(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のレンズ鏡筒100とレンズ鏡筒用アクセサリ110との取付構造において、レンズ鏡筒100に対してレンズ鏡筒用アクセサリ110を着脱
する際に生じる着脱トルクを大きくするために、係合溝113内に設けられた突部115の径方向内側への突出量をより大きくすることが考えられる。
【0009】
しかし、この場合、突部115が係合爪102の周縁部を乗り越えて切欠き部103に入り込むときの当該突部115と係合爪102との摩擦が大きくなるため、突部105や係合爪102等の摩耗が激しくなる。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、レンズ鏡筒からレンズ鏡筒用アクセサリを着脱する際に生じる着脱トルクを大きくしても、着脱トルクを生じさせる突部が摩耗し難いレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとの取付構造、この取付構造を備えたレンズ鏡筒、及び前記取付構造を備えたレンズ鏡筒用アクセサリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。即ち、本発明の一態様に係るレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとの取付構造は、レンズ鏡筒にレンズ鏡筒用アクセサリを着脱可能に取り付けるための構造であって、前記レンズ鏡筒における光軸方向一方側の接続端部がその内側に嵌め込まれる前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部の内周面に設けられ、径方向内側に突出し且つ周方向に延びる係合爪と、前記レンズ鏡筒の接続端部の外周面に設けられ、径方向内側に凹み且つ周方向に延びると共に、前記係合爪が嵌ることによって当該レンズ鏡筒と前記レンズ鏡筒用アクセサリとを連結する係合溝と、前記レンズ鏡筒の接続端部の外周面に設けられ、径方向外側に突出し且つ光軸方向に延びる鏡筒側突部と、前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部の内周面における前記鏡筒側突部と対応する位置に設けられ、径方向内側に突出し且つ光軸方向に延びるアクセサリ側突部であって、前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部内に前記レンズ鏡筒の接続端部が差し込まれた状態でこれらレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとが光軸周りに相対回転したときに、前記鏡筒側突部と当接しつつ当該鏡筒側突部を乗り越えることによって着脱トルクを発生させるアクセサリ側突部と、を備える。そして、前記係合溝における光軸方向物体側の側面は、前記レンズ鏡筒の接続端部の外周面において径方向外側に突出し且つ周方向に延びる溝形成リブの側面によって構成され、前記鏡筒側突部は、光軸方向において少なくとも前記係合溝と前記溝形成リブとを横断する長さ寸法を有すると共に、前記アクセサリ側突部は、光軸方向において前記鏡筒側突部と対応する長さ寸法を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の態様に係るレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとの取付構造は、レンズ鏡筒にレンズ鏡筒用アクセサリを着脱可能に取り付けるための構造であって、前記レンズ鏡筒における光軸方向一方側の接続端部の外周面に設けられ、径方向外側に突出し且つ周方向に延びる係合爪と、前記レンズ鏡筒の接続端部がその内側に差し込まれる前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部の内周面に設けられ、径方向外側に凹み且つ周方向に延びると共に、前記係合爪が嵌ることによって当該レンズ鏡筒用アクセサリと前記レンズ鏡筒とを連結する係合