(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転電機の回転位置を示す第1の信号と前記回転位置の変化量を示す第2の信号とを入力し、当該入力された信号に基づいて前記回転位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記位置情報生成部から出力される前記位置情報に基づいて前記回転電機を制御する制御部と、を備え、
前記位置情報生成部は、
前記位置情報を記憶する位置記憶部と、
前記第2の信号に基づいて前記位置記憶部に記憶された前記位置情報を繰り返し更新する更新部と、
前記制御部からリセット要求があった場合、前記位置記憶部に記憶された前記位置情報を前記第1の信号に応じた位置情報に設定する設定部と、
前記位置記憶部に記憶された前記位置情報を前記制御部に出力する出力部と、を有し、
前記制御部は、
前記位置情報生成部から出力される前記位置情報を取得する取得部と、
前記位置情報生成部に対して前記リセット要求を行い、前記リセット要求を行った前後で前記取得部により取得される前記位置情報に基づき、前記位置情報の異常を判定する異常判定部を有する
ことを特徴とする回転電機の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する回転電機の制御装置および回転電機システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
[1.回転電機システムの構成]
図1は、実施形態に係る回転電機システムの構成を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係る回転電機システム1は、回転電機2、エンコーダ3および制御装置4を備える。回転電機2は、制御装置4から供給される電流に基づき、回転軸Axを中心としてシャフト8を回転する。なお、以下においては、回転電機2がIPM(Interior Permanent Magnet)モータやSPM(Surface Permanent Magnet)モータなどのモータであるものとして説明するが、回転電機2は、発電機などであってもよい。
【0014】
エンコーダ3は、回転電機2のシャフト8の回転に応じたアブソリュート信号Spa(第1の信号の一例)およびインクリメンタル信号Spi(第2の信号の一例)を出力する。アブソリュート信号Spaは、回転電機2の回転位置を示す信号である。かかるアブソリュート信号Spaは、例えば、シャフト8の1回転当たり1周期の正弦波信号および余弦波信号を含む。シャフト8の1回転が回転電機2の機械角360度である。
【0015】
また、インクリメンタル信号Spiは、回転電機2の回転位置の変化量を示す信号である。かかるインクリメンタル信号Spiは、例えば、シャフト8の1回転当たり2
N(Nは2以上の整数)周期の正弦波信号および余弦波信号を含む。
【0016】
制御装置4は、位置情報生成部5、制御部6および電力変換部7を備える。位置情報生成部5は、エンコーダ3からアブソリュート信号Spaおよびインクリメンタル信号Spiを取得し、これらの信号Spa、Spiに基づいて回転電機2の位置情報Pを生成する。位置情報Pは、回転電機2の回転位置を示す情報であり、回転電機2の機械角θを示す。
【0017】
制御部6は、例えば、位置情報生成部5から取得した位置情報Pから回転電機2の速度情報を生成し、かかる速度情報と上位装置から取得した速度指令との偏差がゼロになるように制御信号を生成して電力変換部7へ出力する。電力変換部7は、制御信号に応じた電流を回転電機2へ出力する。これにより、位置指令に応じた回転電機2の回転が実行される。
【0018】
位置情報生成部5は、例えば、オプション基板であり、制御部6に選択的に接続される。したがって、制御装置4は、位置情報Pを用いずに回転電機2の制御を行う場合、位置情報生成部5を接続しなくてよいことから、安価な制御装置4を提供することができる。
【0019】
位置情報生成部5は、リセット要求があった場合、アブソリュート信号Spaに応じた位置情報Pを位置記憶部20に設定し、その後、インクリメンタル信号Spiに基づいて位置情報Pを更新する。
【0020】
かかる位置情報生成部5は、位置記憶部20と、更新部21と、設定部22と、出力部23とを備える。位置記憶部20は、回転電機2の位置情報Pを記憶する。更新部21は、インクリメンタル信号Spiに基づいて位置記憶部20に記憶された位置情報Pを繰り返し更新する。また、設定部22は、制御部6からリセット要求があった場合、位置記憶部20に記憶された位置情報Pをアブソリュート信号Spaに応じた位置情報に設定する。位置記憶部20に記憶された位置情報Pは、出力部23により制御部6に出力される。
【0021】
制御部6は、取得部60、制御信号生成部61および異常判定部62を備える。取得部60は、位置情報生成部5から出力される位置情報Pを取得する。制御信号生成部61は、例えば、位置情報Pから速度情報を求め、かかる速度情報と速度指令とに基づいて制御信号を生成して電力変換部7へ出力する。電力変換部7は、例えば、インバータやマトリクスコンバータなどであり、制御信号に基づいて回転電機2を駆動する電流を回転電機2に供給する。
