド車両は、車両の運転状態などに応じて、エンジンおよびモータのいずれか一方もしくは両方を駆動源として用いることにより走行可能である。従って、例えばバッテリの残存容量が大きい場合、エンジンを停止し、モータのみを駆動源として用いて走行することが可能である。また、例えば燃料消費を抑えるため、運転者がスイッチを操作することによって、モータのみを駆動源として用いて走行するモードが選択されるものもある。
【0005】
よって、ハイブリッド車両では、運転時間全体に対して、エンジンを動かす時間の割合が小さくなりやすい。特に、プラグインハイブリッド車両では、車両の外部の電源によってバッテリを頻繁に充電すれば、バッテリに充電する電力を発電するためにエンジンを動かす時間は短くて済むため、上記の割合はより小さくなりやすい。従って、上記のような車両の場合、今後、バッテリ技術の向上により、さらにエンジンを動かす時間が短くなることが想定される。
【0006】
エンジンを動かす時間が短いと、燃料の消費は少なくなるため、タンク内に燃料が長期間滞留し、燃料は酸化劣化しやすくなる。例えば、ガソリンの場合、保存温度や、水分や空気との接触などにより酸化劣化する。そして、酸化劣化した燃料は、様々な問題を引き起こす。例えば、劣化したガソリンの使用は、燃料循環系(燃料タンク、配管およびエンジンの部品など)を腐食させる可能性がある。
【0007】
そこで、定期的にエンジンを動かし、積載燃料の消費を試みる技術が提案されており、燃料を使用したエンジンの駆動確率を燃料の劣化度合に応じて変動することで、燃料の劣化を低減することのできる制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
この特許文献1に開示された発明は、燃料タンク内の燃料変化量などに基づいて燃料が劣化している可能性が高いと推定されたとき、エンジン始動判定値が低く設定される。これにより、エンジンの駆動確率が高くなり、かつ燃料の使用頻度が高くなるので、燃料の劣化を低減できるというものである。
【0009】
また、燃料タンク内の燃料の酸化劣化度を検出して、ユーザに報知することが可能な燃料劣化検出装置などが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
この特許文献2に開示された発明は、燃料の酸化劣化度合いを検出する検出手段によって、検出された燃料の酸化劣化度合いが第1の閾値を超えた場合、燃料の酸化劣化を警告するものである。さらに、前記燃料の酸化劣化度合いが第1の閾値より高い第2の閾値を超えた場合、エンジンの動作を停止させるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、引用文献1に開示された発明は、燃料劣化が進んだ後、運転者に対して早期に一定量以上の燃料補給を促すものではない。また、引用文献2に開示された発明は、車両内において、タンク内の燃料の一部を取り出し、化学的手法で燃料の劣化度合いを実際に測定する燃料劣化検出装置を採用しているため、構造が複雑であり、部品点数も多く、溶剤や滴定液の補充が必要となる。結果として、製造コスト高になると考えられる。また、溶剤や滴定液がなくなり、劣化度合いを測定することができない場合があると考えられる。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、定期的に運転者に対して燃料補給を促す案内を提示することができる車両の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る車両の制御装置は、上記目的達成のため、(1)燃料タンクおよび前記燃料タンク内に給油された燃料が供給されるエンジンを備えた車両の制御装置であって、前記燃料タンクへの給油量を検出する給油量検出手段と、所定のタイミングからの経過期間を計時する計時手段と、前記経過期間内の前記給油量を積算した積算燃料給油量を算出する積算燃料給油量算出手段と、前記積算燃料給油量が所定量未満であり、かつ前記経過期間が所定期間を経過したときに運転者に給油を促す案内を提示する案内手段と、を備える構成を有する。
【0015】
この構成により、本発明に係る車両の制御装置は、積算燃料給油量が所定量未満であり、かつ経過期間が所定期間を経過したときに、案内手段が運転者に給油を促す案内を提示する。よって、運転者に給油を促す案内を提示するか否かの判断は、積算燃料給油量と経過期間の二つの要因に基づいて行われる。
【0016】
これにより、運転者による給油を早期に誘導することができる。そして、必要量の給油が行われれば、燃料タンク内の燃料の劣化度は低くなり、結果として燃料劣化は抑制される。そして、燃料劣化が抑制されることにより、燃料循環系(燃料タンク、配管およびエンジンの部品など)が腐食する可能性を低くすることができる。当該車両の制御装置は、簡易な構成で実現可能である。
【0017】
また、本発明に係る車両の制御装置は、上記(1)に記載の車両の制御装置において、(2)前記案内手段は、前記案内を提示しているとき、前記積算燃料給油量が前記所定量以上になるまで、前記案内提示状態を保持する構成を有する。
【0018】
この構成により、本発明に係る車両の制御装置は、案内手段が案内を提示しているとき、積算燃料給油量が所定量以上になるまで、案内提示状態を保持する。より詳細には、本発明に係る車両の制御装置は、一度、案内が提示された後は、必要量の給油が実行されたことにより積算燃料給油量が所定量以上になるまで、案内が提示された状態を保持する。