溝と、前記レンズ鏡筒の接続端部の外周面に設けられ、径方向外側に突出し且つ光軸方向に延びる鏡筒側突部と、前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部の内周面における前記鏡筒側突部と対応する位置に設けられ、径方向内側に突出し且つ光軸方向に延びるアクセサリ側突部であって、前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部内に前記レンズ鏡筒の接続端部が差し込まれた状態でこれらレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとが光軸周りに相対回転したときに、前記鏡筒側突部と当接しつつ当該鏡筒側突部を乗り越えることによって着脱トルクを発生させるアクセサリ側突部と、を備える。そして、前記係合溝における光軸方向像側の側面は、前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部の内周面において径方向内側に突出し且つ周方向に延びる溝形成リブの側面によって構成され、前記アクセサリ側突部は、光軸方向において少なくとも前記係合溝と前記溝形成リブとを横断する長さ寸法を有すると共に、前記鏡筒側突部は、光軸方向において前記アクセサリ側突部と対応する長さ寸法を有することを特徴とする。
【0013】
これらの構成によれば、着脱トルクを発生させるための鏡筒側突部とアクセサリ側突部との長さ寸法が、光軸方向に係合溝とこれに隣接する溝形成リブとを横断する寸法よりも大きいため、従来のように係合溝内にのみ設けられた突部(着脱トルクを発生させる突部)に比べ、光軸方向における突部同士の接触面積を大きくすることができる。このため、各突部の突出量を増やして着脱トルクを大きくしても当該突部に加わる単位面積当たりの径方向押し付け力が抑えられ、これにより、着脱トルクを生じさせる突部の摩耗を効果的に抑えることができる。
【0014】
また、本発明の他の態様に係るレンズ鏡筒は、レンズ鏡筒用アクセサリを着脱できるように取り付け可能なレンズ鏡筒であって、前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部内に差し込まれる前記レンズ鏡筒の光軸方向一方側の接続端部の外周面において、径方向内側に凹み且つ周方向に延びると共に、前記レンズ鏡筒用アクセサリにおける接続部の内周面において径方向内側に突出し且つ周方向に延びる係合爪が嵌ることによって当該レンズ鏡筒と前記レンズ鏡筒用アクセサリとを連結する係合溝と、前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部内に当該レンズ鏡筒の接続端部が差し込まれた状態でこれらレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとが光軸周りに相対回転したときに、前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部の内周面において径方向内側に突出するアクセサリ側突部が当接しつつ乗り越えることによって着脱トルクが発生する鏡筒側突部と、を備え、前記係合溝における光軸方向物体側の側面は、前記レンズ鏡筒の物体側端部の外周面において径方向外側に突出し且つ周方向に延びる溝形成リブの側面によって構成され、前記鏡筒側突部は、前記レンズ鏡筒の接続端部の外周面において径方向外側に突出し且つ光軸方向に延びると共に、光軸方向において少なくとも前記係合溝と前記溝形成リブとを横断する長さ寸法を有
し、且つ、前記光軸方向において前記アクセサリ側突部と対応する長さ寸法を有することを特徴とする。
【0015】
このようなレンズ鏡筒を用いることによって、従来のレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとの取付構造のような係合溝内にのみ設けられた突部(着脱トルクを発生させる突部)に比べ、光軸方向における鏡筒側突部の長さ寸法を大きくすることができる。このため、当該レンズ鏡筒と、当該レンズ鏡筒に対応する取付構造を備えたレンズ鏡筒用アクセサリとを用いることで、着脱トルクを大きくするために鏡筒側突部の突出量を増やしてしても、当該突部に加わる単位面積当たりの径方向押し付け力が抑えられ、これにより、鏡筒側突部の摩耗を効果的に抑えることができる。
