特許第5825281号(P5825281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5825281
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】蒸発燃料処理装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20151112BHJP
【FI】
   F02M25/08 Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-57795(P2013-57795)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-181653(P2014-181653A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2014年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 憲史
【審査官】 安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−023925(JP,A)
【文献】 特開2007−198353(JP,A)
【文献】 特開2006−336553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着器と、
前記吸着器から前記内燃機関の吸気管内に前記蒸発燃料を吸入させるパージ通路を形成するパージ配管と、
前記パージ通路を流れる前記蒸発燃料の流量を調整するパージ用バルブと、
前記パージ通路における前記吸気管内から前記吸着器に対する気体の逆流を防止する逆流防止弁と、を備えた蒸発燃料処理装置において、
前記燃料タンク、前記吸着器および前記パージ配管を含むエバポシステムによって形成されたシステム空間を密閉する密閉手段と、
前記内燃機関が停止状態にあるときに前記システム空間を前記密閉手段によって密閉させた後に、前記パージ用バルブを開状態とし、前記パージ用バルブを開状態とする前後の前記システム空間内の圧力差に基づいて、前記逆流防止弁の開故障状態を検出する開故障検出手段と、を備えたことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
前記システム空間内に負圧を導入する負圧導入手段と、
前記システム空間内の圧力を検出する圧力検出手段と、を備え、
前記開故障検出手段は、前記システム空間を前記密閉手段によって密閉させ、前記負圧導入手段に前記システム空間内に負圧を導入させた状態で、前記圧力検出手段によって検出された前記システム空間内の第1の圧力と、
前記負圧導入手段に前記システム空間内に負圧を導入させた後に前記パージ用バルブを開状態にした状態で、前記圧力検出手段によって検出された前記システム空間内の第2の圧力と、の圧力差に基づいて、前記逆流防止弁の開故障状態を検出することを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
前記開故障検出手段は、前記第2の圧力から前記第1の圧力を引いた圧力差が予め定められた閾値以上であることを条件として、前記逆流防止弁が開故障状態であると判断することを特徴とする請求項2に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
前記システム空間内に負圧を導入する負圧導入手段と、
前記システム空間内の圧力を検出する圧力検出手段と、を備え、
前記開故障検出手段は、前記システム空間を前記密閉手段によって密閉させた状態で、前記圧力検出手段によって検出された前記システム空間内の第1の圧力と、
前記システム空間を前記密閉手段に密閉させた後に前記パージ用バルブを開状態にし、前記システム空間内に負圧を導入させた状態で、前記圧力検出手段によって検出された前記システム空間内の第2の圧力と、の圧力差に基づいて、前記逆流防止弁の開故障状態を検出することを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項5】
前記開故障検出手段は、前記第1の圧力から前記第2の圧力を引いた圧力差が予め定められた閾値未満であることを条件として、前記逆流防止弁が開故障状態であると判断することを特徴とする請求項4に記載の蒸発燃料処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発燃料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蒸発燃料処理装置としては、燃料タンクで発生した蒸発燃料を蓄えるキャニスタと、キャニスタに蓄えた蒸発燃料を吸気通路へ供給するためのパージ通路と、パージ通路に設けられてキャニスタから吸気通路へ供給される蒸発燃料の供給量を制御するパージ弁と、弁体と弁体が着座する弁座とを有し且つパージ通路におけるパージ弁よりも吸気通路側に設けられて、パージ通路内における吸気通路側の圧力がキャニスタ側の圧力よりも高いときに弁体が弁座