(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1又は複数のレンズを有するレンズ群を保持するレンズ保持枠と、レンズ保持枠の外周に配設された保持枠用カムフォロアと、前記保持枠用カムフォロアのそれぞれの先端部と係合した保持枠用カム溝を有する回転可能なカム筒とを備え、前記カム筒の回転に伴い前記保持枠用カムフォロアの先端部が前記保持枠用カム溝を相対移動することによりレンズ保持枠が光軸方向に移動するレンズ鏡筒であって、
前記レンズ保持枠は、前記光軸方向に順に前記カム筒の内周側に配設された第1レンズ保持枠及び第2レンズ保持枠を備え、
前記保持枠用カムフォロアは、前記第1レンズ保持枠に配設された第1保持枠用カムフォロアと、前記第2レンズ保持枠に配設された第2保持枠用カムフォロアとを備え、
前記保持枠用カム溝は、前記第1保持枠用カムフォロアの先端部を受容する第1保持枠用カム溝と、前記第2保持枠用カムフォロアの先端部を受容する第2保持枠用カム溝とを備え、
前記第1保持枠用カム溝は、その一方端側に、第1保持枠用カムフォロアの先端部を導入するための第1カム溝用導入溝を備え、
前記第2保持枠用カム溝は、その一方端側に、第2保持枠用カムフォロアの先端部を導入するための第2カム溝用導入溝を備え、
前記カム筒は、前記第1保持枠用カムフォロアの先端部を前記第1カム溝用導入溝に組み込むとともに、前記第2保持枠用カムフォロアの先端部を第2カム溝用導入溝に組み込むための組み込み用溝を備え、
前記組み込み用溝は、前記カム筒の軸方向の一端面から前記第1カム溝用導入溝及び第2カム溝用導入溝に連通すように延ばされ、
前記第1カム溝用導入溝と第2カム溝用導入溝とは、互いのピッチ距離が前記第1レンズ保持枠と第2レンズ保持枠とを前記光軸方向で当接した当接状態における前記第1保持枠用カムフォロアと前記第2保持枠用カムフォロアとのピッチ距離と一致するように構成されていることを特徴とするレンズ鏡筒。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のレンズ鏡筒の一実施の形態の断面図、
図2は、
図1の要部の分解斜視図、
図3は、
図1のIII−III線拡大断面図である。又、
図4は、
図1のIV−IV線拡大断面図、
図5は、
図1の要部の拡大図、
図6は、カム筒の拡大した斜視図である。尚、
図1、
図2、
図5〜
図20のX方向を前方側とし、Y方向を後方側として説明する。
【0023】
本実施形態のレンズ鏡筒10は、鏡筒本体1と、カム筒2と、第1レンズ保持枠31〜第7レンズ保持枠37と、第1レンズ保持枠31及び第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4と、遮光部材5と、遮光部材5に保持された遮光部材用カムフォロア6とを備えている。
【0024】
鏡筒本体1は、内部に、円筒状の固定筒11と、固定筒11の内周側に配設されたガイド軸12a、12bとを備えている。固定筒11の軸心は、光軸Oに一致するように設定されている。
【0025】
ガイド軸12a、12bは、この実施形態では、第1ガイド軸12aと、第1ガイド軸12aと固定筒11の周方向に距離をもって配設された第2ガイド軸12bとを備えている。これらの第1ガイド軸12a及び第2ガイド軸12bは、同構成を採っており、それぞれは、軸方向が光軸Oの方向に沿って延ばされようにして固定筒11に固定的に保持されている。
【0026】
又、鏡筒本体1は、固定筒11の外周側に、固定筒11に対して回転自在に配設された円筒状のカム操作環15を備えている。又、鏡筒本体1は、後端側(像側)に、マウント13を備え、このマウント13を介して、図示しないカメラ本体に装着される。尚、この実施形態では、鏡筒本体1の前端側(物体側)に、筒状のフード14が着脱自在に取り付けられている。
【0027】
カム筒2は、
図6に示すように、円筒体からなる。このカム筒2は、その内周面に、その内周面から径方向外側に所定の深さでカットされて所定の方向に沿って凹まされるように形成された長溝状のカム溝21〜24を備えている。
【0028】
この実施形態のカム溝は、
図7に示すように保持枠用カム溝21、22と、遮光部材用カム溝23と、組み込み用溝24とを備えている。この実施形態では、保持枠用カム溝21、22と遮光部材用カム溝23と組み込み用溝24とは、カム筒2の内周面に、周方向(Z−W方向)に3つずつ配設されている。
【0029】