【0016】
また、本発明の他の態様に係るレンズ鏡筒用アクセサリは、レンズ鏡筒に着脱できるように取り付け可能なレンズ鏡筒用アクセサリであって、前記レンズ鏡筒における光軸方向一方側の接続端部がその内側に差し込まれる当該レンズ鏡筒用アクセサリの接続部の内周面において径方向内側に突出し且つ周方向に延びると共に、前記レンズ鏡筒の接続端部の外周面において径方向内側に凹み且つ周方向に延びる係合溝に嵌ることによって当該レンズ鏡筒用アクセサリと前記レンズ鏡筒とを連結する係合爪と、当該レンズ鏡筒用アクセサリの接続部内に前記レンズ鏡筒の接続端部が差し込まれた状態でこれらレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとが光軸周りに相対回転したときに、前記レンズ鏡筒の接続端部の外周面において径方向外側に突出する鏡筒側突部と当接した状態で当該鏡筒側突部を乗り越えることによって着脱トルクを発生させるアクセサリ側突部と、を備え、前記アクセサリ側突部は、前記レンズ鏡筒用アクセサリの接続部の内周面において径方向内側に突出し且つ光軸方向に延びると共に、光軸方向における長さ寸法が、少なくとも、前記レンズ鏡筒における前記係合溝と、前記レンズ鏡筒の接続端部の外周面において係方向に突出し且つ周方向に延びると共にその側面によって前記係合溝の光軸方向物体側の側面を構成する溝形成リブと、を横断する寸法であ
り、且つ、前記光軸方向において前記鏡筒側突部と対応する長さ寸法を有することを特徴とする。
【0017】
このようなレンズ鏡筒用アクセサリを用いることによって、従来のレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとの取付構造のような係合溝内にのみ設けられた突部に比べ、光軸方向におけるアクセサリ側突部の長さ寸法を大きくすることができる。このため、当該レンズ鏡筒用アクセサリと、当該レンズ鏡筒用アクセサリに対応する取付構造を備えたレンズ鏡筒とを用いることで、着脱トルクを大きくするためにアクセサリ側突部の突出量を増やしてしても、当該突部に加わる単位面積当たりの径方向押し付け力が抑えられ、これにより、アクセサリ側突部の摩耗を効果的に抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、レンズ鏡筒からレンズ鏡筒用アクセサリを着脱する際の着脱トルクを大きくしても、着脱トルクを生じさせる突部が摩耗し難いレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとの取付構造、この取付構造を備えたレンズ鏡筒、及び前記取付構造を備えたレンズ鏡筒用アクセサリを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
【0021】
図1は、本実施形態に係るレンズ鏡筒からレンズフードを取り外した状態の斜視図であり、
図2は、レンズフードが正装されたレンズ鏡筒の縦端面図であり、
図3は、レンズフードが逆装されたレンズ鏡筒の縦端面図である。また、
図4は、レンズフードの光軸方向像側から見た図であり、
図5(A)は、レンズ鏡筒の物体側端部に配置される部材である鏡頭環を光軸方向物体側から見た図であり、
図5(B)は、鏡頭環の側面図である。また、
図6は、レンズ鏡筒の物体側端部とレンズフードの像側端部との展開図である。
【0022】
本実施形態に係るレンズ鏡筒30へのレンズフード10の取付構造は、いわゆるバヨネット構造である。以下、レンズフード10とレンズ鏡筒30とを順に説明しつつ、このバヨネット構造について具体的に説明する。
【0023】