に着座することによって吸気通路からキャニスタへの空気の流れを遮断する逆止弁とを備え、パージ弁をエンジン停止後に所定の開放時間だけ開放させることにより、パージ通路中のパージ弁と逆止弁との間の部分に残留する負圧によって逆止弁に不具合が生じることを防止するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−198353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の蒸発燃料処理装置は、パージ通路において吸気管内からキャニスタ(以下、「吸着器」ともいう)に対する空気等の気体の逆流を防止する逆止弁(以下、「逆流防止弁」という)が開状態のままになってしまう開故障状態を検出することができないといった課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、パージ通路において吸気管内から吸着器に対する気体の逆流を防止する逆流防止弁の開故障状態を検出することができる蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蒸発燃料処理装置は、上記目的を達成するため、(1)内燃機関の燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着器と、前記吸着器から前記内燃機関の吸気管内に前記蒸発燃料を吸入させるパージ通路を形成するパージ配管と、前記パージ通路を流れる前記蒸発燃料の流量を調整するパージ用バルブと、前記パージ通路における前記吸気管内から前記吸着器に対する気体の逆流を防止する逆流防止弁と、を備えた蒸発燃料処理装置において、前記燃料タンク、前記吸着器および前記パージ配管を含むエバポシステムによって形成されたシステム空間を密閉する密閉手段と、前記内燃機関が停止状態にあるときに、前記システム空間を前記密閉手段によって密閉させた後に、前記パージ用バルブを開状態とし、前記パージ用バルブを開状態とする前後の前記システム空間内の圧力差に基づいて、前記逆流防止弁の開故障状態を検出する開故障検出手段と、を備えた構成を有している。
【0007】
この構成により、本発明の蒸発燃料処理装置は、内燃機関が停止状態にあるときに、システム空間を密閉した後に、パージ用バルブを開閉させ、パージ用バルブを開閉させたときの圧力差に基づいて、逆流防止弁の開故障状態を検出するため、パージ通路において吸気管内から吸着器に対する気体の逆流を防止する逆流防止弁の開故障状態を検出することができる。
【0008】
なお、上記(1)に記載の蒸発燃料処理装置において、(2)前記システム空間内に負圧を導入する負圧導入手段と、前記システム空間内の圧力を検出する圧力検出手段と、を備え、前記開故障検出手段は、前記システム空間を前記密閉手段によって密閉させ、前記負圧導入手段に前記システム空間内に負圧を導入させた状態で、前記圧力検出手段によって検出された前記システム空間内の第1の圧力と、前記負圧導入手段に前記システム空間内に負圧を導入させた後に前記パージ用バルブを開状態にした状態で、前記圧力検出手段によって検出された前記システム空間内の第2の圧力と、の圧力差に基づいて、前記逆流防止弁の開故障状態を検出するようにしてもよい。
【0009】
この構成により、逆流防止弁が開故障状態であれば、システム空間内に負圧を導入させた状態で、パージ用バルブを開状態にしたときに、逆流防止弁が機能せずに吸気管内からシステム空間内に気体が流入することにより、システム空間内の圧力が上昇する。
【0010】
一方、逆流防止弁が開故障状態でなければ、システム空間内に負圧を導入させた状態で、パージ用バルブを開状態にしたときに、逆流防止弁が機能して吸気管内からシステム空間内に気体が流入しないことにより、システム空間内の圧力がほとんど上昇しない。
【0011】
このように、本発明の蒸発燃料処理装置は、パージ用バルブを開状態にする前のシステム空間内の第1の圧力と、パージ用バルブを開状態にした後の第2の圧力との圧力差に基づいて、逆流防止弁の開故障状態を検出することができる。
【0012】
また、上記(2)に記載の蒸発燃料処理装置において、(3)前記開故障検出手段は、前記第2の圧力から前記第1の圧力を引いた圧力差が予め定められた閾値以上であることを条件として、前記逆流防止弁が開故障状態であると判断するようにしてもよい。
【0013】
この構成により、本発明の蒸発燃料処理装置は、逆流防止弁が開故障状態であれば、第2の圧力から第1の圧力を引いた圧力差が閾値以上になることから、逆流防止弁の開故障状態を検出することができる。
【0014】
また、上記(1)に記載の蒸発燃料処理装置において、(4)前記システム空間内に負圧を導入する負圧導入手段と、前記システム空間内の圧力を検出する圧力検出手段と、を備え、前記開故障検出手段は、前記システム空間を前記密閉手段に密閉させた状態で、前記圧力検出手段によって検出された前記システム空間内の第1の圧力と、前記システム空間を前記密閉手段によって密閉させた後に前記パージ用バルブを開状態にし、前記システム空間内に負圧を導入させた状態で、前記圧力検出手段によって検出された前記システム空間内の第2の圧力と、の圧力差に基づいて、前記逆流防止弁の開故障状態を検出するようにしてもよい。