【0022】
異常判定部62は、制御信号生成部61により回転電機2のシャフト8が回転している状態で、位置情報生成部5に対してリセット要求を行い、かかるリセット要求を行った前後で取得部60により取得される位置情報Pに基づき、位置情報Pの異常を判定する。例えば、異常判定部62は、リセット要求を行う直前の位置情報Pとリセット要求を行った直後の位置情報Pとの差が所定値以上の場合に位置情報Pが異常であることを検出する。
【0023】
かかる異常判定部62によって検出できる位置情報Pの異常は、例えば、エンコーダ3と位置情報生成部5との間の接続誤り(以下、エンコーダ接続誤りと記載する場合がある)や、制御部6による位置情報生成部5への設定誤りなどである。以下、回転電機システム1の構成例についてさらに具体的に説明する。
【0024】
[2.エンコーダ3の構成]
まず、エンコーダ3の構成例について説明する。
図2は、エンコーダ3の構成例を示す図である。
図2に示すように、エンコーダ3は、シャフト8の回転軸Axを中心として回転する回転板9を有する。かかる回転板9には、回転角度の絶対位置を示すアブソリュートパターン101と、回転角度の相対位置を示すインクリメンタルパターン102とがそれぞれ円周方向に形成される。なお、
図2に示すパターン101、102は、透過パターンであるが、パターン101、102は反射パターンであってもよい。
【0025】
エンコーダ3は、フォトダイオード103a〜103dと、フォトセンサ104a〜104dとを有する。アブソリュートパターン101は、C相パターンとD相パターンを有し、フォトダイオード103aおよびフォトセンサ104aによりD相パターンが検出され、フォトダイオード103bおよびフォトセンサ104bによりC相パターンが検出される。
【0026】
また、インクリメンタルパターン102は、A相パターンとB相パターンを有し、フォトダイオード103cおよびフォトセンサ104cによりB相パターンが検出され、フォトダイオード103dおよびフォトセンサ104dによりA相パターンが検出される。
【0027】
エンコーダ3は、信号処理部105を有する。かかる信号処理部105は、フォトセンサ104a〜104dから出力される検出信号に基づいて、A相パターン、B相パターン、C相パターンおよびD相パターンにそれぞれ応じたA相信号Sa、B相信号Sb、C相信号ScおよびD相信号Sdを出力する。
【0028】
A相信号Saは、信号Sa+,Sa−により構成される差動信号であり、B相信号Sb、C相信号ScおよびD相信号Sdも同様に差動信号である。また、C相信号ScおよびD相信号Sdがアブソリュート信号Spaであり、A相信号SaおよびB相信号Sbがインクリメンタル信号Spiである。
【0029】
図3Aは、C相信号ScおよびD相信号Sdと回転電機2の機械角θとの関係を示す図である。
図3Aに示すように、C相信号Scは、機械角360度を1周期とする正弦波信号であり、D相信号Sdは、機械角360度を1周期とする余弦波信号である。
【0030】
図3Bは、A相信号SaおよびB相信号Sbと回転電機2の機械角θとの関係を示す図である。
図3Bに示すように、A相信号Saは、機械角360度当たり2
N(Nは2以上の整数)周期の正弦波信号であり、A相信号Saは、機械角360度当たり2
N周期の余弦波信号である。
【0031】
なお、上述したエンコーダ3の構成は、一例であり、エンコーダ3は、上述した構成に限定されない。例えば、アブソリュート信号Spaは、
図3Aに示すC相信号ScおよびD相信号Sdに限定されるものではなく、例えば、回転電機2の機械角θが大きくなるほど値が大きくなる信号であってもよい。また、インクリメンタル信号Spiは、A相信号SaおよびB相信号Sbに限定されるものではなく、例えば、互いに90度以外の位相を有する信号であってもよく、また、矩形波信号であってもよい。
【0032】
[3.位置情報生成部5の構成]
次に、位置情報生成部5の構成例について説明する。
図4は、位置情報生成部5の構成例を示す図である。
図4に示すように、位置情報生成部5は、第1コネクタ10と、第2コネクタ11と、入力部12と、設定情報記憶部13と、DC−DCコンバータ14と、位置記憶部20と、更新部21と、設定部22と、出力部23とを備える。
【0033】
第1コネクタ10は、エンコーダ3の信号ケーブル106(
図2参照)および電源ケーブル107(
図2参照)を接続するためのコネクタである。かかる第1コネクタ10は、信号ケーブル106の信号線毎に設けられる複数の端子T1〜T8と、電源ケーブル107の電源線毎に設けられる端子T9、T10とを有する。回転電機システム1を設置する場合、設置者は、エンコーダ3の各信号線および各電源線を第1コネクタ10に接続することで、エンコーダ3と位置情報生成部5とを接続する。
【0034】
端子T1、T2は、C相信号Scを伝送する1対の信号線を接続する端子であり、端子T3、T4は、D相信号Sdを伝送する1対の信号線を接続する端子である。また、端子T5、T6は、A相信号Saを伝送する1対の信号線を接続する端子であり、端子T7、T8は、B相信号Sbを伝送する1対の信号線を接続する端子である。また、端子T9、T10は、電源電圧VcおよびグランドGNDをエンコーダ3に供給する端子である。