【0019】
これにより、案内が提示された後、必要量の燃料が給油されるまで、常に運転者に給油を促すことができる。従って、運転者に継続的に給油を促し、早期に燃料タンク内の燃料の劣化を改善することができる。
【0020】
また、本発明に係る車両の制御装置は、上記(1)または(2)に記載の車両の制御装置において、(3)前記案内手段は、前記案内が提示されている状態で、前記積算燃料給油量が前記所定量以上となったとき、前記案内を提示しない構成を有する。
【0021】
この構成により、本発明に係る車両の制御装置は、案内が提示されている状態で、給油により積算燃料給油量が所定量以上となったとき、案内手段が案内を提示しない。より詳細には、本発明に係る車両の制御装置は、案内の提示が保持されている状態で、必要量の給油が実行されたことにより積算燃料給油量が所定量以上となったとき、案内の提示を止め、案内を提示しない状態とする。
【0022】
これにより、運転者に燃料タンク内の燃料の劣化が一定以下になったことを知らせることができる。
【0023】
また、本発明に係る車両の制御装置は、上記(1)から(3)の何れか1に記載の車両の制御装置において、(4)前記案内手段は、経過期間が所定期間を経過する前に積算燃料給油量が所定量以上になることにより、前記案内を提示しない構成を有する。
【0024】
この構成により、本発明に係る車両の制御装置は、経過期間が所定期間を経過する前に積算燃料給油量が所定量以上になることにより、案内手段が案内を提示しない。これは、経過期間が所定期間を経過する前に積算燃料給油量が所定量以上になると、経過期間の計時がリセットされるため、必然的に経過期間が所定期間を経過しないからである。そのため、案内が提示されることはない。
【0025】
これにより、適宜、燃料タンク内に燃料が供給されていることにより燃料タンク内の燃料の劣化が一定以下に保持されているときは、案内が提示されないようにすることができる。
【0026】
また、本発明に係る車両の制御装置は、上記(1)から(4)の何れか1に記載の車両の制御装置において、(5)前記所定のタイミングが、前記積算燃料給油量が前記所定量以上となったときである構成を有する。
【0027】
この構成により、本発明に係る車両の制御装置は、積算燃料給油量が所定量以上となったときを、所定のタイミングとして設定する。これは、所定のタイミングは、積算燃料給油量が所定量以上となったときに、新たに設定されるということである。
【0028】
これにより、経過期間の計時がリセットされるとともに、積算燃料給油量を求めるための供給量の積算処理がリセットされる。そして新たに経過期間を進めることができる。
【0029】
また、本発明に係る車両の制御装置は、上記(1)から(5)の何れか1に記載の車両の制御装置において、(6)前記車両が、前記燃料タンク内に給油された少なくとも1種の燃料を使用せず、走行可能なものである構成を有する。
【0030】
この構成により、本発明に係る車両の制御装置は、前記燃料タンク内に給油された少なくとも1種の燃料を使用せず、走行可能な車両に適用できる。燃料タンク内に給油された少なくとも1種の燃料を使用せず、走行可能な車両は、他の車両と比して、より燃料を消費する頻度が低いことから、特に、本発明に係る車両の制御装置を用いる利点がある。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、簡易な構成で、定期的に運転者に対して燃料補給を促す案内を提示することができる車両の制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、モータジェネレータのみによる走行が可能であり、かつ、商用電源からの電力により充電可能なパラレルシリーズ式のプラグインハイブリッド車両に本発明に係る車両の制御装置が適用される場合を例に説明する。
【0034】
図1に示すように、ハイブリッド車両11は、エンジン12と、エンジン12から入力された動力を駆動軸としてのドライブシャフト13を介して駆動輪14L、14Rに伝達する動力伝達装置15と、ハイブリッド車両11全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、ハイブリッドECUという)100と、を備えている。
【0035】
エンジン12は、ガソリンあるいは軽油などの燃料を燃焼させて動力を出力するようになっており、エンジン12の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)101によって燃料噴射制御や点火制御、吸入空気量調節制御などの運転制御が行われるようになっている。
【0036】
エンジンECU101は、ハイブリッドECU100と高速CAN(Controller Area Network)を介して通信するようになっており、ハイブリッドECU100から入力される制御信号に基づいてエンジン12を運転制御するとともに、必要に応じてエンジン12の運転状態に関するデータをハイブリッドECU100に出力するようになっている。
【0037】
動力伝達装置15は、モータジェネレータMG1と、モータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2のロータシャフト36に接続される減速機17と、エンジン12およびモータジェネレータMG1の間で動力分配を行う動力分配機構18と、を備えている。
【0038】