【0015】
この構成により、逆流防止弁が開故障状態であれば、パージ用バルブを開状態にし、システム空間内に負圧を導入させたときに、逆流防止弁が機能せずに吸気管内からシステム空間内に気体が流入することにより、システム空間内の圧力がほとんど低下しない。
【0016】
一方、逆流防止弁が開故障状態でなければ、パージ用バルブを開状態にし、システム空間内に負圧を導入させたときに、逆流防止弁が機能して吸気管内からシステム空間内に気体が流入しないことにより、システム空間内の圧力が低下する。
【0017】
このように、本発明の蒸発燃料処理装置は、パージ用バルブを開状態にし、システム空間内に負圧を導入させる前のシステム空間内の第1の圧力と、パージ用バルブを開状態にし、システム空間内に負圧を導入させた後の第2の圧力との圧力差に基づいて、逆流防止弁の開故障状態を検出することができる。
【0018】
また、上記(4)に記載の蒸発燃料処理装置において、(5)前記開故障検出手段は、前記第1の圧力から前記第2の圧力を引いた圧力差が予め定められた閾値未満であることを条件として、前記逆流防止弁が開故障状態であると判断するようにしてもよい。
【0019】
この構成により、本発明の蒸発燃料処理装置は、逆流防止弁が開故障状態であれば、第1の圧力から第2の圧力を引いた圧力差が閾値未満になることから、逆流防止弁の開故障状態を検出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、パージ通路において吸気管内から吸着器に対する気体の逆流を防止する逆流防止弁の開故障状態を検出することができる蒸発燃料処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両における走行駆動用の内燃機関とその燃料系システムとを含む要部の概略構成図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両における走行駆動用の内燃機関とその近傍の構成を示す概略構成図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る蒸発燃料処理装置の逆流防止弁開故障検出動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施の形態に係る蒸発燃料処理装置の逆流防止弁開故障検出動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る蒸発燃料処理装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両の要部構成、すなわち、走行駆動用の内燃機関とその燃料供給および燃料パージを行う燃料系システムとの機構を示している。本実施の形態の内燃機関は、揮発性の高い燃料を使用するもので、走行駆動用に車両に搭載されている。
【0024】
まず、構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係る車両1は、エンジン2と、燃料供給機構3と、蒸発燃料処理装置を構成する燃料パージシステム4およびECU(Electronic Control Unit)5と、を含んで構成されている。
【0026】
エンジン2は、ECU5によって制御される点火プラグ20を用いた火花点火式の多気筒内燃機関、例えば、本実施の形態においては、4サイクルの直列4気筒エンジンによって構成されている。
【0027】
エンジン2の4つの気筒2a(図1中に1つのみ図示する)の吸気ポート部分には、それぞれインジェクタ21(燃料噴射弁)が装着されており、複数のインジェクタ21は、デリバリーパイプ22に接続されている。
【0028】
デリバリーパイプ22には、後述する燃料ポンプ32から、揮発性の高い燃料、例えばガソリンがエンジン2に要求される燃圧(燃料圧力)に加圧されて供給されるようになっている。
【0029】
また、エンジン2の吸気ポート部分には吸気管23が接続されており、この吸気管23には、吸気脈動や吸気干渉を抑える所定容積のサージタンク23aが設けられている。
【0030】
吸気管23の内部には吸気通路23bが形成されており、吸気通路23b上には、スロットルアクチュエータ24aにより開度調整可能に駆動されるスロットルバルブ24が設けられている。
【0031】
このスロットルバルブ24は、ECU5からの制御により吸気通路23bの開度を調整することにより、エンジン2の吸入空気量を調整するようになっている。また、スロットルバルブ24には、その開度を検出するスロットルセンサ24bが設けられている。
【0032】
燃料供給機構3は、エンジン2の燃料を貯留する燃料タンク31と、燃料タンク31に貯留された燃料を汲み上げる燃料ポンプ32と、燃料ポンプ32およびデリバリーパイプ22を接続する燃料供給管33と、燃料ポンプ32の上流側に設けられた吸入配管38とを含んで構成されている。
【0033】
