(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記監視回路は、前記複数の奇数ラインおよび前記複数の偶数ラインそれぞれに接続され、前記複数の奇数ラインおよび前記複数の偶数ラインのうち、少なくとも2つのライン間の電位差から前記電池セルのセル電圧を検出する電圧検出部(223)を備えることを特徴とする請求項1に記載の電池監視装置。
前記フィルタ回路は、前記フィルタ用抵抗、および隣り合う前記奇数ラインおよび前記偶数ラインの間に接続されたコンデンサ(Cf)からなるRC回路で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電池監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載されたドレイン分離型は、
図5に示すように、フィルタ用の抵抗器Rfが設けられた配線に均等化スイッチSWを接続する回路構成(以下、A型回路と称する。)とすることで、回路構成の簡素化を図ることができる。
【0007】
しかし、A型回路では、均等化スイッチSWをオンした際に、
図5の矢印で示すように、フィルタ用の抵抗器Rfに放電電流が流れることから、フィルタ用の抵抗器Rfの抵抗値を任意に設定できず、回路構成の設計自由度が大きく制限されるといった課題がある。
【0008】
このような課題は、A型回路に限らず、
図6に示すフィルタ用の抵抗器Rfが設けられた配線に均等化スイッチSWを接続する回路構成(以下、B型回路と称する。)にも生ずる。
【0009】
これに対して、非特許文献1に記載された放電経路分離型は、
図7に示すように、フィルタ用の抵抗器Rfを設ける配線から分岐させた配線に、均等化用の抵抗器Rbおよび均等化スイッチSWを接続し、均等化スイッチSWをオンした際にフィルタ用の抵抗器Rfに放電電流が流れない回路構成(以下、C型回路と称する。)となっている。
【0010】
このC型回路では、例えば、隣接する電池セルを同時に放電させる際の放電電流は、2つの放電用の抵抗器Rbを介して流れ(
図7中の実線参照)、単一の電池セルを放電させる際の放電電流も、2つの放電用の抵抗器Rbを介して流れる(
図7中の破線参照)。
【0011】
このため、C型回路は、回路構成の設計自由度が高いものの、隣接する電池セルを同時に放電させる際の放電電流が、単一の電池セルを放電させる際の放電電流に比べて数倍に増大してしまう。この結果、隣接する電池セルそれぞれを放電させる場合、放電するタイミングをずらす必要があり、セル電圧の均等化に長時間を要するといった課題がある。
【0012】
また、非特許文献1に記載されたドレイン−ソース分離型は、
図8に示すように、放電用の抵抗器Rbおよび均等化スイッチSWを接続する配線、およびフィルタ用の抵抗器Rfが設けられた配線を完全に分離させた回路構成(以下、D型回路と称する。)となっている。このD型回路によれば、隣接する電池セルを同時に放電可能であり、回路構成の設計自由度も高くなるが、監視回路に接続する配線数、および監視回路側に設ける端子数が増加して、監視回路が肥大化してしまうといった課題がある。
【0013】
本発明は上記点に鑑みて、監視回路の肥大化、および回路構成の設計自由度の低下を抑制しつつ、隣接するセルを同時に放電可能な電池監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、複数の電池セル(10)を直列接続して構成される組電池(1)に適用される電池監視装置を対象としている。
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の電池セルの接続端子を電位順に数えたときに、奇数番目となる接続端子に接続された複数の奇数ラインと、複数の電池セルの接続端子を電位順に数えたときに、偶数番目となる接続端子に接続された複数の偶数ラインと、奇数ライン、および偶数ラインのうち、一方の接続ラインに設けられたフィルタ用抵抗(Rf)を含んで構成されるフィルタ回路(21)と、一方の接続ラインにおけるフィルタ用抵抗と電池セルの接続端子との間から分岐した複数の分岐ライン(Ldiv)と、複数の電池セルそれぞれに対応して設けられた複数の均等化スイッチ(221)を含んで構成される監視回路(22)と、を備え、均等化スイッチは、隣り合う奇数ラインおよび偶数ラインのうち、フィルタ用抵抗が設けられていない他方の接続ラインと分岐ラインとの間に接続され、他方の接続ラインと分岐ラインとを短絡させて、対応する電池セルを放電させるスイッチであり、複数の分岐ラインそれぞれには、均等化スイッチにて対応する電池セルを放電させた際に流れる電流を制限する電流制限用抵抗(Rb)が設けられていることを特徴としている。
【0016】
このように、均等化スイッチが分岐ラインとフィルタ用抵抗が設けられていない接続ラインとの間を短絡させる回路構成とすれば、均等化スイッチにて電池セルを放電させた際の放電電流がフィルタ用抵抗に流れないので、フィルタ用抵抗の抵抗値を任意に設定することができる。