レンズフード10は、レンズ鏡筒用アクセサリの一例であり、レンズ鏡筒30の光軸方向物体側(以下、単に「物体側」とも称する。)の端部(先端部)34に着脱可能に装着され、レンズ画角以外からの有害光を遮蔽する部材である。このレンズフード10は、筒状のフード本体12と、フード本体12の光軸方向像側(以下、単に「像側」とも称する。)に設けられ、レンズ鏡筒30の物体側端部34と接続される接続部14と、を備える。
【0024】
接続部14は、レンズフード10の像側端部(基端部)を構成し、レンズ鏡筒30の物体側端部34がその内側に差し込まれる(嵌め込まれる)略円筒形状を有する。接続部14の内周面16には、複数のバヨネット爪(係合爪)18、18、…が設けられている。各バヨネット爪18は、接続部14の内周面16において、径方向内側に突出し且つ周方向に延びている。
【0025】
本実施形態では、4本のバヨネット爪18が接続部14の内周面16に設けられている。これら4本のバヨネット爪18のうち、像側の端部に設けられ且つ光軸Cを挟んで対向する位置に設けられた2本のバヨネット爪(第1のバヨネット爪)20、20は、レンズフード10を正装(
図2参照)するときに用いられ、これら第1のバヨネット爪20から物体側(先端側)に間隔を空けて設けられ且つ光軸Cを挟んで対向する位置に設けられた2本のバヨネット爪(第2のバヨネット爪)23、23は、レンズフード10を逆装(
図3参照)するときに用いられる。光軸C方向における第1のバヨネット爪20と第2のバヨネット爪23との間隔は、レンズ鏡筒30の物体側端部34の外周面36に設けられた第1のリブ(溝形成用リブ)40の幅(光軸C方向の幅)よりも大きい。
【0026】
第1のバヨネット爪20の長さ寸法(周方向の寸法)は、接続部14の内周面16の周方向長さの約1/4であり、周方向に隣り合う第1のバヨネット爪20、20同士の間隔も前記周方向長さの約1/4である。これら第1のバヨネット爪20の長さ寸法及び隣り合う第1のバヨネット爪20、20の間隔は、レンズ鏡筒30に設けられた第1のリブ40の長さ寸法や配置等によって適宜設定される。
【0027】
また、各第1のバヨネット爪20の一方の端部(
図6に示す例では左側端部)から所定の間隔を空けた位置に第1フード側突部(アクセサリ側突部)21が設けられている。前記所定の間隔は、レンズ鏡筒30の第1のリブ40の端部に設けられた鏡筒側突部45の周方向の大きさと対応する。即ち、前記所定の間隔は、レンズ鏡筒30にレンズフード10が取り付けられた状態で、この第1のバヨネット爪20の前記一方の端部と第1フード側突部21との間に鏡筒側突部45が嵌る大きさである。
【0028】
第1フード側突部21は、接続部14の内周面16において径方向内側に突出し且つ光軸C方向に延びる。この第1フード側突部21の光軸Cと直交する断面形状は、径方向内側の端部である頂部に向かって周方向の幅が漸減する形状(略三角形状)である(
図8(A)〜
図8(C)参照)。また、第1フード側突部21の光軸C方向の長さ寸法は、レンズ鏡筒30に設けられた鏡筒側突部45の光軸C方向の長さと略同じである。この第1フード側突部21は、レンズ鏡筒30からレンズフード10を着脱する際の着脱トルク及びクリック感を生じさせる部位である。具体的には、第1フード側突部21は、接続部14をレンズ鏡筒30側に向けた姿勢となったレンズフード10の接続部14内にレンズ鏡筒30の物体側端部34を差し込み、これらレンズフード10とレンズ鏡筒30とを光軸C周りに相対回転させたときに、着脱トルクとクリック感とを生じさせる。
【0029】
尚、着脱トルクとは、レンズフード10を着脱するためにレンズフード10の接続部14内にレンズ鏡筒30の物体側端部34が差し込まれた状態でこれらレンズフード10とレンズ鏡筒30とを相対回転させているときに、第1フード側突部21(又は第2フード側突部23)が鏡筒側突部45を乗り越える際に増加するトルクである。また、クリック感とは、前記レンズフード10とレンズ鏡筒30とを相対回転させているときに、第1フード側突部21(又は第2フード側突部23)が鏡筒側突部45を乗り越える際に、レンズフード10やレンズ鏡筒30を回転操作している手に受けるカシャッとした感触である。
【0030】