各保持枠用カム溝は、第1保持枠用カム溝21と、第2保持枠用カム溝22との2つから構成されている。又、第1保持枠用カム溝21は、保持枠用カムフォロア4の先端部が撮影時に相対移動する第1カム溝用撮影領域溝21aと、第1カム溝用撮影領域溝21aの始端側(一方端側)に配設された第1カム溝用導入溝21bとを備えている。
【0030】
これらの第1カム溝用撮影領域溝21a及び第1カム溝用導入溝21bは、
図3〜
図5に示すように径方向外側に漸次幅狭になる断面台形状に形成されている。
【0031】
第2保持枠用カム溝22は、
図7に示すように、第1保持枠用カム溝21と同様に、後述の保持枠用カムフォロア4の先端部が撮影時に相対移動する第2カム溝用撮影領域溝22aと、第2カム溝用撮影領域溝22aの始端側に配設された第2カム溝用導入溝22bとを備えている。
【0032】
又、この第2カム溝用導入溝22bは、幅広部22cと、幅広部22cと第2カム溝用撮影領域溝22aとの間に配設されたテーパー部22dとを備えている。
【0033】
幅広部22cは、溝幅が第2カム溝用撮影領域溝22aの溝幅より広く形成されている。テーパー部22dは、幅広部22cから第2カム溝用撮影領域溝22aにかけて漸次溝幅が狭くなるように形成されている。
【0034】
各遮光部材用カム溝23は、遮光部材用カムフォロア6の先端部が撮影時に相対移動する遮光部材用撮影領域溝23aと、遮光部材用撮影領域溝23aの始端側に配設された遮光部材用導入溝23bとを備えている。
【0035】
遮光部材用撮影領域溝23aは、その始端から終端に向かうに従い、第1保持枠用カム溝21の第2カム溝用撮影領域溝22aとのカム筒2の軸方向(前後方向、図のX−Y方向)の距離が変化するように形成されている。
【0036】
詳しくは、遮光部材用撮影領域溝23aと第2カム溝用撮影領域溝22aとの互いの長手方向の中間部で軸方向の距離L11が最大になり、互いの長手方向の端部同士の軸方向の距離L12、L13が前記距離L11より小さくなっている。
【0037】
又、これらの遮光部材用撮影領域溝23a及び遮光部材用導入溝23bも、
図3、
図5に示すように径方向外側に漸次幅狭になる台形状に形成されている。又、遮光部材用撮影領域溝23a及び遮光部材用導入溝23bは、第1保持枠用カム溝21よりも幅狭に形成されている。
【0038】
組み込み用溝24は、保持枠用組み込み溝24aと、遮光部材用組み込み溝24bとを備えている。
【0039】
保持枠用組み込み用溝24aは、カム筒2の後端面2aに開口24cを備えている。そして、保持枠用組み込み溝24aは、開口24cからカム筒2の軸方向に延ばされ、第2保持枠用カム溝22の第2カム溝用導入溝22b及び第1保持枠用カム溝21の第1カム溝用導入溝21bと連通している。
【0040】
また、この保持枠用組み込み溝24aの溝幅は、第1保持枠用カム溝21の第1カム溝用導入溝21bの溝幅と同程度に設定されている。
【0041】
遮光部材用組み込み溝24bは、保持枠用組み込み溝24aから遮光部材用導入溝23bまで軸方向に延ばされ、遮光部材用カム溝23の遮光部材用導入溝23bと連通している。
【0042】
この遮光部材用組み込み溝24bの溝幅は、保持枠用組み込み溝24aの溝幅よりも狭く、保持枠用カムフォロア4が入り込めないように形成されている。
【0043】
このように構成されたカム筒2は、
図1に示すように固定筒11の内周側であって、ガイド軸12a、12bの径方向外側に、固定筒11に対して回転自在に配設されている。又、カム筒2は、カム操作環15と連動ピン16によって回転不能に連結され、カム操作環15の回転操作によってカム筒2が共に回転するようになっている。
【0044】
次に、レンズ保持枠31〜37について説明する。レンズ保持枠は、レンズ群100を保持するもので、この実施形態では、第1レンズ保持枠31〜第7レンズ保持枠37までの7つを備えている。尚、第1レンズ保持枠31〜第7レンズ保持枠37に保持されるレンズ群100は、1又は複数のレンズを有する。
【0045】
第1レンズ保持枠31は、
図8に示すように、略円筒状のものから構成され、内周側にレンズ群100を保持するレンズ保持部31fを備えている。
【0046】
又、第1レンズ保持枠31は、
図3に示すように、その外周側に、保持枠用カムフォロア4を保持するカムフォロア保持部7a、7bを備えている。
【0047】
カムフォロア保持部は、第1レンズ保持枠31の周方向に沿って略等間隔に配設された1つのメインカムフォロア保持部7aと2つのサブカムフォロア保持部7bとを備えている。
【0048】
メインカムフォロア保持部7aは、この実施形態では、