動力分配機構18は、エンジン12の出力軸としてのクランクシャフト19に軸中心を貫通された中空のサンギヤ軸20に結合されたサンギヤ21と、サンギヤ21と中心軸を同一とするリングギヤ22と、サンギヤ21とリングギヤ22との間に配置され、サンギヤ21の外周を自転しながら公転する複数のピニオンギヤ23と、クランクシャフト19の端部にダンパ24を介して結合された入力軸26と、を備えている。また、動力分配機構18は、各ピニオンギヤ23の回転軸を支持するキャリア25を備えており、サンギヤ21、リングギヤ22およびキャリア25を回転要素として差動作用を行う遊星歯車機構を構成している。
【0039】
モータジェネレータMG1は、この動力分配機構18による動力の分配や統合に応じて、発電機および電動機として機能する。すなわち、ハイブリッド車両11の走行時において、動力分配機構18は、エンジン12からキャリア25に入力された動力を、サンギヤ21側と、リングギヤ22側と、にそのギヤ比に応じて分配することにより、モータジェネレータMG1を発電機として機能させるとともに、その動力を駆動輪14L、14Rにも伝達するようになっている。また、ハイブリッド車両11の走行時において、モータジェネレータMG1が電動機として機能するときには、動力分配機構18は、キャリア25から入力されるエンジン12からの動力と、サンギヤ21から入力されるモータジェネレータMG1からの動力と、を統合してリングギヤ22側に出力するようになっている。
【0040】
さらに、ハイブリッド車両11の停止中にエンジン12が始動した場合には、動力分配機構18は、エンジン12からの動力をモータジェネレータMG1に伝達するようになっており、この動力によりモータジェネレータMG1は発電機として機能するようになっている。
【0041】
また、モータジェネレータMG2は、エンジン12の停止中における発進時および軽負荷走行時に、駆動源として機能し動力を駆動輪14L、14Rに伝達するようになっている。
【0042】
モータジェネレータMG1は、回転磁界を形成するステータ28と、ステータ28の内部に配置され、複数個の永久磁石が埋め込まれているロータ29と、を備えており、ステータ28は、ステータコアおよびステータコアに巻回される三相コイルを備えている。ロータ29は、動力分配機構18のサンギヤ21と一体的に回転するサンギヤ軸20に結合されており、ステータ28のステータコアは、本体ケース51の内周部に固定されている。したがって、モータジェネレータMG1は本体ケース51に収納されている。
【0043】
このように構成されるモータジェネレータMG1は、ロータ29に埋め込まれた永久磁石による磁界と三相コイルによって形成される磁界との相互作用によりロータ29を回転駆動する電動機として動作するようになっている。また、モータジェネレータMG1は、永久磁石による磁界とロータ29の回転との相互作用により三相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機としても動作するようになっている。
【0044】
また、モータジェネレータMG2は、回転磁界を形成するステータ32と、ステータ32の内部に配置され複数個の永久磁石が埋め込まれたロータ33と、を備えており、ステータ32は、ステータコアおよびステータコアに巻回される三相コイルを備えている。ロータ33のロータシャフト36は、減速機17に接続されており、ステータ32のステータコアは、本体ケース51の内周部に固定されている。したがって、モータジェネレータMG2は本体ケース51に収納されている。
【0045】
モータジェネレータMG2は、永久磁石による磁界とロータ33の回転との相互作用によって三相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機としても動作するようになっている。また、モータジェネレータMG2は、永久磁石による磁界と三相コイルによって形成される磁界との相互作用によりロータ33を回転駆動する電動機としても動作するようになっている。
【0046】
また、減速機17は、キャリア38が動力伝達装置15の本体ケース51に固定された構造を有することにより減速を行うようになっている。具体的には、減速機17は、ロータ33のロータシャフト36に結合されたサンギヤ37と、動力分配機構18のリングギヤ22と一体的に回転するリングギヤ39と、リングギヤ39およびサンギヤ37に噛合し、サンギヤ37の回転をリングギヤ39に伝達するピニオンギヤ40と、ピニオンギヤ40を回転自在に支持する支持軸を有するキャリア38と、を備えて、遊星歯車機構を構成している。
【0047】
さらに、減速機17のリングギヤ39および動力分配機構18のリングギヤ22には、カウンタドライブギヤ52が一体回転するように設けられている。カウンタドライブギヤ52は、ギヤ機構56に接続され、ギヤ機構56は、デファレンシャルギヤ57に接続されている。カウンタドライブギヤ52に出力された動力は、カウンタドライブギヤ52からギヤ機構56を介して、デファレンシャルギヤ57に伝達されるようになっている。
【0048】
デファレンシャルギヤ57は、ドライブシャフト13に接続され、ドライブシャフト13は、駆動輪14L、14Rに接続されている。デファレンシャルギヤ57に伝達された動力は、ドライブシャフト13を介して、駆動輪14L、14Rに出力するようになっている。
【0049】