【0017】
また、均等化スイッチにて隣接する電池セルそれぞれを放電させた際の放電電流は、2つの分岐ライン(2つの電流制限用抵抗)を介して流れ、均等化スイッチにて単一の電池セルを放電させた際の放電電流は、1つの分岐ライン(1つの電流制限用抵抗)を介して流れる。このため、均等化スイッチにて隣接する電池セルそれぞれを放電させた際の放電電流は、均等化スイッチにて単一の電池セルを放電させた場合の際の放電電流と同様となり、隣接する電池セル同士を同時に均等化することが可能となる。
【0018】
さらに、単一の電池セル当り、奇数ライン、偶数ライン、および分岐ラインといった3つの配線が監視回路に接続される回路構成となるので、均等化スイッチを接続する配線およびフィルタ用抵抗を設ける配線を完全に分離させる回路構成に比べて、監視回路に接続する配線数や監視回路側に設ける端子数を少なくすることができる。
【0019】
従って、本願の請求項1に記載の発明によれば、監視回路を肥大化、および回路構成の設計自由度の低下を抑制しつつ、隣接する電池セルを同時に放電させることが可能となる。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される組電池1に、本発明の電池監視装置2を適用している。
【0023】
組電池1は、図示しない走行用電動モータを主として、車載された各種電気負荷に給電する電源である。本実施形態の組電池1は、
図1の全体構成図に示すように、リチウムイオン電池等の二次電池からなる電池セル10を複数直列に接続した直列接続体として構成されている。なお、説明の便宜のため、
図1では、組電池1を構成する複数の電池セル10のうち、代表的な4つの電池セルBCi〜BCi+3(iは、正の整数)を図示している。
【0024】
電池監視装置2は、組電池1の状態を監視する装置であり、各電池セル10の接続端子(電池セル10同士を接続する端子)Pに接続された接続ラインL、フィルタ回路21、監視回路22、図示しない制御装置等で構成されている。
【0025】
接続ラインLは、各電池セル10の接続端子Pと監視回路22に設けられた端子Cとを接続する配線である。本実施形態の接続ラインLは、各電池セルBCi〜BCi+3の接続端子を電位順(本実施形態では電位の低い順)に数えたときに、奇数番目となる接続端子P
2m−1、P
2m+1、P
2m+3(mは、正の整数)に接続された奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3、および偶数番目となる接続端子P
2m、P
2m+2、P
2m+4に接続された偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4で構成されている。
【0026】
各奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3、および各偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4は、監視回路22に設けられた端子C
2m−1〜C
2m+4を介して監視回路22に内蔵された電圧検出部223が接続されている。
【0027】
奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3および偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4のうち、一方の接続ラインには、フィルタ回路21を構成するフィルタ用抵抗Rfが設けられると共に、フィルタ用抵抗Rfと接続端子P
2m、P
2m+2、P
2m+4との間から分岐した一対の分岐ラインLdivが接続されている。
【0028】
本実施形態の各奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3には、フィルタ用抵抗Rfが設けられると共に、フィルタ用抵抗Rfと接続端子P
2m、P
2m+2、P
2m+4との間に、一対の分岐ラインLdivが接続されている。なお、本実施形態の各偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4それぞれには、フィルタ用抵抗Rfは設けられていない。
【0029】
各分岐ラインLdivそれぞれには、電流を制限する電流制限用抵抗Rbが設けられている。電流制限用抵抗Rbは、それぞれ同じ抵抗値となる抵抗器が採用されている。なお、各分岐ラインLdivは、監視回路22に設けられた分岐用端子Cdivを介して監視回路22に内蔵された均等化スイッチ221が接続されており、後述する均等化スイッチ221をオンした際、分岐ラインLdivを流れる放電電流が電流制限用抵抗Rbにより制限される。
【0030】