燃料タンク31は、車両1の車体の下部側に配置されており、エンジン2で消費される燃料を補給可能に貯留するようになっている。本実施の形態において、燃料ポンプ32は、燃料タンク31の内部に収容されている。
【0034】
燃料ポンプ32は、燃料タンク31内の燃料を汲み上げて所定のフィード燃圧以上に加圧することができる吐出能力(吐出量および吐出圧)可変タイプのもので、例えば円周流ポンプによって構成されている。燃料ポンプ32は、詳細な内部構成を図示しないが、ポンプ作動用の羽根車と、その羽根車を駆動する内蔵モータとを有している。
【0035】
また、燃料ポンプ32は、内蔵モータの駆動電圧と負荷トルクとに応じてポンプ作動用の羽根車の回転速度および回転トルクのうち少なくとも一方を変化させることで、その単位時間当りの吐出能力を変化させることができるようになっている。
【0036】
このように燃料ポンプ32の吐出能力を変化させるため、燃料供給機構3には、ECU5の制御に応じて燃料ポンプ32の駆動電圧を制御するFPC(Fuel Pump Controller)84が設けられている。
【0037】
燃料供給管33は、燃料ポンプ32の出力ポートと、デリバリーパイプ22内とを相互に連通させる燃料供給通路を形成している。吸入配管38は、燃料ポンプ32の上流側に吸入通路38aを形成しており、吸入通路38aの最上流部分には、サクションフィルタ38bが設けられている。このサクションフィルタ38bは、燃料ポンプ32に吸入される燃料をろ過する公知のものである。
【0038】
一方、燃料タンク31には、燃料タンク31から車両1の側方または後方側に延びるように、給油管34が突出して設けられている。給油管34の突出方向の先端には、給油口34aが形成されている。この給油口34aは、車両1の図示しないボディに設けられたフューエルインレットボックス35内に収容されている。
【0039】
また、給油管34には、燃料タンク31の上部と給油管34内の上流部分とを連通させる循環配管36が設けられている。フューエルインレットボックス35には、燃料の給油時に外部に対して開放されるフューエルリッド37が設けられている。
【0040】
燃料の給油時には、フューエルリッド37を開放し、給油口34aに着脱可能に取り付けられたキャップ34bを取り外すことにより、給油口34aから燃料タンク31内に燃料を注入できるようになっている。
【0041】
燃料パージシステム4は、燃料タンク31と吸気管23との間、より詳しくは、燃料タンク31とサージタンク23aとの間に介装されている。燃料パージシステム4は、燃料タンク31内で発生する蒸発燃料をエンジン2の吸気時に吸気通路23bに放出させて燃焼させることができるようになっている。
【0042】
燃料パージシステム4は、燃料タンク31内で生じた蒸発燃料を吸着する吸着器を構成するキャニスタ41と、キャニスタ41に空気を通してキャニスタ41から脱離した燃料および空気を含むパージガスをエンジン2の吸気管23内に吸入させるパージ動作を実行するパージ機構42と、パージガスの吸気管23内への吸入量を制御してエンジン2における空燃比の変動を抑制するパージ制御機構45と、を含んで構成されている。
【0043】
キャニスタ41は、キャニスタケース41aの内部に活性炭等の吸着材41bを内蔵したものであり、燃料タンク31の内底面から離間するよう設置されている。キャニスタ41の内部(吸着材収納空間)は、エバポ配管48および気液分離バルブ49を介して燃料タンク31内の上部空間に連通するようになっている。
【0044】
したがって、キャニスタ41は、燃料タンク31内で燃料が蒸発し、燃料タンク31内の上部空間に蒸発燃料が溜まるとき、吸着材41bによって蒸発燃料を吸着することができる。また、燃料タンク31内の燃料の液面上昇や液面変動時には、逆流防止弁機能を有する気液分離バルブ49が浮上してエバポ配管48の先端部を閉止するようになっている。
【0045】
パージ機構42は、キャニスタ41の内部を吸気管23の吸気通路23bのうちサージタンク23aの内部部分に連通させるパージ配管43と、キャニスタ41の内部を大気側、例えばフューエルインレットボックス35の内方の大気圧空間に開放させる大気配管44とを有している。
【0046】
大気配管44の途中には、負圧ポンプモジュール51が設けられている。負圧ポンプモジュール51は、切替弁52と、負圧ポンプ53を含んで構成されている。
【0047】
切替弁52は、ECU5の制御に応じて、大気配管44を介してキャニスタ41の内部を大気側に開放させる大気開放状態と、キャニスタ41の内部を負圧ポンプ53の入力ポートに連通させる負圧導入状態と、キャニスタ41の内部と大気側とを遮断する大気遮断状態とのいずれかの状態をとるようになっている。
【0048】
負圧ポンプ53は、公知の電動ポンプによって構成され、ECU5の制御に応じて駆動し、切替弁52が負圧導入状態であるときに、燃料タンク31、キャニスタ41およびパージ配管43を含むエバポシステム54によって形成されたシステム空間内に負圧を導入するようになっている。このように、負圧ポンプ53は、システム空間内に負圧を導入する負圧導入手段を構成する。
【0049】