図3の左下方側に配設されており、円筒状のものからなり、内部に保持枠用カムフォロア4の基端部を第1レンズ保持枠31(カム筒2)の径方向に移動可能に収納したメインカムフォロア収納部71aと、メインカムフォロア収納部71aに収納された保持枠用カムフォロア4を付勢した付勢部材としてのコイルバネ71bとを備えている。
【0049】
コイルバネ71bは、メインカムフォロア収納部71aに保持枠用カムフォロア4の基端部と共に収納され、保持枠用カムフォロア4を第1レンズ保持枠31の径方向外側に付勢している。
【0050】
サブカムフォロア保持部7bは、メインカムフォロア保持部7aと同様に、円筒状のものからなり、内部に保持枠用カムフォロア4の基端部を収納したサブカムフォロア収納部72aを備えている。
【0051】
ただし、このサブカムフォロア収納部72aは、保持枠用カムフォロア4の基端部のみを収納し、メインカムフォロア収納部71aのようにコイルバネ71bは収納されていない。従って、このサブカムフォロア収納部72aに収納された保持枠用カムフォロア4は、第1レンズ保持枠31の径方向外側に付勢されていない。
【0052】
ここで、メインカムフォロア保持部7a、サブカムフォロア保持部7bのそれぞれに保持された保持枠用カムフォロア4について説明する。保持枠用カムフォロア4は、第1レンズ保持枠31に係合された3個と、第2レンズ保持枠32に係合された3個との合計6個を備えている。
【0053】
これらは、全部、同一構成を採っており、各保持枠用カムフォロア4は、略円柱状を呈しており、
図3〜
図5に示すように、先端部に、保持枠用カム溝21、22に係合するカム溝係合部41を備えている。カム溝係合部41は、先端に行くに従い漸次径小になる円錐台状に形成されている。
【0054】
又、各保持枠用カムフォロア4は、基端に、嵌挿部42を備えている。そして、この嵌挿部42が、サブカムフォロア保持部7bに設けられた嵌挿孔73に、サブカムフォロア収納部72a側から嵌挿されることにより、サブカムフォロア保持部7bに保持枠用カムフォロア4が保持されている。
【0055】
又、同様に、保持枠用カムフォロア4の嵌挿部42が、メインカムフォロア保持部7aに設けられた嵌挿孔73に、メインカムフォロア収納部71a側から嵌挿されることにより、メインカムフォロア保持部7aに保持枠用カムフォロア4が保持されている。又、この状態で、保持枠用カムフォロア4は、メインカムフォロア保持部7aに第1レンズ保持枠31の径方向に移動可能とされている。
【0056】
又、メインカムフォロア保持部7aに保持された保持枠用カムフォロア4は、メインカムフォロア収納部71aに収納されたコイルバネ71bによって第1レンズ保持枠31の径方向外側に付勢されている。
【0057】
図8に戻って、第1レンズ保持枠31の説明を続ける。第1レンズ保持枠31は、外周部にガイド軸12a、12bに支持される被支持部31a、31bを備えている。この実施形態の被支持部は、第2ガイド軸12aに支持されたメイン被支持部31a(
図8の下方側に表れているもの)と、第1ガイド軸12bに支持されたサブ被支持部31b(
図8の上方側に表れているもの)とを備えている。
【0058】
メイン被支持部31aは、この実施形態では、第1レンズ保持枠31に設けられた円板部31cの前面から後方側に所定の長さで、円板部31cの径方向外側部に筒状に突出するように形成されており、第2ガイド軸12bが嵌挿するガイド軸嵌挿孔31dを備えている。
【0059】
又、このメイン被支持部31aは、
図3に示すように、メインカムフォロア保持部7aとサブカムフォロア保持部7bとの間におけるメインカムフォロア保持部7aの近傍に配設されており、メインカムフォロア保持部7aとの周方向のピッチ距離L21が隣接するサブカムフォロア保持部7bとの周方向のピッチ距離L22よりも短くなる位置とされている。
【0060】
サブ被支持部31bは、
図8、
図9に示すように第1ガイド軸12aが挿通するガイド軸嵌挿孔31eを備えている。このガイド軸嵌挿孔31eは、円板部31cの前面から後面に貫通されるように形成されている。従って、このサブ被支持部31bの軸方向の長さL32(
図9(a)に図示)は、メイン被支持部31aの軸方向の長さL31(
図8に図示)よりも短い。
【0061】
又、この実施形態のガイド軸嵌挿孔31eは、円板部31cの周方向に対する距離が第1ガイド軸12aの直径と略同じで、円板部31cの径方向に対する長さが第1ガイド軸12aの直径よりも長い長穴状に形成されている。
【0062】