フィルタ回路21は、電圧検出時のノイズを除去する回路である。本実施形態のフィルタ回路21は、奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3に設けられたフィルタ用抵抗Rf、および隣り合う奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3および偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4間に接続されたコンデンサCfからなるRC回路で構成されている。
【0031】
監視回路22は、各電池セル10の電圧を検出すると共に、電池セル10を放電させることでの各電池セル10のセル電圧のばらつきを均等化する回路であり、各接続ラインLを接続する端子C、各分岐ラインを接続する分岐用端子Cdivを有する。
【0032】
本実施形態の監視回路22は、各電池セルBCi〜BCi+3に対応して設けられて各電池セル10を放電させる均等化スイッチ221(SWi〜SWi+3)、各均等化スイッチ221のオンオフを切り替えるスイッチ切替回路222、各電池セル10の電圧を検出する電圧検出部223で構成されている。
【0033】
均等化スイッチ221は、各電池セルBCi〜BCi+3のうち、高電圧となる電池セルの両端子を短絡させ、高電圧となる電池セル10を放電することで、各電池セルBCi〜BCi+3のセル電圧のばらつきを均等化する均等化手段として機能する。
【0034】
本実施形態の均等化スイッチ221は、対応する電池セル10の接続端子Pに接続された偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4と、奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3から分岐した分岐ラインLdivとの間に接続されている。なお、本実施形態では、均等化スイッチ221を半導体スイッチであるMOSFETで構成している。
【0035】
スイッチ切替回路222は、各均等化スイッチ221のオンオフを切り替えるスイッチ切替手段であり、制御装置からの出力信号に応じて、所定の電池セル10に対応する均等化スイッチ221をオンする。
【0036】
電圧検出部223は、各奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3および各偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4それぞれに接続され、各ラインL
2m−1〜L
2m+4のうち、少なくとも2つのライン間の電位差から電池セルBCi〜BCi+3のセル電圧(端子間電圧)を検出する。
【0037】
本実施形態の電圧検出部223は、電位差を検出して制御装置に出力する検出部、および各ラインL
2m−1〜L
2m+4のうち少なくとも2つのラインを選択して検出部に接続するマルチプレクサで構成されている。このマルチプレクサは、電圧検出対象となる電池セル10を切り替える切替手段として機能するもので、制御装置からの出力信号に応じて制御される。
【0038】
制御装置は、CPU、記憶手段を構成する各種メモリからなるマイクロコンピュータ、およびその周辺機器で構成され、記憶手段に記憶された制御プログラムに従って各種処理を実行するように構成されている。
【0039】
本実施形態の制御装置は、電圧検出部223にて各電池セル10のセル電圧を検出する電圧検出処理、および各電池セル10のセル電圧のばらつきを均等化する均等化処理を実行する。
【0040】
次に、本実施形態の電池監視装置2の作動について説明する。まず、本実施形態の制御装置が実行する電圧検出処理について説明する。
【0041】
電圧検出処理では、制御装置が各電池セル10のセル電圧の検出を指示する制御信号を監視回路22に入力することで、監視回路22の電圧検出部223が各電池セル10のセル電圧を検出する。
【0042】
例えば、電池セルBCiのセル電圧を検出する際には、マルチプレクサが電池セルBCiの接続端子P
2m−1、P
2mに接続された奇数ラインL
2m−1および偶数ラインL
2mを検出部に接続する。そして、検出部が奇数ラインL
2m−1および偶数ラインL
2m間の電位差を電池セルBCiのセル電圧として検出する。
【0043】
また、隣接する電池セルBCi、BCi+1のセル電圧の合計電圧を検出する際には、マルチプレクサが電池セルBCiの接続端子P
2m−1に接続された奇数ラインL
2m−1、電池セルBCi+1のP
2m+2に接続された奇数ラインL
2m+1を検出部に接続する。そして、検出部が奇数ラインL
2m−1および奇数ラインL
2m+1間の電位差を電池セルBCi、BCi+1のセル電圧の合計電圧として検出する。
【0044】
続いて、本実施形態の制御装置が実行する均等化処理について説明する。均等化検出処理は、制御装置が各電池セル10のうち、放電対象となる電池セル10を決定し、当該電池セル10の放電を指示する制御信号を監視回路22に入力することで、監視回路22のスイッチ切替回路222が、放電対象となる電池セル10に対応する均等化スイッチ221をオンに切り替える。