エバポシステム54には、システム空間内の圧力を検出する圧力センサ55が設けられている。本実施の形態において、圧力センサ55は、パージ配管43に設けられ、パージ配管43によって形成されたパージ通路の圧力を検出するようになっている。このように、圧力センサ55は、システム空間内の圧力を検出する圧力検出手段を構成する。
【0050】
パージ機構42は、切替弁52が大気開放状態であり、エンジン2の運転時にサージタンク23aの内部に吸気負圧が発生するとき、キャニスタ41の内部の一端側にパージ配管43を通して吸気負圧を導入させつつ、キャニスタ41の内部の他端側に大気配管44を通して大気を導入させることができる。
【0051】
このように、パージ機構42は、キャニスタ41の吸着材41bに吸着されてキャニスタ41内に保持されている燃料を、キャニスタ41から脱離させてサージタンク23aの内部に吸入させることができる。
【0052】
パージ制御機構45は、ECU5によって制御されるパージ用のバキュームソレノイドバルブ(以下、「パージ用VSV」という)46を含んで構成されている。パージ用VSV46は、パージ配管43の途中に設けられている。パージ用VSV46は、パージ配管43の途中の開度を変化させることで、キャニスタ41から脱離させる蒸発燃料の流量を可変制御できるようになっている。
【0053】
具体的には、パージ用VSV46は、その励磁電流がECU5によってデューティ制御されることで開度を変化させることができ、そのデューティ比に応じたパージ率で、吸気管23内の吸気負圧によりキャニスタ41から脱離した蒸発燃料を空気と共にパージガスとしてサージタンク23a内に吸入させることができる。
【0054】
また、パージ用VSV46は、その開度を0とすることで、大気遮断状態の切替弁52と協働して、システム空間を密閉する密閉手段を構成する。
【0055】
パージ配管43には、パージ用VSV46よりサージタンク23a側に逆流防止弁56が設けられている。逆流防止弁56は、パージ配管43によって形成されたパージ通路において吸気管23内からキャニスタ41に対する空気等の気体の流入を防止するようになっている。具体的には、逆流防止弁56は、吸気管23内が正圧になったときに閉弁し、吸気管23内が負圧になったときに開弁する公知の一方向バルブによって構成されている。
【0056】
図2に示すように、エンジン2は、シリンダブロック100と、シリンダブロック100の上部に固定されたシリンダヘッド101と、シリンダヘッド101の上部を覆うシリンダヘッドカバー102、シリンダブロック100の下部に固定されてオイルを収納するオイルパン103とを備え、シリンダブロック100と、シリンダヘッド101とによって4つの気筒2aが形成されている。
【0057】
気筒2aには、ピストン104が往復動可能に収納され、シリンダブロック100、シリンダヘッド101およびピストン104によって、燃焼室105が形成されている。エンジン2は、ピストン104が2往復する間に吸気行程、圧縮行程、燃焼行程および排気行程からなる一連の4行程を行うようになっている。
【0058】
気筒2aに収納されたピストン104は、コネクティングロッド106を介してクランクシャフト107に連結されている。コネクティングロッド106は、ピストン104の往復動をクランクシャフト107の回転運動に変換するようになっている。
【0059】
エンジン2の排気ポート部分には排気管110が接続されており、排気管110によって形成された排気通路110aには、触媒装置111が設けられている。触媒装置111は、一般に、排気ガスに含まれる未燃炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NOx)といった有害物質を効率的に除去することができる三元触媒を備えている。この三元触媒は、好ましくはNOx含有率の高い排気ガスからでも、NOxを効率的に除去する機能を有するものが用いられる。
【0060】
本実施の形態において、エンジン2には、排気通路110aから排気される排気ガスによって吸気通路23bに空気を送り込む過給機400が設けられている。過給機400は、互いに連結されて一体に回転する吸入空気コンプレッサ400aおよび排気タービン400bを有している。
【0061】
過給機400は、排気タービン400bを排気ガスの排気エネルギーにより回転させて吸入空気コンプレッサ400aを回転させることによって、吸気管23内に正圧の空気を吸入させることができるようになっている。
【0062】
吸気管23には、過給機400の上流側でフィルタにより吸入空気を清浄化するエアクリーナ401と、過給機400より下流側で過給により昇温した吸入空気を冷却するインタークーラ402と、が設けられている。また、排気管110において、触媒装置111は、過給機400より下流側に設けられている。
【0063】
図1において、ECU5は、CPU(Central Processing Unit)70と、RAM(Random Access Memory)71と、ROM(Read Only Memory)72と、フラッシュメモリ73と、入出力ポート(以下、「I/Oポート」という)74と、を備えたマイクロプロセッサによって構成されている。