本実施形態では、レンズフード10の接続部14に対してレンズ鏡筒を180°位相がずれた状態で差し込んで相対回転させても、着脱トルクとクリック感とが得られるように、第1フード側突部21は、2つの第1のバヨネット爪20、20に対してそれぞれ設けられている。
【0031】
また、第1のバヨネット爪20と光軸C方向物体側に隣接し、第1のバヨネット爪20における第1フード側突部21の設けられた側の端部からレンズ鏡筒30の第1のリブ40の長さ寸法と対応する位置にストッパー部22が設けられている。このストッパー部22は、接続部14の内周面16において径方向内側に突出する部位であり、正装状態においてレンズ鏡筒30の第1のリブ40が当該ストッパー部22に当接することによって当該第1のリブ40の周方向の移動を規制し、これにより、レンズフード10とレンズ鏡筒30との光軸C周りの相対回転を停止させる。
【0032】
第2のバヨネット爪23の長さ寸法(周方向の寸法)は、第1のバヨネット爪20と同じ(即ち、接続部14の内周面16の周方向長さの約1/4)であり、周方向に隣り合う第2のバヨネット爪23、23同士の間隔も第1のバヨネット爪20、20同士の間隔と同じである。これら第2のバヨネット爪23の長さ寸法及び隣り合う第2のバヨネット爪23、23の間隔も、第1のバヨネット爪20と同様に、レンズ鏡筒30に設けられた第1のリブ40の長さや配置等によって適宜設定される。
【0033】
また、各第2のバヨネット爪23の他方の端部(
図6に示す例では右側端部)から所定の間隔を空けた位置に第2フード側突部(アクセサリ側突部)24が設けられている。前記所定の間隔は、第1フード側突部21と同様に、レンズ鏡筒30の第1のリブ40の端部に設けられた鏡筒側突部45の周方向の大きさと対応する。即ち、前記所定の間隔は、レンズ鏡筒30にレンズフード10が取り付けられた状態で、この第2のバヨネット爪23の前記他方の端部と第2フード側突部24との間に鏡筒側突部45が嵌る大きさである。
【0034】
第2フード側突部24は、接続部14の内周面16において径方向内側に突出し且つ光軸C方向に延びる。この第2フード側突部24の光軸Cと直交する断面形状は、第1フード側突部21と同様、径方向内側の端部である頂部に向かって周方向の幅が漸減する形状(略三角形状)である(
図8(A)〜
図8(C)参照)。また、第2フード側突部24の光軸C方向の長さ寸法は、第1フード側突部21と同じ、即ち、レンズ鏡筒30に設けられた鏡筒側突部45の光軸C方向の長さと略同じである。この第2フード側突部24は、レンズ鏡筒30からレンズフード10を着脱する際の着脱トルク及びクリック感を生じさせる部位である。具体的には、第2フード側突部24は、接続部14をレンズ鏡筒30と反対側に向けた姿勢となったレンズフード10の接続部14内にレンズ鏡筒30の物体側端部34を差し込み、これらレンズフード10とレンズ鏡筒30とを光軸C周りに相対回転させたときに、着脱トルクとクリック感とを生じさせる。
【0035】
本実施形態では、レンズフード10の接続部14に対してレンズ鏡筒を180°位相がずれた状態で差し込んで相対回転させても、着脱トルクとクリック感とが得られるように、第2フード側突部24は、2つの第2のバヨネット爪23、23に対してそれぞれ設けられている。
【0036】
また、第2のバヨネット爪23と光軸C方向物体側に隣接し、第2のバヨネット爪23における第2フード側突部24の設けられた側の端部からレンズ鏡筒30の第1のリブ40の長さ寸法と対応する位置にストッパー部25が設けられている。このストッパー部25は、接続部14の内周面16において径方向内側に突出する部位であり、逆装状態においてレンズ鏡筒30の第1のリブ40が当該ストッパー部25に当接することによって当該第1のリブ40の周方向の移動を規制し、これにより、レンズフード10とレンズ鏡筒30との光軸C周りの相対回転を停止させる。
【0037】
次に、レンズ鏡筒30について説明する。
【0038】