【0045】
例えば、電池セルBCiが放電対象となる場合、スイッチ切替回路222が、電池セルBCiに対応する均等化スイッチSWiをオンに切り替える。これにより、電池セルBCiの接続端子P
2mに接続された偶数ラインL
2mと、電池セルBCiの接続端子P
2m−1に接続された奇数ラインL
2m−1から分岐した分岐ラインLdivとが短絡し、
図2の矢印で示すように、偶数ラインL
2m→均等化スイッチSWi→分岐ラインLdiv(電流制限用抵抗Rb)→奇数ラインL
2m−1に流れて、電池セルBCiが放電する。
【0046】
この際、放電電流は、奇数ラインL
2m−1に設けられたフィルタ用抵抗Rfに流れることなく、分岐ラインLdivに設けられた電流制限用抵抗Rbに流れる。このため、フィルタ用抵抗Rfの設定が均等化処理時に影響しないので、フィルタ用抵抗Rfの設定を任意に設定することができる。
【0047】
ここで、電池セルBCi以外の他の電池セルBCi+1〜BCi+3が放電対象となる場合、スイッチ切替回路222が、電池セルBCi+1〜BCi+3に対応する均等化スイッチSWi+1〜SWi+3をオンに切り替えることで、電池セルBCi+1〜BCi+3を放電させることができる。この際、いずれの電池セルBCi+1〜BCi+3を放電させる場合であっても、放電電流は、フィルタ用抵抗Rfに流れないので、フィルタ用抵抗Rfの設定が均等化処理時に影響しない。
【0048】
なお、単一の電池セル10を放電させる際の放電電流は、電池セルBCiの電圧と分岐ラインLdivに設けられた電流制限用抵抗Rbの抵抗値により決まる。
【0049】
また、例えば、隣接する電池セルBCi、BCi+1それぞれが放電対象となり、各電池セルBCi、BCi+1を同時に放電させる場合、スイッチ切替回路222が、各電池セルBCi、BCi+1に対応する均等化スイッチSWi、SWi+1をオンに切り替える。
【0050】
これにより、電池セルBCiの接続端子P
2mに接続された偶数ラインL
2mと、電池セルBCiの接続端子P
2m−1に接続された奇数ラインL
2m−1から分岐した分岐ラインLdivとが短絡する。また、電池セルBCi+1の接続端子P
2mに接続された偶数ラインL
2mと、電池セルBCi+1の接続端子P
2m+1に接続された奇数ラインL
2m+1から分岐した分岐ラインLdivとが短絡する。
【0051】
この場合、
図3の矢印で示すように、奇数ラインL
2m+1→分岐ラインLdiv(電流制限用抵抗Rb)→均等化スイッチSWi+1→均等化スイッチSWi→分岐ラインLdiv(電流制限用抵抗Rb)→奇数ラインL
2m−1に流れて、各電池セルBCi、BCi+1が放電する。
【0052】
この際の放電電流は、各電池セルBCi、BCi+1の電圧の合計値、各分岐ラインLdivに設けられた電流制限用抵抗Rbの抵抗値の合計値により決まる。つまり、隣接する電池セルBCi、BCi+1それぞれを放電させる際の放電電流は、2つの電池セルBCi、BCi+1および2つの電流制限用抵抗Rbから決まることとなるので、単一の電池セル10を放電させる際の放電電流と同様となる。このことは、隣接する他の電池セル同士を同時に放電させる場合について同じである。
【0053】
次に、本実施形態の電池監視装置2の特徴について説明する。本実施形態の電池監視装置2によれば、
図4に示すように、
図5に示すA型回路、
図6に示すB型回路、
図7に示すC型回路、
図8に示すD型回路といった従来の回路構成で課題となっていた事項を解消することができる。
【0054】
具体的には、本実施形態では、各奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3から分岐した分岐ラインLdivと、フィルタ用抵抗Rfが設けられていない偶数ラインL
2m−1〜L
2m+4との間に均等化スイッチ221を接続する構成としている。
【0055】
これによれば、均等化スイッチ221にて、所定の電池セル10を放電させた際の放電電流が、フィルタ用抵抗Rfに流れず、フィルタ用抵抗Rfの設定が均等化処理時に影響しないので、フィルタ用抵抗Rfを任意に設定することができ、回路構成の設計自由度を確保することができる。
【0056】
また、均等化スイッチ221にて、所定の電池セル10を放電させた際の放電電流が、フィルタ用抵抗Rfに流れないので、放電電流による電圧降下が電圧検出に影響しない。このため、電圧検出時に均等化処理を実行したとしても、正確に各電池セル10のセル電圧を検出することができ、電圧検出処理と均等化処理とを同時に実行可能となる。
【0057】
また、本実施形態の回路構成では、均等化スイッチ221にて隣接する電池セル10それぞれを放電させた際の放電電流が、2つの分岐ラインLdiv(2つの電流制限用抵抗Rb)を介して流れ、均等化スイッチ221にて単一の電池セル10を放電させた際の放電電流が、1つの分岐ライン(1つの電流制限用抵抗Rb)を介して流れる。