又、第1レンズ保持枠31は、メインカムフォロア保持部7a及びサブカムフォロア保持部7bの後部側に、第2レンズ保持枠32と当接する第1レンズ保持枠用当接部31hを備えている。
【0063】
又、第1レンズ保持枠31は、外周部に、遮光部材5と連結するための連結溝31iと、後述の遮光部材5の一部である連結部支持片54を受容する受容部31jとを備えている。
【0064】
連結溝31iは、第1レンズ保持枠31の周方向に等間隔で配設された3つを備えている。この実施形態では、連結溝31iは、メインカムフォロア保持部7a、サブカムフォロア保持部7bそれぞれの前方側に配設され、所定の幅で外周面から所定の深さで第1レンズ保持枠31の径方向内側に凹まされるようにして形成されている。
【0065】
受容部31jは、連結溝31iと同幅で、円板部31cの前面から所定の深さで後方側に凹まされるようにして連結溝31iそれぞれと連通するように形成されている。
【0066】
このように構成された第1レンズ保持枠31は、保持枠用カムフォロア4を保持した状態で、
図10に示すようにサブ被支持部31bのガイド軸嵌挿孔31dに第1ガイド軸12aが挿通されるとともに、メイン被支持部31aのガイド軸嵌挿孔31eに第2ガイド軸12bが挿通されるようにして第2ガイド軸12bと第1ガイド軸12aとに支持されて、
図1に示すようにカム筒2の内周側に軸方向に移動可能に配設されている。又、その状態で、保持枠用カムフォロア4がそれぞれ、第1保持枠用カム溝21のそれぞれに入り込んでいる。
【0067】
又、この状態で、
図3に示すように、メインカムフォロア保持部7aに保持された保持枠用カムフォロア4は、コイルバネ71bの付勢力によって、カム溝係合部41が第1保持枠用カム溝21の内側面に押し当てられた状態になっている。一方、サブカムフォロア保持部7bに保持された保持枠用カムフォロア4は、カム溝係合部41が第1保持枠用カム溝21の内側面に非当接状態になって、カム溝係合部41と第1保持枠用カム溝21の内側面との間にクリアランスができている。
【0068】
次に、第2レンズ保持枠32について説明する。第2レンズ保持枠32は、
図11に示すように、内周側にレンズ群を保持するレンズ保持部32fを備えている。又、第2レンズ保持枠32は、第1レンズ保持枠31と同様に、その外周側に、保持枠用カムフォロアを保持するカムフォロア保持部8a、8bを備えている。
【0069】
第2レンズ保持枠32のカムフォロア保持部は、
図4、
図8に示すように第2レンズ保持枠32の周方向に沿って略等間隔に配設された1つのメインカムフォロア保持部8a(
図4の上部側に表れている)及び2つのサブカムフォロア保持部8bとを備えている。
【0070】
これらのメインカムフォロア保持部8a及びサブカムフォロア保持部8bは、第1レンズ保持枠31のメインカムフォロア保持部7a、サブカムフォロア保持部7bのそれぞれと略同構成を採っている。
【0071】
詳しくは、メインカムフォロア保持部8aは、
図4に示すように内部に保持枠用カムフォロア4の基端部を第2レンズ保持枠32の径方向に移動可能に収納したメインカムフォロア収納部81aと、コイルバネ81bとを備えている。
【0072】
サブカムフォロア保持部8bは、内部に保持枠用カムフォロア4の基端部だけを収納したサブカムフォロア収納部82を備えている。
【0073】
そして、これらのメインカムフォロア保持部8a及びサブカムフォロア保持部8bに、保持枠用カムフォロア4が、第1レンズ保持枠31のカムフォロア保持部7a、7bと同様にして保持されている。
【0074】
又、第2レンズ保持枠32は、外周部におけるメインカムフォロア保持部8aとサブカムフォロア保持部8bとの間に、ガイド軸12a、12bに支持される被支持部32a、32bを備えている。この第2レンズ保持枠32における被支持部は、第1ガイド軸12aに支持されたメイン被支持部32aと、第2ガイド軸12bに支持されたサブ被支持部32bとを備えている。
【0075】
メイン被支持部32aは、
図11に示すように第2レンズ保持枠32の径方向外側部に、第2レンズ保持枠32の前面から前方側に所定の長さで突出した突出部を有する筒状に形成されており、第1ガイド軸12aが嵌挿するガイド軸嵌挿孔32dを備えている。
【0076】
又、このメイン被支持部32aは、
図4に示すようにメインカムフォロア保持部8aとの周方向のピッチ距離L41が隣接するサブカムフォロア保持部8bとの周方向のピッチ距離L42よりも短くなる位置とされ、メインカムフォロア保持部8aの近傍に配設されている。
【0077】
サブ被支持部32bは、