【0035】
第2コネクタ11は、制御部6との間を接続するためのコネクタである。かかる第2コネクタ11は、信号線を接続する端子T11〜T13と、電源線を接続する端子T14、T15とを有する。かかる第2コネクタ11を制御部6に接続することにより、位置情報生成部5に電源電圧VAが制御部6から供給され、また、位置情報生成部5と制御部6との間の通信が可能となる。
【0036】
入力部12は、端子T13を介して制御部6から信号Rxを入力する。信号Rxには、例えば、リセット要求RST、位置情報要求PREQ、設定要求SREQなどが含まれる。入力部12は、端子T12を介して制御部6から入力されるクロック信号Clkに同期して信号Rxの入力を行う。なお、ここでは、位置情報生成部5と制御部6との間の通信がシリアル通信であるものとして説明するが、パラレル通信であってもよい。
【0037】
設定情報記憶部13は、制御部6から設定要求SREQが入力部12に入力された場合、設定要求SREQに含まれる設定情報を設定情報記憶部13に記憶する。設定情報は、位置情報の情報抽出条件であり、例えば、エンコーダビット数N、回転方向CW/CCW、および、位相進み量CZである。
【0038】
エンコーダビット数Nは、回転電機2の機械角360度に対してインクリメンタル信号Spiが何周期分存在するかを示す情報である。例えば、N=11の場合、インクリメンタル信号Spiが2048(=2
11)周期で回転電機2の機械角360度であり、N=12の場合、インクリメンタル信号Spiが4096(=2
12)周期で機械角360度である。
【0039】
回転方向CW/CCWは、例えば、回転電機2の回転方向の設定情報である。回転方向CW/CCWが「1」である場合、例えば、回転電機2の回転子の時計回りが正転方向であることを示し、回転方向CW/CCWが「0」である場合、回転電機2の回転子の反時計回りが正転方向であることを示す。位相進み量CZは、A相とB相との間の位相ずれ量であり、例えば、A相およびB相が正弦波信号および余弦波信号である場合、「90」に設定される。
【0040】
DC−DCコンバータ14は、制御部6から端子T14、T15を介して入力される電源電圧VAとグランドGNDに基づき、エンコーダ3に供給する電源電圧Vcを生成する。なお、位置情報生成部5は、電源電圧VAに基づいて動作するが、電源電圧VAを変圧した電圧を用いることもできる。
【0041】
位置記憶部20は、位置情報Pを記憶する。
図5は、位置情報Pの構成例を示す図である。位置情報Pは、
図5に示すように、上位ビット領域Ruと下位ビット領域Rdとに分かれる。上位ビット領域Ruは、例えば、32ビットで構成され、下位ビット領域Rdは、例えば、12ビットで構成される。
【0042】
位置情報Pの上位ビット領域Ruには、後述するように、設定部22により絶対位置情報Dpaが設定され、また、更新部21により相対位置情報Dpiの上位ビットデータDpiuが加算される。また、位置情報Pの下位ビット領域Rdには、後述するように、更新部21により相対位置情報Dpiの下位ビットデータDpidが設定される。
【0043】
更新部21は、
図4に示すように、差動増幅器30、31と、A/D変換器32、33と、パルス変換器34、35と、位置情報演算部36と、更新処理部37とを備える。かかる更新部21は、A相信号SaおよびB相信号Sbから回転電機2の相対位置情報Dpiを求め、かかる相対位置情報Dpiにより位置記憶部20の位置情報Pを更新する。相対位置情報Dpiは、回転電機2の機械角θの変化量を示す情報である。
【0044】
差動増幅器30は、A相信号Saを増幅してA/D変換器32およびパルス変換器34へ出力する。差動増幅器31は、B相信号Sbを増幅してA/D変換器33およびパルス変換器35へ出力する。
【0045】
A/D変換器32は、例えば、12ビットの分解能を有し、A相信号Saを12ビットのデジタルデータDaに変換する。また、A/D変換器33は、例えば、12ビットの分解能を有し、B相信号Sbを12ビットのデジタルデータDbに変換する。
【0046】
パルス変換器34は、A相信号Saが中点電位Vref以上である場合にHighレベルとなり、かつ、A相信号Saが中点電位Vref未満である場合にLowレベルとなるパルス信号Sp1を位置情報演算部36に出力する。また、パルス変換器35は、B相信号Sbが中点電位Vref以上である場合にHighレベルとなり、かつ、B相信号Sbが中点電位Vref未満である場合にLowレベルとなるパルス信号Sp2を位置情報演算部36に出力する。
【0047】
位置情報演算部36は、設定情報記憶部13に記憶された設定情報とパルス信号Sp1、Sp2とに基づいて、インクリメンタル信号Spiの1周期分および回転方向を示す情報として、「+1」または「−1」を検出し、内部カウンタを加算する。
【0048】