レンズ鏡筒30は、1又は複数のレンズ(光学素子)やフォーカス機構等が組み込まれた鏡筒部材32と、鏡筒部材32の物体側端部(接続端部)に取り付けられる鏡頭環34とを備える。この鏡頭環34は、レンズ鏡筒30の物体側端部を構成し、レンズ鏡筒30にレンズフード10が取り付けられるときに、レンズフード10の接続部(像側端部)14内に差し込まれる(嵌め込まれる)。
【0039】
鏡頭環34は、レンズ鏡筒30の光軸Cを囲む短筒状の部材であり、その外周面36にバヨネット溝38を有する。
【0040】
バヨネット溝38は、径方向内側に凹み且つ周方向に延び、バヨネット爪18(第1のバヨネット爪20又は第2のバヨネット爪23)が嵌ることによってレンズフード10とレンズ鏡筒30とを連結する。このバヨネット溝38は、鏡頭環34の外周面36において径方向に突出し且つ周方向に延びる2つのリブ40、42間に形成される。具体的に、バヨネット溝38は、物体側端部に設けられる複数(本実施形態の例では2つ)の第1のリブ(溝形成リブ)40と、第1のリブ40から光軸方向像側に間隔を空けて設けられる第2のリブ42との間に形成される。
【0041】
第1のリブ40は、鏡頭環34の外周面36において、径方向外側に突出し且つ周方向に延びている。これら2つの第1のリブ40、40は、外周面36における光軸Cを挟んで対向する位置に設けられている。これら2つの第1のリブ40、40の周方向の間隔、詳しくは、第1のリブ40の隣り合う端部同士の間隔は、バヨネット爪18(第1のバヨネット爪20又は第2のバヨネット爪23)が光軸C方向に通過できる間隔である(
図6参照)。
【0042】
第2のリブ42は、鏡頭環34の外周面36において、径方向外側に突出し且つ周方向に延びている。この第2のリブ42は、鏡頭環34の外周面36の全周に亘って延びている。この第2のリブ42の高さ寸法(レンズ鏡筒30の径方向における外周面36からの高さ寸法)は、第1のリブ40よりも大きい。
【0043】
このような第1のリブ40と第2のリブ42との間にバヨネット溝38が形成される。このため、鏡頭環34の外周面36において2つのバヨネット溝38、38が形成されている。各バヨネット溝38の対向する一対の側面(光軸Cと略直交する面)は、
図6に示されるように、第1のリブ40の像側側面41と第2のリブ42の物体側側面43とによって構成される。
【0044】
尚、レンズ鏡筒30の物体側端部34において第2のリブ42が設けられなくてもよい。即ち、バヨネット溝38を構成する側面43が形成されていればよく、例えば、光軸C方向物体側を向いた段差面(物体側側面)を有する段差部等が設けられていてもよい。
【0045】
2つの第1のリブ40、40のうちの一方(
図6に示す例では左側)の第1のリブ40の周方向の端部(レンズ鏡筒30にレンズフード10が正装されたときに第1フード側突部21と対応し、逆装されたときに第2フード側突部24と対応する側の端部)に、鏡筒側突部45が設けられている。
【0046】
鏡筒側突部45は、鏡頭環34の外周面36において径方向外側に突出し且つ光軸C方向に延びる。本実施形態の鏡筒側突部45は、光軸C方向においてバヨネット溝38と第1のリブ40とを横断する長さ寸法を有している。この鏡筒側突部45の光軸Cと直交する断面形状は、径方向外側の端部である頂部に向かって周方向の幅が漸減する形状(略三角形状)である(
図8(A)〜
図8(C)参照)。本実施形態の鏡筒側突部45の高さ寸法は、第1のリブ40の高さ寸法よりも大きく、第2のリブ42の高さ寸法と同じである。
【0047】
尚、鏡筒側突部45は、光軸C方向においてバヨネット溝38と第1のリブ40とを横断する長さ寸法に限定されず、これより大きければよい。即ち、鏡筒側突部45は、光軸C方向において少なくともバヨネット溝38と第1のリブ40とを横断する長さ寸法を有していればよい。また、本実施形態の鏡筒側突部45は、一方の第1のリブ40の端部にのみ設けられているが、各第1のリブ40の端部それぞれ設けられてもよい。
【0048】
次に、レンズ鏡筒30へのレンズフード10の取り付け方法について、
図7(A)〜
図8(C)も参照しつつ説明する。
図7は、
図2のVII−VII位置における断面図であって、