図11に示すように、第2ガイド軸12bが挿通するガイド軸嵌挿孔32eを有する筒体から構成されている。このサブ被支持部32bの軸方向の長さL34は、メイン被支持部41aの軸方向の長さL33よりも短く形成されている。
【0078】
又、この実施形態のガイド軸嵌挿孔32eは、図示しないが、第2レンズ保持枠32の周方向の距離が第2ガイド軸12bの直径と略同じで、第2レンズ保持枠32の径方向の長さが第2ガイド軸12bの直径よりも長い長穴状に形成されている。
【0079】
又、第2レンズ保持枠32は、
図11〜
図13に示すようにメインカムフォロア保持部8a及びサブカムフォロア保持部8bの前部側に、第1レンズ保持枠31の第1レンズ保持枠用当接部31hと当接する第2レンズ保持枠用当接部32hを備えている。
【0080】
これらの第2レンズ保持枠用当接部32hは、第1レンズ保持枠用当接部31hに当接した状態で、
図13に示すように第2レンズ保持枠32と第1レンズ保持枠31との夫々に保持された保持枠用カムフォロア同士のピッチ距離L51が、カム筒2における第1保持枠用カム溝21の第1カム溝用導入溝21bと第2保持枠用カム溝22の第2カム溝用導入溝22bとのピッチ距離L52(
図7に示す)とが同じになるように設定されている。
【0081】
そして、
図4に示すように第1レンズ保持枠31と同様に、メインカムフォロア保持部8aに設けられた嵌挿孔83に、保持枠用カムフォロア4の嵌挿部42が嵌挿されることにより、保持枠用カムフォロア4がメインカムフォロア保持部8aに第2レンズ保持枠32の径方向に移動可能に保持されているとともに、コイルバネ81bによって第2レンズ保持枠32の径方向外側に付勢されている。
【0082】
又、サブカムフォロア保持部8bに設けられた嵌挿孔83に保持枠用カムフォロア4の嵌挿部42が嵌挿されることにより、サブカムフォロア保持部7bに保持枠用カムフォロア4が保持されている。
【0083】
そして、保持枠用カムフォロア4を保持した第2レンズ保持枠32は、
図1、
図4に示すようにメイン被支持部32aのガイド軸嵌挿孔32dに第1ガイド軸12aが挿通されるとともに、サブ被支持部32bのガイド軸嵌挿孔32eに第2ガイド軸12bが挿通されるようにして第1ガイド軸12aと第2ガイド軸12bとに支持されて、
図1に示すようにカム筒2の内周側であって第1レンズ保持枠31の後方側に軸方向に移動可能に配設されている。
【0084】
又、その状態で、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4は、それぞれ、第2保持枠用カム溝22に入り込んでいる。
【0085】
又、この状態で、メインカムフォロア保持部8aに保持された保持枠用カムフォロア4は、コイルバネ81bの付勢力によって、カム溝係合部41が第2保持枠用カム溝22の内側面に押し当てられた状態になっている。一方、サブカムフォロア保持部8bに保持された保持枠用カムフォロア4は、カム溝係合部41が第2保持枠用カム溝22の内側面に非当接状態になって、カム溝係合部41と第2保持枠用カム溝22の内側面との間にクリアランスが形成されている。
【0086】
又、
図5に示すように、第2レンズ保持枠32のメインカムフォロア保持部8aは、第1レンズ保持枠31のサブカムフォロア保持部7bと光軸方向に並び、それらに保持された保持枠用カムフォロア4が光軸方向に並んでいる。又、第1レンズ保持枠31のメインカムフォロア保持部7aは、第2レンズ保持枠32のサブカムフォロア保持部8bと光軸方向に並び、それらに保持された保持枠用カムフォロア4が光軸方向に並んでいる。
【0087】
次に、第3レンズ保持枠33について説明する。この第3レンズ保持枠33は、第2レンズ保持枠32に固定的に設けられた2つのフォーカス用ガイド軸33a(
図2に図示)に軸方向移動可能に支持されるようにして、
図1に示すように第2レンズ保持枠32の前方側に配設されている。
【0088】
そして、この第3レンズ保持枠33は、鏡筒本体1に設けられた駆動用モータ33b(
図2に図示)によって第2レンズ保持枠32に対して前後方向に移動するようになっている。
【0089】
次に、第4レンズ保持枠34〜第7レンズ保持枠37について説明する。第4レンズ保持枠34は、
図1に示すように鏡筒本体1内における第1レンズ保持枠31の前方側に、移動不能に配設されている。
【0090】
第5レンズ保持枠35〜第7レンズ保持枠37は、鏡筒本体1内における第2レンズ保持枠31の後方側に、順次並べられるようにして移動不能に配設されている。
【0091】
次に、遮光部材5について説明する。この実施形態の遮光部材5は、