【0064】
ECU5のROM72には、当該マイクロプロセッサをECU5として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPU70がRAM71を作業領域としてROM72に記憶されたプログラムを実行することにより、当該マイクロプロセッサは、ECU5として機能する。
【0065】
ECU5のI/Oポート74の入力側には、スロットルセンサ24bおよび圧力センサ55を含む各種センサ類が接続されている。また、ECU5のI/Oポート74の出力側には、点火プラグ20、スロットルアクチュエータ24a、パージ用VSV46、切替弁52、負圧ポンプ53およびFPC84等の各種制御対象類が接続されている。
【0066】
ECU5は、各種センサ情報に基づいて、パージ用VSV46をデューティ制御することにより、パージ率を制御することができるようになっている。例えば、ECU5は、エンジン2が所定の運転状態にあるときに、スロットルセンサ24bより得られるスロットルバルブ24の開度が予め設定された設定開度より小さい状態となることを条件として、パージ用VSV46を作動させることによりパージ機構42にパージ動作を実行させるようになっている。
【0067】
また、本実施の形態において、ECU5は、エンジン2が停止状態にあるときに、パージ用VSV46および切替弁52を制御してシステム空間を密閉させた後に、パージ用VSV46を開閉させ、パージ用VSV46を開閉させたときの圧力差に基づいて、逆流防止弁56の開故障状態を検出する開故障検出手段を構成する。
【0068】
具体的には、ECU5は、パージ用VSV46および切替弁52を制御してシステム空間を密閉させ、負圧ポンプ53にシステム空間内に負圧を導入させた状態で、圧力センサ55によって検出されたシステム空間内の第1の圧力P1と、負圧ポンプ53にシステム空間内に負圧を導入させた後にパージ用VSV46を開状態にした状態で、圧力センサ55によって検出されたシステム空間内の第2の圧力P2との圧力差に基づいて、逆流防止弁56が開故障状態であるか否かを判断するようになっている。
【0069】
より具体的には、ECU5は、第2の圧力P2から第1の圧力P1を引いた圧力差が予め定められた閾値TH1以上であることを条件として、パージ用VSV46が開故障状態であると判断するようになっている。ここで、閾値TH1は、測定誤差を考慮して予め実験的に定められ、例えば、ECU5のROM72に格納されている。
【0070】
次に、本実施の形態に係る蒸発燃料処理装置の逆流防止弁開故障検出動作について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下に説明する逆流防止弁開故障検出動作は、エンジン2が停止されてから予め定められた時間(例えば、5時間から7時間程度の所定の時間)が経過したときに実行されるものとする。
【0071】
まず、ECU5は、エンジン2を停止させているか否かを判断する(ステップS1)。ここで、エンジン2を停止させていないと判断した場合には、ECU5は、逆流防止弁開故障検出動作を終了する。
【0072】
一方、エンジン2を停止させていると判断した場合には、ECU5は、パージ用VSV46および切替弁52を制御し、エバポシステム54によって形成されたシステム空間(以下、単に「エバポシステム空間」ともいう)を密閉させる(ステップS2)。具体的には、ECU5は、パージ用VSV46を閉弁状態にし、切替弁52を大気遮断状態にする。
【0073】
次いで、ECU5は、負圧ポンプ53を制御し、エバポシステム空間内に負圧を導入させる(ステップS3)。具体的には、ECU5は、切替弁52を負圧導入状態にし、負圧ポンプ53を駆動する。
【0074】
ここで、ECU5は、エバポシステム空間内の第1の圧力P1を記憶する(ステップS4)。具体的には、ECU5は、圧力センサ55によって検出された圧力を第1の圧力P1として、RAM71等の記憶媒体に記憶する。
【0075】
次いで、ECU5は、パージ用VSV46を開弁状態し(ステップS5)、エバポシステム空間内の圧力が安定するまでの予め定められた時間が経過するのを待つ(ステップS6)。
【0076】
次いで、ECU5は、エバポシステム空間内の第2の圧力P2を記憶する(ステップS7)。具体的には、ECU5は、圧力センサ55によって検出された圧力を第2の圧力P2として、RAM71等の記憶媒体に記憶する。
【0077】
次いで、ECU5は、第2の圧力P2から第1の圧力P1を引いた圧力差が閾値TH1以上であるか否かを判断する(ステップS8)。ここで、第2の圧力P2から第1の圧力P1を引いた圧力差が閾値TH1以上でないと判断した場合には、ECU5は、逆流防止弁56が開故障状態でないと判断し(ステップS9)、判断結果をフラッシュメモリ73等の記憶媒体に記憶し、逆流防止弁開故障検出動作を終了する。
【0078】
一方、第2の圧力P2から第1の圧力P1を引いた圧力差が閾値TH1以上であると判断した場合には、ECU5は、逆流防止弁56が開故障状態であると判断し(ステップS10)、判断結果をフラッシュメモリ73等の記憶媒体に記憶し、逆流防止弁開故障検出動作を終了する。