図7(A)は、第1フード側突部が鏡筒側突部を乗り越える前の状態を示す断面図であり、
図7(B)は、第1フード側突部が鏡筒側突部を乗り越えた後の状態を示す断面図である。
図8(A)は、第1フード側突部が鏡筒側起部を乗り越える前の状態を示す部分拡大断面図であり、
図8(B)は、第1フード側突部が鏡筒側突部を乗り越えている途中の状態を示す部分拡大断面図であり、
図8(C)は、第1フード側突部が鏡筒側突部を乗り越えた後の状態を示す部分拡大断面図である。
【0049】
先ず、レンズ鏡筒30にレンズフード10を正装する場合について説明する。レンズフード10の接続部14をレンズ鏡筒30側に向けた状態で、接続部14内にレンズ鏡筒30の物体側端部(鏡頭環)34を差し込む(
図6の矢印A参照)。このとき、各第1のバヨネット爪20が第1のリブ40、40間をそれぞれ通過するように、レンズフード10とレンズ鏡筒30とを光軸C周りに相対回転させて調整する。第1のバヨネット爪20が第2のリブ42に当接するまでレンズ鏡筒30の物体側端部34が接続部14内に差し込まれると、その状態から、レンズフード10とレンズ鏡筒30とを光軸C周りに相対回転させる。本実施形態では、
図6において、第1のバヨネット爪20がその左側に位置するバヨネット溝38内に進入する方向(
図6の矢印B参照)に相対回転させる。
【0050】
前記相対回転によって、第1のバヨネット爪20がバヨネット溝38内を周方向に進むと、
図7(A)に示されるように、鏡筒側突部45と第1フード側突部21とが接近し、更に、相対回転を続けることによって、
図7(B)に示されるように、第1フード側突部21が鏡筒側突部45を乗り越えた状態となる。より詳しくは、以下の通りである。
【0051】
接続部14内にレンズ鏡筒30の物体側端部34が差し込まれた状態でレンズフード10とレンズ鏡筒30とを相対回転させると、
図8(A)に示されるように、鏡筒側突部45と第1フード側突部21とが接近して当接する。さらに相対回転を続けると、
図8(B)に示されるように、第1フード側突部21の頂部が鏡筒側突部45の頂部に乗り上げる。このとき、径方向における第1フード側突部21と鏡筒側突部45との重なり量(オーバーラップ量:
図8(A)におけるαの大きさ)に起因して円筒形状の接続部14が弾性変形して歪む。具体的には、接続部14の光軸C方向視の形状が円形から歪む。さらに、相対回転を続けると、
図8(C)に示されるように、第1フード側突部21の頂部が鏡筒側突部45の頂部を通過して、鏡筒側突部45の回転方向反対側の斜面を下る。これにより、接続部14が弾性復帰して(即ち、変形する前の初期状態に戻って)前記歪みが解消されて光軸方向視円形に戻る。この第1フード側突部21が鏡筒側突部45を乗り越えることによる接続部14の弾性変形及び弾性復帰によって、着脱トルクとクリック感とが生じる。
【0052】
本実施形態の鏡筒側突部45と第1フード側突部21とは、光軸C方向の長さ寸法がバヨネット溝38とこれに隣接する第1のリブ40とを横断する大きさであるため、バヨネット溝内だけに着脱トルク及びクリック感を生じさせるための突部が設けられた従来のバヨネット構造に比べ、第1フード側突部21が鏡筒側突部45を乗り越えるときのこれら第1フード側突部21と鏡筒側突部45との光軸方向における接触面積が大きくなる。これにより、各突部21、45に加わる圧力(詳しくは、単位面積当たりの径方向押し付け力)が抑えられるため、各突部21、45の摩耗を抑制することができる。このため、本実施形態のレンズフード10とレンズ鏡筒30とでは、第1フード側突部21と鏡筒側突部45とのオーバーラップ量(
図8(A)におけるαの大きさ)を大きくして着脱トルクを大きくすると共にクリック感がより明確になるようにしても、各突部21、45の摩耗が抑えられる、即ち、各突部21、45が摩耗し難い。
【0053】
このように、第1フード側突部21が鏡筒側突部45を周方向に乗り越えると、第1のバヨネット爪20の進行方向側の端部がストッパー部22に当接し、それ以上の相対回転が規制され、レンズ鏡筒30へのレンズフード10の取り付けが完了する(