また、モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2は、インバータ61およびインバータ62を介してバッテリ63との間で電力のやりとりを行うようになっている。インバータ61およびインバータ62とバッテリ63とを接続する電力ライン64は、インバータ61およびインバータ62が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータジェネレータMG1、MG2の何れか一方で発電される電力を他方のモータジェネレータで消費することができるようになっている。
【0050】
また、モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2は、何れもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)102により駆動制御されるようになっている。
【0051】
モータECU102には、モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2を駆動制御するために必要な信号、例えば、モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2の回転子の回転位置をそれぞれ検出する回転位置検出センサ111および回転位置検出センサ112から入力される信号や図示しない電流センサにより検出されるモータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2に印加される相電流等が入力されている。一方、モータECU102は、インバータ61およびインバータ62にスイッチング制御信号を出力するようになっている。
【0052】
モータECU102は、ハイブリッドECU100と高速CANを介して通信するようになっており、ハイブリッドECU100から入力される制御信号に応じてインバータ61およびインバータ62を制御することにより、モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2を駆動するようになっている。
【0053】
バッテリ63は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)103によって蓄電容量や温度などの状態を管理されており、バッテリECU103には、バッテリ63の状態を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ63の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧、バッテリ63の出力端子に接続された電力ライン64に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流、バッテリ63に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力されるようになっている。また、バッテリECU103は、必要に応じてバッテリ63の状態に関するデータをハイブリッドECU100に出力するようになっている。また、バッテリECU103は、バッテリ63の状態を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量を表すSOC(State of charge)も算出するようになっている。
【0054】
電力ライン64には、直流電力の電圧を変換してバッテリ63に供給するDC/DCコンバータ68が接続されており、このDC/DCコンバータ68には電源コード70を介して供給される商用電源からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ69が接続されている。したがって、電源コード70を外部電源としての商用電源に接続すると共にAC/DCコンバータ69とDC/DCコンバータ68とを制御することにより、商用電源からの電力によりバッテリ63を充電することができる。なお、AC/DCコンバータ69とDC/DCコンバータ68は、ハイブリッドECU100により制御されるようになっている。
【0055】
また、ハイブリッドECU100からは、AC/DCコンバータ69へのスイッチング制御信号やDC/DCコンバータ68のスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0056】
また、本実施の形態に係るハイブリッド車両11は、自宅や予め設定した充電ポイントでシステム停止となり、電源コード70が商用電源に接続されると、ハイブリッドECU100は、DC/DCコンバータ68とAC/DCコンバータ69とを制御することによって商用電源からの電力によりバッテリ63を満充電あるいは満充電より低い所定の充電状態とする。そして、ハイブリッドECU100は、バッテリ63の充電後にシステム起動されると、通常は、バッテリ63のSOCがエンジン12の始動を行うために十分となる閾値Shvに低下するまでは、モータ運転モードによる走行を優先する電動走行優先モードを設定するようになっており、バッテリ63のSOCが閾値Shv以下となった場合にはエンジン運転モードによる走行を優先するハイブリッド走行優先モードを設定するようになっている。
【0057】
一方、
図1に示すように、ハイブリッドECU100は、CPU(Central processing unit)100aを中心とするマイクロプロセッサから構成されている。ハイブリッドECU100は、さらに、処理プログラムを記憶するROM(Read only memory)100bと、データを一時的に記憶するRAM(Random access memory)100cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートと、を備えている。