【0079】
このように、逆流防止弁56が開故障状態であるといった判断結果がフラッシュメモリ73等の記憶媒体に記憶されると、例えば、イグニッションがオンされた後に、ECU5は、インストルメントパネルやスピーカ装置等の報知手段を介して、逆流防止弁56が開故障状態である旨を報知する。
【0080】
以上に説明したように、本実施の形態は、エンジン2が停止状態にあるときに、システム空間を密閉した後に、パージ用VSV46を開閉させ、パージ用VSV46を開閉させたときの圧力差に基づいて、逆流防止弁56の開故障状態を検出するため、パージ通路における吸気管23内からキャニスタ41に対する気体の逆流を防止する逆流防止弁56の開故障状態を検出することができる。
【0081】
特に、本実施の形態おいては、逆流防止弁56が開故障状態であれば、システム空間内に負圧を導入させた状態で、パージ用VSV46を開状態にしたときに、逆流防止弁56が機能せずに吸気管23内からシステム空間内に気体が流入することにより、システム空間内の圧力が上昇する。
【0082】
一方、逆流防止弁が開故障状態でなければ、システム空間内に負圧を導入させた状態で、パージ用VSV46を開状態にしたときに、逆流防止弁56が機能して吸気管23内からシステム空間内に気体が流入しないことにより、システム空間内の圧力がほとんど上昇しない。
【0083】
このように、本実施の形態は、パージ用VSV46を開状態にする前のシステム空間内の第1の圧力P1と、パージ用VSV46を開状態にした後の第2の圧力P2との圧力差に基づいて、逆流防止弁56の開故障状態を検出することができる。
【0084】
なお、本実施の形態においては、燃料ポンプ32が燃料タンク31の内部に収容されているものとして説明したが、本発明においては、燃料ポンプ32が燃料タンク31の外部に設けられていてもよい。
【0085】
また、本実施の形態においては、キャニスタ41が燃料タンク31の外部に設けられているものとして説明したが、本発明においては、キャニスタ41が燃料タンク31の内部に収容されていてもよい。
【0086】
また、本実施の形態において、切替弁52は、大気開放状態と、負圧導入状態と、大気遮断状態とのいずれかの状態をとるものとして説明したが、負圧ポンプ53が内部に逆流防止弁を有していれば、切替弁52は、大気開放状態と、負圧導入状態とのいずれかの状態をとり、大気遮断状態に対して負圧導入状態をとるようにしてもよい。
【0087】
また、本実施の形態において、圧力センサ55がパージ配管43に設けられた例について説明したが、圧力センサ55は、システム空間内の圧力を検出することができるように設けられていればよく、例えば、燃料タンク31またはキャニスタ41内の圧力を検出するように設けられていてもよい。
【0088】
また、本実施の形態において、大気配管44の途中に負圧ポンプモジュール51を設け、負圧ポンプモジュール51を構成する負圧ポンプ53によってシステム空間内に負圧を導入する例について説明したが、負圧ポンプ53は、システム空間内に負圧を導入することができるように設けられていればよく、例えば、燃料タンク31またはキャニスタ41に設けられていてもよく、パージ配管43のパージ用VSV46より下流側、または、エバポ配管48に設けられていてもよい。
【0089】
また、本実施の形態において、排気通路110aから排気される排気ガスによって吸気通路23bに空気を送り込む過給機400が設けられたエンジン2に本発明に係る蒸発燃料処理装置を適用した例について説明した。
【0090】
しかしながら、本発明に係る蒸発燃料処理装置は、クランクシャフト107の回転によって吸入空気コンプレッサ400aを回転させる過給機が設けられたエンジン2に適用してもよく、過給機が設けられていないエンジン2に適用してもよい。
【0091】
(第2の実施の形態)
本実施の形態においては、本発明の第1の実施の形態との相違点について説明する。また、本実施の形態における構成要素のうち、本発明の第1の実施の形態と同様なものについては、同一の符号で示し、相違する点について説明する。
【0092】
本実施の形態において、ECU5のROM72には、本発明の第1の実施の形態におけるECU5のROM72に記憶されているプログラムと異なるプログラムが記憶されている。これにより、本実施の形態におけるECU5は、本発明の第1の実施の形態におけるECU5に対して、以下に説明するように機能が変更されている。
【0093】
ECU5は、パージ用VSV46および切替弁52を制御してシステム空間を密閉させた状態で、圧力センサ55によって検出されたシステム空間内の第1の圧力P1と、システム空間を密閉させた後にパージ用VSV46を開状態にし、負圧ポンプ53にシステム空間内に負圧を導入させた状態で、圧力センサ55によって検出されたシステム空間内の第2の圧力P2との圧力差に基づいて、逆流防止弁56が開故障状態であるか否かを判断するようになっている。
【0094】