図14に示すように遮光部材本体51と、連結部55a〜55cとを備えている。
【0092】
遮光部材本体51は、前端側に配設された円板部52と、円板部52の後方側に配設された円筒部53と、連結部55a〜55cを支持した連結部支持片54とを備えている。
【0093】
円板部52は、その外径が第1レンズ保持枠31に保持されたレンズ群100の外径と略同じ大きさに形成されている。そして、この円板部52は、
図1、
図5に示すように第1レンズ保持枠31に保持されたレンズ群100の前方側に配設されている。
【0094】
円筒部53は、内周側に、第1レンズ保持枠31に保持されたレンズ群100の前部側が入ることができる程度の大きさに形成されている。
【0095】
連結部支持片54は、円筒部53の周方向に、等間隔に配設された3つを備えている。各連結部支持片54は、第1レンズ保持枠31の受容部31jに入り込み可能な幅で、円筒部53の後端から径方向外側に突出するように形成されている。
【0096】
連結部は、連結部支持片54のそれぞれに支持された第1〜第3連結部55a〜55cの3つ(複数)を備えている。各連結部55a〜55cは、矩形板状のものから構成されており、連結部支持片54の先端から後方側に突設されている。
【0097】
そして、これらの連結部55a〜55cは、第1レンズ保持枠31の連結溝31iのそれぞれに、移動可能に嵌挿される。又、これらの3つの内の1つの連結部55aと連結溝31iとの嵌挿状態の両者間のクリアランスが、他の2つの連結部55b、55cと連結溝31iとの嵌挿状態の両者間のクリアランスよりも小さくなるように形成されている。
【0098】
この実施形態では、3つの連結溝31iは、全て同じ幅L10(
図8に図示)に形成されている。一方、
図14の上部側の第1連結部55aの幅L9が他の2つの第2連結部55b及び第3連結部55cの幅L8よりもやや大きく形成されており、第1連結部55aと連結溝31iとの嵌挿状態の両者間のクリアランスが、第2連結部55bと連結溝31iとの嵌挿状態の両者間のクリアランス及び第3連結部55cと連結溝31iとの嵌挿状態の両者間のクリアランスよりも小さくなるように設定されている。
【0099】
このように構成されることにより、第1連結部55aと連結溝31iとによって、確実に、遮光部材5が第1レンズ保持枠31に対して回転することなく軸方向に移動できる一方、第2連結部55b及び第3連結部55cと連結溝31iのそれぞれとによって、連結部55a〜55cの全体と連結溝31iとが製作誤差等によって過拘束になるのを抑えることができる。これにより、連結部55a〜55cの全体を連結溝31iに容易に嵌挿して組み付けできるとともに、組み付け後、遮光部材5が第1レンズ保持枠31に対して円滑に移動できる。
【0100】
又、この実施形態では、遮光部材本体51と連結部55a〜55cとは、合成樹脂により一体成形により同時に形成されている。
【0101】
遮光部材用カムフォロア6は、連結部55a〜55cのそれぞれの外面に配設されており、各遮光部材用カムフォロア6は、連結部55a〜55cの外面から径方向外側に突出するように形成されている。
【0102】
又、各遮光部材用カムフォロア6は、カム筒2の遮光部材用カム溝23に入り込んで係合し得るように、径方向外側に行くに従い漸次径小になる略円錐状に形成されている。この実施形態では、遮光部材用カムフォロア6は、遮光部材5と一体成形により同時に形成されている。尚、この実施形態では、各遮光部材用カムフォロア6は、製作し易いように円錐の一部をカットした形状に形成されている。
【0103】
次に、以上のように構成されたカム筒2のカム溝に、第1レンズ保持枠31、第2レンズ保持枠32及び遮光部材を係合させる場合について説明する。
【0104】
まず、
図7に示すように、遮光部材5に付設された遮光部材用カムフォロア6を、カム筒2の組み込み用溝24に開口24cから入れていく。これにより、遮光部材用カムフォロア6は、保持枠用組み込み溝24aから遮光部材用組み込み溝24bに入り、更に遮光部材用組み込み溝24bの前端位置(ハッチングで遮光部材用カムフォロア6を示す位置)まで入る。
【0105】
次に、第1レンズ保持枠31のメイン被支持部31aに第2ガイド軸12bを、サブ被支持部31bに第1ガイド軸12aをそれぞれ挿通させながら、第1レンズ保持枠31に保持された保持枠用カムフォロア(第1保持枠用カムフォロア)4を、カム筒2の組み込み用溝24に開口24cから入れていく。
【0106】