例えば、回転方向CW/CCWが「1」であり、位相進みCZが「90」であるか、回転方向CW/CCWが「0」であり、位相進みCZが「−90」であるとする。この場合、位置情報演算部36は、例えば、パルス信号Sp1の立ち上がりの後に、パルス信号Sp2が立ち上がる場合、「+1」を内部カウンタに加算する。また、位置情報演算部36は、例えば、パルス信号Sp1の立ち上がりの後に、パルス信号Sp2が立ち下がる場合、「−1」を内部カウンタに加算する。
【0049】
一方、回転方向CW/CCWが「0」であり、位相進みCZが「90」であるか、回転方向CW/CCWが「1」であり、位相進みCZが「−90」であるとする。この場合、位置情報演算部36は、例えば、パルス信号Sp1の立ち上がりの後に、パルス信号Sp2が立ち上がる場合、「−1」を内部カウンタに加算する。また、位置情報演算部36は、例えば、パルス信号Sp1の立ち上がりの後に、パルス信号Sp2が立ち下がる場合、「+1」を内部カウンタに加算する。
【0050】
位置情報演算部36は、更新処理部37からの要求に応じて内部カウンタでカウントされた情報を相対位置情報Dpiの上位ビットデータDpiuとして出力し、内部カウンタの値をゼロに設定する。相対位置情報Dpiは、機械角θの変化量Δθを示す情報であり、上位ビットデータDpiuは、インクリメンタル信号Spiの周期単位の変化分を示すデータである。
【0051】
また、位置情報演算部36は、デジタルデータDaとデジタルデータDbとに基づき、インクリメンタル信号Spiの1周期内の位置を示す情報を相対位置情報Dpiの下位ビットデータDpidとして求める。位置情報演算部36は、A/D変換器32、33の分解能が例えば12ビットである場合、下記式(1)の演算により、相対位置情報Dpiの下位ビットデータDpidを求める。
Dpid=tan
-1(Da/Db)÷2π×2
12 ・・・(1)
【0052】
更新処理部37は、所定周期で、位置情報演算部36から相対位置情報Dpiを取得し、かかる相対位置情報Dpiに基づき、位置記憶部20に記憶された位置情報Pを更新する。更新処理部37は、例えば、回転方向CW/CCWが「1」である場合、相対位置情報Dpiに基づき、位置情報Pを更新し、回転方向CW/CCWが「0」である場合、反転した相対位置情報Dpiに基づき、位置情報Pを更新する。なお、更新処理部37で相対位置情報Dpiを反転するのではなく、位置情報演算部36が回転方向CW/CCWに応じた相対位置情報Dpiを出力することもできる。
【0053】
設定部22は、差動増幅器40、41と、A/D変換器42、43と、位置情報演算部44と、設定処理部45とを備える。かかる設定部22は、C相信号ScおよびD相信号Sdから回転電機2の絶対位置情報Dpaを求め、かかる絶対位置情報Dpaを位置記憶部20に記憶する。絶対位置情報Dpaは、回転電機2の機械角θを示すデータである。
【0054】
差動増幅器40は、C相信号Scを差動増幅してA/D変換器42へ出力する。A/D変換器42は、例えば、12ビットの分解能を有し、C相信号Scを12ビットのデジタルデータDcに変換する。また、差動増幅器41は、D相信号Sdを差動増幅してA/D変換器43へ出力する。A/D変換器43は、例えば、12ビットの分解能を有し、D相信号Sdを12ビットのデジタルデータDdに変換する。
【0055】
位置情報演算部44は、A/D変換器42から出力されるデジタルデータDcと、A/D変換器43から出力されるデジタルデータDdとに基づき、回転電機2の絶対位置情報Dpaを求める。
【0056】
C相信号Scは正弦波信号であり、D相信号Sdは余弦波信号であることから、回転電機2の機械角θは、下記式(2)により導くことができる。
θ=tan
-1(Dc/Dd) ・・・(2)
【0057】
ここで、絶対位置情報Dpaのビット数をエンコーダビット数と同じNビットとすると、下記式(3)の関係が成り立つ。エンコーダビット数Nは、回転電機2の機械角360度に対してインクリメンタル信号Spiが何周期分存在するかを示す情報である。
θ/2π=Dpa/2
N ・・・(3)
【0058】
そこで、位置情報演算部44は、例えば下記式(4)の演算により、絶対位置情報Dpaを求める。なお、エンコーダビット数は、上述したように、設定情報記憶部13に記憶されており、位置情報演算部44は、設定情報記憶部13からエンコーダビット数Nを取得する。
Dpa=tan
-1(Dc/Dd)÷2π×2
N ・・・(4)
【0059】
絶対位置情報Dpaは、このように、機械角θをNビットで表したデータである。例えば、N=12で、θ=90度の場合、Dpa=1023であり、また、N=12で、θ=180度の場合、Dpa=2047である。
【0060】
設定処理部45は、制御部6からリセット要求RSTが入力部12に入力された場合、位置情報演算部44によって取得された絶対位置情報Dpaを位置記憶部20に設定する。なお、設定処理部45は、回転方向CW/CCWが「1」である場合、絶対位置情報Dpaをそのまま位置記憶部20に設定し、回転方向CW/CCWが「0」である場合、絶対位置情報Dpaを反転して位置記憶部20に設定する。なお、設定処理部45で絶対位置情報Dpaを反転するのではなく、位置情報演算部44が回転方向CW/CCWに応じた絶対位置情報Dpaを出力することもできる。