より具体的には、ECU5は、第1の圧力P1から第2の圧力P2を引いた圧力差が予め定められた閾値TH2未満であることを条件として、パージ用VSV46が開故障状態であると判断するようになっている。ここで、閾値TH2は、測定誤差を考慮して予め実験的に定められ、例えば、ECU5のROM72に格納されている。
【0095】
次に、本実施の形態に係る蒸発燃料処理装置の逆流防止弁開故障検出動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下に説明する逆流防止弁開故障検出動作は、エンジン2が停止されてから予め定められた時間(例えば、5時間から7時間程度の所定の時間)が経過したときに実行されるものとする。
【0096】
まず、ECU5は、エンジン2を停止させているか否かを判断する(ステップS21)。ここで、エンジン2を停止させていないと判断した場合には、ECU5は、逆流防止弁開故障検出動作を終了する。
【0097】
一方、エンジン2を停止させていると判断した場合には、ECU5は、パージ用VSV46および切替弁52を制御し、エバポシステム空間を密閉させる(ステップS22)。具体的には、ECU5は、パージ用VSV46を閉弁状態にし、切替弁52を大気遮断状態にする。
【0098】
ここで、ECU5は、エバポシステム空間内の第1の圧力P1を記憶する(ステップS23)。具体的には、ECU5は、圧力センサ55によって検出された圧力を第1の圧力P1として、RAM71等の記憶媒体に記憶する。
【0099】
次いで、ECU5は、パージ用VSV46を開弁状態し(ステップS24)、負圧ポンプ53を制御し、エバポシステム空間内に負圧を導入させる(ステップS25)。具体的には、ECU5は、切替弁52を負圧導入状態にし、負圧ポンプ53を駆動する。
【0100】
次いで、ECU5は、エバポシステム空間内の圧力が安定するまでの予め定められた時間が経過するのを待つ(ステップS26)。次いで、ECU5は、エバポシステム空間内の第2の圧力P2を記憶する(ステップS27)。具体的には、ECU5は、圧力センサ55によって検出された圧力を第2の圧力P2として、RAM71等の記憶媒体に記憶する。
【0101】
次いで、ECU5は、第1の圧力P1から第2の圧力P2を引いた圧力差が閾値TH2未満であるか否かを判断する(ステップS28)。ここで、第1の圧力P1から第2の圧力P2を引いた圧力差が閾値TH2未満でないと判断した場合には、ECU5は、逆流防止弁56が開故障状態でないと判断し(ステップS29)、判断結果をフラッシュメモリ73等の記憶媒体に記憶し、逆流防止弁開故障検出動作を終了する。
【0102】
一方、第1の圧力P1から第2の圧力P2を引いた圧力差が閾値TH2未満であると判断した場合には、ECU5は、逆流防止弁56が開故障状態であると判断し(ステップS30)、判断結果をフラッシュメモリ73等の記憶媒体に記憶し、逆流防止弁開故障検出動作を終了する。
【0103】
このように、逆流防止弁56が開故障状態であるといった判断結果がフラッシュメモリ73等の記憶媒体に記憶されると、例えば、イグニッションがオンされた後に、ECU5は、インストルメントパネルやスピーカ装置等の報知手段を介して、逆流防止弁56が開故障状態である旨を報知する。
【0104】
以上に説明したように、本実施の形態は、本発明の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0105】
特に、本実施の形態おいては、逆流防止弁56が開故障状態であれば、パージ用VSV46を開状態にし、システム空間内に負圧を導入させたときに、逆流防止弁56が機能せずに吸気管23内からシステム空間内に気体が流入することにより、システム空間内の圧力がほとんど低下しない。
【0106】
一方、逆流防止弁56が開故障状態でなければ、パージ用VSV46を開状態にし、システム空間内に負圧を導入させたときに、逆流防止弁56が機能して吸気管23内からシステム空間内に気体が流入しないことにより、システム空間内の圧力が低下する。
【0107】
このように、本実施の形態は、パージ用VSV46を開状態にする前のシステム空間内の第1の圧力P1と、パージ用VSV46を開状態にした後の第2の圧力P2との圧力差に基づいて、逆流防止弁56の開故障状態を検出することができる。
【0108】
以上のように、本発明に係る蒸発燃料処理装置は、パージ通路において吸気管内から吸着器に対する気体の逆流を防止する逆流防止弁の開故障状態を検出することができるという効果を奏するものであり、特に、過給機が設けられた内燃機関に適用される蒸発燃料処理装置に有用である。
【符号の説明】
【0109】
1…車両、2…エンジン(内燃機関)、5…ECU(開故障検出手段)、23…吸気管、31…燃料タンク、41…キャニスタ(吸着器)、42…パージ機構、43…パージ配管、44…大気配管、46…パージ用VSV(パージ用バルブ、密閉手段)、48…エバポ配管、51…負圧ポンプモジュール、52…切替弁(密閉手段)、53…負圧ポンプ(負圧導入手段)、54…エバポシステム、55…圧力センサ(圧力検出手段)、56…逆流防止弁、400…過給機
図1
図2
図3
図4