【0058】
ハイブリッドECU100には、イグニッションスイッチ(IG)113からのイグニッション信号Ig、運転者により手動操作されるシフトレバー91の操作位置を検出するシフトポジションセンサ114からのシフトポジション信号SP、運転者により踏み込まれるアクセルペダル92の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ115からのアクセル開度信号Acc、ブレーキペダル93の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ116からのブレーキペダルポジション信号BP、車速センサ117からの車速信号Vなどが、それぞれ入力ポートを介して入力されるようになっている。
【0059】
なお、ハイブリッドECU100は、前述したように、エンジンECU101やモータECU102、バッテリECU103と高速CANを介して互いに接続されており、エンジンECU101やモータECU102、バッテリECU103と各種制御信号やデータのやりとりを行うようになっている。
【0060】
図2に示すとおり、ハイブリッドECU100は、インストルメントパネル(以下、「インパネ」という。)201の表示灯202、エンジンECU101、燃料タンク203と電気的に接続されている。
【0061】
ハイブリッドECU100は、制御信号を送信することにより、インパネ201にある表示灯202の点灯および消灯を制御する。
【0062】
ハイブリッドECU100は、前述したように、高速CANを介してエンジンECU101に接続されている。そして、ハイブリッドECU100は、エンジンECU101を介してエンジン12と接続されている。ハイブリッドECU100は、例えばエンジンECU101から、エンジンECU101が燃料噴射制御の実行により得られる燃料噴射量を取得することができる。燃料噴射量は、燃料消費量と考えることができる。
【0063】
ハイブリッドECU100は、燃料タンク203に燃料が補給されると、センサー(図示せず)を介して給油量を取得することができる。センサーは、例えば、燃料タンク203に付属する残量計(センダーゲージなど)により構成されている。ハイブリッドECU100は、給油後の燃料残量から給油前の燃料残量を差し引いた差分から給油量を算出することができる。
【0064】
燃料タンク203内のガソリンは、燃料パイプ204を通り、燃料ポンプ(図示せず)によって加圧された上で、エンジン12に供給される。エンジン12に供給されたガソリンは、各気筒に設けられた燃料インジェクタ(図示せず)によって筒内に噴射される。
【0065】
以下、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置の特徴的な構成について、
図2〜
図4を参照して説明する。
【0066】
本発明の実施の形態に係る車両の制御装置の特徴的な構成は、積算燃料給油量Yが所定量B未満であり、かつ経過期間Xが所定期間Aを経過したときに運転者に給油を促す案内を提示することである。より詳しくは、制御装置が、積算燃料給油量と経過期間を変数とする内部処理を実行することによって、所定のときに案内手段を用いて運転者に給油を促す案内を提示することである。案内手段により給油を促された運転者が必要量の給油を行うと、燃料タンク203内の燃料の劣化度は下がるので、結果として燃料循環系が腐食する可能性を低くすることができる。
【0067】
本発明の制御装置を構成するハイブリッドECU100は、燃料タンク203および前記燃料タンク203内に給油された燃料が供給されるエンジン12を備えた車両に用いられる。
【0068】
また、ハイブリッドECU100は、燃料タンク203内への給油量を検出するようになっている。従って、給油量検出手段は、通常、燃料タンク203内の燃料残量を検出するセンサと、ハイブリッドECU100とによって構成される。具体的には、当該検出は、ハイブリッドECU100のROMに記憶された処理プログラムによって行われる。
【0069】
例えば、ハイブリッドECU100は、給油口の開履歴があった際、燃料タンク203に付属のセンダーゲージから給油前後の燃料残量を入手する。そして、給油後の燃料残量から給油前の燃料残量を差し引き、その差分を給油量として算出する。
【0070】
また、ハイブリッドECU100は、経過期間Xを計るようになっている。経過期間Xとは、所定のタイミングCから現時点までの期間(時間)である。従って、ハイブリッドECU100は、計時手段を構成する。具体的には、当該計時は、ハイブリッドECU100のROMに記憶された処理プログラムによって行われる。
【0071】
所定のタイミングCは、経過期間Xを計時する際の始期に相当する。所定のタイミングCは、通常、後述する内部処理の実行により、経過期間がリセットされたときである。言い換えれば、所定のタイミングCは、積算燃料給油量Yが所定量B以上となったときである。所定のタイミングCは、納車後であって最初に経過期間Xのカウントリセットされる前においては、任意のときで構わない。例えば、車両の出荷時や、車両の出荷後に最初に給油した時などである。
【0072】