【0061】
なお、A/D変換器32、33、42、43、位置情報演算部36、44、更新処理部37および設定処理部45は、例えばマイクロコンピュータやASICなどによって構成される。マイクロコンピュータは、例えば、A/D変換器、入出力バス、入出力ポート、CPU(Central Processing Unit)、および、RAM(Random Access Memory)などによって構成される。また、設定情報記憶部13や位置記憶部20は、例えば、RAMやフラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子などによって構成され、入力部12や出力部23は、例えば、通信用ICなどにより構成される。
【0062】
出力部23は、端子T12を介してクロック信号Clkに同期して制御部6に信号Txを出力する。出力部23は、例えば、位置情報要求PREQが入力部12に入力された場合、位置記憶部20から位置情報Pを取得し、位置情報Pを含む信号Txを制御部6に送信する。
【0063】
[4.制御部6の構成]
次に、制御部6の構成について説明する。
図6は、制御部6の構成例を示す図である。
図6に示すように、制御部6は、コネクタ51と、通信部52と、エンコーダ情報設定部53と、表示部54と、取得部60と、制御信号生成部61と、異常判定部62とを備える。
【0064】
コネクタ51は、通信線を接続する端子T21〜T23と、電源線を接続する端子T24、T25とを有する。かかるコネクタ51は、位置情報生成部5の第2コネクタ11に接続される。なお、制御装置4は、例えば、ハウジングを有しており、位置情報生成部5、制御部6および電力変換部7は、かかるハウジングに収納される。
【0065】
通信部52は、例えば、通信用ICなどにより構成され、位置情報生成部5との間の信号の入出力を行う。通信部52は、例えば、位置情報生成部5から出力される信号Txを受信し、また、位置情報生成部5へ信号Rxを出力する。また、通信部52は、位置情報生成部5にクロック信号Clkを出力する。
【0066】
エンコーダ情報設定部53は、設定情報を定期的に通信部52に出力し、設定要求SREQを含む信号Rxを定期的に通信部52から位置情報生成部5に出力させる。設定要求SREQには、例えば、エンコーダビット数N、回転方向CW/CCW、および、位相進み量CZなどの設定情報が含まれる。
【0067】
表示部54は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electoro Luminescence)等の表示デバイスにより構成されており、例えば、異常判定部62からの要求に応じた文字や画像を表示する。
【0068】
取得部60は、異常判定部62からの要求に基づき位置情報要求PREQを定期的に通信部52から位置情報生成部5に出力させる。取得部60は、位置情報要求PREQに対し位置情報生成部5から出力される信号Txに含まれる位置情報Pを通信部52から取得する。
【0069】
制御信号生成部61は、例えば、取得部60によって取得された位置情報Pから速度情報を求め、かかる速度情報と速度指令とに基づいて制御信号を生成して電力変換部7へ出力する。また、制御信号生成部61は、例えば、回転電機2に直流電流を流す制御信号を生成して電力変換部7へ出力し、磁軸を引き込んで初期磁極位置を設定する。
【0070】
異常判定部62は、異常判定処理を実行する。かかる異常判定処理によって判定される異常には、例えば、逆回転異常と位相異常とがある。逆回転異常は、制御信号生成部61による回転電機2の回転方向に対し位置情報Pが逆方向に変化する異常である。位相異常は、逆回転異常以外の位置情報Pの異常である。
図7は、異常判定処理によって判定される異常内容と異常原因との関係を示す図である。
【0071】
エンコーダ接続誤りは、例えば、電力変換部7の出力電圧Vu、Vv、Vwがそれぞれ回転電機2のU相、W相、V相に接続された場合などであり、位置情報Pが制御信号生成部61による回転電機2の回転方向とは反転した位相を示す情報になる。また、回転方向CW/CCWの設定誤りがある場合も同様に、位置情報Pが制御信号生成部61による回転電機2の回転方向とは反転した位相を示す情報になる。位相進み量CZの設定誤りがある場合も同様に、位置情報Pの変化が制御信号生成部61による回転電機2の回転方向とは逆方向になる。
【0072】
また、AB相間の配線誤りは、A相信号Saの信号線とB相信号Sbの信号線との逆接続により生じ、A相信号SaとB相信号Sbとが逆に入力される入力誤りになるため、位置情報生成部5による位置情報Pが逆方向に更新される。そのため、位置情報Pの変化が制御信号生成部61による回転電機2の回転方向とは逆方向になる。
【0073】
A相内の配線誤りやB相内の配線誤りの場合も同様に、位置情報Pの変化が制御信号生成部61による回転電機2の回転方向とは逆方向になる。A相内の配線誤りは、端子T5、T6に対しA相信号Saを構成する信号Sa+,Sa−の逆接続により生じ、信号Sa+と信号Sa−とが逆に入力される入力誤りになる。また、B相内の配線誤りは、端子T7、T8に対しB相信号Sbを構成する信号Sb+,Sb−の逆接続により生じ、信号Sb+と信号Sb−とが逆に入力される入力誤りになる。