図2参照)。
【0054】
一方、正装されたレンズフード10をレンズ鏡筒30から取り外すときには、取り付けるときと反対方向に相対回転させ、第1のリブ40、40間に第1のバヨネット爪20が到達したときにレンズフード10を光軸方向物体側に移動させることにより、レンズ鏡筒30からレンズフード10が取り外される。このときも、第1フード側突部21が鏡筒側突部45を周方向に乗り越えるときに、着脱トルクとクリック感とが生じる。
【0055】
また、レンズ鏡筒30にレンズフード10を逆装する場合は、接続部14を光軸C方向物体側に向けた状態で、第2のバヨネット爪23が第2のリブ42に当接するまで接続部14内にレンズ鏡筒30の物体側端部34を差し込む。そして、バヨネット溝38内に第2のバヨネット爪23が進入するようにレンズフード10とレンズ鏡筒30とを光軸C周りに相対回転させ、第2フード側突部24が鏡筒側突部45を乗り越えることで、レンズ鏡筒30へのレンズフード10の逆装が完了する(
図3参照)。
【0056】
一方、レンズ鏡筒30から逆装されたレンズフード10を取り外すときには、正装のときと同様に、取り付けるときと反対方向にレンズフード10とレンズ鏡筒30とを光軸C周りに相対回転させ、第1のリブ40、40間に第2のバヨネット爪23が到達したときにレンズフード10を光軸C方向物体側に移動させることにより、レンズ鏡筒30からレンズフード10が取り外される。
【0057】
以上のレンズフード10とレンズ鏡筒30との取付構造によれば、着脱トルクを生じさせる鏡筒側突部45と第1フード側突部21(又は第2フード側突部24)との長さ寸法が、光軸C方向にバヨネット溝38とこれに隣接する第1のリブ40とを横断する大きさであるため、従来のようなバヨネット溝内にのみ設けられた突部(着脱トルクを生じさせる突部)に比べ、突部21(又は24)、45同士の光軸C方向における接触面積を大きくすることができる。このため、各突部21(又は24)、45の突出量を増やして着脱トルクを大きくしても当該突部21(又は24)、45に加わる径方向押し付け力が抑えられ、これにより、突部21(24)、45の摩耗を抑えることができる。
【0058】
しかも、着脱トルクを大きくするために突部21(24)、45の突出量を大きくすることによって、レンズ鏡筒30へのレンズフード10着脱時におけるクリック感をより明確にすることもできる。
【0059】
尚、本発明のレンズ鏡筒とレンズ鏡筒用アクセサリとの取付構造、前記取付構造を備えたレンズ鏡筒、及び前記取付構造を備えたレンズ鏡筒用アクセサリは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0060】
レンズ鏡筒に取り付けられる部材は、レンズフードに限定されない。前記部材は、例えば、リングストロボ(マクロ用のリングライト)、コンバージョンレンズ、接写リング、ベローズ等のバヨネット構造によってレンズ鏡筒に取り付け可能なレンズ鏡筒用アクセサリ(レンズ鏡筒用付属品)であればよい。
【0061】
レンズ鏡筒用アクセサリにおいて、接続部(レンズ鏡筒の物体側端部が嵌め込まれる部位)の位置は、像側端部(基部)に限定されない。接続部は、物体側端部(先端部)に設けられてもよく、光軸C方向の中間位置に設けられてもよい。
【0062】
上記実施形態では、レンズ鏡筒にバヨネット溝(係合溝)が形成され、レンズフード(レンズ鏡筒用アクセサリ)にバヨネット溝に嵌るバヨネット爪(係合爪)が形成されているが、この構成に限定されない。即ち、レンズフード(レンズ鏡筒用アクセサリ)にバヨネット溝が形成され、レンズ鏡筒にバヨネット爪が形成されてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、レンズ鏡筒30の物体側端部(先端部)34にバヨネット溝38等の取付構造が設けられているが、像側端部(基端部、カメラボディ側端部)に前記取付構造が設けられていてもよい。
【0064】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。