これにより、保持枠用カムフォロア4は、保持枠用組み込み溝24aを前方に向かって入っていき、又、それに伴い第1レンズ保持枠31の連結溝31iに遮光部材5の連結部55a〜55cが入り込んで両者が連結する。
【0107】
そして、
図7に示すように保持枠用カムフォロア4が保持枠用組み込み溝24aの前端位置(保持枠用カムフォロア4をハッチングで示す位置)までくると、保持枠用カムフォロア4が遮光部材用組み込み溝24bの溝幅よりも径大に形成されているため、保持枠用カムフォロア4は保持枠用組み込み溝24aのその前端位置で止まる。
【0108】
次に、第2レンズ保持枠32のメイン被支持部32aに第1ガイド軸12aを、サブ被支持部32bに第2ガイド軸12bをそれぞれ挿通させながら、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア(第2保持枠用カムフォロア)4を、カム筒2の組み込み用溝24に開口24cから入れていく。この状態で、
図12に示すように第2レンズ保持枠32の第2レンズ保持枠用当接部32hと第1レンズ保持枠31の第1レンズ保持枠用当接部31hとが対向する。
【0109】
そして、保持枠用カムフォロア4が保持枠用組み込み溝24aに入っていくと、
図13に示すように第2レンズ保持枠32の第2レンズ保持枠用当接部32hと第1レンズ保持枠31の第1レンズ保持枠用当接部31hとが当接する。
【0110】
この当接状態で、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4は、
図7に示すように第2保持枠用カム溝22の第2カム溝用導入溝22bと前後位置が一致した位置(保持枠用カムフォロア4をハッチングで示す位置)にくる。
【0111】
従って、この状態で、遮光部材用カムフォロア6、第1レンズ保持枠31に保持された保持枠用カムフォロア4、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4はそれぞれ、遮光部材用導入溝23b、第1カム溝用導入溝21b、第2カム溝用導入溝22bの夫々と周方向に対向した状態になる。
【0112】
そして、この状態から、カム筒2を回転させる。これにより、遮光部材用カムフォロア6、第1レンズ保持枠31に保持された保持枠用カムフォロア4、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4はそれぞれ、遮光部材用導入溝23b、第1カム溝用導入溝21b、第2カム溝用導入溝22bのそれぞれに入り込ませることができる。
【0113】
その際、メインカムフォロア保持部7a、8aに保持された保持枠用カムフォロア4は、コイルバネ71b、81bの付勢力によって、カム溝係合部41が第1保持枠用カム溝21、第2保持枠用カム溝22の内側面に当接した状態になり、一方、サブカムフォロア保持部7b、8bに保持された保持枠用カムフォロア4は、カム溝係合部41が第1保持枠用カム溝21、第2保持枠用カム溝22の内側面に非当接状態になっている。従って、メインカムフォロア保持部7a、8aに保持された保持枠用カムフォロア4は、それぞれ、容易に第2カム溝用導入溝22bに導入される。
【0114】
又、第2カム溝用導入溝22bが、幅広部22cを備えているため、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4は第2カム溝用導入溝22bと前後位置が多少ずれている場合でも確実に第2カム溝用導入溝22bに導入される。
【0115】
更に、カム筒2が回転すると、遮光部材用カムフォロア6、第1レンズ保持枠31に保持された保持枠用カムフォロア4、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4は導入溝23b、21b、22bのそれぞれから遮光部材用撮影領域溝23a、第1カム溝用撮影領域溝21a、第2カム溝用撮影領域溝22aに入り込ませて係合させることができる(
図15参照)。
【0116】
この場合においても、第2カム溝用導入溝22bが、テーパー部22dとを備えているため、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4を、幅広部22cから第2カム溝用撮影領域溝22aに円滑に入れることができる。
【0117】
次に、本発明のレンズ鏡筒10の動作について説明する。例えば