【0074】
なお、位相進み量CZの設定誤り、AB相間の配線誤り、A相内の配線誤りおよびB相内の配線誤りの場合、後述するように、位相異常も生じる。
【0075】
また、CD相間の配線誤りは、C相信号Scの信号線とD相信号Sdの信号線との逆接続により生じ、C相信号ScとD相信号Sdとが逆に入力されるため、位置情報生成部5による位置情報Pが逆位相の情報に設定される。そのため、位置情報Pが回転電機2の回転位置とは異なる情報になる。このことは、C相内の配線誤りやD相内の配線誤りの場合も同様である。C相内の配線誤りは、端子T1、T2に対しC相信号Scを構成する信号Sc+,Sc−の逆接続により生じ、信号Sc+と信号Sc−とが逆に入力される入力誤りになる。また、D相内の配線誤りは、端子T3、T4に対しD相信号Sdを構成する信号Sd+,Sd−の逆接続により生じ、信号Sd+と信号Sd−とが逆に入力される入力誤りになる。
【0076】
また、エンコーダビット数Nの設定誤りは、例えば、エンコーダ3のAB相1周期が機械角360度に対して1/2
12である場合に、N=11やN=10に設定した場合に生じる。エンコーダビット数Nの設定誤りがある場合、位置情報Pの変化量と回転電機2の回転量との不整合が生じ、位置情報Pが回転電機2の回転位置とは異なる情報になる。
【0077】
なお、エンコーダ情報設定部53、取得部60、制御信号生成部61および異常判定部62は、例えば、マイクロコンピュータや各種の回路などによって構成され、マイクロコンピュータに搭載されたCPUが内部のプログラムを読み出すことよって動作する。
【0078】
[5.異常判定処理]
次に、位置情報Pに基づく、異常判定処理の一例を説明する。
図8は、異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0079】
図8に示すように、異常判定部62は、制御装置4に電源が投入された場合、まず、通信部52からリセット要求RSTを含む信号Rxを出力させる(ステップS1)。これにより、制御部6から位置情報生成部5にリセット要求が行われる。なお、位置情報生成部5に電源電圧VAが供給された際に、設定部22がリセット要求の有無に関わらず位置情報演算部44によって取得された絶対位置情報Dpaを位置記憶部20に設定する場合、制御部6から位置情報生成部5にリセット要求を行わなくてもよい。
【0080】
次に、異常判定部62は、制御信号生成部61に対して磁極引き込み要求を行う(ステップS2)。制御信号生成部61は、異常判定部62から磁極引き込み要求があると、固定した位相で回転電機2に直流電流を流す制御信号を生成して電力変換部7へ出力し、固定した位相に磁軸を引き込んで初期磁極位置を設定する。
【0081】
次に、異常判定部62は、制御信号生成部61に対して正転の運転指令を行う(ステップS3)。制御信号生成部61は、異常判定部62から正転の運転指令があると、回転電機2を正転方向に回転させる制御信号を生成して電力変換部7へ出力し、回転電機2の駆動制御を行う。このとき、制御信号生成部61は、内部で演算された位相によって回転電機2の駆動制御を行う(ステップS4)。
【0082】
また、異常判定部62は、取得部60により定期的に取得される位置情報Pを内部の記憶部に記憶する(ステップS5)。かかる位置情報Pは、異常判定部62が取得部60に対して位置情報要求PREQを定期的に通信部52に出力するように要求することによって取得部60に取得される。
【0083】
異常判定部62は、制御信号生成部61によって駆動された回転電機2の回転量が所定量以上になったか否かを判定する(ステップS6)。異常判定部62が回転電機2の回転量が所定量以上になっていないと判定すると(ステップS6;No)、制御部6は、ステップS4〜S6の処理を繰り返し行う。なお、かかる所定量は、パラメータとして変更することができ、また、所定量をパラメータとせず、固定値としてもよい。
【0084】
一方、回転電機2の回転量が所定量以上になったと判定すると(ステップS6;Yes)、異常判定部62は、ステップS1と同様に、通信部52からリセット要求RSTを含む信号Rxを出力させ、位置情報生成部5にリセット要求を行う(ステップS7)。異常判定部62は、ステップS7におけるリセット要求の後に取得部60により取得される位置情報Pを内部の記憶部に記憶する(ステップS8)。
【0085】
次に、異常判定部62は、内部の記憶部に記憶した位置情報Pに基づき、制御信号生成部61による回転電機2の回転方向に対し位置情報Pの変化方向が逆であるか否かを判定する(ステップS9)。かかる処理において、異常判定部62は、位置情報Pの変化方向が逆転方向である場合に、回転電機2の回転方向が位置情報Pの変化方向と逆であると判定する。
【0086】
回転電機2の回転方向が位置情報Pの変化方向と逆であると判定した場合(ステップS9;Yes)、異常判定部62は、表示部54に逆回転異常である旨を示す逆回転異常表示を行う(ステップS10)。