従って、ハイブリッドECU100に設けられたタイマやカウンターは、計時手段を構成する。なお、物理的な機構によって、計時手段を構成してもよい。また、ハイブリッドECU100が、ある日時たる所定のタイミングCをメモリしておき、後述する内部処理実行時の要求に応じて、ナビゲーション装置等が有する時計から現在の時刻を得て、所定のタイミングCから現時点までの期間(時間)を算出するものでもよい。
【0073】
また、ハイブリッドECU100は、積算燃料給油量Yを算出するようになっている。積算燃料給油量Yとは、経過期間X内における、個々の給油量を積算した値である。従って、ハイブリッドECU100は、積算燃料給油量算出手段を構成する。具体的には、当該算出は、ハイブリッドECU100のROMに記憶された処理プログラムによって行われる。値のメモリはハイブリッドECU100のROMに行われる。
【0074】
ハイブリッドECU100は、例えば、給油毎に個々の給油量をメモリしておき、後述する内部処理実行時の要求に応じて、経過期間X内の全ての給油量を積算するものでもよい。また、給油毎に個々の給油量はメモリせず、給油の都度、積算処理を行い、経過期間X内の給油量の積算値をメモリするものであってもよい(いわゆる、カウンターである)。
【0075】
経過期間X中に給油されなかった場合、積算燃料給油量Yは0となる。経過期間X中に給油が1回された場合、その1回の給油量が積算燃料給油量Yとなる。経過期間X中に給油が複数回された場合、個々の給油量を積算した量が積算燃料給油量Yとなる。
【0076】
また、ハイブリッドECU100は、所定のときに運転者に給油を促す案内を提示するものである。前記所定のときとは、積算燃料給油量Yが所定量B未満であり、かつ経過期間Xが所定期間Aを経過したときである。従って、案内手段は、通常、表示灯または液晶パネルと、ハイブリッドECU100とによって構成される。具体的には、当該案内の提示は、ハイブリッドECU100のROMに記憶された処理プログラムによって行われる。
【0077】
所定期間Aは、任意に設定することができ、本実施の形態においては、例えば6ヶ月に設定されている。所定期間Aは、基本的に定数だが、変数とすることも可能である。変数とする場合としては、例えば、品質の良い燃料を用いた際は、劣化のスピードが遅いので、所定期間Aを長く設定し、品質の悪い燃料を用いた際は、劣化のスピードが速いので、所定期間Aを短く設定することが考えられる。
【0078】
所定量Bは、任意に設定することができ、本実施の形態においては、例えば車両の燃料タンク203容量の半分に設定されている。所定量Bは、基本的に定数だが、変数とすることも可能である。変数とする場合としては、例えば、経過期間Xが所定期間Aを大きく上回った際、燃料も過度に劣化している可能性が高いため、その際には一定のルールに従って、所定量Bを通常よりも大きくすることが考えられる。
【0079】
ハイブリッドECU100は、例えば、燃料タンク203容量が40Lの車両に関して、所定期間A=6ヶ月、所定量B=20L(車両の燃料タンク203容量の半分)と設定した場合、[1]所定のタイミングC(前回タイマーがリセットされた時点)から現時点までの積算燃料給油量Yが20L未満であり、かつ[2]所定のタイミングC(前回タイマーがリセットされた時点)から現時点までの期間が6ヶ月を経過したとき、表示灯202を介して運転者に給油を促すようになっている。
【0080】
表示灯202は、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。表示灯202のオン・オフは、ハイブリッドECU100により制御される。従って、表示灯202は、案内手段を構成する。なお、案内手段としては、ナビゲーション装置の液晶パネルにより構成されていてもよい。さらに具体的には、例えば、「燃料劣化を回避するため、給油してください。」というメッセージに係る表示を点灯したり、当該メッセージを液晶パネルに表示するものである。
【0081】
案内手段は、視覚的なものに限定されるものではなく、例えば、スピーカーなどからの案内音や音声による出力をするものにより構成されてもよいし、これらを組み合わせることにより構成されてもよい。
【0082】
表示灯202による案内がオンの状態(提示状態)になったときは、積算燃料給油量Yが所定量B以上となる給油が行われるまで、通常、オンの状態は継続される。この場合でも、オフボタンを押すなどの任意の操作によりオフの状態にすることができるようにすることも可能である。
【0083】
本発明の実施の形態に係る車両の制御装置の内部処理を、
図3および
図4を用いて説明する。
【0084】
なお、以下の処理は、給油がされたとき(
図3の処理)および所定の時間間隔で(
図4の処理)、それぞれハイブリッドECU100を構成するCPU100aによって実行される。また、以下の処理は、CPU100aによって処理可能なプログラムを実現する。
【0085】
図3の処理について説明する。
図3の処理は、給油がされたときに行われる。
図3に示すとおり、まず、ハイブリッドECU100は、そのときの給油量を検出する(ステップS1)。
【0086】
次に、ハイブリッドECU100は、ステップS1で検出した給油量に基づいて、経過期間X内の全ての給油量を積算することにより、積算燃料給油量Yを算出する(ステップS2)。
【0087】
次に、ハイブリッドECU100は、積算燃料給油量Yが所定量B未満か否かを判断する(ステップS3)。
【0088】
ハイブリッドECU100が、積算燃料給油量Yが所定量B未満であると判断した場合(ステップS3でYES)、ハイブリッドECU100は、経過期間X