図15に示す状態から、カム操作環15が回転操作されると、カム筒2が回転する。その回転に伴い、遮光部材用カムフォロア6、第1レンズ保持枠31に保持された保持枠用カムフォロア4、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4はそれぞれ、遮光部材用撮影領域溝23a、第1カム溝用撮影領域溝21a、第2カム溝用撮影領域溝22aのそれぞれに沿って前方側に相対移動する。
【0118】
その際、メインカムフォロア保持部7a、8aに保持された保持枠用カムフォロア4のカム溝係合部41が第1保持枠用カム溝21、第2保持枠用カム溝22の内側面に押し当てられた状態になる一方、サブカムフォロア保持部7b、8bに保持された保持枠用カムフォロア4のカム溝係合部41が第1保持枠用カム溝21、第2保持枠用カム溝22の内側面に非当接状態になっており、円滑に相対移動する。
【0119】
そして、相対移動に際して、遮光部材5、第1レンズ保持枠31及び第2レンズ保持枠32のそれぞれが、
図16に示すように前方側に移動する。又、その際、遮光部材用撮影領域溝23aと第1カム溝用撮影領域溝21aとの軸方向の距離に応じ、遮光部材5が遮光部材用撮影領域溝23aの中間部位置で第1レンズ保持枠31との軸方向の距離L11が最大になり、端部位置(テレ位置、ワイド位置)に行くに従い両者の軸方向の距離L12、L13が漸次小さくなるように形成されている。
【0120】
より詳しくは、
図17に示すように遮光部材5の移動軌跡5pは、第1レンズ保持枠31の移動軌跡31pに対し、テレ位置から互いの距離が漸次大きくなり、中間位置で互いの距離L11がテレ位置での互いの距離L13よりも大きくなる。又、その中間位置からワイド位置にかけて互いの距離が漸次小さくなってワイド位置で互いの距離L12は中間位置での距離L11より小さくなる。尚、この実施形態の第2レンズ保持枠32は、
図17に示すように第1レンズ保持枠31の移動軌跡31pと異なる移動軌跡32pを描きながら移動する。
【0121】
よって、遮光部材5が遮光部材用撮影領域溝23aの中間部で、第1レンズ保持枠31に保持されたレンズ群100に入る余分な光を遮る。これにより、第1レンズ保持枠31に保持されたレンズ群100の動き(位置)に応じてフレアーを除去して鮮明な結像を得ることができる。
【0122】
又、その際、第1連結部55aと連結溝31iとによって、確実に、遮光部材5が第1レンズ保持枠31に対して回転することなく軸方向に円滑に移動できる一方、第2連結部55b及び第3連結部55cと連結溝31iのそれぞれとによって、連結部55a〜55cの全体と連結溝31iとが製作誤差等によって過拘束になることなく、遮光部材5が第1レンズ保持枠31に対して円滑に移動できる。
【0123】
更に、カム操作環15が回転操作されてカム筒2が回転すると、その回転に伴い、更に、遮光部材用カムフォロア6、第1レンズ保持枠31に保持された保持枠用カムフォロア4、第2レンズ保持枠32に保持された保持枠用カムフォロア4はそれぞれ、遮光部材用撮影領域溝23a、第1カム溝用撮影領域溝21a、第2カム溝用撮影領域溝22aのそれぞれに沿って、前方側に相対移動する。
【0124】
そして、相対移動に際して、遮光部材5、第1レンズ保持枠31及び第2レンズ保持枠32のそれぞれが前方側に移動して、
図1に示す状態になる。
【0125】
尚、上記実施形態では、第1保持枠用カム溝21と第2保持枠用カム溝22の第2カム溝用撮影領域溝22aと組み込み用溝24とを同じ溝幅から構成しているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0126】
例えば
図18に示すように、第1保持枠用カム溝121と組み込み用溝124との溝幅を、第2カム溝用撮影領域溝22aよりも広く形成し、第1保持枠用カム溝121に係合する保持枠カムフォロアの径を第2保持枠用カム溝22に係合する保持枠カムフォロアよりも大きいものにしてもよい。
【0127】
この場合においても、第1保持枠用カム溝121に係合する保持枠カムフォロアと第2保持枠用カム溝22に係合する保持枠カムフォロアとの位置を、第1レンズ保持枠と第2レンズ保持枠とを当接させることで、第1保持枠用カム溝121と第2保持枠用カム溝22とのそれぞれの位置に合わせることができる。尚、この
図18では、遮光部材用カム溝23を省略している。
【0128】
又、上記実施形態では、第1レンズ保持枠と第2レンズ保持枠との2つのレンズ保持枠がカム筒の保持枠用カム溝に係合しているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば3つ以上のレンズ保持枠がカム筒の保持枠用カム溝に係合する形態のものでもよく、そのようなレンズ鏡筒についても本発明は同様に適用され得る。