【0087】
回転電機2の回転方向が位置情報Pの変化方向と逆ではないと判定した場合(ステップS9;No)、または、ステップS10の処理が終了した場合、異常判定部62は、位相ずれがあるか否かを判定する(ステップS11)。かかる処理において、異常判定部62は、例えば、リセット要求を行った前後で取得部60により取得される位置情報Pに基づき、位相ずれがあるか否かを判定する。
【0088】
位相ずれがあると判定した場合(ステップS11;Yes)、異常判定部62は、表示部54に位相ずれがある旨を示す位相異常表示を行う(ステップS12)。位相ずれがないと判定した場合(ステップS11;No)、または、ステップS12の処理が終了した場合、異常判定部62は、異常判定処理を終了する。
【0089】
ここで、ステップS11における位相ずれの判定について具体的に説明する。
図9A〜
図9C、
図10Aおよび
図10Bは、異常判定処理における、位置情報P、電源電圧VA、運転指令およびリセット要求RSTとの関係を示す図である。
【0090】
図9Aは、位置情報Pの異常がない場合の、位置情報P、電源電圧VA、運転指令およびリセット要求RSTとの関係を示す図である。
図9Aに示すように、制御装置4に電源が投入されて電源電圧VAが所定値以上になると、制御部6から位置情報生成部5にリセット要求が行われる(タイミングt1)。これにより、位置情報生成部5において位置情報Pがアブソリュート信号Spaに基づいて設定される。
【0091】
その後、制御部6が正転の運転指令に基づき、回転電機2を正転方向に回転させる制御が行われ(タイミングt2)、回転電機2の回転量が所定量以上になると、制御部6から位置情報生成部5にリセット要求が行われる(タイミングt3)。これにより、位置情報生成部5において位置情報Pがアブソリュート信号Spaに基づいて設定されるが、位置情報生成部5から出力される位置情報Pは、リセット要求の前後で実質的な差はない。
【0092】
一方、位置情報Pの異常がある場合、
図9B、
図9C、
図10Aおよび
図10Bに示すように、位置情報Pの異常がない場合と位置情報Pの変化が異なる。
図9Bは、エンコーダ接続誤りや回転方向CW/CCWの設定誤りなどに起因する逆回転異常の例を示す図である。かかる逆回転異常では、位置情報Pが制御信号生成部61による回転電機2の回転方向とは反転した位相を示す情報になる。
【0093】
異常判定部62は、位置情報Pが制御信号生成部61による回転電機2の回転方向とは反転した位相を示す情報になる場合に、逆回転異常があると判定する。なお、異常判定部62は、位置情報Pを微分して求めた速度情報が負である場合に逆回転異常があると判定することもできる。
【0094】
なお、異常判定部62は、逆回転異常であると判定し、かつ、タイミングt3の前後での位置情報Pの変化量が所定量未満である場合に、位置情報Pの異常が、エンコーダ接続誤りまたは回転方向CW/CCWの設定誤りに起因するものであると判定することができる。なお、かかる所定量は、パラメータとして変更することができ、また、所定量をパラメータとせず、固定値としてもよい。
【0095】
また、位相異常がある場合、
図9C、
図10Aおよび
図10Bに示すように、制御部6から位置情報生成部5にリセット要求が行われるタイミングt3の前後で、位置情報生成部5から出力される位置情報Pが大きく変化する。
【0096】
図9Cは、AB相間の配線誤り、A相内の配線誤りおよびB相内の配線誤りなどに起因する位相異常の例を示す図である。この位相異常(以下、第1の位相異常と記載する)の場合、絶対位置情報Dpaの演算結果は正常であるが、相対位置情報Dpiの上位ビットデータDpiuの演算結果が正負逆になる。そのため、リセット要求直後の位置情報Pは正常であるが、その後、更新される位置情報Pで示される位相が負方向に変化する。これにより、タイミングt3において、位相ずれが生じる。第1の位相異常の場合、逆回転異常も生じる。
【0097】
図10Aは、CD相間の配線誤り、C相内の配線誤りおよびD相内の配線誤りなどに起因する位相異常の例を示す図である。この位相異常の場合(以下、第2の位相異常と記載する)、相対位置情報Dpiの上位ビットデータDpiuの演算結果は正常であるが、絶対位置情報Dpaの演算結果が正常な場合の演算結果に対して反転した値になる。これにより、タイミングt3において、位相ずれが生じる。
【0098】
図10Bは、エンコーダビット数Nの設定誤りに起因する位相異常の例を示す図である。
図10Bに示す例では、例えば、N=12と設定すべきところ、N=11に設定した場合の位相異常の例を示す。この位相異常の場合(以下、第3の位相異常と記載する)、相対位置情報Dpiの上位ビットデータDpiuの演算結果がN=12の場合に比べ倍になるため、タイミングt3において、位相ずれが生じる。
【0099】