0のカウントを継続する(ステップS4)。つまり、ハイブリッドECU100は、所定のタイミングC
0からの経過期間Xのカウントを止めることなく、刻々と進める。
【0089】
一方、ハイブリッドECU100が、積算燃料給油量Yが所定量B以上であると判断した場合(ステップS3でNO)、ハイブリッドECU100は、経過期間X
0のカウントを止め、カウンターをリセットする(ステップS5)。そして、ハイブリッドECU100は再びカウントが開始し、新たに経過期間X1のカウントを刻々と進める。このとき、経過期間X
1の始期(経過期間Xの再カウントの始期)が、新たな所定のタイミングC
1として設定される。
【0090】
このとき、経過期間X
0のカウントリセットに併せて、ハイブリッドECU100は、経過期間X
0の積算を止め、それまでの積算処理をリセットする(ステップS6)。そして、経過期間X
1のカウント開始に伴い、ハイブリッドECU100は、再び積算処理を開始し、新たな積算燃料給油量算出量Y
1の算出を行う。
【0091】
図4の処理について説明する。
図4の処理は、イグニッションスイッチがON状態とき、所定の時間間隔で行われる。
図4に示すとおり、ハイブリッドECU100は、そのときの経過期間Xを確認する(ステップS11)。
【0092】
次に、ハイブリッドECU100は、経過期間Xが所定期間Aを経過したか否かを判断する(ステップS12)。
【0093】
ハイブリッドECU100が、経過期間Xが所定期間Aを経過したと判断した場合(ステップS12でYES)、ハイブリッドECU100は、表示灯202を表示する(ステップS13)。既に表示灯202が表示中の場合には、ハイブリッドECU100は、表示を継続する。
【0094】
一方、ハイブリッドECU100が、経過期間Xが所定期間Aを経過していないと判断した場合(ステップS12でNO)、表示灯202を非表示にする(ステップS14)。表示灯202が非表示の場合には、ハイブリッドECU100は、非表示の状態を継続する。
【0095】
以上のように、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置において、ハイブリッドECU100は、積算燃料給油量Yが所定量B未満であり、かつ経過期間Xが所定期間Aを経過したときに、運転者に給油を促す案内を提示する。よって、運転者に給油を促す案内を提示するか否かの判断は、積算燃料給油量と経過期間の二つの要因に基づいて行われる。
【0096】
これにより、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置は、運転者による給油を早期に誘導することができる。そして、必要量の給油が行われれば、燃料タンク203内の燃料の劣化度は低くなり、結果として燃料劣化は抑制される。そして、燃料劣化が抑制されることにより、燃料循環系(燃料タンク203、配管およびエンジン12の部品など)が腐食する可能性を低くすることができる。当該車両の制御装置は、簡易な構成で実現可能である。
【0097】
また、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置において、ハイブリッドECU100は、案内を提示しているとき、積算燃料給油量が所定量以上になるまで、案内提示状態を保持する。より詳細には、ハイブリッドECU100は、一度、案内が提示された後は、必要量の給油が実行されたことにより積算燃料給油量が所定量以上になるまで、案内が提示された状態を保持する。
【0098】
これにより、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置は、案内が提示された後、必要量の燃料が給油されるまで、常に運転者に給油を促すことができる。従って、運転者に継続的に給油を促し、早期に燃料タンク203内の燃料の劣化を改善することができる。
【0099】
また、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置において、ハイブリッドECU100は、案内が提示されている状態で、積算燃料給油量Yが所定量B以上となったとき、案内を提示しない。より詳細には、ハイブリッドECU100は、案内の提示が保持されている状態で、必要量の給油が実行されたことにより積算燃料給油量が所定量以上となったとき、案内の提示を止め、案内を提示しない状態とする。
【0100】
これにより、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置は、運転者に燃料タンク203内の燃料の劣化が一定以下になったことを知らせることができる。
【0101】
また、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置において、ハイブリッドECU100は、経過期間Xが所定期間Aを経過する前に積算燃料給油量Yが所定量B以上になることにより、案内を提示しない。これは、経過期間Xが所定期間Aを経過する前に積算燃料給油量Yが所定量B以上になると、経過期間Xの計時がリセットされるため、経過期間Xが所定期間Aを経過しないからである。そのため、案内が提示されることはない。
【0102】
これにより、適宜、燃料タンク203内に燃料が供給されていることにより、燃料タンク203内の燃料の劣化が一定以下に保持されているときは、案内が提示されないようにすることができる。