【0058】
このため、均等化スイッチ221にて隣接する電池セル10それぞれを放電させた際の放電電流が、均等化スイッチ221にて単一の電池セル10を放電させた場合の際の放電電流と同様となり、隣接する電池セル10同士を同時に均等化(同時放電)することが可能となる。この結果、均等化処理に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0059】
さらに、本実施形態では、電流制限用抵抗Rbが設けられていない偶数ラインL
2m−1〜L
2m+4が均等化用、および電圧検出用の共用配線として機能する回路構成となる。このため、単一の電池セル10あたり、接続ラインL(奇数ラインおよび偶数ライン)と分岐ラインLdivといった3つの配線を、監視回路22に接続するといった簡素な回路構成となり、従来のD型回路の如く、均等化スイッチSWを接続する配線およびフィルタ用抵抗Rfを設ける配線を完全に分離させる回路構成に比べて、監視回路22に接続する配線数や監視回路22側に設ける端子数を少なくすることができる。
【0060】
従って、本実施形態の構成によれば、監視回路22を肥大化、回路構成の設計自由度の低下を抑制して、隣接する電池セル10を同時に放電させることが可能となる。
【0061】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0062】
(1)上述の実施形態では、各電池セル10の接続端子Pを電位の低い順に数えた際に、奇数番目となる接続端子Pに接続された接続ラインLを奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3とし、偶数番目となる接続端子Pに接続された接続ラインLを偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4とする例について説明したが、これに限定されない。例えば、各電池セル10の接続端子Pを電位の高い順に数えた際に、奇数番目となる接続端子Pに接続された接続ラインLを奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3とし、偶数番目となる接続端子Pに接続された接続ラインLを偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4としてもよい。
【0063】
(2)上述の実施形態では、各奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3に対してフィルタ用抵抗Rfを設け、さらに、分岐ラインLdivを接続する例について説明したが、これに限定されない。例えば、偶数ラインL
2m、L
2m+2、L
2m+4に対してフィルタ用抵抗Rfを設け、さらに、分岐ラインLdivを接続するようにしてもよい。この場合、電流制限用抵抗Rbが設けられていない奇数ラインL
2m−1、L
2m+1、L
2m+3が均等化用、および電圧検出用の共用配線として機能する。
【0064】
(3)上述の実施形態では、フィルタ回路21をフィルタ用抵抗RfおよびコンデンサCfからなるRC回路で構成する例について説明したが、これに限定されず、フィルタ用抵抗Rfを用い、且つ、電圧検出処理および均等化処理に悪影響を及ぼさないフィルタ回路21であれば、適宜採用することができる。
【0065】
(4)上述の実施形態では、均等化スイッチ221をMOSFETで構成した例について説明したが、これに限定されず、均等化スイッチ221を他の半導体スイッチで構成してもよい。
【0066】
(5)上述の実施形態では、監視回路22に均等化スイッチ221のオンオフを切り替えるスイッチ切替回路222を設ける例について説明したが、これに限らず、スイッチ切替回路222を監視回路22の外部に設ける構成としてもよい。
【0067】
(6)上述の実施形態では、電圧検出部223を検出部およびマルチプレクサで構成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、各電池セル10に対応して複数の検出部を設け、各検出部により電圧検出部223を構成するようにしてもよい。
【0068】
(7)上述の実施形態では、監視回路22に電圧検出部223を設ける例について説明したが、これに限らず、電圧検出部223を監視回路22の外部に設ける構成としてもよい。
【0069】
(8)上述の実施形態では、電池監視装置2をハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される組電池1に適用する例を説明したが、車載された組電池1に限らず、据置型の組電池1等に適用してもよい。
【0070】
(9)上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0071】
(10)上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。