異常判定部62は、タイミングt3の前後での位置情報Pの変化量が所定量以上である場合、位相異常があると判定する。より具体的には、異常判定部62は、例えば、逆回転異常かつ位相ずれ異常がある場合に、第1の位相ずれ異常であると判定する。また、異常判定部62は、例えば、逆回転異常がないが位相異常があり、かつ、位置情報Pの変化量と回転電機2の回転量との不整合がない場合、第2の位相異常であると判定する。また、異常判定部62は、例えば、逆回転異常がないが位相異常があり、かつ、位置情報Pの変化量と回転電機2の回転量との不整合がある場合、第3の位相異常であると判定する。
【0100】
異常判定部62は、判定した位置情報Pの異常の内容と、その原因を表示部54に表示する。これにより、回転電機システム1の設置者等は、エンコーダ3と制御装置4との間の接続誤りや設定誤りを容易に把握することができる。
【0101】
また、異常判定部62は、タイミングt3以降のタイミングt4(不図示)で位置情報生成部5に対してさらにリセット要求を行い、かかるリセット要求の前後で取得部60により取得される位置情報Pに基づき、位相ずれがあるか否かを判定することもできる。また異常判定部62は、タイミングt3のリセット要求での位相ずれ判定と、タイミングt4のリセット要求での位相ずれ判定とが一致する場合に、位相異常の判定を確定するようにしてもよい。これにより、異常判定をより精度よく行うことができる。
【0102】
また、異常判定部62は、複数回のリセット要求の前後でそれぞれ取得部60により取得される位置情報Pに基づき、位相ずれがあるか否かを判定することもできる。また、異常判定部62は、制御信号生成部61により通常の動作を開始した後、定期的にリセット要求を行うことで、定期的に異常判定処理を行うこともできる。
【0103】
また、異常判定部62は、異常の内容等を表示部54に表示するだけでなく、異常の解決処理を行うこともできる。異常判定部62は、異常があると判定した場合に、異常内容に応じて設定情報の変更を行うことで、異常の解決処理を行う。
【0104】
例えば、異常判定部62は、位置情報Pの異常が
図9Bに示す逆回転異常である場合、回転方向CW/CCWを変更する設定情報を含む信号Rxを通信部52から位置情報生成部5に出力することで、異常の解決処理を行う。回転方向CW/CCWの変更は、例えば、「0」である場合には「1」に設定し、「1」である場合には「0」に設定することで行われる。
【0105】
また、異常判定部62は、位置情報Pの異常が
図9Cに示す第1の位相ずれ異常である場合、例えば、位相進み量CZを「90」から「−90」に変更する設定情報を含む信号Rxを通信部52から位置情報生成部5に出力することで、異常の解決処理を行う。
【0106】
また、異常判定部62は、位置情報Pの異常が
図10Bに示す第3の位相異常である場合、例えば、エンコーダビット数Nを増加または減少する設定情報を含む信号Rxを通信部52から位置情報生成部5に出力することで、異常の解決処理を行う。
【0107】
なお、異常判定部62は、位置情報Pの異常が
図10Aに示す第2の位相異常であり、C相やD相の位相進み量を設定できる場合、異常判定部62は、C相やD相の位相進み量を変更する設定情報を含む信号Rxを通信部52から位置情報生成部5に出力することで、異常の解決処理を行う。
【0108】
異常判定部62は、異常の解決処理を行った後、正転の運転指令を制御信号生成部61に出力して回転電機2を正転方向に回転させ、例えば、
図8に示す異常判定処理を行うことで、異常の解決処理によって異常が解決したか否かを判定する。異常が解決していない場合、異常判定部62は、異常が解決するまで、上述した異常の解決処理と異常判定処理とを繰り返し行う。この場合、異常判定部62は、異常の解決処理と異常判定処理とを所定回数繰り返しても、異常が解決しなければ、異常の解決処理を中止し、異常判定処理の結果を表示部54に表示することもできる。また、異常判定部62は、異常判定処理の結果、解決しない異常であると判定すると、異常の解決処理を行うことなく、異常判定処理の結果を表示部54に表示することもできる。
【0109】
以上のように、実施形態に係る回転電機システム1では、位置情報生成部5と、制御部6とを備える。位置情報生成部5は、インクリメンタル信号Spi(第2の信号の一例)に基づいて位置情報Pを繰り返し更新し、また、制御部6からリセット要求があった場合、位置情報Pをアブソリュート信号Spa(第1の信号の一例)に応じた位置情報に設定する。制御部6は、位置情報生成部5に対してリセット要求を行い、リセット要求を行った前後で位置情報生成部5から取得される位置情報Pに基づき、位置情報Pの異常を判定する。これにより、エンコーダ3(位置センサの一例)からの信号に基づいて生成される位置情報Pの異常を検出することができる。
【0110】
なお、上述の実施形態においては、位置情報Pの上位ビット領域Ruがインクリメンタル信号Spiの1周期で1つ増減するものとして説明したが、位置情報Pの構成は上述した構成に限定されるものではない。例えば、位置情報Pの下位ビット領域Rdに機械角360度分を対応させるようにしてもよい。この場合、位置情報Pの下位ビット領域RdがMビットであれば、位置情報生成部5は、例えば、絶対位置情報Dpaを下位ビット領域RdのMビットに設定する。
【0111】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。