【0103】
また、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置において、ハイブリッドECU100は、積算燃料給油量Yが所定量B以上となったときを、所定のタイミングとして設定する。これは、所定のタイミングは、積算燃料給油量Yが所定量B以上となったときに、新たに設定されるということである。
【0104】
これにより、経過期間Xの計時がリセットされるとともに、積算燃料給油量Yを求めるための供給量の積算処理がリセットされる。そして新たに経過期間Xを進めることができる。
【0105】
また、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置は、燃料タンク203内に給油された少なくとも1種の燃料を使用せず、走行可能な車両に適用できる。燃料タンク203内に給油された少なくとも1種の燃料を使用せず、走行可能な車両は、他の車両と比して、より燃料を消費する頻度が低いことから、特に、本発明に係る車両の制御装置を用いる利点がある。
【0106】
発明者らは、上述の経過期間Xと積算燃料給油量Yとの関係を調べるため、次の実験を行った。実験結果を
図5に示す。本発明の実施の形態に係る車両の制御装置は、次の実験結果に基づいて成された画期的な発明である。
【0107】
以下、実験の方法について説明する。まず、燃料タンク容量が40Lの車両を用意し、燃料タンクに品質グレードの低いガソリンを40L入れて、そのまま保持した。そして、6ヶ月以内の間隔で、燃料タンクから20Lを取り出し、同グレードの新しいガソリンを20L加えることにより、燃料タンク内のガソリン20Lを置換した。新しいガソリンを加える前後で、燃料タンク内のガソリンのPOV(過酸化物価)値を測定した。
図5は、この実験の結果につき、経過年数を横軸に、POV値を縦軸にとってグラフにしたものである。
【0108】
図5に基づいて、実験の結果について説明する。定期的に燃料タンク内のガソリンを新しいガソリンに置換することにより、燃料タンク内のガソリンのPOV値は顕著に低下した。そして、上記の置換処理を長期間続けると、POV値は120mg/kgを超えない辺りで、プラトーに達した。120mg/kgは、エンジンに供給するガソリンとして、信頼性上問題ないレベルである。
【0109】
上記の結果によれば、経過期間Xと積算燃料給油量Yとをコントロールすることにより、ガソリンの劣化を信頼性上問題ない一定以下のレベルに維持することができ、結果として燃料循環系が腐食する可能性を低くすることができることがわかった。
【0110】
前述のとおり、所定期間と所定量に任意に設定することができるが、上記の結果によれば、所定期間を少なくとも6ヶ月以内とし、かつ所定量を少なくとも車両の燃料タンク容量の半分以上に設定することにより、有意に燃料循環系が腐食する可能性を低くすることができることがわかった。
【0111】
なお、本発明に係る制御装置が用いられる車両は、プラグインハイブリッド車両に限定されず、今後の車両は、さらに燃費が良くなり、燃料の消費が少なくなることを考慮すれば、全ての車両に適用可能である。その中でも、少なくとも1種の積載燃料を使用せず、走行可能な車両に特に有用である。少なくとも1種の積載燃料を使用せず、走行可能な車両とは、例えば、ハイブリッド車両、プラグインハイブリッド車両およびバイフューエル車などが挙げられる。
【0112】
また、本発明に係る制御装置の車両に用いる燃料は、ガソリン以外であっても構わない。
【0113】
また、ハイブリッドECU100は、エンジン12への燃料噴射制御を実行するエンジンECU101を介して、燃料噴射量を入手することができる。燃料噴射量は、燃料消費量と考えることができるから、ハイブリッドECU100は、この燃料噴射量から、燃料タンク203内の燃料がどの程度減ったか予測することできる。従って、ハイブリッドECU100は、運転者に給油を促す案内を提示するか否かを判断する際、判断指標として燃料噴射量から予測した燃料の減り具合を補足的に考慮することが可能である。
【0114】
また、本発明に係る車両の制御装置により給油を促す案内が提示された場合でも、燃料タンク203内に燃料が多く残っていることにより、物理的に燃料を給油できないことも考えられる。具体的には、給油を促す案内を非提示にするために積算燃料給油量Yを所定量B以上とするために必要な供給量が、燃料タンク203に給油可能な量よりも多い場合である。この場合には、給油を促す案内を非提示にするために必要な量の給油ができないため、給油を促す案内を提示せず、または給油を促す案内と併せて運転者に燃料の消費を促す案内を提示するか、強制的に燃料を消費する駆動モードに移行するように内部処理を施すこともできる。例えば、プラグインハイブリッド車両の場合、エンジン12による駆動モードに強制的に移行させることである。強制的な移行は、自動的でも、運転者による任意の操作を必要とする任意的でも構わない。
【0115】
そして、燃料が消費されたことにより、積算燃料給油量Yを所定量B以上とするために必要な供給量が、燃料タンク203に給油可能な量よりも少なくなった場合、改めて給油を促す案内を提示するよう内部処理を施すことも可能である。
【0116】
以上説明したように、本発明に係る車両の制御装置は、簡易な構成で、定期的に運転者に対して燃料補給を促す案内を提示することができる車両の制御装置を提供することができ、運転者に対して燃料補給を促すことにより燃料の劣化を抑制する車両の制御装置に有用である。